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特開2024-47558ハイブリッド・ディフューザー及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047558
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】ハイブリッド・ディフューザー及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20240329BHJP
   G02B 1/10 20150101ALI20240329BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240329BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20240329BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20240329BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20240329BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240329BHJP
   F21V 9/14 20060101ALI20240329BHJP
   F21V 9/08 20180101ALI20240329BHJP
【FI】
G02B5/02 C
G02B1/10
G02B5/20
G02B5/22
G02B5/30
G02B5/18
F21S2/00 481
F21V9/14
F21V9/08 100
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023145552
(22)【出願日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】17/952,634
(32)【優先日】2022-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502151820
【氏名又は名称】ヴァイアヴィ・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Viavi Solutions Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】アルバート アルゴイティア
(72)【発明者】
【氏名】ヤロスロウ ジエバ
(72)【発明者】
【氏名】カンニン リャン
(72)【発明者】
【氏名】タッソ アール エム セールス
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ピー ザイデル
【テーマコード(参考)】
2H042
2H148
2H149
2H249
2K009
3K244
【Fターム(参考)】
2H042BA02
2H042BA04
2H042BA11
2H042BA13
2H042BA15
2H148AA00
2H148CA04
2H148CA05
2H148CA07
2H148CA09
2H148CA18
2H148CA24
2H149AA21
2H149AB02
2H149BA02
2H149BA23
2H149FA21W
2H149FC06
2H149FD46
2H149FD48
2H249AA03
2H249AA31
2H249AA43
2H249AA44
2H249AA64
2K009AA12
2K009CC09
2K009CC21
2K009DD02
3K244AA05
3K244BA08
3K244BA48
3K244GA02
3K244GA03
(57)【要約】
【課題】出力の均一性を最大にする、表面型ディフューザーと体積型ディフューザーとを組み合わせたハイブリッド・ディフューザーを提供する。
【解決手段】表面プロファイルを有する面の反対側に平坦な面を有するディフューザー・ポリマーを含み、ディフューザー・ポリマーの全体内及び/またはディフューザー・ポリマーの表面プロファイル上に少なくとも1つの光学材料を含むハイブリッド・ディフューザーを開示する。このハイブリッド・ディフューザーを作製する方法も開示する。システムが、光源;及び上記ハイブリッド・ディフューザーを含むことができる。このシステムを使用する方法も開示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面プロファイルを有する表面の反対側に平坦な面を有するディフューザー材料を含み、かつ前記ディフューザー材料の全体内及び/または前記ディフューザー材料の前記表面プロファイル上に少なくとも1つの光学材料を含むハイブリッド・ディフューザー。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光学材料が、有機相、無機相、または気相で存在する、請求項1に記載のハイブリッド・ディフューザー。
【請求項3】
前記少なくとも1つの光学材料が粒子の集合体であり、前記粒子のサイズが約20nmから約1000nmまでの範囲である、請求項1に記載のハイブリッド・ディフューザー。
【請求項4】
前記少なくとも1つの光学材料が配向可能であり、直線状、円形、螺旋形、及びその組合せから選定した形状を有する、請求項1に記載のハイブリッド・ディフューザー。
【請求項5】
前記少なくとも1つの光学材料が液晶ポリマーである、請求項1に記載のハイブリッド・ディフューザー。
