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特開2024-47615リフィルボトル及びリフィルボトル用の中栓
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047615
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】リフィルボトル及びリフィルボトル用の中栓
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/06 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
B65D47/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153207
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】591029149
【氏名又は名称】本多プラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104514
【弁理士】
【氏名又は名称】森 泰比古
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】乙津 智代子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 茂樹
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA03
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DC03
3E084EA02
3E084EB02
3E084EC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HB01
3E084HD01
3E084KB01
3E084LA17
3E084LB02
3E084LC01
(57)【要約】
【課題】脱着する際の爪の損傷を防止でき、繰り返しの内容物の詰め替えによっても変形し難い中栓及びリフィルボトルを提供する。
【解決手段】ボトルの首部は段差部を有し、首部における段差部の上側は、首部における段差部の下側よりも細径である。中栓は首部における段差部よりも上側の部分に螺合され、アウターキャップは首部における段差部よりも下側の部分に螺合される。中栓はインナーリングとアウターリングとを備え、インナーリングは首部に内側から接し、アウターリングは首部に外側から螺着される。インナーリングは、アウターリングの下端よりも下方に突出する。インナーリングは、下端から順に細径部、テーパー部、及びストレート部を有し、この順に外径が大きくなる。テーパー部は、途中に屈曲部を有し、屈曲部よりも上の部分における首部の中心軸線に対する傾斜角度が屈曲部よりも下の部分と比較して大きい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部に開口を有するボトルと、中栓と、アウターキャップと、を備えるリフィルボトルであって、以下の構成を備えることを特徴とするリフィルボトル。
(A1)前記ボトルは、前記開口から下方に伸びる円筒状の首部を有し、前記首部は段差部を有し、前記首部における前記段差部の上側は、前記首部における前記段差部の下側よりも細径であること。
(A2)前記中栓は、前記首部における前記段差部よりも上側の部分に、前記ボトルの前記開口を覆うように脱着可能に取り付けられ、前記アウターキャップは、前記首部における前記段差部よりも下側の部分の外周に設けられたネジであるキャップ用ネジに螺合されることにより、前記中栓を覆って前記ボトルに装着されること。
(A3)前記中栓の天板の中央部には吐出口が設けられており、前記アウターキャップの天板下面の中央部には、前記アウターキャップが前記ボトルに装着された状態で前記吐出口を閉鎖する凸部が設けられていること。
(A4)前記首部における前記段差部よりも上側の部分の外周には、前記中栓の脱着用のネジである中栓用ネジが設けられており、前記中栓は、前記中栓用ネジに螺合されることにより前記ボトルに脱着されること。
(B1)前記中栓は、筒状のインナーリングと、前記インナーリングよりも外側に位置する筒状のアウターリングと、を備え、前記インナーリングは、前記ボトルの前記首部に内側から接し、前記アウターリングは、その内周において前記中栓用ネジに螺合する内ネジを有し、前記首部に外側から螺着されること。
