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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047597
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20240401BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20240401BHJP
   H01L 21/8249 20060101ALI20240401BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
H01L27/04 V
H01L27/04 B
H01L27/04 P
H01L29/78 614
H01L29/78 618B
H01L27/06 321G
H01L27/06 102A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153174
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 勉
【テーマコード(参考)】
5F038
5F048
5F110
【Fターム(参考)】
5F038AR09
5F038AR16
5F038AR21
5F038AV17
5F038BB05
5F038EZ02
5F048AC01
5F048AC02
5F048AC07
5F048AC10
5F048BA01
5F048BA19
5F048BC12
5F048BF02
5F048BF07
5F048BF12
5F048BF16
5F048BG13
5F110AA06
5F110AA09
5F110CC07
5F110DD05
5F110DD12
5F110DD17
5F110DD25
5F110EE02
5F110EE44
5F110FF02
5F110FF29
5F110GG01
5F110GG43
5F110HK02
5F110HK33
5F110HK42
5F110NN16
5F110NN23
5F110NN71
5F110NN77
5F110QQ19
(57)【要約】
【課題】消費電流を抑制することができ、かつ分圧精度を高めることができる分圧回路の提供。
【解決手段】分圧回路100は、入力電圧を分圧する複数の抵抗素子111~113、131、141、151~159と、複数の抵抗素子111~113、131、151~159に接続され、選択的にオンすることにより複数の抵抗素子111~113、131、141、151~159による分圧電圧を調整する複数のスイッチング素子121~124、161~169と、を備え、複数のスイッチング素子121~124、161~169の少なくともいずれかは、酸化物半導体膜161bを用いた薄膜トランジスタである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を分圧する複数の抵抗素子と、
前記複数の抵抗素子の少なくともいずれかに接続され、選択的にオンすることにより前記複数の抵抗素子による分圧電圧を調整する複数のスイッチング素子と、
を備え、
前記複数のスイッチング素子の少なくともいずれかは、酸化物半導体膜を用いた薄膜トランジスタであることを特徴とする分圧回路。
【請求項2】
前記複数の抵抗素子は、第1の抵抗部、第2の抵抗部、第3の抵抗部及び第4の抵抗部に組み込まれ、
前記第1の抵抗部、前記第2の抵抗部及び前記第3の抵抗部は、直列に接続されて前記入力電圧を分圧し、
前記第4の抵抗部は、前記第2の抵抗部に並列に接続され、組み込まれている前記複数の抵抗素子が直列に接続されている請求項1に記載の分圧回路。
【請求項3】
前記第4の抵抗部は、直列に接続されている前記複数の抵抗素子の各ノードに前記複数のスイッチング素子が接続され、前記複数のスイッチング素子を選択的にオンすることにより分圧電圧を出力する請求項2に記載の分圧回路。
【請求項4】
前記分圧回路は、前記複数の抵抗素子と前記複数のスイッチング素子とを電気的に接続する金属配線を更に有し、
前記抵抗素子は、半導体基板の上に設けられた素子分離絶縁層の上に形成され、
前記金属配線は、前記素子分離絶縁層の上面に設けられた層間絶縁層の上に形成され、
前記薄膜トランジスタは、前記金属配線よりも上層に形成されている請求項1に記載の分圧回路。
【請求項5】
