(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047693
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】画像形成装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240401BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240401BHJP
B41J 5/30 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
G03G21/00 388
B41J29/38 201
B41J5/30 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153329
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【弁理士】
【氏名又は名称】水戸 洋介
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 考司
【テーマコード(参考)】
2C061
2C187
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AR03
2C061AS02
2C061HJ04
2C061HJ06
2C061HK10
2C061HK11
2C061HN15
2C061HN18
2C187AC06
2C187AC08
2C187BF20
2H270KA57
2H270LA25
2H270MA35
2H270MB01
2H270MB07
2H270MC55
2H270NB24
2H270PA07
2H270PA16
2H270PA42
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】印刷ジョブが画像形成装置に入力された順で印刷ジョブが実行される場合に比べ、印刷ジョブに基づき行われる画像形成の効率を高める。
【解決手段】符号8Bで示すように、先行印刷ジョブの実行時に、この先行印刷ジョブの目標温度が、装置温度よりも低い場合、この先行印刷ジョブの実行を行えない状態となる。この場合、先行印刷ジョブに替えて、この先行印刷ジョブの目標温度よりも高い目標温度が設定されている代替印刷ジョブを選定する処理を行う。具体的には、符号8Dで示す目標温度が設定されている他の印刷ジョブを、代替印刷ジョブとして選定する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の印刷ジョブを取得可能に構成され、印刷ジョブを実行し、記録媒体への画像の形成を行う画像形成装置であり、
記録媒体への画像の形成を行う画像形成手段と、
前記画像形成手段により画像が形成された記録媒体に対する当該画像の定着を行う定着装置と、
前記定着装置の温度である装置温度に基づき、実行する印刷ジョブを選定するプロセッサと、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
印刷ジョブ毎に設定されている、前記定着装置の目標温度についての情報を、印刷ジョブ毎に取得し、
前記装置温度と、印刷ジョブ毎に取得する前記目標温度とに基づき、実行する印刷ジョブを選定する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記目標温度が前記装置温度に最も近い印刷ジョブを、実行する印刷ジョブとして選定する、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
印刷ジョブ毎に設定されている、前記定着装置の目標温度についての情報を、印刷ジョブ毎に取得し、
実行しようとする印刷ジョブについての目標温度が前記装置温度よりも低い場合、当該印刷ジョブに替えて、当該目標温度よりも高い目標温度が設定されている他の印刷ジョブを選定する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記高い目標温度が設定されている前記他の印刷ジョブが実行される場合における、前記定着装置の目標温度を、当該他の印刷ジョブに対して予め設定されている目標温度よりも低い値に変更する、
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記高い目標温度が設定されている前記他の印刷ジョブが存在しない場合、前記定着装置を冷却する処理を行う、
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記定着装置を冷却する処理として、当該定着装置に記録媒体を供給する処理を行う、
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記定着装置の状態に応じて、当該定着装置に供給する記録媒体を変更する、
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記定着装置の状態として、当該定着装置の温度分布の状態を特定し、
特定した前記温度分布の状態に応じて、前記定着装置に供給する記録媒体の大きさを変更する、
請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記定着装置の状態として、当該定着装置の温度を特定し、
特定した前記温度に応じて、前記定着装置に供給する記録媒体の厚さを変更する、
請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記定着装置を冷却する処理として、当該定着装置に記録媒体を複数供給する処理を行い、
前記定着装置に供給された複数の前記記録媒体の綴じ処理を行う綴じ処理手段が更に設けられている、
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記定着装置による画像の定着が行われた記録媒体を前記画像形成手段へ戻す戻し経路が設けられ、
前記プロセッサは、前記定着装置を冷却する処理として、当該定着装置に記録媒体を供給する処理を行い、
前記定着装置へ供給された前記記録媒体が、前記戻し経路へ送り込まれる、
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、
印刷ジョブ毎に設定されている、前記定着装置の目標温度についての情報を、印刷ジョブ毎に取得し、
実行しようとする印刷ジョブについての目標温度が前記装置温度よりも高い場合、当該印刷ジョブに替えて、当該目標温度よりも低い目標温度が設定されている他の印刷ジョブを選定する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、
前記低い目標温度が設定されている前記他の印刷ジョブが実行される場合における、前記定着装置の目標温度を、当該他の印刷ジョブに対して予め設定されている目標温度よりも高い値に変更する、
請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記プロセッサは、
前記低い目標温度が設定されている前記他の印刷ジョブが存在しない場合、前記装置温度を上昇させる処理を行う、
請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項16】
複数の印刷ジョブを取得可能に構成され印刷ジョブを実行し記録媒体への画像の形成を行うとともに当該記録媒体への当該画像の定着を行う定着装置を備えた画像形成装置の制御に用いられるコンピュータに、
前記定着装置の温度である装置温度に基づき、実行する印刷ジョブを選定する機能を、
実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、装置内の温度が所定温度以上であると判定する場合、送風部における送風を抑制するとともに、画像形成および通紙を継続する制御を行う構成が開示されている。
特許文献2には、定着器の温度が所定のアラーム温度を下回った際、定着器の温度が復帰温度まで復帰するようにアラーム制御をする画像形成装置であって、残プリント数により、アラーム復帰時間を変える処理を行う画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-104886号公報
【特許文献2】特開2005-115196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印刷ジョブを実行して記録媒体への画像形成を行う画像形成装置では、画像の定着を行う定着装置が設けられることがある。
ここで、定着装置の温度が、予め定められた温度範囲内にない場合には、定着装置の温度が、この温度範囲内になるのを待つ必要が生じる。この場合、記録媒体への画像形成を一時的に停止させるなどの処理が必要となり、これに伴い、画像形成の効率が低下する。
本発明の目的は、印刷ジョブが画像形成装置に入力された順で印刷ジョブが実行される場合に比べ、印刷ジョブに基づき行われる画像形成の効率を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、複数の印刷ジョブを取得可能に構成され、印刷ジョブを実行し、記録媒体への画像の形成を行う画像形成装置であり、記録媒体への画像の形成を行う画像形成手段と、前記画像形成手段により画像が形成された記録媒体に対する当該画像の定着を行う定着装置と、前記定着装置の温度である装置温度に基づき、実行する印刷ジョブを選定するプロセッサと、を備える画像形成装置である。
