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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047652
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/03 20060101AFI20240401BHJP
   G01S 13/34 20060101ALI20240401BHJP
   G01S 13/87 20060101ALN20240401BHJP
   A61B 5/11 20060101ALN20240401BHJP
【FI】
G01S7/03 248
G01S13/34
G01S13/87
A61B5/11 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153262
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】門脇 昌作
【テーマコード(参考)】
4C038
5J070
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB31
4C038VC20
5J070AB17
5J070AB24
5J070AC01
5J070AC20
5J070AE09
5J070AF01
5J070AH31
5J070AH35
5J070AK07
5J070BD01
(57)【要約】
【課題】適切な範囲にミリ波を照射することが可能なセンサ装置を提供する。
【解決手段】ミリ波に関する生成信号を生成する信号生成部と、生成信号に基づいてミリ波を送信する送信部21及び反射されたミリ波を受信する受信部22を有し、送信部21の向きを示すアンテナ角度を調整可能なアンテナ部20と、アンテナ角度を検知する角度検知部と、角度検知部の検知結果及び受信部22が受信したミリ波に基づいて所定の情報を検知する情報検知部と、を具備する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミリ波に関する生成信号を生成する信号生成部と、
前記生成信号に基づいてミリ波を送信する送信部及び反射されたミリ波を受信する受信部を有し、前記送信部の向きを示すアンテナ角度を調整可能なアンテナ部と、
前記アンテナ角度を検知する角度検知部と、
前記角度検知部の検知結果及び前記受信部が受信したミリ波に基づいて所定の情報を検知する情報検知部と、
を具備する、
センサ装置。
【請求項2】
前記アンテナ部は、
前記アンテナ角度を段階的に調整可能であり、
前記情報検知部は、
前記アンテナ部で調整可能なアンテナ角度ごとに、前記所定の情報を検知するための処理が異なるモードを実行可能に構成される、
請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記角度検知部は、
前記アンテナ部と接続可能な複数の接続部を有し、
前記アンテナ部は、
前記アンテナ角度に応じて、前記複数の接続部のいずれと接続されるのかが異なるように構成され、
前記角度検知部は、
前記アンテナ部と接続される前記接続部に関する情報を検知することによって、前記アンテナ角度を検知する、
請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記情報検知部は、
前記角度検知部が前記アンテナ角度の検知を失敗した場合に、前記接続部及び前記アンテナ部の異常を検知するように構成される、
請求項3に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記アンテナ部は、
複数設けられる、
請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記複数のアンテナ部は、
別々に前記アンテナ角度を調整可能に構成される、
請求項5に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記各送信部の前記信号生成部との断接、及び、前記各受信部の前記情報検知部との断接をそれぞれ切り替え可能な切替部と、
前記切替部を制御して前記複数のアンテナ部の使用状態を切り替える制御部と、
をさらに具備し、
前記制御部は、
前記複数のアンテナ部から順番に選択する1つのアンテナ部を、前記送信部及び前記受信部がそれぞれ接続状態とされたアンテナ使用状態に切り替えると共に、
前記1つのアンテナ部以外の他のアンテナ部を、前記送信部及び前記受信部がそれぞれ切断状態とされたアンテナ非使用状態に切り替える、
請求項5又は請求項6に記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミリ波を送受信することによって所定の情報を検知するセンサ装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ミリ波を送受信することによって所定の情報を検知するセンサ装置の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の動体検知装置は、発振機、送信アンテナ、受信アンテナ、ミキサ、及び計測回路等を具備する。送信アンテナは、発振器で生成された送信信号(ミリ波)を対象に向けて送信する。受信アンテナは、対象からの反射波を受信する。ミキサは、発振機からの送信信号や受信アンテナで受信された信号等を混合する。計測回路は、ミキサで混合された信号を用いて演算処理を行うことによって、所定の情報(例えば、呼吸の有無等)を計測する。
【0004】
特許文献1のような動態検知装置は、設置場所によっては適切な範囲にミリ波を照射できない可能性がある。例えば、天井の壁際に動態検知装置が設置された場合、壁でミリ波が反射されてしまい、情報を適切に検知できない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-152441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、適切な範囲にミリ波を照射することが可能なセンサ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、ミリ波に関する生成信号を生成する信号生成部と、前記生成信号に基づいてミリ波を送信する送信部及び反射されたミリ波を受信する受信部を有し、前記送信部の向きを示すアンテナ角度を調整可能なアンテナ部と、前記アンテナ角度を検知する角度検知部と、前記角度検知部の検知結果及び前記受信部が受信したミリ波に基づいて所定の情報を検知する情報検知部と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記アンテナ部は、前記アンテナ角度を段階的に調整可能であり、前記情報検知部は、前記アンテナ部で調整可能なアンテナ角度ごとに、前記所定の情報を検知するための処理が異なるモードを実行可能に構成されるものである。
【0010】
請求項3においては、前記角度検知部は、前記アンテナ部と接続可能な複数の接続部を有し、前記アンテナ部は、前記アンテナ角度に応じて、前記複数の接続部のいずれと接続されるのかが異なるように構成され、前記角度検知部は、前記アンテナ部と接続される前記接続部に関する情報を検知することによって、前記アンテナ角度を検知するものである。
