(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047662
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】足踏み式スタンパ
(51)【国際特許分類】
B41K 3/02 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
B41K3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153281
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】520270277
【氏名又は名称】株式会社コニシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100086830
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 明
(74)【代理人】
【識別番号】100096046
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 みか
(72)【発明者】
【氏名】小西 雅
(57)【要約】
【構成】 足踏み式スタンパは、スタンプと、用紙を載置するスタンプ台と、ロッドを昇降させることによりスタンプを昇降させるペダルとを備える。足踏み式スタンパは、用紙がスタンプ台に載置されると、ロッドの昇降を許可し、用紙がスタンプ台に載置されていないとロッドの昇降を禁止する、ロック機構を備えている。
【効果】 用紙が無いのにスタンプが下降し、スタンプ台を汚すことを防止できる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタンプと、用紙を載置するスタンプ台と、ロッドを昇降させることによりスタンプを昇降させるペダルとを備える足踏み式スタンパにおいて、
用紙が前記スタンプ台に載置されると前記ロッドの昇降を許可し、用紙がスタンプ台に載置されていないと前記ロッドの昇降を禁止する、ロック機構を備えていることを特徴とする、足踏み式スタンパ。
【請求項2】
前記ロック機構は、
前記ロッドと係合し、ロッドの昇降を禁止するストッパと、
前記スタンプ台に載置された用紙と接触すると前記ストッパとロッドの係合を解除し、用紙と非接触になると前記ストッパをロッドに係合させる接触片、
とから成ることを特徴とする、請求項1の足踏み式スタンパ。
【請求項3】
前記ロック機構は、スタンプ台上の用紙を検出するセンサあるいはカメラを備え、前記センサあるいは前記カメラが用紙を検出するとロッドの昇降を許可し、前記センサあるいは前記カメラが用紙を検出しないとロッドの昇降を禁止するように構成されている、
ことを特徴とする、請求項1の足踏み式スタンパ。
【請求項4】
前記センサあるいは前記カメラが用紙を検出した回数をカウントするカウンタを備えていることを特徴とする、請求項3の足踏み式スタンパ。
【請求項5】
前記ロック機構はカメラを備え、スタンプの印影の画質を判別するための画像を前記カメラが撮像することを特徴とする、請求項3または4の足踏み式スタンパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は足踏み式のスタンパに関する。
【背景技術】
【0002】
出願人は、ペダルを足で踏むことによりロッドが下降し、スタンプ台上の用紙にスタンプが捺印する足踏み式スタンパを提案した(特許文献1)。この足踏み式スタンパは手を使わないので衛生的である。
【0003】
この足踏み式スタンパでは、用紙が無くてもペダルを踏むとスタンプが下降し、スタンプ台にインクが移る。するとスタンプ台が汚れるだけで無く、次に用紙を載せた際に用紙の裏面がインクで汚れることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の課題は、用紙が無いのにスタンプが下降し、スタンプ台を汚すことを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、スタンプと、用紙を載置するスタンプ台と、ロッドを昇降させることによりスタンプを昇降させるペダルとを備える足踏み式スタンパにおいて、
用紙が前記スタンプ台に載置されると前記ロッドの昇降を許可し、用紙がスタンプ台に載置されていないと前記ロッドの昇降を禁止する、ロック機構を備えていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、用紙がスタンプ台に載置されていないと、ロック機構がロッドの昇降を禁止するので、スタンプが空のスタンプ台にスタンプすることが無い。
【0008】
ロック機構は例えば、
ロッドと係合しロッドの昇降を禁止するストッパと、
スタンプ台に載置された用紙と接触するとストッパとロッドの係合を解除し、用紙と非接触になるとストッパをロッドに係合させる接触片、とから成る。このようにすると、メカニカルな機構でロック機構を構成できるので、足踏み式スタンパの電源を用意する必要が無い。
