(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047729
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】ポンプシステム及びそれを備えた車両
(51)【国際特許分類】
F15B 11/02 20060101AFI20240401BHJP
B66F 9/22 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
F15B11/02 A
B66F9/22 D
B66F9/22 X
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153388
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡 祐介
(72)【発明者】
【氏名】本田 拓
(72)【発明者】
【氏名】竹本 翔一
(72)【発明者】
【氏名】北本 雄祐
(72)【発明者】
【氏名】高橋 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】中村 秀生
(72)【発明者】
【氏名】淺坂 雅史
【テーマコード(参考)】
3F333
3H089
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333FH04
3F333FH08
3H089BB02
3H089BB10
3H089CC01
3H089DA03
3H089DA13
3H089DB33
3H089EE36
3H089GG02
3H089JJ09
(57)【要約】
【課題】複数の流路に接続されたポンプユニットによって複動型シリンダを駆動する際において圧力脈動の発生を抑制する。
【解決手段】ポンプシステム100は、複数の流路L1,L2に接続されたポンプユニット10と、第1チャンバ22及び第2チャンバ23を有する複動型シリンダ20と、ポンプユニット10と第1チャンバ22を接続する第1流路L1と、ポンプユニット10と第2チャンバ23を接続する第2流路L2と、ポンプユニット10を制御する制御部60と、第1流路L1と流体用タンク70を接続する第3流路L1aと、第3流路L1aに設けられ、流体用タンク70に向かう方向の流れを規制する第1逆止弁24と、第2流路L2と流体用タンク70を接続する第4流路L2aと、第4流路L2aに設けられ、流体用タンク70に向かう方向の流れを規制する第2逆止弁25と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の流路に接続されたポンプユニットと、
第1チャンバ及び第2チャンバを有する複動型シリンダと、
前記ポンプユニットと前記第1チャンバを接続する第1流路と、
前記ポンプユニットと前記第2チャンバを接続する第2流路と、
前記第1流路へポンピングを行う場合は前記第2流路へモータリングを行い、前記第2流路へポンピングを行う場合は前記第1流路へモータリングを行うように、前記ポンプユニットを制御する制御部と、
前記第1流路と流体用タンクを接続する第3流路と、
前記第3流路に設けられ、前記流体用タンクに向かう方向の流れを規制する第1逆止弁と、
前記第2流路と前記流体用タンクを接続する第4流路と、
前記第4流路に設けられ、前記流体用タンクに向かう方向の流れを規制する第2逆止弁と、を備える、
ポンプシステム。
【請求項2】
前記制御部は、前記複動型シリンダを駆動する場合において、ポンピングよりもモータリングを所定の時間だけ早く開始するように前記ポンプユニットを制御する、
請求項1に記載のポンプシステム。
【請求項3】
前記制御部は、ポンピングされる流量がモータリングされる流量よりも少ない場合に、ポンピングされる流量がモータリングされる流量よりも多くなるように前記ポンプユニットを制御する、
請求項1又は請求項2に記載のポンプシステム。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のポンプシステムを備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポンプシステム及びそれを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポンプ機能及びモータ機能を備えた多系統のポンプが知られている。このような多系統のポンプは、ポンプに接続された複数の系統の流量を制御可能であり、例えば、フォークリフト等の車両に搭載されることがある。
【0003】
ここで、
図4を用いて、多系統のポンプを備える従来例のポンプシステムについて説明する。