【0011】
請求項4においては、前記情報検知部は、前記角度検知部が前記アンテナ角度の検知を失敗した場合に、前記接続部及び前記アンテナ部の異常を検知するように構成されるものである。
【0012】
請求項5においては、前記アンテナ部は、複数設けられるものである。
【0013】
請求項6においては、前記複数のアンテナ部は、別々に前記アンテナ角度を調整可能に構成されるものである。
【0014】
請求項7においては、前記各送信部の前記信号生成部との断接、及び、前記各受信部の前記情報検知部との断接をそれぞれ切り替え可能な切替部と、前記切替部を制御して前記複数のアンテナ部の使用状態を切り替える制御部と、をさらに具備し、前記制御部は、前記複数のアンテナ部から順番に選択する1つのアンテナ部を、前記送信部及び前記受信部がそれぞれ接続状態とされたアンテナ使用状態に切り替えると共に、前記1つのアンテナ部以外の他のアンテナ部を、前記送信部及び前記受信部がそれぞれ切断状態とされたアンテナ非使用状態に切り替えるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0016】
請求項1においては、アンテナ角度を調整することで、適切な範囲にミリ波を照射することができる。
【0017】
請求項2においては、情報検知部がアンテナ角度に合ったモードを実行することで、所定の情報を精度よく検知することができる。
【0018】
請求項3においては、アンテナ部と接続部との接続状態を利用して、アンテナ角度を検知することができる。
【0019】
請求項4においては、アンテナ部と接続部との接続状態を利用して、アンテナ部及び接続部の異常を検知することができる。
【0020】
請求項5においては、複数のアンテナ部によって、死角部を減らすことができる。
【0021】
請求項6においては、複数のアンテナ部のアンテナ角度をそれぞれ調整することで、より適切な範囲にミリ波を照射することができる。
【0022】
請求項7においては、制御部の制御によってミリ波の干渉を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第一実施形態に係るセンサ装置が設置される居室を示す図。
図2】センサ装置を示すブロック図。
図3】(a)アンテナ部を示す概略背面図。(b)同じく、概略平面図。
図4】(a)アンテナ角度が角度Xである場合にミリ波が照射される様子を示す概略背面図。(b)アンテナ角度が角度Yである場合にミリ波が照射される様子を示す概略背面図。(c)アンテナ角度が角度Zである場合にミリ波が照射される様子を示す概略背面図。
図5】(a)アンテナ角度を調整する前の状態を示す図。(b)アンテナ角度を調整した後の状態を示す図。(c)図5(b)におけるアンテナ接続部の状態を示す説明図。
図6】(a)壁際にアンテナ装置が設置される場合において、アンテナ角度を調整する前の状態を示す図。(b)アンテナ角度を調整した後の状態を示す図。(c)図6(b)におけるアンテナ接続部の状態を示す説明図。
図7】(a)アンテナ角度が角度Zである場合の検知範囲と利用者との関係を示す概略背面図。(b)アンテナ角度が角度Xである場合の検知範囲と利用者との関係を示す概略背面図。
図8】モード切替処理を示すフローチャート。
図9】本発明の第二実施形態に係るセンサ装置が設置される居室を示す図。
図10】第二実施形態に係るセンサ装置を示すブロック図。
図11】第二実施形態においてアンテナ角度を調整する前の状態を示す図。
図12】第二実施形態においてアンテナ角度を調整した後の状態を示す図。
図13】第二実施形態に係るモード切替処理を示すフローチャート。
図14】第1アンテナ部からミリ波を照射する様子を示す図。
図15図13のステップS130の処理後の状態を示すブロック図。
図16図13のステップS150の処理後の状態を示すブロック図。
図17】第2アンテナ部からミリ波を照射する様子を示す図。
図18】アンテナ角度に応じてモードを切り替えるサブルーチンを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の説明においては、図中に記した矢印に従って、上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義する。
【0025】
以下では、本発明の第一実施形態に係るセンサ装置1について説明する。
【0026】
まず図1を参照し、センサ装置1の設置場所について説明する。本実施形態では、図1に示す居室Sにセンサ装置1が設置される。居室Sは、建物の床部S1、前後左右の側壁部S2及び天井部S3によって他の部屋と区画される。居室Sには、家具が設置される。なお図1には、家具の一例としてベッドBが記載されている。
【0027】
また、居室Sにはセンサ装置1のアンテナ部20等が設置される。居室Sでは、当該アンテナ部20から送信されるミリ波に基づいて、人体の情報が検知される。なお本実施形態では、人体の情報の一例として、バイタルデータが検知されるものとする。またバイタルデータには、呼吸数、心拍数及び体動等が含まれる。また本実施形態のミリ波は、波長が1~10mmであり、かつ周波数が30~300GHzである電波を指すものとする。
【0028】
本実施形態では、前後左右の側壁部S2のうち、一部(図1では左側)の側壁部S2にミリ波を反射する部材が内装される。例えば、鉄板S21等が内装される。こうして一部の側壁部S2は、ミリ波を反射するように構成される。一方、その他の側壁部S2は、鉄板S21等が内装されておらず、ミリ波を透過可能に構成される。なお、側壁部S2の構成は本実施形態に限定されるものではなく、例えば全ての側壁部S2がミリ波を透過可能であってもよい。
【0029】
ここで、センサ装置1は、アンテナ部20の設置場所(室内における配置位置)によってはミリ波を適切な範囲に照射できないおそれがある。図5(a)及び図6(a)には、その一例が示される。なお本明細書に添付の図面に示される送信範囲R21は、アンテナ部20から送信されるミリ波の範囲を模式的に示すものである。
【0030】
図5(a)に示す一例では、配線の都合等で左側の側壁部S2(鉄板S21)に対してアンテナ部20を十分に離間させることができず、アンテナ部20から送信されたミリ波が左側の側壁部S2で反射されている。この場合、反射の影響でバイタルデータを適切に検知できないおそれがある。
【0031】
図6(a)に示す一例では、天井部S3の右端にアンテナ部20が設置されることにより、アンテナ部20がミリ波を居室Sの左端まで照射できない状態となっている。このため利用者が居室Sの左部にいる場合、バイタルデータを検知できないおそれがある。
【0032】
本実施形態のセンサ装置1は、アンテナ部20の設置場所に関わらず、ミリ波を適切に照射可能となるように構成される。以下、センサ装置1の構成について説明する。センサ装置1は、居室Sでバイタルデータを検知するためのものである。図2に示すように、センサ装置1は、シンセサイザ10、アンテナ部20、ミキサ30、CPU40及びアンテナ接続部50を具備する。
【0033】
シンセサイザ10は、ミリ波に関する生成信号を生成するものである。シンセサイザ10は、例えば、時間が経過するにつれて所定の下限周波数から上限周波数まで周波数が増加する信号を、生成信号として生成する。シンセサイザ10は、アンテナ部20及びミキサ30と接続される。シンセサイザ10は、アンテナ部20及びミキサ30に対して生成信号を出力するように構成される。
