(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047632
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】車両用照明装置、および車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/20 20180101AFI20240401BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20240401BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20240401BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20240401BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20240401BHJP
F21W 103/45 20180101ALN20240401BHJP
F21W 103/40 20180101ALN20240401BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240401BHJP
【FI】
F21S43/20
F21V5/04 250
F21W103:55
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:45
F21W103:40
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153229
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】上野 岬
(57)【要約】
【課題】所定の輝度分布が得られ、且つ、発光効率を向上させることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る車両用照明装置は、ソケットと;前記ソケットの一方の端部側に設けられた基板と;前記基板の上に設けられた少なくとも1つの発光素子と;枠状を呈し、前記基板の上に設けられ、前記発光素子を囲む枠部と;前記枠部の内側に設けられ、前記発光素子を覆う封止部と;前記発光素子から出射した光が入射する光学部を有し、前記封止部の上に設けられたレンズと;を具備している。前記光学部は、入射した前記光が出射する第1の部分を有している。前記第1の部分は、前記封止部側とは反対側に突出している。前記光学部の中心軸に沿った方向から見た場合の、前記第1の部分の輪郭は、略四角形である。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケットと;
前記ソケットの一方の端部側に設けられた基板と;
前記基板の上に設けられた少なくとも1つの発光素子と;
枠状を呈し、前記基板の上に設けられ、前記発光素子を囲む枠部と;
前記枠部の内側に設けられ、前記発光素子を覆う封止部と;
前記発光素子から出射した光が入射する光学部を有し、前記封止部の上に設けられたレンズと;
を具備し、
前記光学部は、入射した前記光が出射する第1の部分を有し、
前記第1の部分は、前記封止部側とは反対側に突出し、
前記光学部の中心軸に沿った方向から見た場合の、前記第1の部分の輪郭は、略四角形である車両用照明装置。
【請求項2】
前記第1の部分の側面は、外部に向けて突出する曲面であり、
前記第1の部分の頂面は、平面、または、外部に向けて突出する曲面である請求項1記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記第1の部分の側面の表面、および前記第1の部分の頂面の表面には、前記入射した光が出射する際に散乱を生じさせる凹凸が設けられている請求項2記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記光学部は、前記光が入射する第2の部分をさらに有し、
前記第2の部分は、前記封止部側に突出し、
前記光学部の中心軸に沿った方向から見た場合の、前記第2の部分の輪郭は、略円形である請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【請求項5】
前記レンズは、板状を呈し、前記光学部の周縁を囲む鍔をさらに有し、
前記鍔は、前記光学部に入射した前記光に対する反射率が高い材料を含んでいる請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【請求項6】
請求項1記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用照明装置、および車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー化や長寿命化などの観点から、フィラメントを有するランプを備えた車両用照明装置に代えて、発光ダイオードなどの発光素子を備えた車両用照明装置の普及が進んでいる。発光素子を備えた車両用照明装置は、車両用灯具の筐体に取り付けられる。また、車両用灯具には、リフレクタなどの光学要素が設けられ、所定の光束や配光パターンが得られるようになっている。
【0003】
ここで、車両用照明装置の光が出射する部分の輝度分布は、車両用灯具に設けられる光学要素の光学設計に大きな影響を及ぼす。また、車両用照明装置は、所定の光束が得られるようにする必要がある。そのため、車両用照明装置には、所定の輝度分布が得られ、且つ、発光効率を向上させることが望まれている。
【0004】
そこで、発光素子の光の出射側にレンズを設ける技術が提案されている。レンズが設けられていれば、光の取り出し効率を向上させることができるので、発光効率の向上を図ることができる。なお、レンズを設ける場合には、レンズの光の出射面の輝度分布を、車両用照明装置の輝度分布とすることができる。
【0005】
