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特開2024-47629情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047629
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0202 20230101AFI20240401BHJP
【FI】
G06Q30/02 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153224
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】荒川 大祐
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼梨 ちはや
(72)【発明者】
【氏名】三村 千由
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB02
(57)【要約】
【課題】予測モデルの予測根拠に基づいて施策を立案可能な情報を提示する。
【解決手段】ユーザの購入履歴と前記ユーザの離反との対応関係を学習した学習済モデルに、対象ユーザの購入履歴を入力することによって前記対象ユーザにおける離反度合を予測する予測部と、前記対象ユーザの購入履歴に含まれる特徴量について、前記予測部による予測に寄与した度合である寄与度を計算する予測根拠計算部と、前記特徴量の傾向と前記寄与度の傾向とを対応づけた可視化情報を表示させる表示制御部、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの購入履歴と前記ユーザの離反との対応関係を学習した学習済モデルに、対象ユーザの購入履歴を入力することによって前記対象ユーザにおける離反度合を予測する予測部と、
前記対象ユーザの購入履歴に含まれる特徴量について、前記予測部による予測に寄与した度合である寄与度を計算する予測根拠計算部と、
前記特徴量の傾向と前記寄与度の傾向とを対応づけた可視化情報を表示させる表示制御部、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記特徴量の値に前記寄与度が対応づけられた前記特徴量の分布を、前記可視化情報として表示させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、特定の属性を有する前記対象ユーザのそれぞれについて前記特徴量と前記寄与度との関係を、前記可視化情報として表示させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記特徴量に含まれる第1特徴量及び第2特徴量と前記寄与度との関係を、前記可視化情報として表示させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
コンピュータが行う情報処理方法であって、
予測部が、ユーザの購入履歴と前記ユーザの離反との対応関係を学習した学習済モデルに、対象ユーザの購入履歴を入力することによって前記対象ユーザにおける離反度合を予測し、
予測根拠計算部が、前記対象ユーザの購入履歴に含まれる特徴量について、前記予測部による予測に寄与した度合である寄与度を計算し、
表示制御部が、前記特徴量の傾向と前記寄与度の傾向とを対応づけた可視化情報を表示させる、
情報処理方法。
【請求項6】
コンピュータに、
ユーザの購入履歴と前記ユーザの離反との対応関係を学習した学習済モデルに、対象ユーザの購入履歴を入力することによって前記対象ユーザにおける離反度合を予測させ、
前記対象ユーザの購入履歴に含まれる特徴量について、前記予測に寄与した度合である寄与度を計算させ、
前記特徴量の傾向と前記寄与度の傾向とを対応づけた可視化情報を表示させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
AIによる予測モデルが予測した根拠を提示するスコアリングAI等と称される技術がある。例えば、特許文献1-2には、多層ニューラルネットワークで作成されたモデルを基に、モデル作成に使用した入力データの寄与度をスコアリングする技術が開示されている。
【0003】
また、マーケティング分野では、AIを利用した予測が行われている。例えば、入力データとしてユーザにおける購入履歴データ等を用いて、今後ユーザがリピータになりそうか、或いは他の商品を購入するような離反ユーザになりそうかを、AIを用いて予測する。マーケティング分野に上記の技術を適用した場合、AIが予測した離反ユーザについて、特徴量と寄与度の関係、例えば、ユーザが如何なる商品を購入したことによって当該ユーザが離反ユーザとなる可能性が高いと予測されたのか等を示すことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6458072号公報
