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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047619
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】発信機および火災報知システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
G08B17/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153212
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】沼田 悠介
(72)【発明者】
【氏名】山納 正人
【テーマコード(参考)】
5G405
【Fターム(参考)】
5G405AA02
5G405AA06
5G405CA51
5G405FA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】押しボタンが押された発信機を容易に特定する発信機及び火災報知システムを提供する。
【解決手段】発信機10と、非常ベル30と、発信機で押しボタンスイッチが押圧操作されたことを検出若しくは押圧操作されたことを示す信号を受けると非常ベルを鳴動させる受信機20と、を少なくとも有する火災報知システムにおいて、発信機は、音響出力部17と、音響出力部から出力される複数の音響データを記憶する記憶部19と、受信機と発信機との間に敷設される配線に接続される信号入出力部11と、制御部18と、を備える。制御部は、押しボタンが押圧操作されておらず受信機が非常ベルを鳴動させている間は、第1音響データに基づく音響を音響出力部から出力させる一方で、押しボタンの押圧操作に応じて受信機が非常ベルを鳴動させている間は、第2音響データに基づく音響を音響出力部から出力させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押しボタンおよび該押しボタンの押圧操作によってオン、オフされるスイッチを備えた発信機と、地区音響装置と、前記発信機から前記押しボタンが押圧操作されたことを検出もしくは押圧操作されたことを示す信号を受けると前記地区音響装置を鳴動させる受信機と、を少なくとも有する火災報知システムを構成する発信機であって、
音響出力部と、
当該音響出力部から出力される複数の音響データを記憶する音響データ記憶部と、
前記受信機と当該発信機との間に敷設される配線に接続される信号入出力部と、
制御部と
を備え、
前記制御部は、前記押しボタンが押圧操作されておらず前記受信機が前記地区音響装置を鳴動させている間は第1音響データに基づく音響を前記音響出力部から出力させる一方で、前記押しボタンの押圧操作に応じて前記受信機が前記地区音響装置を鳴動させている間は第2音響データに基づく音響を前記音響出力部から出力させる
ことを特徴とした発信機。
【請求項2】
押しボタンおよび該押しボタンの押圧操作によってオン、オフされるスイッチを備えた発信機と、地区音響装置と、前記発信機から前記押しボタンが押圧操作されたことを検出もしくは押圧操作されたことを示す信号を受けると前記地区音響装置を鳴動させる受信機と、を少なくとも含む火災報知システムを構成する発信機であって、
音響出力部と、
当該音響出力部から出力される複数の音響データを記憶する音響データ記憶部と、
前記受信機と当該発信機との間に敷設される配線に接続される信号入出力部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記押しボタンの押圧操作に応じて前記受信機が前記地区音響装置を鳴動させている間は第2音響データに基づく音響を前記音響出力部から出力させ、前記受信機が前記地区音響装置の鳴動を停止させた後は前記第2音響データに基づく音響に替えて第3音響データに基づく音響を前記音響出力部から出力させる
ことを特徴とした発信機。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2音響データに基づく音響を前記地区音響装置の音量と同等の音量で前記音響出力部から出力させ、前記第3音響データに基づく音響を前記第2音響データに基づく音響よりも小さな音量で前記音響出力部から出力させる
ことを特徴とした請求項2に記載の発信機。
【請求項4】
前記第2音響データに基づく音響は聞く者に危機感あるいは緊迫感を与える音響であり、前記第3音響データに基づく音響は聞く者に安心感を付与あるいは平穏を感じさせる音響であることを特徴とした請求項2または3に記載の発信機。
【請求項5】
押しボタンおよび該押しボタンの押圧操作によってオン、オフされるスイッチを備えた発信機と、地区音響装置と、複数の火災感知器と、前記発信機の前記押しボタンが押圧操作されたことを検出もしくは押圧操作されたことを示す信号または前記火災感知器から火災検知信号を受けると前記地区音響装置を鳴動させる受信機と、を少なくとも含む火災報知システムであって、
前記発信機は、
音響出力部と、
