(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004768
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】親綱着脱監視装置
(51)【国際特許分類】
A62B 35/00 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
A62B35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104583
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003528
【氏名又は名称】東京製綱株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(74)【代理人】
【識別番号】100150865
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 司
(72)【発明者】
【氏名】朝賀 達哉
(72)【発明者】
【氏名】木本 裕士
【テーマコード(参考)】
2E184
【Fターム(参考)】
2E184LA03
2E184MA01
2E184MA09
(57)【要約】
【課題】警報が出力され続けることを低減しつつ安全性にも考慮した装置を比較的低コストで構成することが可能な親綱着脱監視装置の提供。
【解決手段】作業者の落下防止のために親綱に対して着脱可能に取り付けられる親綱把持金具に、親綱が取り付けられているか否かを検知する親綱検知手段(光電センサー12)と、前記親綱検知手段によって親綱が取り付けられていないと検知された場合に、警報を出力する警報手段(ブザー部112)と、前記警報手段のオン、オフを行う警報スイッチ13と、警報スイッチ13が、オンとなっていることを通知する警報オン通知手段(赤LEDテープライト15)と、を備える、親綱着脱監視装置1。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者の落下防止のために親綱に対して着脱可能に取り付けられる親綱把持金具に、親綱が取り付けられているか否かを検知する親綱検知手段と、
前記親綱検知手段によって親綱が取り付けられていないと検知された場合に、警報を出力する警報手段と、
前記警報の出力のオン、オフを行う警報スイッチと、
前記警報スイッチのオン若しくはオフ状態を通知する警報オンオフ通知手段と、
を備える、親綱着脱監視装置。
【請求項2】
前記親綱検知手段が、親綱からの反射光を検知する光電センサーによって構成され、親綱に対して前記親綱把持金具が取り付けられていない際に、前記光電センサーによって前記親綱把持金具からの反射光が検知されないようにするための反射防止手段を備える、請求項1に記載の親綱着脱監視装置。
【請求項3】
前記親綱把持金具が、親綱が挿通される親綱挿通部と、前記親綱挿通部に挿通されている親綱をクランプするクランプ部と、を備え、
前記光電センサーが、前記クランプ部に設けられ、前記反射防止手段が、前記親綱挿通部に設けられている、請求項2に記載の親綱着脱監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者の落下防止のための親綱に対する親綱把持金具の取り付け状態を監視する親綱着脱監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、傾斜地や高所にて作業する作業員の落下防止のために、作業員が装着するフルハーネス安全帯を親綱に接続することが行われている。
当該親綱への接続の有無を確認することは非常に重要である。
特許文献1には、親綱への接続がフック掛けによって行われる場合において、安全帯のフック掛けを検出する装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
親綱への接続の有無を確認する装置(以下「親綱着脱監視装置」)においては、親綱に対する接続がされていない場合に警報を出力するように構成されている。
しかしながら、作業員が常に親綱との接続が必要な状況であるわけでは無く、親綱との接続が不要な状況においても警報が出力され続けるのは煩わしく、また、警報が頻繁に出力されることで、警報に慣れてしまうことにより、本来の警告機能が低下してしまう恐れもある。従って、親綱との接続が不要な状況(警報が不要な状況)では、警報が出力されないようにすることが望まれている。
特許文献1では、管理エリアを設け、当該管理エリアに設けられたゲートの出入りに基づいて、親綱取り付けの監視(及び警報)のオンオフを切り替える技術の開示がなされている。