前記薄膜トランジスタは、平面視において前記抵抗素子と少なくとも一部が重なる位置に形成されている請求項4に記載の分圧回路。
【請求項6】
前記抵抗素子と前記薄膜トランジスタとを接続する配線の長さが5μm以下である請求項5に記載の分圧回路。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の分圧回路を有する半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、携帯機器などに使用される二次電池は、過充電又は過放電すると劣化してしまうため、正負の両端子間には電池電圧を監視して電池を保護する半導体装置が接続される場合が多い。このような半導体装置においては、10mV以下程度の検出精度が求められており、個体ごとの電圧検出に係るばらつきを無視できない場合がある。
【0003】
所定の電圧を検出する技術として、基準電圧や被測定電圧を分圧回路により分圧して比較して行うものがあり、その検出精度を高めるために様々な分圧回路が提案されている。
一例として、複数の抵抗素子と複数のスイッチング素子とを組み合せて分圧回路を形成し、複数のスイッチング素子のオンオフ状態の設定により分圧抵抗値のトリミングを行い、電圧検出の精度を高める分圧回路が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05-110370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一つの側面では、消費電流を抑制することができ、かつ分圧精度を高めることができる分圧回路を有する半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態における分圧回路は、
入力電圧を分圧する複数の抵抗素子と、
前記複数の抵抗素子の少なくともいずれかに接続され、選択的にオンすることにより前記複数の抵抗素子による分圧電圧を調整する複数のスイッチング素子と、
を備え、
前記複数のスイッチング素子の少なくともいずれかは、酸化物半導体膜を用いた薄膜トランジスタである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの側面によれば、消費電流を抑制することができ、かつ分圧精度を高めることができる分圧回路を有する半導体装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態における半導体装置が有する分圧回路を示す回路図である。
図2図2は、図1に示した分圧回路を示す概略断面図である。
図3A図3Aは、図2に示した分圧回路の製造方法を示す説明図である。
図3B図3Bは、図2に示した分圧回路の製造方法を示す説明図である。
図3C図3Cは、図2に示した分圧回路の製造方法を示す説明図である。
図4図4は、図1に示した分圧回路に接続されている基準電圧発生回路の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態における半導体装置は、特許文献1に記載されているような分圧回路では、スイッチング素子をMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタにすると、リーク電流により出力である分圧電圧に誤差が生じてしまうという知見に基づくものである。
具体的には、複数の抵抗素子と複数のMOSトランジスタとを組み合せて分圧抵抗値のトリミングができる分圧回路では、ソースやドレインの寄生ダイオードに流れるリーク電流が抵抗素子に流れて電圧降下が発生してしまい、分圧電圧に誤差が生じてしまう。また、分圧電圧の精度向上を目的として抵抗素子による微小なステップの数を増やすと、これに比例してスイッチング素子の数も増えるためリーク電流による誤差が増大してしまい、特にリーク電流が大きくなる高温においては、分圧電圧の精度向上を妨げていた。
【0010】
そこで、本発明の一実施態様では、MOSトランジスタの代わりに酸化物半導体膜を用いた薄膜トランジスタをスイッチング素子とした。酸化物半導体膜を用いた薄膜トランジスタであれば、リーク電流をMOSトランジスタよりも1/1000レベルで極めて小さくすることができるため、消費電流を抑制することができ、かつ分圧精度を高めることができる。特に、高温においても分圧電圧の精度を十分に高めることができ、基準電圧の誤差を小さくして電圧検出の精度を高めることができる。
