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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047738
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】蓄電デバイスおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/74 20130101AFI20240401BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20240401BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20240401BHJP
   H01G 11/00 20130101ALI20240401BHJP
   H01G 9/008 20060101ALI20240401BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240401BHJP
   H01M 50/536 20210101ALI20240401BHJP
   H01M 50/545 20210101ALI20240401BHJP
   H01M 50/566 20210101ALI20240401BHJP
   H01M 50/567 20210101ALI20240401BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20240401BHJP
【FI】
H01G11/74
H01G11/78
H01G11/84
H01G11/00
H01G9/008 303
H01M10/04 W
H01M50/536
H01M50/545
H01M50/566
H01M50/567
H01M50/548 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153397
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000228578
【氏名又は名称】日本ケミコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】黒木 隆史
(72)【発明者】
【氏名】川崎 裕介
【テーマコード(参考)】
5E078
5H028
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA14
5E078AB02
5E078AB13
5E078BA13
5E078FA02
5E078FA13
5E078HA05
5E078HA23
5E078KA04
5E078KA07
5H028AA05
5H028CC12
5H043AA19
5H043CA03
5H043EA35
5H043EA36
(57)【要約】
【課題】集電部材に対し、蓄電素子およびケースとの接続面積を多く確保して接続性を高めるとともに、蓄電デバイスの製造作業の容易化を図ることを目的としている。
【解決手段】積層した電極箔を巻回し、その端面ごとに極性の異なる電極部(陽極タブ10、陰極タブ12)が形成されている蓄電素子(8)と、内部に蓄電素子を収納する収納部(6)を有するケース(外装ケース4)と、収納部の底部側に配置され、蓄電素子の一方の端面に形成された電極部(陰極タブ12)と接続する第1の接続面部(22)と、収納部内でケースの内壁面と接続する第2の接続面部(24)を備える集電部品(集電部材20)とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層した電極箔を巻回し、その端面ごとに極性の異なる電極部が形成されている蓄電素子と、
内部に前記蓄電素子を収納する収納部を有するケースと、
前記収納部の底部側に配置され、前記蓄電素子の一方の端面に形成された前記電極部と接続する第1の接続面部と、前記収納部内で前記ケースの内壁面と接続する第2の接続面部を備える集電部品と、
を備えることを特徴とする蓄電デバイス。
【請求項2】
前記集電部品は、
前記第1の接続面部が溶接処理により前記電極部と接続され、
前記ケースの外周部分に対する加締め処理または溶接処理により前記第2の接続面部が前記ケースの内壁面と接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の蓄電デバイス。
【請求項3】
前記集電部品は、有底筒状に形成されており、前記蓄電素子の一方の前記端面を覆う底板部、および前記蓄電素子の側面の一部を覆う立壁部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蓄電デバイス。
【請求項4】
前記第2の接続面部は、前記底部側から前記ケースの内壁面に沿って、前記収納部内の長さの1/2以下の範囲に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の蓄電デバイス。
【請求項5】
前記集電部品は、前記底板部の一部に開孔が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の蓄電デバイス。
【請求項6】
電極箔を積層して巻回し、その端面ごとに極性の異なる電極部を有する蓄電素子を形成する工程と、
前記蓄電素子の一方の端面に集電部品を配置し、前記電極部と前記集電部品の第1の接続面部を接続させる工程と、
接続された前記集電部品と前記蓄電素子をケースの収納部内に収納する工程と、
前記収納部内で前記ケースの内壁面と前記集電部品の第2の接続面部を接続させる工程と、
を含むことを特徴とする蓄電デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記第1の接続面部の背面側からの溶接処理により前記第1の接続面部と前記電極部を接続する工程と、
前記ケースの外周部分に対する加締め処理または溶接処理により前記第2の接続面部と前記ケースの内壁面を接続する工程と、