(B2)前記インナーリングは、前記アウターリングの下端よりもさらに下方に突出すること。
(B3)前記インナーリングは、上部の所定範囲を外径が一定の部分であるストレート部、下端を外面R取りした部分である細径部として、前記ストレート部と前記細径部との間をテーパー部で連続させた構成であり、前記細径部、前記テーパー部、前記ストレート部の順に外径が大きくなること。
(B4)前記テーパー部は、屈曲部を有し、前記屈曲部よりも上の部分における前記首部の中心軸線に対する傾斜角度が、前記屈曲部よりも下の部分における前記首部の中心軸線に対する傾斜角度よりも大きいこと。
【請求項2】
更に以下の構成をも備える、請求項1に記載のリフィルボトル。
(B5)前記細径部の外径を前記ボトルの前記開口の内径よりも小さくし、前記ストレート部の外径を前記ボトルの前記開口の内径よりも大きくし、前記屈曲部を前記ボトルの前記開口の内径とほぼ同一とすること。
【請求項3】
更に以下の構成をも備える、請求項1又は請求項2に記載のリフィルボトル。
(B6)前記中栓は、前記アウターリングの外周にローレット部を備えること。
(B7)前記ローレット部は、複数の三角形溝の凹部が所定間隔で設けられることにより形成された複数の凸条部を有しており、前記複数の凸条部は、前記首部の中心軸線に沿って伸び、前記首部の中心軸線に垂直な断面形状が台形状であること。
【請求項4】
ボトルと中栓とを備えるリフィルボトルに使用され、以下の(B1)~(B7)の構成を備える、リフィルボトル用の中栓であって、
前記ボトルは、上端部に位置する開口から下方に伸びる円筒状の首部と、前記首部の外周に設けられた前記中栓の脱着用のネジである中栓用ネジと、を有しており、前記中栓は、前記中栓用ネジに螺合されることにより、前記開口を覆うように脱着可能に前記ボトルに取り付けられる、リフィルボトル用の中栓。
(B1)筒状のインナーリングと、前記インナーリングよりも外側に位置する筒状のアウターリングと、を備え、前記インナーリングは、前記ボトルの前記首部に内側から接し、前記アウターリングは、その内周において前記中栓用ネジに螺合する内ネジを有し、前記首部に外側から螺着されること。
(B2)前記インナーリングは、前記アウターリングの下端よりもさらに下方に突出すること。
(B3)前記インナーリングは、上部の所定範囲を外径が一定の部分であるストレート部、下端を外面R取りした部分である細径部として、前記ストレート部と前記細径部との間をテーパー部で連続させた構成であり、前記細径部、前記テーパー部、前記ストレート部の順に外径が大きくなること。
(B4)前記テーパー部は、屈曲部を有し、前記屈曲部よりも上の部分における前記首部の中心軸線に対する傾斜角度が、前記屈曲部よりも下の部分における前記首部の中心軸線に対する傾斜角度よりも大きいこと。
(B5)前記細径部の外径を前記ボトルの前記開口の内径よりも小さくし、前記ストレート部の外径を前記ボトルの前記開口の内径よりも大きくし、前記屈曲部を前記ボトルの前記開口の内径とほぼ同一とすること。
(B6)前記アウターリングの外周にローレット部を備えること。
(B7)前記ローレット部は、複数の三角形溝の凹部が所定間隔で設けられることにより形成された複数の凸条部を有しており、前記複数の凸条部は、前記首部の中心軸線に沿って伸び、前記首部の中心軸線に垂直な断面形状が台形状であること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リフィルボトル及びリフィルボトル用の中栓に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を詰め替え可能な容器(以下、「リフィルボトル」という。)が知られている。特許文献1には、このようなリフィルボトルの一例として、図9A及び図9Bに示す構造のリフィルボトルが開示されている。当該リフィルボトルは、容器本体31と、容器本体31の首部31aに螺着するキャップ32とからなり、容器本体31を、胴部31bの上端部において上下に2分割し、その下側分割部分33(胴部31bのうち、上端部を除いた部分)と上側分割部分34(胴部31bの上端部と首部31aとからなる部分)とを螺着する構造としている。容器本体1内の内容物を詰め替える際は、上記両分割部分33,34を分割した状態で下側分割部分33内に内容物を収容したのち上記両分割部分33,34を螺合する。また、容器本体1内の内容物を首部31aの注出口35から注出する際は、キャップ32を開方向に回転させて首部31aからキャップ32を取り外す。
