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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047710
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】ラゲッジネット
(51)【国際特許分類】
   B60R 5/04 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
B60R5/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153359
(22)【出願日】2022-09-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 発売日 令和4年9月20日 発売した場所 株式会社岡田製作所(大阪府豊中市穂積2丁目5番6号) 公開者 株式会社岡田製作所
(71)【出願人】
【識別番号】598025555
【氏名又は名称】株式会社岡田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100136847
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼山 嘉成
(72)【発明者】
【氏名】高木 啓吾
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022BA04
3D022BA16
3D022BB03
3D022BC08
(57)【要約】
【課題】荷室の壁面に取り付ける際に、壁面との間の隙間が生じないようにすることができるラゲッジネットを提供する。
【解決手段】車両の荷室の壁面引っ掛け部に引っ掛けて使用するラゲッジネット1であって、ネット部60と、上辺の右側及び/又は左側に取り付けられた伸縮体20と、伸縮体20の一端に取り付けられた引っ掛け部材30と、上辺の右端及び/又は左端に設けられており、引っ掛け部材30を通すための通し穴40とを備える。伸縮体20を伸ばすことで、引っ掛け部材30を通し穴40に通すことが可能となっている。通し穴40と引っ掛け部材30とは、少なくとも一部が重なった状態で、引っ掛け部材30が壁面引っ掛け部2に引っ掛けられるようになっている。通し穴40は、引っ掛け部材30の中に入れることができるようになっている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷室の壁面引っ掛け部に引っ掛けて使用するラゲッジネットであって、
ネット部と、
上辺の右側及び/又は左側に取り付けられた伸縮体と、
前記伸縮体の一端に取り付けられた引っ掛け部材と、
上辺の右端及び/又は左端に設けられており、前記引っ掛け部材を通すための通し穴とを備えることを特徴とする、ラゲッジネット。
【請求項2】
前記伸縮体を伸ばすことで、前記引っ掛け部材を前記通し穴に通すことが可能となっていることを特徴とする、請求項1に記載のラゲッジネット。
【請求項3】
前記通し穴と前記引っ掛け部材とは、少なくとも一部が重なった状態で、前記引っ掛け部材が前記壁面引っ掛け部に引っ掛けられるようになっていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のラゲッジネット。
【請求項4】
前記通し穴は、前記引っ掛け部材の中に入れることができるようになっていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のラゲッジネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車の荷室(ラゲッジルーム)で使用するネットに関する。
【背景技術】
【0002】
ラゲッジネットは、ラゲッジルームの壁面などに設けられたフックに引っ掛け使用することで、荷室に置いた荷物がずれたり崩れたりしないようにするためのものであり、従来のラゲッジネットとして、特許文献1ないし5に記載のものがあった。
【0003】
特許文献1に記載の搭載物固定用ネットは、フック付きストラップ(11)を自動車のデッキ部のフロア固縛フックにつけて使用するのである。
【0004】
特許文献2に記載のラゲージフロア装置は、ネット体(17)にバンドを介して接続されたフック(19)を掛着環(21)に掛けるものである。
【0005】
特許文献3のラゲッジシート(2)は、フック(8)を車両に設けられた係止部材に係合して使用されるものである。
【0006】
特許文献4のメッシュネット1は、接続フープ(6)に、S字フック(8)を係合させて、自動車の後部荷物室(10)での左右側壁に配設してある掛止具に、S字フック(8)を引っ掛けて使用されるものである。
【0007】
