(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047674
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】成形型、樹脂成形装置、及び、樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 43/36 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
B29C43/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153297
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】岡嶋 晟太郎
(72)【発明者】
【氏名】大庭 亮人
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202AA36
4F202CA09
4F202CA12
4F202CB01
4F202CB12
4F202CB17
4F202CL02
4F202CM11
4F202CM72
4F202CM90
4F202CQ01
4F202CQ06
(57)【要約】
【課題】基板に反りが発生した場合であっても、上型からの基板の落下を防止することが可能な成形型を提供する。
【解決手段】圧縮成形により樹脂成形を行うための成形型であって、基板を吸着するための複数の基板吸着孔、及び、離型フィルムを吸着するための複数のフィルム吸着孔が、下面に開口するように形成された上型と、鉛直方向において前記上型の下側に配置された下型と、下端部が前記上型の下面から下方へと突出可能となるように、前記上型に上下に移動可能となるように設けられた複数の押圧部材と、を具備する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮成形により樹脂成形を行うための成形型であって、
基板を吸着するための複数の基板吸着孔、及び、離型フィルムを吸着するための複数のフィルム吸着孔が、下面に開口するように形成された上型と、
鉛直方向において前記上型の下側に配置された下型と、
下端部が前記上型の下面から下方へと突出可能となるように、前記上型に上下に移動可能となるように設けられた複数の押圧部材と、
を具備する成形型。
【請求項2】
複数の前記押圧部材は、鉛直方向から見て、複数の前記フィルム吸着孔で囲まれた領域の内側に配置され、
複数の前記基板吸着孔は、鉛直方向から見て、複数の前記押圧部材で囲まれた領域の内側に形成されている、
請求項1に記載の成形型。
【請求項3】
前記押圧部材を下方に向かって押す弾性部材をさらに具備する、
請求項1又は請求項2に記載の成形型。
【請求項4】
前記押圧部材は、下方への移動を規制する規制部を具備する、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の成形型。
【請求項5】
前記押圧部材の下端部は、テーパ状、又は、角部がR形状となるように形成される、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の成形型。
【請求項6】
前記上型の下面は、
前記押圧部材が配置された第1の面と、
複数の前記フィルム吸着孔が形成され、前記第1の面より下側に位置するように形成された第2の面と、
を具備する、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の成形型。
【請求項7】
前記上型は、前記第2の面の鉛直方向における位置を調節可能となるように構成されている、
請求項6に記載の成形型。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の成形型と、
前記成形型の型締めを行う型締め機構と、
を具備する、樹脂成形装置。
【請求項9】
請求項8に記載の樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、
前記成形型に前記離型フィルムを配置するフィルム配置工程と、
前記成形型に樹脂材料を搬入する搬入工程と、
前記成形型の型締めを行う型締め工程と、
前記樹脂材料を硬化させて樹脂成形を行う樹脂成形工程と、
前記成形型の型開きを行う型開き工程と、
を含む、樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形型、樹脂成形装置、及び、樹脂成形品の製造方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、上型に上型リリースフィルムが配置され、上型リリースフィルムの上にワークが配置される樹脂封止装置が開示されている。具体的には、上型リリースフィルムには複数のワーク吸着孔が形成され、ポンプ等の吸引装置がワーク吸着孔を介してワークを吸着することで、上型にワークを保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1に記載の技術では、樹脂封止後に金型を型開きすると、ワークと樹脂の熱収縮率の違いから、ワークに反りが発生する場合がある。ワークに反りが発生し、ワークが上型リリースフィルムのワーク吸着孔から離れると、ワーク吸着孔が開放され、吸引装置はワーク吸着孔を介して周囲の空気を吸引することになる。これによって、ワークの吸着力が低下し、ワークが上型から落下する可能性がある。
