(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047680
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】燃料電池装置
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20240401BHJP
H01M 8/04014 20160101ALI20240401BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/04014
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153308
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】横尾 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 治
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AB23
5H127AC02
5H127AC03
5H127BA02
5H127BA05
5H127BA13
5H127BA18
5H127BA33
5H127BA34
5H127BA57
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB18
5H127BB19
5H127BB37
5H127EE02
5H127EE03
5H127EE24
5H127EE29
5H127GG04
5H127GG09
(57)【要約】
【課題】排気口から雨水が侵入した場合にも、雨水が凝縮水に混入することを防止し、排ガスを排出することのできる燃料電池装置を提供する。
【解決手段】排気部7は、排ガスに含まれる水分を結露させて回収する結露水回収室7Aと、排気口76から流入した雨水を回収する雨水回収室7Cと、排気口76が設けられて結露水回収7A室を通過した排ガスが流入する排気室7Bと、結露水回収室7Aと排気室7Bとの間に設けられた結露水分離部71と、雨水回収室7Cと排気室7Bとの間に設けられた雨水分離部72と、を備える。雨水回収室7Cと結露水回収室7Aの間には排気室7Bが介在しており、直接連通していないので、雨水が結露水に混入することを防止することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと酸素含有ガスとで発電を行なう燃料電池セルを備える燃料電池モジュールと、
前記燃料電池モジュールから排出される排ガスから凝縮水を生成する熱交換器と、
排ガス導入口と排気口とを有し、前記熱交換器を通過した後の排ガスを筐体の外部に排出する排気部と、を備え、
前記排気部は、前記排ガス導入口が設けられ、排ガスに含まれる水分を結露させて回収する結露水回収室と、前記排気口から流入した雨水を回収する雨水回収室と、前記排気口が設けられ、前記結露水回収室を通過した排ガスが流入する排気室と、前記結露水回収室と前記排気室との間に設けられた結露水分離部と、前記雨水回収室と前記排気室との間に設けられた雨水分離部と、を備える燃料電池装置。
【請求項2】
前記結露水分離部は、前記排気室に突出する突出部を備え、
前記突出部の上面に排ガスが流出する排ガス流出口が設けられている請求項1記載の燃料電池装置。
【請求項3】
前記排ガス流出口は、前記排気口の上端よりも高い位置に設けられている請求項2記載の燃料電池装置。
【請求項4】
前記結露水回収室の下方に前記雨水回収室が配置され、
前記結露水分離部と前記雨水分離部とは一体成型されている請求項1記載の燃料電池装置。
【請求項5】
前記雨水分離部は雨水から異物を除去するストレーナを備えている請求項4記載の燃料電池装置。
【請求項6】
前記凝縮水を貯留する凝縮水貯留部と、
前記凝縮水貯留部からオーバーフローした余剰水を貯留する余剰水貯留部と、を備え
前記雨水回収室は底部に雨水排出口を備えており、
前記雨水排出口は前記余剰水貯留部と接続されている請求項1記載の燃料電池装置。
【請求項7】
前記排気口は、所定の間隔で配置され筐体の内側に凸となる桟材を有する請求項1記載の燃料電池装置。
【請求項8】
前記排気部は、
前記排気口を備える蓋体と、
前記排ガス導入口と、前記蓋体が取り付けられる開口と、を有する排気部本体と、
前記開口より前記排気部本体内に挿入される仕切部材と、を備え
