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特開2024-47646バトン昇降システム、および、制御装置
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  • 特開-バトン昇降システム、および、制御装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047646
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】バトン昇降システム、および、制御装置
(51)【国際特許分類】
   B66D 1/54 20060101AFI20240401BHJP
   H05B 47/115 20200101ALI20240401BHJP
   F21V 21/36 20060101ALI20240401BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20240401BHJP
【FI】
B66D1/54 C
H05B47/115
F21V21/36 110
F21V23/00 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153252
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 貴之
【テーマコード(参考)】
3K014
3K273
【Fターム(参考)】
3K014AA00
3K273PA05
3K273QA36
3K273QA37
3K273SA24
3K273SA35
3K273SA38
3K273SA50
3K273SA60
3K273TA17
3K273TA52
3K273TA70
3K273UA18
3K273VA04
(57)【要約】
【課題】ワイヤの異常を早期に検知し、かつ、保守作業の負荷を低減するバトン昇降システム、および制御装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係るバトン昇降システムは、バトンと、高さ検知部と、印検知部と、異常検知部とを具備する。バトンは、昇降可能である。高さ検知部は、バトンの高さを検知する。印検知部は、バトンと巻上機とを接続するワイヤロープに設けられる印を検知する。異常検知部は、バトンの高さと、印の検知結果とに基づいて、異常を検知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降可能なバトンと;
前記バトンの高さを検知する高さ検知部と;
前記バトンと巻上機とを接続するワイヤロープに設けられる印を検知する印検知部と;
前記バトンの高さと、前記印の検知結果とに基づいて、異常を検知する異常検知部と;
を具備する、バトン昇降システム。
【請求項2】
前記印検知部は、前記バトンが降下限界位置となった状態の前記ワイヤロープに設けられる第1印を検知可能であり、
前記異常検知部は、前記高さ検知部によって検知される前記バトンの高さが、前記降下限界位置であり、かつ、前記印検知部によって前記第1印が検知されない場合、前記異常を検知する、請求項1に記載のバトン昇降システム。
【請求項3】
前記印検知部は、前記バトンが上昇限界位置となった状態の前記ワイヤロープに設けられる第2印を検知可能であり、
前記異常検知部は、前記高さ検知部によって検知される前記バトンの高さが、前記上昇限界位置であり、かつ、前記印検知部によって前記第2印が検知されない場合、前記異常を検知する、請求項1に記載のバトン昇降システム。
【請求項4】
前記印検知部は、前記ワイヤロープに所定間隔で設けられた複数の印を検知可能であり、
前記異常検知部は、前記高さ検知部によって検知される前記バトンの高さと、前記複数の印の検知結果とに基づいて、前記異常を検知する、請求項1に記載のバトン昇降システム。
【請求項5】
前記異常検知部によって前記異常が検知された場合、前記異常を報知する報知装置;
を具備する、請求項1~4のいずれか1つに記載のバトン昇降システム。
【請求項6】
昇降可能なバトンの高さと、前記バトンと巻上機とを接続するワイヤロープに設けられる印の検知結果とに基づいて、異常を検知する異常検知部;
