(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047636
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】巻き具
(51)【国際特許分類】
D05B 35/06 20060101AFI20240401BHJP
D05B 73/06 20060101ALI20240401BHJP
D05B 73/08 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
D05B35/06
D05B73/06
D05B73/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153239
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】520290138
【氏名又は名称】池羽 塁
(74)【代理人】
【識別番号】100122312
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 正優
(72)【発明者】
【氏名】池羽 塁
【テーマコード(参考)】
3B150
【Fターム(参考)】
3B150BB04
3B150CB06
3B150CC03
3B150CE23
3B150EC01
3B150EC08
3B150EC10
3B150ED01
3B150ED09
3B150GA03
3B150GA04
(57)【要約】
【課題】 巻き具本体の位置姿勢の調整や交換等を容易に行うことができる巻き具を提供する。
【解決手段】 巻き具10は、ミシン1に取り付けられて、ミシン針3に向けて延在する自在アーム13と、自在アーム13の先端に固定される巻き具本体11と、を備える。自在アーム13は、ミシン1の本体部1aに取り付けられる。または、自在アーム13は、ミシン1の基礎部1bに取り付けられる。自在アーム13は、吊り下げ定規23であり、吊り下げ定規23の先端と巻き具本体11を連結するアダプター12を備える。ミシン1は、シリンダーベッド型ミシンまたはポストベッド型ミシンである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミシンに取り付けられて、ミシン針に向けて延在する自在アームと、
前記自在アームの先端に固定される巻き具本体と、
を備える、巻き具。
【請求項2】
前記自在アームは、吊り下げ定規であり、
前記吊り下げ定規の先端と前記巻き具本体を連結するアダプターを備える、請求項1に記載の巻き具。
【請求項3】
前記ミシンは、シリンダーベッド型ミシンまたはポストベッド型ミシンである、請求項1に記載の巻き具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシンに取り付けられる巻き具に関する。
【背景技術】
【0002】
ミシンでは、生地(身頃)の端を折り曲げて縫いつける作業を補助する巻き具が用いられている。巻き具は、ラッパ等とも呼ばれるアタッチメント金具であり、生地の端を巻き込んで折り曲げ、針先に向けて供給する。巻き具は、ミシンのテーブルや針板に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
巻き具は、テーブルや針板に固定される。ヒンジやスライド等の可動部を有する取付板を介してテーブル等に固定される巻き具もある。取付板に可動部を設けることにより、不使用時に巻き具を針から僅かに遠ざけたり、巻き具の位置姿勢を微調整したりできる。
しかしながら、工業(業務)用ミシンにおいては、巻き具の取り付けは、フラットベッド型ミシン(平ミシン)には可能であるが、シリンダーベッド型ミシン(腕ミシン)やポストベッド型ミシン等の特殊なミシンには困難である。
このため、工業(業務)用ミシンに巻き具を取り付ける場合には、ミシンを改造する必要があり、20万円程度の費用がかかる場合がある。また、特殊な巻き具の製作や巻き具を取り付けるための特別なミシンが必要になることもある。特別なミシンは、30万~80万円程度の費用がかかる。
さらに、工業(業務)用ミシンに巻き具を取り付けると、巻き具の取り外しや再取り付けが複雑・煩雑であるため、そのミシンは巻き具を使用する縫製作業の専用機として用いられようになってしまう。このため、小規模・零細な縫製所では、巻き具を容易に導入することができない。
【0005】
本発明は、巻き具本体の位置姿勢の調整や交換等を容易に行うことができる巻き具を提案する。特に、シリンダーベッド型ミシン等の特殊なミシンに取り付けることができる巻き具を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施態様に係る巻き具は、ミシンに取り付けられて、ミシン針に向けて延在する自在アームと、前記自在アームの先端に固定される巻き具本体と、を備えることを特徴とする。
【0007】
前記自在アームは、前記ミシンの本体部に取り付けられる、ことを特徴とする。
前記自在アームは、前記ミシンの基礎部に取り付けられる、ことを特徴とする。
【0008】
前記自在アームは、吊り下げ定規であり、前記吊り下げ定規の先端と前記巻き具本体を連結するアダプターを備える、ことを特徴とする。
【0009】
前記ミシンは、シリンダーベッド型ミシンまたはポストベッド型ミシンである、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、巻き具本体の位置姿勢の調整や交換等を容易に行うことができる巻き具を実現できる。特に、シリンダーベッド型ミシン等の特殊なミシンに取り付けることができる巻き具を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第一実施形態に係るミシン1および巻き具10を示す斜視図である。
【
図3】巻き具10の取付位置を変えた場合を示す斜視図である。
【
図4】第二実施形態に係る巻き具20を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の巻き具10について、図面を参照して説明する。