図4は、従来例に係るポンプシステム200の一例を示す油圧回路図であり、ポンプシステム200をフォークリフトに搭載した場合の例である。従来例のポンプシステム200は、モータ部11及びポンプ部12を有するポンプユニット10と、ポンプユニット10と接続される流体用タンク70と、ポンプユニット10を制御する制御部160と、を備える。また、ポンプユニット10は、流路L3を介して蓄圧器30と接続され、流路L4を介してリフト用の単動型シリンダ40と接続され、流路L5を介してタイヤ駆動用の油圧モータ50と接続されている。また、ポンプユニット10は、第1流路L1及び第2流路L2という2つの系統を使用してチルト用の複動型シリンダ20を駆動するよう構成されている。
【0004】
図4の例と同様に、特許文献1においても、多系統のポンプをフォークリフトに適用し、2つの系統を使用してチルト用の複動型シリンダを駆動することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多系統のポンプにおける2つの系統を使用して複動型シリンダを駆動する場合、圧力脈動が生じて、シリンダ動作がギクシャクしたり、シリンダが振動したり、また、複動型シリンダのピストンの作動損失が増加することがある。以下、
図5を用いて、この問題について説明する。
【0007】
図5は、
図4に示すポンプシステム200における複動型シリンダ20の動作の一例を示す模式図である。
図5に示すように、複動型シリンダ20の第1チャンバ22には第1流路L1が接続され、第2チャンバ23には第2流路L2が接続されている。ピストン21を移動させる向きに応じてこれらの各流路へポンピング(流体を送る動作)又はモータリング(流体を抜く動作)を行い、ピストン21の両側に必要な差圧を生じさせることにより、ピストン21がピストン運動をする。
【0008】
例えば、
図5の上図に示すように、ピストン21を第1チャンバ22の方向へ移動させる場合、ポンプユニット10は、第1流路L1へモータリングを行い、第2流路L2へポンピングを行うことで、第2チャンバ23内の圧力を第1チャンバ22内の圧力よりも大きくし、ピストン21を第1チャンバ22の方向へ移動させる。また、
図5の下図に示すように、ピストン21を第2チャンバ23の方向へ移動させる場合、ポンプユニット10は、第1流路L1へポンピングを行い、第2流路L2へモータリングを行うことで、第1チャンバ22内の圧力を第2チャンバ23内の圧力よりも大きくし、ピストン21を第2チャンバ23の方向へ移動させる。
【0009】
ここで、ポンプシステム200をフォークリフトに適用する場合、流体は油であることが一般的である。そのような油圧回路において容積変化を生じさせることは困難であるため、ピストン21をピストン運動させるために一方の流路へ送る油量と他方の流路から抜く油量は同量にすることが望ましい。しかし、現実には両者を同量に制御することは難しく、送る油量と抜く油量に差が生じてしまって、圧力脈動が発生することがある。このような圧力脈動は、シリンダ動作がギクシャクしたり、シリンダが振動したりする原因となり、また、ピストン21の作動損失が増加する原因にもなる。
【0010】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本開示は、複数の流路に接続されたポンプユニットによって複動型シリンダを駆動する際において圧力脈動の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一実施形態に係るポンプシステムは、
複数の流路に接続されたポンプユニットと、
第1チャンバ及び第2チャンバを有する複動型シリンダと、
前記ポンプユニットと前記第1チャンバを接続する第1流路と、
前記ポンプユニットと前記第2チャンバを接続する第2流路と、
前記第1流路へポンピングを行う場合は前記第2流路へモータリングを行い、前記第2流路へポンピングを行う場合は前記第1流路へモータリングを行うように、前記ポンプユニットを制御する制御部と、
前記第1流路と流体用タンクを接続する第3流路と、
前記第3流路に設けられ、前記流体用タンクに向かう方向の流れを規制する第1逆止弁と、
前記第2流路と前記流体用タンクを接続する第4流路と、
前記第4流路に設けられ、前記流体用タンクに向かう方向の流れを規制する第2逆止弁と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、複数の流路に接続されたポンプユニットによって複動型シリンダを駆動する際において圧力脈動の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る車両を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施形態に係るポンプシステムを示す油圧回路図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すポンプシステムにおける複動型シリンダの動作の一例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、従来例に係るポンプシステムの一例を示す油圧回路図である。