請求項2に記載の発明は、前記プロセッサは、印刷ジョブ毎に設定されている、前記定着装置の目標温度についての情報を、印刷ジョブ毎に取得し、前記装置温度と、印刷ジョブ毎に取得する前記目標温度とに基づき、実行する印刷ジョブを選定する、請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記プロセッサは、前記目標温度が前記装置温度に最も近い印刷ジョブを、実行する印刷ジョブとして選定する、請求項2に記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記プロセッサは、印刷ジョブ毎に設定されている、前記定着装置の目標温度についての情報を、印刷ジョブ毎に取得し、実行しようとする印刷ジョブについての目標温度が前記装置温度よりも低い場合、当該印刷ジョブに替えて、当該目標温度よりも高い目標温度が設定されている他の印刷ジョブを選定する、請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、前記プロセッサは、前記高い目標温度が設定されている前記他の印刷ジョブが実行される場合における、前記定着装置の目標温度を、当該他の印刷ジョブに対して予め設定されている目標温度よりも低い値に変更する、請求項4に記載の画像形成装置である。
請求項6に記載の発明は、前記プロセッサは、前記高い目標温度が設定されている前記他の印刷ジョブが存在しない場合、前記定着装置を冷却する処理を行う、請求項4に記載の画像形成装置である。
請求項7に記載の発明は、前記プロセッサは、前記定着装置を冷却する処理として、当該定着装置に記録媒体を供給する処理を行う、請求項6に記載の画像形成装置である。
請求項8に記載の発明は、前記プロセッサは、前記定着装置の状態に応じて、当該定着装置に供給する記録媒体を変更する、請求項7に記載の画像形成装置である。
請求項9に記載の発明は、前記プロセッサは、前記定着装置の状態として、当該定着装置の温度分布の状態を特定し、特定した前記温度分布の状態に応じて、前記定着装置に供給する記録媒体の大きさを変更する、請求項8に記載の画像形成装置である。
請求項10に記載の発明は、前記プロセッサは、前記定着装置の状態として、当該定着装置の温度を特定し、特定した前記温度に応じて、前記定着装置に供給する記録媒体の厚さを変更する、請求項8に記載の画像形成装置である。
請求項11に記載の発明は、前記プロセッサは、前記定着装置を冷却する処理として、当該定着装置に記録媒体を複数供給する処理を行い、前記定着装置に供給された複数の前記記録媒体の綴じ処理を行う綴じ処理手段が更に設けられている、請求項7に記載の画像形成装置である。
請求項12に記載の発明は、前記定着装置による画像の定着が行われた記録媒体を前記画像形成手段へ戻す戻し経路が設けられ、前記プロセッサは、前記定着装置を冷却する処理として、当該定着装置に記録媒体を供給する処理を行い、前記定着装置へ供給された前記記録媒体が、前記戻し経路へ送り込まれる、請求項6に記載の画像形成装置である。
請求項13に記載の発明は、前記プロセッサは、印刷ジョブ毎に設定されている、前記定着装置の目標温度についての情報を、印刷ジョブ毎に取得し、実行しようとする印刷ジョブについての目標温度が前記装置温度よりも高い場合、当該印刷ジョブに替えて、当該目標温度よりも低い目標温度が設定されている他の印刷ジョブを選定する、請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項14に記載の発明は、前記プロセッサは、前記低い目標温度が設定されている前記他の印刷ジョブが実行される場合における、前記定着装置の目標温度を、当該他の印刷ジョブに対して予め設定されている目標温度よりも高い値に変更する、請求項13に記載の画像形成装置である。
請求項15に記載の発明は、前記プロセッサは、前記低い目標温度が設定されている前記他の印刷ジョブが存在しない場合、前記装置温度を上昇させる処理を行う、請求項13に記載の画像形成装置である。
請求項16に記載の発明は、複数の印刷ジョブを取得可能に構成され印刷ジョブを実行し記録媒体への画像の形成を行うとともに当該記録媒体への当該画像の定着を行う定着装置を備えた画像形成装置の制御に用いられるコンピュータに、前記定着装置の温度である装置温度に基づき、実行する印刷ジョブを選定する機能を、実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、印刷ジョブが画像形成装置に入力された順で印刷ジョブが実行される場合に比べ、印刷ジョブに基づき行われる画像形成の効率を高めることができる。
請求項2の発明によれば、定着装置の温度である装置温度と、印刷ジョブ毎に設定されている定着装置の目標温度とに基づき、実行する印刷ジョブの選定を行うことができる。
請求項3の発明によれば、目標温度が装置温度に最も近い印刷ジョブを、実行する印刷ジョブとして選定することができる。
請求項4の発明によれば、実行しようとする印刷ジョブについての目標温度が装置温度よりも低い場合に、この目標温度よりも高い目標温度が設定されている他の印刷ジョブが実行されるようにすることができる。
請求項5の発明によれば、定着装置の目標温度を変更しない場合に比べ、他の印刷ジョブが実行された後における装置温度を低下させることができる。
請求項6の発明によれば、高い目標温度が設定されている他の印刷ジョブが存在しない場合に、定着装置の冷却処理が行われるようにすることができる。
請求項7の発明によれば、定着装置から自然放熱が行われる場合に比べ、定着装置の温度を低下させることができる。
請求項8の発明によれば、定着装置の状態に応じて、定着装置に供給する記録媒体を変更することができる。
請求項9の発明によれば、定着装置の温度分布の状態に応じて、定着装置に供給する記録媒体の大きさを変更することができる。
請求項10の発明によれば、定着装置の温度に応じて、定着装置に供給する記録媒体の厚さを変更することができる。
請求項11の発明によれば、定着装置に供給された複数の記録媒体の綴じ処理が行われない構成に比べ、定着装置に供給された複数の記録媒体の処分を行いやすくなる。
請求項12の発明によれば、定着装置へ供給された記録媒体への画像の形成を行える。
請求項13の発明によれば、実行しようとする印刷ジョブについての目標温度が装置温度よりも高い場合に、この目標温度よりも低い目標温度が設定されている他の印刷ジョブが実行されるようにすることができる。
請求項14の発明によれば、定着装置の目標温度を変更しない場合に比べ、他の印刷ジョブが実行された後における装置温度を上昇させることができる。
請求項15の発明によれば、低い目標温度が設定されている他の印刷ジョブが存在しない場合に、装置温度を上昇させる処理が行われるようにすることができる。
請求項16の発明によれば、印刷ジョブが画像形成装置に入力された順で印刷ジョブが実行される場合に比べ、印刷ジョブに基づき行われる画像形成の効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】画像形成ユニットの内部の構成を示した図である。
【
図4】制御部のハードウェアの構成を説明する図である。
【
図5】
図3の矢印Vで示す方向から定着装置を見た場合の図である。
【
図7】(A)、(B)は、装置温度と目標温度とを示した図である。
【
図8】本実施形態の処理の具体例を示した図である。
【
図10】処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、画像形成装置1の全体構成を示した図である。
図1に示す画像形成装置1は、記録媒体の一例としての用紙Pに対して画像を形成する画像形成ユニット2と、画像形成ユニット2によって画像が形成された用紙Pに対して予め定められた処理を施す用紙処理ユニット3とを備える。
ここで、画像形成ユニット2は、電子写真方式やインクジェット方式を用いて、用紙Pへの画像の形成を行う。
【0009】
用紙処理ユニット3には、画像形成ユニット2から出力された用紙Pを下流側に搬送する搬送装置24、搬送装置24により搬送される用紙Pに対して厚紙や窓空き用紙等の合紙を供給する合紙供給装置26が設けられている。
また、用紙処理ユニット3には、搬送装置24から搬送された用紙Pに対して内三折り(C折り)や外三折り(Z折り)等の折り処理を施す折り装置30が設けられている。
【0010】
また、用紙処理ユニット3には、折り装置30の下流側に設けられ、用紙Pに穴あけや端綴じ、中綴じ等を行う第1後処理装置40が設けられている。
また、用紙処理ユニット3には、第1後処理装置40の下流側に設けられ、中折りや中綴じされた用紙束に対する処理をさらに行う第2後処理装置590が設けられている。
【0011】
第1後処理装置40には、用紙Pに穴あけ(パンチ)を施す穿孔ユニット41、用紙P束の端を綴じる端綴じステープラユニット42が設けられている。
また、第1後処理装置40には、端綴じステープラユニット42を経た用紙Pが積載される第1積載部43、第1後処理装置40での処理が行われない用紙Pまたは穴あけだけが施された用紙Pが積載される第2積載部45が設けられている。