ところが、一般的なレンズ(例えば、車両用照明装置の中心軸に沿った方向から見た場合の輪郭が円形のレンズ)を用いると、不要な領域に光が拡がってしまい、所定の輝度分布が得られなくなる場合がある。また、一般的なレンズの場合には、発光素子の発光面の輝度が、レンズの光の出射面における輝度分布に大きな影響を及ぼす。そのため、発光素子と、レンズとの相対的な位置関係を一定にする必要がある。しかしながら、発光素子の接合位置や、レンズの接合位置にはバラツキ(製造誤差)がある。そのため、一般的なレンズを用いると、所定の輝度分布が得られなくなる場合がある。
【0006】
そこで、所定の輝度分布が得られ、且つ、発光効率を向上させることができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、所定の輝度分布が得られ、且つ、発光効率を向上させることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係る車両用照明装置は、ソケットと;前記ソケットの一方の端部側に設けられた基板と;前記基板の上に設けられた少なくとも1つの発光素子と;枠状を呈し、前記基板の上に設けられ、前記発光素子を囲む枠部と;前記枠部の内側に設けられ、前記発光素子を覆う封止部と;前記発光素子から出射した光が入射する光学部を有し、前記封止部の上に設けられたレンズと;を具備している。前記光学部は、入射した前記光が出射する第1の部分を有している。前記第1の部分は、前記封止部側とは反対側に突出している。前記光学部の中心軸に沿った方向から見た場合の、前記第1の部分の輪郭は、略四角形である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、所定の輝度分布が得られ、且つ、発光効率を向上させることができる車両用照明装置、および車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施の形態に係る車両用照明装置を例示するための模式斜視図である。
【
図2】
図1における車両用照明装置のA-A線断面図である。
【
図3】比較例に係るレンズ、および枠部を例示するための模式断面図である。
【
図4】比較例に係るレンズ、および枠部を、車両用照明装置の中心軸に沿った方向から見た場合の模式平面図である。
【
図5】車両用照明装置のレンズに要求される輝度分布を例示するための図である。
【
図6】比較例に係るレンズの、光の出射面における輝度分布を例示するための図である。
【
図7】複数の発光素子の接合位置が所定の位置からズレた場合の、比較例に係るレンズの、光の出射面における輝度分布を例示するための図である。
【
図8】本実施の形態に係るレンズを光の出射側から見た場合の模式斜視図である。
【
図9】レンズを光の入射側から見た場合の模式斜視図である。
【
図11】レンズを、車両用照明装置の中心軸に沿った方向から見た場合の模式平面図である。
【
図12】レンズの、光の出射面における輝度分布を例示するための図である。
【
図13】複数の発光素子の接合位置が所定の位置からズレた場合の、レンズの、光の出射面における輝度分布を例示するための図である。
【
図14】車両用灯具を例示するための模式部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0013】
(車両用照明装置)
本実施の形態に係る車両用照明装置1は、例えば、自動車や鉄道車両などに設けることができる。自動車に設けられる車両用照明装置1としては、例えば、フロントコンビネーションライト(例えば、デイタイムランニングランプ(DRL:Daytime Running Lamp)、ポジションランプ、ターンシグナルランプなどが適宜組み合わされたもの)や、リアコンビネーションライト(例えば、ストップランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、バックランプ、フォグランプなどが適宜組み合わされたもの)などに用いられるものを例示することができる。ただし、車両用照明装置1の用途は、これらに限定されるわけではない。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る車両用照明装置1を例示するための模式斜視図である。
図2は、
図1における車両用照明装置1のA-A線断面図である。
図1、および
図2に示すように、車両用照明装置1には、例えば、ソケット10、発光モジュール20、給電部30、および伝熱部40が設けられている。
【0015】
ソケット10は、例えば、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15を有する。
装着部11は、フランジ13の、放熱フィン14が設けられる側とは反対側の面に設けられている。装着部11の外形形状は、柱状とすることができる。装着部11の外形形状は、例えば、円柱状である。装着部11は、例えば、フランジ13側とは反対側の端部に開口する凹部11aを有する。
【0016】
バヨネット12は、例えば、装着部11の側面に設けられる。バヨネット12は、車両用照明装置1の外側に向けて突出している。バヨネット12は、フランジ13と対向している。バヨネット12は、複数設けることができる。バヨネット12は、車両用照明装置1を、例えば、後述する車両用灯具100の筐体101に装着する際に用いられる。バヨネット12は、ツイストロックに用いることができる。
【0017】
フランジ13は、板状を呈している。フランジ13は、例えば、略円板状を呈している。フランジ13の側面は、バヨネット12の側面よりも車両用照明装置1の外方に位置している。
【0018】
放熱フィン14は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられる。放熱フィン14は、少なくとも1つ設けることができる。例えば、
図1、および
図2に示すように、ソケット10には複数の放熱フィン14を設けることができる。複数の放熱フィン14は、所定の方向に並べて設けることができる。放熱フィン14は、例えば、板状、または筒状を呈している。
