(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047721
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】視力訓練システム、視力訓練方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61H 5/00 20060101AFI20240401BHJP
G09B 9/00 20060101ALI20240401BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20240401BHJP
【FI】
A61H5/00 Z
G09B9/00 Z
G06T19/00 A
A61H5/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153376
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】321005467
【氏名又は名称】InnoJin株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】猪俣 武範
(72)【発明者】
【氏名】奥村 雄一
【テーマコード(参考)】
4C046
5B050
【Fターム(参考)】
4C046AA31
4C046AA33
4C046AA45
4C046BB12
4C046DD36
4C046DD41
5B050BA09
5B050BA13
5B050CA07
5B050FA06
(57)【要約】
【課題】視力を訓練することができるようにする。
【解決手段】視力訓練システムであって、ユーザの片方の目に映像を表示する第1の表示装置と、ユーザの他方の目に映像を表示する第2の表示装置と、第1及び第2の表示装置に表示されるユーザの操作対象となる物体が第1及び第2の表示装置で異なる透明度となるように制御する表示制御部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの片方の目に映像を表示する第1の表示装置と、
前記ユーザの他方の目に映像を表示する第2の表示装置と、
前記第1及び第2の表示装置に表示される前記ユーザの操作対象となる物体が前記第1及び第2の表示装置で異なる透明度となるように制御する表示制御部と、
を備えることを特徴とする視力訓練システム。
【請求項2】
請求項1に記載の視力訓練システムであって、
前記物体は仮想的なオブジェクトであり、
前記表示制御部は、前記ユーザに前記オブジェクトが三次元表示されるように、かつ、前記第1及び第2の表示装置で異なる透明度となるように、前記第1及び第2の表示装置に前記オブジェクトを表示すること、
を特徴とする視力訓練システム。
【請求項3】
請求項1に記載の視力訓練システムであって、
前記ユーザの目のうち、視力が強い方の目を示す情報を記憶する設定情報記憶部を備え、
前記表示制御部は、前記設定情報記憶部に記憶されている前記情報が示す前記目に前記映像を表示する前記第1又は第2の表示装置に表示される前記物体の前記透明度を上げるように制御すること、
を特徴とする視力訓練システム。
【請求項4】
請求項1に記載の視力訓練システムであって、
前記ユーザの視野を撮影する第1及び第2のカメラと、
前記第1及び第2のカメラが撮影した第1及び第2の画像を取得する画像取得部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記第1及び第2の画像から前記物体を検出し、前記第1又は第2の画像における前記物体の領域の透明度を上げること、
を特徴とする視力訓練システム。
【請求項5】
ユーザの片方の目に映像を表示する第1の表示装置と、前記ユーザの他方の目に映像を表示する第2の表示装置とに表示される前記ユーザの操作対象となる物体について、前記第1及び第2の表示装置で異なる透明度となるように制御するステップをコンピュータが実行することを特徴とする視力訓練方法。
【請求項6】