当該音響出力部から出力される複数の音響データを記憶する音響データ記憶部と、
前記受信機と当該発信機との間に敷設される配線に接続される信号入出力部と、
制御部と、
を備え、
前記受信機は、
前記発信機が前記押しボタンの押圧操作されたことを検出もしくは押圧操作されたことを示す信号を受信する手段と、前記地区音響装置の鳴動を停止させる鳴動停止操作手段とを備え、
前記発信機の前記押しボタンが押圧操作されると前記地区音響装置を鳴動させる信号または電源を出力し、前記鳴動停止操作手段が操作されると前記地区音響装置を鳴動させる信号または電源の出力を停止し、
前記発信機の前記制御部は、前記受信機が前記地区音響装置を鳴動させている間は第1音響データまたは第2音響データに基づく音響を前記音響出力部から出力させ、
前記受信機が前記地区音響装置の鳴動を停止させた後は、当該発信機の前記押しボタンが押圧操作されていた場合には前記第2音響データに基づく音響に替えて第3音響データに基づく音響を前記音響出力部から出力させる一方、当該発信機の前記押しボタンの押圧操作されなかった場合には前記第1音響データに基づく音響の出力を停止させる
ことを特徴とした火災報知システム。
【請求項6】
押しボタンおよび該押しボタンの押圧操作によってオン、オフされるスイッチを備えた発信機と、地区音響装置と、複数の火災感知器と、前記発信機から前記押しボタンが押圧操作されたことを示す信号または前記火災感知器から火災検知信号を受けると前記地区音響装置を鳴動させる受信機と、を少なくとも含む火災報知システムであって、
前記発信機は、
音響出力部と、
前記受信機と当該発信機との間に敷設される配線に接続される信号入出力部と、
制御部と、
を備え、
前記受信機は、
当該音響出力部から出力される複数の音響データを記憶する音響データ記憶部と、
前記発信機が前記押しボタンの押圧操作されたことを示す信号を受信する手段と、前記地区音響装置の鳴動を停止させる鳴動停止操作手段とを備え、
前記発信機の前記押しボタンが押圧操作されると、前記地区音響装置を鳴動させる信号および第1音響データまたは第2音響データを前記発信機へ送信して、前記第1音響データまたは第2音響データに基づく音響を前記音響出力部から出力させ、
前記鳴動停止操作手段が操作されると前記地区音響装置の鳴動を停止させる信号を送信するとともに、前記押しボタンが押圧操作された前記発信機へ第3音響データを送信して、前記第2音響データに替えて前記第3音響データに基づく音響を前記音響出力部から出力させる一方、前記押しボタンが押圧操作されなかった前記発信機の前記制御部は、前記音響出力部から前記第1音響データに基づく音響の出力を停止する
ことを特徴とした火災報知システム。
【請求項7】
前記受信機は、前記押しボタンの押圧操作がなされてから所定時間経過しても前記複数の火災感知器のいずれもが火災の発生を検知していない場合には、前記地区音響装置および前記発信機の鳴動を停止させることを特徴とした請求項5または6に記載の火災報知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急報知用の発信機および火災報知システムに関し、特にP型火災報知システムを構成する発信機において、いたずらや誤って押しボタンが押圧操作された場合に容易に操作された発信機を特定することを可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
建物内部には火災の発生を知らせるために、火災報知システムが設けられている。火災報知システムは、火災感知器や押しボタン式スイッチを備えた手動の火災報知用の発信機、発信機からの信号を受信する火災受信機、火災報知用のベル、発信機の位置を知らせる表示灯などから構成され、このうち火災報知用の発信機は建物の廊下等の壁面に適切な高さで設置されている。火災発生時に、発見者が火災報知用の発信機の押しボタンを強く押すことにより、内蔵スイッチがオンされて火災発生を知らせる信号が火災受信機に伝送されると共に、発信機の近傍に設けられるベルから警報音が発せられて、周囲の人に対し火災発生を知らせることができる。
【0003】
なお、P型の火災報知システムは、例えばビルのフロアのような区分けされた複数のエリアそれぞれに対応して敷設されている感知器回線ごとに火災発生を感知する仕様となっており、火災受信機(以下、単に受信機と記す)は、エリア内の複数の感知器のうち火災発生を感知した感知器を特定する情報を取得することができない。同様に、P型の火災報知システムにおいては、同一の感知器回線に複数の発信機が接続されている場合、押しボタンが押された発信機を特定することができない。
【0004】
ところで、不特定多数の人が出入りする公共施設や学校に設けられている火災報知システムでは、いたずらや過失により発信機の押しボタンが押され、非火災通報(誤報)が発生する可能性がある。