【請求項6】
前記少なくとも1つの光学材料が突起の形態で前記表面プロファイル上に存在し、
前記突起が前記表面プロファイルに比べて小さい、
請求項1に記載のハイブリッド・ディフューザー。
【請求項7】
前記表面プロファイルが、散乱中心の高さ及びサイズの分布によって規定される、請求項1に記載のハイブリッド・ディフューザー。
【請求項8】
光源と、
請求項1に記載のハイブリッド・ディフューザーと
を具えているシステム。
【請求項9】
システムを使用する方法であって、
光源を発光させて、該光源から光を放出するステップと、
前記光源から放出された光を、請求項1に記載のハイブリッド・ディフューザーにおいて受光するステップと
を含む方法。
【請求項10】
前記ハイブリッド・ディフューザーが、修正された散乱プロファイルの光を放出する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ハイブリッド・ディフューザーが液晶ポリマーを含み、該液晶ポリマーは、能動的な散乱及び偏光制御を提供する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ハイブリッド・ディフューザーが金属ロッドを含み、該金属ロッドは受動的な偏光及び強度制御を提供する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
ハイブリッド・ディフューザーを作製する方法であって、
凹面の表面プロファイルを有するモールドを用意するステップと、
帯電した光学材料の第1層を前記モールドの前記凹面の表面プロファイル上に形成するステップと、
逆帯電した光学材料の第2層を前記第1層の表面上に形成するステップと
を含む方法。
【請求項14】
平坦な表面が得られるまで、帯電した光学材料の追加的な層を、逆帯電した光学材料の追加的な層と交互に追加するステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
機能性コーティングを、前記ハイブリッド・ディフューザーの前記表面プロファイルに設けるステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記ハイブリッド・ディフューザーを基板に実装するステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
電界、電磁界、磁界、せん断場、重力場、及びその組合せから選定した場を前記ハイブリッド・ディフューザーに印加するステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記形成した第1層及び前記形成した第2層を硬化させるステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
ハイブリッド・ディフューザーを作製する方法であって、
基板を用意するステップと、
少なくとも1つの光学材料を含むディフューザー材料を、液体コーティングプロセスを用いて堆積させるステップであって、前記液体コーティングプロセスは、前記少なくとも1つの光学材料を整列させるせん断力を呈するステップと、
前記堆積させたディフューザー材料を硬化させるステップと、
前記硬化させたディフューザー材料に表面プロファイルを設けるステップと
を含む方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの光学材料が、光散乱、電気及び/または磁気特性、蛍光特性、IR~可視光をカバーする特性(低エネルギーの入射光が高エネルギーを生じさせる)、エレクトロクロミック、サーモクロミック、波長依存の光吸収性、薄膜干渉、回折干渉、偏光制御、及びその組合せから選定した光学特性を提供する、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は一般にハイブリッド・ディフューザーに関するものであり、このハイブリッド・ディフューザーは、表面プロファイル(表面形状)を有する表面の反対側に平坦な面を有するディフューザー材料を含み、かつディフューザー材料の全体内及び/またはディフューザー・ポリマーの表面プロファイル上に少なくとも1つの光学材料を含む。このハイブリッド・ディフューザーを作製する方法を開示する。システムが、光源、及びこのハイブリッド・ディフューザーを含むことができる。このシステムを使用する方法も開示する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ディフューザー(光拡散板)は、多様な用途において、均一化機能及びビームシェーピング(ビーム整形)機能を共に提供するための用途を見出す光学部品である。ディフューザーの広い分類は、表面型ディフューザー及び体積型ディフューザーを含む。
【0003】
表面型ディフューザーは、ガラスまたはポリマーと空気のような2つの媒質間の境界面の表面レリーフ(浮き彫り)プロファイルに頼って、2つの媒質間の境界面における屈折によって放射を散乱させる。特に、表面型ディフューザーは、表面散乱中心、例えば表面プロファイルの精密な高さ及びサイズの分布に基づいて制御される散乱を生じさせる。表面型ディフューザーは、通常、透過時に光を整形する効率が高い。しかし、表面型ディフューザーで得られる光及びエネルギー分布は、不所望な「ゴースト」、即ち、表面型ディフューザーの表面プロファイルに特有の回折光線との妥協になり得る。特に、表面型ディフューザーは、照明の高度な均一性を提供し損なうことがある。表面型ディフューザーの周知例はすりガラスであり、すりガラスは廉価であり市場で容易に入手可能であるが、そのビームシェーピング能力は非常に限られている。