【0003】
上記リフィルボトルでは、キャップ32を回転させて取り外す際に、下側分割部分33と上側分割部分34とが分割して内容物を外部に流出させてしまうというおそれがあったことから、特許文献1では、図10A及び図10Bに示す構造のリフィルボトルが提案されている。当該リフィルボトルは、容器本体1と、容器本体1の首部12の上端部に位置する開口を覆うように首部12の上部に脱着可能に取り付けられる中栓3と、中栓3を覆うように首部12の下部に螺着されて装着されるキャップ4と、を備え、中栓3は、上方から首部12に押し込まれて首部12の上部に嵌合されることにより取り付けられる(以下、「押し込み嵌合式」ともいう。)。容器本体1内の内容物を詰め替える際は、キャップ4を回転させて首部12から取り外した後、中栓3の外周面に設けられたフランジ19を手指で持って上方に引っ張り上げ、中栓3を首部12から取り外す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5080175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような押し込み嵌合式の中栓3を有する構成のリフィルボトルでは、内容物の詰め替えの際にフランジ19に爪を掛けて引き起こし、上方に引っ張って中栓3を外すため、中栓3を変形させる力が作用し、繰り返しの内容物の詰め替えにより中栓3の変形が進み、次第にリフィルボトルの気密性が低下するという問題や、爪を損傷するという問題があった。
【0006】
本開示の一局面は、脱着する際の爪の損傷を防止でき、繰り返しの内容物の詰め替えによっても変形し難い中栓及びこれを備えたリフィルボトルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、上端部に開口を有するボトルと、中栓と、アウターキャップと、を備えるリフィルボトルであって、以下の構成を備えることを特徴とする。
(A1)前記ボトルは、前記開口から下方に伸びる円筒状の首部を有し、前記首部は段差部を有し、前記首部における前記段差部の上側は、前記首部における前記段差部の下側よりも細径であること。
(A2)前記中栓は、前記首部における前記段差部よりも上側の部分に、前記ボトルの前記開口を覆うように脱着可能に取り付けられ、前記アウターキャップは、前記首部における前記段差部よりも下側の部分の外周に設けられたネジであるキャップ用ネジに螺合されることにより、前記中栓を覆って前記ボトルに装着されること。
(A3)前記中栓の天板の中央部には吐出口が設けられており、前記アウターキャップの天板下面の中央部には、前記アウターキャップが前記ボトルに装着された状態で前記吐出口を閉鎖する凸部が設けられていること。
(A4)前記首部における前記段差部よりも上側の部分の外周には、前記中栓の脱着用のネジである中栓用ネジが設けられており、前記中栓は、前記中栓用ネジに螺合されることにより前記ボトルに脱着されること。
(B1)前記中栓は、筒状のインナーリングと、前記インナーリングよりも外側に位置する筒状のアウターリングと、を備え、前記インナーリングは、前記ボトルの前記首部に内側から接し、前記アウターリングは、その内周において前記中栓用ネジに螺合する内ネジを有し、前記首部に外側から螺着されること。
(B2)前記インナーリングは、前記アウターリングの下端よりもさらに下方に突出すること。
(B3)前記インナーリングは、上部の所定範囲を外径が一定の部分であるストレート部、下端を外面R取りした部分である細径部として、前記ストレート部と前記細径部との間をテーパー部で連続させた構成であり、前記細径部、前記テーパー部、前記ストレート部の順に外径が大きくなること。
(B4)前記テーパー部は、屈曲部を有し、前記屈曲部よりも上の部分における前記首部の中心軸線に対する傾斜角度が、前記屈曲部よりも下の部分における前記首部の中心軸線に対する傾斜角度よりも大きいこと。
【0008】
このような構成によれば、中栓がネジによりボトルに脱着される方式(以下、「ネジ脱着式」ともいう。)とし、「インナーリング」を「アウターリングよりも突出させる」と共に、「上から下に外径を変化」させて「差し込み易く液漏れし難い構造」を実現することができる。さらに、中栓がネジによりボトルに脱着されるため、押し込み嵌合式の中栓と比較して、脱着の際に中栓を変形させる力が作用しにくく、繰り返しの内容物の詰め替えによっても中栓の変形が生じにくい。このため、押し込み嵌合式の中栓を有するリフィルボトルと比較して、繰り返しの内容物の詰め替えによりリフィルボトルの気密性が低下することを低減でき、リフィルボトルをより長く使用することができる。加えて、中栓の脱着において爪を掛ける必要がなく、爪の損傷を防止することができる。