【0005】
また、特許文献1の樹脂封止装置は上型リリースフィルムを用いているが、上型リリースフィルムを用いない樹脂封止装置であっても、特許文献1に記載の例と同様にワークに反りが発生した場合にはワークが落下する可能性がある。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、基板に反りが発生した場合であっても、上型からの基板の落下を防止することが可能な成形型、樹脂成形装置、及び、樹脂成形品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、この課題を解決するため、本発明に係る成形型は、圧縮成形により樹脂成形を行うための成形型であって、基板を吸着するための複数の基板吸着孔、及び、離型フィルムを吸着するための複数のフィルム吸着孔が、下面に開口するように形成された上型と、鉛直方向において前記上型の下側に配置された下型と、下端部が前記上型の下面から下方へと突出可能となるように、前記上型に上下に移動可能となるように設けられた複数の押圧部材と、を具備するものである。
【0008】
また、本発明に係る樹脂成形装置は、前記成形型と、前記成形型の型締めを行う型締め機構と、を具備するものである。
【0009】
また、本発明に係る樹脂成形品の製造方法は、前記樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、前記成形型に前記離型フィルムを配置するフィルム配置工程と、前記成形型に樹脂材料を搬入する搬入工程と、前記成形型の型締めを行う型締め工程と、前記樹脂材料を硬化させて樹脂成形を行う樹脂成形工程と、前記成形型の型開きを行う型開き工程と、を含むものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基板に反りが発生した場合であっても、上型からの基板の落下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る樹脂成形装置の構成を示した正面断面図。
【
図2】(a)吸着部材の底面図。(b)上型に設けられる離型フィルムの底面図。
【
図3】樹脂成形品の製造方法を示したフローチャート。
【
図4】基板が上型に吸着された状態の樹脂成形装置を示した正面断面図。
【
図5】樹脂成形工程を実行中の樹脂成形装置を示した正面断面図。
【
図6】型開き後に基板が変形した様子を示した樹脂成形装置の正面断面図。
【
図7】基板を上型と下型とで挟む場合の樹脂成形装置の構成を示した正面断面図。
【
図8】第2実施形態に係る樹脂成形装置の構成を示した正面断面図。
【
図9】型開き後に基板が変形した様子を示した樹脂成形装置の正面断面図。
【
図10】基板を上型と下型とで挟む場合の樹脂成形装置の構成を示した正面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<樹脂成形装置100(第1実施形態)>
まず、
図1を用いて、第1実施形態に係る樹脂成形装置100について説明する。
【0013】
図1に示す樹脂成形装置100は、圧縮成形法による樹脂成形が可能な装置である。本実施形態に係る樹脂成形装置100は、成形対象物である基板Wに固定された半導体チップなどの電子素子を樹脂封止し、樹脂成形品を製造することができる。基板Wとしては、シリコンウエハ等の半導体製基板、金属製基板、ガラス製基板、セラミック製基板、又は、樹脂製基板等を用いることができる。また基板Wには、配線が施されていても、施されていなくてもよい。以下で説明する各実施形態では、円形状又は矩形状の基板Wを用いるものとする。なお、
図2では一例として、円形状の基板Wを用いた例を示している。樹脂成形装置100は、主として成形型110、ポンプ150及び型締め機構160等を具備する。
【0014】
成形型110は、熱硬化性を有する樹脂材料Rが投入されるキャビティCを形成するものである。成形型110は、主として下型120、上型130及び押圧部材140を具備する。
【0015】
下型120は、主として下型ベース部材121、底面部材122、側面部材123及び弾性部材124等を具備する。
【0016】
下型ベース部材121は、後述する底面部材122及び側面部材123等を支持するものである。
【0017】
底面部材122は、キャビティCの底面を形成するものである。底面部材122は、例えば、平面視円形状又は平面視矩形状に形成される。底面部材122は、適宜の上下幅を有するように形成される。底面部材122は、下型ベース部材121の上面に載せられた状態で配置される。
【0018】
側面部材123は、底面部材122を側方から囲むものである。側面部材123は、適宜の上下幅を有するように形成される。側面部材123には、側面部材123の中央を上下に貫通する中空部が形成される。側面部材123の中空部は、平面視において、底面部材122の外形と概ね一致するような形状に形成される。
【0019】
このように側面部材123は、平面視円形又は平面視矩形の枠状に形成される。側面部材123の中空部には底面部材122が配置される。側面部材123は、後述する弾性部材124を介して、下型ベース部材121の上面に載せられた状態で配置される。側面部材123の上面は、底面部材122の上面よりも上方に位置する。側面部材123及び底面部材122、並びに、後述する上型130によって、樹脂成形を行うためのキャビティCが規定される。