【0004】
一方、体積型ディフューザーは、材料マトリクスの全体内に埋め込まれた粒子で構成される。光の散乱は、材料マトリクスの全体内に分布した粒子及び/またはボイド(気相)によって得ることができる。体積型ディフューザーは、一般に、表面型ディフューザーに比べて透過時に光を整形する効率が低い。実際に、体積型ディフューザーは、強度分布の意味で非常に均一ではない強度パターンを生成する傾向がある。体積型ディフューザーの一般的な例は、オパール(乳白)ガラスであり、オパールガラスは(角度の関数としてのコサイン関数によって記述される強度プロファイルを構成する)ランバート(Lambertian)照明パターンを発生することができ、但し非常に低効率であり、一般に入力光エネルギーの約20%を透過させる。オパールガラスほど強くない他の体積型ディフューザーは、ローレンツ(Lorentzian)強度プロファイルを呈する強度プロファイルを生成する傾向がある。また、オパールガラスとは異なり、これらのより弱い体積型ディフューザーは、ずっと高い効率を提供することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
必要とされるものは、出力の均一性を最大にするための、ハイブリッド・ディフューザーのような、表面型ディフューザーと組み合わせた体積型ディフューザーのような品目である。例えば、ハイブリッド・ディフューザーの体積型に関連する態様は、追加的な所望の光学機能及び非光学機能の導入を可能にすることができる。更に、異なる光学特性を有する異なるサイズ及び光学材料の、精密に分布した層状のナノ粒子/マイクロ粒子を用いた層毎の構造を実現することは、高屈折率の光媒質、反射防止、波長選択性/二色性(ダイクロイック)、化学的、機械的特性、等のような他の特性を追加する機会を与えることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、ハイブリッド・ディフューザーを開示し、このハイブリッド・ディフューザーは、表面プロファイルを有する表面の反対側に平坦な面を有するディフューザー材料を含み、かつディフューザー材料の全体内及び/またはディフューザー・ポリマーの表面プロファイル上に少なくとも1つの光学材料を含む。
【0007】
他の態様では、光源、及びこのハイブリッド・ディフューザーを具えたシステムを開示する。
【0008】
追加的な態様では、システムを使用する方法を開示し、この方法は:光源を発光させて、光源から光を放出するステップと;光源から放出された光をハイブリッド・ディフューザーにおいて受光するステップとを含む。
【0009】
他の態様では、ハイブリッド・ディフューザーを作製する方法を開示し、この方法は:凹面の表面プロファイルを有するモールド(型)を用意するステップと;帯電した光学材料の第1層をモールドの凹面の表面プロファイル上に形成するステップと;逆(の極性に)帯電した光学材料の第2層を第1層の表面上に形成するステップとを含む。
【0010】
他の態様では、ハイブリッド・ディフューザーを作製する方法を開示し、この方法は:基板を用意するステップと;少なくとも1つの光学材料を含むディフューザー材料を、液体コーティングプロセスを用いて堆積させるステップであって、液体コーティングプロセスは、少なくとも1つの光学材料を整列させるせん断力を呈するステップと;堆積したディフューザー材料を硬化させるステップと;硬化したディフューザー材料に表面プロファイルを設けるステップとを含む。
【0011】
種々の好適例の追加的な特徴及び利点は、部分的に、これに続く実施形態の説明中に説明し、部分的に、この説明より明らかになり、あるいは種々の実施形態の実施によって学習することができる。種々の好適例の目的及び利点は、本明細書の記載中に具体的に指摘する要素及びその組合せによって理解され実現される。
【0012】
本発明の特徴を、非限定的な例として以下の図面中に図示し、これらの図面では同様な番号は同様な要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一態様によるハイブリッド・ディフューザーを示す図である。
図2】本発明の他の態様によるハイブリッド・ディフューザーを示す図である。
図3図3A~Bは、表面プロファイルを生成するためのディフューザー材料及び光学材料の配向を示す図である。
図4図4A~Bは、表面プロファイルを生成するためのディフューザー材料及び光学材料の配向を示す図である。
図5図5A~Bは、表面プロファイルを生成するためのディフューザー材料及び光学材料の配向を示す図である。
図6】表面プロファイルを生成するためのディフューザー材料及び光学材料の配向を示す図である。
図7図7Aは、本発明の一態様によるハイブリッド・ディフューザーを含むシステムを示す図である。図7Bは、本発明の他の態様によるハイブリッド・ディフューザーを含むシステムを示す図である。
図8】本発明の一態様による方法において用いる凹面の表面プロファイルを有するモールドを示す図である。
図9】帯電した光学材料の第1層及び逆帯電した光学材料の第2層を含むモールドを示す図である。
図10】平坦な表面を形成するための層形成を示す図である。
図11】本発明の一態様によるハイブリッド・ディフューザーを示す図である。
図12】光学機能コーティングを有する基板上に実装されたハイブリッド・ディフューザーを示す図である。
図13図13A~Cは、表面型ディフューザー及びその強度プロファイルを示す図である。
