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特開2024-4761プラグインアダプタ、アダプタ付きブレーカ、プラグインブレーカ、電気電子機器収納用箱。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004761
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】プラグインアダプタ、アダプタ付きブレーカ、プラグインブレーカ、電気電子機器収納用箱。
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/20 20060101AFI20240110BHJP
   H02B 1/42 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H01H73/20 A
H02B1/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104574
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 淳史
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 樹
(72)【発明者】
【氏名】ワンチャイコカヌトラノン
(72)【発明者】
【氏名】ジャルウィットプラシットポル
【テーマコード(参考)】
5G030
5G211
【Fターム(参考)】
5G030EA00
5G030XX20
5G211AA02
5G211AA11
5G211AA12
5G211AA21
5G211AA25
5G211BB06
5G211BB07
5G211BB11
5G211DD06
5G211DD13
5G211DD17
5G211DD39
5G211EE03
(57)【要約】
【課題】従来とは異なる銅バーとブレーカの配置を可能とすること。
【解決手段】ケーブルを接続可能な接続端子部を有するブレーカ4の接続端子部に接続可能なブレーカ接続部と、銅バーを接続可能なプラグイン端子部12と、を備えるプラグインアダプタ1であって、プラグインアダプタをブレーカに装着した状態において、プラグイン端子部を備える銅バー接続部13を、ブレーカの接続端子部の出線方向と平行に延びる側面と対向するように配置可能とした構成とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーカの接続端子部に接続可能なブレーカ接続部と、銅バーを接続可能なプラグイン端子部と、を備えるプラグインアダプタであって、
プラグインアダプタをブレーカに装着した状態において、
プラグイン端子部を備える銅バー接続部を、ブレーカの接続端子部の出線方向と平行に延びる側面と対向するように配置可能としたプラグインアダプタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプラグインアダプタをブレーカに接続したアダプタ付きブレーカ。
【請求項3】
接続端子部と、銅バーを接続可能なプラグイン端子部と、を備えるプラグインブレーカであって、
プラグイン端子部をブレーカの接続端子部の出線方向と平行に延びる側面側から銅バーと接続可能に設けたプラグインブレーカ。
【請求項4】
請求項2に記載のアダプタ付きブレーカ又は請求項3に記載のプラグインブレーカの少なくとも一方を筐体に収納した電気電子機器収納用箱。
【請求項5】
筐体の少なくとも一つの面に接続端子部に接続可能なケーブルを挿通可能な挿通孔を備え、
少なくとも一つのアダプタ付きブレーカ又は少なくとも一つのプラグインブレーカを、接続端子部の出線方向が挿通孔を備えた面に向かうように配置した請求項4に記載の電気電子機器収納用箱。
【請求項6】
筐体に収納されるブレーカのうち、銅バーに接続される全てのブレーカが、請求項2に記載のアダプタ付きブレーカ又は請求項3に記載のプラグインブレーカの何れかである請求項4に記載の電気電子機器収納用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグインアダプタ、アダプタ付きブレーカ、プラグインブレーカ、電気電子機器収納用箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1や特許文献2に記載されているように、ネジ式のブレーカをプラグイン式に変換するためのプラグインアダプタや、プラグインブレーカなどのプラグイン構造は知られている。ブレーカの一次側に設けられるプラグイン端子は、ブレーカの接続端子部の出線方向側に配置されるものであり、ブレーカを銅バーに接続すると、ブレーカの一次側と銅バーとが接近した状態で位置することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-230134号公報