【0020】
弾性部材124は、側面部材123と下型ベース部材121との間に配置される。弾性部材124は、例えば上下に伸縮可能な圧縮コイルばね等により形成される。
【0021】
なお、下型120(底面部材122及び側面部材123)の上面には、離型フィルムFを吸着して保持するための吸着孔(不図示)が適宜形成される。この吸着孔をポンプ等(不図示)によって負圧にすることで、離型フィルムFを吸着して保持することができる。
【0022】
上型130は、鉛直方向において下型120の上側に配置される。主として上型ベース部材131及び吸着部材132等を具備する。
【0023】
上型ベース部材131は、後述する吸着部材132を支持するものである。上型ベース部材131は、例えば、平面視円形状又は平面視矩形状に形成される。上型ベース部材131は、適宜の上下幅を有するように形成される。上型ベース部材131には、中央凹部131a、中央貫通孔131b、環状凹部131c及び外側貫通孔131dが形成される。
【0024】
中央凹部131aは、上型ベース部材131の下面の中央部に形成される凹状の部分である。中央凹部131aは、例えば、底面視円形状又は底面視矩形状に形成される。中央凹部131aは、後述する吸着部材132の基板吸着孔132a及び貫通孔132cが形成された範囲に亘るように形成される。
【0025】
中央貫通孔131bは、中央凹部131aの中心付近において、上型130を上下に貫通するように形成される孔である。
【0026】
環状凹部131cは、上型ベース部材131の下面において、中央凹部131aを外側から囲む環状に形成される凹状の部分である。環状凹部131cは、例えば、底面視円環状に形成される。環状凹部131cは、上型ベース部材131の下面において、中央凹部131aと接続しないように、中央凹部131aとの間に適宜の隙間を空けて形成される。
【0027】
外側貫通孔131dは、環状凹部131cにおいて、上型130を上下に貫通するように形成される孔である。外側貫通孔131dは、環状凹部131cに沿って複数形成される。
【0028】
吸着部材132は、離型フィルムF及び基板Wを吸着して保持するものである。吸着部材132は、例えば平面視円形状又は平面視矩形状(上型ベース部材131と同じ形状)に形成される。吸着部材132は、適宜の上下幅を有するように形成される。吸着部材132は、上型ベース部材131の下面に固定される。吸着部材132には、基板吸着孔132a、フィルム吸着孔132b及び貫通孔132cが形成される。
【0029】
図1及び
図2(a)に示す基板吸着孔132aは、基板Wを吸着するためのものである。基板吸着孔132aは、吸着部材132を上下に貫通するように形成される。
図2(a)に示すように、基板吸着孔132aは、吸着する基板Wと対向する範囲に複数形成される。
図2(a)に示した例では、円形の基板Wを用いているため、基板吸着孔132aも円形の範囲に亘って形成されている。基板吸着孔132aは、上型ベース部材131の中央凹部131aと連続するように形成される。
【0030】
図1及び
図2(a)に示すフィルム吸着孔132bは、離型フィルムFを吸着するためのものである。フィルム吸着孔132bは、吸着部材132を上下に貫通するように形成される。フィルム吸着孔132bは、上型ベース部材131の環状凹部131cに沿って環状に並ぶように複数形成される。
【0031】
貫通孔132cは、後述する押圧部材140を配置するためのものである。貫通孔132cは、吸着部材132を上下に貫通するように形成される。
図2(a)に示すように、貫通孔132cは、吸着する基板Wの外周部分と対向するように形成される。貫通孔132cは、基板Wの周方向に沿って環状に並ぶように複数形成される。
【0032】
図2(a)に示すように、基板吸着孔132a及び貫通孔132cは、複数のフィルム吸着孔132bで囲まれた領域の内側に形成される。具体的には、隣接するフィルム吸着孔132bを結んで規定される領域(底面視略円形の領域)の内側に、基板吸着孔132a及び貫通孔132cが形成される。
【0033】
また、基板吸着孔132aは、複数の貫通孔132cで囲まれた領域の内側に形成される。具体的には、隣接する貫通孔132cを結んで規定される領域(底面視略円形の領域)の内側に、基板吸着孔132aが形成される。
【0034】
なお
図2(a)では、基板吸着孔132a、フィルム吸着孔132b及び貫通孔132cを互いに区別し易くするために、基板吸着孔132a等の大きさを極端に異ならせて示しているが、基板吸着孔132a等の大きさは図示した例に限るものではなく、任意に設定することができる。
【0035】
図1に示す押圧部材140は、上型130に吸着された離型フィルムFを下方に向かって押圧するものである。押圧部材140は、主として押圧部141及び規制部142を具備する。
【0036】
押圧部141は、上下に長い柱状(棒状)に形成された部分である。押圧部141の断面は、吸着部材132の貫通孔132cと同様、円形状に形成される。押圧部141の長さは、吸着部材132の上下幅よりも長くなるように形成される。押圧部141は、貫通孔132cに挿入される。押圧部141は、貫通孔132cに対して上下に自由に移動することができる。
【0037】