図1は、第一実施形態のミシン1および巻き具10を示す斜視図である。
図2は、巻き具10を示す拡大斜視図である。
【0013】
ミシン1は、腕ミシンとも呼ばれるシリンダーベッド型ミシンである。ミシン1は、シリンダーベッド2、ミシン針3、中押え5および外押え6等を備える。
ミシン1の本体部1aには、巻き具10が取り付けられる。
【0014】
巻き具10は、巻き具本体11、アダプター12および自在アーム13を備える。
巻き具本体11は、ラッパと総称(通称)されるアタッチメント金具である。巻き具本体11は、生地(身頃)の端を巻き込んで、折る、折り込む、くるむ、束ねる等を行うものである。
巻き具本体11には、ヘマー、バインダー、フォルダー等の種類がある。ヘマーは、生地そのものをヘミング(縁取り・裾上げ)する。バインダーは、生地の縁をテープでバインド(くるむ、束ねる)して縫製する。フォルダーは、生地そのものを折り曲げる。
巻き具本体11は、ヘマー、バインダー、フォルダーのいずれであってもよい。巻き具本体11には、従来から流通しているものを用いることができる。
【0015】
アダプター12は、巻き具本体11と自在アーム13を連結固定するための部材である。自在アーム13の先端に巻き具本体11を直接固定するときは、アダプター12は不要である。
【0016】
自在アーム13は、自在スタンド、アームスタンド、フレキシブルアーム等と呼ばれる固定具である。自在アーム13は、ミシン針3に向かって延在する複数のロッドやシリンダを有する。また、自在アーム13は、ヒンジ、ジョイント等を有し、先端に取り付けられた部材を任意の位置に移動・配置することができる。
自在アーム13は、基端が本体部1aの前面に固定され、先端にアダプター12を介して巻き具本体11が取り付けられる。これにより、アダプター12をミシン針3の近傍に配置したり、不使用時にミシン針3から遠ざけたりすることを容易に行える。例えば、巻き具本体11をベッド(テーブル)から浮かせた位置に配置することも容易に行える。
【0017】
図3は、巻き具10の取付位置を変えた場合を示す斜視図である。自在アーム13の取付位置は、任意に変更可能である。
図3に示すように、自在アーム13をミシン1の基礎部1b(シリンダーベッド2の根元付近)に固定してもよい。具体的には、自在アーム13の基端が基礎部1b(本体部1aの内面等)に固定される。巻き具10の取付位置を変えた場合であっても、自在アーム13を備えるので、巻き具本体11を任意の位置に移動・配置することができる。従来の巻き具に比べて、大幅に巻き具本体に配置範囲を拡大でき、配置位置の移動・調整も円滑に行うことが可能になる。
【0018】
図4は、第二実施形態の巻き具20を示す斜視図である。
図4に示すように、自在アーム13として、従来から流通している吊り下げ定規23を用いてもよい。吊り下げ定規23は、スイング定規とも呼ばれる。例えば、ユニバーサル吊り下げ定規を好適に用いることができる。
吊り下げ定規23の基端を前面等に固定し、先端にアダプター12を介して巻き具本体11を取り付ける。これにより、先端に取り付けられた巻き具本体11を任意の位置に移動・配置することができる。
【0019】
本実施形態の巻き具10,20によれば、巻き具本体11の位置姿勢の調整や巻き具本体11の交換等を容易に行うことができる。巻き具10,20は、特にシリンダーベッド型ミシン等の特殊なミシンに好適に取り付けられる。
【0020】
また、本発明によれば、巻き具10,20を低価格で使用することができる。
なぜなら、ミシン1を全く改造することなく、巻き具10,20を適用することができるからである。
【0021】
また、本実施形態によれば、巻き具10,20の取り付けが非常に簡単に行える。特に、吊り下げ定規23を用いた場合には、その先端に巻き具本体11を取り付けるだけでよいか らである。
吊り下げ定規23は、元々、その先端の位置を前後方向・上下方向・左右方向にそれぞれ容易に調整できる機構を有するので、巻き具本体11の位置姿勢を簡単に調整することができる。吊り下げ定規23を取り付けることができるミシンであれば、ミシンの機種を問わず、ほとんどのミシンで巻き具20を使用可能になる。
従来の巻き具に比べて、大幅に巻き具本体に配置範囲を拡大でき、配置位置の移動・調整も円滑に行うことが可能になる。
【0022】
また、本実施形態によれば、汎用品の巻き具(巻き具本体11)を用いることができ、コスト低減を図ることができる。汎用品の巻き具を用いることができるので、様々な縫製作業を行うことができる。また、生地(身頃)の種類についても、綿等の薄手生地、デニム等の厚手生地、皮革類を取り扱うことができる。
【0023】
また、本実施形態によれば、巻き具10,20の導入の敷居を下げることができる。巻き具を使用する専用ミシンが不要になり、1台のミシンで様々な縫製作業を行うことが可能になる。
【0024】
本実施形態の巻き具10,20は、大量生産を行う縫製工場はもちろん、小規模工房や個人宅等においても使用されうる。巻き具10,20は、低価格の設備しか持たない工房等においても、様々な縫製作業を行うことが可能になる。
【0025】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
【0026】
ミシン1は、シリンダーベッド型ミシンに限らず、フラットベッド型ミシンやポストベッド型ミシンでもよい。
【0027】
巻き具本体11は、ヘマー、バインダー、フォルダーのいずれであってもよい。
【0028】
自在アーム13は、任意の機構を用いることができる。自在アームには、例えば、前後・左右・上下の直交する3軸方向に可動できる直覚座標型、水平面上の回転および上下動・半径方向にアームが伸縮する円筒座標型、一点を中心にアームが回転・収縮する極座標型、複数の回転運動をする関節を持つ多関節型等がある。これら以外の機構を有する自在アームを用いてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 ミシン
1a 本体部
1b 基礎部
2 シリンダーベッド
3 ミシン針
5 中押え
6 外押え
10 巻き具
11 巻き具本体
12 アダプター
13 自在アーム
20 巻き具
23 吊り下げ定規(自在アーム)