図14図14A~Bは、体積型ディフューザー及びその強度プロファイルを示す図である。
図15図15A~Bは、ハイブリッド・ディフューザーの強度プロファイルを示す図である。
図16】ハイブリッド・ディフューザーの偏光を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
簡単のため、そして例示目的で、本発明はその例を主に参照することによって説明する。以下の説明では、本発明の完全な理解をもたらすために、多数の具体的詳細を説明する。しかし、これらの具体的詳細に限定されずに本発明を実施することができることは、直ちに明らかである。他の例では、本発明を無用に曖昧にしないために、一部の方法及び構造は説明していない。
【0015】
それに加えて、添付した図面中に示す要素は追加的な構成要素を含むことができ。これらの図面中に記載する構成要素の一部は、本発明の範囲から逸脱することなしに除去及び/または修正することができる。更に、図面中に示す要素は、原寸に比例して描いていないことがあり、従って、これらの要素は、図面中に示すものとは異なるサイズ及び/または形状を有することがある。
【0016】
以上の一般的説明及び以下の詳細な説明は共に例示的であり、例示的に過ぎず、本願の教示の種々の実施形態の説明を提供することを意図していることを理解するべきである。本明細書中に開示するものは、その広く多様な実施形態において、ハイブリッド・ディフューザー10であり、図1に示すように、ハイブリッド・ディフューザー10は:表面プロファイル16を有する表面の反対側に平坦な表面14を有するディフューザー材料12を含み、かつディフューザー材料12の全体内及び/またはディフューザー材料の表面プロファイル16上に、少なくとも1つの光学材料を含む。
【0017】
ディフューザー材料12はあらゆる透明材料とすることができる。ディフューザー材料12は、その全体内に少なくとも1つの光学材料18を含むためのマトリクスとして用いることができる。ディフューザー材料12は、表面プロファイル16を形成することができ、及び/または表面プロファイル16を含む形状をとることができる。ディフューザー材料12は、あらゆる硬化性ポリマーとすることができる。適切なディフューザー材料の非限定的な例は、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アクリル、アクリレート、ポリビニルエステル、ポリエーテル、ポリチオール(登録商標)、シリコーン、フッ化炭素(フルオロカーボン)、及びその種々のコポリマーのような熱可塑性物質;エポキシ、ポリウレタン、アクリレート、メラミンホルムアルデヒド、尿素(ユリア)ホルムアルデヒド、及びフェノールホルムアルデヒドのような熱硬化性樹脂;アクリレート、エポキシ、ビニル、ビニルエーテル、スチレン、及びシランのようなエネルギー硬化性材料;及びその組合せを含む。追加的なディフューザー材料12は、シラン、シロキサン、チタン酸塩(チタネート)、ジルコン酸塩(ジルコネート)、アルミン酸塩(アルミネート)、ケイ酸塩(シリケート)、ホスファゼン、ポリボラジレン、及びポリチアジルを含み、但しこれらに限定されない。
【0018】
ディフューザー材料12のポリマー鎖は、重合技術を用いてクロスリンク(交差結合)させ、次に硬化させることができる。重合技術の非限定的な例は、フリーラジカル(遊離基)重合、スペクトル(分光)増感光誘起フリーラジカル重合、光誘起カチオン重合、及び光誘起付加環化のような光誘起重合;電子線(電子ビーム)誘起フリーラジカル重合、電子線誘起カチオン重合、及び電子線誘起付加環化のような電子線誘起重合;及び熱誘起カチオン重合のような熱誘起重合を含む。1つの態様では、ディフューザー材料12を、基板40上に堆積させ、あるいは凹面の表面プロファイルを有するモールド32内に形成し、次に、非ラジカル硬化システム、紫外光、赤外光、熱、化学的に誘起されるビーム及び/または電子ビームのような技術を用いてクロスリンク及び/または硬化させることができる。
【0019】
ディフューザー材料12は、平坦な表面14のような下面を有することができ、この下面は基板40の上面との接触面となることができる。ディフューザー材料12は、ランダムな表面プロファイル、周期的な表面プロファイル、及び/またはパターン化された表面プロファイルのような表面プロファイルを有する表面を有することができる。表面プロファイル16は、スタンピング(スタンプ加工)、エンボシング(エンボス(型押し)加工)、モールディング(鋳造、射出成形)、または反応性イオンエッチングのような方法によって作り出すことができる。
【0020】
表面プロファイル16は、散乱中心の高さ及びサイズの分布によって規定することができる。ディフューザー材料12の表面プロファイルは0nmよりも大きい物理的厚さを有することができ、即ち、ディフューザー材料12の単なる平坦な上面ではない。例えば、ディフューザー材料12の表面プロファイル16は、ある深さの微小構造を含むのに十分な物理的厚さを有することができる。ディフューザー材料12の表面プロファイル16は、例えば約5ミクロンから約500ミクロン、約10ミクロンから約200ミクロン、及び追加的な例として約40ミクロンから約100ミクロンまでの物理的厚さを、その中間の全ての範囲及び副次的範囲を含めて有することができる。
【0021】
ディフューザー材料12は、ディフューザー材料12の全体内に、少なくとも1つの光学材料18を含むことができる。ディフューザー材料12は、ディフューザー材料12の表面プロファイル16上に、少なくとも1つの光学材料18を含むことができる。ディフューザー材料12は、ディフューザー材料12の全体内及びディフューザー材料12の表面上に、少なくとも1つの光学材料18を含むことができる。
