(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004763
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ショベルの管理システム
(51)【国際特許分類】
E02F 9/28 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
E02F9/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104576
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】古賀 方土
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015HA03
2D015JA00
(57)【要約】
【課題】摩耗を推定する際に、毎回、画像データを取得することなく摩耗を把握することを目的とする。
【解決手段】ショベルと、ショベルの管理装置とを有するショベルの管理システムであって、前記管理装置は、前記ショベルの稼働情報を取得するデータ取得部と、前記稼働情報に基づき、前記ショベルの有する部材の摩耗状態を推定する摩耗量推定部と、を有する、ショベルの管理システムである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショベルと、ショベルの管理装置とを有するショベルの管理システムであって、
前記管理装置は、
前記ショベルの稼働情報を取得するデータ取得部と、
前記稼働情報に基づき、前記ショベルの有する部材の摩耗状態を推定する摩耗量推定部と、を有する、ショベルの管理システム。
【請求項2】
前記管理装置は、
前記摩耗量推定部による推定結果に基づき、前記部材の交換時期を予測する交換時期算出部と、
予測された前記交換時期を前記ショベルの表示装置に表示させる表示制御部と、を有する、請求項1記載のショベルの管理システム。
【請求項3】
前記摩耗量推定部は、所定期間後の前記部材の摩耗量を推定する、請求項2記載のショベルの管理システム。
【請求項4】
前記管理装置は、
前記稼働情報に含まれる前記ショベルの画像データが示す画像に含まれる、前記部材の画像と、前記部材の初期状態を示す情報とから、前記画像データを含む稼働情報を取得した時点の前記部材の摩耗量を算出する摩耗量算出部と、
前記摩耗量算出部により算出された前記部材の摩耗量と、過去に前記データ取得部により取得された稼働情報と、に基づき、前記摩耗量推定部を更新する更新部と、を有する、請求項2又は3記載のショベルの管理システム。
【請求項5】
前記交換時期算出部は、前記部材の摩耗量が所定の閾値に達する時期を前記交換時期とする、請求項2記載のショベルの管理システム。
【請求項6】
前記部材は、前記ショベルの有するバケットの爪であり、
前記稼働情報は、前記ショベルによる掘削作業における掘削負荷情報を含み、
前記摩耗量推定部は、前記爪の画像を示す画像データと前記掘削負荷情報とに基づき、前記爪の先端の摩耗状態を推定する、請求項4記載のショベルの管理システム。
【請求項7】
前記部材は、前記ショベルの有する下部走行体に含まれるキャリアローラであり、
前記稼働情報は、前記ショベルによる走行時の振動データを含み、
前記摩耗量推定部は、前記キャリアローラの画像を示す画像データと前記振動データとに基づき、前記キャリアローラの摩耗状態を推定する、請求項1記載のショベルの管理システム。
【請求項8】
ショベルの稼働情報と、前記ショベルの有する部材の摩耗状態との組み合わせを含むデータセットに従って前記部材の摩耗状態の算出条件を学習することを特徴とする機械学習装置。
【請求項9】
請求項8に記載の前記機械学習装置により作成された学習済みモデルが入力され、
前記学習済みモデルに基づいて、前記稼働情報の入力に対応して前記部材の摩耗状態を出力する、ショベルの管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショベルの管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、ショベルの画像データを取得し、過去に取得された同一の機体番号のショベルの画像データと比較して、ショベルのバケットの爪先が摩耗したことを示す図形と、爪先摩耗量とを表示させる技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術では、現時点での摩耗量しか把握することができず、摩耗を把握するためには画像データの取得をしなければならない。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、摩耗を推定する際に、毎回、画像データを取得することなく摩耗を把握することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係るショベルの管理システムは、ショベルと、ショベルの管理装置とを有するショベルの管理システムであって、前記管理装置は、前記ショベルの稼働情報を取得するデータ取得部と、前記稼働情報に基づき、前記ショベルの有する部材の摩耗状態を推定する摩耗量推定部と、を有する。
【0007】
本発明の実施形態に係る機械学習装置は、ショベルの稼働情報と、前記ショベルの有する部材の摩耗状態との組み合わせを含むデータセットに従って前記部材の摩耗状態の算出条件を学習することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
摩耗を把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ショベルの管理システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図3】管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】管理装置の機能構成について説明する図である。
【
図6】掘削と爪先の摩耗について説明する図である。
【
図7】管理装置の動作を説明するフローチャートである。
【
図10】路面の状態とショベルの走行状態について説明する図である。
【
図12】摩耗量推定部による摩耗量の推定方法の一例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第一の実施形態)
以下に、図面を参照して実施形態について説明する。
図1は、ショベルの管理システムのシステム構成の一例を示す図である。
【0011】
本実施形態のショベルの管理システムSYSは、ショベル100と、管理装置200と、支援装置300とを含む。以下の説明では、ショベルの管理システムSYSを、単に管理システムSYSと表現する。
【0012】
本実施形態の管理システムSYSにおいて、ショベル100と、管理装置200と、支援装置300とは、ネットワーク等を介して接続される。
【0013】
本実施形態のショベル100は、建設機械の一例であり、自機の稼働状況を示す稼働情報を取得し、管理装置200に送信し、管理装置200から各種の情報を受信する。
【0014】
ショベル100の稼働情報とは、具体的には、自機の現在位置を示す位置情報、自機の向きを示す向き情報、自機の姿勢を示す姿勢情報、作業内容を示す作業内容情報、負荷率を示す負荷率情報、稼働時間、稼働時間の累積時間を示す累積時間情報、燃料噴射量を含む燃料情報、作業量、後述する姿勢センサや負荷センサを含む各種センサから出力された値(センサ値)等を含む。
【0015】
また、ショベル100の稼働情報は、後述するショベル100のバケット6による掘削負荷情報を含む。掘削負荷情報は、掘削深さ、掘削長さ、掘削反力等を含む。また、掘削負荷情報は、後述する姿勢センサから出力される値と、負荷センサから出力される値と、により求められる情報である。掘削反力は、後述するシリンダ圧等によって示される。掘削深さと掘削長さの詳細は後述する。
【0016】
また、ショベル100の稼働情報は、後述するショベル100の撮像装置S6によって取得された画像データを含む。また、ショベル100の稼働情報は、ショベル100を識別するための機体番号等が含まれてよい。
【0017】
管理装置200は、ショベル100から、稼働情報を受信すると、稼働情報に含まれる掘削負荷情報と、画像データとを用いて、バケット6の爪6aの先端の摩耗の状況を推定する。そして、推定結果をショベル100の表示装置40に表示させる。このため、本実施形態では、個々のショベル100の稼働状況に応じて、今後の摩耗状態を推定できる。
【0018】
なお、推定結果は、管理装置200や支援装置300の表示装置に表示されてもよい。以下の説明では、爪6aの先端を爪先と表現する場合がある。また、以下の説明では、爪6aの先端の摩耗を、爪先の摩耗と表現する場合がある。
【0019】
また、本実施形態の管理装置200は、バケット6の爪先の摩耗状況を推定し、推定結果に基づき、爪6aの交換時期を予測してもよい。そして、管理装置200は、爪6aの交換時期を、ショベル100の表示装置40に表示させてもよい。
【0020】
具体的には、例えば、作業現場における地面が固い場合には、掘削負荷が大きくなり、作業現場における地面が柔らかい場合には、掘削負荷が小さくなる。また、地面が固い作業現場と、地面が柔らかい作業現場とでは、ショベル100が作業(掘削)を行った時間が同じであっても、爪先の摩耗の状況が異なる。
【0021】
本実施形態では、このような、ショベル100の作業環境等を含めて、爪先の摩耗状態を推定できる。また、本実施形態では、このように推定された結果を用いて爪6aの交換時期を予測するため、交換時期の予測の精度を向上させることができる。