【特許文献2】特許第6458073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、予測の根拠のみでは施策を立案することは難しい。例えば、マーケティングの施策を立案する際に特定の商品を購入するユーザが離反ユーザとなる可能性が高いとの根拠が示された場合、その特定の商品に着目することができたとしても、如何なる市場で、如何なるユーザに対してどのようなキャンペーンを行えば離反を防げる効果がありそうかまでは判らない。このため、予測の根拠とされた情報を更に解析するための情報の提示が求められていた。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、予測モデルの予測根拠に基づいて施策を立案可能な情報を提示することができる情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の情報処理装置は、ユーザの購入履歴と前記ユーザの離反との対応関係を学習した学習済モデルに、対象ユーザの購入履歴を入力することによって前記対象ユーザにおける離反度合を予測する予測部と、前記対象ユーザの購入履歴に含まれる特徴量について、前記予測部による予測に寄与した度合である寄与度を計算する予測根拠計算部と、前記特徴量の傾向と前記寄与度の傾向とを対応づけた可視化情報を表示させる表示制御部、を備える。
【0008】
本発明の、情報処理方法は、コンピュータが行う情報処理方法であって、予測部が、ユーザの購入履歴と前記ユーザの離反との対応関係を学習した学習済モデルに、対象ユーザの購入履歴を入力することによって前記対象ユーザにおける離反度合を予測し、予測根拠計算部が、前記対象ユーザの購入履歴に含まれる特徴量について、前記予測部による予測に寄与した度合である寄与度を計算し、表示制御部が、前記特徴量の傾向と前記寄与度の傾向とを対応づけた可視化情報を表示させる。
【0009】
本発明の、プログラムは、コンピュータに、ユーザの購入履歴と前記ユーザの離反との対応関係を学習した学習済モデルに、対象ユーザの購入履歴を入力することによって前記対象ユーザにおける離反度合を予測させ、前記対象ユーザの購入履歴に含まれる特徴量について、前記予測に寄与した度合である寄与度を計算させ、前記特徴量の傾向と前記寄与度の傾向とを対応づけた可視化情報を表示させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、予測モデルの予測根拠に基づいて施策を立案可能な情報を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態における情報処理装置1の構成例を示すブロック図である。
図2】実施形態の情報処理装置1が表示する可視化情報の例を示す図である。
図3】実施形態の情報処理装置1が表示する可視化情報の例を示す図である。
図4】実施形態の情報処理装置1が表示する可視化情報の例を示す図である。
図5】実施形態の情報処理装置1が表示する可視化情報の例を示す図である。
図6】実施形態の情報処理装置1が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下の説明では、離反予測、つまりユーザが離反ユーザとなる可能性を予測するモデル(後述するスコアリングAI)を用いる場合を例示して説明する。しかしながらこれに限定されない。例えば、反応予測、つまりキャンペーン等の施策を実行した場合にその施策に対するユーザの反応を予測するモデルが用いられてもよい。反応予測を行うモデルを用いる場合にも本実施形態の情報処理装置1を適用することが可能である。
【0013】
(情報処理装置1の構成について)
情報処理装置1はコンピュータである。情報処理装置1は、例えば、クラウド装置、サーバ装置、PCなどにより実現される。情報処理装置1は、例えば、マーケティング担当者などによって操作され、マーケティング施策を立案するための信号処理を行う。
【0014】
図1は、実施形態による情報処理装置1の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、情報処理装置1は、例えば、購入履歴記憶部10と、データ前処理部11と、スコアリングAI学習部12と、スコアリングAI学習済モデル記憶部13と、スコアリングAI予測部14と、予測根拠計算部15と、表示制御部16と、出力部17を備える。
【0015】
なお、この図の例では、情報処理装置1が全ての構成要素(購入履歴記憶部10と、データ前処理部11と、スコアリングAI学習部12と、スコアリングAI学習済モデル記憶部13と、スコアリングAI予測部14と、予測根拠計算部15と、表示制御部16と、出力部17)を備える場合を例示したが、これに限定されることはなく、情報処理装置1により実現される機能が、複数の装置が備える機能部によって実現されてもよい。