を具備する、制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、バトン昇降システム、および、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明装置などの器具がバトンによって昇降可能に取り付けられる技術が提案されている。バトンは、ワイヤロープを介して巻上機によって昇降される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-265766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、たとえば、ワイヤロープの経年劣化の異常は、定期メンテナンスによって発見される。しかしながら、定期メンテナンス以外の時期に、ワイヤロープなどの異常を検知することが困難である。また、設置されるバトンが多い場合には、定期メンテナンスの作業時間が長くなるなど、保守作業の負荷が大きくなる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、異常を早期に検知し、かつ、保守作業の負荷を低減するバトン昇降システム、および、制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るバトン昇降システムは、バトンと、高さ検知部と、印検知部と、異常検知部とを具備する。バトンは、昇降可能である。高さ検知部は、バトンの高さを検知する。印検知部は、バトンと巻上機とを接続するワイヤロープに設けられる印を検知する。異常検知部は、バトンの高さと、印の検知結果とに基づいて、異常を検知する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によればワイヤの異常を早期に検知し、かつ、保守作業の負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るバトン昇降システムの構成例を示す図である。
図2図2は、バトンが上昇上限位置となった状態を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る異常検知処理を説明するフローチャートである。
図5図5は、変形例に係るバトン昇降システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施形態に係るバトン昇降システム1は、バトン2と、高さ検知部4と、印検知部5と、異常検知部25とを具備する。バトン2は、昇降可能である。高さ検知部4は、バトン2の高さを検知する。印検知部5は、バトン2と巻上機3とを接続するワイヤロープ10に設けられる印15を検知する。異常検知部25は、バトン2の高さと、印15の検知結果とに基づいて、異常を検知する。
【0010】
また、以下に説明する実施形態に係る印検知部5は、バトン2が降下限界位置となった状態のワイヤロープ10に設けられる第1印15aを検知可能である。異常検知部25は、高さ検知部4によって検知されるバトン2の高さが、降下限界位置であり、かつ、印検知部5によって第1印15aが検知されない場合、異常を検知する。
【0011】
また、以下に説明する実施形態に係る印検知部5は、バトン2が上昇限界位置となった状態のワイヤロープ10に設けられる第2印15bを検知可能である。異常検知部25は、高さ検知部4によって検知されるバトン2の高さが、上昇限界位置であり、かつ、印検知部5によって第2印15bが検知されない場合、異常を検知する。
【0012】
また、以下に説明する実施形態に係る印検知部5は、ワイヤロープ10に所定間隔で設けられた複数の印15を検知可能である。異常検知部25は、高さ検知部4によって検知されるバトン2の高さと、複数の印15の検知結果とに基づいて、異常を検知する。
【0013】
また、以下に説明する実施形態に係るバトン昇降システム1は、報知装置6を具備する。報知装置6は、異常検知部25によって異常が検知された場合、異常を報知する。
【0014】
また、以下に説明する実施形態に係る制御装置7は、異常検知部25を具備する。異常検知部25は、昇降可能なバトン2の高さと、バトン2と巻上機3とを接続するワイヤロープ10に設けられる印15の検知結果とに基づいて、異常を検知する。
【0015】
以下、図面を参照して、実施形態に係るバトン昇降システム1、および、制御装置7を説明する。
【0016】