【0022】
本実施形態の管理装置200の構成及び機能の詳細は後述する。
【0023】
支援装置300は、例えば、ショベル100を操作するオペレータを支援するものであり、管理装置200等から各種の情報を受信して、画面に表示させることで、オペレータに情報を提供する。本実施形態の管理装置200は、支援装置300に対して、ショベル100のバケット6の爪先の摩耗状況の推定結果や、爪6aの交換時期の予測結果を表示させてもよい。
【0024】
なお、
図1の例では、支援装置300は、管理システムSYSに含まれるものとしたが、これに限定されない。支援装置300は、管理システムSYSに含まれなくても良い。
【0025】
また、
図1の例では、管理装置200は1台の情報処理装置により実現されるものとしたが、これに限定されない。管理装置200は、複数の情報処理装置により実現されてもよい。言い換えれば、管理装置200により実現される機能は、複数の情報処理装置により実現されてもよい。
【0026】
以下に、本実施形態のショベル100について説明する。
図1では、ショベル100の側面図を示す。
【0027】
ショベル100は、下部走行体1、旋回機構2、上部旋回体3を有する。ショベル100において、下部走行体1には旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。
【0028】
ブーム4、アーム5、バケット6は、アタッチメントの一例としての掘削アタッチメントを構成している。そして、ブーム4は、ブームシリンダ7により駆動され、アーム5は、アームシリンダ8により駆動され、バケット6は、バケットシリンダ9により駆動される。ブーム4にはブーム角度センサS1が取り付けられ、アーム5にはアーム角度センサS2が取り付けられ、バケット6にはバケット角度センサS3が取り付けられている。
【0029】
ブーム角度センサS1はブーム4の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、ブーム角度センサS1は加速度センサであり、上部旋回体3に対するブーム4の回動角度(以下、「ブーム角度」とする。)を検出できる。ブーム角度は、例えば、ブーム4を最も下げたときに最小角度となり、ブーム4を上げるにつれて大きくなる。
【0030】
アーム角度センサS2はアーム5の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、アーム角度センサS2は加速度センサであり、ブーム4に対するアーム5の回動角度(以下、「アーム角度」とする。)を検出できる。アーム角度は、例えば、アーム5を最も閉じたときに最小角度となり、アーム5を開くにつれて大きくなる。
【0031】
バケット角度センサS3はバケット6の回動角度を検出するように構成されている。本実施形態では、バケット角度センサS3は加速度センサであり、アーム5に対するバケット6の回動角度(以下、「バケット角度」とする。)を検出できる。バケット角度は、例えば、バケット6を最も閉じたときに最小角度となり、バケット6を開くにつれて大きくなる。
【0032】
ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及び、バケット角度センサS3はそれぞれ、可変抵抗器を利用したポテンショメータ、対応する油圧シリンダのストローク量を検出するストロークセンサ、連結ピン回りの回動角度を検出するロータリエンコーダ、ジャイロセンサ、又は、加速度センサとジャイロセンサの組み合わせ等であってもよい。
【0033】
また、ブーム角度センサS1、アーム角度センサS2、及びバケット角度センサS3は、掘削アタッチメントの姿勢を検出する姿勢センサを構成する。さらに、これらの角度センサは、ブーム4、アーム5、バケット6のそれぞれの操作量を検出する操作量検出器も含む。
【0034】
ブームシリンダ7にはブームロッド圧センサS7R及びブームボトム圧センサS7Bが取り付けられている。アームシリンダ8にはアームロッド圧センサS8R及びアームボトム圧センサS8Bが取り付けられている。
【0035】
バケットシリンダ9にはバケットロッド圧センサS9R及びバケットボトム圧センサS9Bが取り付けられている。ブームロッド圧センサS7R、ブームボトム圧センサS7B、アームロッド圧センサS8R、アームボトム圧センサS8B、バケットロッド圧センサS9R及びバケットボトム圧センサS9Bは、集合的に「シリンダ圧センサ」とも称される。
【0036】
また、シリンダ圧センサと、加速度センサとは、走行負荷を検出するための負荷センサを構成してよい。
【0037】
ブームロッド圧センサS7Rはブームシリンダ7のロッド側油室の圧力(以下、「ブームロッド圧」とする。)を検出し、ブームボトム圧センサS7Bはブームシリンダ7のボトム側油室の圧力(以下、「ブームボトム圧」とする。)を検出する。アームロッド圧センサS8Rはアームシリンダ8のロッド側油室の圧力(以下、「アームロッド圧」とする。)を検出し、アームボトム圧センサS8Bはアームシリンダ8のボトム側油室の圧力(以下、「アームボトム圧」とする。)を検出する。
【0038】
バケットロッド圧センサS9Rはバケットシリンダ9のロッド側油室の圧力(以下、「バケットロッド圧」とする。)を検出し、バケットボトム圧センサS9Bはバケットシリンダ9のボトム側油室の圧力(以下、「バケットボトム圧」とする。)を検出する。
【0039】
上部旋回体3には運転室であるキャビン10が設けられ且つエンジン11等の動力源が搭載されている。また、エンジン11の排出機構の近傍には、CO2排出量を検出するためのセンサが設けられていてもよい。
【0040】
さらに、上部旋回体3には、コントローラ30、表示装置40、入力装置42、音声出力装置43、記憶装置47、測位装置P1、機体傾斜センサS4、旋回角速度センサS5、撮像装置S6及び通信装置T1が取り付けられている。
【0041】
上部旋回体3には、電力を供給する蓄電部、及び、エンジン11の回転駆動力を用いて発電する電動発電機等が搭載されていてもよい。蓄電部は、例えば、キャパシタ、又は、リチウムイオン電池等である。電動発電機は、電動機として機能して機械負荷を駆動してもよく、発電機として機能して電気負荷に電力を供給してもよい。
【0042】
コントローラ30は、ショベル100の駆動制御を行う主制御部として機能する。本実施形態では、コントローラ30は、CPU、RAM及びROM等を含むコンピュータで構成されている。コントローラ30の各種機能は、例えば、ROMに格納されたプログラムをCPUが実行することで実現される。各種機能は、例えば、オペレータによるショベル100の手動操作をガイド(案内)するマシンガイダンス機能、及び、オペレータによるショベル100の手動操作を自動的に支援するマシンコントロール機能の少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0043】
表示装置40は、各種情報を表示するように構成されている。表示装置40は、CAN等の通信ネットワークを介してコントローラ30に接続されていてもよく、専用線を介してコントローラ30に接続されていてもよい。
【0044】
入力装置42は、オペレータが各種情報をコントローラ30に入力できるように構成されている。入力装置42は、キャビン10内に設置されたタッチパネル、ノブスイッチ及びメンブレンスイッチ等の少なくとも1つを含む。
【0045】
音声出力装置43は、音声を出力するように構成されている。音声出力装置43は、例えば、コントローラ30に接続される車載スピーカであってもよく、ブザー等の警報器であってもよい。本実施形態では、音声出力装置43は、コントローラ30からの音声出力指令に応じて各種情報を音声出力するように構成されている。
【0046】
記憶装置47は、各種情報を記憶する。記憶装置47は、例えば、半導体メモリ等の不揮発性記憶媒体である。記憶装置47は、ショベル100の動作中に各種機器が出力する情報を記憶してもよく、ショベル100の動作が開始される前に各種機器を介して取得する情報を記憶してもよい。
【0047】
記憶装置47は、例えば、通信装置T1等を介して取得される目標施工面に関するデータを記憶していてもよい。目標施工面は、ショベル100のオペレータが設定したものであってもよく、施工管理者等が設定したものであってもよい。
【0048】
測位装置P1は、上部旋回体3の位置を測定するように構成されている。測位装置P1は、上部旋回体3の向きを測定できるように構成されていてもよい。本実施形態では、測位装置P1は、例えばGNSSコンパスであり、上部旋回体3の位置及び向きを検出し、検出値をコントローラ30に対して出力する。そのため、測位装置P1は、上部旋回体3の向きを検出する向き検出装置としても機能し得る。向き検出装置は、上部旋回体3に取り付けられた方位センサであってもよい。
【0049】
機体傾斜センサS4は上部旋回体3の傾斜を検出するように構成されている。本実施形態では、機体傾斜センサS4は仮想水平面に対する上部旋回体3の前後軸回りの前後傾斜角及び左右軸回りの左右傾斜角を検出する加速度センサである。上部旋回体3の前後軸及び左右軸は、例えば、ショベル100の旋回軸上の一点であるショベル中心点で互いに直交する。
【0050】
旋回角速度センサS5は、上部旋回体3の旋回角速度を検出するように構成されている。旋回角速度センサS5は、上部旋回体3の旋回角度を検出或いは算出するように構成されていてもよい。本実施形態では、旋回角速度センサS5は、ジャイロセンサである。旋回角速度センサS5は、レゾルバ、ロータリエンコーダ等であってもよい。