ユーザの片方の目に映像を表示する第1の表示装置と、前記ユーザの他方の目に映像を表示する第2の表示装置とに表示される前記ユーザの操作対象となる物体について、前記第1及び第2の表示装置で異なる透明度となるように制御するステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視力訓練システム、視力訓練方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドセットで右目と左目の見え方を変える視力訓練方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように、空間全体の見え方を目ごとに変えると集中して見るべき作業対象に集中するのが難しい。また、作業対象物のコントラストや明るさ、暗さなどを変更すると、むしろその物体が目立ってしまう。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、視力を訓練することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、視力訓練システムであって、ユーザの片方の目に映像を表示する第1の表示装置と、前記ユーザの他方の目に映像を表示する第2の表示装置と、前記第1及び第2の表示装置に表示される前記ユーザの操作対象となる物体が前記第1及び第2の表示装置で異なる透明度となるように制御する表示制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、視力を訓練することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る視力訓練システムの構成例を示す図である。
【
図3】コンピュータ2のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図4】HMD1に表示される映像の一例を示す図である。
【
図5】HMD1に表示される映像の他の例を示す図である。
【
図6】本実施形態の視力訓練システムにおけるコンピュータ2の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<概要>
以下、本発明の一実施形態に係る視力訓練システムについて説明する。本実施形態の視力訓練システムでは、ユーザがヘッドマウントディスプレイ(HMD1)を装着し仮想空間内で作業を行う。作業対象となる物体の透明度が右目と左目で異なるようにすることで、弱視のユーザの訓練を行うことができる。
【0011】
図1は、本実施形態に係る視力訓練システムの構成例を示す図である。本実施形態の視力訓練システムは、コンピュータ2を含んで構成される。コンピュータ2は、HMD1及び入力デバイス3と接続され、入力デバイス3からデータの入力を受け付けることができ、HMD1への映像の表示を制御することができる。
図1に示すように、コンピュータ2は、CPU201、メモリ202、記憶装置203を備えうる。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。なお、後述するコンピュータ2の各機能部はCPU201が記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより実現され、コンピュータ2の各記憶部はメモリ202及び記憶装置203が提供する記憶領域の一部として実現されうる。
【0012】
入力デバイス3は、例えば、コントローラである。入力デバイス3により、ユーザは仮想空間内において所定の入力を行うことをサポートすることができる。入力デバイス3は、例えば、左手用及び右手用のコントローラのセットとして構成することができる。入力デバイス3は、例えば、操作用トリガーボタンや、赤外線LED、センサ、ジョイスティック、メニューボタンなどを備えることができる。また、入力デバイス3は、加速度センサ(不図示)などにより姿勢や動きを検出し、姿勢や動きのデータを入力データとしてコンピュータ2に入力することができる。
【0013】
コンピュータ2は、HMD1に作業対象となる仮想的な物体(三次元オブジェクト)を表示する制御処理を行うとともに、入力デバイス3からの入力に応じて仮想的な手を動かし、仮想的な手の動きにより作業対象に対するユーザの作業を行わせることができる。
【0014】
図2は、HMD1の構成例を示す図である。HMD1は、ユーザの頭部に装着されうる。HMD1は、ユーザの左右の眼前に配置されるよう表示装置11及び12を備える。表示装置11は、片方の目(
図2の例では右目)に映像を表示する。表示装置12は、他方の目(
図2の例では左目)に映像を表示する。表示装置11及び12としては、例えば、光学透過型と非透過型のディスプレイを採用し得る。後述するように、表示装置11及び12において表示される作業対象の物体の透明度が異なるように制御される。
【0015】
図3は、コンピュータ2のソフトウェア構成例を示す図である。コンピュータ2は、操作入力部211、表示制御部212、設定記憶部231、物体記憶部232を備えることができる。
【0016】
