(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047580
(43)【公開日】2024-04-05
(54)【発明の名称】示差走査熱量計のためのセンサ組立体
(51)【国際特許分類】
G01N 25/20 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
G01N25/20 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023161680
(22)【出願日】2023-09-25
(31)【優先権主張番号】22197864
(32)【優先日】2022-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】599082218
【氏名又は名称】メトラー-トレド ゲーエムベーハー
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・マイヤー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ハエッター
【テーマコード(参考)】
2G040
【Fターム(参考)】
2G040AB08
2G040AB12
2G040CA02
2G040DA02
2G040DA12
2G040DA16
2G040EA02
2G040EA13
2G040FA01
2G040HA06
(57)【要約】
【課題】熱流束動作モードおよびパワー補償動作モードの両方における動作を可能とする、ならびに、改善された測定特性を有する、示差走査熱量計のためのセンサ組立体の検知ユニットを提供すること。
【解決手段】示差走査熱量計のための検知ユニットは、熱電装置の層9、10、電気加熱器装置の層21、および、絶対温度測定装置の層27の重ね合わせを含むように構成される。熱電装置、電気加熱器装置、および絶対温度測定装置は、センサの試料側およびリファレンス側に対称的に配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状基板(31)を含む示差走査熱量計のための検知ユニット(1)であって、前記円板状基板(31)は、前記示差走査熱量計の温度制御される熱源と熱伝導接触している様態で装着されるように構成され、前記検知ユニット(1)は、
・試料側パン支持領域およびリファレンス側パン支持領域(S、R)であって、前記試料側パン支持領域および前記リファレンス側パン支持領域(S、R)上で、試料パンおよびリファレンスパン(38)の下部を前記試料側パン支持領域および前記リファレンス側パン支持領域(S、R)とそれぞれ熱伝導接触している様態で受け入れるように適合させられた、試料側パン支持領域およびリファレンス側パン支持領域(S、R)と、
・試料側熱電装置およびリファレンス側熱電装置であって、前記試料側熱電装置および前記リファレンス側熱電装置の2つの端子部分の間に、試料側測定領域およびリファレンス側測定領域それぞれを横切る熱の流れを指示する、試料側電圧信号およびリファレンス側電圧信号それぞれを発生させるための、試料側熱電装置およびリファレンス側熱電装置と
を含む、検知ユニット(1)において、
・前記試料側パン支持領域および前記リファレンス側パン支持領域(S、R)それぞれの下方の、試料側電気加熱器装置およびリファレンス側電気加熱器装置を含むこと
を特徴とする、検知ユニット(1)。
【請求項2】
前記円板状基板(31)の厚さは、前記試料側測定領域および前記リファレンス側測定領域それぞれの下方で低減される、請求項1に記載の検知ユニット(1)。
【請求項3】
前記試料側電気加熱器装置および前記リファレンス側電気加熱器装置の各々は、それぞれ前記試料側パン支持領域および前記リファレンス側パン支持領域(S、R)の中心部分と周辺部分との間で蛇行する抵抗加熱トレース(22)を含む、請求項1または2に記載の検知ユニット(1)。
【請求項4】
前記試料側パン支持領域および前記リファレンス側パン支持領域(S、R)それぞれの下方の、試料側絶対温度測定装置およびリファレンス側絶対温度測定装置をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の検知ユニット(1)。
【請求項5】
前記試料側絶対温度測定装置およびリファレンス側絶対温度測定装置の各々は、前記試料側パン支持領域および前記リファレンス側パン支持領域(S、R)それぞれを横切る中心軸に関して対称的であるパターンにおいて蛇行する感温抵抗トレース(28、29、30)を含む、請求項4に記載の検知ユニット(1)。
【請求項6】
外部配線が接続されるように適合させられた複数のコネクタパッド(16)をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の検知ユニット(1)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の検知ユニット(1)と、細長い部材(32)であって、長手方向軸に沿って伸長し、以て、前記細長い部材の軸方向端部部分(34)は、電気接触装置を含み、以て、前記示差走査熱量計の相補的に形成される受け口部材と電気接触している様態へと至らせられるように差し込み部材を形成し、前記電気接触装置は、前記検知ユニット(1)の前記コネクタパッド(16)に電気的に接続される、細長い部材(32)とを含む、センサ組立体。
【請求項8】
前記細長い部材(32)は、円筒形外方周縁部(33)を有し、前記電気接触装置は、前記長手方向軸に平行に伸長し、円周方向において相互に間隔を空けられ、前記細長い部材(32)内に形成される軸方向に伸長する中空空間内に配置される接続ワイヤにより前記コネクタパッド(16)と接続される、細長い接触ラグ(35)を含む、請求項7に記載のセンサ組立体。
【請求項9】
前記円板状基板(31)の外方周縁部(4)において形成され、前記熱量計の相補的に形成される場所決め凹部と確動嵌合している様態へと至らせられるように構成される、少なくとも1つの位置決めタブ(3)をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の検知ユニット(1)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の検知ユニットを製造するための方法であって、
a)円板状基板を用意するステップと、
b)前記円板状基板上に、好ましくは、厚膜技法、とりわけ、スクリーン印刷技法を使用することにより、連続的に、以下の層、すなわち、
- 好ましくは、前記絶対温度測定装置を形成する前記伝導トレースと、前記絶対温度測定装置のコネクタパッドとを含む、前記絶対温度測定装置の層であって、電気絶縁層が後に続き、前記電気絶縁層は、電気絶縁性であるが、唯一の例外は、下方の前記層の前記コネクタパッドの区域である、前記絶対温度測定装置の層、
- 前記電気加熱器装置を形成する伝導トレースと、前記電気加熱器装置のためのコネクタパッドと、下方の前記層のコネクタパッドとを含む、前記電気加熱器装置の前記層であって、電気絶縁層が後に続き、前記電気絶縁層は、電気絶縁性であるが、唯一の例外は、下方の前記層の前記コネクタパッドの前記区域である、前記電気加熱器装置の前記層、
- 前記熱電装置の第2の前記層であって、前記検知ユニットの熱電接合部のうちの少なくとも一部を形成するトレースと、前記熱電装置の前記第2の層のためのコネクタパッドと、下方の前記層のコネクタパッドとを含み、電気絶縁層が後に続き、前記電気絶縁層は、電気絶縁性であり、唯一の例外は、下方の前記層の前記コネクタパッドの前記区域である、前記熱電装置の第2の前記層、