【0016】
情報処理装置1は、学習済モデルを生成する学習フェーズ、及び学習フェーズで生成した学習済モデルを用いた予測を行う予測フェーズを有する。
【0017】
まず、学習フェーズにおいて情報処理装置1が行う処理を説明する。購入履歴記憶部10は、購入履歴データを記憶する。購入履歴データは、不特定のユーザのそれぞれにおける商品の購入履歴を示す情報である。購入履歴データは、例えば、誰が、いつ、どこで、何を、どのくらい購入したか、を示す情報である。購入履歴データは、学習モデルに学習させるための学習用データと、予測に用いる予測用データを含む。
【0018】
データ前処理部11は、購入履歴データの前処理を行う。ここでの前処理は、購入履歴データを、後述するスコアリングAI学習部12が学習において用いる入力データに変換する処理である。データ前処理部11は、例えば、購入履歴データにおけるデータ形式を変換したり、学習に不要な情報を削除したり、データ範囲が特定の範囲、例えば、0(ゼロ)から1の範囲となるようにデータの値を換算したりする。
【0019】
スコアリングAI学習部12は、学習済モデル(スコアリングAI学習済モデル)を生成する。スコアリングAI学習部12は、購入履歴記憶部10を参照することによって、学習に用いる不特定ユーザの購入履歴データを取得する。スコアリングAI学習部12は、取得した購入履歴データをデータ前処理部11に出力し、購入履歴データの前処理を行うよう要求する。スコアリングAI学習部12は、データ前処理部11によって前処理された購入履歴データを用いて、購入履歴と離反との対応関係を学習モデルに学習させる。ここでの離反はユーザが他の商品を購入する離反ユーザになることである。
【0020】
なお、学習モデルは任意のモデルが用いられてよく、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、サポートベクタマシン(SVM)、決定木学習、遺伝的プログラミング、及びこれらの組合せなどによるモデルのいずれが採用されてもよい。また、学習に任意の学習手法が用いられてよく、例えば、機械学習、ディープラーニング、量子コンピューティング、及びこれらの組合せた手法等により学習された学習済モデルを用いた予測が行われてもよい。
【0021】
スコアリングAI学習部12は、購入履歴と離反との対応関係を学習モデルに学習させることによって、スコアリングAI学習済モデルを生成する。スコアリングAI学習部12は、生成したスコアリングAI学習済モデルを、スコアリングAI学習済モデル記憶部13に記憶させる。
【0022】
次に、予測フェーズにおいて情報処理装置1が行う処理を説明する。
スコアリングAI予測部14は、予測対象である対象ユーザが離反ユーザになる尤度(離反度合)を予測する。スコアリングAI予測部14は、対象ユーザの購入履歴データをデータ前処理部11に出力し、対象ユーザの購入履歴データの前処理を行うよう要求する。スコアリングAI予測部14は、データ前処理部11によって前処理された購入履歴データを、スコアリングAI学習済モデル記憶部13に記憶されたスコアリングAI学習済モデルに入力する。スコアリングAI学習済モデルは、入力された購入履歴データに応じて、対象ユーザにおける離反度合を予測結果として出力する。スコアリングAI予測部14は、スコアリングAI学習済モデルによって出力された予測結果を、予測根拠計算部15に出力する。
【0023】
予測根拠計算部15は、スコアリングAI学習済モデルによる予測の根拠を計算する。例えば、予測根拠計算部15は、まず、スコアリングAI予測部14から取得した対象ユーザにおける離反度合(第1度合という)をバッファに格納する。次に、予測根拠計算部15は、対象ユーザの購入履歴データを摂動、つまり、少しずらすことにより特徴量を変化させたデータを生成し、生成したデータをスコアリングAI学習済モデルに入力させる。予測根拠計算部15は、スコアリングAI学習済モデルから出力される離反度合(第2度合という)を取得する。予測根拠計算部15は、摂動により変化させた特徴量と、第1度合と第2度合との差分に応じて、購入履歴データにおける特定の特徴量が、予測に寄与する度合(寄与度)を計算する。予測根拠計算部15は、計算した寄与度を、予測根拠として表示制御部16に出力する。
【0024】
表示制御部16は、予測根拠計算部15によって計算された寄与度に基づいて、マーケティングの施策を行うためのデータを表示させる。表示制御部16は、様々な方法、例えば棒グラフ、バイオリン図、線グラフ、2変数散布図等を用いて、予測根拠を計算した結果としての寄与度を可視化させる。
【0025】