【
図5】
図5は、
図4に示すポンプシステムにおける複動型シリンダの動作の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の一実施形態に係るポンプシステム及び車両について図面を参照しながら説明する。各図面において、同一又は同等の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、各図面に示された各構成要素の寸法は、説明の便宜上のものであって、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0015】
まず、
図1及び
図2を用いて、本開示の一実施形態に係るポンプシステム及び車両について説明する。
図1に示す車両1は、
図2に示すポンプシステム100を備えたフォークリフトである。フォークリフトは、ポンプシステム100を適用できる車両の一例である。ポンプシステム100は、油圧ショベル等の他の車両に適用することもできる。また、ポンプシステム100は、車両ではなく、工作機械や建設機械等の他の機械に適用してもよい。
【0016】
図2に示すように、本開示の一実施形態に係るポンプシステム100は、ポンプユニット10と、複動型シリンダ20と、蓄圧器30と、単動型シリンダ40と、油圧モータ50と、制御部60と、流体用タンク70と、を備える。また、ポンプシステム100は、第1流路L1と、第2流路L2と、第3流路L1aと、第4流路L2aと、流路L3~5と、第1逆止弁24と、第2逆止弁25と、を備える。本実施形態において、ポンプシステム100は油圧式であり、流体として油を用いるものであるが、ポンプシステム100は、油以外の他の流体を用いてもよい。
【0017】
ポンプユニット10は、モータ部11と、ポンプ部12と、を有する。モータ部11は、ポンプ部12の駆動源となるエンジンである。ポンプ部12は、例えば、可変容量型のポンプであって、複数の流路に接続されている。ポンプユニット10は、制御部60からの制御信号に基づいて、ポンプユニット10に接続された各流路へのポンピングやモータリングを行う。
【0018】
蓄圧器30は、エネルギー回生用に設けられており、流体を高圧状態で貯留可能である。蓄圧器30は、流路L3を介してポンプ部12と接続される。単動型シリンダ40は、リフト用のシリンダであり、フォークリフトのフォークのリフト動作に関与する。単動型シリンダ40は、流路L4を介してポンプ部12と接続される。油圧モータ50は、フォークリフトのタイヤを駆動させるためのモータである。油圧モータ50は、流路L5を介してポンプ部12と接続される。流体用タンク70は、流体として用いる油を貯蔵する。本実施形態において、流体用タンク70は、複数の流路を介してポンプ部12に接続されている。
【0019】
複動型シリンダ20は、フォークリフトのフォークのチルト動作に関与する。複動型シリンダ20は、ピストン21と、第1チャンバ22と、第2チャンバ23と、を有する。第1チャンバ22は、第1流路L1を介してポンプ部12と接続される。第2チャンバ23は、第2流路L2を介してポンプ部12と接続される。
【0020】
第1流路L1は、第3流路L1aを介して流体用タンク70と接続される。第1逆止弁24は、第3流路L1a上に設けられ、流体用タンク70に向かう方向の流れを規制する。第2流路L2は、第4流路L2aを介して流体用タンク70と接続される。第2逆止弁25は、第4流路L2a上に設けられ、流体用タンク70に向かう方向の流れを規制する。第1逆止弁24及び第2逆止弁25は、従来公知の構造を適宜採用できる。
【0021】
制御部60は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有している。CPUは、ROMから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムと協働してポンプシステム100の各種の制御を行う。
【0022】
制御部60は、例えば、操作者によるフォークリフトの操作を入力情報とし、該入力情報等に基づいて、モータ部11及びポンプ部12の動作を制御する。具体的には、制御部60は、ポンプ部12における各流路との接続ポートに設けられた電磁弁(図示せず)への電流供給を制御する制御信号を出力し、電磁弁の開閉を制御することで、各流路に対するポンピングやモータリングを個別に制御しうる。制御部60が入力情報等に基づいてモータ部11やポンプ部12の動作を制御することにより、フォークリフトは、操作者の操作に従った各種の動作を行う。
【0023】
例えば、制御部60は、第1流路L1へポンピングを行う場合は第2流路L2へモータリングを行い、第2流路L2へポンピングを行う場合は第1流路L1へモータリングを行うように制御信号を出力する。このような制御により複動型シリンダ20のピストン21がピストン運動させ、フォークリフトのフォークにチルト動作を行わせる。