なお、第1積載部43には、端綴じステープラユニット42による処理が行われずにこの端綴じステープラユニット42を単に通過する用紙Pが積載される場合もある。
さらに、第1後処理装置40には、用紙束を中折り/中綴じして見開き状の冊子を作製する中綴じユニット44が設けられている。
【0012】
図2は、第1後処理装置40の構成を説明する図である。
第1後処理装置40には、折り装置30から搬送されてきた用紙Pを受け入れる受け入れ口49が設けられている。
受け入れ口49の直後には、穿孔ユニット41が設けられている。穿孔ユニット41は、第1後処理装置40へ搬送されてきた用紙Pに対して、2穴や4穴等の穴あけ(パンチ)を施す。
【0013】
また、第1後処理装置40には、受け入れ口49から端綴じステープラユニット42にかけて設けられ、受け入れ口49にて受け入れられた用紙Pの端綴じステープラユニット42への搬送に用いられる第1用紙搬送経路R11が設けられている。
さらに、第1分岐部B1にて、第1用紙搬送経路R11から分岐し、第2積載部45への用紙Pの搬送に用いられる第2用紙搬送経路R12が設けられている。
【0014】
また、第2分岐部B2にて、第1用紙搬送経路R11から分岐し、中綴じユニット44への用紙Pの搬送に用いられる第3用紙搬送経路R13が設けられている。
また、用紙Pの搬送先を、第1用紙搬送経路R11~第3用紙搬送経路R13の何れかに切り替える切り替えゲート70が設けられている。
【0015】
端綴じステープラユニット42には、用紙Pを必要枚数だけ集積させて用紙束を生成する用紙集積部600が設けられている。
用紙集積部600には、水平方向に対して傾斜して配置され搬送されてきた用紙Pを下方から支持する支持板67が設けられている。本実施形態では、この支持板67の上に、用紙束が生成される。
【0016】
さらに、端綴じステープラユニット42には、用紙集積部600にて生成された用紙束の端部に対して綴じを実行する綴じ処理装置50が設けられている。
また、端綴じステープラユニット42には、回転駆動を行い、用紙集積部600にて生成された用紙束を第1積載部43へ送り出す搬送ロール61が設けられている。
さらに、搬送ロール61から退避した位置、および、搬送ロール61に圧接する位置へ移動可能な可動ロール62が設けられている。
【0017】
ここで、端綴じステープラユニット42による処理が行われる際には、まず、受け入れ口49にて、搬送されてきた用紙Pが受け入れられる。
その後、この用紙Pは、第1用紙搬送経路R11に沿って搬送され、端綴じステープラユニット42に達する。
そして、この用紙Pは、支持板67の上方まで搬送された後に支持板67に落下する。また、この用紙Pは、支持板67によって下方から支持されるとともに、支持板67に付与された傾斜および回転部材63によって、支持板67の上をスライド移動する。
【0018】
その後、この用紙Pは、支持板67の端部に取り付けられたエンドガイド64に突き当たる。これにより、本実施形態では、用紙Pの移動が停止される。以後、用紙Pが上流側から搬送されてくる度にこの動作が行われ、支持板67上には、用紙Pが揃えられた用紙束が生成される。
また、本実施形態では、用紙束の幅方向における位置を揃える用紙幅位置揃え部材65がさらに設けられている。
本実施形態では、支持板67上に用紙Pが供給される度に、用紙Pの幅方向における端部が用紙幅位置揃え部材65により押圧され、用紙Pの幅方向における位置も揃えられる。
【0019】
予め定められた枚数の用紙Pが支持板67上に積載されると、綴じ処理装置50によって、用紙束の端部に対する綴じが実行される。
綴じ処理装置50は、金属製のステープル(U字状針)を用紙束に打ち込んで、綴じを実行する。なお、綴じ処理装置50による綴じ処理は、ステープルを用いた綴じ処理に限らず、用紙束を2つの綴じ歯で挟んでこの用紙束を構成する用紙P同士を圧着させて綴じ処理を行う形態であってもよい。
【0020】
その後、本実施形態では、可動ロール62が搬送ロール61に向かって進出し、可動ロール62および搬送ロール61により用紙束が挟まれる。その後、搬送ロール61が回転駆動を行い、用紙束が第1積載部43へ搬送される。
なお、綴じ処理装置50は、図中紙面の奥側および手前側に向かって移動可能に設けられており、本実施形態では、複数の箇所にて、用紙Pに対する綴じ処理を行えるようになっている。
【0021】
本実施形態では、上記の通り、第1積載部43に、端綴じステープラユニット42による処理が行われずにこの端綴じステープラユニット42を単に通過する用紙Pが積載される場合もある。
この場合、第1積載部43に積載される用紙Pは、支持板67の上に載った後に、可動ロール62および搬送ロール61によって、第1積載部43へ搬送されてこの第1積載部43上に積載される。
【0022】
図3は、画像形成ユニット2の内部の構成を示した図である。
画像形成ユニット2は、タンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成ユニットである。この画像形成ユニット2には、記録媒体の一例である用紙Pへの画像の形成を行う画像形成部1Aが設けられている。
また、画像形成ユニット2には、用紙積載部53に積載されている用紙Pを順次送り出す給紙装置1Bが設けられている。
【0023】
本実施形態では、用紙積載部53は、複数設けられており、複数の用紙積載部53には、互いに異なる種類の用紙Pが収容されている。
具体的には、複数の用紙積載部53には、厚さが互いに異なる用紙Pや、幅が互いに異なりサイズが互いに異なる用紙Pが収容されている。
これにより、本実施形態では、用紙積載部53よりも下流側に位置する画像形成部1Aや定着装置60に対し、複数の種類の用紙Pの供給が行われる。
【0024】
画像形成手段の一例としての画像形成部1Aには、電子写真方式により各色成分のトナー像を形成する複数の形成ユニット111Y,111M,111C,111Kが設けられている。
また、画像形成部1Aには、各形成ユニット111Y,111M,111C,111Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写させる一次転写部10が設けられている。
また、画像形成部1Aには、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を用紙Pに一括転写させる二次転写部20が設けられている。
【0025】
また、画像形成ユニット2には、定着装置60が設けられている。
定着装置60は、画像形成部1Aによって形成されたトナー像が載っている用紙Pの加熱および加圧を行い、この用紙Pへのトナー像の定着を行う。
定着装置60には、内部に加熱源69Hが配置された定着用部材の一例としての定着ベルト69Aと、この定着ベルト69Aの外周面に押し当てられ用紙Pの加圧を行う加圧部材の一例としての加圧ロール69Bとが設けられている。
【0026】
本実施形態では、不図示の駆動源からの駆動力を定着ベルト69Aが受け、定着ベルト69Aが、反時計回り方向への回転を行う。加圧ロール69Bは、定着ベルト69Aからの力を受けて、時計回り方向へ回転する。
加圧ロール69Bは、定着ベルト69Aと加圧ロール69Bとの間を通過する用紙Pを押圧し、用紙Pの加圧を行う。なお、定着ベルト69Aの内側には、定着ベルト69Aを内側から支持する部材(不図示)が設けられている。
【0027】
さらに、画像形成ユニット2には、画像形成装置1(
図1参照)に設けられた各部の制御を行う制御部48が設けられている。
また、
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置1には、UI(User Interface)70が設けられている。
UI(User Interface)70は、タッチパネルなどの表示装置を備え、ユーザからの情報を受け付けるとともにユーザに対して情報を表示する。
【0028】
図4は、制御部48のハードウェアの構成を説明する図である。
制御部48には、プログラムに従ってデジタル演算処理を実行する演算処理部120と、プログラムなどの情報が記録される2次記憶部129と、外部装置との間における情報の送受信を行う通信部130とを有する。
2次記憶部129は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリ、磁気テープ等、既存の情報記憶装置により実現される。
【0029】
演算処理部120には、プロセッサの一例としてのCPU11aが設けられている。本実施形態では、このCPU11aが、以下で説明する各処理を実行する。
また、演算処理部120は、CPU11aの作業用メモリ等として用いられるRAM11b、CPU11aにより実行されるプログラム等が格納されるROM11cを備える。
また、演算処理部120は、書き換え可能に構成され電源供給が途絶えた場合にもデータを保持できる不揮発性メモリ11dを備える。
【0030】
不揮発性メモリ11dは、例えば、電池によりバックアップされたSRAMやフラッシュメモリ等で構成される。
本実施形態では、CPU11aが、2次記憶部129やROM11cに記憶されたプログラムを読み込むことによって、以下で説明する各処理が実行される。
演算処理部120と、2次記憶部129と、通信部130とは、バスや信号線を通じて接続されている。
【0031】