【0022】
少なくとも1つの光学材料18は、ディフューザー材料12または表面プロファイル16単独では提供されない光学機能を提供することができる。特性の非限定的な例は、光散乱、電気及び/または磁気特性、蛍光特性、IR(infrared:赤外)~可視光をカバーする特性(低エネルギーの入射光が高エネルギーを生じさせる)、エレクトロクロミック、サーモクロミック、波長依存の光吸収性、薄膜干渉、回折干渉、偏光制御、及びその組合せを含み、但しこれらに限定されない。光学材料18及び/または表面プロファイル16による光学機能と、ディフューザー材料12による非光学機能との組合せは、温度、圧力、電界及び/または磁界、動き、重力、放射、等、及びその組合せのような外的影響に応答することができるハイブリッド・ディフューザー10の設計を可能にすることができる。
【0023】
少なくとも1つの光学材料18は、有機相、無機相、または気相で存在することができる。少なくとも1つの光学材料18は、粒子(ナノ粒子またはマイクロ粒子)、ロッド20、ワイヤ、繊維(ファイバー)、フィラメント、リボン、楕円形、他の形状、及びその組合せの形態にすることができる。1つの態様では、少なくとも1つの光学材料18を粒子の集合体とすることができ、この集合体では、粒子のサイズが、例えば約20nmから約1000nmまで、約30nmから約900nmまで、及び追加的な例として約40nmから約800nmまでの範囲である。1つの態様では、少なくとも1つの光学材料18が、ディフューザー材料12の全体内に(ランダムに、あるいは特異的に配置されて)埋め込まれた粒子として、ディフューザー材料12内の粒子層として、あるいはディフューザー材料12の表面プロファイル16上の粒子として、ディフューザー材料12内に存在することができる。
【0024】
少なくとも1つの光学材料18は、以下で更に説明するように、印加された電磁界等の場中で配向可能にすることができる。少なくとも1つの光学材料18は、直線、円形、螺旋形、及びその組合せから選定した形状を有することができる。図2に示すように、1つの態様では、少なくとも1つの光学材料18を、直線状、円形、螺旋形、及びその組合せから選定した形態に配向させることができる。特に、金属ロッドは、表面プロファイル16の配向に関連して配向させることができる。ロッドの寸法、並びにディフューザー材料12は、ハイブリッド・ディフューザー10によって伝達されるエネルギーの量に影響を与え得る。以下でより詳細に説明するように、金属ロッド20は、ディフューザー材料12を硬化させる前に、ディフューザー材料12内に分散させて、磁界中で配向させることができる。
【0025】
ディフューザー材料12は、ディフューザー材料12の全体内に、複数の細長い光学材料18の粒子を含むことができ、これらの粒子は外部電解に応答することができる。光学材料18の細長い粒子は、分極させることができ、そして印加された電界と平行に整列させることができる。例えば、分極した楕円形粒子は、電界に平行な主軸に整列することができる。この整列は、細長い粒子が中実であるか中空であるかには無関係である。
【0026】
光学材料18の細長い粒子の非限定的な例は、ワイヤ、繊維、フィラメント、リボン、楕円形、他の形状、及びその組合せを含む。光学材料18の細長い粒子は、エレクトロスピニング及び/または遠心力スピニングを用いて、ポリマー、セラミックス、金属、及びその組合せのような多様な光学材料で製造することができる。1つの態様では、光学材料18の細長い粒子を、ナノメートルからマイクロメートルまで、例えば10nm~10μmの範囲の直径を有する中空繊維(ホローファイバー)のような繊維とすることができる。光学材料18の細長い粒子は、中空繊維の形では、1つ以上のチャネル、例えば2、3、4、または5つのチャネルのようなチャネルを含むことができる。ディフューザー材料12の全体内に光学材料18の細長い粒子を含むハイブリッド・ディフューザー10は、多種多様な光応答を生じさせることができる。図6に示すように、光学材料18の中空及び中実の細長い粒子のような細長い粒子は、ハイブリッド・ディフューザー10の表面と垂直に整列させることができる。このようにして、入射光の角度が、ハイブリッド・ディフューザー10の光学特性に強い影響を与えることができる。
【0027】
ディフューザー材料12は多孔質にすることができ、即ち、少なくとも1つの光学材料18を無くすることができる空間を、ディフューザー材料12の全体内に含むことができる。少なくとも1つの光学材料18は、(分子、粒子、またはボイドのサイズが入射光の波長よりも大きい際に生じる)ミー(Mie)散乱、あるいは(入射光の波長が分子、粒子、またはボイドのサイズよりも大きい際に生じる)レイリー(Rayleigh)散乱を生じさせることができるサイズを有することができる。
【0028】
1つの態様では、表面プロファイル16上に存在する際に、少なくとも1つの光学材料18は、図1に示すようにディフューザー材料12の全体内に存在する少なくとも1つの光学材料18よりも小さいサイズを有することができる。このようにして、少なくとも1つの光学材料18は、表面プロファイル16に比べて小さい複数の突起の形態で表面プロファイル16上に存在する。これらの突起は反射防止の特性を提供するように設計することができる。それに加えて、表面プロファイル16上の光学材料18は、超疎水性(例えば、自浄/ロータス効果)を提供することができる。
【0029】