【0051】
撮像装置S6は、空間認識装置の一例であり、ショベル100の周辺の画像を取得するように構成されている。本実施形態では、撮像装置S6は、ショベル100の前方の空間を撮像する前カメラS6F、ショベル100の左方の空間を撮像する左カメラS6L、ショベル100の右方の空間を撮像する右カメラS6R、及び、ショベル100の後方の空間を撮像する後カメラS6Bを含む。
【0052】
撮像装置S6は、例えば、CCD又はCMOS等の撮像素子を有する単眼カメラであり、撮像した画像を表示装置40に出力する。撮像装置S6は、ステレオカメラ、距離画像カメラ等であってもよい。また、撮像装置S6は、3次元距離画像センサ、超音波センサ、ミリ波レーダ、LIDAR又は赤外線センサ等の他の空間認識装置で置き換えられてもよく、他の空間認識装置とカメラとの組み合わせで置き換えられてもよい。
【0053】
前カメラS6Fは、例えば、キャビン10の天井、すなわちキャビン10の内部に取り付けられている。但し、前カメラS6Fは、キャビン10の屋根、ブーム4の側面等、キャビン10の外部に取り付けられていてもよい。左カメラS6Lは、上部旋回体3の上面左端に取り付けられ、右カメラS6Rは、上部旋回体3の上面右端に取り付けられ、後カメラS6Bは、上部旋回体3の上面後端に取り付けられている。
【0054】
通信装置T1は、ショベル100の外部にある外部機器との通信を制御するように構成されている。本実施形態では、通信装置T1は、衛星通信網、携帯電話通信網又はインターネット網等を介した外部機器との通信を制御する。外部機器は、例えば、外部施設に設置されたサーバ等の管理装置200であってもよく、ショベル100の周囲の作業者が携帯しているスマートフォン等の支援装置300であってもよい。
【0055】
外部機器は、例えば、1又は複数のショベル100に関する施工情報を管理できるように構成されている。施工情報は、例えば、ショベル100の稼働時間、燃費及び作業量等の少なくとも1つに関する情報を含む。作業量は、例えば、掘削した土砂の量、及び、ダンプトラックの荷台に積み込んだ土砂の量等である。
【0056】
ショベル100は、通信装置T1を介し、所定の時間間隔でショベル100に関する施工情報を外部機器に送信するように構成されていてもよい。この構成により、ショベル100の外部にいる作業者又は管理者等は、管理装置200又は支援装置300に接続されているモニタ等の表示装置を通じて施工情報を含む各種情報を視認できる。
【0057】
外部機器は、積載重量測定装置を備えたダンプトラックに搭載されている通信装置であってもよく、ダンプトラックの重量を測定する台貫に接続された通信装置であってもよい。この場合、ショベル100は、ダンプトラック又は台貫からの情報に基づき、ダンプトラックの荷台に積載された土砂等の重量を取得できる。
【0058】
図2は、ショベルの駆動系の構成例を示す図である。
図2において、機械的動力系は二重線、高圧油圧ラインは太実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御系は細実線でそれぞれ示される。
【0059】
エンジン11はショベルの動力源である。本実施形態では、エンジン11は、エンジン負荷の増減にかかわらずエンジン回転数を一定に維持するアイソクロナス制御を採用したディーゼルエンジンである。エンジン11における燃料噴射量、燃料噴射タイミング、ブースト圧等は、エンジンコントローラユニット(ECU)D7により制御される。
【0060】
エンジン11には油圧ポンプとしてのメインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続される。メインポンプ14には高圧油圧ラインを介してコントロールバルブ17が接続される。
【0061】
コントロールバルブ17は、ショベルの油圧系の制御を行う油圧制御装置である。右走行用油圧モータ、左走行用油圧モータ、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、旋回用油圧モータ等の油圧アクチュエータは、高圧油圧ラインを介してコントロールバルブ17に接続される。なお、旋回用油圧モータは旋回用電動発電機であってもよい。
【0062】
パイロットポンプ15にはパイロットラインを介して操作装置26が接続される。操作装置26はレバー及びペダルを含む。また、操作装置26は、油圧ライン及びゲートロック弁D6を介してコントロールバルブ17に接続される。
【0063】
ゲートロック弁D6は、コントロールバルブ17と操作装置26とを接続する油圧ラインの連通・遮断を切り換える。本実施形態では、ゲートロック弁D6は、コントローラ30からの指令に応じて油圧ラインの連通・遮断を切り換える電磁弁である。コントローラ30は、ゲートロックレバーD5が出力する状態信号に基づいてゲートロックレバーD5の状態を判定する。
【0064】
そして、コントローラ30は、ゲートロックレバーD5が引き上げられた状態にあると判定した場合に、ゲートロック弁D6に対して連通指令を出力する。連通指令を受けると、ゲートロック弁D6は開いて油圧ラインを連通させる。その結果、操作装置26に対するオペレータの操作が有効となる。一方、コントローラ30は、ゲートロックレバーD5が引き下げられた状態にあると判定した場合に、ゲートロック弁D6に対して遮断指令を出力する。遮断指令を受けると、ゲートロック弁D6は閉じて油圧ラインを遮断する。その結果、操作装置26に対するオペレータの操作が無効となる。
【0065】
圧力センサ29は、操作装置26の操作内容を圧力の形で検出する。圧力センサ29は、検出値をコントローラ30に対して出力する。
【0066】
また、
図2はコントローラ30と表示装置40との接続関係を示す。本実施形態では、表示装置40はマシンガイダンス装置50を介してコントローラ30に接続される。なお、表示装置40、マシンガイダンス装置50、及びコントローラ30は、CAN等の通信ネットワークを介して接続されてもよく、専用線を介して接続されてもよい。
【0067】
表示装置40は画像を生成する変換処理部40aを含む。本実施形態では、変換処理部40aは、撮像装置S6の出力に基づいて表示用のカメラ画像を生成する。そのため、表示装置40は、マシンガイダンス装置50に接続された撮像装置S6の出力を、マシンガイダンス装置50を介して取得する。但し、撮像装置S6は、表示装置40に接続されてもよく、コントローラ30に接続されてもよい。
【0068】
また、変換処理部40aは、コントローラ30又はマシンガイダンス装置50の出力に基づいて表示用の画像を生成する。本実施形態では、変換処理部40aは、コントローラ30又はマシンガイダンス装置50が出力する各種情報を画像信号に変換する。なお、コントローラ30が出力する情報は、例えば、エンジン冷却水の温度を示すデータ、作動油の温度を示すデータ、燃料の残量を示すデータ等を含む。また、マシンガイダンス装置50が出力する情報は、バケット6の先端(爪6a)位置を示すデータ、作業対象の法面の向きを示すデータ、ショベルの向きを示すデータ、ショベルを法面に正対させるための操作方向を示すデータ等を含む。
【0069】
なお、変換処理部40aは、表示装置40が有する機能としてではなく、コントローラ30又はマシンガイダンス装置50が有する機能として実現されてもよい。
【0070】
また、表示装置40は、蓄電池70から電力の供給を受けて動作する。なお、蓄電池70はエンジン11のオルタネータ11a(発電機)で発電した電力で充電される。蓄電池70の電力は、コントローラ30及び表示装置40以外のショベルの電装品72等にも供給される。また、エンジン11のスタータ11bは、蓄電池70からの電力で駆動され、エンジン11を始動する。
【0071】
エンジン11は、エンジンコントローラユニットD7により制御される。エンジンコントローラユニットD7からは、エンジン11の状態を示す各種データ(例えば、水温センサ11cで検出される冷却水温(物理量)を示すデータ)がコントローラ30に常時送信される。したがって、コントローラ30は一時記憶部(メモリ)30aにこのデータを蓄積しておき、必要なときに表示装置40に送信することができる。
【0072】
また、コントローラ30には以下のように各種のデータが供給され、コントローラ30の一時記憶部30aに格納される。
【0073】
まず、可変容量式油圧ポンプであるメインポンプ14のレギュレータ14aから斜板傾転角を示すデータがコントローラ30に供給される。また、メインポンプ14の吐出圧力を示すデータが、吐出圧力センサ14bからコントローラ30に送られる。これらのデータ(物理量を表すデータ)は一時記憶部30aに格納される。また、メインポンプ14が吸入する作動油が貯蔵されたタンクとメインポンプ14との間の管路には油温センサ14cが設けられており、その管路を流れる作動油の温度を表すデータが油温センサ14cからコントローラ30に供給される。
【0074】
また、燃料収容部55における燃料収容量検出部55aから燃料収容量を示すデータがコントローラ30に供給される。本実施形態では、燃料収容部55としての燃料タンクにおける燃料収容量検出部55aとしての燃料残量センサから燃料の残量状態を示すデータがコントローラ30に供給される。
【0075】
具体的には、燃料残量センサは、液面に追従するフロートと、フロートの上下変動量を抵抗値に変換する可変抵抗器(ポテンショメータ)とで構成される。この構成により、燃料残量センサは、表示装置40で燃料の残量状態を無段階表示させることができる。なお、燃料収容量検出部の検出方式は、使用環境等に応じて適宜選択され得るものであり、燃料の残量状態を段階表示させることができる検出方式が採用されてもよい。