設定記憶部231は、各種の設定項目を記憶することができる。設定記憶部231は、ユーザを示す情報(ユーザID)に対応付けて設定項目を記憶することができる。設定項目は、例えば、ユーザの治療を行う眼科医が設定することができる。設定項目には、例えば、物体の透明度を上げる表示装置11又は12を示す情報を含めることができる。設定項目には、例えば、ユーザの視力の強い方又は弱い方の目を指定する情報を含めることができる。この場合、視力の強い方の目に対応する表示装置11又は12において物体の透明度を上げ、視力の弱い方の目でより操作対象を見るように訓練することができる。設定項目には、例えば、物体の透明度を含めることができる。設定項目には、ユーザに設定される難易度を記憶することができる。例えば、操作対象の物体が複数ある場合には、設定項目には、より集中して見る物体を示す情報を含めることができる。
【0017】
物体記憶部232は、仮想的な物体を表示するための情報(以下、物体情報という。例えば、3次元モデルとすることができる。)を記憶することができる。
【0018】
操作入力部211は、入力デバイス3からの入力を受け付けることができる。操作入力部211は、例えば、入力デバイス3の姿勢や動き、ボタンの押下などの操作を示す情報(イベント情報)を入力デバイス3から受け付けることができる。
【0019】
表示制御部212は、表示装置11,12に映像を表示する。表示制御部212は、物体記憶部232に記憶されている物体情報に基づいて仮想的な物体を仮想空間内に表示することができる。表示制御部212は、設定記憶部231を参照して、どちらの表示装置11又は12において物体の透明度を上げるか、物体の透明度をどの程度にするかを決定することができる。また、表示制御部212は、操作対象の物体が複数ある場合に、どちらの表示装置11又は12においてどの物体の透明度を上げるかを決定することができる。
【0020】
本実施形態では、表示制御部212は、表示装置11,12に表示されるユーザの操作対象となる物体が第1及び第2の表示装置で異なる透明度となるように制御する。表示制御部212は、いわゆるVR(Virtual Reality)に係る仮想空間内に各種のオブジェクトを表示することができる。本実施形態では、表示制御部212は、視差を利用して立体像が形成されるように表示装置11,12に三次元オブジェクトを表示することができる。表示制御部212は、ユーザにオブジェクトが三次元表示されるように、かつ、表示装置11,12で異なる透明度となるように、表示装置11,12にオブジェクトを表示することができる。
【0021】
また、表示制御部212は、拡張現実(AR;Augumented Reality)空間あるいは複合現実(MR;Mixed Reality)空間に仮想的な物体を表示するようにしてもよい。例えば、HMD1がカメラを備えるようにし、表示制御部212は、HMD1が撮影した映像を表示するとともに、操作対象となる物体が三次元表示されるように、仮想的な物体を、カメラからの映像に重畳させて表示するようにすることができる。
【0022】
また、表示制御部212は、カメラ(不図示、HMD1が備えていてもよいし、コンピュータ2が備えていてもよい。)が撮影した映像から物体を検出し、検出した物体の透明度を変更するようにすることもできる。この場合、ユーザの視野を撮影する第1及び第2のカメラをHMD1又はコンピュータ2が備え、コンピュータ2は、第1及び第2のカメラが撮影した第1及び第2の画像を取得する画像取得部を備えることができる。表示制御部212は、第1及び第2の画像から物体を検出し、第1又は第2の画像における物体の領域の透明度を上げるように画像処理を行うことができる。表示制御部212は、例えば、ユーザの注視点を検出し、第1及び第2の画像から検出した物体のうち、注視点の位置の物体を操作対象の物体として認識し、認識した物体の占める領域の透明を変更するようにすることができる。
【0023】
表示制御部212は、弱視の度合の弱い方(視力の強い方)の目の眼前に配される表示装置11又は12に表示される物体の透明度を上げるように制御することができる。これにより、ユーザには、見づらい方の目を使いやすくなり、見づらい方の目をより使うように訓練をすることができる。
【0024】
表示制御部212は、表示装置11又は12に表示される物体の一方のみの透明度を経時的に上げていくように制御してもよい。例えば、ユーザによる物体に対する作業中に透明度を変更していくことができる。
【0025】