- 前記熱電装置の第1の前記層であって、前記検知ユニットの前記熱電接合部のうちの少なくとも一部を形成するトレースと、前記熱電装置の前記第1の層のためのコネクタパッドと、下方の前記層のコネクタパッドとを含み、電気絶縁層が後に続き、前記電気絶縁層は、電気絶縁性であり、唯一の例外は、下方の前記層の前記コネクタパッドの前記区域である、前記熱電装置の第1の前記層、
- 好ましくは、局所的に前記試料側支持領域および前記リファレンス側支持領域上の、パン支持体のための付与する材料
を付与するステップと
を含む、方法。
【請求項11】
パワー補償動作モードにおける、請求項1から9のいずれか一項に記載の検知ユニットの使用であって、以て、
前記試料側加熱器装置および前記リファレンス側電気加熱器装置は、示差熱流信号をゼロに近付けるように制御される手法で通電され、
好ましくは、前記電気加熱器装置を通電するための前記制御される手法は、比例制御器の入力に示差電圧信号を印加することにより実現され、前記比例制御器は、前記加熱器装置に前記比例制御器の出力側からフィードする、検知ユニットの使用。
【請求項12】
熱流束動作モードにおける、請求項1から9のいずれか一項に記載の検知ユニットの使用であって、以て、
前記試料側熱電電圧と前記リファレンス側熱電電圧との間の差である示差熱電電圧が検出される、検知ユニットの使用。
【請求項13】
第1の試料および第2の試料への熱流を同時に決定するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の検知ユニットの使用であって、以て、
a)前記第1の試料は、前記試料側パン支持領域上に配置される前記試料パン内に配置され、
b)前記第2の試料は、前記リファレンス側パン支持領域上に配置される前記リファレンスパン内に配置され、
c)以て、前記第1の試料への前記熱流は、
a.少なくとも前記試料側電圧信号、
b.および好ましくは、前記試料側電気加熱器装置に提供される電力
を使用して決定され、
d)以て、前記第2の試料への前記熱流は、
a.少なくとも前記リファレンス側電圧信号、
b.および好ましくは、前記リファレンス側電気加熱器装置に提供される電力
を使用して決定される、検知ユニットの使用。
【請求項14】
試料の、複素熱容量を説明する少なくとも1つのパラメータ、好ましくは位相角を決定するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の検知ユニットの使用であって、以て、
a)前記試料は、前記試料側パン支持領域上に配置される前記試料パン内に配置され、
b)前記リファレンスパンは、前記リファレンス側パン支持領域上に配置され、
c)加熱電力が、選択される周期的電力変調によって変調される、徐々に変化する、または一定の基線にしたがうように、時間の関数として制御され、
d)前記検知ユニットは、
a.前記試料側電圧信号、
b.前記リファレンス側電圧信号、
c.および好ましくは、前記熱源と関連付けられる温度を表す温度信号
を測定するために使用され、
e)前記試料側電圧信号と、前記リファレンス側電圧信号と、前記温度信号との間の関数関係が、前記複素熱容量を説明する前記少なくとも1つのパラメータを導出するために評価される、検知ユニットの使用。
【請求項15】
試料の温度を測定するための、請求項1から9のいずれか一項に記載の検知ユニットの使用であって、
a)前記検知ユニットを、示差走査熱量計の温度制御される熱源の内側に配置すること、
b)試料を、前記試料側パン支持領域上のパン型の試料パン内に配置すること、
c)前記試料の前記温度を決定するために、前記試料側絶対温度測定装置の信号、ならびに好ましくは、前記試料側熱電電圧、および/または、試料側電気加熱器装置に提供される電力を使用すること
による、検知ユニットの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、示差走査熱量計(DSC)のための、検知ユニット、および、検知ユニットを含むセンサ組立体に関係する。
【背景技術】
【0002】
広く知られている示差走査熱量計は、熱源を含み、その熱源の温度は、あらかじめ決定された温度プログラムによって制御される。センサ組立体は、熱源に対して熱的に結合され、以て、センサ組立体の試料場所およびリファレンス(reference)場所それぞれに熱が伝わるように、試料側およびリファレンス側の流れ経路を確立する。
【0003】
熱流束示差走査熱量計において、測定信号は、熱源と、試料場所およびリファレンス場所それぞれとの間の熱の流れの速度から結果として生じる温度差に対応する。パワー補償示差走査熱量計において、測定信号は、測定されることになる熱流を補償するために必要な電力に対応する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱流束動作モードおよびパワー補償動作モードの両方での動作を可能とする、ならびに、改善された測定特性を有する、示差走査熱量計のためのセンサ組立体の検知ユニットを提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、円板状基板を含む示差走査熱量計のための検知ユニットにより達成される。円板状基板は、上記示差走査熱量計の温度制御される熱源と熱伝導接触している様態で装着されるのに適する。加えて、検知ユニットは、試料側パン支持領域であって、その試料側パン支持領域上で、その試料側パン支持領域と熱伝導接触している様態で、試料パンの下部を受け入れるように適合させられた、試料側パン支持領域と、リファレンス側パン支持領域であって、そのリファレンス側パン支持領域上で、そのリファレンス側パン支持領域と熱伝導接触している様態で、リファレンスパンの下部を受け入れるように適合させられた、リファレンス側パン支持領域とを含む。検知ユニットは、さらに、試料側熱電装置であって、上記試料側熱電装置の2つの端子部分の間に試料側電圧信号を発生させるための、試料側熱電装置と、リファレンス側熱電装置であって、上記リファレンス側熱電装置の2つの端子部分の間にリファレンス側電圧信号を発生させるための、リファレンス側熱電装置とを含む。試料側電圧信号は、試料側測定領域を横切る熱の流れを指示する。リファレンス側電圧信号は、リファレンス側測定領域を横切る熱の流れを指示する。検知ユニットは、さらに、上記試料側パン支持領域の下方の試料側電気加熱器装置と、上記リファレンス側パン支持領域の下方のリファレンス側電気加熱器装置とを含む。
【0006】
好ましくは、検知ユニットは、円板状基板と直角をなす、および、円板状基板の中心点と交差する、平面に関して、熱力学的に対称的な配置をなして形成される。この実施形態において、円板状基板の中心点は、検知ユニットの中心点である。
【0007】
好ましくは、試料側測定領域およびリファレンス側測定領域は、円板状基板の外方周縁領域において配置される。
【0008】
好ましくは、熱電装置は、測定領域内に位置を定められる。
熱源は、試料側および/またはリファレンス側電気加熱器装置と無関係に制御され得る。
【0009】
試料側パン支持領域またはリファレンス側パン支持領域それぞれは、好ましくは、試料パンまたはリファレンスパンそれぞれの下部以上の広がりを有する。
【0010】
試料側およびリファレンス側電気加熱器装置の存在によって、試料およびリファレンスの両方が、同じ体積内に位置を定められ、その体積の温度が、同じ熱源により制御され、その体積が、好ましくは炉である、示差走査熱量計における、パワー補償モードの使用が可能となる。
【0011】
試料側およびリファレンス側電気加熱器装置によって、さらに、検知ユニットを含むセンサ組立体の時間分解能を増大することが可能となる。
【0012】