しかしながら、管理エリア内にいるからといって、常に「親綱との接続が必要な状況」にあるわけでは無く、従って上記の課題の解決には十分ではない面がある。また、現場によっては、管理エリアの設置(周囲を覆うなどして、出入りをゲート(出入口)に限定すること)が難しい若しくは現実的でない場合(環境的に難しい場合や、経済的に見合わない場合)がある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、警報が出力され続けることを低減しつつ安全性にも考慮した装置を比較的低コストで構成することが可能な親綱着脱監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(構成1)
作業者の落下防止のために親綱に対して着脱可能に取り付けられる親綱把持金具に、親綱が取り付けられているか否かを検知する親綱検知手段と、前記親綱検知手段によって親綱が取り付けられていないと検知された場合に、警報を出力する警報手段と、前記警報の出力のオン、オフを行う警報スイッチと、前記警報スイッチのオン若しくはオフ状態を通知する警報オンオフ通知手段と、を備える、親綱着脱監視装置。
【0007】
(構成2)
前記警報オンオフ通知手段が発光部によって構成され、作業者が装着するフルハーネス安全帯と前記親綱把持金具とを接続するランヤードに、前記発光部が取り付けられている、構成1に記載の親綱着脱監視装置。
【0008】
(構成3)
前記発光部が、複数の発光体によって構成され、当該複数の発光体が、前記ランヤードの周りに螺旋状に配置されている、構成2に記載の親綱着脱監視装置。
【0009】
(構成4)
前記親綱検知手段による親綱の取り付けの有無の検知に基づいて発光状態が変化する親綱取り付け通知発光部を更に備え、前記親綱取り付け通知発光部が、前記ランヤードに取り付けられている、構成2又は構成3に記載の親綱着脱監視装置。
【0010】
(構成5)
前記警報スイッチが、前記ランヤードに取り付けられている、構成1から4の何れかに記載の親綱着脱監視装置。
【0011】
(構成6)
前記親綱検知手段が、親綱からの反射光を検知する光電センサーによって構成され、親綱に対して前記親綱把持金具が取り付けられていない際に、前記光電センサーによって前記親綱把持金具からの反射光が検知されないようにするための反射防止手段を備える、構成1から5の何れかに記載の親綱着脱監視装置。
【0012】
(構成7)
前記親綱把持金具が、親綱が挿通される親綱挿通部と、前記親綱挿通部に挿通されている親綱をクランプするクランプ部と、を備え、前記光電センサーが、前記クランプ部に設けられ、前記反射防止手段が、前記親綱挿通部に設けられている、構成6に記載の親綱着脱監視装置。
【0013】
(構成8)
前記反射防止手段が、前記光電センサーと対向する部材を低反射塗料で塗装することで構成されている、構成6又は7に記載の親綱着脱監視装置。
【0014】
(構成9)
作業者の落下防止のための親綱に対する親綱把持金具の取り付け状態を監視するための監視方法であって、前記親綱把持金具に親綱が取り付けられているか否かを検知する親綱検知手段によって親綱が取り付けられていないと検知された場合に、警報手段から警報を出力させるステップと、前記警報の出力のオン、オフを行う警報スイッチのオン若しくはオフの状態を、警報オンオフ通知手段から出力させるステップと、を有する、親綱着脱監視方法。
【0015】
(構成10)
前記親綱検知手段による親綱の取り付けの有無の検知に基づいて、親綱取り付け通知発光部の発光状態を変化させる、構成9に記載の親綱着脱監視方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明の親綱着脱監視装置によれば、警報が出力され続けることを低減しつつ安全性にも考慮した装置を比較的低コストで構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る実施形態の親綱着脱監視装置の概略を示す図
【
図3】実施形態の親綱着脱監視装置の構成の概略を示すブロック図
【
図4】実施形態の親綱着脱監視装置の動作の概略を示す図
【
図5】実施形態の親綱着脱監視装置の処理動作の概略を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
【0019】
図1は、本発明に係る実施形態の親綱着脱監視装置の概略を示す図であり、
図2は親綱把持金具の概略を示す図、また、
図3は実施形態の親綱着脱監視装置の構成の概略を示すブロック図である。
本実施形態の親綱着脱監視装置1は、傾斜地等において作業する作業者の落下防止のための親綱に対する親綱把持金具の取り付け状態を監視するための装置である。
親綱着脱監視装置1は、