【0019】
コネクタホルダ15は、フランジ13の、装着部11側とは反対側に設けられている。コネクタホルダ15は、放熱フィン14と並べて設けることができる。コネクタホルダ15は、筒状を呈し、内部にシール部材105aを有するコネクタ105が挿入される。
【0020】
ソケット10は、発光モジュール20、および給電部30を保持する機能と、発光モジュール20において発生した熱を外部に伝える機能を有する。そのため、ソケット10は、熱伝導率の高い材料から形成するのが好ましい。ソケット10は、例えば、アルミニウム合金などの金属から形成することができる。
【0021】
また、近年においては、ソケット10は、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができ、且つ、軽量であることが望まれている。そのため、ソケット10は、例えば、高熱伝導性樹脂から形成することもできる。高熱伝導性樹脂は、例えば、樹脂と、無機材料を用いたフィラーと、を含む。高熱伝導性樹脂は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)やナイロン(Nylon)などの樹脂に、炭素や酸化アルミニウムなどを用いたフィラーを混合させたものである。
【0022】
高熱伝導性樹脂を含み、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15が一体に成形されたソケット10とすれば、発光モジュール20において発生した熱を効率よく放熱することができる。また、ソケット10の重量を軽くすることができる。この場合、装着部11、バヨネット12、フランジ13、放熱フィン14、およびコネクタホルダ15は、射出成形法などを用いて、一体成形することができる。また、インサート成形法を用いて、ソケット10、給電部30、および伝熱部40を一体成形することもできる。
【0023】
発光モジュール20(基板21)は、ソケット10の一方の端部側に設けられる。例えば、発光モジュール20は、伝熱部40の上に設けられる。
発光モジュール20は、例えば、基板21、発光素子22、枠部23、封止部24、回路素子25、およびレンズ26を有する。
【0024】
基板21は、例えば、伝熱部40の上面に接着される。この場合、接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。例えば、接着剤は、無機材料を用いたフィラーが混合された接着剤とすることができる。
【0025】
基板21は、板状を呈している。基板21の平面形状(車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向から見た場合の形状)は、例えば、略四角形である。基板21は、例えば、セラミックス(例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウム)などの無機材料、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料などから形成することができる。また、基板21は、金属板の表面を絶縁性材料で被覆したメタルコア基板であってもよい。発光素子22の発熱量が多い場合には、放熱の観点から熱伝導率の高い材料を用いて基板21を形成することが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、高熱伝導性樹脂、メタルコア基板などを例示することができる。また、基板21は、単層構造を有するものであってもよいし、多層構造を有するものであってもよい。
【0026】
また、基板21の表面には、配線パターン21aが設けられている。配線パターン21aは、例えば、銀を主成分とする材料や、銅を主成分とする材料などから形成される。また、配線パターン21aや、後述する膜状の抵抗器などを覆う被覆部を設けることもできる。被覆部は、例えば、ガラス材料を含むことができる。
【0027】
発光素子22は、基板21の上(基板21のソケット10側とは反対側の面)に設けられている。発光素子22は、配線パターン21aと電気的に接続される。
発光素子22は、少なくとも1つ設けることができる。以下においては、複数の発光素子22が設けられる場合を説明する。複数の発光素子22は、直列接続することができる。
発光素子22は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
【0028】
発光素子22は、チップ状の発光素子とすることができる。発光素子22がチップ状の発光素子であれば、発光モジュール20の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を図ることができる。チップ状の発光素子22は、COB(Chip On Board)により配線パターン21aに実装することができる。チップ状の発光素子22は、上部電極型の発光素子、上下電極型の発光素子、フリップチップ型の発光素子のいずれであってもよい。
なお、発光素子22の数、大きさ、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、車両用照明装置1の大きさや用途などに応じて適宜変更することができる。
【0029】
枠部23は、基板21の上に設けられている。枠部23は、基板21に接着されている。枠部23は、枠状を呈し、発光素子22を囲んでいる。車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向から見た場合の枠部23の輪郭は略四角形とすることができる。なお、四角形の角部には、丸みや面取りが施されていてもよい。枠部23は、例えば、四角筒状とすることができる。
【0030】
枠部23は、例えば、樹脂から形成される。樹脂は、例えば、PBT(polybutylene terephthalate)、PC(polycarbonate)、PET、ナイロン、PP(polypropylene)、PE(polyethylene)、PS(polystyrene)などの熱可塑性樹脂とすることができる。