【特許文献2】特開2006-236690号公報
【0004】
このため、銅バーとブレーカの配置に制約が多く、銅バーとブレーカの効率的な配置が難しい場合があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、従来とは異なる銅バーとブレーカの配置を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、接続端子部に接続可能なブレーカ接続部と、銅バーを接続可能なプラグイン端子部と、を備えるプラグインアダプタであって、プラグインアダプタをブレーカに装着した状態において、プラグイン端子部を備える銅バー接続部を、ブレーカの接続端子部の出線方向と平行に延びる側面と対向するように配置可能としたプラグインアダプタとする。
【0007】
また、このプラグインアダプタをブレーカに接続したアダプタ付きブレーカとすることが好ましい。
【0008】
また、接続端子部と、銅バーを接続可能なプラグイン端子部と、を備えるプラグインブレーカであって、プラグイン端子部をブレーカの接続端子部の出線方向と平行に延びる側面側から銅バーと接続可能に設けたプラグインブレーカとする。
【0009】
また、前記アダプタ付きブレーカ又は前記プラグインブレーカの少なくとも一方を筐体に収納した電気電子機器収納用箱とすることが好ましい。
【0010】
また、筐体の少なくとも一つの面に接続端子部に接続可能なケーブルを挿通可能な挿通孔を備え、少なくとも一つのアダプタ付きブレーカ又は少なくとも一つのプラグインブレーカを、接続端子部の出線方向が挿通孔を備えた面に向かうように配置した構成とすることが好ましい。
【0011】
また、筐体に収納されるブレーカのうち、銅バーに接続される全てのブレーカが、前記アダプタ付きブレーカ又は前記プラグインブレーカの何れかである構成とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、従来とは異なる銅バーとブレーカの配置が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態におけるプラグインアダプタの斜視図である。
図2図1に示すプラグインアダプタとプラグインアダプタが装着されるブレーカの例を正面から見た図である。ただし、接続端子部の出線方向を太矢印で示している。
図3図2に示すプラグインアダプタとブレーカを接続してアダプタ付きブレーカとした状態を示す斜視図である。
図4】プラグインアダプタを反転させてブレーカに装着することができることを示す図である。
図5】実施形態におけるプラグインブレーカの斜視図である。
図6図3に示すアダプタ付きブレーカが組み込まれた電気電子機器収納用箱のブレーカと銅バーの配置例を示す図である。
図7】アダプタ付きブレーカと可動ベースの例を示す斜視図である。
図8図6に示す一部の分岐ブレーカ周りを拡大した図である。
図9】従来のブレーカを分岐ブレーカとして銅バーに接続した場合の二次側配線の例を示した図である。
図10図3に示すアダプタ付きブレーカを分岐ブレーカとして銅バーに接続した場合の二次側配線の例を示した図である。
図11】主幹ブレーカと分岐ブレーカに図3に示すアダプタ付きブレーカを用いた場合の配置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に発明を実施するための形態を示す。図1乃至図3に示されていることから理解されるように、実施形態のプラグインアダプタ1は、ケーブル91を接続可能な接続端子部41を有するブレーカ4の接続端子部41に接続可能なブレーカ接続部11と、銅バー92を接続可能なプラグイン端子部12と、を備えている。また、このプラグインアダプタ1は、プラグインアダプタ1をブレーカ4に装着した状態において、プラグイン端子部12を備える銅バー接続部13を、ブレーカ4の接続端子部41の出線方向と平行に延びる側面と対向するように配置可能としている。このため、従来とは異なる銅バー92とブレーカ4の配置が可能となる。
【0015】
プラグインアダプタ1は接続端子部41を有するブレーカ4に装着することで、銅バー92への接続を容易にすることを可能にするものである。プラグインアダプタ1が接続されるブレーカ4は、通常、両端側のそれぞれにケーブル91やバー部材などを接続可能な接続端子部41を有する。この接続端子部41は、いわゆるネジ式端子のように、ねじを締め付けることで、ケーブル91やバー部材などをブレーカ4に接続するものであっても良いし、いわゆる速結式端子のように、差し込んだケーブル91を挟み込む力により、ケーブル91をブレーカ4に接続するものであっても良い。