【0034】
アンテナ部20は、ミリ波の送受信を行うためのものである。アンテナ部20は、図1に示す居室Sの上部に配置される。より詳細には、アンテナ部20は天井部S3に配置される。図2に示すように、アンテナ部20は、送信部21、受信部22及び端子23を具備する。
【0035】
送信部21は、シンセサイザ10からの生成信号に基づいて、居室S内にミリ波を送信するためのものである。送信部21は、略板状に構成される。図3(a)に示すように、アンテナ部20は、送信部21の向き(板面の向き)を変更可能に構成される。より詳細にはアンテナ部20は、取付面(本実施形態では天井面)に対する傾斜角度を変更可能に構成される。以下では、送信部21の向きを「アンテナ角度」と称する。なお図3(a)では、アンテナ角度が変更される様子を模式的に記載している。
【0036】
本実施形態のアンテナ部20は、アンテナ角度を段階的に変更可能に構成される。より詳細にはアンテナ部20は、3つの角度X~Zにアンテナ角度を変更可能に構成される。角度Yは、角度Xよりも小さい。角度Zは、角度Yよりも小さい。図面においては、送信部21を示す符号の後にカッコで示されるアルファベットが、当該送信部21のアンテナ角度となっている。図4に示すように、送信部21は、アンテナ角度が小さいほど、下向きにミリ波を照射することができる。
【0037】
図2に示す受信部22は、居室Sで反射されたミリ波(反射波)を受信するためのものである。受信部22は、ミキサ30と接続される。端子23は、後述するアンテナ接続部50に接続するためのものである。
【0038】
図2に示すミキサ30は、シンセサイザ10の生成信号及び受信部22からの受信信号を混合して中間信号を作成するためのものである。ミキサ30は、CPU40(Central Processing Unit)と接続され、当該CPU40に中間信号を出力するように構成される。
【0039】
CPU40は、センサ装置1に関する各種処理を実行するためのものである。CPU40は、記憶装置に記憶されるプログラム等を読み込んで各種処理を実行するように構成される。CPU40は、受信部22が受信したミリ波に基づいてバイタルデータを検知するように構成される。例えばCPU40は、ミキサ30から出力される中間信号に対して所定の処理(例えばフーリエ変換等)を行うことによって、受信部22が受信したミリ波を利用者の検知位置等に変換し、当該変換結果に基づいてバイタルデータを検知する。
【0040】
図2及び図3(b)に示すアンテナ接続部50は、アンテナ部20の端子23と接続される部分である。アンテナ接続部50は、第1接続部51、第2接続部52及び第3接続部53を具備する。第1接続部51から第3接続部53は、端子23と接続可能に構成される。本実施形態では、第1接続部51から第3接続部53のうち、いずれの接続部に端子23が接続されるのかにより、アンテナ角度(送信部21の向き)が決まるようになっている。
【0041】
より詳細には、図6(b)及び図6(c)に示すように、第1接続部51に端子23が接続されることで、アンテナ角度が角度Xに調整される。また図2に示すように、第2接続部52に端子23が接続されることで、アンテナ角度が角度Yに調整される。また図5(b)及び図5(c)に示すように、第3接続部53に端子23が接続されることで、アンテナ角度が角度Zに調整される。このようにして本実施形態では、アンテナ角度に応じて、第1接続部51から第3接続部53のいずれに端子23が接続されるのかが異なるように構成される。
【0042】
図2に示すように、第1接続部51から第3接続部53は、CPU40とそれぞれ接続される。CPU40には、第1接続部51から第3接続部53のうち、端子23と接続される接続部からの信号が送信される。CPU40は、当該信号(アンテナ部20と接続される接続部に関する情報)に基づいてアンテナ角度を検知するように構成される。
【0043】
例えばアンテナ角度が角度Yである場合、端子23と接続される第2接続部52からCPU40に信号が送信される。CPU40は、当該信号に基づいて第2接続部52と端子23とが接続されることを特定し、当該特定結果に基づいてアンテナ角度が角度Yであることを検知する。
【0044】
本実施形態のように、アンテナ角度を調整可能なアンテナ部20を用いることで、ミリ波を適切な範囲に照射することができる。例えば、図5(a)に示すように、アンテナ角度が角度Yではミリ波が側壁部S2(鉄板S21)で反射されるおそれがある場合、図5(b)に示すように、アンテナ角度を下向きの角度Zに調整することで、ミリ波が側壁部S2で反射されるのを抑制することができる。
【0045】
また例えば、図6(a)に示すように、アンテナ部20が天井部S3の壁際に設置される場合、図6(b)に示すように、アンテナ角度を斜め向きの角度Xに調整することで、ミリ波を床部S1の端部まで照射することができるため、利用者が居室Sの端部にいる場合でもバイタルデータを検知可能となる。
【0046】
ここで図7に示すように、床部S1の中でミリ波が届く範囲内における利用者Uの検知位置は、アンテナ角度によって異なるものとなる。例えば、アンテナ部20の下方にいる利用者Uが検知される場合、図7(a)に示すように、アンテナ角度が角度Zであれば、検知範囲(床部S1の中でミリ波が届く範囲)RZの中央付近で利用者Uが検知される。これに対して、図7(b)に示すように、アンテナ角度が角度Xであれば、検知範囲RXの端部で利用者Uが検知される。
【0047】
本実施形態では、こうした各角度X~Zによる検知位置の違いに応じて、処理が異なるモードが複数準備される。より詳細には、モードX、モードY及びモードXが準備される。
【0048】
モードXは、アンテナ角度が角度Xである場合の検知位置に応じてバイタルデータを検知するためのものである。モードYは、アンテナ角度が角度Yである場合の検知位置に応じてバイタルデータを検知するためのものである。モードZは、アンテナ角度が角度Zである場合の検知位置に応じてバイタルデータを検知するためのものである。CPU40は、モードX~Zを実行可能に構成される。
【0049】
以下では図8を用いて、モードX~Zを切り替えるためのモード切替処理について説明する。CPU40は、所定の条件を満たす場合(例えば電源から電力が供給される場合)に図8に示すモード切替処理を繰り返し実行する。CPU40は、モード切替処理の実行を開始すると、ステップS10に移行する。
【0050】
ステップS10においてCPU40は、アンテナ角度が角度Xであるか否かを判定する。CPU40は、第1接続部51から信号が送信される場合(図6(b)及び図6(c)参照)、アンテナ角度が角度Xであると判定する。図8に示すように、CPU40は、アンテナ角度が角度Xであると判定した場合(ステップS10:Yes)、ステップS20へ移行する。一方CPU40は、アンテナ角度が角度Xでないと判定した場合(ステップS10:No)、ステップS30へ移行する。
【0051】
ステップS20においてCPU40は、モードXを実行することによってバイタルデータを検知する。これによってCPU40は、アンテナ角度が角度Xである場合の検知位置を考慮して利用者Uを検知することができるため、バイタルデータを精度よく検知することができる。ステップS20の処理が終了すると、CPU40は、モード切替処理を終了する。