【0031】
枠部23は、封止部24の形成範囲を規定する機能と、リフレクタの機能とを有することができる。そのため、枠部23は、反射率を向上させるために、酸化チタンの粒子などを含んでいたり、白色の樹脂を含んでいたりすることができる。枠部23が設けられていれば、発光素子22から出射した光の利用効率を向上させることができる。また、封止部24が形成される範囲を小さくすることができるので、発光モジュール20の小型化、ひいては車両用照明装置1の小型化を図ることができる。
【0032】
封止部24は、枠部23の内側に設けられる。封止部24は、枠部23により囲まれた領域を覆うように設けられる。封止部24は、発光素子22を覆うように設けられる。封止部24は、透光性を有する樹脂を含んでいる。封止部24は、例えば、枠部23の内側に樹脂を充填することで形成される。樹脂の充填は、例えば、ディスペンサなどを用いて行われる。充填する樹脂は、例えば、シリコーン樹脂などである。
【0033】
また、封止部24には蛍光体を含めることができる。蛍光体は、例えば、YAG系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)などとすることができる。ただし、蛍光体の種類は、車両用照明装置1の用途などに応じて所定の発光色が得られるように適宜変更することができる。
【0034】
回路素子25は、発光素子22を有する発光回路を構成するために用いられる受動素子または能動素子とすることができる。回路素子25は、例えば、枠部23の周辺に設けられ、配線パターン21aと電気的に接続される。回路素子25は、配線パターン21aを介して、発光素子22と電気的に接続されている。なお、回路素子25は、例えば、車両用照明装置1の外部に設けられた点灯回路などに設けてもよい。この様にすれば、発光モジュール20の構成の簡易化を図ることができるので、車両用照明装置1の製造コストの低減を図ることができる。ただし、回路素子25が発光モジュール20に設けられていれば、発光モジュール20の保護を図ったり、発光モジュール20の多機能化を図ったりするのが容易となる。
【0035】
回路素子25は、例えば、抵抗25a、保護素子25b、および制御素子25cなどとすることができる。
ただし、回路素子25の種類は例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22を有する発光回路の構成に応じて適宜変更することができる。例えば、回路素子25は、前述したものの他に、コンデンサ、正特性サーミスタ、負特性サーミスタ、インダクタ、サージアブソーバ、バリスタ、集積回路、演算素子などであってもよい。
【0036】
抵抗25aは、基板21の上に設けられている。抵抗25aは、配線パターン21aと電気的に接続される。抵抗25aは、例えば、表面実装型の抵抗器、リード線を有する抵抗器(酸化金属皮膜抵抗器)、スクリーン印刷法などを用いて形成された膜状の抵抗器などとすることができる。なお、
図1に例示をした抵抗25aは、表面実装型の抵抗器である。
【0037】
ここで、発光素子22の順方向電圧特性には、ばらつきがあるので、アノード端子とグランド端子との間の印加電圧を一定にすると、発光素子22から照射される光の明るさ(光束、輝度、光度、照度)にばらつきが生じる。そのため、発光素子22から照射される光の明るさが所定の範囲内に収まるように、発光素子22に直列接続された抵抗25aにより、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。この場合、抵抗25aの抵抗値を変化させることで、発光素子22に流れる電流の値が所定の範囲内となるようにする。
【0038】
抵抗25aが表面実装型の抵抗器やリード線を有する抵抗器などの場合には、発光素子22の順方向電圧特性に応じて適切な抵抗値を有する抵抗25aを選択する。抵抗25aが膜状の抵抗器の場合には、抵抗25aの一部を除去すれば、抵抗値を増加させることができる。例えば、膜状の抵抗器にレーザ光を照射すれば、膜状の抵抗器の一部を容易に除去することができる。なお、抵抗25aの数、配置、大きさなどは、例示をしたものに限定されるわけではなく、発光素子22の数や仕様などに応じて適宜変更することができる。
【0039】
保護素子25bは、基板21の上に設けられている。保護素子25bは、配線パターン21aと電気的に接続される。保護素子25bは、例えば、逆方向電圧が発光素子22に印加されないようにするため、および、逆方向からのパルスノイズが発光素子22に印加されないようにするために設けられる。保護素子25bは、例えば、ダイオードとすることができる。
図1に例示をした保護素子25bは、表面実装型のダイオードである。
【0040】
制御素子25cは、基板21の上に設けられている。制御素子25cは、配線パターン21aと電気的に接続される。制御素子25cは、例えば、発光素子22に印加する電圧を切り替えるために設けられる。制御素子25cは、例えば、トランジスタや集積回路とすることができる。なお、
図1に例示をした制御素子25cは、表面実装型のトランジスタである。
【0041】
レンズ26は、封止部24の上に設けられている。レンズ26は、封止部24、および枠部23の少なくともいずれかと接合されている。レンズ26の封止部24側の面は、封止部24と密着している。レンズ26は、例えば、枠部23の、基板21側とは反対側の端部に接着することができる。
なお、レンズ26に関する詳細は後述する。
【0042】
給電部30は、例えば、複数の給電端子31、および保持部32を有する。