そこで、感知器回線ごとに発報した火災感知器の数や発信機の操作の有無に応じて回線に流れる電流を異ならせるとともに電流量を判別する仕組みおよびタイマーを導入して、誤って発信機の押しボタンが押されても直ちに火災発生を知らせる音響を出力しないことで、状況に応じた報知が可能なP型火災報知システムに関する発明が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-185189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている火災報知システムにおいては、誤って発信機の押しボタンが押されたことを判別することができるものの、同一回線に複数の発信機が接続されていると、いずれの発信機の押しボタンが押されたかの判別は困難である。また、システムを常態に戻すための復旧作業を行うには、防災担当者が発報のあったエリア内の発信機の設置個所へ実際に赴いて確認を行い、受信機のある防災センタ等に待機している管理者へ連絡を行う必要がある。しかし、同一エリア内に複数の発信機があると、押しボタンが押された発信機が分からず、受信機にある音響停止ボタンを操作して音響出力装置の鳴動を停止するまでに時間がかかってしまう。
さらに、従来の発信機は鳴動機能を有していないため、監視エリアの構造や防災機器の配置を熟知していないと、発信機の設置位置が分からず、いたずらや誤操作であった場合に、受信機の復旧ボタンを操作して常態に戻すまでの時間が長くなるという課題がある。
【0007】
本発明は上記のような課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、構造上見通しが十分とは言えないエリアに複数の音響出力装置が設置されている場合に、押しボタンが押された発信機を容易に特定することができる発信機を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、いたずらや誤操作により発信機の押しボタンが押されたとしても、速やかに常態に戻すことができる火災報知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、
押しボタンおよび該押しボタンの押圧操作によってオン、オフされるスイッチを備えた発信機と、地区音響装置と、前記発信機から前記押しボタンが押圧操作されたことを検出もしくは押圧操作されたことを示す信号を受けると前記地区音響装置を鳴動させる受信機と、を少なくとも有する火災報知システムを構成する発信機であって、
音響出力部と、
当該音響出力部から出力される複数の音響データを記憶する音響データ記憶部と、
前記受信機と当該発信機との間に敷設される配線に接続される信号入出力部と、
制御部と
を備え、
前記制御部は、前記押しボタンが押圧操作されておらず前記受信機が前記地区音響装置を鳴動させている間は第1音響データに基づく音響を前記音響出力部から出力させる一方で、前記押しボタンの押圧操作に応じて前記受信機が前記地区音響装置を鳴動させている間は第2音響データに基づく音響を前記音響出力部から出力させるように構成したものである。
【0009】
上記のような構成によれば、いずれかの発信機の押しボタンが操作された場合に、押しボタンが操作された発信機と押しボタンが操作されていない発信機とがそれぞれ異なる音響で鳴動するため、押しボタンが押された発信機を容易に特定することができる。そのため、押しボタンが押された発信機を見つけて、いたずらや誤操作により発信機の押しボタンが操作されたのか否か速やかに確認することができる。
【0010】
また、本出願の他の発明は、
押しボタンおよび該押しボタンの押圧操作によってオン、オフされるスイッチを備えた発信機と、地区音響装置と、前記発信機から前記押しボタンが押圧操作されたことを検出もしくは押圧操作されたことを示す信号を受けると前記地区音響装置を鳴動させる受信機と、を少なくとも含む火災報知システムを構成する発信機であって、
音響出力部と、
当該音響出力部から出力される複数の音響データを記憶する音響データ記憶部と、
前記受信機と当該発信機との間に敷設される配線に接続される信号入出力部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記押しボタンの押圧操作に応じて前記受信機が前記地区音響装置を鳴動させている間は第2音響データに基づく音響を前記音響出力部から出力させ、前記受信機が前記地区音響装置の鳴動を停止させた後は前記第2音響データに基づく音響に替えて第3音響データに基づく音響を前記音響出力部から出力させるように構成した。
【0011】
上記のような構成によれば、受信機によって地区音響装置の鳴動が停止されると、押しボタンが操作された発信機の音響出力部が出力する音響が切り替わるため、いたずらや誤操作により発信機の押しボタンが押されたとしても、その発信機を容易に見つけて速やかに常態に戻すことができる。さらに、火災の発見者が発信機の押しボタンを操作した場合、その発信機は一般に火災発生場所の近傍であると考えられるため、押しボタンが押された発信機を容易に特定できることで、速やかに初期消火を開始することが可能になる。
【0012】
ここで、望ましくは、前記制御部は、前記第2音響データに基づく音響を前記地区音響装置の音量と同等の音量で前記音響出力部から出力させ、前記第3音響データに基づく音響を前記第2音響データに基づく音響よりも小さな音量で前記音響出力部から出力させるように構成する。