前記蓋体と前記排気部本体とで前記結露水回収室と前記雨水回収室と前記排気室とが形成され、
前記仕切部材が前記結露水分離部と前記雨水分離部を構成する請求項1から7のいずれかに記載の燃料電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水素を含有する燃料ガスと酸素含有ガス(空気)とを用いて発電を行ない、電気を外部に供給する燃料電池装置が知られている。このような燃料電池装置においては、発電によって燃料電池から水蒸気を含んだ排ガスが排出されるので、この排ガスを冷却することで水蒸気を凝縮させて回収し、改質水として利用する、いわゆる水自立運転が一般的に行われている。
【0003】
凝縮水を回収したあとの排ガスは、排気経路を通って排気口より外部に排出される。このとき、排ガスが筐体の外側面に接触して温度が低下すると、結露が発生するおそれがあり、特に排ガス排出口の周囲に結露が発生しやすくなっている。結露が筐体に付着すると腐食などを生じさせる原因となり、装置の耐久性を低下させてしまう。そこで、排気口の出口近傍に偏向板を設置して、排気を筐体の外側面に対して斜め方向に排出して排ガスが筐体の周囲の装置や壁面などに直接接触するのを抑制するようにしたものが開示されている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般に燃料電池装置は屋外に設置されるため、常に風雨に晒されることになる。排気口から燃料電池装置の内部に風や雨水が侵入すると、排ガスが押し戻されて正常に排出することができなくなったり、雨水が排気経路を通って凝縮水に混入してしまうといった問題が発生するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためのもので、排気口から雨水が侵入した場合にも、雨水が凝縮水に混入することを防止し、排ガスを排出することのできる燃料電池装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、燃料ガスと酸素含有ガスとで発電を行なう燃料電池セルを備える燃料電池モジュールと、
前記燃料電池モジュールから排出される排ガスから凝縮水を生成する熱交換器と、
排ガス導入口と排気口とを有し、前記熱交換器を通過した後の排ガスを筐体の外部に排出する排気部と、を備え、
前記排気部は、前記排ガス導入口が設けられ、排ガスに含まれる水分を結露させて回収する結露水回収室と、前記排気口から流入した雨水を回収する雨水回収室と、前記排気口が設けられ、前記結露水回収室を通過した排ガスが流入する排気室と、前記結露水回収室と前記排気室との間に設けられた結露水分離部と、前記雨水回収室と前記排気室との間に設けられた雨水分離部と、を備える燃料電池装置である。
【発明の効果】
【0008】
上述のように構成することにより、排気口から侵入した雨水を適切に処理して、結露水に混入することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の燃料電池装置のシステム構成図である。
【
図2】本実施形態の燃料電池装置の外観斜視図である。
【
図3】本実施形態の排気部を模式的に表した構造図である。
【
図4】本実施形態の排気部を模式的に表した構造図の変形例である。
【
図5】本実施形態の排気部の一例を示す分解構成図である。
【
図6】本実施形態の燃料電池装置における排気部付近の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
好適と考える本発明の実施形態を、本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0011】
本発明は、燃料電池モジュールからの排ガスを筐体の外部に排出する排気部を備えた燃料電池装置であって、排気部は、排ガス導入口が設けられて排ガスに含まれる水分を結露させて回収する結露水回収室と、排気口から流入した雨水を回収する雨水回収室と、排気口が設けられて結露水回収室を通過した排ガスが流入する排気室と、結露水回収室と排気室との間に設けられた結露水分離部と、雨水回収室と排気室との間に設けられた雨水分離部と、を備える。このように構成される排気部では、排気口から侵入した雨水は雨水分離部を通過して雨水回収室に回収される。また、結露水は結露水回収室に回収されて凝縮水として利用することができるため、凝縮水の回収効率が向上する。そして、雨水回収室と結露水回収室の間には排気室が介在しており、直接連通していないので、雨水が結露水に混入することを防止することができる。