CPU11aによって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で、制御部48へ提供しうる。また、CPU11aによって実行されるプログラムは、インターネットなどの通信手段を用いて、制御部48へ提供してもよい。
【0032】
本明細書において、プロセッサとは、広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
また、プロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は、本実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、変更してもよい。
【0033】
図3を参照し、画像形成ユニット2についてさらに説明する。
各形成ユニット111Y,111M,111C,111Kには、矢印A方向に回転する感光体ドラム11が設けられている。感光体ドラム11の周囲には、感光体ドラム11を帯電する帯電器12が設けられている。また、感光体ドラム11上に静電潜像を書込む露光装置13が設けられている。さらに、感光体ドラム11上の静電潜像をトナーにより現像する現像器14が設けられている。
【0034】
また、各形成ユニット111Y,111M,111C,111Kには、感光体ドラム11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16が設けられている。
また、各形成ユニット111Y,111M,111C,111Kには、感光体ドラム11上の残留トナー等を除去するドラムクリーナ17が設けられている。
【0035】
中間転写ベルト15は、矢印B方向に予め定められた速度で循環移動する。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体ドラム11に対向配置される一次転写ロール16を含んで構成されている。
本実施形態では、各々の感光体ドラム11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上に、重畳されたトナー像が形成される。
【0036】
二次転写部20は、中間転写ベルト15の外周面に対向配置される二次転写ロール22と、バックアップロール25とを含んで構成される。
二次転写ロール22は、中間転写ベルト15を挟んでバックアップロール25に圧接される。さらに、二次転写ロール22とバックアップロール25との間には電圧が印加され、二次転写部20に搬送される用紙P上にトナー像が二次転写される。
【0037】
本実施形態では、図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等の外部装置からの印刷ジョブを画像形成装置1が取得する。
そして、この印刷ジョブに含まれる画像データが、画像形成ユニット2へ出力される。
そして、この画像データに対して、図示しない画像処理装置により画像処理が施され、Y、M、C、Kの4色の画像データが生成され、この画像データが、Y、M、C、Kの各色毎に設けられた露光装置13に出力される。
【0038】
露光装置13では、入力された画像データに応じて、光源からの光が、形成ユニット111Y,111M,111C,111Kの各々の感光体ドラム11に照射される。
各感光体ドラム11では、帯電器12によって表面が帯電された後、この露光装置13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。
そして、現像器14により感光体ドラム11上にトナー像が形成された後、このトナー像は、各感光体ドラム11と中間転写ベルト15とが接触する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15の移動により、トナー像が二次転写部20に搬送される。
【0039】
二次転写部20では、二次転写ロール22が中間転写ベルト15を介してバックアップロール25に押圧されている。用紙積載部53から搬送されてきた用紙Pは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。
これにより、中間転写ベルト15上に保持された未定着のトナー像が、二次転写部20において、用紙P上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が転写された用紙Pは、定着装置60を経て、用紙処理ユニット3(
図1参照)へ搬送される。
【0040】
給紙装置1Bには、用紙積載部53に積載されている用紙Pのうちの最上位の用紙Pを送り出す用紙送り出し部1Cが設けられている。
さらに、本実施形態では、用紙送り出し部1Cにより送り出された用紙Pを搬送する複数の搬送ロール52が設けられている。複数の搬送ロール52は、用紙Pの搬送経路R100上に設けられている。
本実施形態では、用紙送り出し部1Cにより送り出された用紙Pは、この複数の搬送ロール52により搬送される。そして、この用紙Pは、二次転写部20、定着装置60を通過する。
【0041】
また、本実施形態では、用紙Pの表裏を反転する反転機構91が設けられている。
用紙Pの両面への画像の形成が行われる場合、定着装置60を通過した後の用紙Pの表裏が反転されて、表裏が反転された後の用紙Pが、二次転写部20へ再び供給される。これにより、用紙Pの両面への画像の形成が行われる。
【0042】
本実施形態では、反転機構91として、用紙Pの両面へ画像の形成を可能にするための戻し経路92が設けられている。本実施形態では、この戻し経路92によって、画像形成部1Aを1回通過した後の用紙Pが、画像形成部1Aに戻される形となり、画像形成部1Aによって、この用紙Pへの2回目の画像の形成が行われる。言い換えると、この用紙Pの裏面への画像の形成が行われる。
戻し経路92は、定着装置60の下流側に位置する分岐部93にて、メインの用紙搬送経路である用紙搬送経路R100から分岐し、また、二次転写部20の上流側にて、この用紙搬送経路R100に合流する。
【0043】
本実施形態では、戻し経路92へ用紙Pが送り込まれる際には、まず、定着装置60を通過した後の用紙Pが、用紙搬送経路R100に沿って搬送され、分岐部93よりも下流側まで搬送される。
そして、搬送方向の逆転が行われ、用紙Pのうちのそれまで後端部であった部分が、先頭となって、この用紙Pの搬送が行われる。さらに、この用紙Pは、戻し経路92へ送り込まれる。
【0044】
これにより、この用紙Pが二次転写部20へ達する際には、この用紙Pの表裏が逆転された状態となる。
なお、分岐部93には、用紙搬送経路R100に突出する切り替えゲート(不図示)が設けられている。
上記の後端部であった部分が先頭となって、戻し経路92へ用紙Pが送り込まれる際には、切り替えゲートが用紙搬送経路R100に突出した状態とされる。これにより、この切り替えゲートによる用紙Pの案内が行われて、戻し経路92へこの用紙Pが向かう。
【0045】
図5は、
図3の矢印Vで示す方向から定着装置60を見た場合の図である。
本実施形態の定着装置60では、定着装置60の温度である装置温度を検知する温度検知センサSが設けられている。
温度検知センサSは、定着ベルト69Aの内側に配置され、定着ベルト69Aの内周面69Xの温度を検知して、定着装置60の温度である装置温度を取得する。
【0046】
本実施形態では、温度検知センサSとして、第1端部センサS1、第2端部センサS2、中央センサS3が設けられている。
これらのセンサは、用紙Pの搬送方向と直交する方向における位置が互いに異なるように配置されている。言い換えると、これらのセンサは、回転する定着ベルト69Aの軸方向における位置が互いに異なるように配置されている。
【0047】
定着装置60は、用紙Pの搬送方向と直交する方向における位置が互いに異なる一端部B1、他端部B2を有する。
図5では、
図5の紙面と直交し且つ
図5の紙面の奥側から手前側に向かう方向が用紙Pの搬送方向となっている。一端部B1、他端部B2は、この搬送方向と直交する方向における位置が互いに異なるように配置されている。
言い換えると、一端部B1、他端部B2は、回転する定着ベルト69Aの軸方向、回転する加圧ロール69Bの軸方向における位置が互いに異なるように配置されている。
【0048】
第1端部センサS1は、定着装置60の一端部B1の温度を検知する。第1端部センサS1は、定着装置60が有する2つの端部のうちの一端部B1の温度を検知する。
第2端部センサS2は、定着装置60が有する2つの端部のうちの他端部B2の温度を検知する。
中央センサS3は、定着装置60の中央部B3の温度を検知する。具体的には、中央センサS3は、定着装置60の一端部B1と他端部B2との間に位置する部分の温度を検知する。
【0049】
定着装置60の温度である装置温度を取得するにあたっては、この3つのセンサのうちの何れか1つのセンサにより検知された温度を、この装置温度として取得してもよい。
また、装置温度を取得するにあたっては、例えば、この3つのセンサのうちの2以上のセンサの各々により検知された温度の平均値を、装置温度として取得してもよい。
また、その他に、加圧ロール69Bの表面などの温度を取得し、この温度を、装置温度として取得してもよい。
また、温度検知センサSは、定着装置60に接触して配置される接触型のセンサを用いてもよいし、定着装置60に非接触の状態で配置される非接触型のセンサを用いてもよい。
【0050】
〔印刷ジョブの選定処理〕
印刷ジョブの選定処理について説明する。
画像形成装置1(