【0009】
特に、「(B5)前記細径部の外径を前記ボトルの前記開口の内径よりも小さくし、前記ストレート部の外径を前記ボトルの前記開口の内径よりも大きくし、前記屈曲部を前記ボトルの前記開口の内径とほぼ同一とすること。」という構成をも採用するとよい。かかる構成をも採用することにより、中栓を被せたときにボトルの首部上端が「屈曲部」辺りに接し、ねじ込み操作によって「屈曲部」から上方へとボトルの首部上端が相対移動し、中栓をねじ込み終わった状態ではストレート部が圧縮力を受けて外径が微妙に小さくなって高い密閉性を発揮する。例えば、1回転半程度の螺合によって密閉性を確保すると共に、ユーザーには「締まった感」を認識させることができる。副次的には、ボトルの首部において、アウターキャップの螺合部分よりも上に位置する中栓の螺合部分の高さを抑えることが可能となり、アウターキャップの大型化を抑制する効果も発揮される。
【0010】
本開示の一態様は、リフィルボトルであって、更に以下の構成を備えてもよい。
(B6)前記中栓は、前記アウターリングの外周にローレット部を備えること。
(B7)前記ローレット部は、複数の三角形溝の凹部が所定間隔で設けられることにより形成された複数の凸条部を有しており、前記複数の凸条部は、前記首部の中心軸線に沿って伸び、前記首部の中心軸線に垂直な断面形状が台形状であること。
【0011】
このような構成によれば、アウターリングの外周に設けられたローレット部により、中栓の脱着操作の際に指がローレット部にフィットし、中栓の脱着操作がしやすくなる。特に、ローレット部が(B7)の構成を備えることにより、歯車状又は鋸刃状の断面形状を有する一般的なローレットと比較して、指の腹がローレット部に当たりやすく、より中栓の脱着操作がしやすくなる。
【0012】
本開示の別の態様は、リフィルボトル用の中栓であって、上述した(B1)~(B7)を備えることを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、操作性に優れると共に爪を損傷することがなく、繰り返しの詰め替えによって変形することのない中栓を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1Aは、リフィルボトルの正面図である。図1Bは、アウターキャップを取り外した状態のリフィルボトルの正面図である。
図2】中栓を取り外した状態のボトル及び中栓の正面図である。
図3図1AのIII-III断面図である。
図4】中栓を斜め上方から見た斜視図である。
図5】中栓を斜め下方から見た斜視図である。
図6図6Aは、中栓の底面図である。図6Bは、図6A中のVIbの部分の部分拡大図である。
図7図7Aは、図6AのVII-VII断面図である。図7Bは、図7A中のVIIbの部分の部分拡大図である。
図8】内キャップ及び外キャップの分解斜視図である。
図9図9Aは、リフィルボトルの第一の従来例を示す分解正面図である。図9Bは、図9Aの従来例を示す分解断面図である。
図10図10Aは、リフィルボトルの第二の従来例を示す断面図である。図10Bは、図10Aの従来例のリフィルボトルからキャップを取り外した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.実施形態]
[1-1.全体構成]
図1A図3に示す様に、リフィルボトル1は、ボトル2と、中栓3と、アウターキャップ4と、を備える。リフィルボトル1とは、内容物を詰め替え可能な容器である。ボトル2は、図2に示す様に、上端部に開口21を有する有底円筒状の形状であり、内部に内容物が収容される。本実施形態では、内容物は液体である。中栓3は、開口21を覆うようにボトル2に脱着可能に取り付けられる。ボトル2内の内容物を詰め替える際は、中栓3を取り外して開口21より詰め替える。
【0016】
本実施形態では、ボトル2及びアウターキャップ4の素材はポリエチレンテレフタレート(PET)であり、中栓3の素材はポリプロピレン(PP)である。