【0024】
次に、
図3を用いて、
図2に示すポンプシステム100における複動型シリンダ20の動作について説明する。
図3の上図は、ピストン21を第1チャンバ22側へ移動させる場合の動作例である。この動作例において、ポンプユニット10は、第2流路L2へと流体を送るためにポンピングを行い、第1流路L1から流体を抜くためにモータリングを行っている。
【0025】
ピストン21を第1チャンバ22側へ移動させる場合の制御の一例として、制御部60は、第1流路L1から抜かれる流量と、第2流路L2へ送る流量が同じになるように制御する。ここで、実際にはズレが生じ、第2流路L2へ送られた流量よりも第1流路L1から抜かれた流量の方が少なかった場合を想定する。この場合、第1流路L1内の圧力が下がって第1逆止弁24のクラッキング圧力に到達すると、第1逆止弁24が開き、第3流路L1aを介して流体用タンク70から第1流路L1内へと流体が流れ込む。そして、第1流路L1から抜かれた流量と第2流路L2へ送られた流量が同等程度に近づくと、第1逆止弁24がレシート圧力を下回り、第1逆止弁24が閉じる。このように、第3流路L1a及び第1逆止弁24を設けることで、第2流路L2へ送られた流量よりも第1流路L1から抜かれた流量の方が少なくなった場合であっても、第1流路L1の流量を適宜調整でき、結果として、圧力脈動の発生を抑制できる。なお、この場合、すなわち、第2流路L2へポンピングをしている場合において、第2逆止弁25は開かない。
【0026】
ここで、第1逆止弁24が閉じた状態において、第3流路L1a内の圧力は、流体用タンク70内の圧力と同じであり、例えば、大気圧程度である。同様に、第2逆止弁25が閉じた状態において、第4流路L2a内の圧力は、流体用タンク70内の圧力と同じであり、例えば、大気圧程度である。流体用タンク70内の圧力は、ポンプシステム100を用いる用途等に応じて、適宜変更してもよい。また、上記のような流量調整をしやすくするという観点から、第1逆止弁24のクラッキング圧力は、例えば、0.2~1.0MPaであることが好ましい。
【0027】
この制御の例、すなわち、ピストン21を第1チャンバ22側へ移動させる場合において、制御部60は、第2流路L2へと流体を送るポンピングよりも第1流路L1から流体を抜くモータリングを所定の時間だけ早く開始するようにポンプユニット10を制御することが好ましい。所定の時間は、例えば、0.1~0.5秒であることが好ましい。このような制御によって、第2流路L2に負圧が生じ、ピストン21のピストン運動の初期段階で第1逆止弁24が開くことになる。その結果、ピストン運動の初期段階から、第3流路L1aから第1流路L1に流体が流れ込み、より適切に第1流路L1から抜かれる流量の調整が可能になる。
【0028】
また、ピストン21を第1チャンバ22側へ移動させる場合であって、第1流路L1から抜かれた流量の方よりも第2流路L2へ送られた流量の方が少ない場合、制御部60は、ポンピングされる流量がモータリングされる流量よりも多くなるようにポンプユニット10を制御することが好ましい。このような制御によって、第2流路L2へ送られた流量よりも第1流路L1から抜かれた流量の方が少なくなるので、上述したような流量調整がなされることになる。その結果、圧力脈動の発生を抑制できる。
【0029】
また、制御部60は、当初から、第1流路L1から抜かれる流量と第2流路L2へ送る流量が同じになるように制御するのではなく、第1流路L1から抜かれる流量よりも第2流路L2へ送る流量が所定量だけ多くなるように制御してもよい。所定量は、例えば、第1流路L1から抜かれる流量と第2流路L2へ送る流量が同じになるように制御した場合に生じうる実際のズレの最大値程度の値であることが好ましい。このような制御によって、ピストン運動の初期段階において第2流路L2へ送られた流量よりも第1流路L1から抜かれた流量の方が少なくなるので、上述したような流量調整がなされることになる。その結果、圧力脈動の発生を抑制できる。
【0030】
図3の下図は、ピストン21を第2チャンバ23側へ移動させる場合の動作例である。この動作例において、ポンプユニット10は、第1流路L1へと流体を送るためにポンピングを行い、第2流路L2から流体を抜くためにモータリングを行っている。
【0031】
図3の下図に示す状態において、第1流路L1へ送られた流量よりも第2流路L2から抜かれた流量の方が少なかった場合、第2流路L2内の圧力が下がって第2逆止弁25のクラッキング圧力に到達すると、第2逆止弁25が開き、第4流路L2aを介して流体用タンク70から第2流路L2内へと流体が流れ込む。そして、第2流路L2から抜かれた流量と第1流路L1へ送られた流量が同等程度に近づくと、第2逆止弁25がレシート圧力を下回り、第2逆止弁25が閉じる。このように、第4流路L2a及び第2逆止弁25を設けることで、第1流路L1へ送られた流量よりも第2流路L2から抜かれた流量の方が少なくなった場合であっても、第2流路L2の流量を適宜調整でき、結果として、圧力脈動の発生を抑制できる。なお、この場合、すなわち、第1流路L1へポンピングをしている場合において、第1逆止弁24は開かない。また、第2逆止弁25のクラッキング圧力は、第1逆止弁24と同じであることが好ましい。