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための一形態について詳細に説明する。
なお、図面においては、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
また、図面に示すX軸、Y軸及びZ軸は互いに直交するものとする。X軸方向を「幅方向」、Y軸方向を「奥行き方向」、Z軸方向を「高さ方向」又は「厚さ方向」と称する場合がある。各膜の+Z方向側の面を「表面」又は「上面」、-Z方向側の面を「裏面」又は「下面」と称する場合がある。
さらに、図面は模式的なものであり、幅、奥行き及び厚さの比率などは示したとおりではない。複数の膜若しくは層、又はこれらを構造的に組み合わせて得られる半導体素子の数量、位置、形状、構造、大きさなどは、以下に示す実施形態に限定されず、本発明を実施する上で好ましい数量、位置、形状、構造、大きさなどにすることができる。
【0012】
図1は、本実施形態における半導体装置が有する分圧回路を示す回路図である。
図1に示すように、半導体装置10は、基準電圧発生回路VRから出力された基準電圧を分圧回路100で分圧して出力する回路を有する。
分圧回路100は、第1の抵抗部100Aと、第2の抵抗部100Bと、第3の抵抗部100Cと、第4の抵抗部100Dとを備えている。第1の抵抗部100A、第2の抵抗部100B及び第3の抵抗部100Cは、直列に接続されている。第4の抵抗部100Dは、第3の抵抗部100Cに対して並列に接続されている。
【0013】
第1の抵抗部100Aは、直列に接続された抵抗素子111~113と、抵抗素子111~113の各ノードに接続するスイッチング素子としての薄膜トランジスタ121~124とを備えている。この第1の抵抗部100Aは、薄膜トランジスタ121~124を選択的にオンさせることにより、分圧電圧の粗調整を行う。
具体的には、本実施形態では、直列に接続された抵抗素子111~113の抵抗値がそれぞれ8RΩ、4RΩ、2RΩ(Rは任意の抵抗値とする。)である場合を考える。この場合には、4個の薄膜トランジスタ121~124を選択的にオンにすることにより、0Ωから14RΩまでの範囲において第1の抵抗部100Aの合成抵抗値を可変させることができる。たとえば、第1の抵抗部100Aの合成抵抗値は、薄膜トランジスタ121のみをオンにすると14RΩ、薄膜トランジスタ122のみをオンにすると6RΩ、薄膜トランジスタ123のみをオンにすると2RΩ、薄膜トランジスタ124のみをオンにすると0Ωになる。
【0014】
第2の抵抗部100B及び第3の抵抗部100Cは、本実施形態では、抵抗値がそれぞれRΩの抵抗素子131、141である。
【0015】
第4の抵抗部100Dは、直列に接続された抵抗素子151~159と、抵抗素子151~159の各ノードに接続するスイッチング素子としての薄膜トランジスタ161~169とを備えている。この第4の抵抗部100Dは、RΩより低い抵抗値の9個の抵抗素子151~159により、第4の抵抗部100Dでの電位差を微小なステップに分割し、9個の薄膜トランジスタ161~169を選択的にオンにすることにより、分圧電圧を微調整してOUT端子から出力する。
【0016】
この分圧回路100を用いたトリミング方法は、スイッチング素子としての薄膜トランジスタ121~124、161~169を選択的にオンにすることにより分圧回路100の直列抵抗値を徐々に変化させて行う。
【0017】
次に、分圧回路100の構造について説明する。
図2は、図1に示した分圧回路における概略断面図である。図2では、一例として、抵抗素子151及び薄膜トランジスタ161の構造について主に示す。
なお、他の抵抗素子及び他の薄膜トランジスタについては、これらと同様であるため省略する。
【0018】
図2に示すように、抵抗素子151は、半導体基板11の上に設けられた素子分離絶縁層12の表面にポリシリコン膜でそれぞれ形成され、両端がイオンを高濃度に注入された低抵抗部になっている。
【0019】
層間絶縁膜13は、抵抗素子151の上面及び側面を覆うように、半導体基板11及び素子分離絶縁層12の上面全域に形成されている。この層間絶縁膜13は、上面を平坦化されている。
また、抵抗素子151とそれぞれ電気的に接続できるように、層間絶縁膜13にコンタクトホールを開口して複数のプラグP1が形成されている。
【0020】
金属配線180は、層間絶縁膜13の上面にアルミニウム合金で形成されている。この金属配線180は、層間絶縁膜13を貫通するプラグP1を介し、抵抗素子151と電気的に接続されている。