1つの実施形態において、試料側測定領域は、試料側パン支持領域を包囲し、リファレンス側測定領域は、リファレンス側パン支持領域を包囲する。
【0013】
検知ユニットの異なる「領域」は、検知ユニットに関するそれらの領域の面積および場所により特徴付けられ、検知ユニットの厚さを通って広がる。用語「包囲する」は、重なりを可能とするように、幅広い語意において理解されるべきである。手近な実施形態において、例えば、測定領域は、内方および外方半径を伴う中空円筒の形状を有し得るものであり、パン支持領域は、外方半径を伴う円筒の形状を有し得る。測定領域およびパン支持領域は、同心状に配置され得る。そのような実施形態において、測定領域は、測定領域の外方半径が、測定領域の内方半径と無関係に、パン支持領域の外方半径よりも大でありさえすれば、パン支持領域を包囲する。
【0014】
測定領域がそれぞれのパン支持領域を包囲するので、本発明による検知ユニットは、試料パンの配置、および、リファレンスパンの配置に関して、より大である許容性を有する。それゆえに、パン支持領域を包囲する測定領域、および、電気加熱器装置の組み合わせによって、広い範囲の時間分解能にわたる、格別の堅調な、および繰り返し可能な測定が可能となる。
【0015】
本明細書において使用される際の表現「熱源」は、好ましくは、さらには低熱源を含むように解釈され、そのことによって、本明細書は、示差走査熱量計の、動作の加熱モードに、および、動作の冷却モードにもまた当てはまるということが、まず第1に留意される。さらに、熱源の温度制御は、温度が一定である等温動作、または、温度が、時間の関数としてのあらかじめ決定された温度プログラム、具体的には線形温度傾斜にしたがう、もしくは、特に、加減される線形温度傾斜の形式において揺動している、動的動作を含むことがある。
【0016】
試料側およびリファレンス側それぞれにおける熱流は、流れ経路に沿った温度勾配に比例して、フーリエの法則によるものであり、試料側およびリファレンス側熱電装置それぞれにより発生させられる試料側およびリファレンス側電圧信号は、そうして、熱源と、試料側およびリファレンス側パン支持領域それぞれとの間の熱流を指示する。
【0017】
1つの実施形態において、試料側熱電装置の1つの端子部分が、同じ極性を有する、リファレンス側熱電装置の1つの端子部分と接続される。後記において、使用中に同じ電位にあるこれらの端子部分は、「第1の端子部分」と呼ばれることになる。この実施形態において、試料側とリファレンス側との間の示差熱流の速度を指示する電圧信号である示差電圧信号は、互いと接続されない、試料側およびリファレンス側熱電装置の2つの端子部分の間で入手可能である。後記において、これらの端子部分は、使用中にそれらの端子部分の電位において異なり得るものであるが、「第2の端子部分」と呼ばれることになる。
【0018】
好適な実施形態において、試料およびリファレンス側熱電装置の第1の端子部分は、互いと、および、同じ熱電材料に接続され、一方で、試料およびリファレンス側の熱電接合部は、熱電材料の同じ組み合わせを含む。
【0019】
検知ユニットは、好ましくは、パワー補償動作モードにおいて使用される。この実施形態において、試料側およびリファレンス側電気加熱器装置は、パワー補償動作モードにおいて示差走査熱量計を動作させるように通電される。この動作モードにおいて、通電は、示差熱流信号をゼロに近付けるように制御される。このことは、例えば、比例制御器であって、加熱器装置にその比例制御器の出力側からフィードする、比例制御器の入力に示差電圧信号を印加することにより実現され得る。
【0020】
好ましくは、示差電圧信号は、試料側およびリファレンス側熱電装置の第2の端子部分どうしの間で測定され、一方で、同じ極性を有する、試料側およびリファレンス側熱電装置の第1の端子部分は、互いと接続される。別の実施形態において、示差電圧信号は、とりわけ差を算出することにより、試料側およびリファレンス側電圧信号から導出される。
【0021】
パワー補償モードにおいて、試料側およびリファレンス側電気加熱器装置に提供される電力が、検出され、試料への、または、試料からの熱流を決定するために使用される。好適な実施形態において、示差熱電電圧が、その上検出され、試料への、または、試料からの熱流の決定において考慮される。
【0022】
検知ユニットは、好ましくは、熱流束動作モードにおいて使用される。この実施形態において、試料側熱電電圧とリファレンス側熱電電圧との間の差である示差熱電電圧が検出される。熱流束動作モードにおいて、試料側およびリファレンス側電気加熱器装置は、全く通電されないか、それらの電気加熱器装置は、あらかじめ決定された温度プログラムによって通電されるかのいずれかである。
【0023】
検知ユニットの円板状基板は、好ましくは、好ましくは20mmを超える、好ましくは24mm以上の直径を有する、好ましくは酸化アルミニウムセラミック材料から作製される、円形円板である。
【0024】
好ましくは、円板状基板は、本質的に平らな上側側面を有し、その上側側面上に、検知ユニットの様々な構造要素が、好ましくは、多層厚膜技術を使用することにより設けられる。検知ユニットの構造要素は、少なくとも、試料側およびリファレンス側の両方の、熱電装置および電気加熱器装置である。
【0025】
好ましくは、検知ユニットは、円板状基板上に配置される多層状構造を含む。円板状基板から始まって、多層状構造は、好ましくは、所与の順番における後に続く層:電気加熱器装置の層、絶縁層、熱電装置の第2の層、絶縁層、熱電装置の第1の層、および絶縁層を含む。好ましくは、これらの層は、多層(mulit-layer)厚膜技術を使用して付与される。好ましくは、さらには、絶縁層は、熱電装置の第1の層と第2の層との間の、ならびに、電気加熱器装置の層と、検知ユニットの上部表面上のコネクタパッドとの間の、および、熱電装置(thermoelectric arranngement)の層のうちの少なくとも1つと、検知ユニットの上部表面上のコネクタパッドとの間の、貫通接触接続を確立するための電気伝導材料を含む。
【0026】
本発明の別の態様によれば、上記円板状基板の厚さは、上記試料側およびリファレンス側測定領域それぞれの下方で低減される。好ましくは、厚さは、さらには同様に、試料側およびリファレンス側パン支持領域それぞれの下方で低減される。
【0027】
特に試料側およびリファレンス側測定領域それぞれの下方の厚さ低減は、熱が、円板状基板の上側表面と、その円板状基板の凹んだ下側表面との間に限局される測定経路に沿って、測定領域を横切って流れることを引き起こす。このことは、測定領域において位置を定められる熱電装置による熱の流れのより良好な検出をもたらす。
【0028】
円板状基板と、温度制御される熱源との間の熱伝導接触は、好ましくは、とりわけ、円板状基板の厚さが試料側およびリファレンス側それぞれの測定領域の下方よりも大である区域における、熱源として役立つ炉の上側端部面と、円板状基板との間の係合により確立される。
【0029】
炉および円板状基板の材料を通しての高い熱伝導率に起因して、試料またはリファレンスは、主に、熱流、トラフ、測定領域により加熱される。測定領域を通る熱流は、熱電装置により検出され得る。
【0030】
好適な実施形態において、炉の上側端部面は、例えばガラスセラミックの、0.5W/(mK)から5W/(mK)の間の、好ましくは、1W/(mK)から2W/(mK)の間の熱伝導率を伴う材料の層を含む。そのような層は、検知ユニットを所望されない急速な温度変化から保護し、一方で、その層の伝導性は、同時に、測定領域を通る熱流が、支配的な熱流経路であるということを確実にする。
【0031】