図1参照)は、複数の印刷ジョブを取得可能に構成されている。画像形成装置1は、不図示の通信回線を通じて、PC(Personal Computer)などの外部装置から印刷ジョブを取得する。
画像形成装置1が複数の印刷ジョブを取得した場合、画像形成装置1は、複数のこの印刷ジョブを取得して保持する。
【0051】
印刷ジョブの各々は、処理単位毎に用意されたデータであり、このデータには、用紙Pに形成される画像を表す画像データや、定着処理が行われる際の定着装置60の目標温度などの情報が含まれる。
「目標温度」とは、定着装置60の温度に関して予め設定されている目標値である。
本実施形態では、印刷ジョブが実行される場合、定着装置60の温度が、この印刷ジョブのジョブ情報に含まれる目標温度に近づくように加熱源69H(
図3参照)の出力の制御が行われる。そして、定着装置60の温度がこの目標温度にある場合に、用紙Pへの画像の形成が行われ、また、この用紙Pへの画像の定着が行われる。
【0052】
画像形成装置1は、印刷ジョブを順に実行し、用紙Pへの画像の形成を行う。
画像形成装置1は、画像形成装置1に先に入力された印刷ジョブ(以下、「先行印刷ジョブ」と称する)を実行するにあたり、定着装置60の温度である装置温度がこの先行印刷ジョブの実行に適していない場合、他の印刷ジョブの中から印刷ジョブの選定を行って、選定したこの他の印刷ジョブを実行するようにする。
【0053】
言い換えると、画像形成装置1は、先行印刷ジョブについて予め設定されている、定着装置60の目標温度と、装置温度とが異なっている場合、他の印刷ジョブを選定し、選定したこの他の印刷ジョブを実行する。
より具体的には、本実施形態では、先行印刷ジョブについて予め設定されている目標温度の温度範囲から、装置温度が外れている場合、他の印刷ジョブを選定し、選定したこの他の印刷ジョブを実行する。
【0054】
本実施形態では、CPU11aは、このように、定着装置60の温度である装置温度に基づき、実行する印刷ジョブを選定する処理を行う。
具体的には、本実施形態では、CPU11aは、印刷ジョブの選定にあたり、印刷ジョブ毎に予め設定されている、定着装置60の目標温度についての情報を、印刷ジョブ毎に取得する。
【0055】
そして、CPU11aは、例えば、先行印刷ジョブについての目標温度が装置温度よりも低い場合、この先行印刷ジョブに替えて、この目標温度よりも高い目標温度が設定されている他の印刷ジョブを選定する。
より具体的には、CPU11aは、先行印刷ジョブについての目標温度の温度範囲の上限値よりも装置温度が高い場合、この先行印刷ジョブに替えて、この先行印刷ジョブに対して予め対応付けられている目標温度よりも高い目標温度が設定されている他の印刷ジョブを選定する。
【0056】
言い換えると、CPU11aは、実行しようとしている先行印刷ジョブについての目標温度が装置温度よりも低い場合、この先行印刷ジョブに替えて、画像形成装置1が既に取得している印刷ジョブの中から、より高い目標温度が設定されている他の印刷ジョブを選定する。
そして、CPU11aは、選定したこの他の印刷ジョブの実行を行う。その後に、CPU11aは、先行印刷ジョブの実行を行う。
【0057】
本実施形態では、
図6(装置温度と目標温度とを示した図)に示すように、定着装置60の温度である装置温度が、予め定められた温度範囲内に収まるように、定着装置60に設けられた加熱源69H(
図3参照)の出力を制御する。
言い換えると、本実施形態では、定着装置60の温度である装置温度が、実行しようとする印刷ジョブの目標温度の温度範囲内に収まるように、定着装置60に設けられた加熱源69Hの出力を制御する。
【0058】
ところで、定着装置60の温度が想定よりも上昇したり低下したりして、装置温度が変動する場合も想定される。
この場合、装置温度が、
図7(装置温度と目標温度とを示した図)の(A)に示すように、予め定められた高温側閾値を超えたり、
図7(B)に示すように、予め定められた低温側閾値よりも低くなったりし、装置温度が、予め定められた目標温度から外れる事態が生じうる。
この状態にて、先行印刷ジョブを実行すると、用紙P上の形成される画像の質の低下を招くおそれがある。
【0059】
ここで、一般的には、装置温度が、予め定められた目標温度から外れる場合には、用紙Pの搬送、用紙Pへの画像の形成を一旦停止し、装置温度が予め定められた目標温度内に収まるのを待つ必要が生じる。
具体的には、
図7(A)に示すように、装置温度が、高温側閾値を超える場合には、用紙Pの搬送、用紙Pへの画像の形成を一旦停止したうえで、装置温度が低下するのを待つ必要が生じる。
【0060】
また、
図7(B)に示すように、装置温度が、低温側閾値よりも小さくなる場合には、用紙Pの搬送、用紙Pへの画像の形成を一旦停止したうえで、定着装置60の加熱源69H(
図3参照)の出力を大きくして、装置温度が上昇するのを待つ必要が生じる。
これに対し、本実施形態のように、先行印刷ジョブに替えて、他の印刷ジョブを選定すると、装置温度が予め定められた目標温度内に収まるのを待たずに、印刷ジョブの実行を行える。
【0061】
〔目標温度が装置温度よりも低い場合の処理の具体例〕
図8は、本実施形態の処理の具体例を示した図である。
図8に示すこの処理例では、先行印刷ジョブについての目標温度が、符号8Aで示す温度である場合を例示している。本実施形態では、目標温度は、幅を有し、目標温度として、下限値T11および上限値T12が予め設定されている。
また、
図8に示すこの処理例では、符号8Bで示すように、先行印刷ジョブの実行時に、この先行印刷ジョブの目標温度が、装置温度よりも低い状態となる場合を例示している。この場合、先行印刷ジョブの実行を行えない状態となる。
【0062】
この場合、本実施形態では、先行印刷ジョブに替えて、この先行印刷ジョブの目標温度よりも高い目標温度が設定されている他の印刷ジョブ(以下、「代替印刷ジョブ」と称する)を選定する処理を行う。
具体的には、この処理例では、符号8Dで示す目標温度が設定されている他の印刷ジョブを、代替印刷ジョブとして選定する。
【0063】
ここで、「高い目標温度」とは、先行印刷ジョブの目標温度の上限値よりも高い上限値が設定されている目標温度を指す。
この場合、符号8Dで示す、高い目標温度の範囲内に、装置温度が収まるようになり、代替印刷ジョブの実行を行える。
ここで、この高い目標温度の温度範囲の上限値T22は、先行印刷ジョブの目標温度の上限値T12よりも大きい。また、この高い目標温度の温度範囲の下限値T21は、先行印刷ジョブの目標温度の下限値11よりも大きく上限値T12よりも小さい。
【0064】
より具体的には、
図8に示す処理例では、先行印刷ジョブの実行時に用いられる用紙Pが薄紙である場合を例示している。
用紙Pが薄紙である場合は、符号8Aで示す目標温度が低く設定される傾向にあり、この場合、
図8で示すように、装置温度がこの目標温度よりも大きくなり、目標温度の温度範囲から装置温度が外れる事態が生じうる。
【0065】
一方、符号8Dで示す目標温度が設定されている上記の代替印刷ジョブは、普通紙を用いる印刷ジョブとなっている。
この場合、普通紙を用いるこの代替印刷ジョブについて設定されている、符号8Dで示す目標温度の温度範囲内に、装置温度が入る。この場合、普通紙を用いるこの代替印刷ジョブの実行を行える。
この場合、プロセッサの一例としてのCPU11aは、先行印刷ジョブの目標温度より高い目標温度が設定されている他の印刷ジョブとして、普通紙を用いるこの代替印刷ジョブを選定する。
【0066】
さらに、この処理例では、代替印刷ジョブの実行により、定着装置60の熱が用紙Pに奪われ、符号8Fで示すように、装置温度が下がり、装置温度が、先行印刷ジョブの目標温度の範囲内に入るようになる。本実施形態では、この状態となると、先行印刷ジョブが実行される。
より具体的には、本実施形態では、代替印刷ジョブの実行に伴い搬送される用紙Pのうちの最後の用紙Pの搬送時に、装置温度が、先行印刷ジョブの目標温度の範囲内に入っている場合、先行印刷ジョブが実行される。
【0067】
一方、本実施形態では、代替印刷ジョブの終了の際に、依然として装置温度が高く且つ他の代替印刷ジョブがさらに存在する場合には、先行印刷ジョブを実行せずに、この他の代替印刷ジョブが実行されるようにする。
そして、この他の代替印刷ジョブの実行後に装置温度が下がっている場合、先行印刷ジョブが実行される。
【0068】
より具体的には、本実施形態では、代替印刷ジョブの実行に伴い搬送される用紙Pのうちの最後の用紙Pの搬送時に、依然として装置温度が高く且つ他の代替印刷ジョブがさらに存在する場合、先行印刷ジョブの実行を行わずに、この他の代替印刷ジョブが実行されるようにする。
そして、この他の代替印刷ジョブの実行後に装置温度が下がっている場合、先行印刷ジョブが実行される。
【0069】
また、本実施形態では、代替印刷ジョブの終了の際に、依然として装置温度が高く且つ他の代替印刷ジョブが存在しない場合には、装置温度が低下するのを待ち、あるいは、温度低下用用紙P(後述)の搬送を行う。
これにより、装置温度が低下する。そして、装置温度が低下した後に、先行印刷ジョブを実行する。
【0070】
ここで、本実施形態のCPU11aは、高い目標温度が設定されている代替印刷ジョブを選定した場合、この代替印刷ジョブが実行される場合における、定着装置60の目標温度を、この代替印刷ジョブに対して予め設定されている目標温度よりも低い値に変更する。