押圧部141の下端部には、下方に向かって徐々に直径が小さくなるようなテーパ状のテーパ部141aが形成される。テーパ部141aを形成することで、押圧部141の下端部の角を鈍角にすることができ、離型フィルムFの損傷を防止することができる。なお、押圧部141の下端の角部を曲面状(R形状)とすることでも、離型フィルムFの損傷を防止することができる。
【0038】
規制部142は、押圧部141の下方への移動を規制する部分である。規制部142は、押圧部141の上下中途部に形成される。規制部142の断面は、吸着部材132の貫通孔132cを通過することができない形状に形成される。本実施形態では、規制部142の断面積は、押圧部141及び貫通孔132cの断面積よりも大きくなるように形成される。例えば規制部142の断面は、押圧部141の断面よりも一回り大きな円形状に形成される。規制部142は、押圧部141とは別の部材により形成することも、押圧部141と一体の部材により形成することも可能である。
【0039】
押圧部材140の押圧部141(規制部142よりも下側の部分)は、吸着部材132の上方から貫通孔132cに挿入される。押圧部材140の押圧部141が貫通孔132cに挿入されると、押圧部材140は自重により下方へ移動する。押圧部141の下端部が所定の量だけ吸着部材132の下面よりも下方に突出すると、規制部142が吸着部材132の上面に接触して、押圧部材140の下方への移動が規制される。押圧部材140の上部は、上型ベース部材131の中央凹部131aの内側に収容される。
【0040】
ポンプ150は、空気を吸引するためのものである。ポンプ150は、適宜のホース等を介して上型ベース部材131の中央貫通孔131b及び外側貫通孔131dと接続される。ポンプ150が作動すると、外側貫通孔131d及び環状凹部131cを介して、吸着部材132のフィルム吸着孔132bが真空引きされ、負圧となる。これによって、吸着部材132の下面に離型フィルムFを吸着して保持することができる。
【0041】
また、ポンプ150が作動すると、中央貫通孔131b及び中央凹部131aを介して吸着部材132の基板吸着孔132aが真空引きされ、負圧となる。このように、中央凹部131aを介することで、複数の基板吸着孔132aに一括して負圧を付与することができる。ここで、吸着部材132(上型130)に吸着される離型フィルムFには、
図2(b)に示すように、微小な貫通孔F1が多数形成されている。貫通孔F1は、離型フィルムFが吸着部材132に吸着された状態で、吸着部材132の貫通孔132cで囲まれた領域の内側に位置するように形成される。貫通孔F1は、例えばレーザや適宜の工具(針、カッター等)を用いて形成することができる。吸着部材132の基板吸着孔132aが負圧になると、吸着部材132に保持された離型フィルムFの貫通孔F1も負圧になり、離型フィルムFの底面に基板Wを吸着して保持することができる。
【0042】
なお、本実施形態では1つのポンプ150で中央貫通孔131b及び外側貫通孔131dを負圧にする例を示しているが、例えば中央貫通孔131b及び外側貫通孔131dを別々のポンプ150で負圧にすることも可能である。
【0043】
型締め機構160は、下型120を昇降させて型締め及び型開き等を行うものである。型締め機構160は、主として基台161及び駆動機構162等を具備する。
【0044】
基台161は、成形型110等を支持するものである。基台161は、成形型110(下型120)の下方に配置される。
【0045】
駆動機構162は、下型120を昇降させるためのものである。駆動機構162としては、ボールねじ機構、油圧シリンダ、トグル機構等を用いることができる。駆動機構162は、基台161と下型ベース部材121との間に配置される。
【0046】
なお、上述の樹脂成形装置100の各部の動作は、図示せぬ制御装置によって適宜制御される。
【0047】
<樹脂成形品の製造方法>
次に、樹脂成形装置100を用いた樹脂成形品の製造方法の一例について説明する。
【0048】
図3に示すように、本実施形態に係る樹脂成形品の製造方法は、主としてフィルム配置工程S10、搬入工程S20、型締め工程S30、樹脂成形工程S40、型開き工程S50及び搬出工程S60を含む。以下、順に説明する。
【0049】
フィルム配置工程S10は、下型120及び上型130に離型フィルムF(
図1参照)を配置する工程である。
【0050】
具体的には、フィルム配置工程S10において、所定の搬送装置によって2枚の離型フィルムFが成形型110に搬入される。2枚の離型フィルムFは、下型120の上面及び上型130の下面にそれぞれ吸着されて保持される。
【0051】
この際、一方の離型フィルムFは、下型120に吸着され、下型120の上面の形状に沿うように配置される。もう一方の離型フィルムFは、ポンプ150が作動することで負圧となった上型130のフィルム吸着孔132bに吸着される。上型130に吸着された離型フィルムFは、吸着部材132から突出した押圧部材140によって若干下方へと押されるため、一部が上型130の下面から浮いた状態で保持される。
【0052】
成形型110に離型フィルムFを設けることで、成形型110の表面への樹脂材料Rの付着を防止することができる。また、上型130の表面に異物が付着している場合、上型130と基板Wとの間に離型フィルムFが配置されるため、異物が基板Wに直接接触するのを防止し、基板Wの損傷の発生を抑制することができる。また、成形型110(離型フィルムF)の表面に異物が付着した場合には、離型フィルムFを交換することで、異物を容易に除去することができる。
【0053】