【0052】
ステップS30においてCPU40は、アンテナ角度が角度Yであるか否かを判定する。CPU40は、第2接続部52から信号が送信される場合(図2参照)、アンテナ角度が角度Yであると判定する。図8に示すように、CPU40は、アンテナ角度が角度Yであると判定した場合(ステップS30:Yes)、ステップS40へ移行する。一方CPU40は、アンテナ角度が角度Yでないと判定した場合(ステップS30:No)、ステップS50へ移行する。
【0053】
ステップS40においてCPU40は、モードYを実行することによってバイタルデータを検知する。これによってCPU40は、アンテナ角度が角度Yである場合の検知位置を考慮して利用者Uを検知することができるため、バイタルデータを精度よく検知することができる。ステップS40の処理が終了すると、CPU40は、モード切替処理を終了する。
【0054】
ステップS50においてCPU40は、アンテナ角度が角度Zであるか否かを判定する。CPU40は、第3接続部53から信号が送信される場合(図5(b)及び図5(c)参照)、アンテナ角度が角度Zであると判定する。図8に示すように、CPU40は、アンテナ角度が角度Zであると判定した場合(ステップS50:Yes)、ステップS60へ移行する。一方CPU40は、アンテナ角度が角度Zでないと判定した場合(ステップS50:No)、ステップS70へ移行する。
【0055】
ステップS60においてCPU40は、モードZを実行することによってバイタルデータを検知する。これによってCPU40は、アンテナ角度が角度Zである場合の検知位置を考慮して利用者Uを検知することができるため、バイタルデータを精度よく検知することができる。ステップS60の処理が終了すると、CPU40は、モード切替処理を終了する。
【0056】
ステップS70においてCPU40は、エラーを報知する。より詳細にはCPU40は、第1接続部51から第3接続部53のいずれからも信号が送信されない場合に、ステップS70に移行する。この場合、アンテナ部20の端子23が第1接続部51から第3接続部53のいずれにも接続されていないことや、故障等が原因で端子23が接続部51~53に接続されているにも関わらずCPU40に信号が送信されていないことが考えられる。このように、CPU40がステップS70に移行する場合、何らかの問題が生じてアンテナ角度の検知に失敗したと考えられるため、CPU40は、エラーを検知すると共に当該エラーを報知する。
【0057】
例えばCPU40は、ステップS70においてディスプレイにエラーメッセージを出力させたり、ブザーから音を出力させたり、ランプを点灯させる。これによってセンサ装置1の管理者は、アンテナ接続部50及びアンテナ部20の異常に速やかに対処することができる。なお、エラーを報知するための手段は特に限定されるものではない。ステップS70の処理が終了すると、CPU40は、モード切替処理を終了する。
【0058】
CPU40は、モード切替処理を実行することによって、バイタルデータを検知するための処理が異なるモードを、アンテナ角度に応じて適切に切り替えることができる。これによってアンテナ角度に関わらず、バイタルデータを適切に検知することができる。
【0059】
また本実施形態ではアンテナ角度を3段階(角度X~Z)に調整可能に構成することで、準備するモードの数が過剰に多くなるのを抑制することができる。これによって、センサ装置1に要するコストの削減を図ることができる。
【0060】
以上の如く、本実施形態に係るセンサ装置1は、ミリ波に関する生成信号を生成する信号生成部(シンセサイザ10)と、前記生成信号に基づいてミリ波を送信する送信部21及び反射されたミリ波を受信する受信部22を有し、前記送信部21の向きを示すアンテナ角度を調整可能なアンテナ部20と、前記アンテナ角度を検知する角度検知部(CPU40及びアンテナ接続部50)と、前記角度検知部の検知結果及び前記受信部22が受信したミリ波に基づいて所定の情報を検知する情報検知部(CPU40)と、を具備するものである。
【0061】
このように構成することにより、適切な範囲にミリ波を照射することができる。例えばアンテナ角度を調整することで、居室Sの天井部S3から床部S1の端にミリ波が届くように、ミリ波を照射することができる(図6(b)参照)。
また情報検知部(CPU40)は、受信部22が受信したミリ波に加えてアンテナ角度に基づいて所定の情報を検知することで、アンテナ角度に応じた利用者Uの検知位置の違い(図7参照)を考慮して、所定の情報を精度よく検知することができる。
【0062】
また、前記アンテナ部20は、前記アンテナ角度を段階的に調整可能であり(図3(a)参照)、前記情報検知部(CPU40)は、前記アンテナ部20で調整可能なアンテナ角度ごとに、前記所定の情報を検知するための処理が異なるモードを実行可能に構成されるものである(図8参照)。
【0063】
このように構成することにより、情報検知部(CPU40)がアンテナ角度に合ったモードを実行することができ、所定の情報を精度よく検知することができる。
【0064】
また、前記角度検知部(アンテナ接続部50)は、前記アンテナ部20と接続可能な複数の接続部(第1接続部51から第3接続部53)を有し、前記アンテナ部20は、前記アンテナ角度に応じて、前記複数の接続部51~53のいずれと接続されるのかが異なるように構成され、前記角度検知部(CPU40)は、前記アンテナ部20と接続される前記接続部51~53に関する情報を検知することによって、前記アンテナ角度を検知するものである。
【0065】
このように構成することにより、アンテナ部20と接続部51~53との接続状態を利用して、アンテナ角度を検知することができる。
【0066】
また、前記情報検知部(CPU40)は、前記角度検知部(CPU40及びアンテナ接続部50)が前記アンテナ角度の検知を失敗した場合に、前記接続部51~53及び前記アンテナ部20の異常を検知するように構成されるものである(ステップS70)。
【0067】
このように構成することにより、アンテナ部20と接続部51~53との接続状態を利用して、アンテナ部20及び接続部51~53の異常を検知することができる。
【0068】
なお、本実施形態に係るシンセサイザ10は、本発明に係る信号生成部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るCPU40及びアンテナ接続部50は、本発明に係る角度検知部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るCPU40は、本発明に係る情報検知部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第1接続部51から第3接続部53は、本発明に係る複数の接続部の実施の一形態である。
【0069】
以上、本発明の第一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0070】
例えば、センサ装置1は居室Sに設置されるものとしたが、センサ装置1が設置される場所は居室Sに限定されるものではなく、他の場所(玄関、トイレ等)であってもよい。またセンサ装置1は、室内ではなく、例えば屋外に設置されてもよい。