検知ユニット、および、検知ユニットを含むセンサ組立体の総体的な幾何形状は、理想的には、熱が、試料側およびリファレンス側パン支持領域それぞれと、熱源との間で流れるための条件が同一であるように、熱力学的対称性のために構成される。
【0032】
検知ユニットの好適な実施形態において、上記試料側およびリファレンス側熱電装置の各々は、第2の熱電材料と接触している第1の熱電材料により各々が形成される、複数の熱電接合部を含む。熱電装置のいずれのものの熱電接合部も、直列に接続され、それぞれのパン支持領域から相互に異なって間隔を空けられる場所において交互に位置を定められる。
【0033】
このことは、具体的には、上記試料側およびリファレンス側パン支持領域の両方が、外方円形境界を有し、上記異なって間隔を空けられる場所が、内方円上に、および、外方円(outer circe)上に位置を定められるときに実現され得る。内方円は、上記外方円形境界に対して同心状に、および、上記外方円形境界のすぐ近くの近傍において、ならびに、半径方向に上記外方円形境界の外側に位置を定められる。外方円は、内方円に対して同心状に位置を定められる。外方円は、内方円よりも大である半径を有する。内方円上の熱電接合部は、好ましくは、円周方向において等しく間隔を空けられる。同様に、外方円上の熱電接合部は、この実施形態において、円周方向において等しく間隔を空けられる。
【0034】
第1の熱電材料として、好ましくは、金(Au)が使用され、第2の熱電材料として、金パラジウム合金(AuPd)が、好ましくは使用される。熱電装置の所与の層における内方および外方円の各々上の熱電接合部の数は、好ましくは30よりも大であり、具体的には34に等しい。
【0035】
好ましくは常に1つが半径方向に別のものの外側にある様態で、同心円上に接合部の対を配置し、それらの接合部を直列に接続することによって、改善された測定信号が結果として生じる。金および金パラジウム合金を使用する熱電接合部(thermoelectric juction)は、厚膜技術により、信頼性が高い様式において製造され得る。円の各々上に30から34の接合部を配置することによって、信頼性が高い製造が可能となる。
【0036】
接合部の上記直列接続における連続的な接合部が、上記第1および第2の熱電材料それぞれの交互のトレース(trace)により、対をなして相互接続されるということが、さらに好適である。
【0037】
好ましくは、外方円における各熱電接合部は、内方円における熱電接合部のうちの1つに対して、半径方向に外の方に位置を定められる。熱電接合部のこれらの対の各々は、上記第1および第2の熱電材料それぞれのうちの一方の、半径方向に伸長するトレースにより接続される。上記熱電材料のうちの他方のもののトレースは、円周方向に、近接する内方接合部どうしの間の中途まで、次いで、半径方向に外の方に、近接する外方接合部どうしの間の中途まで、および次いで、円周方向に、近接する外方接合部まで、接続を確立する。後者は、直列接続の端子接合部についての事例ではなく、上記第1および第2の熱電材料のトレースは、代わりに、電圧信号を取り出すための端子部分に接続されるように、外方円において端部が開いている。
【0038】
この実施形態は、好適な熱電装置を形成するために必要とされるトレースの長さを最小化し、それゆえに、より信頼性が高い。
好ましくは、測定領域は、内方円と外方円との間の領域である。
好ましくは、上記試料側およびリファレンス側熱電装置の各々は、一方が他方の上の方に配置される少なくとも2つの層であって、それらの層の間に電気絶縁層を伴い、上記直列接続が、上記絶縁層を通して貫通接触される、少なくとも2つの層に分布させられる、それらの熱電装置の熱電接合部を有する。
【0039】
以て、総体的な直列接続における熱電接合部の数は、個々の層の各々における接合部の総和になるように増大され得るものであり、検知ユニットの、およびそれゆえに、検知ユニットを含むセンサ組立体の感度は、よって増大される。
【0040】
好ましくは、熱電接合部の総合的な数は、それゆえに60から68の間である。
好都合な実施形態において、上記試料側およびリファレンス側電気加熱器装置の各々は、上記試料側およびリファレンス側パン支持領域それぞれの中心部分と周辺部分との間で蛇行する抵抗加熱トレースを含む。
【0041】
具体的には、蛇行トレースは、試料側およびリファレンス側パン支持領域それぞれの外方円形境界の中で、ならびに、上記外方円形境界の近傍において、同心状に位置を定められる、外方限界円と、半径方向に、上記外方限界円の内の方に、および、その外方限界円に対して同心状に位置を定められる、内方限界円との間で伸長する。蛇行の方向転換領域、ならびに、外方および内方限界円それぞれは、円の円周方向における相互に等しい距離の位置において接する。この蛇行パターンによって、パン支持領域の均一の加熱が、有利には成し遂げられる。
【0042】
別の好都合な実施形態は、上記試料側およびリファレンス側パン支持領域それぞれの下方の、試料側およびリファレンス側絶対温度測定装置をさらに含む。
【0043】
これらの絶対温度測定装置によって、試料パンおよびリファレンスパンそれぞれのすぐ近くの近傍における絶対温度測定が可能となる。
温度測定は、センサ組立体における熱的抵抗を推定するために使用され得る。
【0044】
試料側およびリファレンス側絶対温度測定装置を含む検知ユニットは、試料の温度を測定するために使用され得る。試料の温度を測定するために、検知ユニットは、示差走査熱量計の温度制御される熱源の内側に配置される。試料は、試料側パン支持領域上のパン型の試料パン内に配置される。試料側絶対温度測定装置の信号が、試料の温度を決定するために使用される。好ましくは、試料側熱電電圧、および/または、試料側電気加熱器装置に提供される電力が、さらには、試料の温度を決定するために使用される。
【0045】
絶対温度測定装置は、試料の非常にすぐ近くの近傍において配置される。それゆえに、絶対温度測定装置により生み出される信号は、とりわけほぼ定常状態の状況において、試料の現実の温度の良好な推定値である。過渡的状況において、試料、熱源、および/または電気加熱器装置により生み出される熱流は、絶対温度測定装置を直接的に加熱または冷却し、試料温度と、絶対温度測定装置により生み出される信号との間の乖離を引き起こし得る。この乖離は、試料側熱電電圧、および/または、試料側電気加熱器装置に提供される電力を考慮することにより補正され得る。
【0046】
好都合な実施形態において、上記試料側およびリファレンス側絶対温度測定装置の各々は、上記試料側およびリファレンス側パン支持領域それぞれを横切る中心軸に関して対称的であるパターンにおいて蛇行する感温抵抗トレースを含む。
【0047】
具体的には、パン支持領域は、円形周縁部を有し、対称の軸が、その円形周縁部の直径を規定する。周縁部の近傍において、および、対称の軸の近傍において、それぞれで位置を定められる方向転換領域どうしの間で伸長する蛇行の脚部は、その対称の軸と直角をなす。抵抗トレースは、実例として、-150℃における20Ωと、700℃における175Ωとの間で変動する抵抗値を有するように寸法を定められ得る。
【0048】
好ましくは、試料側およびリファレンス側絶対温度測定装置は、多層厚膜技術を使用することにより提供される、検知ユニットのさらなる構造要素である。
【0049】
好ましくは、試料側およびリファレンス側絶対温度測定装置は、多層状構造内に含まれる。この実施形態による検知ユニットの多層状構造は、追加的な電気絶縁層と、絶対温度測定装置の層とを含む。絶対温度測定装置の層は、円板状基板の上側側部と、電気加熱器装置の層との間に配置される。追加的な電気絶縁層は、電気加熱器装置の層と、絶対温度測定装置の層との間に配置される。
【0050】