【0076】
また、操作装置26を操作した際にコントロールバルブ17に送られるパイロット圧が、圧力センサ29で検出され、検出したパイロット圧を示すデータがコントローラ30に供給される。
【0077】
また、本実施形態では、
図2に示すように、ショベルは、キャビン10内にエンジン回転数調整ダイヤル75を備える。エンジン回転数調整ダイヤル75は、エンジン11の回転数を調整するためのダイヤルであり、本実施形態ではエンジン回転数を4段階で切り換えできるようにする。また、エンジン回転数調整ダイヤル75からは、エンジン回転数の設定状態を示すデータがコントローラ30に常時送信される。また、エンジン回転数調整ダイヤル75は、SPモード、Hモード、Aモード、及びアイドリングモードの4段階でエンジン回転数を切り換えできるようにする。なお、
図2は、エンジン回転数調整ダイヤル75でHモードが選択された状態を示す。
【0078】
SPモードは、作業量を優先したい場合に選択される回転数モードであり、最も高いエンジン回転数を利用する。Hモードは、作業量と燃費を両立させたい場合に選択される回転数モードであり、二番目に高いエンジン回転数を利用する。Aモードは、燃費を優先させながら低騒音でショベルを稼働させたい場合に選択される回転数モードであり、三番目に高いエンジン回転数を利用する。アイドリングモードは、エンジン11をアイドリング状態にしたい場合に選択される回転数モードであり、最も低いエンジン回転数を利用する。そして、エンジン11は、エンジン回転数調整ダイヤル75で設定された回転数モードのエンジン回転数で一定に回転数制御される。
【0079】
また、本実施形態の操作装置26は、電気式の操作装置26であってよい。また、操作装置26は、ショベル100の外部に設置された遠隔操作室内に配置されてもよい。更に、操作装置26は、ショベル100の周囲の作業者が携帯する携帯端末により実現されてもよい。
【0080】
このように、操作装置26をショベル100の外部に設ける場合にも、コントローラ30は、通信機器を介して、操作者が入力する操作装置26の操作量を電気信号として受信し、その後、比例弁(不図示)へ送信することにより、アクチュエータを駆動させることができる。このため、操作装置26をショベル100の外部に設ける場合にも、比例弁は省略可能である。また、コントローラ30は、操作者が入力する操作装置26の操作量ではなく、予め設定された動作パターン、若しくは、目標軌道等に基づいて生成される電気信号を比例弁に送信することにより、アクチュエータを駆動させることができる。すなわち、コントローラ30は、動作パターン又は目標軌道等に沿って各アクチュエータが駆動する自律制御式のショベルの場合にも、動作パターン又は目標軌道等に基づき生成された電気信号を比例弁へ送信することにより、アクチュエータを駆動させることができる。
【0081】
ショベル100を遠隔操作する場合には、オペレータが現地でショベル100を操作しないため、部材の摩耗状態を把握することが困難であるが、本実施形態を適用することで、遠隔操作されるショベル100の部材の摩耗状態をオペレータや管理者等に把握させることができる。
【0082】
次に、
図3及び
図4を参照して、本実施形態の管理装置200の構成及び機能について説明する。
図3は、管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0083】
本実施形態の管理装置200は、それぞれバスBで相互に接続されている入力装置201、出力装置202、ドライブ装置203、補助記憶装置204、メモリ装置205、演算処理装置206及びインターフェース装置207を含むコンピュータである。
【0084】
入力装置201は、各種の情報の入力を行うための装置であり、例えばタッチパネル等により実現される。出力装置202は、各種の情報の出力を行うためものであり、例えばディスプレイ等により実現される。インターフェース装置207は、ネットワークに接続する為に用いられる。
【0085】
後述する各部を実現する摩耗推定プログラムは、管理装置200を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。摩耗推定プログラムは、例えば、記憶媒体208の配布やネットワークからのダウンロード等によって提供される。摩耗推定プログラムを記録した記憶媒体208は、情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記憶媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記憶媒体を用いることができる。
【0086】
また、摩耗推定プログラムは、摩耗推定プログラムを記録した記憶媒体208がドライブ装置203にセットされると、記憶媒体208からドライブ装置203を介して補助記憶装置204にインストールされる。ネットワークからダウンロードされた摩耗推定プログラムは、インターフェース装置207を介して補助記憶装置204にインストールされる。
【0087】
補助記憶装置204は、管理装置200にインストールされた摩耗推定プログラムを格納すると共に、管理装置200による各種の必要なファイル、データ等を格納する。メモリ装置205は、管理装置200の起動時に補助記憶装置204から摩耗推定プログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置206はメモリ装置205に格納された摩耗推定プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0088】
次に、
図4を参照して、本実施形態の管理装置200の機能について説明する。
図4は、管理装置の機能構成について説明する図である。
【0089】
本実施形態の管理装置200は、データ取得部210、情報記憶部211、特徴量算出部212、摩耗量算出部213、予測式更新部214、摩耗量推定部215、交換時期算出部216、表示制御部217を有する。
【0090】
データ取得部210は、ショベル100から稼働情報を取得する。より具体的には、データ取得部210は、ショベル100から受信した掘削負荷情報、撮像装置S6により撮像された画像データを取得する。なお、掘削負荷情報と、撮像装置S6により撮像された画像データとは、稼働情報に含まれるものとしたが、これに限定されない。稼働情報には、掘削負荷情報が含まれており、画像データは、稼働情報とは別に取得されてもよい。この場合、画像データは、掘削負荷情報が取得されたときに撮像された画像データとする。
【0091】
情報記憶部211は、データ取得部210により取得された稼働情報を記憶する。言い換えれば、情報記憶部211は、ショベル100から取得された稼働情報を蓄積する。また、本実施形態の情報記憶部211は、例えば、爪6aの工場出荷時の長さを示す情報を予め記憶している。
【0092】
以下の説明では、爪6aの工場出荷時の長さを示す情報とは、言い換えれば、爪(部材)の初期の状態を示す形態情報である。部材の形態情報は、部材の工場出荷時(初期)の形状を示す情報であれば、どのような情報であってもよく、部材(爪6a)を撮像した画像データであってもよい。部材の初期の状態を示す形態情報は、予め情報記憶部211等に格納されていてもよく、部材の取付を行う作業者により、部材を選択することで、対応する形態情報が選択されてもよい。
【0093】
また、本実施形態の情報記憶部211は、摩耗量推定部215による推定結果や、交換時期算出部216による算出結果等を、稼働情報と共に記憶してよい。
【0094】
特徴量算出部212は、データ取得部210が取得した稼働情報の特徴量を算出する。本実施形態の特徴量とは、例えば、稼働情報に含まれる各種の物理量の変化を示す波形の形状を特徴付ける種々の統計量を意味する。
【0095】
摩耗量算出部213は、ショベル100において稼働情報が取得されたときのショベル100の爪先の摩耗量を算出する。具体的には、摩耗量算出部213は、稼働情報に含まれる画像データが示す画像のうち、前カメラS6Fにより撮像された爪6aの画像から、画像データが取得されたときの爪6aの長さを算出する。そして、摩耗量算出部213は、情報記憶部211に記憶されている、爪6aの工場出荷時の長さと、画像データが示す画像から算出された爪6aの長さとから、爪先の摩耗量を算出する。
【0096】
より具体的には、摩耗量算出部213は、爪6aの工場出荷時の長さと、画像データが示す画像から算出された爪6aの長さとの差分を、爪6aの現在の摩耗量とする。現在の摩耗量とは、画像データが取得されたときの爪先の摩耗量である。
【0097】
なお、摩耗量算出部213は、稼働情報に含まれる画像データが示す画像のうち、爪6aの画像から、爪先の摩耗量を算出するものとしたが、これに限定されない。摩耗量算出部213は、稼働情報を取得したときの爪先の長さや、爪先の形状を示す情報を、爪6aの画像の代わりに用いることができる。
【0098】
予測式更新部214は、情報記憶部211に蓄積された稼働情報と、摩耗量算出部213により算出された摩耗量とから、後述する摩耗量推定部215を更新する。
【0099】
摩耗量推定部215は、情報記憶部211に蓄積された稼働情報と、摩耗量算出部213により算出された現在の摩耗量とに基づき、今後の爪先の摩耗状態を推定する。言い換えれば、摩耗量推定部215は、現在の爪先の摩耗量と、これまでの稼働情報に含まれる掘削負荷情報に応じた爪先の摩耗の進行具合(摩耗の速度)を推定する。
【0100】