なお、下型120及び上型130のいずれに対して先に離型フィルムFを配置してもよく、下型120及び上型130に同時に離型フィルムFを配置してもよい。
【0054】
離型フィルムFが下型120及び上型130に吸着された後、フィルム配置工程S10から搬入工程S20に移行する。
【0055】
搬入工程S20は、成形型110に樹脂材料R及び基板Wを搬入する工程である。
【0056】
具体的には、搬入工程S20において、樹脂材料Rは、所定の搬送装置によって成形型110に搬入される。樹脂材料Rは、下型120内(側面部材123の内側)に収容される。なお、樹脂材料Rとしては、固体状の粉粒体状樹脂(顆粒状樹脂含む)、液体状の液状樹脂など、各種状態の樹脂を用いることができる。
【0057】
また、搬入工程S20において、基板Wは、所定の搬送装置によって成形型110に搬入される。
図4に示すように、基板Wは、ポンプ150が作動することで負圧となった上型130の基板吸着孔132aに吸着される。これによって基板Wは、離型フィルムFを介して吸着部材132の下面に密着するように保持される。この際、吸着部材132に吸着される基板Wによって、押圧部材140は上方へと押し上げられる。
【0058】
なお、樹脂材料R及び基板Wが搬入される順序は特に限定するものではなく、いずれを先に成形型110に搬入してもよく、また同時に成形型110に搬入してもよい。
【0059】
樹脂材料R及び基板Wの搬入が完了した後、搬入工程S20から型締め工程S30に移行する。
【0060】
型締め工程S30は、成形型110(下型120及び上型130)を閉める(型締めする)工程である。
【0061】
具体的には、型締め工程S30において、まず下型120に設けられた加熱機構(不図示)によって、キャビティC内に収容された樹脂材料Rが、固体状であれば溶融され、液体状であれば低粘度化される。次に、駆動機構162が駆動されることで、下型120が上型130に向かって上昇する。下型120が所定の位置まで上昇すると、側面部材123の上面が上型130の下面と接触し、下型120(樹脂材料Rが収容された空間)が上型130によって上方から塞がれる。
【0062】
図5に示すように、さらに駆動機構162が駆動されることで、下型120の底面部材122が上型130に向かってさらに上昇する。この際、側面部材123は上型130に接しているため、上昇することはない。すなわち、底面部材122は側面部材123に対して相対的に上昇する。底面部材122が上昇すると、下型120に収容された樹脂材料Rが加圧される。底面部材122がある程度上昇した時点で、型締めが完了する。
【0063】
なお、型締めを行う際には、成形型110内の空気を吸引して減圧を行うことが好ましい。これによって、樹脂材料R中の空気やガスを排出することができる。
【0064】
型締めが完了した後、型締め工程S30から樹脂成形工程S40に移行する。
【0065】
樹脂成形工程S40は、樹脂材料Rを硬化させて樹脂成形を行う工程である。
【0066】
具体的には、樹脂成形工程S40において、
図5に示すように樹脂材料Rを加圧した状態で所定時間待機する。これによって樹脂材料Rを硬化させて基板Wに対して樹脂成形を行うことができる。なお、図例では、基板Wの外側まで樹脂成形を行う手法(オーバーモールド)を示している。
【0067】
樹脂材料Rが硬化した後、樹脂成形工程S40から型開き工程S50に移行する。
【0068】
型開き工程S50は、成形型110(下型120及び上型130)を開く(型開きする)工程である。
【0069】
具体的には、
図6に示すように、型開き工程S50において、駆動機構162が駆動されることで、下型120が上型130から離れるように下降する。これによって、下型120が上型130の下面から離れる。
【0070】
ここで、樹脂成形された基板W(樹脂成形品)においては、基板Wと樹脂材料Rの熱収縮率の違いから、変形(反り)が発生する可能性がある。例えば
図6には、樹脂成形された基板Wの外周部分が下方に向かって屈曲した例を示している。このような変形が発生した場合、従来の樹脂成形装置では、基板Wが基板吸着孔132a(貫通孔F1)から離れ、基板吸着孔132aが開放された状態(基板吸着孔132aの内側の空気が樹脂成形装置の周囲の空気(外気)と接続された状態)になる場合がある。基板吸着孔132aが開放されると、基板吸着孔132aを介して周辺の空気が中央凹部131aへと吸い込まれ、ポンプ150による負圧が低下し、基板Wが落下するおそれがある。
【0071】
そこで本実施形態では、押圧部材140を設けることで基板Wの落下を防止している。具体的には、
図6に示すように、樹脂成形された基板Wの外周部分が下方に向かって屈曲すると、それに伴って押圧部材140が自重により下方へと移動する。押圧部材140の移動によって、離型フィルムFが基板Wに追従するように下方へと押される。これによって、離型フィルムFの貫通孔F1が基板Wに密着した状態を保つことができるため、基板吸着孔132aが開放されることはなく、ポンプ150による負圧を保つことができる。したがって、基板Wの吸着力が低下することはなく、基板Wの落下を防止することができる。
【0072】
型開きが完了した後、型開き工程S50から搬出工程S60に移行する。
【0073】
搬出工程S60は、樹脂成形品を成形型110から搬出する工程である。搬出工程S60において、樹脂成形品は、所定の搬送装置によって成形型110から搬出される。