透明度は、治療度合に応じて変更することができる。弱視治療に用いる場合、透明度は、弱視の度合により変更することができる。透明度は、ユーザについて設定する難易度に応じて変更することができる。すなわち、より高い難易度が設定された場合には、より高い透明度となるように設定することができる。難易度は、ユーザが訓練に対して感じている難しさの主観をアンケート等により問い合わせ、ユーザが所定の難易度よりも高い難易度と感じている場合には透明度を下げ、所定の難易度よりも低い難易度と感じている場合には透明度を上げるように設定することができる。所定の難易度の設定及び透明度の設定は、眼科医により行うようにしてもよい。
【0026】
透明度を100%(全く見えない状態)にすることもできる。すなわち、一方の目には、物体を表示しつつ、他方の目には物体を表示しないようにすることができる。
【0027】
図4は、HMD1に表示される映像の一例を示す図である。
図4の例では、操作対象の物体としてけん玉が表示されており、左目の方が右目よりも視力が弱いことを想定している。
図4の例では、けん玉の右目に表示される物体画像111は、左目に表示される物体画像121よりも透明度が上がっている。表示制御部212は、例えば、ユーザが仮想空間内で、手の画像112及び112により表示される手を用いてけん玉を行っている間に、片方の目(
図4の例では右目)に表示される物体の透明度を上げるように制御することができる。
【0028】
このように、映像を見るだけではなく、実際の動作を伴うことにより、目と手の協働運動を行わせ、ユーザがうまく両眼視を行うことができるように訓練することが可能となる。また、治療への集中度を上げ、あるいは治療の意欲を向上させることも可能となり、治療効果の向上が期待される。また、仮想空間における操作対象の操作を行わせることにより、また両目での見え方を変えることにより、立体視の機能を訓練することもできる。
【0029】
図5は、HMD1に表示される映像の他の例を示す図である。作業対象の物体が複数あり、第1の物体を第2の物体よりも集中して見ることが一般的な場合に、片方(弱視の度合が強い方、視力が弱い方、見えづらい方、訓練の対象となる方)の目においては、第1の物体の透明度を変えず(又は下げて)、第2の物体の透明度を上げ、他方(弱視の度合が弱い方、訓練の対象ではない方)の目においては、第1の物体の透明度を上げて、第2の物体の透明度を変えない(又は下げる)ようにすることができる。例えば、
図5では、左目の視力が弱い場合を示しており、右目のけん玉111の球1111の透明度を上げつつ、けん1112については透明度は上げず、一方で、左目のけん玉121の球1211の透明度は上げずに、けん1212の透明度を上げている例を示している。
【0030】
<動作>
図6は、本実施形態の視力訓練システムにおけるコンピュータ2の動作を説明する図である。
【0031】
コンピュータ2は、設定情報記憶部231に記憶されている、ユーザに対応する設定項目を読み出し(S301)、物体記憶部232に記憶されている物体情報に基づいて、仮想空間に操作対象の物体が三次元表示されるように表示装置11及び12に映像を表示し(S302)、入力デバイス3からの入力に応じて物体に対する操作の指示を受け付け(S303)、例えば、仮想的な手を操作する等により物体に対する操作を行う。コンピュータ2は、設定項目に応じて、表示装置11又は12のいずれかにおける操作対象の物体の透明度を上げる(S304)。
【0032】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0033】
例えば、コンピュータ2は、アラートを出力するアラート出力部を備えるようにしてもよい。アラート出力部は、例えば、訓練のやり忘れに対するアラートを出力することができる。例えば、アラート出力部は、操作入力部211及び表示制御部212による弱視訓練の処理が行われた日時を記憶装置203に記録しておき、記録した日時から所定時間が経過している場合に、訓練が行われていないことを示すアラートを出力することができる。
【0034】
なお、アラート出力部は、コンピュータ2と通信可能に接続されるサーバ装置(不図示)が備えるようにしてもよい。この場合、操作入力部211は、弱視訓練を実行した日時をサーバ装置に送信し、サーバ装置は、コンピュータ2又はユーザを特定する情報に対応付けて、弱視訓練を実行した日時を記憶する訓練日時記憶部を備えるようにすることができる。サーバ装置はまた、訓練日時記憶部に記憶されている日時から所定時間が経過したコンピュータ2又はユーザに対して、行われていないことを示すアラートを送信することができる。
【0035】