かかる構成によれば、音響出力装置が火災発生を知らせる大音響を長い時間にわたって出力し続けるのを回避することができる。
【0013】
また、望ましくは、前記第2音響データに基づく音響は聞く者に危機感あるいは緊迫感を与える音響であり、前記第3音響データに基づく音響は聞く者に安心感を付与あるいは音響や平穏を感じさせる音響であるように構成する。
かかる構成によれば、いたずらや誤操作により発信機の押しボタンが押されたことが確認されると、押しボタンが操作された発信機の音響出力部が出力する音響が安心感を付与あるいは平穏を感じさせる音響に替わるため火災の発生がなかったことを認識させることが可能となる。
【0014】
また、本出願の他の発明は、
押しボタンおよび該押しボタンの押圧操作によってオン、オフされるスイッチを備えた発信機と、地区音響装置と、複数の火災感知器と、前記発信機の前記押しボタンが押圧操作されたことを検出もしくは押圧操作されたことを示す信号または前記火災感知器から火災検知信号を受けると前記地区音響装置を鳴動させる受信機と、を少なくとも含む火災報知システムであって、
前記発信機は、
音響出力部と、
当該音響出力部から出力される複数の音響データを記憶する音響データ記憶部と、
前記受信機と当該発信機との間に敷設される配線に接続される信号入出力部と、
制御部と、
を備え、
前記受信機は、
前記発信機が前記押しボタンの押圧操作されたことを検出もしくは押圧操作されたことを示す信号を受信する手段と、前記地区音響装置の鳴動を停止させる鳴動停止操作手段とを備え、
前記発信機の前記押しボタンが押圧操作されると前記地区音響装置を鳴動させる信号または電源を出力し、前記鳴動停止操作手段が操作されると前記地区音響装置を鳴動させる信号または電源の出力を停止し、
前記発信機の前記制御部は、前記受信機が前記地区音響装置を鳴動させている間は第1音響データまたは第2音響データに基づく音響を前記音響出力部から出力させ、
前記受信機が前記地区音響装置の鳴動を停止させた後は、当該発信機の前記押しボタンが押圧操作されていた場合には前記第2音響データに基づく音響に替えて第3音響データに基づく音響を前記音響出力部から出力させる一方、当該発信機の前記押しボタンの押圧操作されなかった場合には前記第1音響データに基づく音響の出力を停止させるように構成したものである。
【0015】
あるいは、押しボタンおよび該押しボタンの押圧操作によってオン、オフされるスイッチを備えた発信機と、地区音響装置と、複数の火災感知器と、前記発信機から前記押しボタンが押圧操作されたことを示す信号または前記火災感知器から火災検知信号を受けると前記地区音響装置を鳴動させる受信機と、を少なくとも含む火災報知システムであって、
前記発信機は、
音響出力部と、
前記受信機と当該発信機との間に敷設される配線に接続される信号入出力部と、
制御部と、
を備え、
前記受信機は、
当該音響出力部から出力される複数の音響データを記憶する音響データ記憶部と、
前記発信機が前記押しボタンの押圧操作されたことを示す信号を受信する手段と、前記地区音響装置の鳴動を停止させる鳴動停止操作手段とを備え、
前記発信機の前記押しボタンが押圧操作されると、前記地区音響装置を鳴動させる信号および第1音響データまたは第2音響データを前記発信機へ送信して、前記第1音響データまたは第2音響データに基づく音響を前記音響出力部から出力させ、
前記鳴動停止操作手段が操作されると前記地区音響装置の鳴動を停止させる信号を送信するとともに、前記押しボタンが押圧操作された前記発信機へ第3音響データを送信して、前記第2音響データに替えて前記第3音響データに基づく音響を前記音響出力部から出力させる一方、前記押しボタンが押圧操作されなかった前記発信機の前記制御部は、前記音響出力部から前記第1音響データに基づく音響の出力を停止するように構成する。
【0016】
上記のような構成によれば、受信機によって地区音響装置の鳴動が停止されると、押しボタンが操作された発信機の音響出力部が出力する音響が切り替わるとともに押しボタンが操作されていない発信機は音響出力部が出力する音響が停止されるため、いたずらや誤操作により発信機の押しボタンが押されたとしても、その発信機を容易に見つけて速やかに常態に戻すことができる。
【0017】
さらに、望ましくは、前記受信機は、前記押しボタンの押圧操作がなされてから所定時間経過しても前記複数の火災感知器のいずれもが火災の発生を検知していない場合には、前記地区音響装置および前記発信機の鳴動を停止させるように構成する。
かかる構成によれば、発信機の押しボタンが操作されて火災発生を報知する音響が出力されても、感知器が火災を検知していない場合には、いたずらや誤操作により発信機の押しボタンが押されたと判断して、所定時間経過すると音響の出力が停止されるため、火災発生を報知する大音響が長い時間にわたって出力され続けるのを回避することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の発信機によれば、構造上見通しが十分とは言えないエリアに複数の音響出力装置(音響出力部を備えた発信機を含む)が設置されている場合に、押しボタンが押された発信機を容易に特定することができる。さらに、火災の発見者が発信機の押しボタンを操作した場合、その発信機は一般に火災発生場所の近傍であると考えられる。そのため、押しボタンが押された発信機を容易に特定できることで、速やかに初期消火を開始することが可能になる。また、本発明の火災報知システムによれば、いたずらや誤操作により発信機の押しボタンが押されたとしても、速やかに常態に戻すことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(A)、(B)は本発明に係る発信機の実施形態を示す正面図である。