まず、図1を用いて、実施形態に係るバトン昇降システム1の概要について説明する。図1は、実施形態に係るバトン昇降システム1の構成例を示す図である。実施形態に係るバトン昇降システム1は、スタジオや、劇場、および、展示場などに配置されるバトン2を昇降させるシステムである。
【0017】
バトン昇降システム1は、バトン2と、巻上機3と、高さ検知部4と、印検知部5と、報知装置6(図3参照)と、制御装置7とを備える。
【0018】
バトン2は、複数設けられる。バトン2は、1つであってもよい。バトン2には、複数の器具が取り付け可能である。器具は、バトン2に吊り下げられる。器具は、照明装置、幕類、および、舞台セットなどを含む。バトン2は、ワイヤロープ10によって天井に吊り下げられる。たとえば、バトン2は、グリッド天井11から、複数のワイヤロープ10によって吊り下げられる。
【0019】
巻上機3は、たとえば、グリッド天井11に設けられる。巻上機3は、ワイヤロープ10を介してバトン2を昇降する。巻上機3は、たとえば、モータによってドラム3Aを回転させて、バトン2を昇降する。ドラム3Aには、ワイヤロープ10が取り付けられる。巻上機3は、ドラム3Aの回転方向を切り替えることで、ワイヤロープ10の繰り出し、および、ワイヤロープ10の巻き上げを切り替えて、バトン2を昇降する。巻上機3は、制御装置7から送信される制御信号に基づいて、ドラム3Aを回転させる。ワイヤロープ10は、滑車12に巻き掛けられる。なお、ワイヤロープ10は、滑車12に巻き掛けられなくてもよい。すなわち、バトン昇降システム1は、滑車12を用いずに、バトン2を昇降させてもよい。
【0020】
高さ検知部4は、バトン2の高さを検知する。高さ検知部4は、たとえば、巻上機3に取り付けられるエンコーダを含む。高さ検知部4は、エンコーダによってドラム3Aの回転を計測することで、バトン2の高さを検知する。なお、高さ検知部4は、バトン2の高さを検知可能なカメラ装置などであってもよい。高さ検知部4は、バトン2の上昇限界位置、および、バトン2の降下限界位置を検知する。上昇限界位置は、予め設定された上限位置である。降下限界位置は、予め設定された下限位置である。高さ検知部4は、上昇限界位置、および、降下限界位置において作動するマイクロスイッチを含んでもよい。
【0021】
印検知部5は、ワイヤロープ10に設けられた印15を検知する。ワイヤロープ10には、複数の印15が設けられる。印15は、第1印15a、および、第2印15bを含む。印15は、印検知部5によって検知可能な印である。
【0022】
第1印15aは、バトン2が降下限界位置にある場合に、印検知部5によって検知できるようにワイヤロープ10に設けられる。すなわち、印検知部5は、バトン2が降下限界位置となった状態のワイヤロープ10に設けられる第1印15aを検知可能である。
【0023】
第2印15bは、図2に示すように、バトン2が上昇限界位置にある場合に、印検知部5によって検知できるようにワイヤロープ10に設けられる。すなわち、印検知部5は、バトン2が上昇限界位置となった状態のワイヤロープ10に設けられる第2印15bを検知可能である。図2は、バトン2が上昇上限位置となった状態を示す図である。
【0024】
たとえば、印検知部5が、色の違いを検知するセンサである場合、印15は、ワイヤロープ10と色が異なる印である。印検知部5が、表面形状を検知するセンサである場合、印15は、ワイヤロープ10の表面とは異なる印である。たとえば、凹凸があるワイヤロープ10に対して、印15は、表面に凹凸がない滑らかな印である。印検知部5が、反射率を検知するセンサである場合、印15は、ワイヤロープ10とは異なる反射率を有する印である。たとえば、反射率が一定ではないワイヤロープ10に対して、印15は、反射率が一定の印である。反射率が一定の印15は、反射しない素材、または、高反射率を有する素材の印を含む。
【0025】
印検知部5、および、印15は、上記一例に限られることはなく、印検知部5が印15を検知可能な組み合わせであればよい。
【0026】
なお、第2印15bは、バトン2が上昇限界位置となった場合に、第2印15bが滑車12に接触しないように、設けられる。具体的には、第2印15bは、バトン2が上昇限界位置となった状態で、滑車12よりもバトン2側のワイヤロープ10に設けられる。これにより、第2印15bが、滑車12、および、ドラム3Aを通過することを抑制し、第2印15bが削れたり、剥がれたりすることを抑制することができる。
【0027】