また、アラート出力部は、訓練を行うユーザに加えて又は代えて、他のユーザに対してアラートを送信することができる。アラート出力部は、例えば、ユーザの保護者、ユーザの上司、ユーザを診察している眼科医などに対してアラートを送信することができる。
【0036】
また、コンピュータ2は、弱視訓練を行った日時を含む履歴を記憶する履歴記憶部と、訓練の予定を記憶する予定記憶部とを備えるようにすることができる。訓練の予定には、例えば、所定期間(例えば、1週間や1か月など)における訓練の回数及び/又は訓練時間を設定することができる。訓練の予定には、例えば、訓練を行う予定の日付を設定することもできる。アラート出力部は、予定記憶部に記憶されている訓練の予定と、履歴記憶部に記憶されている訓練の履歴とを比較して、予定が遵守されている程度(遵守度)を求め、遵守度をユーザ又は眼科医に対して電子メールやチャットなどにより送信することができる。遵守度は、例えば、訓練の履歴から所定期間内に行われた訓練の回数及び/又は時間を集計し、予定に設定されている回数及び/又は時間との差又は比を計算することにより計算することができる。遵守度はまた、予定に設定されている日付(前後所定日数を含めてよい)に対応する履歴が履歴記憶部に記憶されているか否かにより訓練が行われたか否かを判定し、例えば、予定された日付の日数で、訓練が行われた日付の日数を割ることで計算することができる。
【0037】
また、コンピュータ2は、訓練を行ったユーザに対して報奨を与える報奨付与部を備えることができる。報奨を与えることにより、ユーザのアドヒアランスを向上させることができる。
【0038】
報奨付与部は、報奨として、例えば金銭的な価値(マネタリーリワード)を与えることができる。報奨付与部は、例えば、アイテムの購入に用いることのできるポイントを発行することができる。
【0039】
報奨付与部は、報奨として、例えば、金銭的価値を問わずユーザ自身の中で意味を持つもの(インナーリワード)を与えることができる。報奨付与部は、例えば、達成感を与えるべく、難易度を調整することができる。報奨付与部は、例えば、所定の課題をクリアしたユーザにしか表示されないコンテンツを、その課題をクリアしたときに表示するようにすることができる。
【0040】
報奨付与部は、報奨として、例えば、他のユーザからの承認を得られるもの(ソーシャルリワード)を与えることができる。この場合、報奨付与部は、ユーザが透明度を変更した物体を用いたゲーム(上述の実施例では、けん玉を用いた技)をクリアした場合に、当該ユーザに対して得点を与える。
【0041】
コンピュータ2は、サーバ装置(不図示)に通信可能に接続され、報奨付与部は、ユーザに与えた得点をサーバ装置に送信することができる。サーバ装置は、ユーザごとに、ユーザの得点を記録する得点記憶部を備えることができる。得点記憶部は、所定の期間(1時間や1日、1週間、1年など任期の長さの期間とすることができる。)ごとに得点を集計(合計を想定するが、合計以外でもよい。)し、集計した点数(集計点)に応じてユーザをランク付けし、ランキングをコンピュータ2及び/又はユーザの端末(例えば、スマートフォンなど)に送信することができる。ランキングには、ニックネームなどのユーザを表示する情報と、期間(全期間であってもよい。)中の得点の集計点とが、集計点の順にソートして、上位所定数(例えば10人)分だけ含まれるようにすることができる。
【0042】
このようなランキングを行うことにより、弱視治療を行うユーザの訓練に対するモチベーションを向上させ、アドヒアランスを向上させることができる。
【0043】
報奨付与部は、例えば、得点に応じて(得点に応じた量又は得点によって異なる内容)の報奨を付与することができる。
【0044】
報奨付与部は、例えば、コンピュータ2を用いて弱視訓練のためのプログラムを起動(操作入力部211及び表示制御部212を実現)した回数に応じて(得点に応じた量又は得点によって異なる内容)の報奨を付与することができる。
【0045】
報奨付与部は、眼科医からの指示に応じて報奨を付与することができる。この場合、報奨付与部は、付与する予定の報奨をユーザが利用不能に記憶部に記憶するようにし、眼科医からの指示を受け付けた場合に、記憶されている報奨をユーザが利用可能に付与することができる。
【0046】
<開示事項>
なお、本開示には、以下のような構成も含まれる。
[項目1]
ユーザの片方の目に映像を表示する第1の表示装置と、
前記ユーザの他方の目に映像を表示する第2の表示装置と、
前記第1及び第2の表示装置に表示される前記ユーザの操作対象となる物体が前記第1及び第2の表示装置で異なる透明度となるように制御する表示制御部と、
を備えることを特徴とする視力訓練システム。