例えば、表示制御部16は、マクロ視点とミクロ視点のそれぞれの視点からみた特徴量の傾向及び寄与度の傾向を対応づけた可視化情報を表示させる。
【0026】
まず、マクロ視点からみた可視化情報について、図2及び図3を用いて説明する。図2及び図3は、実施形態の情報処理装置1が表示する可視化情報の例を示す図である。
【0027】
図2には、各特徴量と寄与度との対応関係が示されている。例えば、図2において、対象ユーザが12月から2月までにスーパで購入した商品の実績に基づいて離反度合を予測した場合における寄与度が示されているとする。また、図2における特徴量1は「みかんの購入数」であるとする。この場合、図2には、「みかんの購入数」が予測結果に最も寄与することが示されている。
【0028】
この場合、マーケティングの施策を行う担当者は、例えば、季節の影響を受ける商品の購入数が、離反度合に最も寄与している可能性があると考察することができる。この場合、担当者は、例えば、季節に応じて流通する商品についての広告やキャンペーンを行うことによって離反ユーザを減らす施策を提案することが考えられる。
【0029】
ここで、図2に示すような表示では、みかんの購入数が予測値に対する寄与度に大きく影響することが判ったとしても、購入数が多いほど離反ユーザになり易いのか、購入数が少ないほど離反ユーザになり易いのかは判らない。この対策として、表示制御部16は、各特徴量の傾向と、寄与度の傾向との関係を表示させる。
【0030】
図3には、各特徴量の傾向と寄与度の傾向との対応関係がバイオリン図で示されている。例えば、図3において、対象ユーザが通販サイトで購入した商品の実績に基づく購入履歴データを用いて離反ユーザとなる尤度を予測した場合における寄与度が示されているとする。また、図3における特徴量1は「レトルトカレーの購入数」であるとする。図3における特徴量8は「カップラーメンの購入数」であるとする。
【0031】
この場合、図3には、「レトルトカレーの購入数」が増えるほど予測結果に寄与する度合が大きくなり、その結果、離反ユーザとなる可能性が小さくなることが示されている。また、「レトルトカレーの購入数」が減るほど予測結果に寄与する度合が小さくなり離反ユーザとなる可能性に寄与しなくなることが示されている。
【0032】
一方、「カップラーメンの購入数」が増えると予測結果に寄与する度合が小さくなり離反ユーザとなる可能性に寄与しなくなることが示されている。また、「カップラーメンの購入数」に増減がほとんどない場合であっても予測結果に寄与する度合が大きくなり離反ユーザとなる可能性が小さくなることが示されている。
【0033】
この場合、マーケティングの施策を行う担当者は、例えば、カップラーメンよりも、レトルトカレーの方が、離反を防ぐ商品としての価値があると考察することができる。この場合、担当者は、例えば、離反を防ぐためにレトルトカレーの割引キャンペーンを行うような施策を提案することが考えられる。また、離反を防ぐためにカップラーメン商品のラインナップを見直すような施策を提案することが考えられる。
【0034】
次に、ミクロ視点からみた可視化情報について、図4及び図5を用いて説明する。図4及び図5は、実施形態の情報処理装置1が表示する可視化情報の例を示す図である。
【0035】
図2に示すような表示では、特徴量と寄与度の関係が判ったとしても、対象ユーザの属性が判らないため、あらゆるユーザにとってみかんの購入数が予測値に寄与しているのか、特定の属性を有するユーザにとってみかんの購入数が予測値に寄与しているのかは判らない。この対策として、表示制御部16は、ユーザの属性と、寄与度の傾向との関係を、ミクロ視点からみた可視化情報として表示させる。
【0036】
図4には、特定の属性を有するユーザのそれぞれにおける寄与度の傾向が示されている。例えば、図4において、対象ユーザは、顧客満足度が高いユーザである。また、図4における特徴量1は「企業Aの製品の購入数」であるとする。
【0037】
この場合、図4には、顧客満足度が高いユーザにとって「企業Aの製品の購入数」が予測結果に寄与する度合が大きいことが示されている。この場合、マーケティングの施策を行う担当者は、例えば、顧客満足度が高いユーザに対し、企業Aの製品を紹介するダイレクトメールを送信してリピータになってもらうような施策を提案することが考えられる。一方、顧客満足度が低いユーザに対し、人気商品として企業Aの製品をレコメンドする表示してリピータになってもらうような施策を提案することが考えられる。
【0038】
図5には、特定の属性を有するユーザのそれぞれにおける、特定の特徴量における寄与度の傾向が示されている。例えば、図5では、特徴量としての対象ユーザの性別及び年齢と、寄与度との関係が示されている。
【0039】