特許文献5のラゲッジネット(11)は、下辺で折り畳まれることにより上辺に開口部を有するネット(12)と、ネット(12)の下辺に沿って係合するように挿通されて延在され、且つ延在方向に伸縮自在な第1細帯体(13)と、ネット(12)の夫々の上辺に沿って係合するように挿通されて延在され、且つ延在方向に伸縮自在な第2細帯体(14)と、ネット(12)の左右両端部夫々の上下に亘ってネット(12)の左右両端部を固持することでネット(12)を袋状とすると共に、第1細帯体(13)及び第2細帯体(14)夫々の端末を固持してなる伸縮性を有しないテープ帯(15)と、第1細帯体(13)のテープ帯(15)の下端部側に支持された第1クリップ(16)と、第2細帯体(14)のテープ帯(15)の上端部側に支持された第2クリップ(18)と備える。そして、特許文献5のラゲッジネット(11)の第1,第2クリップ(16,18)は、車体位置に固設されたフック(22,24)に引っ掛けて使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001-018723号公報
【特許文献2】特開2002-166781号公報
【特許文献3】特開2006-347201号公報
【特許文献4】特許第3230083号公報
【特許文献5】特許第3264124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1ないし4に記載のラゲッジネットは、ネット部分の四隅にゴムや紐などを設けて、ゴムや紐の先端にフックを取り付けて、当該フックを、車体側のフックに引っ掛ける構造となっている。ラゲッジネットが弛んでしまっては、荷崩れ防止の効果が得にくくなるので、ラゲッジネットの四隅のゴムなどは、引っ張った状態で、車体側のフックに引っ掛けられるようになっている。したがって、四隅のゴムなどは、伸びることとなる。
【0010】
特許文献5の図1,2,及び4では、四隅に、クリップ(16,18)が設けられており、図面上は、伸縮性を有する第1細帯体(13)及び第2細帯体(14)が引っ張られているようには図示されていないが、実際は、第1細帯体(13)及び第2細帯体(14)を引っ張るようにして、張り詰めた状態にして、クリップ(16,18)を車体側に引っ掛けて使用することとなる。そのため、第1細帯体(13)及び第2細帯体(14)は伸びることとなる。
【0011】
特許文献1ないし5に記載のラゲッジネットのような構成の場合には、四隅のゴム等が伸びることによって、ラゲッジネットと荷室の壁面との間に隙間ができてしまう(これを、「第1の課題」という。)。
【0012】
図4を用いて、第1の課題を説明する。図4に示すように、従来、ラゲッジネットを取り付ける際には、ネット両端部に丸ゴム等を縫製し、丸ゴムの先端にナスカン等を取付けて荷室の壁面に引っ掛ける等して取り付ける。このとき、ネットが綺麗に張られるようにするためには、両端から引っ張って取り付ける必要がある。綺麗に張ろうとすると、丸ゴムの引張力を考慮する必要があり、引張力分の長さだけ、ネットの幅を短くする必要がある。結果、図4の丸印で示したように、車両の荷室に隙間ができる。
【0013】
そこで、図5に示すように、第1の課題を解決するために、丸ゴム等の位置を、綺麗に張ることができる引張力分の長さ分だけ内側に縫製することで、ネットの幅を広げることができる。しかし、内側から引っ張るだけであるので、ネットの両端部分が保持されず、ネットの端がめくれてしまい、結果として第1の課題と同様の隙間ができてしまう(これを、「第2の課題」という。)。
【0014】
このように、第1の課題で示したように、ネットの両端部にゴム等を縫製しただけでは、荷室の壁面に引っ張るようにしてラゲッジネットを取り付けると、どうしても、ラゲッジネットと壁面との間に隙間ができてしまう。仮に、ゴム等をラゲッジネットの両端部よりも内側に縫製したとしても、ネットの端がめくれてしまうので、第2の課題で示したように、ラゲッジネットと壁面との間に隙間ができてしまう。
【0015】
特許文献1ないし5に示されている従来のラゲッジネットは、これらの課題を解決することができない。なお、繰り返しになるが、特許文献5の図面上では、隙間がないように図示されているが、先述したように、引っ張って、壁面に取り付けた場合は、隙間が生じてしまう。
【0016】
それゆえ、本発明は、荷室の壁面に取り付ける際に、壁面との間の隙間が生じないようにすることができるラゲッジネットを提供することを目的とする。
【0017】
なお、隙間がなくなるとは、完全になくなることを意味するのではなく、常識的範囲で、隙間が生じないようにしていることを意味するのである。言い換えるなら、隙間が生じないとは、ラゲッジネットの左右上部が垂れ下がらないという程度の意味である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような特徴を有する。本発明は、車両の荷室の壁面引っ掛け部に引っ掛けて使用するラゲッジネットであって、ネット部と、上辺の右側及び/又は左側に取り付けられた伸縮体と、伸縮体の一端に取り付けられた引っ掛け部材と、上辺の右端及び/又は左端に設けられており、引っ掛け部材を通すための通し穴とを備える。
【0019】
好ましくは、伸縮体を伸ばすことで、引っ掛け部材を通し穴に通すことが可能となっているとよい。
【0020】
好ましくは、通し穴と引っ掛け部材とは、少なくとも一部が重なった状態で、引っ掛け部材が壁面引っ掛け部に引っ掛けられるようになっているとよい。
【0021】
好ましくは、通し穴は、引っ掛け部材の中に入れることができるようになっているとよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、引っ掛け部材を通し穴に通して、引っ掛け部材を壁面引っ掛け部に引っ掛けて使用することができるので、ラゲッジネットの左右の上辺部分が垂れ下がることがなくなる。これにより、荷室の壁面に取り付ける際に、壁面との間の隙間が生じないようにすることができるラゲッジネットを提供可能となる。
