(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047645
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】バトン昇降システム、および、制御装置
(51)【国際特許分類】
F21V 21/36 20060101AFI20240401BHJP
H05B 47/125 20200101ALI20240401BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240401BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20240401BHJP
B66D 1/54 20060101ALI20240401BHJP
B66C 13/00 20060101ALI20240401BHJP
B66C 15/00 20060101ALI20240401BHJP
F21W 131/406 20060101ALN20240401BHJP
【FI】
F21V21/36 110
H05B47/125
F21S2/00 621
F21S2/00 622
F21V23/00 110
B66D1/54 Z
B66C13/00 D
B66C15/00 E
F21W131:406
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153251
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 貴之
【テーマコード(参考)】
3F204
3K014
3K273
【Fターム(参考)】
3F204BA10
3F204CA05
3F204DB03
3F204DC01
3F204FC04
3F204FC06
3K014AA00
3K273PA05
3K273QA36
3K273QA37
3K273SA21
3K273SA38
3K273SA50
3K273SA57
3K273SA60
3K273TA17
3K273TA52
3K273TA68
3K273TA70
3K273VA04
(57)【要約】
【課題】検知対象を好適に検知するバトン昇降システム、および制御装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係るバトン昇降システムは、バトンと、高さ検知部と、設定部と、対象検知部とを具備する。バトンは、昇降可能である。高さ検知部は、バトンの高さを検知する。設定部は、バトンの高さに応じて、バトンの下方における検知範囲を変更する。対象検知部は、検知範囲における検知対象の有無を検知する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降可能なバトンと;
前記バトンの高さを検知する高さ検知部と;
前記バトンの高さに応じて、前記バトンの下方における検知範囲を変更する設定部と;
前記検知範囲における検知対象の有無を検知する対象検知部と;
を具備する、バトン昇降システム。
【請求項2】
前記設定部は、前記バトンの高さが低くなるにつれて、前記検知範囲を広くする、請求項1に記載のバトン昇降システム。
【請求項3】
前記検知範囲において前記検知対象が検知された場合、前記バトンの高さに応じて、前記バトンの昇降速度を変更する昇降制御部;
を具備する、請求項1または2に記載のバトン昇降システム。
【請求項4】
前記検知範囲において前記検知対象が検知された場合、前記バトンの高さに応じて、危険状態を報知する報知装置;
を具備する、請求項1または2に記載のバトン昇降システム。
【請求項5】
バトンの高さに応じて、前記バトンの下方における検知範囲を変更する設定部と;
前記検知範囲における検知対象の有無を検知する対象検知部と;
を具備する、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、バトン昇降システム、および、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スタジオ、および、舞台などでは、複数の照明装置により照明演出がなされている。