表面プロファイル16は、図3A及び3Bに示すように、中実及び/または中空の細長い構造のような、光学材料18の細長い粒子を用いて形成することができる。光学材料18の異なる直径の細長い粒子を連続して堆積させることによって、コーティング密度を変化させて、例えば増加させて、図4A及び4Bに示すようにディフューザー材料12の表面プロファイル16を作り出すことができる。表面プロファイル16は、光学材料18の細長い粒子の連続した層により得ることもでき、ここでは異なる層が異なる方向に配向される。図5A及び5Bに示すように、第1層は、第1の(大きい)直径を有し第1方向に配向された光学材料18の細長い粒子を含み、第2層は、第2の(より小さい)直径を有し第1方向に配向された光学材料18の細長い粒子を含み、第3層は、第3の(最小の)直径を有し第1方向とは異なる第2方向に配向された光学材料18の細長い粒子を含む。直径、材料の任意の組合せの、光学材料18の中実、中空の細長い粒子を、任意の配向で用いることができることを理解することができる。これらの変数は、ハイブリッド・ディフューザー10の特定の光子の特性、機械的特性、トライボロジー特性、触媒の特性に基づいて選定することができる。
【0030】
少なくとも1つの光学材料18は金属材料とすることができる。金属材料の非限定的な例は、アルミニウム、パラジウム、銀、チタニウム、鉄、コバルト、銅、スズ、金、ニッケル、それらの合金;炭素、酸素、窒素、及びその組合せを含む金属化合物;及びそれらの組合せを含む。
【0031】
少なくとも1つの光学材料18は、無機材料とすることができ、例えば、層または層を形成する粒子の形でハイブリッド・ディフューザー10内に存在する。適切な無機材料の非限定的な例は、SiO2、TiO2、Al2O3、ZrO2、WO3、VO5、ITO、Ta2O5、CeO2、Y2O3、ZnS、In2O3、La2O3、MgO、Nd2O3、Pr6O11、Fe2O3、Fe3O4、SiO、SnO2、FeOx、MgF2、AlF3、CeF3、LaF3、LiF、CaF2、サーメット、ダイヤモンド状炭素、及びその組合せを含む。金属酸化物はMOxとして表され、Mは金属であり、Oは酸素であり、xは、非化学量論化合物において用いる際の比率とすることができる。
【0032】
少なくとも1つの光学材料は、異なる波長における一様または選択的吸収材として機能することができる光吸収材料とすることができる。光吸収材料の非限定的な例は、炭素、黒鉛(グラファイト)、シリコン、ゲルマニウム、サーメット、誘電体マトリクス内に混合された金属、インコネル、ステンレス鋼、ハステロイ、及びその組合せを含む。
【0033】
少なくとも1つの光学材料18は、有機着色物質とすることができる。有機着直物質の非限定的な例は、ペリレン、ペリノン、キナクリドン、キナクリドンキノン、アントラピリミジン、アントラキノン、アンサントロン(アンサンスロン)、ベンズイミダゾロン、ジアゾ縮合剤、アゾ、キノロン、キサンテン、アゾメチン、キノフタロン、インダントロン(インダンスロン)、フタロシアニン、トリアリルカルボニウム、ジオキサジン、アミノアントラキノン、イソインドリン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、チアジンインジゴ、イソインドリン、イソインドリノン、ピラントロン(ピランスロン)、イソビオラントロン(イソビオランスロン)、ミヨシメタン、トリアリールメタン、及びその混合物を含む。
【0034】
少なくとも1つの光学材料18は液晶ポリマーとすることができる。この液晶ポリマー(LCP:liquid crystal polymer)は、1つ以上の固化ポリマー液晶成分とすることができる。このLCPは、視角に依存する色を有することができ、そしてキラル相を有する液晶構造の配向三次元クロスリンク物質で構成することができる。このLCP構造は、キラル相を有する三次元クロスリンク可能な1つ以上の液晶物質に配向を施し、次に三次元クロスリンクを施し、これに続いて粉砕を施して所望の粒子サイズにすることによって得ることができる。得られたLCP構造はプレートレット(小平板)状の粒子であり、液晶構造のクロスリンク物質を含む(即ち、クロスリンク前のポリマーまたはモノマー流体は、この液晶型の秩序状態であった)。その代わりに、このLCP構造は、プレートレット状の粒子を液晶材料でコーティングすることによって形成することができる。このLCP構造は、少なくとも1つのネマチック化合物及び少なくとも1つのカイラル(キラル)ドーパント化合物を含むプレカーサー(前駆体、前駆物質)組成物から作製することができる。
【0035】
ハイブリッド・ディフューザー10は、機能性コーティング38を含むこともできる。機能性コーティング38は、ハイブリッド・ディフューザー10の表面プロファイル16のような上面上に存在することができる。機能性コーティング38は、ハイブリッド・ディフューザー10内に存在する少なくとも1つの光学材料18によって提供される機能に加えて、保護及び光学機能を提供することもできる。
【0036】