【0016】
なお、一般的に、ブレーカ4は正面側にブレーカ4のオンオフの切り替えが可能なハンドル42を備えており、背面側が取付面(可動ベース75など)に接するようにして取り付けられるものである。また、図2に示す例では、ブレーカ4の一端側に複数の接続端子部41を備えるとともに、ブレーカ4の他端側に複数の接続端子部41を備えている。正面視でブレーカ4の一端側と他端側の間に位置するハンドル42を操作すれば、ブレーカ4の一端側にある接続端子部41と他端側にある接続端子部41の間の接続がされた状態と、その接続が解除された状態を切り替えることができる。なお、通常のブレーカ4は、正面視でハンドル42の先端を、ブレーカ4の一端側から他端側に向けて移動させたり、その逆方向に向けて移動させたりすれば、前記状態の切り替えができる。
【0017】
ブレーカ4にプラグインアダプタ1を取り付ける場合、一端側の接続端子部41にプラグインアダプタ1を接続し、他端側はプラグインアダプタ1を接続しないことが多いため、以下においては、そのような例を主に説明するが、ブレーカ4の一端と他端のそれぞれに位置する接続端子部41にプラグインアダプタ1を取り付けることは可能である。
【0018】
プラグインアダプタ1には、ブレーカ4の接続端子部41に接続可能なブレーカ接続部11と、銅バー92を接続可能なプラグイン端子部12と、を備えており、実施形態では、それらが電路により接続されている。実施形態における電路は、プラグイン端子部12とブレーカ接続部11を接続する電線やバー部材などであるが、この電路にセンサを装着することにより、プラグインアダプタ1に通電される電気に関するデータや、プラグインアダプタ1に生じる熱に関するデータを取得するなど、プラグインアダプタ1やその周辺機器に関するデータを取得するようにしてもよい。
【0019】
図3に示すブレーカ接続部11はY字状の圧着端子であるが、ブレーカ接続部11の形状や構造は、このような例に限定されるものではない。プラグインアダプタ1に備えられたブレーカ接続部11は、ブレーカ4の接続端子部41に接続される。より具体的には、略直方体状であるブレーカ4の六つの面のうち、正面と背面以外の四つの面の何れかに隣接する接続端子部41にブレーカ接続部11が接続される。なお、通常のブレーカ4は、この面の反対側に位置する面に隣接する端子部も接続端子部41である。
【0020】
一方、従来から用いられている通常のブレーカ4は、正面と背面以外の四つの面のうち、互いに離れた二つの面だけが接続端子部41の出線方向に位置するものである。残りの二つの面側からはケーブル91やバー部材などの接続は想定されておらず、接続端子部41が並んでいないものであった。例えば、ブレーカ4の中央から見て上方に位置する面側及び下方に位置する面側に接続端子部41などの端子部が並んで配置されるが、例えば、ブレーカ4の中央から見て右方に位置する面側及び左方に位置する面側には端子部が並んで配置されていなかった。なお、通常、接続端子部41を有するブレーカ4を正面に見て短手方向に接続端子部41が並んでおり、長手方向には接続端子部41は並んでいない。
【0021】
実施形態では、このブレーカ4の端子部が並んで配置されていない側に隣接して銅バー92を配置できるように、プラグインアダプタ1のプラグイン端子部12が配置できる構成としている。例えば、ブレーカ4の中央から見て右方に位置する面側又は左方に位置する面側にプラグイン端子部12が配置できる構成としている。もちろん、ブレーカ4の中央から見て右方に位置する面側及び左方に位置する面側にプラグイン端子部12が配置できる構成としてもよい。なお、実施形態では、プラグインアダプタ1が装着されるブレーカ4は、ブレーカ4の正面と背面以外の四つの面のうち、ブレーカ接続部11に隣接する面と、プラグイン端子部12が隣接する面が、略直角をなすように構成されているが、必ずしも、それらが直角をなすようなものでなくても良い。例えば、それらが鋭角や鈍角をなすようなものでも構わない。つまり、ブレーカ4の向きが、銅バー92に対して、水平方向若しくは垂直方向とは異なる向きに配置されてもよい。
【0022】