ボトル2は、図2図3に示す様に、開口21から下方に伸びる円筒状の首部22と、首部22の下端に連設された肩部23と、肩部23の下端に連設された円筒状の胴体部24と、胴体部24の下端に連設された底部25と、を備える。首部22は、胴体部24よりも外径が小さく形成されており、首部22下端と胴体部24上端とを繋ぐ肩部23は、首部22側から胴体部24側に向けて外径が拡大する形状をしている。底部25は、胴体部24の下端を塞ぐように形成される。なお、図2及び図3中の一点鎖線は、首部22の中心軸線Xを示す。本実施形態では、首部22と胴体部24とは中心軸線Xを同じにして延びるように形成される。
【0017】
首部22は段差部221を有し、首部22における段差部221の上側は、首部22における段差部221の下側よりも細径である。中栓3は、首部22における段差部221よりも上側の部分に、ボトル2の開口21を覆うように脱着可能に取り付けられる。
【0018】
具体的には、首部22における段差部221よりも上側の部分の外周には、中栓3の脱着用のネジである中栓用ネジ222が設けられており、中栓3は、中栓用ネジ222に螺合されることによりボトル2に脱着される。
【0019】
また、首部22における段差部221よりも下側の部分の外周には、アウターキャップ4の脱着用のネジであるキャップ用ネジ223が設けられており、アウターキャップ4は、キャップ用ネジ223に螺合されることにより、中栓3を覆ってボトル2に装着される。
【0020】
中栓3は、図7Aに示す様に、天板31と、筒状のインナーリング33と、インナーリング33よりも外側に位置する筒状のアウターリング34と、を備える。インナーリング33及びアウターリング34は、天板31の下面において、中心軸線を同じにして下方に伸びるように設けられる。図3に示すように、中栓3をボトル2に取り付けた状態では、首部22における段差部221よりも上側の部分がインナーリング33とアウターリング34との間に挟まれるように位置し、インナーリング33及びアウターリング34の中心軸線は、首部22の中心軸線Xと一致する。なお、図4図5図7A及び図7B中の一点鎖線はインナーリング33及びアウターリング34の中心軸線を示しており、説明の都合上、当該中心軸線を、中栓3をボトル2に取り付けた状態での中心軸線Xとして示している。
【0021】
中栓3の天板31の中央部には、図7Aに示す様に、吐出口32が設けられている。吐出口32は、ボトル2の首部22に中栓3を取り付けた状態で、ボトル2の内部と外部とを連通する部分である。ボトル2内の内容物は、吐出口32から吐出することができる。
【0022】
図3に示す様に、アウターキャップ4は、有天円筒状に形成された部材であり、リフィルボトル1の不使用時に中栓3を覆うようにボトル2の首部22に装着される。アウターキャップ4の天板41下面の中央部には、アウターキャップ4がボトル2に装着された際に中栓3の吐出口32を閉鎖する凸部42が設けられている。
【0023】
より具体的には、アウターキャップ4は、天板41下面から下方に延びる円筒状の側壁43の内周に、ボトル2の首部22のキャップ用ネジ223に螺合するキャップ側ネジ431を備える。本実施形態では、図8に示す様に、アウターキャップ4は、外キャップ44と、外キャップ44に対して嵌合一体化された内キャップ45と、から構成されている。外キャップ44及び内キャップ45はいずれも有天円筒状であり、内キャップ45の天板41下面の中央部に凸部42が設けられており、内キャップ45の側壁43の内周にキャップ側ネジ431が設けられている。外キャップ44及び内キャップ45は嵌合一体化された状態で同一の中心軸線を有し、当該中心軸線は、アウターキャップ4がボトル2に装着された状態では、首部22の中心軸線Xと一致する。なお、外キャップ44は透明であり、内キャップ45は不透明であって、図8中の一点鎖線は外キャップ44及び内キャップ45の中心軸線を示しており、説明の都合上、当該中心軸線を、アウターキャップ4をボトル2に装着した状態での中心軸線Xとして示している。
【0024】
[1-2.中栓の詳細構成]
<インナーリング及びアウターリング>
図3図5及び図7Bに示すように、アウターリング34は、その内周において首部22の中栓用ネジ222に螺合する内ネジ341を有する。本実施形態では、中栓用ネジ222及び内ネジ341は、一条ネジであり、1.5回転(すなわち、540°の回転)で締まるように構成される。
【0025】
図3に示すように、中栓3をボトル2に取り付けた状態で、インナーリング33は、ボトル2の首部22に内側から接し、アウターリング34は、その内周の内ネジ341が首部22の中栓用ネジ222に螺合されることにより、首部22に外側から螺着される。
【0026】