この場合、図4には、男性、特に若い男性が、予測結果に寄与する度合が大きい。これは、若い男性によって特徴量が変化する、例えば、若い男性が特定の商品を購入することによって離反ユーザが減る可能性があることが示されている。この場合、マーケティングの施策を行う担当者は、例えば、若い男性をターゲットにした特定商品のキャンペーンを行うことにより離反率の増加を抑制する施策を提案することが考えられる。
【0040】
このように、表示制御部16は、図2に示すようなマクロ視点からみた表示を行うことにより、マーケティングの施策を行う担当者などが、各特徴量と寄与度の関係を把握し易くなるようにする。また、表示制御部16は、図3に示すようなマクロ視点からみた表示を行うことにより、各特徴量の傾向と、寄与度の傾向との関係が把握し易くなるようにする。したがって、担当者はどの特徴量に着目すればよいか判断することができ、着目した特徴量に対して、その特徴量の傾向と寄与度の傾向によって、効果的なマーケティングの施策を立案することが可能となる。
【0041】
また、表示制御部16は、図4に示すようなミクロ視点からみた表示を行うことにより、特定の属性を有するユーザにおける、特徴量と寄与度の傾向との関係が把握し易くなるようにする。また、表示制御部16は、図5に示すようなミクロ視点からみた表示を行うことにより、二つの特徴量と寄与度との関係が把握し易くなるようにする。したがって、効果を高めるために、ターゲットとするユーザを絞り込んだり、ユーザの属性に応じて異なる施策を立案したりすることが可能となる。
【0042】
出力部17は、表示制御部16による表示を出力する。出力部17は、例えばプリンタを含み、表示制御部16が表示させた情報を、レポートとして出力する。
【0043】
なお、購入履歴記憶部10が備える記憶部(購入履歴記憶部10およびスコアリングAI学習済モデル記憶部13)は、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)などの記憶媒体、あるいはこれらの組合せによって構成される。購入履歴記憶部10が備える記憶部は、情報処理装置1の各種処理を実行するためのプログラム、及び各種処理を行う際に利用される一時的なデータを記憶する。
【0044】
また、購入履歴記憶部10が備える機能部(データ前処理部11、スコアリングAI学習部12、スコアリングAI予測部14、予測根拠計算部15、表示制御部16、および出力部17)は、情報処理装置1がハードウェアとして備えるCPU(Central Processing Unit)、及び/又はGPU(Graphics Processing Unit)にプログラムを実行させることによって実現される。
【0045】
ここで、図6を用いて情報処理装置1が行う処理の流れを説明する。図6は、情報処理装置1が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【0046】
まず、情報処理装置1は、学習フェーズにおいて学習用の購入履歴データを読み込む(ステップS10)。情報処理装置1は、読み込んだ購入履歴データの前処理を行う(ステップS11)。情報処理装置1は、スコアリングAIの学習をさせる(ステップS12)。情報処理装置1は、前処理した購入履歴データにおける購入履歴と離反との対応関係を学習モデルに学習させることによって、スコアリングAIの学習をさせる。情報処理装置1は、スコアリングAIの学習済モデルを保存する(ステップS13)。情報処理装置1は、対応関係を学習させた学習モデルをスコアリングAI学習済モデルとして生成し、生成したスコアリングAI学習済モデルを、スコアリングAI学習済モデル記憶部13に記憶させる。
【0047】
次に、情報処理装置1は、予測フェーズにおいて、スコアリングAI学習済モデルを読み込む(ステップS14)。また、情報処理装置1は、予測の対象である対象ユーザの購入履歴データを読み込む。情報処理装置1は、予測を実行する(ステップS15)。情報処理装置1は、読み込んだ対象ユーザの購入履歴データの前処理を行い、前処理を行った対象ユーザの購入履歴データを、スコアリングAI学習済モデルに入力することによって得られる予測結果を取得することにより予測を実行する。情報処理装置1は、予測根拠を計算する(ステップS16)。情報処理装置1は、例えば、対象ユーザの購入履歴データを摂動させることによって特徴量を変化させたデータをスコアリングAI学習済モデルに入力させる。そして、情報処理装置1は、スコアリングAI学習済モデルから出力される予測結果と、ステップS15で得られた予測結果との差異に基づいて、特徴量が予測に寄与する度合を、予測根拠として算出する。
【0048】
情報処理装置1は可視化をする(ステップS17)。情報処理装置1は、ステップS16で計算した予測根拠に基づいて、マーケティング施策を立案可能な情報(可視化情報)を表示させる。例えば、情報処理装置1は、マクロ視点からみた可視化情報、すなわち図2に示すような特徴量と寄与度との対応関係、及び、図3に示すような特徴量の傾向と寄与度の傾向との対応関係を示す図を表示させる。例えば、情報処理装置1は、ミクロ視点からみた可視化情報、すなわち図4に示すような特定の属性を有するユーザのそれぞれの特徴量と寄与度との対応関係、及び、図5に示すような2つの特徴量と寄与度の対応関係を示す図を表示させる。