本実施形態の摩耗量推定部215は、例えば、ニューラルネットワーク等を用いた推定モデルであってよい。また、予測式更新部214は、摩耗量推定部215を実現する推定モデルを、情報記憶部211に蓄積された稼働情報と、現在の爪先の摩耗量とを入力として、再学習させるものであってよい。
【0101】
交換時期算出部216は、摩耗量推定部215により推定された摩耗の状況から、爪6aの交換時期を算出する。具体的には、交換時期算出部216は、摩耗量推定部215により推定された摩耗の速度に基づき、爪先の摩耗量が、交換が必要となる摩耗量に到達する時期を予測する。言い換えれば、交換時期算出部216は、摩耗量推定部215により推定された摩耗の速度に基づき、爪6aの長さが、交換が要求される長さとなる時期を予測する。
【0102】
表示制御部217は、交換時期算出部216により算出された交換時期を、ショベル100の表示装置40に表示させる。なお、表示制御部217は、交換時期を支援装置300や管理装置200のディスプレイ等に表示させてもよい。
【0103】
次に、
図5を参照して、本実施形態の爪先の摩耗量について説明する。
図5は、爪先の摩耗量について説明する図である。
【0104】
図5では、縦軸を爪先の摩耗量とし、横軸を時間として、摩耗量と時間との関係を示している。
【0105】
図5に示す直線53は、ショベル100が地面の固い作業現場で作業を行った場合の爪先の摩耗量と時間の関係を示し、直線56は、ショベル100が地面の柔らかい作業現場で作業を行った場合の爪先の摩耗量と時間の関係を示す。
【0106】
言い換えれば、直線53は、ショベル100の掘削負荷が大きい状態で作業を行った場合の爪先の摩耗量と時間の関係を示し、直線56は、ショベル100の掘削負荷が小さい状態で作業を行った場合の爪先の摩耗量と時間の関係を示す。
【0107】
図5において、タイミングt1は、それぞれの作業現場において、ショベル100が作業を開始する時期を示す。タイミングt1におけるそれぞれのショベル100の爪先の摩耗量は共にM1である。
【0108】
また、タイミングt2では、掘削負荷が大きい作業現場で作業を行っているショベル100の爪先の摩耗量はM3であり、掘削負荷が小さい作業現場で作業を行っているショベル100の爪先の摩耗量はM3より小さい値のM2である。
【0109】
また、タイミングt3では、掘削負荷が大きい作業現場で作業を行っているショベル100の爪先の摩耗量は、爪6aの交換が要求される摩耗量である閾値Mthに到達している。これに対し、掘削負荷が小さい作業現場で作業を行っているショベル100の爪先の摩耗量は、閾値Mthより小さい値のM4である。
【0110】
また、掘削負荷が小さい作業現場で作業を行っているショベル100の爪先の摩耗量は、タイミングt3よりも時間が経過したタイミングt4において、閾値Mthに到達する。
【0111】
このように、ショベル100の爪先の摩耗状態は、掘削負荷に応じて異なる。本実施形態では、この点に着目し、あるタイミングにおける爪先の摩耗量と、過去の稼働情報(掘削負荷情報)とから、今後の爪先の摩耗状態を推定する。
【0112】
具体的には、例えば、本実施形態では、タイミングt2のショベル100の爪先の摩耗量と、タイミングt1からタイミングt2までの間に蓄積した稼働情報とに基づき、爪先の摩耗量が閾値Mthに達する時期を予測する。
【0113】
言い換えれば、本実施形態では、タイミングt2を摩耗量の評価時点とした場合、摩耗量推定部215は、タイミングt2において摩耗量算出部213により算出された摩耗量と、タイミングt1からタイミングt2までの間に蓄積した稼働情報に基づき、摩耗量が閾値Mthに達するタイミングt3(将来のタイミング)を推定する。
【0114】
なお、このとき、本実施形態では、ショベル100の爪先の摩耗量が0であるときからタイミングt2までの間に蓄積した稼働情報を用いてもよい。摩耗量が0であるときとは、爪6aが工場出荷時の状態である。
【0115】
以下に、
図6を参照して、掘削と爪先の摩耗について説明する。
図6は掘削と爪先の摩耗について説明する図である。
図6(A)は、稼働情報に含まれる掘削深さと掘削長さについて説明する模式図である。
【0116】
図6において、掘削開始時のバケット6を符号6b(実線)で示す。また、バケット6の動作を、順に符号6c~6e(破線)で示す。また、掘削前の地面の形状を形状線71(実線)で示す。また、掘削後の地面の形状、換言すれば、バケット爪先位置Psの軌跡を爪先軌跡73(破線)で示す。
【0117】
本実施形態の掘削深さDと掘削長さLは、掘削後の地面の形状(バケット爪先位置Psの爪先軌跡73)から求められる。掘削深さDと掘削長さLとは、例えば、ショベル100のコントローラ30が、自機の姿勢から求めてもよい。
【0118】
次に、
図6(B)を参照して、本実施形態の稼働情報に含まれる画像データについて説明する。
図6(B)は、前カメラS6Fによって撮像されたバケット6の画像の一例を示す。
図6(B)の例では、バケット6が正面から撮像されている。
【0119】
本実施形態の摩耗量算出部213は、この画像を示す画像データを取得すると、爪6aの長さを、工場出荷時の爪先の長さと比較する。
図6(B)の例では、点線で示す形状61が、工場出荷時の爪6aの形状であってよい。
【0120】
摩耗量算出部213は、形状61が示す爪先の先端と、画像における爪6aの先端との差分を、摩耗量Mとして算出する。
【0121】
なお、摩耗量算出部213は、爪6aの工場出荷時の画像を示す画像データを保持しており、この画像と、前カメラS6Fにより撮像された爪6aの画像とを比較してもよい。
【0122】
また、本実施形態の摩耗量算出部213は、爪先の摩耗量を、爪毎に算出してもよい。具体的には、例えば、摩耗量算出部213は、バケット6の中央の爪と左右両端の爪に対してのみ摩耗量の算出を行っても良い。こはれ、施工において、中央の爪と左右両端の爪が重要になるためである。
【0123】
本実施形態の摩耗量推定部215は、このように、稼働情報に含まれる掘削負荷情報と、画像データから算出される摩耗量と、から、今後の爪先の摩耗の状況を推定する。
【0124】
以下に、
図7を参照して、本実施形態の管理装置200の動作について説明する。
図7は、管理装置の動作を説明するフローチャートである。
【0125】
本実施形態の管理装置200は、データ取得部210により、ショベル100から稼働情報を取得する(ステップS701)。データ取得部210により取得された稼働情報は、情報記憶部211に蓄積される。
【0126】
続いて、管理装置200は、特徴量算出部212により、稼働情報の特徴量を算出する(ステップS702)。
【0127】
続いて、管理装置200は、摩耗量算出部213により、稼働情報に含まれる画像データと、情報記憶部211に格納された爪6aの工場出荷時の長さとに基づき、爪6aの摩耗量を算出する(ステップS703)。
【0128】
続いて、管理装置200は、稼働情報と、摩耗量とから、推定モデルを更新する(ステップS704)。なお、このとき、特徴量算出部212で算出した稼働情報の特徴量等を用いてもよい。また、推定モデルは、摩耗量推定部215を実現するモデルであってよい。
【0129】
続いて、管理装置200は、更新された摩耗量推定部215により、爪先の摩耗量の状況を推定し、交換時期算出部216により、爪6aの交換時期を算出する(ステップS705)。
【0130】
ここで、ステップS705の処理について説明する。本実施形態の摩耗量推定部215は、掘削負荷情報と摩耗量とに基づき、所定期間後の爪先の摩耗量を推定する。例えば、摩耗量推定部215は、1日後の爪先の摩耗量、3日後の爪先の摩耗量、5日後の爪先の摩耗量、という具合に、所定期間毎の爪先の摩耗量を推定してもよい。
【0131】
言い換えれば、摩耗量推定部215は、
図5に示す直線53や直線56の傾きに相当する値(摩耗する速さ)を推定してもよい。
【0132】
次に、交換時期算出部216は、推定結果に基づき、爪先の摩耗量が、爪6aの交換が要求される閾値Mthに達する時期を算出する。言い換えれば、交換時期算出部216は、爪6aの長さが、所定の残量(長さ)となる時期を算出する。
【0133】
続いて、管理装置200は、交換時期算出部216により、ステップS705で算出された時期と、
図7の処理が実行された日付けとから、爪6aの交換時期を算出し、表示制御部217により、爪6aの交換時期をショベル100の表示装置40に表示させる(ステップS706)。
【0134】
本実施形態では、このように、爪先の摩耗の速度を推定し、推定結果に応じた交換時期を予測する。したがって、本実施形態では、例えば、ショベル100の作業現場が、掘削負荷の大きい作業現場から掘削負荷の小さい作業現場に変更された場合等であっても、作業環境に応じた摩耗量の推定を行うことができる。
【0135】
図8は、ショベルの表示例を示す第一の図である。
図8は、表示装置40のメイン画面が表示された例を示している。
【0136】
図8に示す表示装置40は、画像表示部41と、入力装置42とを有する。画像表示部41各種の画像が表示される画面であり、
図8では、画像表示部41にメイン画面が表示されている。入力装置42は、各種のメニュースイッチが含まれる。
【0137】
まず、画像表示部41について説明する。
図8に示されるように、画像表示部41は、日時表示領域41a、走行モード表示領域41b、アタッチメント表示領域41c、燃費表示領域41d、エンジン制御状態表示領域41e、エンジン稼働時間表示領域41f、冷却水温表示領域41g、燃料残量表示領域41h、回転数モード表示領域41i、尿素水残量表示領域41j、作動油温表示領域41k、エアコン運転状態表示領域41m、画像表示領域41n、及びメニュー表示領域41pを含む。