そして、昇降可能なバトンに照明装置が取り付けられ、バトンの昇降に応じて照明装置を昇降させる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、バトンの下方に、人などの検体対象が存在する場合、検知対象へのバトンの接近に気付かないことがあり、検知対象にバトンが接触するおそれがある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、検知対象を好適に検知するバトン昇降システム、および、制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るバトン昇降システムは、バトンと、高さ検知部と、設定部と、対象検知部とを具備する。バトンは、昇降可能である。高さ検知部は、バトンの高さを検知する。設定部は、バトンの高さに応じて、バトンの下方における検知範囲を変更する。対象検知部は、検知範囲における検知対象の有無を検知する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バトンの高さに応じて設定された検知範囲において検体対象を好適に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るバトン昇降システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るバトンの高さと、検知範囲との関係を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る検知対象の検知処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施形態に係るバトン昇降システム1は、バトン2と、高さ検知部4と、設定部25と、対象検知部26とを具備する。バトン2は、昇降可能である。高さ検知部4は、バトン2の高さを検知する。設定部25は、バトン2の高さに応じて、バトン2の下方における検知範囲を変更する。対象検知部26は、検知範囲における検知対象の有無を検知する。
【0010】
また、以下に説明する実施形態に係る設定部25は、バトン2の高さが低くなるにつれて、検知範囲を広くする。
【0011】
また、以下に説明する実施形態に係るバトン昇降システム1は、昇降制御部27を具備する。昇降制御部27は、検知範囲において検知対象が検知された場合、バトン2の高さに応じて、バトン2の昇降速度を変更する。
【0012】
また、以下に説明する実施形態に係るバトン昇降システム1は、報知装置6を具備する。報知装置6は、検知範囲において検知対象が検知された場合、バトン2の高さに応じて、危険状態を報知する。
【0013】
また、以下に説明する実施形態に係る制御装置7は、設定部25と、対象検知部26とを具備する。設定部25は、バトン2の高さに応じて、バトン2の下方における検知範囲を変更する。対象検知部26は、検知範囲における検知対象の有無を検知する。
【0014】
以下、図面を参照して、実施形態に係るバトン昇降システム1、および、制御装置7を説明する。
【0015】
まず、
図1を用いて、実施形態に係るバトン昇降システム1の概要について説明する。
図1は、実施形態に係るバトン昇降システム1の構成例を示す図である。実施形態に係るバトン昇降システム1は、スタジオや舞台などの照明空間で照明装置を昇降させるシステムである。
【0016】
バトン昇降システム1は、バトン2と、巻上機3と、高さ検知部4と、カメラ5と、報知装置6と、制御装置7とを備える。
【0017】
バトン2は、複数設けられる。バトン2は、1つであってもよい。バトン2には、複数の照明装置が取り付け可能である。なお、バトン2には、照明装置以外の器具が取り付けられてもよい。バトン2は、ワイヤロープ10によって天井に吊り下げられる。たとえば、バトン2は、グリッド天井11からワイヤロープ10によって吊り下げられる。
【0018】
巻上機3は、たとえば、グリッド天井11に設けられる。巻上機3は、ワイヤロープ10を介してバトン2を昇降する。巻上機3は、たとえば、モータによってドラム3Aを回転させて、バトン2を昇降する。ドラム3Aには、ワイヤロープ10が取り付けられる。巻上機3は、ドラム3Aの回転方向を切り替えることで、ワイヤロープ10の繰り出し、および、ワイヤロープ10の巻き上げを切り替えて、バトン2を昇降する。巻上機3は、制御装置7から送信される制御信号に基づいて、ドラム3Aを回転させる。ワイヤロープ10は、滑車12に巻き掛けられる。
【0019】
高さ検知部4は、バトン2の高さを検知する。高さ検知部4は、たとえば、巻上機3に取り付けられるエンコーダを含む。高さ検知部4は、エンコーダによってドラム3Aの回転を計測することで、バトン2の高さを検知する。なお、高さ検知部4は、バトン2の高さを検知可能なカメラ装置などであってもよい。
【0020】