報知装置6は、後述する異常検知部25によって、異常が検知された場合に、異常を報知する。報知装置6は、表示灯、および、音声装置の少なくとも1つを含む。報知装置6は、複数設けられてもよい。報知装置6は、たとえば、バトン昇降操作器に設けられる。報知装置6は、調光操作卓、および、リモートコントローラなどに設けられてもよい。
【0028】
次に、制御装置7について、図3を参照し説明する。図3は、実施形態に係る制御装置7の機能構成の一例を示すブロック図である。制御装置7は、巻上機3を制御することで、バトン2の昇降を制御する。制御装置7は、バトン昇降操作器に設けられる。制御装置7は、通信部20と、操作部21と、記憶部22と、制御部23とを備える。
【0029】
通信部20は、たとえば、所定の通信回路等によって実現される。たとえば、通信部20は、イーサネット(登録商標)、および、LANなどのネットワークを介して、高さ検知部4、印検知部5、報知装置6、および、巻上機3との間の通信を中継する。
【0030】
操作部21は、バトン2の昇降操作などを受け付ける。操作部21は、たとえば、ボタン、および、レバーを含む。なお、操作部21は、制御装置7とは別に設けられてもよい。この場合、制御装置7は、通信部20を介して操作部21によるバトン2の昇降操作に関する情報を取得する。すなわち、バトン2の昇降操作は、制御装置7とは異なるリモートコントローラによって行われてもよい。
【0031】
記憶部22は、制御部23による制御を実現するためのプログラム等を記憶する。記憶部22は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
【0032】
制御部23は、各種の情報処理を実行する演算装置であり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路を採用できる。制御部23は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。制御部23は、各種のプログラムが動作することにより各種の処理部として機能する。
【0033】
制御部23は、取得部24と、異常検知部25と、昇降制御部26と、報知部27とを備える。
【0034】
取得部24は、通信部20を介して、高さ検知部4からバトン2の高さ情報を取得する。取得部24は、高さ検知部4から得られる情報に基づいて、バトン2の高さを検出してもよい。取得部24は、通信部20を介して、印検知部5から印15の検知結果を取得する。
【0035】
異常検知部25は、バトン2の高さと、印15の検知結果とに基づいて、異常を検知する。異常は、ワイヤロープ10の異常、高さ検知部4の異常、印15の異常、および、印検知部5の異常を含む。ワイヤロープ10の異常は、ワイヤロープ10の伸び、および、ワイヤロープ10の取り付け異常を含む。ワイヤロープ10の取り付け異常は、たとえば、複数のワイヤロープ10によってバトン2を吊り下げた場合に、バトン2が水平になっていない状態である。異常検知部25は、バトン2毎に、異常の検知を行う。異常検知部25は、ワイヤロープ10毎に、異常の検知を行う。
【0036】
異常検知部25は、バトン2の高さが上昇限界位置であるか否かを判定する。異常検知部25は、高さ検知部4によって検知されたバトン2の高さが上昇限界位置であるか否かを判定する。
【0037】
異常検知部25は、バトン2の高さが降下限界位置であるか否かを判定する。異常検知部25は、高さ検知部4によって検知されたバトン2の高さが降下限界位置であるか否かを判定する。
【0038】
異常検知部25は、バトン2の高さが上昇限界位置である場合に、印検知部5によって第2印15bが検知されたか否かを判定する。異常検知部25は、バトン2の高さが上昇限界位置であり、かつ、第2印15bが検知されない場合、異常が発生していると判定する。すなわち、異常検知部25は、バトン2の高さが上昇限界位置であり、かつ、第2印15bが検知されない場合、異常を検知する。
【0039】
異常検知部25は、バトン2の高さが上昇限界位置であり、かつ、第2印15bが検知された場合、上昇限界位置においては、異常が発生していないと判定する。
【0040】
異常検知部25は、バトン2の高さが降下限界位置である場合に、印検知部5によって第1印15aが検知されたか否かを判定する。異常検知部25は、バトン2の高さが降下限界位置であり、かつ、第1印15aが検知されない場合、異常が発生していると判定する。すなわち、異常検知部25は、バトン2の高さが降下限界位置であり、かつ、第1印15aが検知されない場合、異常を検知する。