インナーリング33は、アウターリング34の下端よりもさらに下方に突出する。
図5及び図7Bに示すように、インナーリング33は、上部の所定範囲を外径が一定の部分であるストレート部331、下端を外面R取りした部分である細径部332として、ストレート部331と細径部332との間をテーパー部333で連続させた構成であり、細径部332、テーパー部333、ストレート部331の順に外径が大きくなる。具体的には、細径部332は、インナーリング33の下端における外周面がR面取り加工された部分である。インナーリング33は、中栓3をボトル2に取り付けた状態で、少なくともストレート部331の外周面において首部22の内周面に接するように構成される。
【0027】
テーパー部333は、屈曲部334を有し、屈曲部334よりも上の部分における首部22の中心軸線Xに対する傾斜角度が、屈曲部334よりも下の部分における首部22の中心軸線Xに対する傾斜角度よりも大きくなるように構成されている。具体的には、テーパー部333は、その外周面が内側に凹むように屈曲部334において折れ曲がった形状をしており、屈曲部334よりも上の部分の外周面のテーパー角が、屈曲部334よりも下の部分の外周面のテーパー角よりも大きくなるように構成されている。本実施形態では、屈曲部334は、テーパー部333の中央部に設けられており、アウターリング34の下端よりも上方に位置する。具体的には、屈曲部334は、テーパー部333における内ネジ341と対向する部分に位置する。
【0028】
中栓3をボトル2に取り付ける際、中栓3を首部22に被せたときに、インナーリング33とアウターリング34との間に首部22上端が差し込まれ、首部22上端が屈曲部334辺りに接する。その後、首部22の中栓用ネジ222とアウターリング34の内ネジ341とを螺合させるねじ込み操作により、首部22上端が屈曲部334から上方へと相対移動する。テーパー部333は、首部22上端がストレート部331へと相対移動する際のガイドとなり、ねじ込み操作の際の芯合わせの役割を果たす。また、テーパー部333の途中に屈曲部334が設けられることで、屈曲部334まで首部22上端を容易に差し込むことができ、テーパー部333に屈曲部334がない場合と比較して、位置合わせしやすく、ねじ込み操作でネジを回しやすい。
【0029】
本実施形態では、ストレート部331の外径が首部22の内径よりも僅かに大きくなるように構成されている。また、細径部332の外径が首部22の内径よりも小さくなるように構成される。加えて、屈曲部334の外径が首部22の内径とほぼ同一となるように構成されている。首部22上端をストレート部331の上端までねじ込み終わった状態では、ストレート部331は首部22より圧縮力を受けて外径が微妙に小さくなり、首部22の内周面とストレート部331の外周面とが密着する。これにより、リフィルボトル1の密閉性が確保される。
【0030】
細径部332は、小径化されており、かつ外面R取りされているため、中栓3の首部22への差し込みやすさが向上される。また、屈曲部334を備えることにより、中栓3を被せたときにボトル2の首部上端が屈曲部334辺りに接し、ねじ込み操作によって屈曲部334から上方へとボトル2の首部上端が相対移動し、中栓3をねじ込み終わった状態ではストレート部331が圧縮力を受けて外径が微妙に小さくなって高い密閉性を発揮する。この結果、1回転半程度の螺合によって密閉性を確保すると共に、ユーザーには「締まった感」を認識させることができる。副次的には、ボトル2の首部22において、アウターキャップ4の螺合部分よりも上に位置する中栓3の螺合部分の高さを抑えることが可能となり、アウターキャップ4の大型化を抑制する効果も発揮される。
【0031】
<ローレット部>
図4図6Bに示すように、中栓3は、アウターリング34の外周にローレット部35を備える。
ローレット部35は、複数の三角形溝の凹部350が所定間隔で設けられることにより形成された複数の凸条部351を有する。凹部350は、具体的には、首部22の中心軸線Xに沿って伸びる溝であり、図6Bに示すように、首部22の中心軸線Xに垂直な断面形状が三角形状である。複数の凸条部351は、首部22の中心軸線Xに沿って伸び、首部22の中心軸線Xに垂直な断面形状が台形状である。なお、図6Bは中栓3を裏側から見た際の複数の凹部350及び複数の凸条部351を示しているが、複数の凹部350及び複数の凸条部351の首部22の中心軸線Xに垂直な断面形状もこれと同様の形状となる。
【0032】