【0071】
またCPU40は人体の状態として、バイタルデータを検知するものとしたが、人体の状態は、人体に関する情報であればよく、上記バイタルデータに限定されるものではない。例えばCPU40は、人体の状態として、利用者の位置や姿勢や動き等を検知してもよい。またCPU40は、人体の状態とは異なる情報を検知してもよい。CPU40が検知する情報は、センサ装置1の用途等に応じて適宜変更可能である。
【0072】
またアンテナ部20は、天井部S3に配置されるものとしたが、アンテナ部20の配置は本実施形態に限定されるものではなく、任意に変更可能である。例えばアンテナ部20、側壁部S2等に配置されてもよい。またアンテナ部20の高さ位置は居室Sの上部に限定されるものではなく、例えば居室Sの下部等であってもよい。
【0073】
またアンテナ部20は、3段階にアンテナ角度を変更可能に構成されるものとしたが、これに限定されるものではなく、2段階や4段階以上アンテナ角度を変更可能であってよい。またアンテナ部20は、必ずしも段階的にアンテナ角度を変更可能である必要はなく、無段階にアンテナ角度を変更可能であってもよい。また、無段階にアンテナ角度が変更可能である場合、CPU40は、アンテナ角度に近い角度のモードを実行すること等により、バイタルデータを検知することも可能である。
【0074】
また本実施形態では、接続部51~53のいずれに端子23が接続されるのかを確認することでアンテナ角度を検知するものとしたが、アンテナ角度を検知するための手段は、これに限定されるものではなく、任意に変更可能である。例えば、加速度センサ等でアンテナ角度を検知することも可能である。
【0075】
また本実施形態では、アンテナ角度の検知に失敗した場合にエラーを報知するものとしたが(図8のステップS70)、アンテナ角度の検知に失敗した場合にエラー報知以外の処理を行うことも可能である。例えば、アンテナ角度の検知に失敗した場合、バイタルデータの検知を停止することも可能である。
【0076】
次に、第二実施形態に係るセンサ装置101について説明する。
【0077】
なお、以下において、第一実施形態に係るセンサ装置1(図2参照)と同様に構成される部材については、第一実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0078】
第二実施形態に係るセンサ装置101は、図1及び図9に示すように、複数のアンテナ部120・130を具備する点で第一実施形態と相違する。ここで、複数のアンテナ部120・130からミリ波が照射される場合、ミリ波同士で干渉(電波干渉)するおそれがある(図9に示すミリ波が重複する範囲R参照)。そこで本実施形態のセンサ装置101は、ミリ波の干渉を抑制可能に構成される。以下、具体的に説明する。
【0079】
図10に示すように、センサ装置101は、シンセサイザ10、第1アンテナ部120、第2アンテナ部130、ミキサ30、CPU40、第1アンテナ接続部150、第2アンテナ接続部160及び切替部170を具備する。
【0080】
第1アンテナ部120及び第2アンテナ部130は、第一実施形態に係るアンテナ部20(図2参照)と同様に構成される。第1アンテナ部120は、第1送信部121、第1受信部122及び第1端子123を具備する。第2アンテナ部130は、第2送信部131、第2受信部132及び第2端子133を具備する。第1送信部121及び第2送信部131は、第一実施形態の送信部21と同様に構成される。第1送信部121及び第2送信部131は、切替部170を介してシンセサイザ10と接続される。
【0081】
第1受信部122及び第2受信部132は、第一実施形態の受信部22と同様に構成される。第1受信部122及び第2受信部132は、切替部170を介してミキサ30と接続される。第1端子123及び第2端子133は、第一実施形態の端子23と同様に構成される。
【0082】
このように、複数のアンテナ部120・130が設けられることにより、居室Sのより広い範囲にミリ波を照射することができる(図9参照)。これによって、ミリ波が届かない死角部を減らすことができる。
【0083】
また、第1アンテナ部120及び第2アンテナ部130は、アンテナ角度を互いに異なる角度に調整可能に構成される。これによって、アンテナ部120・130の設置場所に応じてミリ波をより適切に照射することができる。
【0084】
例えば、図11に示すように、居室Sの右側にアンテナ部120・130が設置される場合、図12に示すように、左側(右側の側壁部S2に対して遠い側)の第1アンテナ部120のアンテナ角度を角度Xに調整すると共に、右側(右側の側壁部S2に対して近い側)の第2アンテナ部130のアンテナ角度を角度Zに調整する。これにより、左側の第1アンテナ部120から斜め向きにミリ波を照射して居室Sの左端までミリ波を照射すると共に、右側の第2アンテナ部130から下向きにミリ波を照射して、ミリ波を床部S1の広い範囲に照射することができる。
【0085】
また本実施形態では、一方のアンテナ部120・130から送信されたミリ波を、他方のアンテナ部120・130で受信しないように配置される。具体的には、第1送信部121及び第2送信部131のうち、第1送信部121からのミリ波のみを第1受信部122が受信し、かつ、第2送信部131からのミリ波のみを第2受信部132が受信するように、配置及びアンテナ角度が適宜調整される。
【0086】
図10に示す第1アンテナ接続部150は、第1アンテナ部120と接続される部分である。第2アンテナ接続部160は、第2アンテナ部130と接続される部分である。第1アンテナ接続部150及び第2アンテナ接続部160は、第一実施形態のアンテナ接続部50(図2参照)と同様に構成される。
【0087】
第1アンテナ接続部150は、第1接続部151、第2接続部152及び第3接続部153を具備する。第1アンテナ部120は、第1接続部151に第1端子123が接続されることで、アンテナ角度が角度Xに調整される。第1アンテナ部120は、第2接続部152に第1端子123が接続されることで、アンテナ角度が角度Yに調整される。第1アンテナ部120は、第3接続部153に第1端子123が接続されることで、アンテナ角度が角度Zに調整される。
【0088】
第2アンテナ接続部160は、第1接続部161、第2接続部162及び第3接続部163を具備する。第2アンテナ部130は、第1接続部161に第2端子133が接続されることで、アンテナ角度が角度Xに調整される。第2アンテナ部130は、第2接続部162に第2端子133が接続されることで、アンテナ角度が角度Yに調整される。第2アンテナ部130は、第3接続部163に第2端子133が接続されることで、アンテナ角度が角度Zに調整される。
【0089】
切替部170は、第1送信部121及び第2送信部131のシンセサイザ10との断接、並びに、第1受信部122及び第2受信部132のCPU40との断接をそれぞれ切り替え可能なものである。切替部170は、第1スイッチ171及び第2スイッチ172を具備する。
【0090】