具体的には、CPU11aは、例えば、代替印刷ジョブについての本来の目標温度が、符号8Dで示す温度であった場合に、目標温度を、符号8Gで示す目標温度のように、この本来の目標温度よりも低い値に変更する。
【0071】
ここで、符号8Gで示す目標温度のように、目標温度を、本来の目標温度8Dよりも低い値に変更する場合は、少なくとも、上限値を、この本来の目標温度8Dの上限値T22をより低い値に変更する。
なお、下限値についても、この本来の目標温度8Dの下限値T21より低い値に変更することが好ましい。
【0072】
本実施形態のように、定着装置60の目標温度を低い値に変更すると、低い値に変更しない場合に比べ、代替印刷ジョブの実行後における装置温度がより低くなる。
この場合、代替印刷ジョブの実行後における装置温度が、先行印刷ジョブに対して対応付けられて設定されている、符号8Aで示す目標温度により近くなり、この代替印刷ジョブの実行後に先行印刷ジョブが実行される可能性が高くなる。
【0073】
上記では、高い目標温度が設定されている代替印刷ジョブが存在する場合を一例に説明した。
一方、高い目標温度が設定されている代替印刷ジョブが存在しない場合も想定され、この場合、CPU11aは、定着装置60を冷却する処理を行って、装置温度を、先行印刷ジョブの目標温度に近づける。
【0074】
CPU11aは、定着装置60を冷却する処理として、例えば、定着装置60に対して用紙Pを供給する処理を行う。
具体的には、この場合、CPU11aは、用紙積載部53(
図3参照)から定着装置60へ、白紙の状態にある用紙Pを供給する処理を行う。言い換えると、CPU11aは、定着装置60へ、画像形成部1Aを通過した用紙Pであってこの画像形成部1Aによる画像の形成が行われていない用紙Pを供給する。
この場合、定着装置60の熱がこの用紙Pへ移行し、定着装置60の温度が低下する。
【0075】
本実施形態では、第1後処理装置40(
図2参照)に、綴じ処理手段の一例としての綴じ処理装置50が設けられている。
定着装置60に、定着装置60の温度を低下させるための上記の白紙の用紙P(以下、「温度低下用用紙P」)が複数枚供給される場合、本実施形態では、複数のこの温度低下用用紙Pは、綴じ処理装置50へ搬送される。
そして、綴じ処理装置50によって、定着装置60を通過した後のこの複数の温度低下用用紙Pに対する綴じ処理が行われる。
【0076】
そして、本実施形態では、綴じ処理が行われた後の温度低下用用紙Pが、第1積載部43へ搬送され、第1積載部43に積載される。
この場合、綴じ処理が行われずに、温度低下用用紙Pの各々が、個別に、第1積載部43や第2積載部45に積載される場合に比べ、作業者が温度低下用用紙Pを処理する際の作業性が向上する。
【0077】
なお、その他に、定着装置60に対して温度低下用用紙Pを供給する場合、定着装置60へ供給されこの定着装置60を通過した後のこの温度低下用用紙Pを、戻し経路92(
図3参照)へ送り込むようにしてもよい。
この場合、戻し経路92へ送り込まれた用紙Pは、二次転写部20を通過するようになり、温度低下用用紙Pへの画像の形成を行える。言い換えると、この場合、温度低下用用紙Pを廃棄せずに、この温度低下用用紙Pの再利用を行える。
【0078】
本実施形態では、上記の通り、用紙Pの両面へ画像の形成を可能にするための戻し経路92が設けられている。
本実施形態では、この戻し経路92によって、画像形成手段の一例である画像形成部1A、定着装置60を通過した後の温度低下用用紙Pが、画像形成部1Aへ戻される。
定着装置60に対して温度低下用用紙Pを供給する場合、このように、定着装置60を通過した後のこの温度低下用用紙Pを、この戻し経路92へ送り込み、画像形成部1Aへ搬送してもよい。この場合、この温度低下用用紙Pへの画像の形成を行える。
【0079】
また、その他に、CPU11aは、定着装置60に対して温度低下用用紙Pを供給する場合、定着装置60の状態に応じて、定着装置60に供給するこの温度低下用用紙Pを変更する処理を行ってもよい。
CPU11aは、定着装置60に対して温度低下用用紙Pを供給する場合、定着装置60の状態として、例えば、この定着装置60の温度分布の状態を特定する。
そして、CPU11aは、特定したこの温度分布の状態に応じて、定着装置60に供給する温度低下用用紙Pの大きさを変更する。
【0080】
具体的には、CPU11aは、定着装置60の両端部の温度よりも定着装置60の中央部の温度の方が高い場合、温度低下用用紙Pを、幅が小さい用紙Pとする。
具体的には、CPU11aは、定着装置60の両端部の温度と定着装置60の中央部の温度との差が、予め定められた閾値を超える場合、温度低下用用紙Pを、幅が小さい用紙Pとする。
【0081】
本実施形態の定着装置60は、
図5に示したように、一端部B1、他端部B2、中央部B3を有する。
CPU11aは、定着装置60の一端部B1、他端部B2の温度よりも定着装置60の中央部B3の温度の方が高い場合、温度低下用用紙Pを、幅が小さい用紙Pとする。
具体的には、CPU11aは、温度低下用用紙Pを、定着装置60の中央部B3は通過するが定着装置60の一端部B1、他端部B2は通過しない大きさを有する用紙Pとする。
この場合、定着装置60の一端部B1、他端部B2の温度の低下を抑えつつ、装置温度の低下を図れる。言い換えると、この場合、定着装置60の両端部の温度の低下を抑えつつ、装置温度の低下を図れる。
【0082】
また、CPU11aは、定着装置60の一端部B1、他端部B2の温度と定着装置60の中央部B3の温度との差が、予め定められた閾値よりも小さい場合、温度低下用用紙Pを、幅が大きい用紙Pとする。
具体的には、この場合、CPU11aは、温度低下用用紙Pを、定着装置60の中央部B3、一端部B1、他端部B2を通過する大きさを有する用紙Pとする。
【0083】
また、その他に、CPU11aは、定着装置60へ温度低下用用紙Pを供給する場合、定着装置60の状態として、例えば、定着装置60の温度である装置温度を特定する。
そして、CPU11aは、特定したこの装置温度に応じて、定着装置60に供給する温度低下用用紙Pの厚さを変更してもよい。
具体的には、CPU11aは、特定したこの温度が予め定められた閾値よりも大きい場合、この閾値よりも小さい場合に比べて、厚さが大きい温度低下用用紙Pが定着装置60に供給されるようにする。
【0084】
また、CPU11aは、特定したこの装置温度が予め定められた閾値よりも小さい場合、この閾値よりも大きい場合に比べて、厚さが小さい温度低下用用紙Pが定着装置60に供給されるようにする。
また、ユーザの指示に応じて、用紙Pの厚さを決定してもよく、ユーザからの指示がある場合に、厚さが予め定められた閾値よりも大きい温度低下用用紙Pが定着装置60に供給されるようにしてもよい。
この場合、厚さが予め定められた閾値よりも小さい温度低下用用紙Pが供給される場合に比べ、装置温度がより速やかに低下する。
【0085】
ここで、幅が小さい温度低下用用紙Pが複数搬送される場合や、厚みが大きい又は小さい温度低下用用紙Pが複数搬送される場合も、上記と同様、この複数の温度低下用用紙Pが、綴じ処理装置50へ搬送されるようにすることが好ましい。
これにより、この場合も、この綴じ処理装置50によって、複数の温度低下用用紙Pに対する綴じ処理を行える。
【0086】
〔目標温度が装置温度よりも高い場合の処理〕
一方、CPU11aは、実行しようとする先行印刷ジョブについての目標温度が装置温度よりも高い場合、この先行印刷ジョブに替えて、先行印刷ジョブの目標温度よりも低い目標温度が設定されている代替印刷ジョブを選定して実行する。
ここで、「低い目標温度」とは、先行印刷ジョブの目標温度の下限値よりも低い下限値が設定されている目標温度を指す。
【0087】
なお、この場合、CPU11aは、低い目標温度が設定されているこの代替印刷ジョブが実行される場合における、定着装置60の目標温度を、この代替印刷ジョブに対して予め設定されている本来の目標温度よりも高い値に変更する。
ここで、目標温度を、本来の目標温度よりも高い値に変更する場合は、少なくとも、この本来の目標温度の下限値を高い値に変更する。なお、この本来の目標温度の上限値についても、高い値に変更してもよい。
【0088】
ここで、このように、定着装置60の目標温度を、本来の目標温度よりも高い値に変更すると、高い値に変更しない場合に比べ、代替印刷ジョブの実行後における装置温度がより高くなる。
この場合、装置温度が、先行印刷ジョブの目標温度により近くなり、この代替印刷ジョブの実行後に先行印刷ジョブが実行される可能性が高くなる。
【0089】
また、その他に、CPU11aは、低い目標温度が設定されている代替印刷ジョブを実行する場合、単位時間当たりに定着装置60を通過する用紙Pの枚数を低下させる処理を行ってもよい。
また、その他に、CPU11aは、低い目標温度が設定されている代替印刷ジョブを実行する場合、定着装置60を用紙Pが通過する際の用紙Pの移動速度を低下させてもよい。
これらの処理を行う場合、単位時間当たりに定着装置60から用紙Pへ移行する熱の量が減り、代替印刷ジョブの実行後における装置温度がより高くなる。
この場合、代替印刷ジョブの実行後における装置温度が、先行印刷ジョブの目標温度により近づく。
【0090】
なお、上記では説明を省略したが、実行しようとする先行印刷ジョブについての目標温度が装置温度よりも低く、高い目標温度が設定されている代替印刷ジョブを実行する場合には、単位時間当たりに定着装置60を通過する用紙Pの枚数を増加させる処理を行うことが好ましい。