【0049】
以上説明したように、実施形態の情報処理装置1は、スコアリングAI予測部14(予測部)と、予測根拠計算部15と、表示制御部16とを備える。スコアリングAI予測部14は、スコアリングAI学習済モデル(学習済モデル)を用いて対象ユーザにおける離反度合を予測する。スコアリングAI学習済モデルは、ユーザの購入履歴と、ユーザの離反との対応関係を学習したモデルである。スコアリングAI予測部14は、スコアリングAI学習済モデル記憶部13に、対象ユーザの購入履歴データを入力して得られる出力を、対象ユーザにおける離反度合として予測する。予測根拠計算部15は、対象ユーザの購入履歴に含まれる特徴量について、スコアリングAI予測部14による予測に寄与した度合を計算する。表示制御部16は、特徴量の傾向と寄与度の傾向を対応づけた可視化情報を表示させる。
【0050】
これにより、実施形態の情報処理装置1では、特徴量の傾向と寄与度の傾向を可視化することできる。したがって、予測モデルにおける入力データの寄与度を利用してマーケティング施策を立案可能な情報を提示することができる。単に、特徴量における予測の寄与度が判るのみではマーケティングを施策することが困難であるが、特徴量の傾向と寄与度の傾向を可視化することによって、寄与度を大きくするために特徴量をどのように変化させればよいかがを把握することが可能となる。したがって、マーケティングにおいて特徴量を変化させたい方向性が明確となり、その方向性に沿ったキャンペーンを行うなどの施策を提案することが可能となる。
【0051】
また、実施形態の情報処理装置1では、表示制御部16は、図3に示すような特徴量の分布、つまり、特徴量の値に寄与度が対応づけられた特徴量の分布を、可視化情報として表示させる。これにより、実施形態の情報処理装置1では、特徴量の値が大きくなると寄与度が大きくなる関係にあるのか、或いは、特徴量の値が小さくなると寄与度が大きくなる関係にあるのか、又は、特徴量の値の大小は寄与度の変化にほとんど関係していないのかを把握することが可能となる。
【0052】
また、実施形態の情報処理装置1では、表示制御部16は、図4に示すような特定の属性を有する対象ユーザのそれぞれについて、特徴量と寄与度との関係を、可視化情報として表示させる。これにより、実施形態の情報処理装置1では、ユーザの属性に応じて、個々の対象ユーザにおける特徴量と寄与度の関係を把握することが可能となり、特定の属性を有するユーザにおける傾向に応じたキャンペーンを行うなどの施策を提案することが可能となる。
【0053】
また、実施形態の情報処理装置1では、表示制御部16は、図5に示すような特徴量に含まれる対象ユーザの性別(第1特徴量)及び年齢(第2特徴量)と寄与度との関係を、可視化情報として表示させる。これにより、実施形態の情報処理装置1では、ユーザの属性に応じて、複数の特徴量と寄与度の関係を把握することが可能となる。
【0054】
また、上記の実施形態ではマーケティングの施策を立案する場合を例示して説明したが、これに限定されない。マーケティング以外の施策、例えば、企業において従業員の生産性を向上させるための施策等に、実施形態の情報処理装置1を適用することが可能である。この場合、例えば、従業員の労働環境に基づいて売上を予測するモデルを用いることが考えられる。そして、モデルが予測した根拠を基に、図2のような特徴量ごとの寄与度、例えば、売上に寄与する労働環境(例えば、テレワークの導入など)を抽出する。そして、図3に示すような特徴量の傾向と寄与度の傾向、例えば、テレワークをどのように導入すれば売上が高まるのかを示す情報を提示する。より具体的には、週一回のテレワークと週四回のテレワークとではいずれの方が売上を向上させる傾向にあるのか等を示すバイオリン図を提示する。これにより、生産性を向上させるための具体的な施策を提案することが可能となる。
【0055】
上述した実施形態における情報処理装置1の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0056】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1…情報処理装置
10…購入履歴記憶部
11…データ前処理部
12…スコアリングAI学習部
13…スコアリングAI学習済モデル記憶部
14…スコアリングAI予測部(予測部)
15…予測根拠計算部
16…表示制御部
17…出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6