図2】実施形態の発信機の電気的な構成例を示す機能ブロック図である。
図3】実施形態の発信機発信機を用いた火災報知システムの構成例を示すシステム構成図である。
図4】(A)は実施形態の発信機を用いた火災報知システムにおける押しボタンが操作された発信機による処理手順の一例を示すフローチャート、(B)は受信機による処理手順の一例を示すフローチャートである。
図5】実施形態の発信機を用いた火災報知システムにおける押しボタンが操作された発信機以外の発信機による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明を適用した発信機および火災報知システムの実施形態について説明する。
本発明の発信機は、P型火災報知システムを構成するもので、火災が発生した際に、前面に設けられている押しボタンを強く押して内部のスイッチをオンさせることにより火災の発生を知らせる信号を火災受信機に伝送する機能を備え、建造物の壁面あるいは消火栓箱の扉などに設置されて使用されるように構成されている。なお、火災報知システムを構成する防災関連機器には、発信機とスピーカと表示灯が前面パネルに一体に設けられている機器収容箱と呼ばれるものがある。本発明は、機器収容箱に設けられる発信機および機器収容箱を備えた火災報知システムにも適用することができる。
【0021】
図1は本発明に係る発信機の実施形態を示す正面図である。
図1のうち(A)に示す発信機10は、従来から一般的な円形状をなす発信機で、小判形をなす前面パネル11の中央に押しボタン12が設けられているとともに、前面パネル11の背面には押しボタン12の後方に位置するように配設された押しボタンスイッチを内蔵した収納ケースを備えた発信機本体部が設けられている。また、前面パネル11の両側には当該前面パネル11と同一平面をなすように、一対の装飾パネル13A、13Bが配設されている。前面パネル11と装飾パネル13A、13Bは一体に形成されていても良いし、別体として形成されたものを合体したものでも良い。
【0022】
さらに、前面パネル11の上部には、送受話器のコード先端のプラグを差し込む電話ジャックや復旧ボタン等を収納する凹部が形成され、この凹部の前部開口を覆うように開閉可能な子扉14が設けられている。また、前面パネル11の下部には、背部に配設されているスピーカに対応して放音口15が設けられている。
また、上記前面パネル11の背面側の発信機本体部内には、押しボタン12が後方へ向かって所定量以上押されると、押された状態すなわち押しボタンスイッチのオン状態を保持するラッチ機構が設けられている。上記復旧ボタンは、このラッチ機構による押しボタンスイッチのオン状態を解除するための手段である。ラッチ機構自体は既存の発信機に設けられており公知であるので、詳しい構造の図示および説明は省略する。
【0023】
なお、前面パネル11の両側の装飾パネル13A、13Bは、後方にLEDランプが配設され、表示灯として機能するように構成されていても良い。また、前面パネル11および装飾パネル13A、13Bは、図1(A)の例では全体として円形をなすように形成されているが、図1(B)に示すように、矩形状をなすように形成されていても良いし、楕円形その他の形状であっても良い。図1(B)に示す発信機は、図1(A)の発信機と形状や部品の配置は異なるが、機能は同じであり、矩形状をなす前面パネル11、押しボタン12、子扉14、スピーカの放音口15A、15Bを備えている。
【0024】
図2には、本実施形態の発信機の機能ブロック図が示されている。
図2(A)に示されているように、本実施形態の発信機10は、上記押しボタン12の押圧操作によってオン状態にされる押しボタンスイッチ16と、スピーカやブザーなどの音響出力部17、マイクロプロセッサやロジック回路で構成され音響出力部17等を制御する制御部18、音響出力部17から出力する音響のデータを記憶する不揮発性メモリなどからなる記憶部19、受信機20との間の信号の送受信を行うための通信手段を備えた信号入出力部I/Fなどから構成されている。
【0025】
発信機10は、上記押しボタン12の押圧操作によって押しボタンスイッチ16がオンされると、信号入出力部I/Fより火災発生を知らせる信号を受信機20へ送信する。また、本実施形態の発信機10は、受信機20が各警戒区域に設置されている地区音響装置(例えばベル)30の鳴動開始や鳴動終了を検出もしくは受信機20が送信する鳴動開始や鳴動終了の信号を受信する機能を備えるように構成されている。