また、その他に、この場合、定着装置60を用紙Pが通過する際の用紙Pの移動速度を増加させてもよい。
これらの処理を行う場合、単位時間当たりに定着装置60から用紙Pへ移行する熱の量が増え、代替印刷ジョブの実行後における装置温度がより低くなる。
この場合、代替印刷ジョブの実行後における装置温度が、先行印刷ジョブの目標温度により近づくようになる。
【0091】
本実施形態では、上記のように、実行しようとする先行印刷ジョブについての目標温度が装置温度よりも高い場合、この先行印刷ジョブに替えて、先行印刷ジョブの目標温度よりも低い目標温度が設定されている代替印刷ジョブを選定して実行する。
ところで、目標温度が低い代替印刷ジョブが存在しない場合も想定される。この場合、CPU11aは、装置温度を上昇させる処理を行う。
【0092】
具体的には、CPU11aは、定着装置60に設けられた加熱源69H(
図3参照)の出力が大きくなるようにして、装置温度を上昇させる処理を行う。
そして、CPU11aは、装置温度が、先行印刷ジョブの目標温度の温度範囲内に入ったら、先行印刷ジョブを実行する。言い換えると、CPU11aは、装置温度が、先行印刷ジョブの目標温度となったら、先行印刷ジョブを実行する。
【0093】
本実施形態では、以上のように、先行印刷ジョブを実行できない場合、先行印刷ジョブの目標温度よりも高い又は低い目標温度が設定されている代替印刷ジョブを選定する。
ここで、代替印刷ジョブを選定した場合、この代替印刷ジョブの実行によって搬送される用紙Pの搬送先を、先行印刷ジョブの実行によって搬送される用紙Pの搬送先とは異ならせることが好ましい。
言い換えると、代替印刷ジョブの実行によって搬送される用紙Pについては、先行印刷ジョブの実行によって搬送される用紙Pの積載箇所とは異なる箇所に積載されるようにすることが好ましい。
【0094】
具体的には、例えば、先行印刷ジョブの実行によって搬送される用紙Pの搬送先が第2積載部45(
図1参照)である場合には、代替印刷ジョブの実行によって搬送される用紙Pの搬送先を第1積載部43とすることが好ましい。
また、第1積載部43、第2積載部45以外の他の積載部がさらに存在する場合には、代替印刷ジョブの実行によって搬送される用紙Pの搬送先を、この他の積載部としてもよい。
これにより、代替印刷ジョブの実行によって搬送される用紙Pと、先行印刷ジョブの実行によって搬送される用紙Pとが混在する事態が生じなくなる。
【0095】
また、この場合、UI70(
図1参照)を介し、用紙Pの搬送先をユーザに通知することが好ましい。
具体的には、例えば、代替印刷ジョブの実行によって搬送される用紙Pの搬送先と、先行印刷ジョブの実行によって搬送される用紙Pの搬送先とを異なせる場合、用紙Pの搬送先をユーザに通知することが好ましい。
より具体的には、少なくとも、代替印刷ジョブの実行によって搬送される用紙Pの搬送先については、この搬送先をユーザに通知することが好ましい。もちろん、代替印刷ジョブの実行によって搬送される用紙Pの搬送先と、先行印刷ジョブの実行によって搬送される用紙Pの搬送先の両方を、ユーザに通知してもよい。
【0096】
また、上記の温度低下用用紙Pの搬送先についても、先行印刷ジョブの実行によって搬送される用紙Pの搬送先とは異ならせるようにすることが好ましい。
具体的には、例えば、先行印刷ジョブの実行によって搬送される用紙Pの搬送先が第2積載部45(
図1参照)である場合には、温度低下用用紙Pの搬送先を、例えば第1積載部43とすることが好ましい。
また、第1積載部43、第2積載部45以外の他の積載部がさらに存在する場合には、温度低下用用紙Pの搬送先を、この他の積載部としてもよい。
【0097】
なお、この場合も、UI70を介し、用紙Pの搬送先をユーザに通知することが好ましい。
具体的には、温度低下用用紙Pの搬送先と、先行印刷ジョブの実行によって搬送される用紙Pの搬送先とを異ならせる場合、用紙Pの搬送先をユーザに通知することが好ましい。
より具体的には、少なくとも、温度低下用用紙Pの搬送先については、この搬送先をユーザに通知することが好ましい。もちろん、温度低下用用紙Pの搬送先と、先行印刷ジョブの実行によって搬送される用紙Pの搬送先の両方を、ユーザに通知してもよい。
【0098】
〔処理の流れの説明〕
図9、
図10は、処理の流れを示したフローチャートである。
図9、
図10では、先行印刷ジョブのジョブ情報に含まれている目標温度が、装置温度よりも高い状態あるいは低い状態にある場合に実行される処理の流れを示している。
目標温度が、装置温度よりも高い状態にあるいは低い状態にある場合、CPU11aは、まず、先行印刷ジョブ以外の他の印刷ジョブが存在するかを判断する(ステップS101)。
そして、CPU11aは、他の印刷ジョブが存在すると判断した場合、装置温度と、この他の印刷ジョブの各々の目標温度とを取得する(ステップS102)。
【0099】
そして、CPU11aは、取得した装置温度と、他の印刷ジョブの各々の目標温度とに基づき、代替印刷ジョブが存在するかを判断する(ステップS103)。
そして、代替印刷ジョブが存在する場合、CPU11aは、この代替印刷ジョブの実行に伴い搬送される用紙Pの搬送先が、先行印刷ジョブの実行に伴い搬送される用紙Pの搬送先とは異なるようにする設定を行う(ステップ104)。
一方、ステップS103にて、代替印刷ジョブが存在すると判断されなかった場合、ステップS108の処理に進む。
【0100】
ステップS104の処理の後、CPU11aは、代替印刷ジョブを実行する(ステップS105)。その後、CPU11aは、装置温度が、先行印刷ジョブの目標温度の範囲内にあるかを判断する(ステップS106)。
そして、CPU11aは、装置温度が、この目標温度の範囲内にあると判断した場合、先行印刷ジョブを実行する(ステップS107)。
なお、本実施形態では、ステップS106にて、装置温度が、目標温度の範囲内にあると判断されなかった場合、ステップS101以降の処理が再び行われる。
【0101】
一方、CPU11aは、ステップS101にて、他の印刷ジョブが存在しないと判断した場合、また、ステップS103にて、代替印刷ジョブが存在しないと判断した場合、先行印刷ジョブの目標温度が装置温度よりも低い状態にあるかを判断する(ステップS108)。
そして、CPU11aは、目標温度が装置温度よりも低い状態にあると判断した場合、その時点の装置温度を取得する(ステップS109)。具体的には、CPU11aは、装置温度として、定着装置60の一端部B1(
図5参照)、他端部B2、中央部B3の温度を取得する。
【0102】
次いで、CPU11aは、定着装置60の中央部B3の温度(以下、「中央部温度」と称する)が、定着装置60の一端部B1、他端部B2の温度(以下、「端部温度」と称する)よりも高いかを判断する(ステップS110)。
なお、ここでの端部温度は、一端部B1の温度としてもよいし、他端部B2の温度としてもよいし、一端部B1の温度と他端部B2の温度との平均値としてもよい。
そして、CPU11aは、中央部温度の方が端部温度よりも高いと判断した場合、幅が小さい温度低下用用紙Pが搬送されるようにする設定を行う(ステップS111)。
一方、CPU11aは、中央部温度の方が端部温度よりも高いと判断しなかった場合、幅が大きい温度低下用用紙Pが搬送されるようにする設定を行う(ステップS112)。
【0103】
次いで、CPU11aは、温度低下用用紙Pを戻し経路92へ搬送するか否かを判断する(ステップS113)。言い換えると、CPU11aは、温度低下用用紙Pを戻し経路92へ搬送する設定がなされているか否かを判断する。
そして、CPU11aは、温度低下用用紙Pを戻し経路92へ搬送すると判断した場合、温度低下用用紙Pの搬送先を戻し経路92とする設定を行う(ステップS114)。
【0104】
一方、CPU11aは、ステップS113にて、用紙Pを戻し経路92へ搬送すると判断しなかった場合、温度低下用用紙Pの綴じ処理を行うか否かを判断する(ステップS115)。言い換えると、CPU11aは、温度低下用用紙Pの綴じ処理を行う設定がなされているか否かを判断する。
そして、CPU11aは、ステップS115にて、温度低下用用紙Pの綴じ処理を行うと判断した場合、温度低下用用紙Pが、綴じ処理装置50(
図2参照)へ搬送されるようにする設定を行う(ステップS116)。
なお、ステップS115にて、温度低下用用紙Pの綴じ処理を行うと判断されなかった場合、ステップS116の処理を実行せずに、S117の処理に進む。
【0105】
ステップS117では、CPU11aは、温度低下用用紙Pの搬送を開始する指示を出力する。
これにより、温度低下用用紙Pが定着装置60を通過し、これに伴い、定着装置60の温度が低下する。その後、ステップS107の処理に進み、先行印刷ジョブが実行される。
【0106】
また、本実施形態では、ステップS108にて、先行印刷ジョブの目標温度が装置温度よりも低い状態にあると判断されなかった場合は、ステップS118の処理に進む。
ステップS118の処理では、CPU11aは、定着装置60に設けられた加熱源69Hの出力を大きくする設定を行って、定着装置60の温度を上昇させる。この際、本実施形態では、用紙Pの搬送、用紙Pへの画像形成が停止された状態とされる。
その後、ステップS107の処理に進み、先行印刷ジョブが実行される。