【0041】
異常検知部25は、バトン2の高さが降下限界位置であり、かつ、第1印15aが検知された場合、降下限界位置においては、異常が発生していないと判定する。
【0042】
昇降制御部26は、巻上機3を制御し、バトン2の昇降を制御する。昇降制御部26は、操作部21における操作に基づいて、巻上機3のモータを制御するための制御信号を生成する。生成された制御信号は、通信部20を介して巻上機3に送信される。
【0043】
昇降制御部26は、バトン2の高さが、上昇限界位置、または、降下限界位置となった場合、バトン2の昇降を停止させる。昇降制御部26は、高さ検知部4によって検知されるバトン2の高さが、上昇限界位置、または、降下限界位置となった場合、バトン2の昇降を停止させる。
【0044】
異常検知部25によって異常が検知された場合、報知部27は、異常を報知するための制御信号を生成し、生成した制御信号を、通信部20を介して、報知装置6に送信する。これにより、報知装置6によって、異常の発生が報知される。報知部27は、異常の発生の種類に応じた制御信号を生成してもよい。これにより、異常の発生の種類に応じた報知が、報知装置6によって実行される。
【0045】
次に、実施形態に係る異常検知処理について、図4のフローチャートを参照し説明する。図4は、実施形態に係る異常検知処理を説明するフローチャートである。異常検知処理は、各ワイヤロープ10に対して実行される。異常検知処理は、各バトン2に対して実行されてもよい。
【0046】
制御部23は、バトン2の高さが上昇限界位置であるか否かを判定する(S100)。制御部23は、バトン2の高さが上昇限界位置である場合(S100:Yes)、第2印15bが検知されたか否かを判定する(S101)。
【0047】
制御部23は、第2印15bが検知された場合(S101:Yes)、今回の処理を終了する。制御部23は、第2印15bが検知されない場合(S101:No)、異常を検知する(S102)。
【0048】
制御部23は、バトン2の高さが上昇限界位置ではない場合(S100:No)、バトン2の高さが降下限界位置であるか否かを判定する(S103)。制御部23は、バトン2の高さが降下限界位置ではない場合(S103:No)、すなわち、バトン2の高さが上昇限界位置、または、降下限界位置ではない場合、今回の処理を終了する。
【0049】
制御部23は、バトン2の高さが降下限界位置である場合(S103:Yes)、第1印15aが検知されたか否かを判定する(S104)。
【0050】
制御部23は、第1印15aが検知された場合(S104:Yes)、今回の処理を終了する。制御部23は、第1印15aが検知されない場合(S104:No)、異常を検知する(S102)。
【0051】
たとえば、本実施形態を用いない比較例に係るバトン昇降システムでは、定期メンテナンスによって、ワイヤロープの伸びなどの異常、高さ検知部などの異常を発見することができる。
【0052】
しかしながら、比較例に係るバトン昇降システムは、定期メンテナンス以外の時期に、異常が発生した場合、異常の発見が困難である。また、比較例に係るバトン昇降システムは、点検するバトンなどが多い場合、定期メンテナンスの作業時間が長くなる。すなわち、比較例に係るバトン昇降システムは、保守作業の負荷が大きくなる。
【0053】
実施形態に係るバトン昇降システム1は、バトン2と、高さ検知部4と、印検知部5と、異常検知部25とを備える。バトン2は、昇降可能である。高さ検知部4は、バトン2の高さを検知する。印検知部5は、バトン2と巻上機3とを接続するワイヤロープ10に設けられる印15を検知する。異常検知部25は、バトン2の高さと、印15の検知結果とに基づいて、異常を検知する。
【0054】
これにより、バトン昇降システム1は、ワイヤロープ10などに異常が発生した場合に、バトン2の高さと、印15の検知結果とに基づいて異常を早期に検知することができる。バトン昇降システム1は、定期メンテナンス以外の時期においても、異常を検知することができる。また、バトン昇降システム1は、定期メンテナンスの作業時間を短くすることができる。すなわち、バトン昇降システム1は、保守作業の負荷を低減することができる。
【0055】