円板状基板から始まって、この実施形態の多層状構造は、好ましくは、所与の順番における後に続く層:絶対温度測定装置の層、絶縁層、電気加熱器装置の層、絶縁層、熱電装置の第2の層、絶縁層、熱電装置の第1の層、および絶縁層を含む。
【0051】
好ましくは、さらには、絶縁層は、熱電装置の第1の層と第2の層との間の、ならびに、電気加熱器装置の層と、検知ユニットの上部表面上のコネクタパッドとの間の、熱電装置の層のうちの少なくとも1つと、検知ユニットの上部表面上のコネクタパッドとの間の、および、絶対温度測定装置の層と、検知ユニットの上部表面との間の、貫通接触接続を確立するための電気伝導材料を含む。
【0052】
さらなる実施形態において、検知ユニットは、パン支持体を含む。パン支持体は、最も上部の電気絶縁層の上部上に、ただし、単に局所的に試料側およびリファレンス側パン支持領域上に付与される薄層である。好適な実施形態において、試料側およびリファレンス側パン支持領域、ならびに/または、試料側もしくはリファレンス側パン支持領域におけるパン支持体の直径は、パンの下部の直径よりもわずかに大である。
【0053】
パン支持体において、および/または、多層状構造の部分においてのいずれかで設けられる、小さいくぼみが、試料側およびリファレンス側パン支持領域の中心点において配置され得る。心出しピンを含むパンとともに、そのようなくぼみは、検知ユニット上のパンの手動配置を手助けし得る。
【0054】
好ましくは、パン支持体は、例えば下敷き構造による原因であり得る、局所的な表面の波打ちについて補償する。パン支持体は、特に平坦な表面を提供し、以て、パンと検知ユニットとの間の低減される熱的接触を可能とする。
【0055】
検知ユニットを製造するための方法は、円板状基板を用意するステップと、円板状基板上に連続的に、以下の層、すなわち:
- 電気加熱器装置の層、
- 電気絶縁層、
- 熱電装置の第2の層、
- 電気絶縁層、
- 熱電装置の第1の層、および、
- 電気絶縁層
を付与するステップとを含む。
【0056】
好ましくは、層は、厚膜技法、とりわけスクリーン印刷技法を使用して付与される。
電気加熱器装置層の層は、電気加熱器装置を形成する伝導トレースと、電気加熱器装置のためのコネクタパッドと、下方の層が存するならば、下方の上記層のコネクタパッドとを含む。
【0057】
電気絶縁層は、電気絶縁性であり、唯一の例外は、その電気絶縁層の下方の層のコネクタパッドの区域である。
熱電装置の第2の層は、検知ユニットの熱電接合部のうちの少なくとも一部を形成するトレースと、熱電装置の第2の層のためのコネクタパッドと、下方の層のコネクタパッドとを含む。
【0058】
熱電装置の第1の層は、検知ユニットの熱電接合部のうちの少なくとも一部を形成するトレースと、熱電装置の第1の層のためのコネクタパッドと、下方の層のコネクタパッドとを含む。
【0059】
好適な実施形態において、絶対温度測定装置の層、および、電気絶縁層が、円板状基板と、電気加熱器装置の層との間に配置される。
【0060】
絶対温度測定装置の層は、絶対温度測定装置を形成する伝導トレースと、その絶対温度測定装置のコネクタパッドとを含む。
【0061】
好適な実施形態において、パン支持体のための材料が、局所的に試料側およびリファレンス側支持領域上に付与される。
【0062】
上記層の付与により検知ユニットを製造することによって、とりわけ、スクリーン印刷などの厚膜技法が使用されるならば、効率的な、および、信頼性が高い製造が可能となる。
【0063】
好適な実施形態において、検知ユニットは、外部配線が接続されるように適合させられた複数のコネクタパッドをさらに含む。
【0064】
好ましくは、コネクタパッドは、検知ユニットの中心点に等しい中心点、ならびに、試料側およびリファレンス側パン支持領域の中心点どうしの間の距離と、外方円のうちの1つの直径との間の差よりも小さい直径を有する、中心円上に位置を定められる。
【0065】
これらのコネクタパッドは、検知ユニットから発される、または、検知ユニットに印加される電気信号と、検知ユニットのための外部回路網との間の電気通信を確立するのに役立つ。
【0066】
具体的には、上記コネクタパッドの第1のものは、上記試料側および上記リファレンス側熱電装置それぞれの端子部分のうちの一方が、その第1のものに一緒に接続され、端子部分の上記接続されるものは、同じ極性を有し、一方で、上記試料側およびリファレンス側熱電装置それぞれの端子部分のうちの他方のものは、上記コネクタパッドの第2および第3のものに別個に接続される。
【0067】
それゆえに、上記試料側およびリファレンス側熱電装置それぞれからの電圧信号どうしの間の差は、上記第2および第3のコネクタパッドの間で入手可能であり、一方で、試料側およびリファレンス側熱電装置からの個々の電圧信号は、第1および第2のコネクタパッドの間、ならびに、第1および第3のコネクタパッドの間それぞれで入手可能である。
【0068】
さらに、好都合には、上記コネクタパッドの第4のものは、上記試料側および上記リファレンス側加熱器装置それぞれの電力供給端子のうちの一方が、その第4のものに一緒に接続され、一方で、上記試料側およびリファレンス側加熱器装置それぞれの電力供給端子のうちの他方のものは、上記コネクタパッドの第5および第6のものに別個に接続される。
【0069】
以て、試料側およびリファレンス側加熱器装置それぞれは、第4および第5のコネクタパッドに、または、第4および第6のコネクタパッドに、それぞれで電力を印加することにより、個々に通電され得る。
【0070】
さらには、好都合には、上記コネクタパッドの第7および第8のものは、上記試料側絶対温度測定装置の上記抵抗トレースの、反対位置関係の端部それぞれに接続される。
【0071】
以て、試料側パン支持領域における絶対温度は、対応する回路網を上記第7および第8のコネクタパッドに接続することにより測定され得る。
【0072】
好都合な実施形態において、リファレンス側において設けられる同様の接続およびパッドはない。この実施形態のリファレンス側絶対温度測定装置は、実際は、単に熱的対称性のために設けられるが、温度測定のためには使用されない。
【0073】
本発明の別の態様によれば、センサ組立体は、検知ユニットと、長手方向軸に沿って伸長する細長い部材とを含む。細長い部材の軸方向端部部分のうちの1つは、電気接触装置を含み、以て、上記示差走査熱量計の相補的に形成される受け口部材と電気接触している様態へと至らせられるように差し込み部材を形成する。上記電気接触装置は、上記検知ユニットの上記コネクタパッドに電気的に接続される。
【0074】
好ましくは、外部配線が、電気接触装置と、上記検知ユニットのコネクタパッドとの間の電気接続を確立する。
【0075】
具体的には、差し込み部材は、インターロッキングおよび/または圧力嵌め様式において受け口部材と接続されることが、以て、特に容易な手法で一度にコネクタパッドのすべてと接触するように構成され得る。好適な実施形態において、電気接触装置は、案内表面を含む先端部分の上の方に位置を定められる。案内表面は、円周方向において非対称的であり、受け口に対する差し込み部材のあらかじめ規定された向きを確実にする。加えて、先端部分は、差し込み部材の挿入中に接触装置を保護する。
【0076】
好ましくは、センサ組立体は、さらに、機械的張力により熱量計内に検知ユニットを固定するために、および、炉と、検知ユニット、好ましくは、その検知ユニットの円板状基板との間の良好に規定された熱的接触を確実にするために使用される緊張ワイヤを含む。緊張ワイヤは、好ましくは、中心円の内側に並んで配置される2つの小さい開口部であるが、輪にされる。緊張ワイヤは、細長い部材を通って進み、細長い部材を、その細長い部材の先端部分において離れ、先が輪になっている。熱量計の定着要素が、この輪と係合し得る。好ましくは、定着要素は、緊張要素にばね力を及ぼし、以て、検知ユニットの円板状基板が、炉の上側端部面上へと一定の力によって押されるということを確実にする。