【0009】
ロック機構は例えば、スタンプ台上の用紙を検出するセンサあるいはカメラを備え、センサあるいはカメラが用紙を検出するとロッドの昇降を許可し、センサあるいはカメラが用紙を検出しないとロッドの昇降を禁止する。このようにすると、電気的な機構でロック機構を構成できる。
【0010】
好ましくは、足踏み式スタンパは、センサあるいはカメラが用紙を検出した回数をカウントするカウンタを備えている。このようにすると、センサあるいはカメラによりロック機構のロックを解除するだけで無く、浸透式捺印用スタンプへのインクの補充などのメンテナンスの要否が分かる。またスタンプラリーなどでスタンプを押した人の数が分かる。時間帯毎の使用状況や、使用者が多い場合の待ち時間が分かる。つまり足踏み式スタンパの利用状況が分かる。
【0011】
好ましくは、ロック機構はカメラを備え、スタンプの印影の画質を判別するための画像を前記カメラが撮像する。画質判別のための画像処理は足踏み式スタンパ内で実行しても、外部で実行しても良い。このようにすると、カメラにより用紙の有無を検出し、ロック機構のロックを解除するだけで無く、印影の画質を判別することにより、インクの補充、スタンプの取り付け方の調整、スタンプの交換などの要否を判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】
図1の足踏み式スタンパの一部切欠部付き要部側面図
【
図3】
図1の足踏み式スタンパでのロック機構を示す平面図
【
図4】変形例の足踏み式スタンパの一部切欠部付き要部側面図
【
図5】第2の実施例の足踏み式スタンパでのロック機構を示す図
【
図6】第3の実施例の足踏み式スタンパでのロック機構を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1~
図6に本発明を実施するための最適実施例を示す。
【実施例0014】
実施例1
図1~
図3に実施例1の足踏み式スタンパ2を示す。図において、4はフレーム、5はその上板、6は昇降するロッドで、軸9を介してペダル8に連結され、ペダル8を踏み込むと下降する。なお9bはペダル8をフレーム4に取り付けるための軸である。10はロッド6の昇降ガイドで、ロッド6が振動せずに鉛直に昇降するようガイドする。12は復帰バネで、引っ張りバネ、空気バネなどであり、ペダル8から足を離すとロッド6を上昇させる。
【0015】
ロッド6の上部に例えばゴム製の捺印用スタンプ18が取り付けられ、一対の開閉自在なカバー19によりスタンプ18の印面が覆われている。スタンプ18は浸透式の捺印用スタンプである。ロッド6が下降すると、図示しない機構によりカバー19が左右に開き、スタンプ18の印面が現れ、スタンプ台14上の用紙30にスタンプできるようになる。またロッド6が上昇すると、カバー19が閉じ、スタンプ18の印面が隠れる。
【0016】
上板5によりスタンプ台14が支持されている。スタンプ台14は下部の台15と上カバー16とから成り、台15と上カバー16との間にスリット17が有り、用紙30が差し込めるようになっている。上カバー16は、用紙30をスリット17へ導入し、安定させるためのガイドで、無くても良い。前記のように、ロッド6を下降させ、カバー19が開き、スタンプ18が下降すると、用紙30に印影21がスタンプされる。
【0017】
20はロック機構で、水平な軸25を中心に回動する回動片22を備える。回動片22のスタンプ台14寄りの部分には、台15の凹みで支持される底部23と、台15から浮いている先端部24とがある。用紙30は、
図2,
図3の左から右へ差し込まれると、先端部24から底部23の下部に進入し、回動片22を回転させる。
【0018】
回動片22にはストッパ26が取り付けられ、ストッパ26の先端は常時は孔27を通って、ロッド6に係合している。回動片22が回転すると、ストッパ26も回転し、ロッド6との係合が解除され、ロッド6は昇降が可能になる。即ち、用紙30をスタンプ台14に差し込むことにより、回動片22が回転し、ストッパ26とロッド6との係合が解除される。この状態で、ペダル8を踏むと、ロッド6が下降し、用紙30にスタンプできる。また用紙30を差し込まないとスタンプできないので、スタンプ台14をインクで汚染することなどがない。ロック機構20は電源が不要で、用紙30により回動片22を掬い上げ、ストッパ26を動作させる。ロッド6が上昇した後、用紙30をスタンプ台14から取り除くと、回動片22は自重により逆向きに回動し、ストッパ26はロッド6と係合する。
【0019】
図4は変形例のロック機構40を示し、他の点は