【0021】
層間絶縁膜14は、複数の金属配線180の上面及び側面を覆うように、層間絶縁膜13の上面全域に形成されている。この層間絶縁膜14は、エッチバックやCMP(Chemical Mechanical Polishing)法で平坦化されている。
【0022】
薄膜トランジスタ161は、層間絶縁膜14の上面に形成されており、抵抗素子151の上方に位置する。この薄膜トランジスタ161は、酸化物半導体膜161bを用いた薄膜トランジスタであり、エッチングストッパー膜161cを備えるボトムゲート構造を有する。
酸化物半導体膜161bを用いた薄膜トランジスタ161は、製造時の熱処理の温度を300℃程度に低くすることができるため、その下層に存在するアルミニウム合金(融点660℃程度)の金属配線180を含む各種回路に対し、熱処理の影響を低減できる。これにより、抵抗素子151の上に層間絶縁膜14を介して薄膜トランジスタ161を重ねるように形成することができるため、チップ面積を削減することができる。
【0023】
ゲート電極161aは、層間絶縁膜14の上面に形成されており、層間絶縁膜14の上面全域に形成された絶縁膜15により覆われている。この絶縁膜15は、薄膜トランジスタ161のゲート絶縁膜として機能する。
また、所定の金属配線180と電気的に接続できるように、層間絶縁膜14及び絶縁膜15にコンタクトホールを開口して複数のプラグP2が形成されている。
【0024】
酸化物半導体膜161bは、絶縁膜15を介してゲート電極161aを覆うように形成されている。
酸化物半導体としては、製造時の熱処理により、その下層に存在する金属配線180を含む各種回路に影響を与えにくいものであれば、適宜選択することができる。このような酸化物半導体のうち、薄膜トランジスタ161のオン時とオフ時の電流比を高くできる点及びオン電流を高くかつオフ電流を低くすることができる点から、In-Gz-Zn-O(IGZO)が好ましい。
【0025】
エッチングストッパー膜161cは、シリコン酸化膜であり、酸化物半導体膜161bの最も高い面に形成されている。このエッチングストッパー膜161cは、この上に堆積されたモリブデンをエッチングで分離してドレイン電極161d及びソース電極161eを形成する際にストッパーとしての機能を有する。
【0026】
ドレイン電極161dは、複数のプラグP1、P2及び金属配線180を介して、抵抗素子151の一端に電気的に接続されるように形成されている。
【0027】
パッシベーション膜16は、全域を覆うように形成されている。
【0028】
次に、本実施形態における半導体装置10の製造方法について、図3Aから図3Cを参照しながら説明する。
【0029】
まず、いわゆる基板工程(FEOL:Front End Of the Line)では、図3Aに示すように、半導体基板11の表面にフォトリソグラフィによりSTI(Shallow Trench Isolation)形成処理を行い、半導体基板11の上面に素子分離絶縁層12を形成する。この素子分離絶縁層12の上面に、フォトリソグラフィ及びドライエッチングによりポリシリコン層を形成し、このポリシリコン層に対し所定の抵抗値を実現する濃度になるようにイオン注入を行い、抵抗素子151を形成する。
【0030】
続いて、いわゆる配線工程(BEOL:Back End Of the Line)では、図3Bに示すように、層間絶縁膜13を上面全域に形成して、CMP法により平坦化する。この平坦化した層間絶縁膜13の上面に、フォトリソグラフィ及びドライエッチングによりコンタクトホールを開口してチタンを下地としてタングステンを埋め込み、複数のプラグP1を形成する。これらの複数のプラグP1の上面に、複数の金属配線180をアルミニウム合金でフォトリソグラフィ及びドライエッチングにより形成し、複数のプラグP1を介して抵抗素子151と電気的に接続できるようにする。この金属配線180を形成した後、半導体基板11の表面全域に層間絶縁膜14を形成してCMP法により平坦化する。
【0031】
続いて、図3Cに示すように、平坦化した層間絶縁膜14の上面全域にモリブデンをスパッタ法で堆積させてからフォトリソグラフィによりパターンを形成し、ドライエッチングでゲート電極161aを形成する。ゲート電極161aが形成された層間絶縁膜14の上面に、プラズマCVD法でシリコン酸化膜を全面に堆積させて絶縁膜15を形成する。
【0032】