【0077】
好適な実施形態において、センサ組立体の細長い部材および検知ユニットは、センサ組立体が装着されると、互いに接しない。好ましくは、緊張ワイヤは、検知ユニットと定着要素との間の熱伝達を最小化するために、0.2mm以下の直径を有するように選定される。
【0078】
好ましくは、長手方向軸は、センサ組立体全体についての中心対称軸であり、そのことによって、特に、試料側およびリファレンス側パン支持領域は、軸の両方の側で対称的に位置を定められ、一方で、複数のコネクタパッドは、この軸の付近に中心を定められる円上に位置を定められる。
【0079】
好ましくは、上記細長い部材は、円筒形外方周縁部を有し、上記電気接触装置は、上記長手方向軸に平行に伸長し、円周方向において相互に間隔を空けられ、上記細長い部材内に形成される軸方向に伸長する中空空間内に配置される接続ワイヤにより上記コネクタパッドと接続される、細長い接触ラグを含む。
【0080】
好ましくは、接続ワイヤは、外部配線を形成する。
最後に、検知ユニットの好適な実施形態は、円板状基板の外方周縁部において形成される少なくとも1つの位置決めタブをさらに含む。位置決めタブは、上記熱量計の相補的に形成される場所決め凹部と確動嵌合(positive fit)している様態へと至らせられるように構成される。
【0081】
以て、熱量計の本体に関する検知ユニットの角度向きが、精密に規定される。好ましくは、2つの直径方向に反対位置関係にされた位置決めタブが設けられる。
【0082】
1つの実施形態において、検知ユニットは、第1および第2の試料への熱流を同時に決定するために使用される。以て、第1の試料は、試料側パン支持領域上に配置される試料パン内に配置され、第2の試料は、リファレンス側パン支持領域上に配置されるリファレンスパン内に配置される。第1の試料への熱流は、少なくとも試料側電圧信号を使用して決定される。第2の試料への熱流は、少なくとも、および、リファレンス側電圧信号を使用して決定される。
【0083】
好ましくは、第1の試料への熱流は、加えて、試料側電気加熱器装置に提供される電力を使用して決定される。
好ましくは、第2の試料への熱流は、加えて、リファレンス側電気加熱器装置に提供される電力を使用して決定される。
【0084】
検知ユニットが試料側電圧信号およびリファレンス側電圧信号の両方を決定することが可能であることによって、試料側への、および、試料側からの熱流と、リファレンス側への、および、リファレンス側からの熱流との間で区別することが可能となる。第2の試料をリファレンス側に配置することは、スループットを増大し、とりわけ、大きい数の試料が互いと比較されるべきであるならば有用である。
【0085】
1つの実施形態において、検知ユニットは、試料の、複素熱容量を説明するパラメータのうちの少なくとも1つ、好ましくは、複素熱容量の位相角を決定するために使用される。この実施形態において、試料は、試料側パン支持領域上に配置される試料パン内に配置され、リファレンスパンは、リファレンス側パン支持領域上に配置される。加熱電力が、選択される周期的電力変調によって変調される、徐々に変化する、または一定の基線にしたがうように、時間の関数として制御される。試料側電圧信号、リファレンス側電圧信号、および温度信号が測定される。上記試料側電圧信号と、上記リファレンス側電圧信号と、上記温度信号との間の関数関係が、所望されるパラメータを決定するために評価される。
【0086】
加熱電力の周期的電力変調は、相転移のない、試料への、または、試料からの周期的熱流を引き起こす。交番電流または電圧への構成要素の反応がインピーダンスにより特徴付けられる場合、状況は説明され得るものであり、関数関係は、DC電気回路(DC electic circuit)との類似により導出され得る。複素熱容量は、交番熱流への反応における試料の温度を説明する複素関数である。複素熱容量は、平均温度、および、電力変調の周波数に依存し得る。位相角は、正弦波状の加熱電力変調の反応における、試料への、および、試料からの熱流と、試料の温度との間の、位相における差を説明する。複素熱容量のパラメータは、複素熱容量の実部および虚部、位相角、ならびに絶対値である。
【0087】
好ましくは、リファレンスパンは、空いている。しかしながら、別の実施形態において、熟知リファレンスが、リファレンスパン内に配置される。
【0088】
好ましくは、ここでは、および、あらゆる他の開示される実施形態において、試料パンおよびリファレンスパンは、同じパン型のものであり、それゆえに、同じサイズ、形状、および材料のものである。
【0089】
試料側およびリファレンス側の両方の電圧信号を評価することによって、リファレンス側の検知ユニット構成要素、および、上記パン型のパンの複素熱容量を、試料側の検知ユニット構成要素、および、試料を含む試料パンとは別個に決定することが可能となる。それゆえに、試料の複素熱容量は、検知ユニットおよびパンの影響を差し引くことにより評価され得る。
【0090】
好適な実施形態において、加熱電力の、徐々に変化する、または一定の基線は、熱源により、少なくとも部分的に提供され、一方で、周期的電力変調は、試料側およびリファレンス側電気加熱器装置により提供される。好ましくは、温度信号は、試料側およびリファレンス側絶対温度測定装置により、それらの装置において検出される。試料側電圧信号およびリファレンス側電圧信号は、試料およびリファレンスへの、ならびに、試料およびリファレンスからの熱流を検出する。
【0091】
さらなる特徴、利点、および詳細が、本発明が図面を参照してより詳細に解説されることになる、後に続く説明から結果として生じる。
図面において、次の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【
図1】
図1aは、本発明によるセンサ組立体の例示的な実施形態の斜視全体図である。
図1bは、
図1aにおいて示される実施形態のセンサ組立体の細長の要素の軸方向端部部分により形成される差し込み部材の拡大部分図である。
【
図2】
図2aは、
図1aの実施形態の上面図である。
図2bは、
図2aにおいて示される最上部層の下方の重畳される層を視覚化する、
図2aに対応する図である。
【
図3】
図3aは、
図2aにおいて例示される最上部層の下方に位置を定められる熱電装置の第1の層の上面図である。
図3bは、
図3aにおいて例示される熱電装置の第1の層の下方に位置を定められる熱電装置の第2の層の上面図である。
【
図4】抵抗加熱器を含む、および、
図3bにおいて例示される熱電装置の第2の層の下方に位置を定められる、電気加熱器装置の層の上面図である。
【
図5】
図4において例示される電気加熱器装置の層の下方に据えられる絶対温度測定装置の層の上面図である。
【
図6】
図2から
図5の層平面に対して垂直な平面における、測定領域のうちの1つの概略部分断面図である。
【
図7】
図2から
図5の層平面に対して垂直な平面における、センサ組立体の概略部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0093】
図1aにおいて例示されるように、本発明によるセンサ組立体の実施形態は、センサ組立体が、示差走査熱量計の温度制御される熱源と熱伝導接触している様態で、測定動作のために装着されるときに水平に位置合わせされる、本質的に平面状の上部表面2を有する検知ユニット1を含む。検知ユニット1は、本質的には、円板の円形周縁部4から半径方向に突出する2つの位置決めタブ3を有する円形円板の形状を有する。これらの位置決めタブ3は、炉の管状壁において相補的凹部と確動係合している。炉は、熱量計の熱源を形成する。同時に、円板状基板が凹部に置かれる場合に、試料側およびリファレンス側測定領域を包囲する、検知ユニット1の下部表面の環状域が、熱源の管状炉壁の上側端部面と熱伝導接触している様態で保たれる。