図1などに示すプラグインアダプタ1は、プラグイン端子部12を備える銅バー接続部13と、銅バー接続部13から突出するように延び、ブレーカ4の接続端子部41と対向配置可能な延設部14を備えている。より具体的には、実施形態の銅バー接続部13はブレーカ4の左右のいずれかに位置する側面に沿って延びることが可能なように構成されている。また、実施形態の延設部14はブレーカ4の上下のいずれかに位置する側面に沿って延びることが可能なように構成されている。なお、この延設部14は、正面視でブレーカ4の接続端子部41の並び方向と略平行に位置することが可能である。
【0023】
プラグインアダプタ1は、少なくとも銅バー接続部13を備えていればよく、延設部14を備えなくても良いが、延設部14も備える構成とすることが好ましい。延設部14の形状は如何なるものであっても構わないが、ブレーカ4に装着した際の正面視で、銅バー接続部13と延設部14により略L字形状が形成される構成であることが好ましい。
【0024】
実施形態の銅バー接続部13は、銅バー接続部13の厚み方向と90度をなすように溝13aが設けられており、この溝13aに銅バー92を差し込むことができる。プラグイン端子部12は、この溝13aに差し込まれた状態で銅バー92と電気的な接続を可能とする。実施形態では、プラグイン端子部12は、溝13aに差し込まれた銅バー92を挟み込むことができるように構成されており、銅バー92の表裏両面と接触することができる。また、実施形態では。銅バー接続部13に設けられた溝13aは銅バー接続部13の端部間を渡るように構成されており、銅バー92の長さに関わらず差し込むことができる。なお、図3に示す例では、直方体状の銅バー接続部13に対してプラグイン端子部12が取り付けられている溝13aが3つ並んだ構成としているが、この数は必ずしも3つである必要はない。ブレーカ4の接続端子部41に合わせた数で構成してもよいし、電流容量を上昇させる場合には、ブレーカ4の接続端子部41の整数倍した数で構成してもよい。
【0025】
延設部14には、ブレーカ接続部11が接続される接続端子部41を覆うことが可能なカバー部14aを備える構成とすることが好ましい。カバー部14aは、接続端子部41を覆った後にブレーカ接続部11と接続端子部41の固定のための作業を可能とするために、工具を差し込み可能な貫通孔14bを備えるようにしても良いし、カバー部14aの一部を開閉可能な構造としても良い。また、延設部14には、ブレーカ4の接点が開放されたときに放出されるアークガスを排気することが可能な排気孔14cを設けることが好ましい。排気孔は、カバー部14aのブレーカ4とは反対側の端部から背面側に延設した面に設けられることで、ブレーカ4の接続端子部41側から放出されたアークガスを排気孔から接続端子部41の方向に排気することが可能となる。
【0026】
ブレーカ4へのプラグインアダプタ1の装着は、どのようになされるものであっても良い。例えば、ネジ等の締結具によりブレーカ4とプラグインアダプタ1を締結するものであってもよいし、プラグインアダプタ1に設けた爪などの係止部を用いて、プラグインアダプタ1をブレーカ4に係止させるものであってもよい。
【0027】
分電盤などで、ブレーカ4を銅バー92よりも左側に配置するか右側に配置するかによって、プラグインアダプタ1におけるプラグイン端子部12とブレーカ接続部11の位置関係が反転する。そこで、プラグインアダプタ1は、銅バー92に対して左側に配置する場合であっても、右側に配置する場合であっても同一のものを使用できるようにすることが好ましい(図4参照)。
【0028】
また、ブレーカ4の接続端子部41に接続されるブレーカ接続部11の位置を変更可能とすることが好ましい。特に、ブレーカ接続部11の位置をブレーカ4の厚み方向に変更可能とすることが好ましい。例えば、ブレーカ接続部11を取り付けるための取付部をブレーカ4の厚み方向に複数設けることでブレーカ接続部11の取り付け位置を変更可能としたり、取り付けられたブレーカ接続部11をブレーカ4の厚み方向に移動可能とする長孔を設けたりする構成とすることが好ましい。
【0029】
ここまでは、プラグインアダプタ1をブレーカ4に接続したアダプタ付きブレーカ5とすることで、従来とは異なる銅バー92とブレーカ4の配置を可能としているが、アダプタを装着しなくてもブレーカ4自体の構成を変更することで、従来とは異なる銅バー92とブレーカ4の配置を可能としてもよい。
【0030】
この場合、接続端子部41と、銅バー92を接続可能なプラグイン端子部12と、を備えるプラグインブレーカ6であって、プラグイン端子部12をブレーカ4の接続端子部41の出線方向と平行に延びる側面側から銅バーと接続可能なように設けたプラグインブレーカ6とすることが好ましい(図5参照)。
【0031】