【0138】
走行モード表示領域41b、アタッチメント表示領域41c、エンジン制御状態表示領域41e、回転数モード表示領域41i、及びエアコン運転状態表示領域41mは、ショベル100の設定状態に関する情報である設定状態情報を表示する領域である。燃費表示領域41d、エンジン稼働時間表示領域41f、冷却水温表示領域41g、燃料残量表示領域41h、尿素水残量表示領域41j、及び作動油温表示領域41kは、ショベル100の稼動状態に関する情報である稼動状態情報を表示する領域である。
【0139】
具体的には、日時表示領域41aは、現在の日時を表示する領域である。走行モード表示領域41bは、現在の走行モードを表示する領域である。アタッチメント表示領域41cは、現在装着されているアタッチメントを表す画像を表示する領域である。燃費表示領域41dは、コントローラ30によって算出された燃費情報を表示する領域である。燃費表示領域41dは、生涯平均燃費又は区間平均燃費を表示する平均燃費表示領域41d1、瞬間燃費を表示する瞬間燃費表示領域41d2を含む。
【0140】
エンジン制御状態表示領域41eは、エンジン11の制御状態を表示する領域である。エンジン稼働時間表示領域41fは、エンジン11の累積稼働時間を表示する領域である。冷却水温表示領域41gは、現在のエンジン冷却水の温度状態を表示する領域である。燃料残量表示領域41hは、燃料タンクに貯蔵されている燃料の残量状態を表示する領域である。
【0141】
回転数モード表示領域41iは、エンジン回転数調整ダイヤル75によって設定された現在の回転数モードを画像で表示する領域である。尿素水残量表示領域41jは、尿素水タンクに貯蔵されている尿素水の残量状態を画像で表示する領域である。作動油温表示領域41kは、作動油タンク内の作動油の温度状態を表示する領域である。
【0142】
エアコン運転状態表示領域41mは、現在の吹出口の位置を表示する吹出口表示領域41m1、現在の運転モードを表示する運転モード表示領域41m2、現在の設定温度を表示する温度表示領域41m3、及び現在の設定風量を表示する風量表示領域41m4を含む。
【0143】
画像表示領域41nは、撮像装置S6が撮像した画像を表示する領域である。
図8の例では、画像表示領域41nは、俯瞰画像FV及び後方画像CBTを表示している。俯瞰画像FVは、例えば、表示制御部217によって生成される仮想視点画像であり、後カメラS6B、左カメラS6L、及び右カメラS6Rのそれぞれが取得した画像に基づいて生成される。
【0144】
また、俯瞰画像FVの中央部分には、ショベル100に対応するショベル図形GEが配置されている。ショベル100とショベル100の周囲に存在する物体との位置関係をオペレータにより直感的に把握させるためである。後方画像CBTは、ショベル100の後方の空間を映し出す画像であり、カウンタウェイトの画像GCを含む。後方画像CBTは、コントローラ30によって生成される実視点画像であり、後カメラS6Bが取得した画像に基づいて生成される。
【0145】
また、画像表示領域41nは、上方に位置する第1画像表示領域41n1と下方に位置する第2画像表示領域41n2を有する。
図8の例では、俯瞰画像FVを第1画像表示領域41n1に配置し、且つ、後方画像CBTを第2画像表示領域41n2に配置している。但し、画像表示領域41nは、俯瞰画像FVを第2画像表示領域41n2に配置し、且つ、後方画像CBTを第1画像表示領域41n1に配置してもよい。
【0146】
また、
図8の例では、俯瞰画像FVと後方画像CBTとは上下に隣接して配置されているが、間隔を空けて配置されていてもよい。また、
図8の例では、画像表示領域41nが縦長の領域であるが、画像表示領域41nは横長の領域であってもよい。
【0147】
画像表示領域41nが横長の領域である場合、画像表示領域41nは、左側に第1画像表示領域41n1として俯瞰画像FVを配置し、右側に第2画像表示領域41n2として後方画像CBTを配置してもよい。この場合、左右に間隔を空けて配置してもよいし、俯瞰画像FVと後方画像CBTの位置を入れ換えてもよい。
【0148】
さらに、本実施形態では、第1画像表示領域41n1と第2画像表示領域41n2のそれぞれに、アイコン画像41xが表示される。アイコン画像41xは、撮像装置S6の位置と上部旋回体3のアタッチメントの向きとの相対的関係を表す画像である。
【0149】
本実施形態のアイコン画像41xは、ショベル100の画像41xMと、ショベル100の前方を示す画像41xF、ショベル100の後方を示す画像41xB、を含む。また、アイコン画像41xは、ショベル100の左側を示す画像41xL、ショベル100の右側を示す画像41xR、キャビン10内を示す画像41xIを含む。
【0150】
画像41xF、41xB、41xL、41xR、41xIは、それぞれが、ショベル100の前方を撮像する前カメラS6F、ショベル100の後方を撮像する後カメラS6B、ショベル100の左方を撮像する左カメラS6L、ショベル100の右方を撮像する右カメラS6Rに対応している。また、画像41xIは、キャビン10内部のカメラに対応している。
【0151】
本実施形態では、アイコン画像41xにおいて、各カメラと対応付けられた画像が選択されると、選択された画像と対応するカメラによって撮像された画像データが画像表示領域41nに表示される。
【0152】
図8の例では、第1画像表示領域41n1では、画像41xB、41xL、41xRの表示態様が、画像41xF、画像41xIの表示態様と異なっている。このため、第1画像表示領域41n1には、画像41xB、41xL、41xRのそれぞれと対応する後カメラS6B、左カメラS6L、右カメラS6Rで撮像された画像データから合成された画像データが示す俯瞰画像が表示されていることがわかる。
【0153】
また、本実施形態の第1画像表示領域41n1には、表示領域45に、爪の交換時期を通知するメッセージが表示されている。表示領域45のメッセージは、例えば、
図7のステップS706において表示される。
【0154】
なお、表示領域45に表示されたメッセージは、例えば、一定時間表示された後に、消去されてもよい。また、表示制御部217は、キーオフ時に、このメッセージを表示させてもよい。また、本実施形態では、例えば、このメッセージを表示させるタイミングが任意に設定されていてもよい。具体的には、例えば、ショベル100の稼働中において、一定間隔毎にメッセージが表示されるように設定されていてもよい。
【0155】
また、本実施形態では、表示領域45を、第1画像表示領域41n1に表示させるようにした。このため、本実施形態によれば、第2画像表示領域41n2に表示された後方画像CBTの視認性を悪化させずに、メッセージを表示させることができる。
【0156】
また、第2画像表示領域41n2では、画像41xBの表示態様が、画像41xF、41xL、41xR、41xIの表示態様と異なっている。このため、第2画像表示領域41n2には、画像41xBと対応する後カメラS6Bで撮像された画像データが示す画像が表示されていることがわかる。
【0157】
メニュー表示領域41pは、タブ41p1~41p7を有する。
図8の例では、画像表示部41の最下部に、タブ41p1~41p7が左右に互いに間隔を空けて配置されている。タブ41p1~41p7には、各種情報を表示するためのアイコン画像が表示される。
【0158】
タブ41p1には、メニュー詳細項目を表示するためのメニュー詳細項目アイコン画像が表示されている。オペレータによりタブ41p1が選択されると、タブ41p2~41p7に表示されているアイコン画像がメニュー詳細項目に関連付けされたアイコン画像に切り換わる。
【0159】
タブ41p4には、デジタル水準器に関する情報を表示するためのアイコン画像が表示されている。オペレータによりタブ41p4が選択されると、後方画像CBTがデジタル水準器に関する情報を示す画面に切り換わる。但し、後方画像CBTに重畳したり、後方画像CBTが縮小したりしてデジタル水準器に関する情報を示す画面が表示されてもよい。
【0160】
また、俯瞰画像FVがデジタル水準器に関する情報を示す画面に切り換わってもよく、俯瞰画像FVに重畳したり、俯瞰画像FVが縮小したりしてデジタル水準器に関する情報を示す画面が表示されてもよい。
【0161】
タブ41p5には、画像表示部41に表示されているメイン画面を積み込み作業画面に遷移させるためのアイコン画像が表示されている。オペレータにより、後述するタブ41p5と対応する入力装置42が選択されると、画像表示部41に表示されたメイン画面が積み込み作業画面に遷移する。尚、このとき、画像表示領域41nは継続して表示され、メニュー表示領域41pが、積み込み作業に関する情報を表示させる領域に切り替わる。
【0162】
タブ41p6には、情報化施工に関する情報を表示するためのアイコン画像が表示されている。オペレータによりタブ41p6が選択されると、後方画像CBTが情報化施工に関する情報を示す画面に切り換わる。但し、後方画像CBTに重畳したり、後方画像CBTが縮小したりして情報化施工に関する情報を示す画面が表示されてもよい。また、俯瞰画像FVが情報化施工に関する情報を示す画面に切り換わってもよく、俯瞰画像FVに重畳したり、俯瞰画像FVが縮小したりしてデジタル水準器に関する情報を示す画面が表示されてもよい。
【0163】