複数の給電端子31は、棒状体とすることができる。複数の給電端子31は、例えば、所定の方向に並べて設けられる。複数の給電端子31の一方の端部は、凹部11aの底面11a1から突出している。複数の給電端子31の一方の端部は、基板21に設けられた配線パターン21aと半田付けされる。複数の給電端子31の他方の端部は、コネクタホルダ15の孔の内部に露出している。コネクタホルダ15の孔の内部に露出する複数の給電端子31には、コネクタ105が嵌め合わされる。複数の給電端子31は、例えば、銅合金などの金属から形成される。なお、複数の給電端子31の形状、配置、材料などは例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0043】
前述したように、ソケット10は熱伝導率の高い材料から形成することが好ましい。ところが、熱伝導率の高い材料は導電性を有している場合がある。例えば、アルミニウム合金などの金属や、炭素を用いたフィラーを含む高熱伝導性樹脂などは、導電性を有している。そのため、保持部32は、複数の給電端子31と、導電性を有するソケット10との間を絶縁するために設けられている。また、保持部32は、複数の給電端子31を保持する機能をも有する。なお、ソケット10が絶縁性を有する高熱伝導性樹脂(例えば、酸化アルミニウムを用いたフィラーを含む高熱伝導性樹脂など)から形成される場合には、保持部32を省くことができる。この場合、ソケット10が複数の給電端子31を保持する。保持部32は、例えば、絶縁性を有する樹脂から形成される。保持部32は、例えば、ソケット10に設けられた孔に圧入したり、孔の内壁に接着したりすることができる。
【0044】
伝熱部40は、板状を呈し、ソケット10と、発光モジュール20(基板21)との間に設けられている。例えば、
図1、および
図2に示すように、伝熱部40は、凹部11aの底面11a1に接着することができる。また、凹部11aの底面11a1に設けられた凹部の内部に、伝熱部40を接着するようにしてもよい。また、伝熱部40を、凹部11aの底面11a1に設けられた凸状の台座の上に接着するようにしてもよい。伝熱部40とソケット10とを接着する接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。例えば、接着剤は、前述した、発光モジュール20(基板21)と伝熱部40とを接着する接着剤と同じとすることができる。
【0045】
また、インサート成形法により、伝熱部40とソケット10を一体に成形することもできる。また、熱伝導グリス(放熱グリス)を含む層を介して、伝熱部40をソケット10に取り付けてもよい。熱伝導グリスは、例えば、変性シリコーンに、無機材料を用いたフィラーが混合されたものである。
【0046】
伝熱部40は、発光モジュール20において発生した熱をソケット10に伝えやすくするために設けられる。そのため、伝熱部40は、熱伝導率の高い材料から形成される。例えば、伝熱部40は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などの金属から形成することができる。
なお、例えば、発光モジュール20において発生する熱が比較的少ない場合や、ソケット10が金属から形成される場合などには、伝熱部40が省かれる場合がある。伝熱部40を省く場合には、発光モジュール20(基板21)が、凹部11aの底面11a1などに接着される。
【0047】
次に、レンズ26についてさらに説明する。
図3は、比較例に係るレンズ126、および枠部123を例示するための模式断面図である。
図4は、比較例に係るレンズ126、および枠部123を、車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向から見た場合の模式平面図である。
図4に示すように、車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向から見た場合の枠部123の輪郭は円形である。枠部123は、円筒状を呈している。枠部123の材料は、樹脂である。
【0048】
図3に示すように、レンズ126は、封止部24の上に設けられている。レンズ126は、封止部24、および枠部123の少なくともいずれかと接合されている。
図3、および
図4に示すように、レンズ126は、光学部126a、および鍔126bを有する。光学部126a、および鍔126bは、一体に形成されている。光学部126a、および鍔126bは、ガラスや透光性樹脂などの透光性材料から形成されている。
【0049】
光学部126aは、両凸レンズとすることができる。光学部126aの中心軸126a1は、車両用照明装置1の中心軸1aと重なっている。
図4に示すように、光学部126aの中心軸126a(車両用照明装置1の中心軸1a)に沿った方向から見た場合の、光学部126aの光の入射側(封止部24側)の輪郭、および、光の出射側(封止部24側とは反対側)の輪郭は円形となっている。
鍔126bは、円環状を呈している。光学部126aの中心軸126a1に直交する方向において、鍔126bは、板状を呈し、光学部126aの周縁を囲んでいる。
【0050】
また、
図4に示すように、発光素子22は5つ設けられている。1つの発光素子22の中心は、光学部126aの中心軸126a1と重なっている。4つの発光素子22は、光学部126aの中心軸126a1を中心として、回転対称となる位置に設けられている。
【0051】
ここで、レンズ126が設けられていれば、光の取り出し効率を向上させることができるので、発光効率の向上を図ることができる。ところが、車両用照明装置1の場合には、レンズ126の光の出射面の輝度分布を所定のものとする必要がある。
【0052】
図5は、車両用照明装置1のレンズに要求される輝度分布を例示するための図である。
図5に示すように、輝度分布は、車両用照明装置1の中心軸1aを中心とした一辺が4.8mmの正方形の領域において評価することができる。この場合、一辺が4.8mmの正方形の領域を36に等分割し、36に等分割された領域(一辺が0.8mmの正方形の領域)のそれぞれにおける発光強度を求めることで、レンズの輝度分布を評価することができる。
【0053】
例えば、
図4に示す5つの発光素子22の配置の場合には、各領域における発光強度を以下の範囲とすることが好ましい。
3%<A<10%
3%<B<10%
C<2%