【0012】
また、結露水分離部は、排気室に突出する突出部を備えており、突出部の上面に排ガスが流出する排ガス流出口が設けられている。これにより、排ガスの流れを妨げずに速やかに筐体から排出させることができる。
【0013】
また、排ガス流出口は、前記排気口の上端よりも高い位置に設けられている。これにより、排気口から侵入した雨水が排ガス流出口に流入することが防止されるので、雨水が結露水に混入することを防止することができる。
【0014】
また、結露水回収室の下方に雨水回収室が配置され、結露水分離部と雨水分離部とは一体成型されている。これにより、排気部をコンパクトに構成することができるとともに、排気部を構成する部品点数を削減することができる。
【0015】
また、雨水分離部はストレーナを備えているので、雨水とともに侵入した異物が、雨水回収室に回収されることが防止される。
【0016】
また、凝縮水を貯留する凝縮水貯留部と、凝縮水貯留部からオーバーフローした余剰水を貯留する余剰水貯留部と、を備え、雨水回収室の底部に設けられた雨水排出口が余剰水貯留部と接続されている。これにより、回収した雨水を余剰水とともに筐体外部に排出することができる。
【0017】
また、排気口は、所定の間隔で配置され筐体の内側に凸となる桟材を有している。排ガスに含まれる水分が排気口で冷却されて結露した場合、筐体の内側において桟材の凸部分に結露水が付着し回収されるため、結露水が筐体外へ漏れることが防止される。
【0018】
また、排気部は、排気口を備える蓋体と、排ガス導入口と、蓋体が取り付けられる開口と、を有する排気部本体と、開口より前記排気部本体内に挿入される仕切部材と、を備え、蓋体と排気部本体とで結露水回収室と雨水回収室と前記排気室とが形成され、仕切部材が結露水分離部と雨水分離部を構成する。排気部本体と仕切部材とを組み合わせることで排気部が構成されているので、組立性に優れる。また、排気部内を、結露水回収室と雨水回収室と排気室とに容易に分離区画することができる。
【実施例0019】
以下、本発明の一実施例を図面により説明する。
【0020】
図1は本実施形態の燃料電池装置のシステム構成図である。燃料電池装置100は、燃料電池モジュール1を含み、燃料電池モジュール1を作動させるための、第1熱交換器2、蓄熱タンク3、凝縮水タンク4、放熱器5、空気供給装置14、燃料供給装置15、改質水供給装置16等の複数の補機が筐体50内に納められている。筐体50内には上述の装置全てが収められる必要はなく、例えば、第1熱交換器2や蓄熱タンク3を筐体50の外部に設けてもよい。また、上述の装置の一部を省略した燃料電池装置も可能である。
【0021】
燃料電池モジュール1は、箱状の収納容器10の内部に、燃料ガスと酸素含有ガスとで発電を行なう燃料電池11と、燃料電池11に供給する燃料ガスを生成する改質器12と、を収容して構成される。
【0022】
燃料電池11の構成については特に限定はしないが、例えば、複数の燃料電池セルが配列されてなるセルスタック構造を有していてもよい。セルスタック構造の燃料電池11は、例えば、各燃料電池セルの下端を、ガラスシール材等の絶縁性接合材を用いて、マニホールドに固定することによって構成される。
【0023】
改質器12は、天然ガス、LPガス等の原燃料ガスを水蒸気改質し、燃料電池11に供給する燃料ガスを生成する。改質器12には、原燃料ガスを供給する燃料供給装置15と、改質水を供給する改質水供装置16が接続されており、原燃料ガスと改質水は加熱された改質器12で改質反応し、水素を含む燃料ガスが生成される。
【0024】
燃料電池11には、改質器12で生成された燃料ガスと、空気供給装置14によって導入された空気(酸素含有ガス)が供給される。燃料ガスは、燃料電池セル内を通過するときに酸素含有ガスと反応して発電が行われる。発電に使用されなかった燃料ガスと酸素含有ガスは、燃料電池11の上部で合流して燃焼する。この燃料ガスの燃焼によって高温の排ガスが生成され、改質器12はこの熱によって加熱される。このようにして燃料電池モジュール1内で生じた排ガスは、第1熱交換器2に供給される。
【0025】