第1スイッチ171は、第1送信部121及び第2送信部131のシンセサイザ10との断接を切り替えるためのものである。第1スイッチ171は、第1送信部121及び第2送信部131とシンセサイザ10との間に配置される3路スイッチによって構成される。また第1スイッチ171は、機械式スイッチや半導体式スイッチ(FET等)によって構成される。第1スイッチ171は、第1送信部121及び第2送信部131のいずれか一方とシンセサイザ10とを接続し、かつ第1送信部121及び第2送信部131のいずれか他方とシンセサイザ10との接続を解除する(切断する)ように構成される。第1送信部121及び第2送信部131は、第1スイッチ171を介してシンセサイザ10と接続される場合に、居室Sにミリ波を送信する。
【0091】
第2スイッチ172は、第1受信部122及び第2受信部132のとの断接をそれぞれ切り替えるためのものである。第2スイッチ172は、第1受信部122及び第2受信部132とミキサ30及びCPU40との間に配置される3路スイッチによって構成される。また第2スイッチ172は、機械式スイッチや半導体式スイッチ(FET等)によって構成される。第2スイッチ172は、第1受信部122及び第2受信部132のいずれか一方とミキサ30とを接続し、かつ第1受信部122及び第2受信部132のいずれか他方とミキサ30とを切断するように構成される。第1受信部122及び第2受信部132は、第2スイッチ172を介してミキサ30と接続される場合に、受信したミリ波に関する受信信号をミキサ30に出力する。
【0092】
CPU40は、第1アンテナ部120又は第2アンテナ部130で送受信されたミリ波に基づいてバイタルデータを検知するように構成される。例えば図10に示すように、第1アンテナ部120の第1送信部121とシンセサイザ10とが接続され、かつ第1アンテナ部120の第1受信部122とミキサ30とが接続される場合、第1アンテナ部120で送受信されたミリ波がミキサ30で混合される。CPU40は、当該混合結果(中間信号)に対して行う処理により、第1受信部122で受信したミリ波に基づいてバイタルデータを検知する。またCPU40は、図16に示すように、第2アンテナ部130の第2送信部131とシンセサイザ10とが接続され、かつ第2受信部132とミキサ30とが接続される場合に、第2受信部132で受信したミリ波に基づいてバイタルデータを検知する。
【0093】
以下では、アンテナ部120・130の送信部121・131及び受信部122・132がシンセサイザ10及びミキサ30とそれぞれ接続され、CPU40がバイタルデータを検知する状態(図10に示す第1アンテナ部120の状態及び図16に示す第2アンテナ部130の状態)を「アンテナ使用状態」と称する。また以下では、アンテナ部120・130の送信部121・131及び受信部122・132がシンセサイザ10及びミキサ30とそれぞれ切断された状態(図10に示す第2アンテナ部130の状態及び図16に示す第1アンテナ部120の状態)を「アンテナ非使用状態」と称する。また以下では、アンテナ使用状態及びアンテナ非使用状態を総称して「使用状態」と称する。
【0094】
図10に示すように、CPU40は、切替部170と接続され、当該切替部170に信号を送信することによって、切替部170を制御可能に構成される。より詳細には、CPU40は、切替部170の第1スイッチ171を動作させることで、送信部121・131とシンセサイザ10との接続及び切断を行うことができる。またCPU40は、第2スイッチ172を動作させることで、受信部122・132とミキサ30との接続及び切断を行うことができる。これによってCPU40は、アンテナ部120・130の使用状態を切替可能に構成される。
【0095】
CPU40は、第一実施形態と同様に、バイタルデータを検知する処理が異なる複数のモードX~Zを実行可能に構成される。
【0096】
モードXは、アンテナ角度が角度Xである場合に応じた計算処理を行うことで、バイタルデータを検知するものである。モードXは、第1アンテナ部120に応じたモードと、第2アンテナ部130に応じたモードとがそれぞれ準備される。モードYは、アンテナ角度が角度Yである場合に応じた計算処理を行うことで、バイタルデータを検知するものである。モードYは、第1アンテナ部120に応じたモードと、第2アンテナ部130に応じたモードとがそれぞれ準備される。モードZは、アンテナ角度が角度Zである場合に応じた計算処理を行うことで、バイタルデータを検知するものである。モードZは、第1アンテナ部120に応じたモードと、第2アンテナ部130に応じたモードとがそれぞれ準備される。なおモードX~Zは、バイタルデータを精度よく検知できるのであれば各アンテナ部120・130で共通のモードが準備されてもよい。
【0097】
ここで、本実施形態ではミリ波の送信範囲R121・R131の一部が互いに重複するため(図9に示す範囲R参照)、第1アンテナ部120及び第2アンテナ部130からミリ波を同時に送信した場合にミリ波同士が干渉するおそれがある。また複数のアンテナ部120・130がミリ波を同時に受信して同じミキサ30に受信信号を出力してしまうと、CPU40は中間信号がどのアンテナ部120・130で受信されたミリ波に基づくものであるか判別できず、バイタルデータを適切に検知できない可能性がある。また、本実施形態とは異なり、受信部122・132で受信したミリ波を別々のミキサ30に出力する場合、アンテナ部120・130と同数のミキサ30を設置する必要があるため、コストの増大が懸念される。
【0098】
そこで本実施形態のCPU40は、アンテナ角度に応じてモードを切り替えるモード切替処理の中で切替部170を制御する。CPU40は、当該制御において、アンテナ部120・130の使用状態を切り替えることによって、ミリ波の送受信のタイミングを複数のアンテナ部120・130で互いにずらすようにしている。これによって、ミキサ30の個数をアンテナ部120・130よりも少なくしても、中間信号がどのアンテナ部120・130で受信されたミリ波に基づくものであるか判別可能としている。このため、コストの削減を図ると共に、バイタルデータを適切に検知できる。
【0099】
以下では図10図13から図16を用いて、本実施形態に係るモード切替処理について説明する。CPU40は、所定の条件を満たす場合にモード切替処理を繰り返し実行する。モード切替処理を実行する条件は、第一実施形態と同様であってもよいし、第一実施形態とは異なる条件であってもよい。また以下では、第1アンテナ部120(第1送信部121)のアンテナ角度を「第1アンテナ角度」と称する。また第2アンテナ部130(第2送信部131)のアンテナ角度を「第2アンテナ角度」と称する。図13に示すように、CPU40は、モード切替処理の実行を開始すると、ステップS110に移行する。
【0100】
ステップS110においてCPU40は、第1アンテナ部120がアンテナ使用状態(図10に示す状態)であるか否かを判定する。CPU40は、第1アンテナ部120がアンテナ使用状態である場合(ステップS110:Yes)、ステップS120へ移行する。一方CPU40は、第1アンテナ部120がアンテナ使用状態でない場合(ステップS110:No)、ステップS180へ移行する。
【0101】
ステップS120においてCPU40は、第1アンテナ部120がアンテナ使用状態となってから所定時間が経過したかを判定する。具体的にはCPU40は、第1アンテナ部120がアンテナ使用状態となってから経過した時間である第1経過時間T1が所定の閾値X以上であるか否かを判定する。閾値Xには、アンテナ部120・130の個数や居室Sの広さ等に応じて適宜の値が設定される。本実施形態では閾値Xには500mSが設定される。なお閾値Xは、500mSに限定されるものではなく、任意に設定可能である。