【0032】
このように、
図3の下図の状態では、
図3の上図について説明した内容とポンピング側及びモータリング側が逆になるだけで、同様の制御が行われうる。よって、その他の制御については説明を省略する。
【0033】
以上、本開示に係る一実施形態について詳述したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が可能である。例えば、ポンプシステム100は、蓄圧器30、単動型シリンダ40、及び油圧モータ50のうちの1以上を備えていなくともよいし、他の構成要素を含んでいてもよい。本発明には、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0034】
[付記]
以上のとおり、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 複数の流路に接続されたポンプユニットと、
第1チャンバ及び第2チャンバを有する複動型シリンダと、
前記ポンプユニットと前記第1チャンバを接続する第1流路と、
前記ポンプユニットと前記第2チャンバを接続する第2流路と、
前記第1流路へポンピングを行う場合は前記第2流路へモータリングを行い、前記第2流路へポンピングを行う場合は前記第1流路へモータリングを行うように、前記ポンプユニットを制御する制御部と、
前記第1流路と流体用タンクを接続する第3流路と、
前記第3流路に設けられ、前記流体用タンクに向かう方向の流れを規制する第1逆止弁と、
前記第2流路と前記流体用タンクを接続する第4流路と、
前記第4流路に設けられ、前記流体用タンクに向かう方向の流れを規制する第2逆止弁と、を備える、
ポンプシステム。
このポンプシステムによれば、複数の流路に接続されたポンプユニットによって複動型シリンダを駆動する際において圧力脈動の発生を抑制することができる。
具体的には、ポンピングにより送られる流量よりもモータリングにより抜かれる流量が少なかった場合に、モータリング側に備えられた逆止弁が開きうる。その結果、モータリング側で流量の調整がなされることになり、圧力脈動の発生を抑制することができる。また、その結果として、例えば、シリンダ動作がギクシャクしたり、シリンダが振動したりすることを抑制でき、同様に、ピストンの作動損失を増加させにくくすることができる。
【0035】
(2) 前記制御部は、前記複動型シリンダを駆動する場合において、ポンピングよりもモータリングを所定の時間だけ早く開始するように前記ポンプユニットを制御する、
上記(1)に記載のポンプシステム。
このポンプシステムによれば、ピストン運動の初期段階から、モータリングを行う流路に負圧が生じ、モータリングを行う流路側の逆止弁が開くことになる。よって、例えば、ピストン運動の初期段階から、より適切に流量の調整が可能になる。結果として、圧力脈動の発生をさらに適切に抑制することができる。
【0036】
(3) 前記制御部は、ポンピングされる流量がモータリングされる流量よりも少ない場合に、ポンピングされる流量がモータリングされる流量よりも多くなるように前記ポンプユニットを制御する、
上記(1)又は(2)に記載のポンプシステム。
このポンプシステムによれば、ポンピングにより送られた流量よりもモータリングにより抜かれた流量の方を少なくできるため、上記(1)と同様の流量調整を実現しうる。その結果、圧力脈動の発生を抑制できる。
【0037】
(4) 上記(1)から(3)のいずれかに記載のポンプシステムを備える車両。
この車両によれば、複動型シリンダにおける圧力脈動の発生が抑制されているので、車両の操作中にシリンダ動作のギクシャクやシリンダの振動が生じにくく、また、複動型シリンダでの作動損失が増加しにくくなる。
【符号の説明】
【0038】
1:車両
10:ポンプユニット
11:モータ部
12:ポンプ部
20:複動型シリンダ
21:ピストン
22:第1チャンバ
23:第2チャンバ
24:第1逆止弁
25:第2逆止弁
30:蓄圧器
40:単動型シリンダ
50:油圧モータ
60,160:制御部
70:流体用タンク
100,200:ポンプシステム
L1:第1流路
L1a:第3流路
L2:第2流路
L2a:第4流路
L3:(蓄圧器用)流路
L4:(単動型シリンダ用)流路
L5:(油圧モータ用)流路
【手続補正書】
【提出日】2023-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1チャンバ及び第2チャンバを有する複動型シリンダと、