カメラ5は、バトン2の下方を撮影する。カメラ5は、たとえば、各種撮像素子と、魚眼レンズなどの広角レンズなどによって構成される。カメラ5は、バトン2に取り付けられる。カメラ5は、たとえば、バトン2のケーブル収納、または、上方側のバトン2に取り付けられる。カメラ5は、グリッド天井11、または、壁などに設けられてもよい。カメラ5は、複数設けられてもよい。
【0021】
報知装置6は、危険状態を報知する。報知装置6は、表示灯、および、音声装置の少なくとも1つを含む。報知装置6は、複数設けられてもよい。報知装置6は、たとえば、バトン2に取り付けられる。報知装置6は、制御装置7に設けられてもよい。報知装置6は、壁などに設けられてもよい。報知装置6は、作業者などが有する端末装置であってもよい。危険状態は、バトン2とバトン2の下方の検知対象との距離の状態、および、バトン2の昇降状態などを含む。検知対象は、人、および、物(たとえば、展示物、および、舞台セット)を含む。
【0022】
報知装置6は、制御装置7から送信される信号に基づいて、危険状態を報知する。後述する制御装置7によって検知範囲内において検知対象が検知された場合、報知装置6は、バトン2の高さに応じて危険状態を報知する。報知装置6は、バトン2の高さに応じて変更される報知方法に従って危険状態を報知する。換言すると、報知装置6は、バトン2の高さに応じて、バトン2の高さに好適な注意喚起を実行する。
【0023】
次に、制御装置7について、
図2を参照し説明する。
図2は、実施形態に係る制御装置7の機能構成の一例を示すブロック図である。制御装置7は、巻上機3を制御することで、バトン2の昇降を制御する。制御装置7は、通信部20と、操作部21と、記憶部22と、制御部23とを備える。
【0024】
通信部20は、たとえば、所定の通信回路等によって実現される。たとえば、通信部20は、イーサネット(登録商標)、および、LANなどのネットワークを介して、高さ検知部4、カメラ5、報知装置6、および、巻上機3との間の通信を中継する。
【0025】
操作部21は、バトン2の昇降操作などを受け付ける。操作部21は、たとえば、ボタン、および、レバーを含む。なお、操作部21は、制御装置7とは別に設けられてもよい。この場合、制御装置7は、通信部20を介して操作部21によるバトン2の昇降操作に関する情報を取得する。すなわち、バトン2の昇降操作は、制御装置7とは異なるリモートコントローラによって行われてもよい。
【0026】
記憶部22は、制御部23による制御を実現するためのプログラム等を記憶する。記憶部22は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
【0027】
制御部23は、各種の情報処理を実行する演算装置であり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路を採用できる。制御部23は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。制御部23は、各種のプログラムが動作することにより各種の処理部として機能する。
【0028】
制御部23は、取得部24と、設定部25と、解析部26(対象検知部)と、昇降制御部27と、報知部28とを備える。
【0029】
取得部24は、通信部20を介して、高さ検知部4からバトン2の高さ情報を取得する。取得部24は、高さ検知部4から得られる情報に基づいて、バトン2の高さを検出してもよい。取得部24は、通信部20を介して、カメラ5からバトン2の下方が撮影された画像データを取得する。
【0030】
設定部25は、バトン2の高さに応じて、バトン2の下方における検知範囲を設定する。検知範囲は、バトン2の下方の危険が検知される範囲である。設定部25は、たとえば、複数の検知範囲の中から、バトン2の高さに応じて、検知範囲を設定する。検知範囲は、たとえば、
図3に示すように、バトン2の高さに応じて、3つの範囲に設定される。
図3は、実施形態に係るバトン2の高さと、検知範囲との関係を示す図である。
【0031】
バトン2の高さが第1高さ範囲H1の場合、設定部25は、検知範囲を第1検知範囲W1に設定する。バトン2の高さが第2高さ範囲H2の場合、設定部25は、検知範囲を第2検知範囲W2に設定する。バトン2の高さが第3高さ範囲H3の場合、設定部25は、検知範囲を第3検知範囲W3に設定する。
【0032】
第1高さ範囲H1~第3高さ範囲H3は、予め設定される。第1高さ範囲H1は、第2高さ範囲H2、および、第3高さ範囲H3よりも、高さが高い範囲に設定される。第2高さ範囲H2は、第3高さ範囲H3よりも、高さが高い範囲に設定される。