一般的なローレットの断面形状は、歯車状(台形状の凹凸を繰り返すような断面形状)、又は、鋸刃状(三角形状の凹凸を繰り返すような断面形状)になっている。一方、本実施形態のローレット部35は、上述のように、凸条部351は歯車状、凹部350は鋸刃状になるように構成されているため、一般的なローレットと比較して指の腹がローレット部に当たりやすい。
また、本実施形態では、ローレット部35の溝角度(具体的には、各凹部350における対向する傾斜面のなす角度)は110°である。溝角度をこのように設計することにより、溝角度が110°よりも小さい場合と比較して成型時の離型をスムーズに行うことができ、また、溝角度が110°よりも大きい場合と比較して凸条部351をアウターリング34の外周の周方向に密に配置することができるため、凸条部351の数を増やすことができる。なお、ローレット部35の溝角度は凸条部351の高さ等に応じて変更できる。
【0033】
[1-3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)リフィルボトル1では、ボトル2の首部22は段差部221を有し、首部22における段差部221の上側は、首部22における段差部221の下側よりも細径である。中栓3は、アウターリング34の内周に内ネジ341を有し、内ネジ341が首部22における段差部221よりも上側の部分の外周に設けられた中栓用ネジ222に螺合されることにより、ボトル2に脱着可能に取り付けられる。また、アウターキャップ4は、首部22における段差部221よりも下側の部分の外周に設けられたキャップ用ネジ223に螺合されることにより、中栓3を覆ってボトル2に装着される。
【0034】
このような構成によれば、アウターキャップ4がボトル2の首部22における中栓3よりも下方に螺合する脱着方式であるため、アウターキャップ4の脱着により中栓3が緩むことがない。すなわち、リフィルボトル1では、中栓3及びアウターキャップ4はそれぞれ首部22の上方及び下方に独立して螺合されるため、中栓を介してアウターキャップがボトルの首部に装着されるような構成である従来例のリフィルボトル(図9A及び図9B参照)と比較して、アウターキャップ4の脱着により中栓3が緩むことがない。
【0035】
さらに、中栓3がネジ脱着式であるため、押し込み嵌合式の中栓と比較して、脱着の際に中栓3を変形させる力が作用しにくく、繰り返しの内容物の詰め替えによっても中栓3の変形が生じにくい。このため、押し込み嵌合式の中栓を有するリフィルボトルと比較して、繰り返しの内容物の詰め替えによりリフィルボトル1の気密性が低下することを低減でき、リフィルボトル1をより長く使用することができる。
【0036】
(1b)リフィルボトル1では、中栓3におけるインナーリング33は、アウターリング34の下端よりもさらに下方に突出する。このような構成によれば、中栓3を首部22に差し込む際にインナーリング33の突出した下端がガイドとなり、中栓3をボトル2の首部22に取り付ける際の位置合わせが容易となる。また、インナーリング33の下端は、小径化され、かつ外面R取りされた細径部332であるため、中栓3の首部22への差し込みやすさが向上される。
【0037】
(1c)リフィルボトル1では、中栓3におけるテーパー部333の途中に屈曲部334が設けられ、テーパー部333は、屈曲部334よりも上の部分における首部22の中心軸線Xに対する傾斜角度が、屈曲部334よりも下の部分における首部22の中心軸線Xに対する傾斜角度よりも大きい。このような構成によれば、中栓3をボトル2に取り付ける際に、テーパー部333の外周面がガイドとなって首部22上端が上方へ相対移動することにより、首部22の中栓用ネジ222とアウターリング34の内ネジ341とが螺合される前に自然に芯合わせされ、斜めに螺合されることを抑制できる。このため、中栓用ネジ222及び内ネジ341は、本実施形態の構成のように1.5回転程度でしっかりと螺合可能である。一方、一般的なネジ脱着式の中栓を有するリフィルボトルでは、中栓用ネジ222及び内ネジ341に相当するネジは2~3回転で螺合される。よって、本実施形態の中栓3の構成によれば、一般的なネジ脱着式の中栓を有するリフィルボトルと比較して、中栓3の高さを小さくすることができ、これに伴いアウターキャップ4の大きさも小さくすることができる。これにより、本実施形態のリフィルボトル1は、一般的なネジ脱着式の中栓を有するリフィルボトルと比較して樹脂使用量を低減でき、よりエコな構成とできる。なお、螺合の際にネジの回転が1.5回転よりも少ないとユーザーに「締まった感」を認識させ難いが、本実施形態の中栓3の構成によれば、最低限のネジの長さでユーザーに「締まった感」を認識させることができる。