第1熱交換器2には配管を介して、蓄熱タンク3、熱媒ポンプP1および放熱器5が接続され、第1熱媒循環ラインHC1が形成されている。この第1熱媒循環ラインHC1には熱媒体が導入されており、第1熱交換器2ではこの熱媒体と前述の排ガスとで熱交換が行われて熱媒体が加熱される。熱媒体としては水などを用いることができ、蓄熱タンク3は熱交換により温度が上昇した熱媒体を蓄える。蓄熱タンク3に蓄えられた熱媒体は、放熱器5に送られて冷却され、再び第1熱交換器2で排ガスと熱交換を行った後、蓄熱タンク3に還流する。これにより、蓄熱タンク3には上部から温度の高い熱媒体が蓄えられ温度成層が形成される。
【0026】
また、第1熱交換器2には、凝縮水回収路20を介して凝縮水タンク4が接続されている。燃料電池モジュール1で発生した排ガスが熱交換によって冷却されると、排ガス中に含まれる水蒸気が水と気体に分離され、分離された水は、凝縮水回収流路20を通って凝縮水タンク4に回収される。一方で、水分が取り除かれた気体は、排気流路21を通ってから筐体50の外に排出される。排気流路21の下流端部には排気部7が設けられている。排気部7の詳細については後述する。
【0027】
凝縮水タンク4では、イオン交換器(図示せず)などを経て、回収した水から不純物を取り除いて純水化する。純水化した水は水供給装置16により改質器12に供給され、改質水として使用される。凝縮水タンク4は、凝縮水を貯留する凝縮水貯留部4aと、凝縮水貯留部4aからオーバーフローした余剰水を貯留する余剰水貯留部4bとを備えていて、凝縮水貯留部4aには水供給装置16が接続されており、余剰水貯留部には排水流路25が接続されている。改質水として利用されなかった余剰の凝縮水は、余剰水貯留部4bにおいて中和処理された後、排水流路25を通って筐体50の外に排出される。
【0028】
改質器12に原燃料を供給する燃料供給装置15は、燃料の供給源から繋がる原燃料流路22上に、第1電磁弁V1、圧力センサPS、脱硫器DS、ガス流量計FM1、燃料ポンプB1、第2電磁弁V2等の補機が設けられている。改質器12に改質水を供給する改質水供給装置16は、凝縮水タンク4から繋がる改質水流路23上に改質水ポンプP3等の補機が設けられている。燃料電池モジュール1に酸素含有ガスを供給する空気供給装置14は、酸素含有ガス流路24上に、空気流量計FM2、ブロワB2等の補機が設けられている。なお、ここに挙げた補機は一例であって、この他の補機を備える構成としてもよい。
【0029】
さらに、燃料電池装置100には、各種機器の動作を制御する制御装置30が設けられているほか、燃料電池モジュール1にて発電された直流電力を交流電力に変換し、変換された電気の外部負荷への供給量を調整するための供給電力調整部(パワーコンディショナ)40を備えている。
【0030】
また、燃料電池装置100は、第2熱交換器6、蓄熱タンク3から熱媒を循環させる与熱ポンプP2およびこれらを繋ぐ配管を含む第2熱媒循環ラインHC2を備えていてもよい。第2熱媒循環ラインHC2では、外部から供給流路26を介して供給された水道水を、蓄熱タンク3に貯留された高温の熱媒体を用いて第2熱交換器6で加温する。加温された水を外部の給湯器等の再加熱装置に向けて送給流路27を介して送給することができる。燃料電池装置100は、外部への温水供給を行わない、いわゆるモノジェネレーションシステムであってもよい。
【0031】
図2は、本実施形態の燃料電池装置の外観斜視図である。燃料電池装置100の筐体50は、直方体形状であって、底板51と、上面パネル52と、複数の側面パネル53~56を備えている。側面パネルは、左側面パネル53、右側面パネル54、正面パネル55、背面パネル56を備えている。また、燃料電池装置100には、メンテナンスを行うメンテナンス面があらかじめ設定されていて、上面パネル52と、複数の側面パネル53~56の一部は、メンテナンス時に取り外されるメンテナンスパネルである。本実施形態では、右側面パネル54と正面パネル55がメンテナンスパネルになっている。
【0032】
右側面パネル54は、上部パネル541と下部パネル542から構成されている。上部パネル541には排気部7が接続されており、燃料電池装置100で発生した排ガスは、排気部7に設けられた排気口76から筐体50外に排出される。
【0033】
図3は、本実施形態の排気部を模式的に表した構造図である。排気部7は、結露水回収室7Aと、排気室7Bと、雨水回収室7Cと、を備えて構成されている。結露水回収室7Aは、排ガスに含まれる水分を結露させて回収する空間であって、排ガスが導入される排ガス導入口74が設けられており、この排ガス導入口74には排気流路21が接続されている。結露水回収室7Aで発生した結露水は排気流路21を通って凝縮水タンク4に回収されて浄化処理された後、改質用水として用いられる。排気室7Bは、結露水回収室7Aを通過した排ガスが流入する空間であって、筐体50外に排ガスを排出する排気口76が設けられている。雨水回収室7Cは、排気口76から侵入した雨水を回収する空間であって、回収した雨水を排出する雨水排出口75が設けられている。