接続端子部41とプラグイン端子部12を備えたプラグインブレーカ6の場合には、プラグイン端子部12と接続端子部41が電路により電気的に接続される。この電路には、通常、電線やバー部材の他、固定接続子、固定接点、可動接続子、可動接点などが含まれる。図5に示す例では、プラグインブレーカ6の正面と背面以外の四つの面のうち、プラグイン端子部12の出線方向に位置するプラグイン端子部12に隣接する面と、接続端子部41が設けられている面は略直角をなすように構成されているが、必ずしも、それらが直角をなすようなものでなくても良い。例えば、それらが鋭角や鈍角をなすようなものでも構わない。
【0032】
ここで、プラグインアダプタ1をブレーカ4に接続したアダプタ付きブレーカ5やプラグインブレーカ6が収納される電気電子機器収納用箱7について説明をする。電気電子機器収納用箱7は、分電盤、配電盤、制御盤、高圧受電設備など、ブレーカ4等の電気電子機器を収納する箱であるなら如何なるものであってもよい。実施形態における電気電子機器収納用箱7は、筐体71の内部に電気電子機器を取り付けるため、筐体71に取付レール73と、二本の取付レール73間に渡される取付ベース74が設置されている(図6参照)。また、主幹ブレーカから分岐ブレーカへ給電するための銅バー92が積層して設置されている。
【0033】
このような電気電子機器収納用箱7にプラグインブレーカ6やアダプタ付きブレーカ5を収納する方法を例示する。例えば、プラグインブレーカ6やアダプタ付きブレーカ5を、取付ベース74に対して左右方向への移動を可能とする爪部を備えた可動ベース75に取り付ける(図7参照)。プラグインブレーカ6やアダプタ付きブレーカ5を備えた可動ベース75を取付ベース74に載置する。その後、可動ベース75を銅バー92の方向へ移動させることで、プラグイン端子部12を銅バー92にプラグイン接続する(図8参照)。プラグイン接続した後、可動ベース75と取付ベース74をネジ等の締結具により固定すれば、取付ベース74に対してプラグインブレーカ6やアダプタ付きブレーカ5を固定することができる。
【0034】
この例では、プラグインブレーカ6やアダプタ付きブレーカ5を可動ベース75を介して取付ベース74に固定したが、可動ベース75を介さないでプラグインブレーカ6やアダプタ付きブレーカ5を取付ベース74に固定してもよい。この場合、例えば、プラグインブレーカ6やアダプタ付きブレーカ5の底面に爪部などを設け、取付ベース74に対して左右方向への移動を可能とするように構成してもよい。つまり、プラグインブレーカ6の向きが、銅バー92に対して、水平方向若しくは垂直方向とは異なる向きに配置されてもよい。また、ハンドル42からみて接続端子部41とは反対側に、排気口を設ける点については、プラグインアダプタ1をブレーカ4に接続したアダプタ付きブレーカ5と同様である。
【0035】
ここで、本発明のブレーカと従来型のブレーカとを分けて詳しく説明をする。以下の説明で、本発明型ブレーカと呼ぶものは、本発明のプラグインブレーカ6やアダプタ付きブレーカ5であり、従来型ブレーカと呼ぶものは、従来から利用されている、プラグイン端子部12と、接続端子部41がブレーカ4の両端の各々に位置するブレーカ4である。
【0036】
分電盤などの電気電子機器収納用箱7に本発明型ブレーカを収納する場合、本発明型ブレーカのアダプタ付きブレーカ5又は本発明型ブレーカのプラグインブレーカ6の少なくとも一方を筐体71に収納するだけでも、従来とは異なる銅バー92とブレーカ4の配置が可能となる。また、電気電子機器収納用箱7に本発明型ブレーカを収納する場合、一つの電気電子機器収納用箱7の内部に本発明型ブレーカと従来型ブレーカの双方を設けてはいけないというものではない(図6及び図8参照)。例えば、電流容量が大きい(電線サイズが大きい)ブレーカは本発明型ブレーカとし、電流容量が小さい(電線サイズが小さい)ブレーカは従来型ブレーカとするなど、本発明型ブレーカと、従来型ブレーカを使い分け、両者が混在する電気電子機器収納用箱7としてもよい。もちろん、筐体71に収納されるブレーカのうち、銅バー92に接続される全てのブレーカ4が、本発明型ブレーカであるようにしてもよい。
【0037】
次に、ブレーカと銅バー92の位置関係を変えることによる具体的な変化について説明をする。例えば、従来型ブレーカが、銅バー92が上下方向に延びるように設置された電気電子機器収納用箱7に設置された場合、一次側のプラグイン端子部12が銅バー92側、二次側の接続端子部41が筐体71の側面側に向くこととなる(図9参照)。図9に示す例では、二次側の接続端子部41には、負荷機器(電気機器及び別の電気電子機器収納用箱7含む)へ給電するためにケーブル91が接続されるが、接続されたケーブル91を筐体71の下面に設けられた挿通孔72へ導く際に、ケーブル91を大きく曲げる必要があるため、作業性が悪い。また、このケーブル91は、電気電子機器の電流容量等に基づいて、種類や太さ等が選択されるが、太いケーブル91が選択された場合には、ケーブル91を略垂直に大きく曲げることは難しく、曲げるためのスペースを多く確保する必要がある。なお、このような問題は接続されたケーブル91を筐体71の上面に設けられた挿通孔72へ導くような構成である場合も同様に生じうる。