【0074】
このようにして、本実施形態では、樹脂成形された基板W(樹脂成形品)に変形が生じた場合であっても、ポンプ150による吸着力の低下を抑制し、基板Wの落下を防止することができる。
【0075】
なお、
図6等には、基板Wの外側まで樹脂成形を行う例(オーバーモールド)を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば
図7に示すように、型締めを行う際、基板Wの外周部分を、下型120の側面部材123と、上型130の吸着部材132とで挟むことで、基板Wの下面にのみ樹脂成形を行うことも可能である。
【0076】
<樹脂成形装置200(第2実施形態)>
以下では、
図8から
図10を用いて、第2実施形態に係る樹脂成形装置200について説明する。
【0077】
第2実施形態に係る樹脂成形装置200が第1実施形態に係る樹脂成形装置100と異なる点は、上型130が弾性部材133、環状部材134及びスペーサ135を具備している点である。よって以下では、主にこの相違点について説明し、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0078】
図8に示す弾性部材133は、押圧部材140を下方に向かって押すためのものである。本実施形態では、弾性部材133として、圧縮コイルばねを用いている。弾性部材133は、上型ベース部材131の中央凹部131a内に配置される。弾性部材133は、押圧部材140の規制部142と上型ベース部材131との間に配置され、押圧部材140を下方に向かって常時付勢する。これによって、押圧部材140が離型フィルムFを下方へと押す力を増強し、より確実に離型フィルムFを基板Wに追従させることができる。
【0079】
環状部材134は、吸着部材132に吸着される基板Wを外側から囲むように配置される部材である。環状部材134は、底面視円環状又は底面視矩形環状に形成される。吸着部材132の底面には、基板吸着孔132a及び貫通孔132cを外側から囲むような底面視円環状又は底面視矩形環状の凹部132dが形成される。環状部材134は、吸着部材132の凹部132dに配置される。
【0080】
スペーサ135は、環状部材134の上下位置を調節するためのものである。スペーサ135は、底面視において、環状部材134と同一形状(円環状又は矩形環状)に形成される。スペーサ135は、上下幅が環状部材134と比較して小さくなるように形成される。スペーサ135は、環状部材134と吸着部材132との間に配置される。
【0081】
環状部材134と吸着部材132との間にスペーサ135を配置することで、環状部材134の下面が、吸着部材132の下面よりも下方に突出するように配置される。環状部材134の突出量は、スペーサ135の上下幅を変更したり、スペーサ135の個数を変更したりすることで任意に調節することができる。
【0082】
環状部材134及びスペーサ135には、吸着部材132のフィルム吸着孔132bと対応する位置に、フィルム吸着孔134aが形成される。フィルム吸着孔134aは、環状部材134及びスペーサ135を上下に貫通するように形成され、フィルム吸着孔132bと接続される。
【0083】
このようにして、上型130の下面は、基板吸着孔132a及び貫通孔132cが形成された第1の面X1と、第1の面X1より下側に位置するように形成されてフィルム吸着孔134aが形成された第2の面X2と、により、段差状に形成される。
【0084】
このように構成された樹脂成形装置200を用いて、第1実施形態と同様の工程で樹脂成形品を製造することができる(
図3参照)。
【0085】
なお、フィルム配置工程S10において、上型130に設けられる離型フィルムFは、環状部材134のフィルム吸着孔134aに吸着される。
【0086】
また、型開き工程S50において、
図9に示すように、樹脂成形された基板W(樹脂成形品)の外周部分が下方に向かって屈曲した場合、第1実施形態と同様に、押圧部材140が下方へと移動する。この際、押圧部材140は弾性部材133によって下方に押されているため、離型フィルムFを基板Wに追従させ易くすることができる。
【0087】
また、離型フィルムFは、吸着部材132よりも下方に位置する環状部材134に吸着されているため、押圧部材140によって離型フィルムFを下方へと無理なく押すことができる。これによって、離型フィルムFを基板Wに追従させ易くすることができる。特に本実施形態では、スペーサ135によって第2の面X2の鉛直方向における位置(上下位置)を調節できる。このため、例えば基板Wの変形量を予め把握し、この変形量に応じた位置となるように第2の面X2の位置を調節することで、離型フィルムFを基板Wにより追従させ易くすることができる。
【0088】
なお、
図8及び
図9には、基板Wの外側まで樹脂成形を行う例(オーバーモールド)を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば
図10に示すように、型締めを行う際、基板Wの外周部分を、下型120の側面部材123と、上型130の吸着部材132とで挟むことで、基板Wの下面にのみ樹脂成形を行うことも可能である。この場合、基板Wの厚みが、吸着部材132の下面と環状部材134の下面との段差よりも厚くなるように設定される。
【0089】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術的思想の範囲内で適宜の変更が可能である。