一方、受信機20は、P型の場合、前面に複数の警戒区域のそれぞれに対応する地区窓が設けられ、いずれかの警戒区域の発信機が押圧操作されたり火災感知器が火災を検知したりすると、当該警戒区域の地区音響装置30を鳴動させて火災発報するとともに、押圧操作された発信機または火災を検知した火災感知器が設置されている警戒区域に対応する地区窓を点灯させるなどして、当該警戒区域で火災が検知されたこと報知するように構成される。
【0026】
発信機10の記憶部19には、火災の発生を知らせる第1音響データと、火災の発生を知らせつつ押しボタンが操作された発信機であることを知らせる第2音響データと、押しボタンが操作された発信機が受信機20からベルの鳴動終了信号を受信すると出力する第3音響データが記憶されている。
第1音響データは、火災の発生を知らせるジリジリジリ……のような聞いた者に危機感あるいは緊迫感を与える本来の火災発生報知音(警報ベルの音)を発生させるデータである。第2音響データは、火災の発生を知らせる本来の火災発生報知音(警報ベルの音)に、例えばブーブーブー……のような音を追加した音を発生させるデータである。
【0027】
第2音響データにおいて追加する音響は、第1音響データによる音響と識別可能な音響であれば、例えば「押しボタンが押されました」のような音声や、カーンカーンカーン……のような半鐘を叩く音響、鳥獣の鳴き声などどのような音響であっても良い。なお、第1音響データに基づいて発信機が出力する音響の音量は、地区音響装置の音量と同等の音量とするのが良い。また、第2音響データにおける追加する音響の音量は、主音響と聞き分けられる程度の音量とすれば良い。
【0028】
また、第2音響データは、本来の火災発生報知音に他の音響を追加した合成音ではなく、本来の火災発生報知音とは周波数や音色が異なる単一音響であっても良い。要するに、第2音響データは、本来の火災発生報知音(警報ベルの音)と識別可能であって、当該音響を聞いた者に危機感あるいは緊迫感を与える音響であれば良い。
一方、第3音響データは、安心感を与える音響や平穏を感じさせる音響であれば良く、例えばオルゴールのメロディ音やクラシック音楽、水の流れる音、鳥のさえずりなど心地良い音、音声のみなどがあげられる。なお、第3音響データによる音響は第2音響データによる音響よりも音量を小さくして出力するようにしても良い。
【0029】
なお、音響出力部17から出力する音響のデータを記憶する記憶部19を発信機10に設ける代わりに、図2(B)に示すように、受信機20の記憶部21に発信機10の音響出力部17から出力させる複数の音響データを記憶しておいて、発信機10の押しボタンスイッチがオンされた際に、発信機10の音響出力部17から出力させる音響データを記憶部22から読み出して、対応する発信機10へ送信するように構成しても良い。
また、図示しないが、受信機20は、発信機10の押しボタンが押圧操作されたことを検出もしくは発信機10が送出する信号を受信する機能、各地区音響装置30の鳴動を中止させるための地区鳴動停止ボタン、システムを火災報知前の通常監視状態に復旧させるための復旧ボタンを備えている。
【0030】
次に、図2(A)に示す実施形態の発信機を使用した火災報知システムの構成例について、図3を用いて説明する。なお、図3において、符号Bは地区音響装置30としてのベル、符号Pは発信機10、符号Sは火災感知器(以下、感知器と記す)を意味している。また、Re1,Re2,Re3は、終端抵抗である。
従来の発信機は、押しボタンスイッチのオン/オフ状態を受信機が検知できれば良いため、電源は不要であった。これに対し、図2(A)に示す実施形態の発信機は、音響出力部17や制御部18、記憶部19を備えているため、これらを動作させるための電源が必要である。
【0031】
そこで、図2(A)の実施形態の発信機10を使用した火災報知システムにおいては、図3に示すように、受信機20から発信機(P)10へ電源を供給するための補助電源ラインV+,V-を設けて、発信機(P)10へ電源を供給するようにしている。一方、ベルBは受信機20から引き出された別の電源ラインである地区音響電源ラインNAC+,NAC-に接続されている。
また、P型火災報知システムにおいては、受信機20から引き出され感知器Sが接続される感知器回線としての信号線Lとコモン線Cが設けられており、本実施形態の発信機(P)10は、この信号線Lとコモン線Cにも接続されている。
【0032】
火災感知器Sは、火災を検知するとL-C間に設けられているスイッチをオンさせることで、インピーダンスを変化させ、受信機20がL-C間のインピーダンスの変化を検出すると火災発生と判断する機能が設けられている。
受信機20は、信号線Lとコモン線Cを介していずれかの発信機10の押しボタンスイッチがオンされるか感知器Sが火災を検知して作動すると、これを検知して、地区音響電源ラインNAC+,NAC-を介して電源を供給することでベルBの鳴動を開始させ、電源の供給を遮断することでベルBの鳴動を終了させる。本実施形態の発信機10は、地区音響電源ラインNAC+,NAC-を監視することでベルの鳴動の開始/終了を検出することができるように構成されている。
【0033】