印検知部5は、バトン2が降下限界位置となった状態のワイヤロープ10に設けられる第1印15aを検知可能である。異常検知部25は、高さ検知部4によって検知されるバトン2の高さが、降下限界位置であり、かつ、印検知部5によって第1印15aが検知されない場合、異常を検知する。たとえば、異常検知部25は、高さ検知部4によって検知されるバトン2の高さが、降下限界位置であり、かつ、印検知部5によって第1印15aが検知されない場合、ワイヤロープ10の伸びを検知する。
【0056】
これにより、バトン昇降システム1は、バトン2が降下した場合、すなわち、ワイヤロープ10の多くが巻上機3から繰り出された状態において、たとえば、ワイヤロープ10の異常(伸び)を検知することができる。そのため、バトン昇降システム1は、ワイヤロープ10の大部分に対して、異常判定を行うことができ、異常の発生を検知することができる。
【0057】
印検知部5は、バトン2が上昇限界位置となった状態のワイヤロープ10に設けられる第2印15bを検知可能である。異常検知部25は、高さ検知部4によって検知されるバトン2の高さが、上昇限界位置であり、かつ、印検知部5によって第2印15bが検知されない場合、異常を検知する。
【0058】
これにより、バトン昇降システム1は、たとえば、バトン2が上昇限界位置となった状態であっても、巻上機3のドラム3Aに巻かれないワイヤロープ10の伸びを検知することができる。バトン2が上昇限界位置になった状態で巻上機3のドラム3Aに巻かれないワイヤロープ10は、ドラム3Aに巻かれた箇所よりも負荷が大きくなり、伸び易くなるおそれがある。バトン昇降システム1は、バトン2の高さが上昇限界位置の場合に、異常判定を行うことで、ドラム3Aに巻かれない箇所の伸びを早期に検知することができる。
【0059】
バトン昇降システム1は、報知装置6を備える。報知装置6は、異常検知部25によって異常が検知された場合、異常を報知する。
【0060】
これにより、バトン昇降システム1は、異常の発生を、たとえば、作業者、使用者に報知することができる。
【0061】
変形例に係るバトン昇降システム1において、印検知部5は、図5に示すように、ワイヤロープ10に所定間隔で設けられた複数の印15を検知可能であってもよい。所定間隔は、予め設定された間隔である。異常検知部25は、バトン2の高さと、印15の検知結果とに基づいて異常を検知する。図5は、変形例に係るバトン昇降システム1の構成例を示す図である。
【0062】
たとえば、異常検知部25は、バトン2の高さが所定間隔昇降した場合に、印15が検知されない場合、異常を検知する。これにより、バトン昇降システム1は、ワイヤロープ10に異常が発生した場合に、異常が発生した箇所を特定することができる。
【0063】
変形例に係るバトン昇降システム1は、印検知部5によって、第1印15a、または、第2印15bが検知された場合、バトン2の昇降を停止させてもよい。
【0064】
これにより、バトン昇降システム1は、印検知部5における第1印15a、または、第2印15bによる検知によって、バトン2を上昇限界位置、または、降下限界位置付近において、バトン2を停止させることができる。たとえば、高さ検知部4が故障した場合に、バトン昇降システム1は、印検知部5における第1印15a、または、第2印15bの検知によって、バトン2を上昇限界位置、または、降下限界位置付近において、バトン2を停止させることができる。すなわち、バトン昇降システム1は、高さ検知部4、および、印検知部5における2重系統によって、バトン2を上昇限界位置、または、降下限界位置に停止させることができる。
【0065】
上記実施形態、および、変形例では、第1印15a、および、第2印15bによって異常を検知する一例について説明したが、これに限られることはない。ワイヤロープ10には、第1印15a、または、第2印15bのいずれか一方が設けられてもよい。すなわち、バトン昇降システム1は、第1印15a、または、第2印15bのいずれか一方のみによって、異常を検知してもよい。
【0066】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0067】
1 バトン昇降システム
2 バトン
3 巻上機
4 高さ検知部
5 印検知部
6 報知装置
7 制御装置
10 ワイヤロープ
15 印
15a 第1印
15b 第2印
23 制御部
24 取得部
25 異常検知部
26 昇降制御部
27 報知部
図1
図2
図3
図4
図5