【0107】
〔他の処理〕
本実施形態では、上記の通り、CPU11aは、印刷ジョブ毎に設定されている、定着装置60の目標温度についての情報を、印刷ジョブ毎に取得する。
そして、CPU11aは、装置温度と、印刷ジョブ毎に取得するこの目標温度とに基づき、実行する印刷ジョブを選定する。
【0108】
上記では、これから実行しようとする先行印刷ジョブの実行を行えない場合に、他の印刷ジョブである代替印刷ジョブの選定を行う場合を一例に説明した。
ところでこれに限らず、CPU11aは、印刷ジョブの実行を開始するにあたり、複数の印刷ジョブのうちの、装置温度に目標温度が最も近い印刷ジョブを、実行する印刷ジョブとして選定してもよい。
言い換えると、先行印刷ジョブが実行できない場合に、印刷ジョブの選定を行うのではなく、先行印刷ジョブとは無関係に、実行する印刷ジョブの選定を行ってもよい。
【0109】
装置温度に目標温度が最も近い印刷ジョブを、実行する印刷ジョブとして選定する場合、例えば、画像形成装置1の電源の投入から定着装置60の温度が徐々に上昇していく過程で、目標温度が低い印刷ジョブから順に印刷ジョブの実行を行えるようになる。
本実施形態の処理は、装置温度に起因して先行印刷ジョブの実行を行えない場合に実行されるのに限られない。印刷ジョブを実行するにあたり、そのときの装置温度に適した印刷ジョブを選定するようにして、この印刷ジョブが実行されるようにしてもよい。
【0110】
なお、装置温度に目標温度が最も近い上記の印刷ジョブとしては、例えば、目標温度の温度範囲の中間値がこの装置温度に最も近い印刷ジョブが挙げられる。
より具体的には、装置温度に目標温度が最も近い印刷ジョブとしては、例えば、目標温度の温度範囲の下限閾値と上限閾値との平均値がこの装置温度に最も近い印刷ジョブが挙げられる。
【0111】
(付記)
(((1)))
複数の印刷ジョブを取得可能に構成され、印刷ジョブを実行し、記録媒体への画像の形成を行う画像形成装置であり、
記録媒体への画像の形成を行う画像形成手段と、
前記画像形成手段により画像が形成された記録媒体に対する当該画像の定着を行う定着装置と、
前記定着装置の温度である装置温度に基づき、実行する印刷ジョブを選定するプロセッサと、
を備える画像形成装置。
(((2)))
前記プロセッサは、
印刷ジョブ毎に設定されている、前記定着装置の目標温度についての情報を、印刷ジョブ毎に取得し、
前記装置温度と、印刷ジョブ毎に取得する前記目標温度とに基づき、実行する印刷ジョブを選定する、
(((1)))に記載の画像形成装置。
(((3)))
前記プロセッサは、
前記目標温度が前記装置温度に最も近い印刷ジョブを、実行する印刷ジョブとして選定する、
(((2)))に記載の画像形成装置。
(((4)))
前記プロセッサは、
印刷ジョブ毎に設定されている、前記定着装置の目標温度についての情報を、印刷ジョブ毎に取得し、
実行しようとする印刷ジョブについての目標温度が前記装置温度よりも低い場合、当該印刷ジョブに替えて、当該目標温度よりも高い目標温度が設定されている他の印刷ジョブを選定する、
(((1)))に記載の画像形成装置。
(((5)))
前記プロセッサは、
前記高い目標温度が設定されている前記他の印刷ジョブが実行される場合における、前記定着装置の目標温度を、当該他の印刷ジョブに対して予め設定されている目標温度よりも低い値に変更する、
(((4)))に記載の画像形成装置。
(((6)))
前記プロセッサは、
前記高い目標温度が設定されている前記他の印刷ジョブが存在しない場合、前記定着装置を冷却する処理を行う、
(((4)))に記載の画像形成装置。
(((7)))
前記プロセッサは、
前記定着装置を冷却する処理として、当該定着装置に記録媒体を供給する処理を行う、
(((6)))に記載の画像形成装置。
(((8)))
前記プロセッサは、
前記定着装置の状態に応じて、当該定着装置に供給する記録媒体を変更する、
(((7)))に記載の画像形成装置。
(((9)))
前記プロセッサは、
前記定着装置の状態として、当該定着装置の温度分布の状態を特定し、
特定した前記温度分布の状態に応じて、前記定着装置に供給する記録媒体の大きさを変更する、
(((8)))に記載の画像形成装置。
(((10)))
前記プロセッサは、
前記定着装置の状態として、当該定着装置の温度を特定し、
特定した前記温度に応じて、前記定着装置に供給する記録媒体の厚さを変更する、
(((8)))に記載の画像形成装置。
(((11)))
前記プロセッサは、前記定着装置を冷却する処理として、当該定着装置に記録媒体を複数供給する処理を行い、
前記定着装置に供給された複数の前記記録媒体の綴じ処理を行う綴じ処理手段が更に設けられている、
(((7)))乃至(((10)))の何れかに記載の画像形成装置。
(((12)))
前記定着装置による画像の定着が行われた記録媒体を前記画像形成手段へ戻す戻し経路が設けられ、
前記プロセッサは、前記定着装置を冷却する処理として、当該定着装置に記録媒体を供給する処理を行い、
前記定着装置へ供給された前記記録媒体が、前記戻し経路へ送り込まれる、
(((6)))に記載の画像形成装置。
(((13)))
前記プロセッサは、
印刷ジョブ毎に設定されている、前記定着装置の目標温度についての情報を、印刷ジョブ毎に取得し、
実行しようとする印刷ジョブについての目標温度が前記装置温度よりも高い場合、当該印刷ジョブに替えて、当該目標温度よりも低い目標温度が設定されている他の印刷ジョブを選定する、
(((1)))乃至(((12)))の何れかに記載の画像形成装置。
(((14)))
前記プロセッサは、
前記低い目標温度が設定されている前記他の印刷ジョブが実行される場合における、前記定着装置の目標温度を、当該他の印刷ジョブに対して予め設定されている目標温度よりも高い値に変更する、
(((13)))に記載の画像形成装置。
(((15)))
前記プロセッサは、
前記低い目標温度が設定されている前記他の印刷ジョブが存在しない場合、前記装置温度を上昇させる処理を行う、
(((13)))に記載の画像形成装置。
(((16)))
複数の印刷ジョブを取得可能に構成され印刷ジョブを実行し記録媒体への画像の形成を行うとともに当該記録媒体への当該画像の定着を行う定着装置を備えた画像形成装置の制御に用いられるコンピュータに、
前記定着装置の温度である装置温度に基づき、実行する印刷ジョブを選定する機能を、
実現させるためのプログラム。
【0112】
(((1)))に係る画像形成装置によれば、印刷ジョブが画像形成装置に入力された順で印刷ジョブが実行される場合に比べ、印刷ジョブに基づき行われる画像形成の効率を高めることができる。
(((2)))に係る画像形成装置によれば、定着装置の温度である装置温度と、印刷ジョブ毎に設定されている定着装置の目標温度とに基づき、実行する印刷ジョブの選定を行うことができる。
(((3)))に係る画像形成装置によれば、目標温度が装置温度に最も近い印刷ジョブを、実行する印刷ジョブとして選定することができる。
(((4)))に係る画像形成装置によれば、実行しようとする印刷ジョブについての目標温度が装置温度よりも低い場合に、この目標温度よりも高い目標温度が設定されている他の印刷ジョブが実行されるようにすることができる。
(((5)))に係る画像形成装置によれば、定着装置の目標温度を変更しない場合に比べ、他の印刷ジョブが実行された後における装置温度を低下させることができる。
(((6)))に係る画像形成装置によれば、高い目標温度が設定されている他の印刷ジョブが存在しない場合に、定着装置の冷却処理が行われるようにすることができる。
(((7)))に係る画像形成装置によれば、定着装置から自然放熱が行われる場合に比べ、定着装置の温度を低下させることができる。
(((8)))に係る画像形成装置によれば、定着装置の状態に応じて、定着装置に供給する記録媒体を変更することができる。
(((9)))に係る画像形成装置によれば、定着装置の温度分布の状態に応じて、定着装置に供給する記録媒体の大きさを変更することができる。
(((10)))に係る画像形成装置によれば、定着装置の温度に応じて、定着装置に供給する記録媒体の厚さを変更することができる。
(((11)))に係る画像形成装置によれば、定着装置に供給された複数の記録媒体の綴じ処理が行われない構成に比べ、定着装置に供給された複数の記録媒体の処分を行いやすくなる。
(((12)))に係る画像形成装置によれば、定着装置へ供給された記録媒体への画像の形成を行える。
(((13)))に係る画像形成装置によれば、実行しようとする印刷ジョブについての目標温度が装置温度よりも高い場合に、この目標温度よりも低い目標温度が設定されている他の印刷ジョブが実行されるようにすることができる。
(((14)))に係る画像形成装置によれば、定着装置の目標温度を変更しない場合に比べ、他の印刷ジョブが実行された後における装置温度を上昇させることができる。
(((15)))に係る画像形成装置によれば、低い目標温度が設定されている他の印刷ジョブが存在しない場合に、装置温度を上昇させる処理が行われるようにすることができる。
(((16)))に係るプログラムによれば、印刷ジョブが画像形成装置に入力された順で印刷ジョブが実行される場合に比べ、印刷ジョブに基づき行われる画像形成の効率を高めることができる。
【符号の説明】
【0113】
1…画像形成装置、1A…画像形成部、11a…CPU、50…綴じ処理装置、60…定着装置、92…戻し経路、P…用紙