本実施形態の発信機10は、押しボタンスイッチ16がオンされると、感知器と同様に、L-C間のインピーダンスを変化させるように構成される。ただし、このようにした場合、信号線Lとコモン線Cが共通であるため、受信機20は感知器Sが作動したのか、発信機10が操作されたのか判別することができない。そこで、発信機10に対して、発信機の作動と感知器の作動を区別するための信号を受信機20へ伝送するための配線Aを設けている。なお、この配線Aは、発信機10にランプ(応答灯)を設けておいて、受信機20が発信機10の作動を検知した際に応答灯を点灯させるための電源を供給するのに利用することもできる。
【0034】
次に、図3に示す火災報知システムにおける発信機10および受信機20の動作について、図4のフローチャートを用いて説明する。なお、図4(A)は発信機10の制御部18によって実行される処理の手順、図4(B)は受信機20による処理の手順をそれぞれ示したものである。
図4(A)に示すように、発信機10は、先ず押しボタンスイッチ16のオン、オフ状態に基づいて押しボタン12が押圧操作されたか否か判定する(ステップS11)。ここで、押しボタン12が押圧操作された(Yes)と判定すると、次のステップS12へ進み、火災発生報知信号を受信機20へ送信する。火災発生報知信号を受信した受信機20は、地区音響電源ラインNAC+,NAC-へ電源を供給することで地区音響装置(ベル)30へ鳴動(音響出力)の開始信号を出力する。
【0035】
続いて、発信機10は、記憶部19より第2音響データを読み出して、音響出力部(スピーカ)17より第2音響データに基づく鳴動(音響出力)を開始する(ステップS13)。その後、ステップS14へ進み、受信機20から地区音響装置(ベル)30による鳴動を中止させる鳴動終了信号が入力されたか否か判定する。ここで、鳴動終了信号が入力された(Yes)と判定すると、次のステップS15へ進み、ステップS13で開始した第2音響データに基づく鳴動を終了し、記憶部19より第3音響データを読み出して、音響出力部(スピーカ)17より第3音響データに基づく鳴動(音響出力)を開始する。また、ステップS14で、鳴動終了信号が入力されていない(No)と判定すると、ステップS15をスキップしてステップS16へ進む。
【0036】
ステップS16では、発信機10に設けられている復旧ボタンが操作されたか否か判定する。前述したように、押しボタン12はラッチ機能とラッチを解除する復旧ボタンを備えており、復旧ボタンが操作されると押しボタンスイッチ16がオフするので、押しボタンスイッチ16のオン、オフ状態を監視することで、復旧ボタンが操作されたか否か判定することができる。
ステップS16で復旧ボタンが操作されていない(No)と判定すると、ステップS4へ戻って上記処理S14~S16を繰り返す。また、ステップS16で復旧ボタンが操作れた(Yes)と判定すると、次のステップS17へ進み、第2音響データまたは第3音響データに基づく鳴動(音響出力)を終了する。
【0037】
一方、受信機20は、図4(B)に示すように、先ずいずれかの発信機10から火災発生報知信号が入力されたか否か判定する(ステップS21)。ここで、火災発生報知信号が入力された(Yes)と判定すると、次のステップS22へ進み、受信機20に備わる表示パネルに火災発生を表示して、火災報知システムが火災状態を認識していることを示すフラグ(火災フラグ)をセットする。続いて、火災発生報知信号を送信した発信機が存在する地区の地区音響装置(ベル)30へ鳴動開始信号を出力して鳴動を開始させるとともに、所定のフラグ(鳴動開始フラグ)をセットする(ステップS23)。
【0038】
その後、受信機20に設けられている地区音響の鳴動を中止させる鳴動停止ボタンが操作されたか否か判定する(ステップS24)。そして、鳴動停止ボタンが操作された(Yes)と判定すると、次のステップS25へ進み、鳴動中の地区音響装置(ベル)30へ鳴動終了信号を出力して鳴動を終了させるとともに、鳴動開始フラグをクリアする。
受信機20が火災発生報知信号を送信して地区音響装置(ベル)30の鳴動を開始させると、受信機20のある防災管理センタに待機している防災担当者が、火災発報のあった現場へ赴き、火災の発生の有無を確認し、火災が発生していない場合には、いたずらもしくは誤操作による発報と判断して、防災管理センタに待機している管理者へ電話で連絡し、鳴動停止ボタンを操作して鳴動を終了させる。また、現場へ赴いた担当者は発報をした発信機の子扉を開けて、内部の復旧ボタンを操作して、押しボタンのラッチを解除する。
【0039】
また、ステップS24で鳴動停止ボタンが操作されたていない(No)と判定すると、ステップS25をスキップしてステップS26へ進む。
ステップS26では、受信機20において、火災報知システムを常態に戻す復旧ボタンが押圧操作されたか否かを判定する。ここで、復旧ボタンが押圧操作されていない(No)と判定すると、ステップS24へ戻って上記処理S24~S26を繰り返す。
【0040】
また、ステップS26で受信機20において復旧ボタンが押圧操作された(Yes)と判定すると、受信機20の表示パネルをクリアし、火災フラグをクリアする。その後、次のステップS28へ進み、鳴動開始フラグをチェックして、地区音響装置30による鳴動が終了しているか否か判定する。ここで、地区音響装置(ベル)30による鳴動が終了している(Yes)と判定すると一連の処理を終了する。