【0033】
たとえば、第1高さ範囲H1は、バトン2の高さが、5m以上となる範囲である。第1高さ範囲H1は、上限の高さが設定されてもよい。上限の高さが設定される場合、たとえば、第1高さ範囲H1は、バトン2の高さが、5m以上、かつ、10m以下となる範囲である。
【0034】
たとえば、第2高さ範囲H2は、バトン2の高さが5m未満、かつ、3m以上となる範囲である。たとえば、第3高さ範囲H3は、バトン2の高さが3m未満となる範囲である。第3高さ範囲H3は、下限の高さが設定されてもよい。下限の高さが設定される場合、たとえば、第3高さ範囲H3は、3m未満、かつ、1.5m以上である。
【0035】
第1検知範囲W1は、第2検知範囲W2、および、第3検知範囲W3よりも狭い。第1検知範囲W1~第3検知範囲W3は、矩形状の範囲である。たとえば、第1検知範囲W1は、下方に向けたバトン2の投影範囲である。第2検知範囲W2は、第3検知範囲W3よりも狭い。すなわち、検知範囲は、バトン2の高さが高くなるほど、狭くなる。換言すると、検知範囲は、バトン2の高さが低くなるほど、広くなる。なお、第1検知範囲W1~第3検知範囲W3は、矩形状の範囲ではなくてもよい。たとえば、第1検知範囲W1~第3検知範囲W3は、楕円状の範囲であってもよい。
【0036】
なお、第1高さ範囲H1~第3高さ範囲H3、および、第1検知範囲W1~第3検知範囲W3は、一例であり、これらに限定されるものではない。高さ範囲は、上記3つの高さ範囲に限られることはない。また、検知範囲は、上記3つの検知範囲に限られることはない。検知範囲は、2つ以上に設定可能であればよい。また、検知範囲は、バトン2の高さに応じてリニアに変更するように設定されてもよい。
【0037】
解析部26は、検知範囲内における検知対象の有無を検知する。解析部26は、設定部25によって設定された検知範囲内における検知対象の有無を検知する。
【0038】
解析部26は、カメラ5によって撮影された画像データに、所定の画像処理を行うことによって、検知範囲内における検知対象の有無を検知する。解析部26は、画像データに対して、設定部25によって設定された検知範囲を設定する。解析部26は、設定した検知範囲内に検知対象が存在するか否かを判定する。
【0039】
所定の画像処理は、たとえば、検出モデルを用いることで実行される。検出モデルは、たとえば、ディープニューラルネットワーク(DNN:Deep Neural Network)等の機械学習のアルゴリズムにより学習を行うことで得られる。検出モデルは、たとえば、教師あり学習により得られてよい。検出モデルは、HOG(Histogram Of Gradient)特徴量を利用したSVM(Support Vector Machine)等の機械学習のアルゴリズムを用いる構成であってもよい。また、解析部26は、機械学習を行った検出モデルを用いることなく、たとえば、テンプレートマッチング等を用いて各種検出を実行する構成であってもよい。
【0040】
昇降制御部27は、巻上機3を制御し、バトン2の昇降を制御する。昇降制御部27は、操作部21における操作に基づいて、巻上機3のモータを制御するための制御信号を生成する。生成された制御信号は、通信部20を介して巻上機3に送信される。
【0041】
解析部26によって検知範囲内に検知対象が検知された場合、昇降制御部27は、バトン2の昇降速度を変更する。解析部26によって検知範囲に検知対象が検知された場合、昇降制御部27は、バトン2の高さに応じて、バトン2の昇降速度を変更する。バトン2の高さが低い場合、昇降制御部27は、バトン2の昇降速度を小さくする。昇降制御部27は、バトン2の高さが低くなるにつれて、バトン2の昇降速度を小さくする。たとえば、昇降制御部27は、バトン2の昇降速度を、複数の昇降速度の中から、バトン2の高さに応じた昇降速度に設定する。
【0042】
たとえば、バトン2の高さが第1高さ範囲H1であり、かつ、第1検知範囲W1内に検知対象が検知された場合、昇降制御部27は、バトン2の昇降速度を第1所定速度とする。バトン2の高さが第2高さ範囲H2であり、かつ第2検知範囲W2内に検知対象が検知された場合、昇降制御部27は、バトン2の昇降速度を第2所定速度とする。バトン2の高さが第3高さ範囲H3であり、かつ、第3検知範囲W3内に検知対象が検知された場合、昇降制御部27は、バトン2の昇降速度を第3所定速度とする。
【0043】