【0094】
図2aにおいて、より詳細に確認され得るように、試料側パン支持領域Sおよびリファレンス側パン支持領域Rのための弧形状の指示部5が、検知ユニット1の上部表面2上に設けられ、上記パン支持領域S、Rは、検知ユニット1の円形周縁部4の中心点に関して、直径方向に、および対称的に位置を定められる。試料側およびリファレンス側パン支持領域S、Rの各々は、それぞれの中心点を伴う円形形状を有する。試料側およびリファレンス側パン支持領域の中心点は、検知ユニット1の中心点を通る直線状の線上に載っており、その検知ユニット1の中心点まで等距離である。それぞれのパン支持領域S、Rの中心点において位置を定められる小さいくぼみ7、8が、検知ユニット1の最上部層内に設けられる。使用者は、パンであって、小さいくぼみ7、8のうちの1つに対応する心出しピンをそれらのパンの下部上に含む、パンを利用し得る。そのようなパンが使用されるならば、くぼみ7、8は、検知ユニット上のパンの正しい配置を手助けする。
【0095】
上部表面2は、薄い電気絶縁層の露出される側であり、その電気絶縁層の反対位置関係の下側表面は、さらなる層の重ね合わせに近接し、それらのさらなる層は、例示の目的のために、それらのさらなる層の構造どうしの間の空間的関係を明示するために、
図2bにおいて半透明のように示される。上記薄い電気絶縁層、および、上記さらなる層が、多層構造を形成する。
【0096】
この多層構造の最も上側の層は、
図3aにおいて示されるような熱電装置の第1の層9であり、
図3bにおいて示される熱電装置の同様の第2の層10が、
図3aの第1の層の下方に、それらの第1の層と第2の層との間の薄い絶縁層を伴って位置を定められる。熱電装置のこれらの第1および第2の層9、10内に、第1の熱電材料12と第2の熱電材料13との間の接触により各々が形成される、複数の熱電接合部11a、11bが、試料側およびリファレンス側パン支持領域S、Rそれぞれの中心点の付近に中心を定められる内方および外方円14、15の対上に位置を定められる。内方および外方円14、15の対の各々において、熱電接合部11a、bは、円周方向において分布させられ、対で(pair-wisely)、内方および外方円14、15の間で半径方向に間隔を空けられる。熱電接合部11a、bは、厚膜技術により付与される第1および第2の熱電材料12、13のトレースの重なる部分として形成される。第1の熱電材料12のトレースは、内方および外方円14、15の、半径方向に対向する熱電接合部11a、bの間で半径方向に伸長し、一方で、第2の熱電材料13のトレースの各々は、内方円14上の接合部11aから、その内方円14の円周方向において、その接合部11aの近隣の熱電接合部11a’への中途まで、および次いで、半径方向に外の方に、外方円15上の対向する熱電接合部11b、11b’の間の中途まで、および、外方円15の周縁部に沿って、外方円15上のそれぞれの近隣の熱電接合部11b’まで伸長する。以て、熱電材料12、13のトレースの配置は、直列に、内方および外方円14、15上に交互に配置される熱電接合部11b、11a、11b’、11a’を形成および接続する。直列接続の第1および第2の端子部分が、検知ユニット1の中心点6に近い領域内で、周縁部で近隣の熱電接合部11bから外の方に伸長する端子トレース18、19により形成される。接続トレース18a、19a、および、1組の貫通接触部20が、熱電装置の第1の層9と第2の層10との間の直列接続を継続するために使用される。
【0097】
試料側およびリファレンス側測定領域の外方円15どうしの間に位置を定められる中心領域内で、複数のコネクタパッド16が、検知ユニット1の中心点6の付近に中心を定められる中心円17上で、等距離で位置を定められる。コネクタパッド16の第1のものは、同じ電気極性のものである、および、熱電素子の第1の層9内にある、試料側およびリファレンス側熱電直列接続からの端子トレース18に一緒に接続され、以て、直列接続全体の中心タブを形成する。第1の層9および第2の層10の両方において、接続トレース18aおよび19aそれぞれは、試料およびリファレンスの両方の側において、熱電材料12、13のそれぞれのトレースから、それぞれの試料またはリファレンス側貫通接触部20に伸長する。試料側およびリファレンス側端子トレース19は、熱電装置の第2の層10内に位置を定められ、それらの端子トレース19は、コネクタパッド16の第2および第3それぞれのものに接続される。
【0098】
熱電素子の第2の層10の下方にあり、電気絶縁層によりその第2の層10から分離されるのが、
図4において例示される電気加熱器装置の層21である。電気加熱器装置の層21は、厚膜技術により形成される抵抗加熱トレース22の対称的に構成される試料側およびリファレンス側パターンを含む。加熱パターンは、リファレンス側および試料側外方加熱円それぞれ、ならびに、試料側およびリファレンス側内方加熱円それぞれの中に限局される。試料側およびリファレンス側外方加熱円の直径は、熱電装置の第1および第2の層9、10内の熱電接合部11aの内方円14の直径に近いが、上記内方円14の上記直径未満である。内方および外方方向転換部分が、円周方向に等距離の点において内方および外方加熱円に接し、一方で、方向転換部分の対応する端部が、本質的に半径方向に伸長する本質的に直線状の部分により接続されるということにおいて、抵抗加熱トレースの各々は、それぞれの内方加熱円と外方加熱円との間で蛇行する。試料側およびリファレンス側パターンの各々において、コネクタパッド16の中心配置に近い外方方向転換部分のうちの1つが、2つの電力供給端子23、24を形成するために分断される。試料側およびリファレンス側電力供給端子のうちの一方23それぞれが、トレース25により、コネクタパッド16の第4のものに一緒に接続され、一方で、他方の試料側およびリファレンス側電力供給端子24は、試料側およびリファレンス側トレース26それぞれにより、上記コネクタパッド16の第5および第6のものに別個に接続される。
【0099】
電気加熱器装置の層21の下方に位置を定められ、電気絶縁層によりその電気加熱器装置の層21から分離されるのが、
図5において例示される絶対温度測定装置の層27である。温度依存抵抗トレースの、同等に構成される試料側およびリファレンス側パターンが、試料側およびリファレンス側パン支持領域それぞれの中心点の付近に形成される。試料側およびリファレンス側パターンそれぞれの各々のトレースは、試料側パン支持領域、リファレンス側パン支持領域、および検知ユニットの中心点を通る直線状の線に関して対称的である構成によって蛇行する。蛇行は、内方および外方方向転換区間29および30それぞれにより、対で接続される、等距離の線形区間28から成立させられる。外方方向転換区間30は、熱電接合部11aの内方円14に沿って伸長し、一方で、内方方向転換区間29は、試料またはリファレンス側パン支持領域それぞれの中心点の付近に中心を定められる、および、部分的に内方加熱円をたどる、近似的に半円形の部分、ならびに、上記半円形部分と合し、試料側パン支持領域、リファレンス側パン支持領域、および検知ユニットの中心点を通る中心線に平行に、その半円形部分から半径方向に外の方に伸長する、2つの線形区間を有する、線に沿って伸長する。中心点6から離れる方に面する、半径方向で最も外方の線形区間28’は、対称の線形線を横切って伸長し、以て、蛇行の最も外方の方向転換区間30’、30”を接続する。中心点6に面する、反対位置関係の最も外方の方向転換区間30a、30bは、試料側の、対応して構成されるトレースにより、コネクタパッド16の第7および第8のものに接続され、一方で、リファレンス側の対応する方向転換区間30a、30bは、最後には行き止まりとなる。