一方、ステップS28で、地区音響装置(ベル)30による鳴動が終了していない(No)と判定すると、ステップS29へ進み、鳴動中の地区音響装置(ベル)30へ鳴動終了信号を出力して鳴動を終了させて一連の処理を終了する。また、このとき、受信機20は、鳴動開始フラグをクリアする。なお、図4には示されていないが、受信機20は、いずれかの発信機10において押しボタン12の押圧操作がなされてから所定時間経過しても、いずれの火災感知器も火災の発生を検知していない場合には、地区音響停止信号を地区音響装置(ベル)30および発信機10へ出力する。
【0041】
ところで、図4(A)の発信機10の処理フローは当該発信機の押しボタンが操作された場合の手順を示したものである。図5に、同一地区内の他の発信機の押しボタンが操作され受信機20から地区音響装置(ベル)30に対して鳴動のための地区音響電源(NAC+,NAC-)が供給つまり鳴動開始信号を送信された場合の発信機10の処理手順が示されている。
図5に示すように、発信機10の制御部18は、先ず受信機20からベルの鳴動開始信号が入力されたか否か判定する(ステップS31)。ここで、地区音響電源(NAC+,NAC-)が供給された(Yes)と判定すると、次のステップS32へ進み、記憶部19から第1音響データを読み出して音響出力部17へ供給し、第1音響データに基づく鳴動を開始させる。続いて、ステップS33へ進み、受信機20から地区音響装置(ベル)30による鳴動を中止させる鳴動終了信号が入力されたか否か判定する。ここで、鳴動終了信号が入力された(Yes)と判定すると、次のステップS34へ進み、地区音響装置(ベル)30による鳴動を中止させ、処理を終了する。
【0042】
上記実施形態の発信機およびそれを使用した火災報知システムによれば、火災発生報知信号を送信した発信機が地区音響装置(ベル)や他の発信機の鳴動音とは異なる音で鳴動しているため、現場へ赴いた防災担当者が容易に押しボタンが操作された発信機の位置を特定することができる。そのため、発報がいたずらや誤操作によるものか否かを判断し、防災センタの管理者へ電話連絡して、地区音響装置(ベル)の鳴動を速やかに停止させたり、発信機の復旧ボタンを操作して発信機を元の状態に復帰させたりすることができる。その結果、音響出力装置が火災発生を知らせる音響を長い時間にわたって出力し続けるのを回避し、受信機においてシステムの復旧ボタンを操作することで速やかに常態(通常監視状態)に戻すことができる。
【0043】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態のものに限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、発信機10に音響出力部17を制御する制御部18を設けて、音響出力部17による鳴動の開始、鳴動の停止、音響出力の切替えを制御部18によって行うようにしているが、制御部18を省略もしくは簡単なロジック回路を設けて、受信機20から音響出力部17による鳴動の開始、鳴動の停止、音響出力の切替えを行う制御信号を送信するように構成しても良い。
また、上記実施形態においては、発信機10が備える押しボタン12のラッチ機構はメカ的に構成されているとしたが、電気的にオン信号をラッチするようにしても良い。
【0044】
さらに、上記実施形態では、受信機20から発信機10へ補助電源を供給するように構成しているが、発信機10にバッテリを内蔵させておくことで、補助電源を供給する配線を省略するように構成しても良い。
また、上記実施形態では、受信機20から発信機10へ補助電源を供給するように構成しているが、感知器と同様に発信機に接続されているL-C間の感知器ラインから電源を供給することで、補助電源を供給する配線を省略するように構成しても良い。
あるいは、受信機20から発信機10へ補助電源を供給する代わりに、発信機内部の応答灯と同様に発信機に接続されているA-C間のラインから電源を供給することで、補助電源を供給する配線を省略するように構成しても良い。
【0045】
また、図3の火災報知システムにおいては、いずれかの発信機10が押しボタン12の押圧操作がなされたことを示す信号を出力すると、受信機20が地区音響装置30に電源を供給して鳴動させ電源を遮断することで鳴動を終了させるように構成しているが、電源を供給/遮断する代わりに、地区音響装置30に常時電源を供給しておいて、いずれかの発信機10が押しボタンの押圧操作がなされたことを示す信号を出力すると、受信機20が地区音響装置30の鳴動を開始させる信号を出力するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0046】
10 発信機
11 前面パネル
12 押しボタン
13A,13B 装飾パネル
14 子扉
15 放音口
16 押しボタンスイッチ
17 音響出力部
18 制御部
19 記憶部
20 受信機
21 記憶部
30 地区音響装置(ベル)
図1
図2
図3
図4
図5