第1所定速度は、第2所定速度、および、第3所定速度よりも大きい。第2所定速度は、第3所定速度よりも大きい。第1所定速度~第3所定速度は、それぞれ予め設定された速度である。第1所定速度は、検知範囲で検知対象が検知されない場合の速度であってもよい。第3所定速度は、ゼロであってもよい。すなわち、バトン2の高さが第3高さ範囲H3であり、かつ、第3検知範囲W3内に検知対象が検知された場合、昇降制御部27は、バトン2を停止させてもよい。これにより、バトン2と検知対象との接触が抑制される。
【0044】
昇降制御部27は、バトン2が降下している場合にのみ、バトン2の高さが低くなるにつれて、バトン2の降下速度を小さくしてもよい。昇降制御部27は、バトン2が上方している場合、バトン2の高さが低くなるほど、バトン2の上昇速度を大きくしてもよい。
【0045】
解析部26によって検知範囲内に検知対象が検知された場合、報知部28は、バトン2の高さに応じて、検体対象の検知を報知させる。報知部28は、バトン2の高さに応じた制御信号を生成し、生成した制御信号を、通信部20を介して、報知装置6に送信する。これにより、報知装置6によって、バトン2の高さに好適な注意喚起が実行される。解析部26によって検知範囲内に検知対象が検知された場合、報知部28は、バトン2の高さが低くなるほど、バトン2の周囲の人などの注意力が大きくなるように報知装置6によって注意喚起を実行させる。
【0046】
たとえば、報知装置6が、表示灯を含む場合、報知部28は、表示灯における表示を、バトン2の高さに応じて変更させる。たとえば、バトン2の高さが第1高さ範囲H1であり、かつ、第1検知範囲W1内に検知対象が検知された場合、報知部28は、表示灯を赤色の表示色で低速点滅させる。バトン2の高さが第2高さ範囲H2であり、かつ、第2検知範囲W2内に検知対象が検知された場合、報知部28は、表示灯を赤色の表示色で高速点滅させる。バトン2の高さが第3高さ範囲H3であり、かつ、第3検知範囲W3内に検知対象が検知された場合、報知部28は、表示灯を赤色で点灯させる。なお、バトン2の高さに応じて、表示灯の表示色が変更されてもよい。
【0047】
たとえば、報知装置6が、音声装置を含む場合、報知部28は、音声装置による音声を、バトン2の高さに応じて変更する。たとえば、検知範囲内に検知対象が検知された場合、報知部28は、バトン2の高さが低くなるにつれて、報知する音量を大きくする。たとえば、バトン2の高さが第1高さ範囲H1であり、かつ、第1検知範囲W1内に検知対象が検知された場合、報知部28は、音声装置による報知をしなくてもよい。報知部28は、バトン2の高さに応じて、音声による報知内容を変更してもよい。
【0048】
たとえば、報知装置6が、作業者などが有する端末装置を含む場合、報知部28は、音声装置と同様に、バトン2の高さに応じて端末装置による音声によって、検知範囲内における検知対象の検知を報知する。報知部28は、バトン2の高さに応じて端末装置を振動させてもよい。たとえば、バトン2の高さが第2高さ範囲H2、または、第3高さ範囲H3であり、かつ、高さ範囲に対応する検知範囲内に検知対象が検知された場合、報知部28は、端末装置を振動させてもよい。
【0049】
次に、実施形態に係る検知対象の検知処理について、
図4のフローチャートを参照し説明する。
図4は、実施形態に係る検知対象の検知処理を説明するフローチャートである。
【0050】
制御部23は、バトン2の高さ情報を取得する(S100)。制御部23は、カメラ5からバトン2の下方を撮影した画像データを取得する(S101)。
【0051】
制御部23は、バトン2の高さに応じて検知範囲を設定する(S102)。制御部23は、設定した検知範囲内に検知対象が検知されたか否かを判定する(S103)。
【0052】
制御部23は、検知範囲内に検知対象が検知されない場合(S103:No)、今回の処理を終了する。制御部23は、検知範囲内に検知対象が検知された場合(S103:Yes)、バトン2の昇降速度を調整し(S104)、検知対象の検知を報知させる(S105)。
【0053】
バトン昇降システム1は、バトン2と、高さ検知部4と、設定部25と、解析部26とを備える。バトン2は、昇降可能である。高さ検知部4は、バトン2の高さを検知する。設定部25は、バトン2の高さに応じて、バトン2の下方における検知範囲を変更する。解析部26は、検知範囲における検知対象の有無を検知する。
【0054】
これにより、バトン昇降システム1は、バトン2の高さに応じて検知範囲を好適に設定することができる。そのため、バトン昇降システム1は、バトン2の高さに好適な検知範囲において、検知対象を検知することができる。
【0055】