次に、絶縁膜15の上面の一部に、酸化物半導体膜161bとしてIn-Gz-Zn-Oをスパッタ法で堆積させてから、その上面にプラズマCVD法でシリコン酸化膜を堆積させる。堆積させたシリコン酸化膜を所定の形状にパターニングし、その形状のシリコン酸化膜をマスクとしてIn-Gz-Zn-Oをエッチングする。そのあと、シリコン酸化膜を更にパターニングしてエッチングストッパー膜161cを形成した後、290℃でRTA(Rapid Thermal Anneal)を行う。
【0033】
次に、層間絶縁膜14及び絶縁膜15にコンタクトホールを開口して所定の金属配線180と電気的に接続できるように複数のプラグP2を形成する。そして、モリブデンをスパッタ法で堆積させてから、パターニングによりドレイン電極161d及びソース電極161eを形成した後、270℃でRTAを行う。
【0034】
よって、平坦化した層間絶縁膜14の上面に形成する薄膜トランジスタ161は、300℃程度の低温で形成できるため、融点が660℃程度のアルミニウム合金で形成される金属配線180を含む積層体に熱による影響を及ぼしにくい。
【0035】
図4は、図1に示した分圧回路に接続されている基準電圧発生回路の一例を示す回路図である。
図4に示すように、基準電圧発生回路VRは、バンドギャップリファレンス回路である。この基準電圧発生回路VRは、演算増幅回路A1と、NPN型バイポーラトランジスタQ1、Q2と、抵抗素子R1~R3とを備えている。
【0036】
基準電圧発生回路VRは、演算増幅回路A1の出力端子と接地電位との間に、抵抗素子R3及びNPN型バイポーラトランジスタQ1が直列に接続されている。さらに、基準電圧発生回路VRは、演算増幅回路A1の出力端子と接地電位との間に、抵抗素子R2、抵抗素子R1及びNPN型バイポーラトランジスタQ2が直列に接続されている。NPN型バイポーラトランジスタQ1、Q2は、コレクタとベースが相互に電気的に接続されてダイオード接続されている。演算増幅回路A1は、非反転入力端子が抵抗素子R3とNPN型バイポーラトランジスタQ1とのノードに接続され、反転入力端子が抵抗素子R1と抵抗素子R2とのノードに接続されている。
このように接続することにより、基準電圧発生回路VRは、抵抗素子R1~R3を用いて帰還させた演算増幅回路A1の出力を基準電圧VREFとして出力する。
【0037】
以上説明したように、本発明の一実施形態における分圧回路は、入力電圧を分圧する複数の抵抗素子と、複数の抵抗素子の少なくともいずれかに接続され、選択的にオンすることにより複数の抵抗素子による分圧電圧を調整する複数のスイッチング素子と、を備えている。そして、複数のスイッチング素子の少なくともいずれかは、酸化物半導体膜を用いた薄膜トランジスタである。
これにより、本発明の一実施態様における分圧回路は、リーク電流をMOSトランジスタよりも1/1000レベルで極めて小さくすることができるため、消費電流を抑制することができ、かつ分圧精度を高めることができる。
【0038】
なお、上記の実施態様の半導体装置では、MOSトランジスタから酸化物半導体膜を用いた薄膜トランジスタに全て置き換えたが、少なくともいずれかを置き換えるようにしてもよく、数量が多い第4の抵抗部におけるスイッチング素子のみを置き換えてもよい。
【0039】
また、上記の実施態様の半導体装置は、基準電圧発生回路から出力された基準電圧を分圧回路で分圧して出力する機能を有するものとして説明したが、分圧回路を用いる機能であれば、これに限ることなく適宜選択することができる。
【0040】
さらに、上記の実施形態では基準電圧回路をバンドギャップリファレンス回路として説明したが、これに限ることなく、エンハンス型及びデプレッション型のMOSトランジスタを用いたED型、半導体のバンドギャップを利用したバンドギャップ型などとしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10 半導体装置
11 半導体基板
12 素子分離絶縁層
13、14 層間絶縁膜
100 分圧回路
100A 第1の抵抗部
100B 第2の抵抗部
100C 第3の抵抗部
100D 第4の抵抗部
111~113、131、141、151~159 抵抗素子
121~124、161~169 薄膜トランジスタ(スイッチング素子)
180 金属配線
VR 基準電圧発生回路
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4