【0034】
結露水回収室7Aと排気室7Bとの間には、結露水分離部71が設けられ、雨水回収室7Cと前記排気室7Bとの間には、雨水分離部72が設けられている。結露水分離部71は、結露水回収室7A内で発生した結露水が排気室7Bに流入することを防ぐために設けられており、例えば通気用の孔やスリット、メッシュフィルタ等を備えて構成され、排ガスは通過させるが、結露水は通過させないようになっている。雨水分離部72は、排気口76を介して排気室7B内に侵入した雨水を雨水回収室7Cに流入させるために設けられている。雨水分離部72は、排気室7Bに侵入したゴミ等が雨水とともに雨水回収室7Cに流入することを防止するためのフィルタ等を備えていてもよい。
【0035】
また、結露水回収室7Aと雨水回収室7Cの間には隔離部73が設けられている。隔離部73は、板状の隔壁によって形成されてもよいし、
図4に示すように、結露水回収室7Aと雨水回収室7Cの間に空間を設けることによって隔離部73を形成してもよい。隔離部73を設けることで、結露水回収室7Aと雨水回収室7Cとが連通しないように構成されている。
【0036】
上述の構成において、排気流路21を流れてきた排ガスは、排ガス導入口74から結露水回収室7Aに流入する。結露水回収室7Aでは、排ガスに含まれる水分が結露することで結露水が発生し、結露水は排気流路21を逆に流れて凝縮水タンク4に流入する。これにより、第1熱交換器2を通過した後の排ガスからも凝縮水が回収されるので、凝縮水の回収効率を向上させることができる。また、排気室7Bとの間に結露水分離部71が設けられていることで、結露水が排ガスとともに排気室7Bに流出してしまうことも防止されるため、結露水を無駄なく凝縮水として回収することができる。そして、結露水が回収された後の排ガスは、結露水分離部71を通って排気室7Bに流入し、排気口76から筐体50外に排出される。
【0037】
排気口76から吹き込んだ風や雨水は、排気室7B内に流入する。排気室7B内に流入した雨水は、雨水分離部72によってゴミなどの異物が取り除かれたあと、雨水回収室7Cに流入し、雨水排出口75から排気部7の外に排出される。なお、雨水排出口75に配管等を接続して、燃料電池装置の他の補機(例えば、蓄熱タンク3や凝縮水タンク4)のドレン排出箇所に合流させれば、雨水をドレンとして処理することができる。
【0038】
結露水回収室7Aと雨水回収室7Cとの間には隔離部73が設けられていて、直接連通していない。したがって、雨水が結露水に混入することを防止することができる。
【0039】
次に、
図5、
図6を用いて、排気部7の詳細形状について説明する。
図5は、本実施形態の排気部の一例を示す分解構成図であり、
図6は、本実施形態の燃料電池装置における排気部付近の断面図である。
図6においては、排ガスの流れを実線矢印、結露水の流れを破線矢印、雨水の流れを一点鎖線矢印で表している。
【0040】
排気部7は、排気部本体81と、仕切部材82と、ガスケット83と、蓋体84を備えて構成されていて、これらを組み合わせることにより、排気部7の内部に結露水回収室7A、排気室7B、雨水回収室7Cの3つの室が形成される。この構成により、排気部7は、組立性に優れるとともに、結露水回収室7Aと雨水回収室7Cと排気室7Bとに容易に分離区画することができる。
【0041】
排気部本体81は、結露水回収室7A、排気室7B、雨水回収室7Cの外郭を形成している。具体的には、排気部本体81は、樹脂製の一体成型物であって、結露水回収室7Aを形成する第1管部810と、雨水回収室7Cを形成する第2管部813と、排気室7Bを形成する第3管部815と、第3管部815の端部に形成されたフランジ部817とを備えている。この構成において排気室7Bは、結露水回収室7Aと雨水回収室7Cの双方と連通している。
【0042】
第1管部810は、第3管部815に連なる略円筒形状の主管部811と、主管部811の側面に接続された側管部812を備えている。側管部812の端部は排ガス導入口74であって、側管部812に排気流路21が接続される。第2管部813は、第1管部810の下方に設けられていて、底面には雨水を排出する雨水排出口75が形成され、雨水排出口75から下方に向かって排水細管814が延びている。第3管部815は、第1管部810および第2管部813の側方に配置され、端部に設けられた開口816の周囲には外方に延びるフランジ部817が形成されている。フランジ部817にはガスケット83を挟んで蓋体84が取り付けられ、ネジによって固定される。