70%<A+B
90%<A+B+C
なお、車両用照明装置1の中心軸1aを中心とした直径が18.5mmの領域における発光強度を100%としている。
また、Aは、(領域A1~領域A12のそれぞれにおける発光強度/直径が18.5mmの領域における発光強度)×100(%)である。すなわち、Aは、レンズの中心軸の近傍における輝度を評価するものである。
【0054】
Bは、(領域B1~領域B4のそれぞれにおける発光強度/直径が18.5mmの領域における発光強度)×100(%)である。すなわち、Bは、レンズの中心軸の近傍における領域の対角方向の端部における輝度を評価するものである。
【0055】
Cは、(領域C1~領域C20のそれぞれにおける発光強度/直径が18.5mmの領域における発光強度)×100(%)である。すなわち、Cは、レンズの周縁近傍における輝度を評価するものである。
【0056】
図6は、比較例に係るレンズ126の、光の出射面における輝度分布を例示するための図である。
図6から分かるように、発光素子22の位置における輝度が高くなる。すなわち、発光素子22の発光面の輝度が、レンズ126の光の出射面における輝度分布に大きな影響を及ぼしている。また、レンズ126の周縁近傍における円環状の領域の輝度が高くなっていることが分かる。
レンズ126の周縁近傍における円環状の領域の輝度が高くなると、前述した「C<2%」とするのが困難となる。
【0057】
レンズ126の周縁近傍における円環状の領域の輝度が高くなるのは、以下の様に説明することができる。
図3に示すように、発光素子22から出射し、レンズ126の光学部126aに入射した光の一部は、光学部126aの内部で反射されて、鍔126bの内部に入射する。鍔126bの内部に入射した光は、鍔126bの内部を伝搬するとともに、鍔126bから外部に出射する。そのため、レンズ126の周縁近傍に、輝度が高い円環状の領域が形成される。
【0058】
ここで、前述した様に、発光素子22の発光面の位置における輝度は高くなる。そのため、
図4に示す各領域における発光強度が、前述した範囲となるように複数の発光素子22の接合位置が設定される。
ところが、発光素子22の接合位置や、レンズ126の接合位置にはバラツキ(製造誤差)がある。そのため、発光素子22の接合位置や、レンズ126の接合位置が所定の位置からズレる場合がある。
【0059】
図7は、複数の発光素子22の接合位置が所定の位置からズレた場合の、レンズ126の、光の出射面における輝度分布を例示するための図である。
図7から分かるように、複数の発光素子22の接合位置が所定の位置からズレると、輝度が高い部分も意図した位置からズレることになる。そのため、
図4に示す各領域における発光強度が、前述した範囲とならなくなる場合がある。なお、このことは、レンズ126の接合位置が所定の位置からズレた場合も同様である。
【0060】
図8は、本実施の形態に係るレンズ26を光の出射側から見た場合の模式斜視図である。
図9は、レンズ26を光の入射側から見た場合の模式斜視図である。
図10は、レンズ26の模式断面図である。
図11は、レンズ26を、車両用照明装置1の中心軸1aに沿った方向から見た場合の模式平面図である。
【0061】
図8~
図11に示すように、レンズ26は、例えば、光学部26a、および鍔26bを有する。
光学部26aには、発光素子22から出射した光が入射する。光学部26aの中心軸26a3は、車両用照明装置1の中心軸1aと重なっている。
図11に示すように、発光素子22は5つ設けられている。1つの発光素子22の中心は、光学部26aの中心軸26a3と重なっている。4つの発光素子22は、光学部26aの中心軸26a3を中心として、回転対称となる位置に設けられている。
【0062】
光学部26aは、例えば、部分26a1(第2の部分の一例に相当する)、および部分26a2(第1の部分の一例に相当する)を有する。部分26a1の中心軸は、部分26a2の中心軸と重なっている。部分26a1、および部分26a2は、一体に形成することができる。部分26a1、および部分26a2は、例えば、ガラスや透光性樹脂などの透光性材料から形成される。
【0063】
部分26a1には、発光素子22から出射した光が入射する。部分26a1は、部分26a2の、封止部24側の端部から、封止部24側に突出している。
図9、および
図11に示すように、光学部26aの中心軸26a3(車両用照明装置1の中心軸1a)に沿った方向から見た場合の、部分26a1の輪郭は、略円形とすることができる。例えば、
図9、および
図10に示すように、部分26a1の形状は、球体の一部とすることができる。部分26a1は、封止部24と密着している。
【0064】
また、
図11に示すように、光学部26aの中心軸26a3(車両用照明装置1の中心軸1a)に沿った方向から見た場合に、複数の発光素子22のそれぞれの中心は、部分26a1の輪郭の内側に位置するようにすることが好ましい。この様にすれば、複数の発光素子22から出射した光を部分26a1に効率良く入射させることができる。
【0065】
部分26a2からは、光学部26aの内部に入射した光が出射する。部分26a2は、封止部24側とは反対側に突出している。
図8、および
図11に示すように、光学部26aの中心軸26a3(車両用照明装置1の中心軸1a)に沿った方向から見た場合の、部分26a2の輪郭は、略四角形とすることができる。四角形の角部には、丸みが施されていてもよい。前述した様に、4つの発光素子22は、光学部26aの中心軸26a3を中心として、回転対称となる位置に設けられている。そのため、
図11に示すように、部分26a2の輪郭は、略正方形とすることが好ましい。正方形の角部には、丸みが施されていてもよい。また、互いに隣接する2つの発光素子22の中心を結ぶ線分と、部分26a2の正方形の輪郭の辺とが略平行となるようにすることが好ましい。
【0066】
部分26a2の外面(側面26a2a、および頂面26a2b)は曲面から構成されていてもよいし、曲面と平面から構成されていてもよい。例えば、