【0090】
例えば、基板吸着孔132a、フィルム吸着孔132b及び押圧部材140等の個数、形状、配置等は任意に変更することが可能である。
【0091】
また、
図2では円形の基板W(
図2参照)を用いる例を示したが、基板Wの形状はこれに限るものではなく、例えば矩形状の基板Wを用いてもよい。また基板Wの形状に応じて、基板吸着孔132a、フィルム吸着孔132b及び押圧部材140等の配置等を任意に変更することも可能である。例えば矩形状の基板Wを用いる場合、押圧部材140を基板Wの外周部分に沿う矩形状に並べて配置することも可能である。また、基板Wの形状(円形、矩形等)に応じて、樹脂成形装置100の各部(成形型110等)の形状を、平面視円形状、平面視矩形状等に任意に変更することが可能である。
【0092】
また上記各実施形態では、基板Wの外周部分が下方に向かって屈曲する例を示したが(
図6等参照)、この基板Wの変形は一例であり、基板Wの形状や樹脂成形される樹脂材料R等に応じて変形の態様は変化する可能性がある。従って、押圧部材140は、種々の基板Wの変形の態様に対応できるように配置することが望ましい。例えば、基板Wが下方に向かって屈曲する可能性がある箇所に、まんべんなく押圧部材140を配置することが望ましい。このように配置することで、基板Wのどの箇所が下方に屈曲したとしても、その箇所に配置された押圧部材140で離型フィルムFを押し下げて、離型フィルムFを基板Wに追従させることができる。
【0093】
また本発明は、上型130の汚れ(樹脂材料Rの付着等)を防止するために上型130に離型フィルムFを設ける成形型110(樹脂成形装置100・200)に限らず、その他の成形型(樹脂成形装置)にも適用することが可能である。例えば、
図7及び
図10に示す樹脂成形装置100・200のように、キャビティCの上面が基板Wによって完全に覆われている構成では、樹脂材料Rが上型130に付着することはない。この場合、上型130の汚れを防止する観点からは、離型フィルムFを上型130に設ける必要はない。しかし、このように汚れの防止等のために離型フィルムFを用いる必要のない成形型であっても、基板Wの落下を防止する観点から、上記各実施形態のように離型フィルムFや押圧部材140等を用いることも可能である。
【0094】
また上記各実施形態では、押圧部材140の上部が、ポンプ150による負圧が付与される上型ベース部材131の中央凹部131aに配置される例を示したが(
図1参照)、本発明はこれに限るものではなく、押圧部材140の配置は任意に変更することが可能である。例えば押圧部材140を、中央凹部131aとは別途設けられた凹部に配置することや、上型130を上下に貫通するように配置することも可能である。
【0095】
また第2実施形態では、押圧部材140を押し下げる弾性部材133として圧縮コイルばねを用いる例(
図8等参照)を示したが、本発明はこれに限るものではなく、その他種々の弾性部材(例えば、板バネ、引張りコイルばね等)を用いることも可能である。また第2実施形態では、弾性部材133を用いて押圧部材140を下方に押す例を例示したが、押圧部材140を押す構成はこれに限るものではない。例えば、弾性部材ではなく、モータやエアシリンダ等の種々のアクチュエータを用いて押圧部材140を押し下げることも可能である。
【0096】
また、上記各実施形態で示した樹脂成形品の製造方法(
図3参照)は一例であり、適宜変更することが可能である。例えば、上記各実施形態ではフィルム配置工程S10において成形型110に離型フィルムFを配置した後に、搬入工程S20において樹脂材料Rを搬入する例を示したが、例えば、下型120に配置する離型フィルムF上に樹脂材料Rを配置してから、樹脂材料Rと共に離型フィルムFを下型120に配置することも可能である。
【0097】
また、上記各実施形態では、樹脂材料Rとして、熱硬化性を有する樹脂材料を用いる例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、熱可塑性を有する樹脂材料を用いてもよい。
【0098】
<付記>
本開示の第1側面の成形型110は、
圧縮成形により樹脂成形を行うための成形型110であって、
基板Wを吸着するための複数の基板吸着孔132a、及び、離型フィルムFを吸着するための複数のフィルム吸着孔132bが、下面に開口するように形成された上型130と、
鉛直方向において前記上型の下側に配置された下型120と、
下端部が前記上型130の下面から下方へと突出可能となるように、前記上型130に上下に移動可能となるように設けられた複数の押圧部材140と、
を具備する。
本開示の第1側面の成形型110によれば、基板Wに反りが発生した場合であっても、上型130からの基板Wの落下を防止することができる。すなわち、押圧部材140によって、基板Wの変形に追従するように離型フィルムFを押し下げることができるため、基板吸着孔132aが開放されるのを防止し、基板Wを吸着するための負圧を保つことができる。
【0099】
第1側面に従う第2側面の成形型110において、
複数の前記押圧部材140は、鉛直方向から見て、複数の前記フィルム吸着孔132bで囲まれた領域の内側に配置され、
複数の前記基板吸着孔132aは、鉛直方向から見て、複数の前記押圧部材140で囲まれた領域の内側に形成されている。