図3に示されるように、
親綱に対して着脱可能に取り付けられる親綱把持金具に、親綱が取り付けられているか否かを検知する親綱検知手段である光電センサー12と、
各部の制御を行う制御部111と、親綱検知手段(光電センサー12)によって親綱が取り付けられていないと検知された場合に、警報を出力する警報手段であるブザー部112と、を備える本体部11と、
警報手段(ブザー部112)の警報(警報音の出力)のオン、オフを行う警報スイッチ13と、
親綱検知手段(光電センサー12)による親綱の取り付けの有無の検知に基づいて発光状態が変化する親綱取り付け通知発光部である緑LEDテープライト14と、
警報スイッチ13が、オンとなっていることを通知する警報オン通知手段である赤LEDテープライト15と、
を備えている。
【0020】
本体部11は、マイコンなどによって構成される制御部111と、スピーカ等によって構成されるブザー部112を備えている。
制御部111は、緑LEDテープライト14や赤LEDテープライト15を発光させるためのドライバや、ブザー部112から警報音を出力させるためのドライバ、光電センサー12から入力されるセンサ値や警報スイッチからの入力をA/D変換する回路、各種の演算を行う演算回路などを備えている。なお、制御部111は、マイコンなどの汎用的なデバイス上で各機能がソフトウェア的によって構成されるものであっても良いし、各機能が専用回路として構成されるようなもの、或いはこれらの組み合わせで構成されるものであってよい。
本体部11は、任意の方法(例えばポケットに入れたり、ベルトやフルハーネス安全帯に固定する等)によって作業者の身に着けて使用される。
なお、図示では省略しているが、当然に電源部が備えられるものであり、電源(バッテリー)は本体部11に内蔵されるものの他、本体部11とは別体で構成されて本体部11と接続されて使用されるものであってもよい。本体部11と別体の場合には、本体部11と同様に、任意の方法(例えばポケットに入れたり、ベルトやフルハーネス安全帯に固定する等)によって作業者の身に着けて使用される。
【0021】
光電センサー12は、
図1や2に示されるように、親綱把持金具2に取り付けられて、親綱MRが取り付けられる箇所において親綱MRに対して光を照射し、親綱MRからの反射光を検知することによって、親綱MRの取り付けの有無の検知を行う親綱検知手段である(なお、
図1や2では、光電センサー12と親綱MRの間に他の部材があるようにも見えるが、光電センサー12の光源の光軸上には、親綱MRに至るまで他の部材は存在していない)。
親綱把持金具2は、
図2に示されるように、親綱MRが挿通される親綱挿通部21と、親綱挿通部21に挿通されている親綱MRをクランプするクランプ部22と、を備えている。クランプ部22に接続されたランヤードに引かれて上方向に移動する際には親綱MRに対してスライド可能である一方で、下方向に引かれた場合はクランプ部22が親綱MRをクランプしてスライドしない構成である(これによって落下が防止される)。
光電センサー12は、クランプ部22に、親綱挿通部21に挿通された親綱MRに対して対向する(親綱MRに光を照射し、その反射光を受光できる)ように設けられる。
なお、光電センサー12は、親綱把持金具に取り付けられた親綱に光を照射し、その反射光を受光するように設置されるものであればよい。親綱把持金具自体は、例えば従来使用されている任意の親綱把持金具を用いることができるため、親綱把持金具自体に関するここでの詳しい説明を省略する。
本実施形態では、親綱が取り付けられているか否かを検知する親綱検知手段として、光電センサーを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、例えば接触センサーを用いる等、親綱の取り付けの有無を検知可能な任意のセンサーを用いてよい。
【0022】
親綱把持金具2における、光電センサー12と対向する箇所(親綱挿通部21)には、反射防止のための塗装が行われている。親綱MRが取り付けられていない際に、親綱把持金具2が光電センサー12からの照射光を反射してしまうことにより、「親綱MRが取り付けられている」と誤検知をしてしまうことを低減するためのものである。塗装は、光を反射し難い低反射塗料(例えばマットブラック)を用いて行われる。
即ち、「親綱に対して親綱把持金具が取り付けられていない際に、光電センサーによって親綱把持金具からの反射光が検知されないようにするための反射防止手段」が設けられ、また、「反射防止手段が、親綱挿通部に設けられている」ものであり、「反射防止手段が、光電センサーと対向する部材を低反射塗料で塗装することで構成されている」ものである。