タブ41p7には、クレーンモードに関する情報を表示するためのアイコン画像が表示されている。オペレータによりタブ41p7が選択されると、後方画像CBTがクレーンモードに関する情報を示す画面に切り換わる。但し、後方画像CBTに重畳したり、後方画像CBTが縮小したりしてクレーンモードに関する情報を示す画面が表示されてもよい。また、俯瞰画像FVがクレーンモードに関する情報を示す画面に切り換わってもよく、俯瞰画像FVに重畳したり、俯瞰画像FVが縮小したりしてクレーンモードに関する情報を示す画面が表示されてもよい。
【0164】
タブ41p2、41p3には、アイコン画像が表示されていない。このため、オペレータによりタブ41p2、41p3が操作されても、画像表示部41に表示される画像に変化は生じない。
【0165】
尚、タブ41p1~41p7に表示されるアイコン画像は上記した例に限定されるものではなく、他の情報を表示するためのアイコン画像が表示されていてもよい。
【0166】
次に、入力装置42について説明する。
図8に示されるように、入力装置42は、オペレータによるタブ41p1~41p7の選択、設定入力等が行われる1又は複数のボタン式のスイッチにより構成されている。
【0167】
図8の例では、入力装置42は、上段に配置された7つのスイッチ42a1~42a7と、下段に配置された7つのスイッチ42b1~42b7と、を含む。スイッチ42b1~42b7は、スイッチ42a1~42a7のそれぞれの下方に配置されている。
【0168】
但し、入力装置42のスイッチの数、形態、及び配置は、上記した例に限定されるものではなく、例えば、ジョグホイール、ジョグスイッチ等により複数のボタン式のスイッチの機能を1つにまとめた形態であってもよいし、入力装置42が表示装置40と別体になっていてもよい。また、画像表示部41と入力装置42が一体となったタッチパネルでタブ41p1~41p7を直接操作する方式でもよい。
【0169】
スイッチ42a1~42a7は、タブ41p1~41p7の下方に、それぞれタブ41p1~41p7に対応して配置されており、それぞれタブ41p1~41p7を選択するスイッチとして機能する。
【0170】
スイッチ42a1~42a7がそれぞれタブ41p1~41p7の下方に、それぞれタブ41p1~41p7に対応して配置されているので、オペレータは直感的にタブ41p1~41p7を選択できる。
【0171】
図8では、例えば、スイッチ42a1が操作されるとタブ41p1が選択されて、メニュー表示領域41pが1段表示から2段表示に変更されて第1メニューに対応するアイコン画像がタブ41p2~41p7に表示される。また、メニュー表示領域41pが1段表示から2段表示に変更されたことに対応して、後方画像CBTの大きさが縮小される。このとき、俯瞰画像FVの大きさは変更されることなく維持されるので、オペレータがショベル100の周囲を確認するときの視認性が悪化しない。
【0172】
また、表示制御部217は、スイッチ42a5が操作されると、タブ41p5が選択されたものとし、メイン画面を積み込み作業画面に遷移させる。
【0173】
具体的には、表示制御部217は、スイッチ42a5が操作されると、画像表示領域41nは維持したまま、メニュー表示領域41pを積み込み作業に関する情報を表示させる作業情報表示領域とする。
【0174】
このように、本実施形態では、積み込み作業画面においても、画像表示領域41nに継続して撮像画像が表示されるため、オペレータがショベル100の周囲を確認するときの視認性が悪化させない。
【0175】
スイッチ42b1は、画像表示領域41nに表示される撮像画像を切り換えるスイッチである。スイッチ42b1が操作されるごとに画像表示領域41nの第1画像表示領域41n1に表示される撮像画像が、例えば、後方画像、左方画像、右方画像、及び俯瞰画像の間で切り換わるように構成されている。
【0176】
また、スイッチ42b1が操作されるごとに画像表示領域41nの第2画像表示領域41n2に表示される撮像画像が、例えば、後方画像、左方画像、右方画像、及び俯瞰画像の間で切り換わるように構成されていてもよい。
【0177】
また、表示制御部217は、スイッチ42b1の操作に応じて、アイコン画像41xにおける画像41xF、41xB、41xL、41xR、41xIの表示態様を変更してもよい。
【0178】
また、スイッチ42b1が操作されるごとに画像表示領域41nの第1画像表示領域41n1に表示される撮像画像と第2画像表示領域41n2に表示される撮像画像とが入れ換わるように構成されていてもよい。
【0179】
このように、入力装置42としてのスイッチ42b1は、第1画像表示領域41n1又は第2画像表示領域41n2に表示される画面を切り換えてもよいし、第1画像表示領域41n1と第2画像表示領域41n2に表示される画面を切り換えてもよい。また、第2画像表示領域41n2に表示される画面を切り換えるためのスイッチを別に設けてもよい。
【0180】
スイッチ42b2、42b3は、エアコンの風量を調節するスイッチである。
図8の例では、スイッチ42b2が操作されるとエアコンの風量が小さくなり、スイッチ42b3が操作されるとエアコンの風量が大きくなるように構成されている。
【0181】
スイッチ42b4は、冷房・暖房機能のON・OFFを切り換えるスイッチである。
図8の例では、スイッチ42b4が操作されるごとに冷房・暖房機能のON・OFFが切り換わるように構成されている。
【0182】
スイッチ42b5、42b6は、エアコンの設定温度を調節するスイッチである。
図8の例では、スイッチ42b5が操作されると設定温度が低くなり、スイッチ42b6が操作されると設定温度が高くなるように構成されている。
【0183】
スイッチ42b7は、エンジン稼働時間表示領域41fの表示を切り換得るスイッチである。
【0184】
また、スイッチ42a2~42a6、42b2~42b6は、それぞれのスイッチ又はスイッチ近傍に表示された数字を入力可能に構成されている。また、スイッチ42a3、42a4、42a5、42b4は、メニュー画面にカーソルが表示された際、カーソルをそれぞれ左、上、右、下に移動させることが可能に構成されている。
【0185】
なお、スイッチ42a1~42a7、42b1~42b7に与えられる機能は一例であり、他の機能が実行できるように構成されていてもよい。
【0186】
以上に説明したように、画像表示領域41nに俯瞰画像FV及び後方画像CBTが表示されている状態で、タブ41p1が選択されると、俯瞰画像FV及び後方画像CBTを表示した状態でタブ41p2~41p7に第1メニュー詳細項目が表示される。このため、オペレータは、俯瞰画像FV及び後方画像CBTを確認しながら、第1メニュー詳細項目を確認できる。
【0187】
また、画像表示領域41nには、タブ41p1が選択される前後で大きさが変更されることなく俯瞰画像FVが表示される。オペレータがショベル100の周囲を確認するときの視認性が悪化しない。
【0188】
本実施形態では、このように、ショベル100の表示装置40に、爪6aの交換時期を表示させることで、ショベル100のオペレータに対し、爪6aの交換が必要であることを認識させることができる。
【0189】
(第二の実施形態)
以下に、図面を参照して、第二の実施形態について説明する。第二の実施形態では、走行中の振動データと、下部走行体1の画像データとを用いて、下部走行体1の有するキャリアローラの摩耗の状況を推定する点が、第一の実施形態と相違する。以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の構成については、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、説明を省略する。
【0190】
以下に、
図9及び
図10を参照して、下部走行体1の構成と、ショベル100の振動データについて説明する。
図9は、下部走行体の構成を説明する図である。
図10は、路面の状態とショベルの走行状態について説明する図である。
【0191】
本実施形態の下部走行体1は、主に、フレーム1a、クローラベルト1b、キャリアローラ1c、トラックローラ1d、走行用油圧モータ1M、従動車輪1S等で構成されている。
【0192】
フレーム1aは、下部走行体1の骨格を形成する部材である。フレーム1aは、左フレーム部1a-L、右フレーム部1a-R、及び、左フレーム部1a-Lと右フレーム部1a-Rを連結する中央フレーム部(不図示)を有する。
【0193】
クローラベルト1bは、走行用油圧モータ1Mによって回転駆動される無限軌道(履帯)である。クローラベルト1bは、左クローラベルト1b-L及び右クローラベルト1b-Rを含む。
【0194】
キャリアローラ1cは、フレーム1aの上側でフレーム1aとクローラベルト1bとの間に配置される従動ローラである。トラックローラ1dは、フレーム1aの下側でフレーム1aとクローラベルト1bとの間に配置される従動ローラである。キャリアローラ1cは、複数の左キャリアローラ1c-L及び複数の右キャリアローラ1c-Rを含む。
【0195】
トラックローラ1dは、複数の左トラックローラ1d-L及び複数の右トラックローラ1d-Rを含む。
図9の例では、トラックローラ1dは、トラックローラ1d-1~トラックローラ1d-7までの7つである。
【0196】
走行用油圧モータ1Mは、フレーム1aの後端(-X側端)に取り付けられている。走行用油圧モータ1Mは、左走行用油圧モータ1M-L及び右走行用油圧モータ1M-R(図示せず。)を含む。左走行用油圧モータ1M-Lは、左フレーム部1a-Lの後端に取り付けられ、右走行用油圧モータ1M-Rは、右フレーム部1a-Rの後端に取り付けられている。
【0197】