ハイブリッド・ディフューザー10は、二色性フィルタ処理、反射防止、バイパスフィルタ、等のような異なる光学的目的を有する多層光学設計を含むことができる。ハイブリッド・ディフューザー10の全体は、光学材料18の異なる種類の粒子に基づく多層設計で製造することができる。所望すれば、光学材料18の粒子の密度を層毎に変化させることもできる。あるいは、各層は、粒子及び/または粒子サイズの異なる比率で得ることができる。異なる種類、サイズ、配分、層、及び厚さ、等の光学材料18を有するというフレキシビリティ(柔軟性)は、異なる波長、強度、及び用途向けに特異的に設計された性能を有するハイブリッド・ディフューザー10の製造を可能にする。一例として、高屈折率及び低屈折率の粒子による反射防止の多層設計を、ディフューザー材料12の全体内に統合することができる。粒子の密度、配列、サイズ、光学特性、及び層の厚さは、反射防止特性を必要とする波長向けに最適化することができる。更に、よりフレキシブルなディフューザー材料12内の剛体の中実粒子の密度を変化させることができるということは、ハイブリッド・ディフューザー10の寸法を変化させる(伸張または圧縮する)ことを可能にし、従って、その光学特性を調整することを可能にする。二色性ディフューザーを、ディフューザー材料12の全体内に統合することができる。この場合、ナノ粒子に基づく高屈折率/低屈折率層の光学設計は、空間分布だけでなく、所望または不所望の光波長の一部もフィルタ処理することができる。
【0037】
図7A及び7Bに示すように、システム24は、光源26、及び図1に関して上述したハイブリッド・ディフューザー10を含むことができる。光源26は、ハイブリッド・ディフューザー10によって受光される光28を発光することができる。光源26は、紫外から赤外までの波長範囲の光28を発光することができる。
【0038】
システム24を使用する方法は、光源26を発光させて、光源26から光28を放出するステップと;光源26から放出された光をハイブリッド・ディフューザー10において受光するステップとを含む。1つの態様では、ハイブリッド・ディフューザー10が、表面プロファイル16上及び/またはディフューザー材料12の全体内に、少なくとも1つの光学材料18(例えば、散乱成分)を含むことができ、光学材料18を組み合わせて照明出力30を提供することができる。ディフューザー材料12内の少なくとも1つの光学材料18の存在は、さもなければ表面型ディフューザー単独で観測される照明出力30を修正することができる。簡単に言えば、体積型ディフューザーの寄与により修正された散乱プロファイルは、表面型ディフューザーの散乱単独と、体積型ディフューザーの散乱単独の寄与分とのコンボリューション(畳み込み)として記述することができる。一般的な結果は、修正された散乱プロファイルが、(図13Aに示す)表面型ディフューザーまたは(図14Aに示す)体積型ディフューザー単独に比べて改善された均一性の特性を呈することができる。ハイブリッド・ディフューザー10は、液晶ポリマーを、少なくとも1つの光学材料18として含むことができ、この液晶ポリマーは、能動的な散乱及び偏光制御を提供することができる。1つの態様では、ハイブリッド・ディフューザー10が、金属ロッドを光学材料18として含むことができ、これらの金属ロッドは受動的な偏光及び強度制御を提供することができる。ハイブリッド・ディフューザー10は、直線偏光子、スペクトル・バンドギャップフィルタ、またはカットオフフィルタとすることができる。ハイブリッド・ディフューザー10は、温度制御を呈することもできる、というのは、光学材料18が、印加された電磁界等の場中に存在する際に導電性をもたらすからである。
【0039】
ハイブリッド・ディフューザーを作製する方法も開示し、この方法は、凹面の表面プロファイルを有するモールド32を用意するステップと;帯電した光学材料34の第1層をモールドの凹面の表面プロファイル上に形成するステップと;逆帯電した光学材料36の第2層を第1層の表面上に形成するステップとを含む。図8に示すように、モールド32は凹面の表面プロファイルを含むことができる。モールド32は、光学材料18の層毎の堆積で用いることができ、ここでは、図9に示すように、第1層を帯電した光学材料34とすることができ、第2層を逆帯電した光学材料36とすることができる。この方法は、図10に示すように、帯電した光学材料34の追加的な層を、逆帯電した光学材料36の追加的な層と交互に追加して、平坦な表面を得るステップを含むことができる。このようにして、(帯電/逆帯電した)光学材料18の二重層をモールド32内に堆積させることができる。光学材料18の二重層は、無機/有機光学材料18の二重層とすることができる。
【0040】
1つの態様では、この方法が、モールド32にディフューザー材料12を充填して、平坦な表面14を得るステップを含むことができる。このようにして、ディフューザー材料12が液体であり、帯電した光学材料34及び逆帯電した光学材料36をディフューザー材料12内に分散させることができる。
【0041】
この方法は、電磁界等の場をハイブリッド・ディフューザー10に印加するステップを含むことができる。印加する場は、電界、電磁界、磁界、せん断場、重力場、及びその組合せから選定することができる。印加する場は、ディフューザー材料12の全体内の光学材料18を整列させることができる。例えば、ディフューザー材料12の全体内の金属ロッドは、磁界中で整列することができる。追加的な例として、ディフューザー材料12の全体内の光学材料18の細長い粒子は、電界中で整列することができる。
【0042】
この方法は、形成された層(即ち、第1層、第2層、及び任意の追加的な層)を硬化させるステップを含むことができる。この硬化は、印加された場(磁界または電界)中で整列した光学材料を固定することができる。この硬化技術は以上で開示している。
【0043】
この方法は、図11に示すように、形成されて硬化した層からモールド32を除去するステップを含むこともできる。
【0044】
この方法は、図12に示すように、ハイブリッド・ディフューザー10を基板40に実装するステップを含むこともできる。
【0045】