なお、“反射防止手段”としては、光を反射し難い部材を設けることや塗装をすることの他、反射光が光電センサー12へと向かわないように、反射光の角度を変える部材や光を錯乱させる部材によって構成するもの等であってよい。
【0023】
本実施形態では、光電センサー12の周囲を囲うようにして、センサカバー16が設けられている。作業現場における親綱把持金具2の使用環境としては、他の安全装具などの物が相互にぶつかることが比較的生じやすく、当該接触による光電センサー12の損傷や汚れを低減させるためのものである。
【0024】
警報スイッチ13は、作業員が、ブザー部112からの警報音の出力のオン、オフをすることができるようにしているものである。
作業中であっても、作業員が親綱との接続をしていなければならない状況に常にあるというわけでは無く、親綱との接続が不要な状況においても警報が出力され続けるのは好ましいものでは無いため、不要な状況では作業員が自ら警報(警報音)をオフにすることができるものである。
本実施形態では、警報スイッチ13は、作業者が装着するフルハーネス安全帯3と親綱把持金具2とを接続するランヤード4に取り付けられている。なお、警報スイッチがランヤードに取り付けられるものに限るものではなく、例えば本体部に警報スイッチが設けられているものや、フルハーネス安全帯に取り付けられるもの等、任意の場所に取り付けるものであってよい。
【0025】
親綱取り付け通知発光部である緑LEDテープライト14は、親綱検知手段(光電センサー12)によって親綱MRが取り付けられていると判断された場合には点滅発光(緑)し、取り付けられていないと判断された場合には消灯する(制御部111によって発光・消灯が制御される)。
緑LEDテープライト14(親綱取り付け通知発光部)は、ランヤード4に取り付けられており、ランヤード4に螺旋状に巻き付けられるようにして取り付けられている。これにより、複数の発光体(LED)が、ランヤード4の周りに螺旋状に配置されている。複数の発光体が螺旋状に配置されていることにより、ランヤード4がどのような向きにあっても、発光状態を認識しやすい。
本実施形態では、ランヤード4に対して螺旋状に取り付けられた緑LEDテープライト14(及び赤LEDテープライト15)を覆うようにして、保護カバーとしての透明チューブが設けられている。
なお、ここでは親綱が取り付けられていると判断された場合に緑に発光(点滅)するものを例としているが、発光動作や発光色は、作業者本人若しくは他者に親綱の取り付けの有無を認識させ得る任意の方法としてよい。例えば、親綱が取り付けられている場合には消灯し、親綱が取り付けられていない場合には赤に点滅等するものなどであってもよい。ただし、危険状態(親綱が取り付けられていない場合)を、発光等によって出力するものよりも、本実施形態のように、安全状態を発光等によって出力するものの方がより好ましい。バッテリー切れや故障等によって発光等の出力がなされないといった不具合に対して、安全サイドに働くためである。
【0026】
警報オン通知手段としての発光部である赤LEDテープライト15は、警報スイッチ13によって警報音の出力がオンとされている場合には点滅(赤)し、オフとされている場合には消灯する(制御部111によって発光・消灯が制御される)。
赤LEDテープライト15は、緑LEDテープライト14と同様に、ランヤード4に取り付けられており、ランヤード4に螺旋状に巻き付けられるようにして取り付けられている(緑LEDテープライト14と重ならないように巻き付けられている)。これにより、複数の発光体(LED)が、ランヤード4の周りに螺旋状に配置されている。
なお、ここでは警報音の出力がオンである場合に赤に発光(点滅)するものを例としているが、発光動作や発光色は、作業者本人若しくは他者に警報音のオン/オフを認識させ得る任意の方法としてよい。
また、本実施形態では、警報オンオフ通知手段の例として、警報音の出力がオンである場合を通知する警報オン通知手段として説明したが、警報音の出力がオフである場合を通知する警報オフ通知手段であってもよい。
ただし、要注意の状態(警報音の出力がオフである場合)を、発光等によって出力するものよりも、本実施形態のように、安全状態を発光等によって出力するものの方がより好ましい。バッテリー切れや故障等によって発光等の出力がなされないといった不具合に対して、安全サイドに働くためである。
【0027】
なお、本実施形態では、緑LEDテープライト14や赤LEDテープライト15がランヤード4に対して螺旋状に取り付けられるものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、例えば、緑LEDテープライト14と赤LEDテープライト15が平行にランヤード4に沿わせるように取り付けられるもの等であってもよい。