【0043】
仕切部材82は、樹脂製の部材からなる仕切部本体820と、雨水からゴミなどの異物を除去するストレーナ828とを有しており、排気部本体81の開口816から第3管部815の内部に挿入される。仕切部材82は、排気部本体81内の所定位置に配置されることにより、結露水分離部71と雨水分離部72の双方の役割を有するように構成されている。
【0044】
仕切部本体820は、四角形状の主板部821と、主板部821の上面および側面から前方に延びる3本の腕部822と、主板部821の下方に設けられストレーナ828が取り付けられる脚部823とを有している。腕部822は、蓋体84の内面に当接するように長さが設定されており、蓋体84を取り付けることによって、仕切部本体820が外れてしまうことが防止される。また、主板部821には、その中央よりも少し上方において開口する連通口824が設けられ、この連通口824から前方に延出する突出部825と、連通口824から後方に延出する接続部827とを有している。
【0045】
図6に示すように、仕切部材82の接続部827は、結露水回収室7Aの出口に嵌合している。排気室7Bと結露水回収室7Aとは連通口824を介して連通しており、連通口824から延出する突出部825は、排気室7B内に突出した状態で設けられる。また、突出部825の上面には排ガス流出口826が設けられており、結露水回収室7Aを通過した排ガスは、排ガス流出口826から排気室7B内に流入する。このように、排ガス流出口826を排気室7B内に突出させて設けることにより、排ガスの流れを妨げずに速やかに筐体50から排出させることができる。
【0046】
結露水回収室7A内で発生した結露水は、主管部811から側管部812を通り、排気流路21を逆に流れて凝縮タンク4に回収される。結露水回収室7Aと排気室7Bとの間には仕切部材82が配置されているので、結露水は排気室7B内に流出することなく、凝縮水タンク4に回収することができる。
【0047】
なお、排ガス流出口826は、蓋体84に形成された排気口76の上端よりも高い位置に設けてもよい。これにより、排気口76から侵入した雨水が排ガス流出口826に流入することが防止されるので、雨水が結露水に混入することを防止することができる。
【0048】
また、雨水回収室7Cと排気室7Bとは、ストレーナ828を介して連通している。排気口76から排気室7B内に侵入した雨水は、ストレーナ828によってゴミなどが取り除かれたあと、雨水回収室7Cに流入する。雨水回収室7Cに流入した雨水は、雨水排出口75から排水細管814を通って排気部7の外に排出される。この排水細管814は、配管を用いて凝縮水タンク4の余剰水貯留部4bに接続することができ、雨水を余剰の凝縮水とともに処理することができる。余剰水貯留部4bに流入した雨水は、余剰の凝縮水とともに中和処理が行われた後、排水流路を通って筐体50から排出される。雨水はストレーナ828を通過する際にゴミなどの異物が取り除かれているので、余剰水貯留部4bに異物が流入してしまうことも防止される。
【0049】
このように、本実施形態の排気部7は、排気部本体81の内部に仕切部材82を挿入して組み立てられるため、組立性に優れるとともに、結露水回収室7Aと雨水回収室7Cと排気室7Bとに容易に分離区画することができる。また、結露水回収室7Aの下方に前記雨水回収室7Cを配置したことにより、結露水分離部71と雨水分離部72とを一つの部材(仕切部材82)で兼ねることができるため、排気部7を構成する部品点数を削減することができ、排気部7をコンパクトに構成することができる。
【0050】
図7は、排気口の断面拡大図である。排気口76は、筐体50の内側に凸となる桟材840を複数有しており、桟材840が所定の間隔で配置されることで排気口76に縦長のスリット状開口が形成されている。
【0051】
排ガスが排気口76を通過する際に冷却されると、排ガスに含まれる水分が排気口76で結露することが考えられる。この場合、結露水は排気口76に設けられた桟材840に付着するが、桟材840は筐体50内部に凸となっているので、結露水は筐体50の内側にて桟材840に付着する。つまり、蓋体84の外表面に結露水が漏れ出ることが防止される。