【0100】
層9、10、21、および27の、上の方で説明された重ね合わせは、円板状基板31(
図1a)の上側側部上で形成され、そのことは、各層の試料側パン支持領域、リファレンス側パン支持領域、および検知ユニットの中心点が、上記上側側部に対して垂直であるそれぞれの軸上に位置を定められるように行われる。これらの軸の中で、検知ユニットの中心点を通るものが、検知ユニット1の主対称軸である。試料およびリファレンス側中心点それぞれを通る試料側およびリファレンス側軸は、内方円14の中に位置を定められる、円形試料およびリファレンス側パン支持領域それぞれの対称軸である。試料およびリファレンス側中心点それぞれを通る試料側およびリファレンス側軸は、さらには、内方円14と外方円15との間に位置を定められる、試料側およびリファレンス側測定領域それぞれの対称軸である。
【0101】
図1aおよび
図1bにおいて確認され得るように、細長い部材32が、円板状基板31の下部側部において配置されるが、上記下部側部に直接的には取り付けられない。細長い部材32は、主に円筒形の外方表面を有し、その表面の長手方向軸は、検知ユニット1の対称の中心軸と一致する。検知ユニット1と反対位置関係の、その細長い部材32の軸方向端部部分34は、外方表面33内に形成される円周方向に等距離の凹部内に位置を定められる、軸方向に伸長する接触ラグ35を有する差し込み部材として形成される。最も外方の端部は、正しい角度姿勢における、熱量計の相補的に形成される受け口部材内への導入を手助けするための、軸方向に伸長する平坦な案内表面36を伴って形成される。
【0102】
細長い部材32の中で形成される、軸方向に伸長する中空空間の内側で、検知ユニット1の対応するコネクタパッド16に差し込み部材の接触ラグ35を接続する、接続ワイヤが収容される。多層構造の様々な重ね合わせられた層上のコネクタパッド16の繰り返しのパターンが、貫通接触接続をなすものであるということが留意されるべきである。
【0103】
緊張ワイヤ37が、細長い部材32に検知ユニット1を装着するために、および、熱量計の中の定着場所との軸方向に緊張する係合を可能とするために使用される。緊張ワイヤ37は、検知ユニット1の中心点に近接する2つの小さい開口部6a、bを通して輪にされる。2つの小さい開口部6a、6bは両方が、上へとコネクタパッド16が配置される中心円17の中に配置される。緊張ワイヤ37は、細長い部材32の、軸方向に伸長する中空空間内に収容される。緊張ワイヤ37は、軸方向端部部分34の先端上で、細長い部材32を離れる。例示される実施形態において、緊張ワイヤ37は、輪を形成し、その輪において、熱量計の定着要素が、内で引っ掛かって留まり得る。使用中、定着要素は、炉の上側端部面に対して検知ユニット1を引き、以て、この実施形態においては炉である熱源と、検知ユニット1との間の、一定の、および、信頼性が高い熱的接触を確実にする。
【0104】
図6は、パン支持領域R、Sであって、検知ユニット1の上部表面2に対して垂直の断面における、および、空いているパン38がそれらのパン支持領域R、S上に置かれる、パン支持領域R、Sのうちの1つを概略的に例示する。この実施形態において示される検知ユニット1は、パン支持体41を含むが、絶対温度測定装置27は含まない。パン支持体41は、パン支持領域R、S内に単に局所的に付与される、および、パンの下部と、多層構造の最も上側の電気絶縁層との間の熱的抵抗を低減する、追加的な層である。この高度に概略的な例示において、半径方向に内方および外方の小さい円が、内方および外方円14および15であって、それらの内方円14と外方円15との間の測定領域の半径方向の広がりを規定する、内方および外方円14および15それぞれの熱電接合部11aおよび11bを象徴する。さらに、パン38の下部の下方の抵抗加熱パターン22が、単に高度に概略的な様式において例示される。曲線状の矢印39は、炉からパン38への熱流の経路を視覚化し、一方で、直線状の矢印40は、パン38への、およびさらに、パンの中の任意の試料物質(示されない)への、抵抗加熱トレース22により現実化される、電気加熱器装置からの熱の流れを視覚化する。
【0105】
図7は、検知ユニット1の上部表面2に対して垂直の断面における、緊張ワイヤ37によって接続される検知ユニット1および細長の部材32を含むセンサ組立体を示す。検知ユニット1は、円板状基板31を含み、その円板状基板31は、その円板状基板31の厚さにおいて変動する。その円板状基板31は、試料側およびリファレンス側測定領域の下方、ならびに、試料側およびリファレンス側パン支持領域の下方に、低減された厚さ31bを有し、その円板状基板31は、測定およびパン支持領域の外側に、より大である厚さ31aを有する。抵抗加熱トレース22は、試料側およびリファレンス側パン支持領域の下方に、ならびに、円板状基板31の上の方に配置される。接合部11a、11bを伴う熱電装置は、抵抗加熱トレース22の上の方に、および、測定領域内に配置される。パン支持体41は、熱電装置を含む層の上部上に、ただし、それぞれのパン支持領域内に配置される。
【0106】
検知ユニット1は、試料側およびリファレンス側パン支持領域S、Rを含み、それらの領域の両方は、パン支持体41を備え付けられる。
図7において示される実施形態において、試料パン38aおよびリファレンスパン38bは、それぞれのパン支持体41上に配置される。
【0107】
2つの開口部のうちの1つ6aが、
図7において示される。緊張ワイヤ37、および、細長の部材32の軸方向端部部分34におけるそれぞれの接触ラグ35とコネクタパッド16を接続する接続ワイヤは、細長の部材32の内側を通って進む。緊張ワイヤ37は、先が輪になっており、その輪において、示されない定着要素が、内で引っ掛かって留まり、炉の上側端部の方に検知ユニット1を引き得る。
【0108】
図7は、試料側パン支持領域、リファレンス側パン支持領域、および検知ユニットの中心点を通る直線状の線と直角をなす、検知ユニットの中心点を通過する平面に関するセンサ組立体の対称性を示す。この平面に関する対称性は、コネクタパッド16と、試料およびリファレンスそれぞれの側の構造要素との間の配線における若干の細部により破られるのみである。
【符号の説明】
【0109】
1 検知ユニット
2 上部表面
3 位置決めタブ
4 円形周縁部
5 弧形状の指示部
S、R 試料側、リファレンス側パン支持領域
6 検知ユニットの中心点
6a、b 開口部(緊張ワイヤのための)
7、8 試料側の/リファレンス側の中心点
9 熱電装置の第1の層
10 熱電装置の第2の層
11a、11a’、11b、11b’ 熱電接合部
12 第1の熱電材料
13 第2の熱電材料
14、15 内方/外方円(測定領域)
16 コネクタパッド
17 中心円
18、19 端子トレース
18a、19a 接続トレース
20 貫通接触部(熱電装置の層どうしの間の接続)
21 電気加熱器装置の層
22 抵抗加熱トレース
23、24 電力供給端子
25 トレース
26 トレース
27 絶対温度測定装置の層
28、28’ 線形区間
29 内方方向転換区間
30、30’、30”、30a、30b 外方方向転換区間
31 円板状基板
32 細長い部材
33 外方表面
34 軸方向端部部分
35 接触ラグ
36 案内表面
37 緊張ワイヤ
38 パン
39 曲線状の矢印
40 直線状の矢印
41 パン支持体
【外国語明細書】