[項目2]
項目1に記載の視力訓練システムであって、
前記物体は仮想的なオブジェクトであり、
前記表示制御部は、前記ユーザに前記オブジェクトが三次元表示されるように、かつ、前記第1及び第2の表示装置で異なる透明度となるように、前記第1及び第2の表示装置に前記オブジェクトを表示すること、
を特徴とする視力訓練システム。
[項目3]
項目1に記載の視力訓練システムであって、
前記ユーザの目のうち、視力が強い方の目を示す情報を記憶する設定情報記憶部を備え、
前記表示制御部は、前記設定情報記憶部に記憶されている前記情報が示す前記目に前記映像を表示する前記第1又は第2の表示装置に表示される前記物体の前記透明度を上げるように制御すること、
を特徴とする視力訓練システム。
[項目4]
項目1に記載の視力訓練システムであって、
前記ユーザの視野を撮影する第1及び第2のカメラと、
前記第1及び第2のカメラが撮影した第1及び第2の画像を取得する画像取得部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記第1及び第2の画像から前記物体を検出し、前記第1又は第2の画像における前記物体の領域の透明度を上げること、
を特徴とする視力訓練システム。
[項目5]
ユーザの片方の目に映像を表示する第1の表示装置と、前記ユーザの他方の目に映像を表示する第2の表示装置とに表示される前記ユーザの操作対象となる物体について、前記第1及び第2の表示装置で異なる透明度となるように制御するステップをコンピュータが実行することを特徴とする視力訓練方法。
[項目6]
ユーザの片方の目に映像を表示する第1の表示装置と、前記ユーザの他方の目に映像を表示する第2の表示装置とに表示される前記ユーザの操作対象となる物体について、前記第1及び第2の表示装置で異なる透明度となるように制御するステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0047】
1 HMD
2 コンピュータ
3 入力デバイス
【手続補正書】
【提出日】2023-02-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの片方の目に映像を表示する第1の表示装置と、
前記ユーザの他方の目に映像を表示する第2の表示装置と、
前記ユーザごとに難易度及び前記ユーザの目のうち視力が強い方の目を示す情報を記憶する設定情報記憶部と、
前記第1及び第2の表示装置に表示される前記ユーザの操作対象となる物体が前記第1及び第2の表示装置で異なる透明度となるように制御する表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記設定情報記憶部を参照して、前記ユーザに対応する前記難易度及び前記強い方の目を特定し、前記難易度に応じて、前記強い方の目に表示される前記物体の前記透明度を上げること
を特徴とする視力訓練システム。
【請求項2】
請求項1に記載の視力訓練システムであって、
前記物体は仮想的なオブジェクトであり、
前記表示制御部は、前記ユーザに前記オブジェクトが三次元表示されるように、かつ、前記強い方の目に表示される前記オブジェクトの前記透明度が上がるように、前記第1及び第2の表示装置に前記オブジェクトを表示すること、
を特徴とする視力訓練システム。
【請求項3】
請求項1に記載の視力訓練システムであって、
前記ユーザの視野を撮影する第1及び第2のカメラと、
前記第1及び第2のカメラが撮影した第1及び第2の画像を取得する画像取得部と、
を備え、
前記表示制御部は、前記第1及び第2の画像から前記物体を検出し、前記第1又は第2の画像において前記強い方の目に表示される前記物体の領域の透明度を上げること、
を特徴とする視力訓練システム。
【請求項4】
ユーザの片方の目に映像を表示する第1の表示装置と、前記ユーザの他方の目に映像を表示する第2の表示装置とに表示される前記ユーザの操作対象となる物体について、前記ユーザごとに予め設定された難易度に応じて、前記ユーザの視力が強い方に表示される前記物体の透明度を上げるように制御するステップをコンピュータが実行することを特徴とする視力訓練方法。
【請求項5】
ユーザの片方の目に映像を表示する第1の表示装置と、前記ユーザの他方の目に映像を表示する第2の表示装置とに表示される前記ユーザの操作対象となる物体について、前記ユーザごとに予め設定された難易度に応じて、前記ユーザの視力が強い方に表示される前記物体の透明度を上げる
ように制御するステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。