【0102】
CPU40はステップS120において、第1経過時間T1が閾値X以上である場合(ステップS120:Yes)、ステップS130へ移行する。一方CPU40は、第1経過時間T1が閾値X未満ある場合(ステップS120:No)、モード切替処理を終了する。これによって第1アンテナ部120は、図14に示すように、一定時間(閾値Xで設定された時間)が経過するまでミリ波を照射する。
【0103】
図13及び図15に示すように、ステップS130においてCPU40は、第2スイッチ172を制御して、第2アンテナ部130の第2受信部132とミキサ30とを接続する。またCPU40は、第1アンテナ部120の第1受信部122とミキサ30とを切断する。ステップS130の処理が終了すると、CPU40はステップS140へ移行する。
【0104】
図13に示すように、ステップS140においてCPU40は、受信信号が来ていないことを確認する。以下、ステップS140の目的について説明する。
【0105】
上述したステップS130の処理が適切に行われなかった場合、CPU40がバイタルデータを適切に検知できない可能性がある。より詳細には、ステップS130の処理が適切に行われずに後述するステップS150の処理が行われると、第2送信部131からミリ波が送信されるのに対し、第2受信部132がミキサ30と切断されたままとなる。この状態で第2送信部131からのミリ波が利用者にあたって反射したとしても、当該反射波に基づく受信信号がミキサ30に出力されず、バイタルデータの検知漏れ等が生じるおそれがある。
【0106】
そこでCPU40は、ステップS130の処理が適切に行われたか(ステップS150以降の処理でバイタルデータを適切に検知できるか)を確認することを目的として、ステップS140の処理を行う。以下、ステップS140の処理内容について説明する。
【0107】
ステップS130の処理が適切に行われると、ステップS140において第1受信部122がミキサ30と切断され、かつ第2受信部132がミキサ30と接続される(図15参照)。これに対し、シンセサイザ10は第2送信部131ではなく、第1送信部121と接続されている。第2受信部132は、当該第1送信部121からのミリ波を受信しないため、ミキサ30には、第2受信部132から受信信号が入力されることはない。またCPU40には、受信信号に基づく中間信号が入力されることはない。
【0108】
そこでCPU40は、ステップS140において受信信号(より詳細には受信信号に基づく中間信号)が来ていないことを確認する。これによって、ステップS130の処理が適切に行われたか否かを確認できる。CPU40は、受信信号が来ていないことを確認すると(ステップS140:Yes)、ステップS150へ移行する。またCPU40は、受信信号が来ていることを確認すると(ステップS140:No)、再びステップS140へ移行する。こうしてCPU40は、ステップS130の処理が正常に行われたことを確認するまでステップS140を繰り返し実行する。
【0109】
なお仮にステップS130の処理が適切に行われなかった場合、CPU40は、ステップS150へ移行することなく、ステップS140を繰り返し実行し続けるおそれがある。このためCPU40は、適宜のタイミングで情報を報知して(例えばディスプレイにステップS130の処理が適切に行われていないことを表示させ)、モード切替処理を終了してもよい。また例えばCPU40は、所定時間が経過するまでステップS140を繰り返し実行したり、ステップS140の実行回数が所定の閾値以上となった場合に、情報を報知しモード切替処理を終了してもよい。
【0110】
図13及び図16に示すように、ステップS150においてCPU40は、第1スイッチ171を制御して、第2アンテナ部130の第2送信部131とシンセサイザ10とを接続する。またCPU40は、第1アンテナ部120の第1送信部121とシンセサイザ10とを切断する。このステップS150及び上述したステップS130によって第1アンテナ部120は、アンテナ使用状態からアンテナ非使用状態に切り替えられる。また第2アンテナ部130は、アンテナ非使用状態からアンテナ使用状態に切り替えられる。これによって第2アンテナ部140は、図17に示すように、居室Sにミリ波を照射する。図13に示すように、ステップS150の処理が終了すると、CPU40はステップS160へ移行する。
【0111】
ステップS160においてCPU40は、第2アンテナ角度に応じてモードX~Zを切り替えるサブルーチンを実行する。当該処理は、図8(第一実施形態)のモード切替処理と概ね同様の処理となっている。以下、図18を参照してステップS160のサブルーチンを簡単に説明する。
【0112】
ステップS160のサブルーチンを開始すると、CPU40は、ステップS310へ移行し、第2アンテナ角度が角度Xであるか否かを判定する。CPU40は、図8のステップS10と同様の処理によって、第2アンテナ角度を判定する。より詳細には、CPU40は、図16に示す第2アンテナ接続部160の第1接続部161から信号が送信される場合、第2アンテナ角度が角度Xであると判定する。図18に示すように、CPU40は、第2アンテナ角度が角度Xである場合(ステップS310:Yes)、ステップS320へ移行する。一方CPU40は、第2アンテナ角度が角度Xでない場合(ステップS310:No)、ステップS330へ移行する。
【0113】
ステップS320においてCPU40は、モードXを実行することによって、第2アンテナ部130で送受信されたミリ波に基づいてバイタルデータを検知する。ステップS320の処理が終了すると、ステップS160のサブルーチンを終了し、図13に示すステップS170へ移行する。
【0114】
図18のステップS330・S340においてCPU40は、ステップS310・S320と同様に、第2アンテナ角度が角度Yであると判定した場合にモードYを実行する。またCPU40は、第2アンテナ角度が角度Yでないと判定した場合にステップS350へ移行し、第2アンテナ角度が角度Zであると判定した場合にモードZを実行する。またCPU40は、第2アンテナ角度が角度X~Zのいずれでもないと判定した場合、ステップS370へ移行してエラーを報知する。CPU40は、ステップS330~S370の処理が終了すると、ステップS160のサブルーチンを終了し、図13に示すステップS170へ移行する。
【0115】
ステップS170においてCPU40は、第2アンテナ部130がアンテナ使用状態となってから経過した時間である第2経過時間T2の計測を開始する。具体的にはCPU40は、第2経過時間T2を0に戻して計測を開始する。ステップS170の処理が終了すると、CPU40はモード切替処理を終了する。
【0116】