【0038】
また、本実施形態のリフィルボトル1の構成によれば、屈曲部334まで首部22上端を容易に差し込むことができ、テーパー部333に屈曲部334がない場合と比較して、位置合わせしやすく、上述のねじ込み操作においてネジを回しやすい等、操作性が良い。
【0039】
(1d)リフィルボトル1では、中栓3のアウターリング34の内ネジ341と首部22の中栓用ネジ222とが螺合されて中栓3が首部22に取り付けられるとともに、首部22の内周面とインナーリング33のストレート部331の外周面とが密着する。このような構成によれば、ストレート部331によりリフィルボトル1の密閉性が確保できる。このため、上記(1c)に記載のように樹脂使用量を減らしても操作性がよく、気密性の高いリフィルボトルを提供できる。
【0040】
(1e)中栓3がローレット部35を備えることにより、中栓3の脱着操作の際に指がローレット部35にフィットし、中栓3の脱着操作がしやすくなる。特に、ローレット部35が上述の断面形状を有することにより、一般的なローレットと比較して、指の腹がローレット部35に当たりやすく、また、凸条部351の数を多く設けられる。このため、本実施形態のローレット部35の構成によれば、一般的なローレットと比較して中栓3の脱着操作の際に指がよりフィットしやすくなり、中栓3が固く締まっていた場合でも比較的強い力を入れることなく開けることができる等、中栓3の開閉を楽に行うことができる。
【0041】
(1f)一般的にリフィルボトルは詰め替え口が大きくなりがちであるが、本実施形態のリフィルボトル1は、上述のように中栓3の高さを小さくすることができるため、詰め替え口が大きくなることを低減でき、審美性がよい。
【0042】
(1g)本実施形態のリフィルボトル1では、中栓3の吐出口32がラッパ構造であるため、液切れがよい。
【0043】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0044】
(2a)上記実施形態では、ボトル2の胴体部24は円筒状であるが、ボトルの胴体部の形状はこれに限定されない。例えば、ボトルの胴体部は角筒状であってもよい。また、上記実施形態では、首部22と胴体部24とは中心軸線Xを同じにして延びるように形成されるが、首部の中心軸線と胴体部の中心軸線とが異なる構成でもよい。
【0045】
(2b)上記実施形態では、ボトル2及びアウターキャップ4の素材はポリエチレンテレフタレートであり、中栓3の素材はポリプロピレンであるが、ボトル、中栓及びアウターキャップの素材はこれに限定されない。
【0046】
(2c)上記実施形態では、アウターキャップ4は外キャップ44と内キャップ45とが嵌合一体化された構成であるが、アウターキャップの構成はこれに限定されない。例えば、アウターキャップは一体成型された1つの部材からなる構成であってもよい。
【0047】
(2d)本実施形態では、中栓用ネジ222及び内ネジ341は、一条ネジであり、1.5回転で締まるように構成される。しかし、中栓用ネジ及び内ネジの構成はこれに限定されず、設計を適宜調整することができる。
【0048】
(2e)上記実施形態では、ストレート部331の外径が首部22の内径よりも僅かに大きくなるように構成されているが、ストレート部の外径が首部の内径と同じになるように構成されていてもよい。
【0049】
(2f)上記実施形態では、中栓3はアウターリング34の外周にローレット部35を備えるが、中栓がローレット部を備えない構成であってもよい。
【0050】
(2g)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…リフィルボトル、2…ボトル、3…中栓、4…アウターキャップ、21…開口、22…首部、23…肩部、24…胴体部、25…底部、31…天板、32…吐出口、33…インナーリング、34…アウターリング、35…ローレット部、41…天板、42…凸部、43…側壁、44…外キャップ、45…内キャップ、221…段差部、222…中栓用ネジ、223…キャップ用ネジ、331…ストレート部、332…細径部、333…テーパー部、334…屈曲部、341…内ネジ、351…凸条部、431…キャップ側ネジ、X…首部の中心軸線。
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