【0023】
伸縮体を伸ばすことで、引っ掛け部材を通し穴に通すことができるようにしておけば、伸縮体が伸びた状態で、引っ掛け部材を壁面引っ掛け部に掛けることができるので、荷崩れを防止しつつ、壁面とラゲッジネットとの隙間を防止することが可能となる。
【0024】
通し穴と引っ掛け部材とが一部重なるようにするか、通し穴を引っ掛け部材の中に入れるようにすることで、壁面とラゲッジネットとの隙間を防止することが可能となる。
【0025】
本発明のこれら、及び他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の一実施形態におけるラゲッジネット1の構造及び使用方法を説明するための図である。
図2図2は、ラゲッジネット1の実施例を荷室に取り付けたときの様子を示す図面代用写真である。
図3図3は、ラゲッジネット1の実施例を荷室に取り付けたときの様子を示す図面代用写真である。
図4図4は、第1の課題を説明するための図である。
図5図5は、第2の課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1に示すように、本発明の一実施形態におけるラゲッジネット1は、ネット部60の外縁に、帯体50を縫製した概略構造を有する。ラゲッジネット1の左右上端部において、荷室3の壁面に設けられた壁面引っ掛け部2に対して、ラゲッジネット1を引っ掛けるための構造(図1の右側の拡大図面を参照)が設けられている。
【0028】
なお、本実施形態では、ラゲッジネット1を引っ掛けるための構造は、左右上端部に設けられているとし、ラゲッジネット1の下部は、図示しない面ファスナー等で、荷室でずれないように固定されるものとしているが、引っ掛けるための構造が左右下端部に設けられていてもよい。
【0029】
図1に示すように、上辺の帯体50の左右端に、通し穴40がそれぞれ設けられている。通し穴40は、上下が縫製されており、ネット部60の内側から外側に向けて引っ掛け部材30を通すことが可能となっている。引っ掛け部材30は、ナスカンやフックなどである。壁面引っ掛け部2に引っ掛けることができる構造を有していれば、引っ掛け部材30の材質や具体的構造は、本発明を限定するものではない。また、右又は左のどちらか一方に、本実施形態の構造が設けられていれば、少なくとも、当該構造が設けられた部分については、ネット部60が垂れ下がってくるのを防止できる。
【0030】
伸縮体20は、丸ゴムやゴムベルトなどの伸縮可能な紐状又は帯状の部材である。縫製位置10は、通し穴40よりも内側にある。ラゲッジネット1を、荷室3に取り付けた際に、伸縮体20が伸びることとなるが、その際、引っ掛け部材30の一部が通し穴40にかかる程度となるように、縫製位置10が決められている。
【0031】
引っ掛け部材30を壁面引っ掛け部2に引っ掛ける際、図2に示すように、通し穴40が引っ掛け部材30に重なるようにする。これによって、左右の帯体50がラゲッジネット1と荷室の壁面との間の隙間ができなくなる。
【0032】
また、図3に示すように、通し穴40を、引っ掛け部材30の中に入れてしまうことで、引っ掛け部材30と通し穴40とが重ねることができる。これによって、ラゲッジネット1と荷室の壁面との間の隙間ができなくなる。
【0033】
ラゲッジネット1の左右の上端及び/又は下端に、引っ掛け部材30を通すことができる通し穴40を設けて、引っ掛け部材30の一端に伸縮体20を取り付け、伸縮体20の一端をネット部60に取り付ける構造となっている。
【0034】
伸縮体20の長さ及びその取付位置10は、引っ掛け部材30を壁面引っ掛け部2に引っ掛けた際に、伸縮体20が伸びて、荷崩れが生じないようにする程度に決められている。もし、伸縮体20に「伸びしろ」が多く残っていると、荷崩れした際に、伸縮体20が伸びてしまって、ラゲッジネット1の荷崩れ防止効果が得られにくい。そのため、取付位置10は、内側に入っている必要があり、取付位置10に合わせて、伸縮体20の長さが決められている。
【0035】
このような構造によって、図2に示すように、引っ掛け部材30と通し穴40とを重ねることによって、隙間を出来る限りなくすことが可能となる。また、図3に示すように、通し穴40を引っ掛け部材30の中に入れてしまうことによって、隙間を出来る限りなくすことが可能となる。
【0036】
なお、帯体50は必須ではない。ネット部60に、直接、縫製位置10が設けられて、ネット部60に、直接、伸縮体20及び通し穴40が設けられていてもよい。
【0037】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。本明細書に開示されている発明の構成要件は、それぞれ独立に単独した発明として成立するものとする。各構成要件をあらゆる組み合わせ方法で組み合わせた発明も、本発明に含まれることとする。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、ラゲッジネットであり、産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 ラゲッジネット
2 壁面引っ掛け部
3 荷室
10 縫製位置
20 伸縮体
30 引っ掛け部材
40 通し穴
50 帯体
60 ネット部
図1
図2
図3
図4
図5