ステップS110で第1アンテナ部120がアンテナ使用状態でない場合に移行するステップS180~S210の処理において、CPU40は、第2アンテナ部130をアンテナ使用状態からアンテナ非使用状態に切り替える。またCPU40は、第1アンテナ部120をアンテナ非使用状態からアンテナ使用状態に切り替える。またCPU40は、ステップS220の処理において、第1アンテナ角度に応じてモードX~Zを切り替える。またCPU40は、ステップS230の処理において、第1経過時間T1を0に戻して計測を開始する。なお、ステップS180~S230の処理は上述したステップS120~S170の第1アンテナ部120と第2アンテナ部130とを入れ替えた処理であるため、詳細な説明は省略する。
【0117】
CPU40は、モード切替処理を繰り返し実行することによって、500mS(閾値X)が経過するごとに、第1アンテナ部120及び第2アンテナ部130を交互にアンテナ使用状態に切り替える。これによってアンテナ部120・130におけるミリ波の送受信のタイミングを互いにずらすことができるため、ミリ波の干渉を抑制することができる。これによって、誤ったバイタルデータが検知されるのを防止できる。また送信部121・131のアンテナ角度に応じて適切なモードに切り替えることができるため(ステップS160・S220)、バイタルデータを精度よく検知することができる。
【0118】
また本実施形態では、図10に示すように、第1スイッチ171が3路スイッチによって構成されることにより、第1送信部121及び第2送信部131がシンセサイザ10と同時に接続されない構成としている。また第2スイッチ172についても第1スイッチ171と同様に、第1受信部122及び第2受信部132がミキサ30と同時に接続されない構成としている。これによって、第1アンテナ部120及び第2アンテナ部130の使用状態を切り替える際に、第1アンテナ部120及び第2アンテナ部130が同時にアンテナ使用状態となるのを防止できるため、ミキサ30に同時に受信信号が出力されるのを効果的に抑制できる。
【0119】
以上の如く、本実施形態において前記アンテナ部120・130は、複数設けられるものである(図9参照)。
【0120】
このように構成することにより、複数のアンテナ部120・130によって、死角部(バイタルデータを検知できない部分)を減らすことができる。
【0121】
また、前記複数のアンテナ部120・130は、別々に前記アンテナ角度を調整可能に構成されるものである(図12参照)。
【0122】
このように構成することにより、より適切な範囲にミリ波を照射することができる。
【0123】
また、前記各送信部121・131の前記信号生成部(シンセサイザ10)との断接、及び、前記各受信部122・132の前記情報検知部(CPU40)との断接をそれぞれ切り替え可能な切替部170と、前記切替部170を制御して前記複数のアンテナ部120・130の使用状態を切り替える制御部(CPU40)と、をさらに具備し、前記制御部は、前記複数のアンテナ部120・130から順番に選択する1つのアンテナ部120・130を、前記送信部121・131及び前記受信部122・132がそれぞれ接続状態とされたアンテナ使用状態に切り替えると共に、前記1つのアンテナ部120・130以外の他のアンテナ部120・130を、前記送信部121・131及び前記受信部122・132がそれぞれ切断状態とされたアンテナ非使用状態に切り替えるものである。
【0124】
このように構成することにより、制御部(CPU40)の制御によってミリ波の干渉を抑制することができる。
【0125】
なお、本実施形態に係る制御部は、本発明に係るCPU40の実施の一形態である。
【0126】
以上、本発明の第二実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0127】
例えば、本実施形態では、受信部122・132は、1つの送信部121・131からのミリ波のみを受信するものとしたが、これに限定されるものではなく、複数の送信部121・131からのミリ波をそれぞれ受信してもよい。当該構成においてもCPU40は、ステップS140・S200の処理内容を適宜変更することで、受信部122・132の切り替えが適切に行われたかを確認可能である。
【0128】
例えばCPU40は、第1送信部121からのミリ波を第2受信部132が受信する場合の受信信号を、図13に示すモード切替処理の実行前に予め取得する。そしてCPU40は、ステップS140において第2受信部132からの信号が、予め取得した信号と一致するかを判定する。これによってCPU40は、本実施形態と同様に、受信部122・132の切り替えが適切に行われたかを確認することができる。
【0129】
またシンセサイザ10は、複数のアンテナ部120・130に対して1つだけ設置されるものとしたが、これに限定されるものではなく、複数のアンテナ部120・130に対してそれぞれ(アンテナ部120・130と同数)設置されてもよい。
【0130】
また本実施形態では、アンテナ部120・130は居室Sに2つ設置されるものとしたが、アンテナ部120・130の設置個数は特に限定されるものではなく、居室Sの広さ等に応じて適宜変更可能である。アンテナ部120・130は、例えば居室Sに3つ以上設置されてもよい。
【0131】
また本実施形態では、切替部170の制御及びバイタルデータの検知をCPU40(1つの機器)がそれぞれ行うものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば切替部170の制御及びバイタルデータの検知を複数の機器が分担して行うものでもよい。
【0132】
またCPU40が切替部170を制御する処理の内容(図13に示すモード切替処理の内容)は、特に限定されるものではなく、任意に変更可能である。以下、処理内容の変形例について説明する。
【0133】
例えば、受信信号が来ていないかを判定するステップS140・S200の処理を、受信信号が来たか否かを判定する処理に変更してもよい。ステップS140を例に挙げると、CPU40は、ステップS140において第2送信部131から所定の電波(例えばダミー信号)を送信させ、当該電波に基づく受信信号が第2受信部132から来ているかを確認する。これによってCPU40は、本実施形態と同様に、ステップS140で切替部170の処理が正常に行われたかを確認できる。このように、CPU40は、受信部122・132からの受信信号の取得状態に応じて、送信部121・131の状態を切り替え可能である。
【0134】
また、ステップS140・S200の処理を毎回実行するのではなく、定期的に(例えば1時間に1回)実行してもよい。また、ステップS140・S200の処理を不定期に(例えばセンサ装置101の設置時やメンテナンス時のみ)実行してもよい。
【0135】
また本実施形態のモード切替処理では、ステップS130・S190で受信部122・132の接続を切り替えてから、ステップS150・S210で送信部121・131の接続を切り替えるものとしたが、この接続を切り替える順序を逆にしてもよい。
【0136】
また本実施形態のモード切替処理では、第1アンテナ部120も第2アンテナ部130も、同じ時間(500mS)が経過すると使用状態が切り替えられるものとしたが、使用状態が切り替えられるまでの時間が第1アンテナ部120と第2アンテナ部130とで互いに異なってもよい。
【符号の説明】
【0137】
1 センサ装置
10 シンセサイザ
20 アンテナ部
21 送信部
22 受信部
40 CPU
50 アンテナ接続部
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