流体用タンクと、
前記第1チャンバに接続された第1流路と、
前記第2チャンバに接続された第2流路と、
前記第1流路と前記流体用タンクの間に設けられた第1のポンプと、
前記第2流路と前記流体用タンクの間に設けられた第2のポンプと、
前記第1流路へポンピングを行う場合は前記第2流路へモータリングを行い、前記第2流路へポンピングを行う場合は前記第1流路へモータリングを行うように、前記第1のポンプ及び前記第2のポンプを制御する制御部と、
前記第1流路と前記流体用タンクを接続する第3流路と、
前記第3流路に設けられ、前記流体用タンクに向かう方向の流れを規制する第1逆止弁と、
前記第2流路と前記流体用タンクを接続する第4流路と、
前記第4流路に設けられ、前記流体用タンクに向かう方向の流れを規制する第2逆止弁と、を備える、
ポンプシステム。
【請求項2】
前記制御部は、前記複動型シリンダを駆動する場合において、ポンピングよりもモータリングを所定の時間だけ早く開始するように前記第1のポンプ及び前記第2のポンプを制御する、
請求項1に記載のポンプシステム。
【請求項3】
前記制御部は、ポンピングされる流量がモータリングされる流量よりも少ない場合に、ポンピングされる流量がモータリングされる流量よりも多くなるように前記第1のポンプ及び前記第2のポンプを制御する、
請求項1又は請求項2に記載のポンプシステム。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のポンプシステムを備える車両。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本開示の一実施形態に係るポンプシステムは、第1チャンバ及び第2チャンバを有する複動型シリンダと、流体用タンクと、前記第1チャンバに接続された第1流路と、前記第2チャンバに接続された第2流路と、前記第1流路と前記流体用タンクの間に設けられた第1のポンプと、前記第2流路と前記流体用タンクの間に設けられた第2のポンプと、前記第1流路へポンピングを行う場合は前記第2流路へモータリングを行い、前記第2流路へポンピングを行う場合は前記第1流路へモータリングを行うように、前記第1のポンプ及び前記第2のポンプを制御する制御部と、前記第1流路と前記流体用タンクを接続する第3流路と、前記第3流路に設けられ、前記流体用タンクに向かう方向の流れを規制する第1逆止弁と、前記第2流路と前記流体用タンクを接続する第4流路と、前記第4流路に設けられ、前記流体用タンクに向かう方向の流れを規制する第2逆止弁と、を備える。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
ピストン21を第1チャンバ22側へ移動させる場合の制御の一例として、制御部60は、第1流路L1から抜かれる流量と、第2流路L2へ送る流量が同じになるように制御する。ここで、実際にはズレが生じ、第2流路L2へ送られた流量よりも第1流路L1から抜かれた流量の方が多かった場合を想定する。この場合、第1流路L1内の圧力が下がって第1逆止弁24のクラッキング圧力に到達すると、第1逆止弁24が開き、第3流路L1aを介して流体用タンク70から第1流路L1内へと流体が流れ込む。そして、第1流路L1から抜かれた流量と第2流路L2へ送られた流量が同等程度に近づくと、第1逆止弁24がレシート圧力を下回り、第1逆止弁24が閉じる。このように、第3流路L1a及び第1逆止弁24を設けることで、第2流路L2へ送られた流量よりも第1流路L1から抜かれた流量の方が多くなった場合であっても、第1流路L1の流量を適宜調整でき、結果として、圧力脈動の発生を抑制できる。なお、この場合、すなわち、第2流路L2へポンピングをしている場合において、第2逆止弁25は開かない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
図3の下図に示す状態において、第1流路L1へ送られた流量よりも第2流路L2から抜かれた流量の方が
多かった場合、第2流路L2内の圧力が下がって第2逆止弁25のクラッキング圧力に到達すると、第2逆止弁25が開き、第4流路L2aを介して流体用タンク70から第2流路L2内へと流体が流れ込む。そして、第2流路L2から抜かれた流量と第1流路L1へ送られた流量が同等程度に近づくと、第2逆止弁25がレシート圧力を下回り、第2逆止弁25が閉じる。このように、第4流路L2a及び第2逆止弁25を設けることで、第1流路L1へ送られた流量よりも第2流路L2から抜かれた流量の方が
多くなった場合であっても、第2流路L2の流量を適宜調整でき、結果として、圧力脈動の発生を抑制できる。なお、この場合、すなわち、第1流路L1へポンピングをしている場合において、第1逆止弁24は開かない。また、第2逆止弁25のクラッキング圧力は、第1逆止弁24と同じであることが好ましい。