設定部25は、バトン2の高さが高くなるにつれて、検知範囲を狭くする。すなわち、設定部25は、バトン2の高さが低くなるにつれて、検知範囲を広くする。
【0056】
バトン2の高さが高く、バトン2と検知対象との距離が長い場合には、バトン2と検知対象との接触の可能性が低い。たとえば、バトン2の高さが高い状態で、検知範囲が広く設定された場合、検知対象の検知による注意喚起が過剰になり、バトン2の周囲の人は、注意喚起に対する注意力が低下するおそれがある。
【0057】
バトン昇降システム1は、バトン2の高さが高くなるにつれて、検知範囲を狭くすることで、検知対象の検知よる注意喚起が過剰に実行されることを抑制することができる。そのため、バトン昇降システム1は、検知対象の検知による注意喚起に対して、たとえば、バトン2の周囲にいる人の注意力が低下することを抑制することができる。また、バトン2の高さが低くなるにつれて、バトン昇降システム1は、検知範囲を狭くすることで、たとえば、バトン2の周囲にいる人を検知対象として検知することができる。そのため、バトン昇降システム1は、バトン2の周囲にいる人に、バトン2との接触を回避するように回避行動を取らせることができる。
【0058】
バトン昇降システム1は、昇降制御部27を備える。昇降制御部27は、検知範囲において対象が検知された場合、バトン2の高さに応じて、バトン2の昇降速度を変更する。
【0059】
これにより、バトン昇降システム1は、バトン2の高さに応じた昇降速度で、バトン2を好適に昇降することができる。たとえば、バトン昇降システム1は、検知範囲内で検知対象が検知され、かつ、バトン2の高さが低い場合、バトン2の昇降速度を小さくすることで、バトン2と検知対象との接触を抑制することができる。また、たとえば、バトン昇降システム1は、検知範囲内で検知対象が検知された場合であっても、バトン2の高さが高い場合には、バトン2の昇降速度を大きくすることで、バトン2を素早く昇降させることができる。
【0060】
バトン昇降システム1は、報知装置6を備える。報知装置6は、検知範囲において検知対象が検知された場合、バトン2の高さに応じて、危険状態を報知する。
【0061】
これにより、バトン昇降システム1は、バトン2の高さに好適な注意喚起を実行することができる。たとえば、検知範囲において検知対象が検知され、かつ、バトン2の高さが低い場合、バトン昇降システム1は、たとえば、バトン2の周囲の人に、強い注意喚起を起こさせることで、バトン2との接触を回避させることができる。
【0062】
上記実施形態では、検知範囲に検知対象が検知された場合、バトン2の昇降速度が調整され、かつ、報知装置6による報知が行われる一例について説明したが、これに限られることはない。バトン昇降システム1では、検知範囲に検知対象が検知された場合、バトン2の昇降速度の調整、および、報知装置6による報知の少なくとも一方が実行されればよい。
【0063】
変形例に係るバトン昇降システム1は、バトン2が降下する場合にのみ、上記した検体対象の検知処理を実行し、バトン2が上昇する場合には、上記した検体対象の検知処理を実行しなくてもよい。すなわち、変形例に係るバトン昇降システム1は、バトン2が降下する場合にのみ、検知対象の検知を行ってもよい。
【0064】
これにより、変形例に係るバトン昇降システム1は、バトン2と検知対象とが接触する可能性が低いバトン2の上昇時に、たとえば、報知装置6による報知を行われることを防止する。変形例に係るバトン昇降システム1は、バトン2と検知対象とが接触するおそれがあるバトン2の降下時にのみ、検知対象の検知を実行する。そのため、バトン昇降システム1は、バトン2が降下する場合、検知対象の検知による注意喚起に対して、たとえば、バトン2の周囲にいる人の注意力が低下することを抑制することができる。
【0065】
変形例に係るバトン昇降システム1は、作業者、および、管理者などの操作によって、各検知範囲、各高さ範囲、および、バトン2の昇降速度などを設定可能であってもよい。
【0066】
変形例に係るバトン昇降システム1は、センサによって検知範囲内における検知対象の有無を検知してもよい。センサは、たとえば、人感センサ、および、赤外線センサを含む。
【0067】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0068】
1 バトン昇降システム
2 バトン
3 巻上機
4 高さ検知部
5 カメラ
6 報知装置
7 制御装置
23 制御部
24 取得部
25 設定部
26 解析部(対象検知部)
27 昇降制御部
28 報知部