図8、および
図10に示すように、部分26a2の側面26a2aは、外部に向けて突出する曲面とすることができる。部分26a2の頂面26a2bは、光学部26aの中心軸26a3に略直交する平面とすることができる。なお、部分26a2の頂面26a2bは、外部に向けて突出する曲面とすることもできる。
【0067】
また、部分26a2の外面は、光を散乱させる面とすることができる。例えば、部分26a2の側面26a2aの表面、および部分26a2の頂面26a2bの表面には、光学部26aに入射した光が出射する際に散乱を生じさせる凹凸を設けることができる。例えば、部分26a2の外面にブラスト処理を施すことで、部分26a2の外面に微細な凹凸を設けることができる。
【0068】
鍔26bは、板状を呈し、光学部26aの周縁を囲んでいる。例えば、鍔26bの面は、光学部26aの中心軸26a3(車両用照明装置1の中心軸1a)に直交している。光学部26aの中心軸26a3(車両用照明装置1の中心軸1a)に沿った方向から見た場合、鍔26bは、略四角形の枠状を呈している。なお、四角形の角部には、丸みが施されていてもよい。
図11に示すように、部分26a2の輪郭が略正方形の場合には、鍔26bは、略正方形の枠状とすることができる。なお、正方形の角部には、丸みが施されていてもよい。また、光学部26aの中心軸26a3(車両用照明装置1の中心軸1a)に沿った方向から見た場合に、鍔26bの輪郭の辺と、部分26a2の輪郭の辺とが略平行となるようにすることが好ましい。
【0069】
鍔26bは、光学部26aに入射した光が透過し難い材料から形成することができる。鍔26bは、例えば、樹脂や金属から形成することができる。この場合、鍔26bの材料は、光学部26aに入射した光に対する反射率が高い材料とすることが好ましい。例えば、鍔26bの材料は、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属、光散乱粒子(例えば、酸化チタンの粒子など)を含む樹脂、白色の樹脂などとすることができる。鍔26bは、光学部26aの周縁に接着したり、溶着したりすることができる。板状を呈する鍔26bの内側に、光学部26aを圧入することもできる。光学部26aと鍔26bが樹脂から形成される場合には、二色成形法などを用いて、光学部26aと鍔26bを一体成形することもできる。光学部26aが樹脂から形成され、鍔26bが金属から形成される場合には、インサート成形法などを用いて、光学部26aと鍔26bを一体成形することもできる。
【0070】
発光素子22から出射し、レンズ26の光学部26aに入射した光の一部は、光学部26aの内部で反射されて、鍔26bに入射する。鍔26bは、光が透過し難い材料から形成されているので、鍔26bに入射した光が鍔26bの内部を伝搬して外部に出射するのを抑制することができる。この場合、鍔26bが、光学部26aに入射した光に対する反射率が高い材料から形成されていれば、鍔26bに入射した光が光学部26aの内部に向けて反射される。光学部26aの内部に向けて反射された光は、光学部26aの外部に出射する。そのため、意図した領域における光の取り出し効率を向上させることができるので、発光効率の向上を図ることができる。
【0071】
図12は、レンズ26の、光の出射面における輝度分布を例示するための図である。
前述した様に、鍔26bは、光が透過し難い材料から形成されているので、鍔26bから光が出射するのを抑制することができる。そのため、
図12から分かるように、レンズ26の周縁近傍に、
図6において説明した輝度の高い円環状の領域が生じるのを抑制することができる。その結果、前述した「C<2%」とするのが容易となる。
【0072】
図12から分かるように、発光素子22の位置における輝度が顕著に高くなる。しかしながら、発光素子22の位置は、前述した「領域A1~領域A12」または「領域B1~領域B4」となるので、「3%<A<10%」としたり、「3%<B<10%」としたりするのが容易となる。
【0073】
またさらに、前述した様に、部分26a2の外面が、光を散乱させる面となっていれば、
図12から分かるように、部分26a2の外面全体における輝度を高くすることができる。そのため、「70%<A+B」としたり、「90%<A+B+C」としたりするのが容易となる。
【0074】
図13は、複数の発光素子22の接合位置が所定の位置からズレた場合の、レンズ26の、光の出射面における輝度分布を例示するための図である。
図13から分かるように、複数の発光素子22の接合位置が所定の位置からズレると、輝度が高い部分も意図した位置からズレることになる。しかしながら、発光素子22の位置における輝度は顕著に高くなるので、輝度が高い部分の位置が多少ズレたとしても、
図4に示す各領域における発光強度に与える影響を抑制することができる。
【0075】
また、部分26a2の外面が、光を散乱させる面となっていれば、部分26a2の外面全体における輝度を高くすることができるので、
図4に示す各領域における発光強度に与える影響をさらに小さくすることができる。
【0076】
以上に説明した様に、本実施の形態に係るレンズ26とすれば、比較例に係るレンズ126に比べて、光学部26aの中心軸26a3を中心として、回転対称となる位置に設けられた4つの発光素子22の光学像を引き延ばすことができる。また、レンズ26(部分26a2)の外面が、光を散乱させる面となっていれば、光散乱効果により5つの発光素子22の光学像をぼやけさせることができる。すなわち、発光素子22同士の間におけるコントラストを低減させることができる。そのため、製造誤差などにより、発光素子22と、レンズ26との相対的な位置がずれたとしても、位置ずれに対するロバスト性を向上させることができる。
【0077】
(車両用灯具)
本発明の1つの実施形態において、車両用照明装置1を具備した車両用灯具100を提供することができる。前述した車両用照明装置1に関する説明、および車両用照明装置1の変形例(例えば、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもので、本発明の特徴を備えているもの)は、いずれも車両用灯具100に適用することができる。