本開示の第2側面の成形型110によれば、基板吸着孔132aの外側に配置された押圧部材140で離型フィルムFを押し下げることで、基板Wの外周部分の反りに離型フィルムFを追従させ易くすることができる。
【0100】
第1又は第2側面に従う第3側面の成形型110は、
前記押圧部材140を下方に向かって押す弾性部材133をさらに具備する。
本開示の第3側面の成形型110によれば、押圧部材140が離型フィルムFを押し下げる力を増強し、より離型フィルムFを基板Wの反りに追従させ易くすることができる。
【0101】
第1から第3側面のいずれか1つに従う第4側面の成形型110において、
前記押圧部材140は、下方への移動を規制する規制部142を具備する。
本開示の第4側面の成形型110によれば、押圧部材140が脱落するのを防止することができる。
【0102】
第1から第4側面のいずれか1つに従う第5側面の成形型110において、
前記押圧部材140の下端部は、テーパ状、又は、角部がR形状となるように形成されるものである。
本開示の第5側面の成形型110によれば、離型フィルムFの損傷を防止することができる。
【0103】
第1から第5側面のいずれか1つに従う第6側面の成形型110において、
前記上型130の下面は、
前記押圧部材140が配置された第1の面X1と、
複数の前記フィルム吸着孔134aが形成され、前記第1の面X1より下側に位置するように形成された第2の面X2と、
を具備する。
本開示の第6側面の成形型110によれば、押圧部材140が離型フィルムFを下方に無理なく押し下げることができる。
【0104】
第6側面に従う第7側面の成形型110において、
前記上型130は、前記第2の面X2の鉛直方向における位置を調節可能となるように構成されている。
本開示の第7側面の成形型110によれば、第2の面X2の位置を、基板Wの反りに応じた位置に調節することで、離型フィルムFを基板Wの反りに追従させ易くすることができる。
【0105】
第8側面の樹脂成形装置100・200は、
第1から第7側面のいずれか1つに従う成形型110と、
前記成形型110の型締めを行う型締め機構160と、
を具備する。
本開示の第8側面の樹脂成形装置100・200によれば、基板Wに反りが発生した場合であっても、上型130からの基板Wの落下を防止することができる。
【0106】
第9側面の樹脂成形品の製造方法は、
第8側面に従う樹脂成形装置100・200を用いた樹脂成形品の製造方法であって、
前記成形型110に前記離型フィルムFを配置するフィルム配置工程S10と、
前記成形型110に樹脂材料Rを搬入する搬入工程S20と、
前記成形型110の型締めを行う型締め工程S30と、
前記樹脂材料Rを硬化させて樹脂成形を行う樹脂成形工程S40と、
前記成形型110の型開きを行う型開き工程S50と、
を含む。
本開示の第9側面の樹脂成形品の製造方法によれば、基板Wに反りが発生した場合であっても、上型130からの基板Wの落下を防止することができる。
【符号の説明】
【0107】
100 樹脂成形装置
110 成形型
120 下型
130 上型
132a 基板吸着孔
132b フィルム吸着孔
133 弾性部材
140 押圧部材
142 規制部
160 型締め機構
200 樹脂成形装置
【手続補正書】
【提出日】2022-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮成形により樹脂成形を行うための成形型であって、
基板を吸着するための複数の基板吸着孔、及び、離型フィルムを吸着するための複数のフィルム吸着孔が、下面に開口するように形成された上型と、
鉛直方向において前記上型の下側に配置された下型と、
下端部が前記上型の下面から下方へと突出可能となるように、前記上型に上下に移動可能となるように設けられた複数の押圧部材と、
を具備する成形型。
【請求項2】
複数の前記押圧部材は、鉛直方向から見て、複数の前記フィルム吸着孔で囲まれた領域の内側に配置され、
複数の前記基板吸着孔は、鉛直方向から見て、複数の前記押圧部材で囲まれた領域の内側に形成されている、
請求項1に記載の成形型。
【請求項3】
前記押圧部材を下方に向かって押す弾性部材をさらに具備する、
請求項1に記載の成形型。
【請求項4】
前記押圧部材は、下方への移動を規制する規制部を具備する、
請求項1に記載の成形型。
【請求項5】
前記押圧部材の下端部は、テーパ状、又は、角部がR形状となるように形成される、
請求項1に記載の成形型。
【請求項6】
前記上型の下面は、
前記押圧部材が配置された第1の面と、
複数の前記フィルム吸着孔が形成され、前記第1の面より下側に位置するように形成された第2の面と、
を具備する、
請求項1に記載の成形型。
【請求項7】
前記上型は、前記第2の面の鉛直方向における位置を調節可能となるように構成されている、
請求項6に記載の成形型。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の成形型と、
前記成形型の型締めを行う型締め機構と、
を具備する、樹脂成形装置。
【請求項9】
請求項8に記載の樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、
前記成形型に前記離型フィルムを配置するフィルム配置工程と、
前記成形型に樹脂材料を搬入する搬入工程と、
前記成形型の型締めを行う型締め工程と、
前記樹脂材料を硬化させて樹脂成形を行う樹脂成形工程と、
前記成形型の型開きを行う型開き工程と、
を含む、樹脂成形品の製造方法。