図1の足踏み式スタンパ2と同様である。42は左右動が自在なロッドで、用紙30に押されると右側に後退する接触片43を備えている。ロッド42の右端は、ロッド6を例えばコの字状に迂回し、ロッド6の右側からストッパ45がロッド6に係合する。ロック機構40は他に、接触片43を左側へ付勢する復帰バネ44を備えている。ロック機構40では、用紙30がスタンプ台14に差し込まれると、ロッド42が右側へ移動し、ストッパ45とロッド6の係合が外れる。また用紙30をスタンプ台14から取り除くと、ストッパ45は孔27を介してロッド6と係合する。
【0020】
図1~
図4のロック機構20,40では、用紙30がスタンプ台14の所定の位置に載置されると、メカニカルな機構でストッパ26,45を運動させ、ロッド6との係合を解除する。また用紙30が除かれると、ストッパ26,45を逆向きに運動させ、ロッド6と係合する。メカニカルな機構自体は任意である。
【0021】
実施例2
図5は用紙の有無を検出するセンサ52を用いたロック機構50を示す。センサ52は用紙30を上下に挟む一対の部材からなり、例えば用紙30の有無による、部材間の電気抵抗の変化、光の透過率の変化などを検出する。センサ52を光源と反射光の受光部とで構成すると、用紙30の上下一方にセンサ52を集約できる。センサドライブ53はセンサ52の信号で用紙30の有無を判別し、用紙30が存在すると例えばソレノイド54に電流を流してストッパ55を後退させ、ロッド6との係合を解除する。また用紙30が存在しないと、ソレノイド54への電流を遮断し、ストッパ55を前進させ、ロッド6と係合する。
【0022】
カウンタ56は用紙30を検出した回数、即ちスタンプした回数をカウントする。出力インターフェース57は、カウントした回数、曜日と時間帯当たりのスタンプ回数、及びスタンプ回数から推定したインク交換の要否、スタンプ18の検査の要否などを、ネットワーク、LED、液晶モニタなどへ出力する。58はロック機構50の電源で、電池、太陽電池、商用電源などである。
【0023】
ロック機構50では、用紙30が無いのにスタンプ18が下降し、スタンプ台14をインクで汚すことなどを防止できる。足踏み式スタンパの使用回数をカウントできるので、足踏み式スタンパがどのように利用されているかが分かる。例えばコンサート会場、劇場、美術館、観光地などに設置した場合、どの時間帯にどの位の人が足踏み式スタンパを利用しているかが分かる。コンサート会場、劇場などでは、足踏み式スタンパの前に行列ができることがあるが、時間帯毎のスタンプ回数が分かると、足踏み式スタンパを増設した方が良いのかどうかも分かる。スタンプした回数から、インク補充の要否、スタンプ18の点検の要否などが分かる。従って、足踏み式スタンパのメンテナンスが容易になる。スタンプラリーの場合、足踏み式スタンパ毎のスタンプ回数が分かる。また足踏み式スタンパ間の使用回数を比較すると、参加者の行動パターンが分かる。
【0024】
実施例3
図6のロック機構60ではカメラ61を使用し、用紙の有無を検出し、スタンプ回数をカウントする。好ましくはこれらの他に、スタンプした印影の画質をモニターし、さらに利用者の性別、年代などを判別する。カメラ61の視野Vは、例えばスタンプ台14から足踏み式スタンパの前面の人の上半身を含んでいる。なおソレノイド54によるロックの解除、カウンタ56によるスタンプ回数のカウントは、
図5の実施例と同様である。
【0025】
カメラ61の画像により、用紙検出部62はスタンプ台14上の用紙30の有無を検出し、ソレノイド54を動作させる。用紙を検出した回数はカウンタ56に送られ、スタンプした回数をカウントする。カメラ61はスタンプした印影を撮像し、印影解析部63は印影の画質を判別する。インクの色の画像に対し、画像濃度の平均値と分散、画像濃度の空間変化の平均値と分散などの統計量を求めると、インクの濃淡、画像の鮮明度などを判別できる。スタンプラリーで他の色の印影に重ねてスタンプする場合、他のインクとの重なり具合、即ち滲み具合も判別できる。
【0026】
人物認識部64は、人の上半身の画像から性別、年齢などを推定する。印影解析部63は印影のサンプルとなる画像を抽出し、人物認識部64は特徴的な人物や不審者などの画像を抽出し、画像メモリ65に保存する。カウンタ56でカウントした回数、印影解析部63の解析結果、人物認識部64の認識結果、画像メモリ65の画像などを、出力インターフェース66からモニタ67へ出力し、あるいはネットワーク68を介して、足踏み式スタンパの管理者端末へ出力する。
【0027】
これらにより、足踏み式スタンパの利用回数、利用状況が判明し、インク補充の要否、スタンプ18の交換の要否などを判別できる。また不審者の画像を残せるので、いたずらの防止などにも貢献する。
【0028】
印影の解析は毎回行っても、所定回数毎に行っても良い。カウント、印影解析、人物認識などは、足踏み式スタンパ内で行っても良い。あるいは画像を出力インターフェース66から管理者端末へ転送し、管理者端末で行っても良い。
【0029】
実施例1の足踏み式スタンパに、スタンプ回数をカウントするカウンタを別途に設けても良い。また実施例2,3で、用紙センサ52あるいはカメラ61とは別にカウンタを設けても良い。またカメラ61とは別のカメラにより人物を撮像しても良い。