【0078】
なお、以下においては、一例として、車両用灯具100が自動車に設けられるフロントコンビネーションライトである場合を説明する。ただし、車両用灯具100は、自動車に設けられるフロントコンビネーションライトに限定されるわけではない。車両用灯具100は、自動車や鉄道車両などに設けられる車両用灯具であればよい。
【0079】
図14は、車両用灯具100を例示するための模式部分断面図である。
図14に示すように、車両用灯具100は、例えば、車両用照明装置1、筐体101、カバー102、光学要素103、シール部材104、およびコネクタ105を有する。
【0080】
筐体101には、車両用照明装置1が取り付けられる。筐体101は、装着部11を保持する。筐体101は、一方の端部側が開口した箱状を呈している。筐体101は、例えば、光を透過しない樹脂などから形成される。筐体101の底面には、装着部11の、バヨネット12が設けられた部分が挿入される取付孔101aが設けられる。取付孔101aの周縁には、装着部11に設けられたバヨネット12が挿入される凹部が設けられる。なお、筐体101に取付孔101aが直接設けられる場合を例示したが、取付孔101aを有する取付部材が筐体101に設けられていてもよい。
【0081】
車両用照明装置1を車両用灯具100に取り付ける際には、装着部11のバヨネット12が設けられた部分を取付孔101aに挿入し、車両用照明装置1を回転させる。すると、例えば、取付孔101aの周縁に設けられた嵌合部にバヨネット12が保持される。この様な取り付け方法は、ツイストロックと呼ばれている。
【0082】
カバー102は、筐体101の開口を塞ぐように設けられる。カバー102は、透光性樹脂などから形成される。カバー102は、レンズなどの機能を有することもできる。
【0083】
光学要素103には、車両用照明装置1から出射した光が入射する。光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光の反射、拡散、導光、集光、所定の配光パターンの形成などを行う。例えば、
図14に例示をした光学要素103はリフレクタである。この場合、光学要素103は、車両用照明装置1から出射した光を反射して、所定の配光パターンを形成する。
【0084】
シール部材104は、フランジ13と筐体101の間に設けられる。シール部材104は、環状を呈し、ゴムやシリコーン樹脂などの弾性を有する材料から形成される。
【0085】
車両用照明装置1が車両用灯具100に取り付けられた際には、シール部材104は、フランジ13と筐体101との間に挟まれる。そのため、シール部材104により、筐体101の内部空間を密閉することができる。また、シール部材104の弾性力により、バヨネット12が筐体101に押し付けられる。そのため、車両用照明装置1が、筐体101から脱離するのを抑制することができる。
【0086】
コネクタ105は、コネクタホルダ15の内部に露出している複数の給電端子31の端部に嵌め合わされる。コネクタ105には、点灯回路などが電気的に接続される。そのため、コネクタ105を複数の給電端子31の端部に嵌め合わせることで、点灯回路などと、発光素子22とを電気的に接続することができる。
【0087】
また、コネクタ105には、シール部材105aが設けられている。シール部材105aを有するコネクタ105が、コネクタホルダ15の内部に挿入された際には、コネクタホルダ15の内部が水密となるように密閉される。
【0088】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【0089】
以下、前述した実施形態に関する付記を示す。
【0090】
(付記1)
ソケットと;
前記ソケットの一方の端部側に設けられた基板と;
前記基板の上に設けられた少なくとも1つの発光素子と;
枠状を呈し、前記基板の上に設けられ、前記発光素子を囲む枠部と;
前記枠部の内側に設けられ、前記発光素子を覆う封止部と;
前記発光素子から出射した光が入射する光学部を有し、前記封止部の上に設けられたレンズと;
を具備し、
前記光学部は、入射した前記光が出射する第1の部分を有し、
前記第1の部分は、前記封止部側とは反対側に突出し、
前記光学部の中心軸に沿った方向から見た場合の、前記第1の部分の輪郭は、略四角形である車両用照明装置。
【0091】
(付記2)
前記第1の部分の側面は、外部に向けて突出する曲面であり、
前記第1の部分の頂面は、平面、または、外部に向けて突出する曲面である付記1記載の車両用照明装置。
【0092】
(付記3)
前記第1の部分の側面の表面、および前記第1の部分の頂面の表面には、前記入射した光が出射する際に散乱を生じさせる凹凸が設けられている付記2記載の車両用照明装置。
【0093】
(付記4)
前記光学部は、前記光が入射する第2の部分をさらに有し、
前記第2の部分は、前記封止部側に突出し、
前記光学部の中心軸に沿った方向から見た場合の、前記第2の部分の輪郭は、略円形である付記1~3のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【0094】
(付記5)
前記レンズは、板状を呈し、前記光学部の周縁を囲む鍔をさらに有し、
前記鍔は、前記光学部に入射した前記光に対する反射率が高い材料を含んでいる付記1~4のいずれか1つに記載の車両用照明装置。
【0095】
(付記6)
付記1~5のいずれか1つに記載の車両用照明装置と;
前記車両用照明装置が取り付けられる筐体と;
を具備した車両用灯具。
【符号の説明】
【0096】
1 車両用照明装置、1a 中心軸、10 ソケット、11 装着部、20 発光モジュール、21 基板、22 発光素子、23 枠部、24 封止部、26 レンズ、26a 光学部、26a1 部分、26a2 部分、26a2a 側面、26a2b 頂面、26a3 中心軸、26b 鍔、100 車両用灯具、101 筐体