加えて、本実施形態では、親綱取り付け通知発光部や警報オン通知手段がランヤードに設けられるものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、親綱取り付け通知発光部や警報オン通知手段を他の場所、例えば、フルハーネス安全帯、ヘルメットなどの目立つ場所(或いはこれらの複数の場所)に配置するものであってよい。
なお、
図3等においては、各構成が有線で接続されているような表記となっているが、本発明を各構成が有線で接続されているものに限るというものではなく、各構成(任意の構成の組み合わせ)が無線で接続されるようなものであってもよい(その場合、無線接続される個別の構成毎に電源部が備えられることになる)。
【0028】
図4は、本実施形態の親綱着脱監視装置1の動作の概略を示す図である。
同図の最上段は、光電センサー12からのセンサ値に基づいて、制御部111で判断された親綱MRの取り付け状態の有無の判別結果であり、「ON」が、親綱MRの取り付けあり、「OFF」が親綱MRの取り付けなしである。
2段目は、警報スイッチ13による警報音の出力がオン/オフの状態であり、「ON」が、警報音オン、「OFF」が警報音オフである。
3段目は、ブザー部112からの警報音の出力状態であり、「ON」が警報音出力、「OFF」は警報音オフである。図から理解されるように、警報スイッチ13によってオフにされている場合は、警報音がオフであり、警報スイッチ13でオンにされている状態で親綱MRの取り付けなしと判断された場合(最上段OFF)に、警報音が出力されている。
4段目は、緑LEDテープライト14のLEDの発光(点滅)の状態であり、「ON」が発光(点滅)、「OFF」が消灯である。図から理解されるように、親綱MRの取り付けあり/なしの判断(最上段)に同期した動作となる。
5段目は、赤LEDテープライト15のLEDの発光(点滅)の状態であり、「ON」が発光(点滅)、「OFF」が消灯である。図から理解されるように、警報スイッチ13による警報音の出力オン/オフ(2段目)に同期した動作となる。
【0029】
図5は、本実施形態の親綱着脱監視装置1の処理動作(制御部111で実行される処理)の概略を説明するためのフローチャートである。
【0030】
ステップ501では、警報スイッチ13のオン/オフの状態を判別し、オフである場合にはステップ503へと移行して赤LEDテープライト15の各LEDを消灯させ、一方、オンである場合にはステップ502へと移行して赤LEDテープライト15の各LEDを点滅(赤)させる。
【0031】
ステップ504では、光電センサー12からのセンサ値が所定の閾値以上であるか否か(即ち、親綱MRの取り付け状態の有無)を判別し、閾値以上であった場合(親綱取り付けありの場合)には、ステップ506へと移行して、緑LEDテープライト14の各LEDを点滅(緑)させる。
一方、閾値未満であった場合(親綱取り付けなしの場合)には、ステップ505へと移行して、緑LEDテープライト14の各LEDを消灯する。さらに続くステップ507で警報スイッチ13のオン/オフの状態を判別し、オンである場合にはステップ508へと移行してブザー部112から警報音を出力させる。
ステップ506の後は、ステップ501へと戻って、上記処理を繰り返す。同様に、ステップ507の判別の結果が警報音オフであった場合や、ステップ508の後には、ステップ501へと戻って、上記処理を繰り返す。上記処理の繰り返しにより、それぞれの状況に応じて、各LEDの発光(点滅)の継続や消灯、警報音の出力の継続や出力の停止が行われ、これにより、
図4で示したような動作となる。
【0032】
以上のごとく、本実施形態の親綱着脱監視装置1(若しくは親綱着脱監視方法)によれば、作業者による警報音のオン/オフをできるようにすることで、不要な警報が出力され続けることが低減される。これによって利便性が向上される。また、不要な警報が頻繁に出力されることで、警報に慣れてしまうことにより、本来の警告機能が低下してしまうことが低減される(即ち、安全性が向上される)。
且つ、警報スイッチがオンとなっていることを通知する警報オン通知手段を備えることにより、必要な状況においても誤って警報音をオフにし続けてしまうことが低減される。これにより安全性が向上される。
本実施形態の親綱着脱監視装置1の構成は比較的簡易な構成で実現されているため、利便性及び安全性の双方に考慮された装置を比較的低コストで提供することが可能である。
【0033】
また、本実施形態の親綱着脱監視装置1によれば、親綱の取り付けの有無が、親綱に対して非接触である光電センサーによって行われるため、例えば接触センサーで生じ得る親綱との摩擦に基づく摩耗などの影響や、親綱把持金具を親綱に対してスライドさせる際のひっかかり等がなく、好適である。