【0038】
つまり、従来型ブレーカが、銅バー92が上下方向に延びるように設置された電気電子機器収納用箱7に設置された場合、二次側の接続端子部41への配線の作業性が悪くなるおそれがある。また、ケーブル91を曲げるために必要なスペースを考慮して、二次側のブレーカ4端部から筐体71の側面までの距離を決定する必要があり、筐体71の左右方向のサイズが大きくなってしまうおそれがある。
【0039】
一方、本発明型ブレーカが、銅バー92が上下方向に延びるように配置された電気電子機器収納用箱7に接続された場合、例えば、一次側のプラグイン端子部12が銅バー92側、二次側の接続端子部41が筐体71の上面側若しくは下面側を向くこととなる(図10参照)。二次側の接続端子部41は、負荷機器へ給電するためにケーブル91が接続されるが、本発明型ブレーカの二次側の接続端子部41を筐体71の挿通孔72(筐体71の上面や下面)が設けられた方向に向けて設置することにより、接続されたケーブル91を筐体71の挿通孔72へ導く際に、ケーブル91を大きく曲げる必要がないため作業性がよい。また、ケーブル91を曲げるためのスペースを多く確保する必要がない。
【0040】
つまり、銅バー92が上下方向に延びるように設置された電気電子機器収納用箱7に設置する場合、本発明型ブレーカを用いると、従来型ブレーカを用いる場合と比べて、二次側の接続端子部41への配線の作業性が良くなりうる。また、銅バー92と筐体71の側面に最も近いブレーカ4の端部(ブレーカ4の側面)までの距離を小さくすることが可能となる。また、ケーブル91を曲げるために必要なスペースを考慮する必要がなく、筐体71の左右方向のサイズを小さくすることができる。
【0041】
このような例から理解されるように、筐体71の少なくとも一つの面にケーブル91を挿通可能な挿通孔72を備え、少なくとも一つのアダプタ付きブレーカ5を、ブレーカ接続部11が固定されていない接続端子部41の出線方向が挿通孔72を備えた面に向かうように配置するか、少なくとも一つのプラグインブレーカ6を、接続端子部41の出線方向が挿通孔72を備えた面に向かうように配置する構成とするのが好ましい。
【0042】
これまでは、分電盤の分岐ブレーカに本発明型ブレーカを用いる場合を説明してきたが、分電盤の主幹ブレーカに本発明型ブレーカを用いてもよい(図11参照)。従来の分電盤では、主幹ブレーカにプラグイン端子部12が設けられておらず、主幹ブレーカと、分岐ブレーカが接続される銅バー92を、別の銅バー92や電線等の接続部材を用いて電気的に接続していたが、本発明型ブレーカを主幹ブレーカとした場合には、分岐ブレーカが接続される銅バー92に主幹ブレーカも接続することができる。このため、接続部材を設ける必要がなくなる。したがって、接続部材の組付作業をなくすことができるとともに、接続部材の分のスペースをなくすことができるため、筐体71のサイズ及び価格を抑制することができる。
【0043】
また、銅バー92が上下方向に延びるように設置された電気電子機器収納用箱7に設置する場合を説明してきたが、電気電子機器収納用箱7内に銅バー92が左右方向に延びるように設置され、銅バーに接続された本発明型ブレーカの接続端子部41の出線方向が左右方向を向くように配置されるものであってもよい。
【0044】
ブレーカの接点が開放されたときに、ブレーカの一次側にアークガスが放出される場合、従来型ブレーカでは、銅バー92の方向に多くのアークガスが放出されるため、銅バー92がアークガスに曝されてしまう。その一方で、本発明型ブレーカでは、銅バー92の方向に放出されるアークガスの量を少なくすることができるため、銅バー92に曝されるアークガスの量を抑制することができる。
【0045】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 プラグインアダプタ
4 ブレーカ
5 アダプタ付きブレーカ
6 プラグインブレーカ
7 電気電子機器収納用箱
11 ブレーカ接続部
12 プラグイン端子部
13 銅バー接続部
41 接続端子部
71 筐体
72 挿通孔
91 ケーブル
92 銅バー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11