従動車輪1Sは、フレーム1aの前端(+X側端)に取り付けられている。従動車輪1Sは、左従動車輪1S-L及び右従動車輪1S-R(図示せず。)を含む。左従動車輪1S-Lは、左フレーム部1a-Lの前端に取り付けられ、右従動車輪1S-Rは、右フレーム部1a-Rの前端に取り付けられている。
【0198】
左クローラベルト1b-Lは、左走行用油圧モータ1M-Lの回転軸に結合された駆動スプロケット、及び、左従動車輪1S-Lのそれぞれに支持されて回る。右クローラベルト1b-Rは、右走行用油圧モータ1M-Rの回転軸に結合された駆動スプロケット、及び、右従動車輪1S-Rのそれぞれに支持されて回る。尚、本実施形態では、左従動車輪1S-L、右従動車輪1S-Rの代わりにスプロケットが設けられていても良い。
【0199】
この構成により、走行用油圧モータ1Mが反時計回りに回転するとクローラベルト1bも反時計回りに回転してショベル100が前進する。反対に、走行用油圧モータ1Mが時計回りに回転するとクローラベルト1bも時計回りに回転してショベル100が後退する。
【0200】
上述した構成の下部走行体1では、ショベル100の走行時の振動における衝撃により、キャリアローラ1cの上部が摩耗する。また、キャリアローラ1cの摩耗は、ショベル100の走行時の振動が大きいほど、進行が速い。
【0201】
図10に示す地面Rは、砂利や溝等による凹凸が存在する粗い状態であるものとする。この地面Rをショベル100が走行した場合、機体が揺すられ続け、機体の加速度の変動が大きくなる。言い換えれば、地面R(走行面)が粗い状態である場合、ショベル100の加速度センサにより検出される加速度の振幅値が大きくなる。
【0202】
これに対し、地面が、例えば、凹凸の小さい滑らかな状態であった場合、この地面をショベル100が走行した場合、地面Rを走行した場合と比較して、機体の揺れが小さくなり、加速度センサにより検出される加速度の振幅値も小さくなる。
【0203】
このように、ショベル100の走行面が粗い場合と、ショベル100の走行面が滑らかな場合とでは、ショベル100の機体に加わる衝撃の大きさも異なる。したがって、キャリアローラ1cの摩耗状態も、走行面の状態によって変化する。
【0204】
そこで、本実施形態では、稼働情報に含まれる加速度センサの出力波形の振幅値と、下部走行体1(キャリアローラ1c)の側面を撮像した画像データとに基づき、後述するキャリアローラの摩耗の状況を推定する。
【0205】
言い換えれば、本実施形態では、稼働情報に含まれる走行負荷情報と、画像データとを用いて、キャリアローラの摩耗の状況を推定する。走行負荷情報は、例えば、シリンダ圧センサ、加速度センサを含む負荷センサにより検出された値を含む。また、以下の説明では、稼働情報に含まれる加速度センサの出力波形を、ショベル100の走行時の振動データと表現する場合がある。
【0206】
なお、下部走行体1の側面の画像データは、例えば、支援装置300の利用者や、作業現場の作業者、ショベル100のオペレータ等によって撮像されてもよい。また、下部走行体1の画像データは、ショベル100の周辺を飛行するドローン等の飛行体や、作業現場等に予め設置された撮像装置等によって撮像された画像データであってもよい。また、下部走行体1は、支援装置300の有する撮像装置で撮像されてもよい。
【0207】
また、下部走行体1の側面の画像データは、例えば、ショベル100のコントローラから、稼働情報の一部として管理装置200に送信されてもよいし、画像を撮像した撮像装置から直接管理装置200に送信されてもよい。
【0208】
具体的には、管理装置200は、データ取得部210により、稼働情報に含まれるショベル100の走行時の振動データと、下部走行体1の側面の画像データとを取得する。
【0209】
そして、摩耗量算出部213により、画像データと、情報記憶部211に予め格納された工場出荷時のキャリアローラ1cの直径を示す情報と、を用いて、振動データが取得された時点におけるキャリアローラ1cの直径の摩耗量を算出する。工場出荷時のキャリアローラ1cの直径を示す情報とは、言い換えれば、キャリアローラ1cの初期状態を示す情報である。
【0210】
次に、管理装置200は、摩耗量算出部213により、情報記憶部211に蓄積された稼働情報に含まれる振動データと、現時点でのキャリアローラ1cの摩耗量とに基づき、キャリアローラ1cの摩耗状態を推定する。そして、管理装置200は、交換時期算出部216により、キャリアローラ1cの交換時期を算出し、算出した結果をショベル100の表示装置40に表示させる。
【0211】
図11は、ショベルの表示例を示す第二の図である。
図11では、表示領域45に。キャリアローラ1cの交換時期を示す情報が表示される。
【0212】
本実施形態では、このように、ショベル100の走行状態に応じてキャリアローラ1cの摩耗状態を推定するため、キャリアローラ1cの交換時期の予測の精度を向上させることができる。
【0213】
また、本実施形態では、例えば、ショベル100の作業現場が、走行面の粗い作業現場から走行面が滑らかに作業現場に変更された場合等であっても、作業環境に応じて、キャリアローラ1cの摩耗状態を推定できる。
【0214】
さらに、本実施形態では、ショベル100の表示装置40に、交換時期を表示させることで、ショベル100のオペレータに対し、キャリアローラ1cの交換が必要であることを認識させることができる。
【0215】
図12は、摩耗量推定部による摩耗量の推定方法の一例について説明する図である。本実施形態の摩耗量推定部215は、ニューラルネットワーク(Neural Network)DNNを中心に構成される学習済みモデルであってよい。言い換えれば、コントローラ30は、摩耗量推定部215を実現する学習済みモデルを有していてよい。
【0216】
ニューラルネットワークDNNは、入力層及び出力層の間に一層以上の中間層(隠れ層)を有する、いわゆるディープニューラルネットワークである。ニューラルネットワークDNNでは、それぞれの中間層を構成する複数のニューロンごとに、下位層との間の接続強度を表す重みづけパラメータが規定されている。そして、各層のニューロンは、上位層の複数のニューロンからの入力値のそれぞれに上位層のニューロンごとに規定される重み付けパラメータを乗じた値の総和を、閾値関数を通じて、下位層のニューロンに出力する態様で、ニューラルネットワークDNNが構成される。
【0217】
ニューラルネットワークDNNを対象とし、機械学習、具体的には、深層学習(ディープラーニング:Deep Learning)が行われ、上述の重み付けパラメータの最適化が図られる。これにより、ニューラルネットワークDNNは、入力信号xとして、データ取得部210により取得される稼働情報が入力され、出力信号yとして、ある時期における爪先の摩耗量、又は、キャリアローラの摩耗量を出力することができる。
【0218】
具体的には、摩耗量推定部215は、部材の摩耗状態に関連付けられる算出条件を学習するように構成されていてもよい。例えば、摩耗量推定部215は、データ取得部210により取得された稼働情報等と、不揮発性記憶装置に予め記憶されている判定データとしての「部材の摩耗状態」を表す参照情報と、の組み合わせに基づいて作成されるデータセットに従って、稼働情報と部材の摩耗状態との関係性(部材の摩耗状態の算出条件)を学習するように構成されていてもよい。言い換えれば、管理装置200は、稼働情報を入力として、部材の摩耗状態を出力する学習済みモデルを生成してもよい。
【0219】
この学習工程は、ショベル100と無線通信を介して接続された管理装置200(機械学習装置)において実行されてもよい。この場合、管理装置200(機械学習装置)において作成された学習済みモデルを用いて、評価対象のショベルの稼働情報に対応した部材の摩耗状態を求めることができる。
【0220】
推定された部材の摩耗状態は、ショベル100や支援装置300へ送信され、これによりショベル100のオペレータや作業者は、部材の交換の要否を判断することができる。稼働情報には、評価対象の部材が取り付けられてからの稼働時間が含まれる。
【0221】
これにより、部材が取り付けられてからの稼働時間と摩耗状態とを照らし合わせることができ、摩耗状態の推移を求めることができる。
【0222】
更に、摩耗状態の推移を用いて、将来における所定時間後の摩耗状態を推定することができる。これにより、作業者や管理者は、将来における摩耗状態の推移も把握できるので、評価対象の部材の交換スケジュールを容易に設定することができる。更に、交換すべき部材の取り寄せ時期も、適確に把握することができる。
【0223】
また、入力信号xとして、稼働情報だけでなく、画像データや振動データ、部材の初期状態における形態情報等を入力してもよい。
【0224】
ニューラルネットワークDNNは、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)である。CNNは、既存の画像処理技術(畳み込み処理及びプーリング処理)を適用したニューラルネットワークである。
【0225】
本実施形態では、このように、摩耗量推定部215を、ニューラルネットワークを用いた推定モデルによって実現することで、稼働情報の蓄積に応じて、摩耗量の推定の精度を向上させることができる。
【0226】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
【符号の説明】
【0227】
1 下部走行体
30 コントローラ
40 表示装置
100 ショベル
200 管理装置
210 データ取得部
211 情報記憶部
212 特徴量算出部
213 摩耗量算出部
214 予測式更新部
215 摩耗量推定部
216 交換時期算出部
217 表示制御部
300 支援装置