用途次第では、この方法は、機能性コーティング38を、ハイブリッド・ディフューザー10の表面プロファイルに設けるステップを含むことができる。機能性コーティング38は、PVD(physical vapor deposition:物理気相成長法)、CVD(chemical vapor deposition:化学気相成長法)、層毎、ALD(atomic layer deposition:原子層成長法)、湿式化学沈殿、ゾル-ゲル、等のような堆積プロセスを用いて付加することができる。
【0046】
1つの態様では、ハイブリッド・ディフューザー10を作製する方法を開示し、この方法は、基板40を用意するステップと;少なくとも1つの光学材料18を含むディフューザー材料12を、液体コーティングプロセスを用いて堆積させるステップであって、液体コーティングプロセスは、少なくとも1つの光学材料18を整列させるせん断力を呈するステップと;堆積したディフューザー材料12を硬化させるステップと;硬化したディフューザー材料12に表面プロファイル16を設けるステップとを含む。このようにして、ディフューザー材料12は、細長い粒子またはロッド状の液晶ポリマーを含むことができ、これにより、結果的なハイブリッド・ディフューザー10が、偏光を、表面型ディフューザーを通過させることができる。細長い粒子またはロッド状の液晶ポリマーは、スロットダイの使用により生じるせん断力により整列させることができる。あらゆる溶媒の蒸発、及びディフューザー材料12の硬化後に、モールドを用いることによって、あるいはエンボス加工によって、表面プロファイル16を形成することができる。
【0047】
【0048】
比較例1-図13Aに示すように、表面型ディフューザー44が、表面プロファイル16を有する表面の反対側に平坦な表面14を有するディフューザー材料12を含んでいた。この表面型ディフューザー44は、マイクロレンズベースの表面型ディフューザーであり、図13Bに示すように、コヒーレント照明下で、0.25°の検出器サイズで見て、約37×26度の長方形の視野を生成した。図13Cに示すように、x軸及びy軸を通る断面も示し、ここで実線は広幅の方の軸に沿い、点線は狭幅の方の軸に沿っている。識別された数個の均一性の態様が存在する。高周波成分は、スペックル(斑点)の存在により発生している。像に、その特定の散乱構造を与えた線及びストライプの観点から容易に識別された、低周波の不均一性も存在した。
【0049】
比較例2-比較例1、及び図13Bと13Cにおいて観測された構造の最小化に役立てるために、図14Aに示す体積型ディフューザーを用意した。体積型ディフューザー46はディフューザー材料12を含み、ディフューザー材料12は、平坦な表面14を全面に有し、当該ディフューザー材料の全体内に少なくとも1つの光学材料18を含んでいた。図14Aの体積型ディフューザーは、図14Bに示すように、4°の半値全幅で、ローレンツ・プロファイルを有する散乱プロファイルを生成した。
【0050】
例1-図1に示すハイブリッド・ディフューザー10を用意した。全出力は、表面型ディフューザーパターンと体積型ディフューザーパターンとの間のコンボリューションとして計算し、図15Aに示す。図15Bに示すように、x軸及びy軸を通る断面も示し、ここで実線は広幅の方の軸に沿い、点線は狭幅の方の軸に沿っている。ハイブリッド・ディフューザー10の最終的な出力は、優れた均一性を提供した。ハイブリッド・ディフューザー10の透過効率が十分に高い限り、全体の透過効率も高い。推定として、表面型ディフューザー44の平坦な表面14が反射防止コーティングを含むものと仮定すれば、表面型ディフューザー44の透過効率は94%に推定された。体積型ディフューザー46の全透過効率が85%であるという仮定の下で、ハイブリッド・ディフューザー10の全構成要素の透過効率は80%であろう。
【0051】
比較例3-偏光に関して、図13Aに示す表面型ディフューザー44は、一般に、入射する照明ビームの偏光状態を提供する。図14Aに示す体積型ディフューザー46は、一般に、入射する照明ビーム28を異なる偏光状態に変える。図16に示すように、ハイブリッド・ディフューザー10は、矢印で示す方向に沿って配向された金属マイクロロッドまたは金属ナノロッドを含むことができる。ロッドに整列して入射する電界はほぼ吸収され、直交する電界のみが透過した。
【0052】
以上の説明より、当業者は、本願の教示を種々の形態で実現することができることを理解することができる。従って、これらの教示は特定の実施形態及びその例に関連して説明してきたが、本願の教示の真の範囲は、そのように限定されるべきでない。本明細書中の教示から逸脱することなしに、種々の変更及び修正を加えることができる。
【0053】
開示の範囲は広義に解釈するべきである。本開示は、本明細書中に開示する装置、動作、及び機械的動作を実現するための等価物、手段、システム、及び方法を開示することを意図している。開示する装置、品目、方法、手段、機械的要素またはメカニズムの各々について、本開示は、本明細書中に開示する多数の態様、メカニズム、及び装置を実施するための等価物、手段、システム、及び方法を、その開示中に包含し教示することを意図している。本願の特許請求の範囲も同様に広義に解釈するべきである。本明細書中の多数の実施形態における本発明の説明は、事実上の例示に過ぎず、従って、本発明の主旨から逸脱しない変形例は、本発明の範囲内であることを意図している。こうした変形例は、本発明の精神及び範囲からの逸脱として考えるべきでない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図15A
図15B
図16
【外国語明細書】