【0034】
本実施形態の親綱着脱監視装置1によれば、「親綱に対して親綱把持金具が取り付けられていない際に、光電センサーによって親綱把持金具からの反射光が検知されないようにするための反射防止手段」が設けられていることにより、親綱に起因しない反射光による誤検知が低減されている。
また、親綱に起因しない反射光による誤検知が低減されるため、光電センサーの受光感度を最大化することができる。親綱は基本的には白色であるが、作業現場の使用環境では次第に汚れて黒ずんでしまう(反射率が低下する)傾向にある。これに対し、光電センサーの受光感度を最大化する(反射防止手段があることによりこれができる)ことで、汚れ等によって親綱の反射率が低下した場合においても、親綱の取り付けの有無を検知することが可能である。
本実施形態では、反射防止手段がマットブラック等による塗装によって構成されているため、既存の親綱把持金具に対しても容易に且つ低コストで適用できる点でも優れている。
【0035】
なお、実施形態では、親綱把持金具に取り付けられた親綱に光を照射し、その反射光を受光することで、親綱の取り付けの有無を検知(反射光が得られた場合に親綱が取り付けられていると判別)するものを例としているが、本発明をこれに限るものではない。例えば、光電センサーに対向する箇所に反射部があるように構成し、親綱把持金具に親綱が取り付けられることで光が遮られて反射光の受光量が低下するような構成(受光量が低い場合に親綱があると判断するもの)としてもよい。ただし、この場合、光電センサーや反射部が汚れたこと等によって受光量が小さくなった場合、親綱が取り付けられていないにも関わらず、「親綱が取り付けられている」と誤検知(危険サイドの誤検知)をしてしまう恐れがある。これに対し、実施形態の方法によれば、誤検知が安全サイドに生じるため、より好適である。作業現場においては、各部材の汚れ等が生じることは避けがたい面があり、汚れ等による誤検知が安全サイドに生じることは有益である。
【0036】
実施形態では、親綱の取り付け状態を通知する手段として、緑LEDテープライト14を用いるものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、親綱の取り付けの有無を本人若しくは他者に認識させ得る任意の手段を用いものであってよい。例えば発光体としてLED以外のものを用いるものや発光色や発光パターンが異なるものを用いるものであっても良いし、発光体が1つだけのものであってもよい。また、光によって通知するものに替えて、音で通知するものや振動で通知するもの等であってもよい。加えて、他の装置に情報を送信する送信部によって構成するものであってもよい。また、実施形態では、既存のランヤードに対してLEDを付加することが容易であるように、LEDテープライトを用いるものを例としているが、予めランヤード等に対してLED等の発光体が一体的に設けられているようなものであっても勿論よい。
上記の点は、警報オン通知手段である赤LEDテープライト15についても同様である。
また、緑LEDテープライト14や赤LEDテープライト15がランヤード4に取り付けられているものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、本人若しくは他者に認識させ得る任意の場所(例えば、フルハーネス安全帯など)に発光部等を設けるものであってよい。ただ、フルハーネス安全帯に発光部を設けた場合、本人が認識し難い(見難い)場合があるため、本実施形態のようにランヤードに設けると好適である。ランヤードとフルハーネス安全帯の両方に設ける等、複数の場所に設けるようにするものであっても勿論よい。
【0037】
実施形態では、親綱が取り付けられていないと検知された場合の警報を出力する警報手段として、ブザー部112を例として説明しているが、本発明をこれに限るものではなく、警報を本人若しくは他者に認識させ得る任意の手段を用いものであってよい。例えば発光部を激しく点滅させるようなものや、振動で通知するもの等であってもよい。また、これらに加えて、他の装置(例えば管理者の有する装置)に警報情報を送出して、例えば管理者に通知するもの等であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1...親綱着脱監視装置
12...光電センサー(親綱検知手段)
13...警報スイッチ
14...緑LEDテープライト(親綱取り付け通知発光部)
15...赤LEDテープライト(警報オンオフ通知手段)
112...ブザー部(警報手段)
2...親綱把持金具
21...親綱挿通部
22...クランプ部
3...フルハーネス安全帯
4...ランヤード
MR...親綱