を含むことを特徴とする請求項6に記載の蓄電デバイスの製造方法。
【請求項8】
さらに、前記電極部と前記集電部品の前記第1の接続面部を接続させた後に、前記蓄電素子に電解液を含浸させる工程と、
電解液を含浸させた後に前記蓄電素子をケースの収納部内に収納する工程と
を含むことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の蓄電デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、蓄電素子が収容されるケースの一部を外部端子として利用する蓄電デバイスについて、蓄電素子とケースとの接続技術に関する。
【背景技術】
【0002】
陽極箔と陰極箔を積層し、これを巻回した蓄電素子を用いる蓄電デバイスでは、たとえばそれぞれの巻回端面に配置した集電板と接続し、または蓄電素子が収納されるケースと巻回端面を接続することで、陽極側または陰極側の外部端子とするものがある(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-159530号公報
【特許文献2】特開2002-352789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ケースの一部を外部端子とする蓄電デバイスでは、蓄電素子とケースとの間に介在させた平板形状の集電部材に対し、蓄電素子の電極部およびケースの内壁面に対して溶接処理により接続する手法が採られている。この蓄電デバイスは小型化で高容量化が求められているため、収納部は必要部品である蓄電素子や集電部材、および電解液などが収納可能な容積で形成されている。
このような収納部の省スペース化に対応するため、蓄電デバイスでは、収納部の底面と蓄電素子との間に配置した集電部品の一面側を蓄電素子と接続し、その反対側の面をケースと接続させている。これらの集電部品の接続には溶接が用いられる。このとき、集電板では、たとえば蓄電素子と接続した溶接箇所に対し、ケースと接続する溶接箇所が近い場合、もしくは溶接箇所が重なった場合、蓄電素子もしくはケースとの接続強度の低下や溶接の伝熱による部品の劣化などを引き起こすおそれがある。また、このような溶接箇所が重なると、溶接により集電板に亀裂や破損などを含む強度劣化を生じさせるおそれがある。
これに対し、溶接部分を回避させるために、蓄電素子、ケースに対する溶接面積を小さくすれば接続強度が低下してしまい、蓄電デバイスに加わる振動や衝撃に対する耐性が低下するおそれがある。また、集電板とケースとの接続において、蓄電素子と集電板との溶接箇所を回避させて溶接を施すのは高度な技術を要するとともに、蓄電デバイスの製造の作業性を低下させるおそれがある。
【0005】
本開示の技術の発明者は、ケースの一部を外部端子とする蓄電デバイスにおいて、蓄電素子およびケースに対する集電部品の接続処理について、それぞれ異なる面で接続させることで、十分な接続強度を確保しつつ組立て処理の簡易化できるとの知見を得た。
【0006】
斯かる課題について開示や示唆がない特許文献1、2では、この課題を解決することができない。
【0007】
そこで、本開示の技術の目的は、集電部材に対し、蓄電素子およびケースとの接続面積を多く確保して接続性を高めるとともに、蓄電デバイスの製造作業の容易化を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本開示の蓄電デバイスの一側面は、積層した電極箔を巻回し、その端面ごとに極性の異なる電極部が形成されている蓄電素子と、内部に前記蓄電素子を収納する収納部を有するケースと、前記収納部の底部側に配置され、前記蓄電素子の一方の端面に形成された前記電極部と接続する第1の接続面部と、前記収納部内で前記ケースの内壁面と接続する第2の接続面部を備える集電部品とを備える。
【0009】
上記蓄電デバイスにおいて、 前記集電部品は、前記第1の接続面部が溶接処理により前記電極部と接続され、前記ケースの外周部分に対する加締め処理または溶接処理により前記第2の接続面部が前記ケースの内壁面と接続される。
上記蓄電デバイスにおいて、有底筒状に形成されており、前記蓄電素子の一方の前記端面を覆う底板部、および前記蓄電素子の側面の一部を覆う立壁部を備える。
上記蓄電デバイスにおいて、前記第2の接続面部は、前記底部側から前記ケースの内壁面に沿って、前記収納部内の長さの1/2以下の範囲に形成されている。
上記蓄電デバイスにおいて、前記集電部品は、前記底板部の一部に開孔が形成されている。
上記蓄電デバイスにおいて、前記開孔は、前記集電部品の底板部の中心部から所定距離で離間した位置に、複数形成される。
【0010】
上記目的を達成するため、本開示の蓄電デバイスの製造方法の一側面は、電極箔を積層して巻回し、その端面ごとに極性の異なる電極部を有する蓄電素子を形成する工程と、前記蓄電素子の一方の端面に集電部品を配置し、前記電極部と前記集電部品の第1の接続面部を接続させる工程と、接続された前記集電部品と前記蓄電素子をケースの収納部内に収納する工程と、前記収納部内で前記ケースの内壁面と前記集電部品の第2の接続面部を接続させる工程とを含む。
【0011】
上記蓄電デバイスの製造方法において、前記第1の接続面部の背面側からの溶接処理により前記第1の接続面部と前記電極部を接続する工程と、前記ケースの外周部分に対する加締め処理または溶接処理により前記第2の接続面部と前記ケースの内壁面を接続する工程とを含む。
上記蓄電デバイスの製造方法において、さらに、前記電極部と前記集電部品の前記第1の接続面部を接続させた後に、前記蓄電素子に電解液を含浸させる工程と、電解液を含浸させた後に前記蓄電素子をケースの収納部内に収納する工程とを含む。
【発明の効果】
【0012】
本開示の技術によれば、次のような効果が得られる。
【0013】
(1) 集電部材に対する蓄電素子およびケースの接続面を異ならせることで、集電部材に対する接続強度の低下防止、集電部材の劣化防止が図れる。
(2) 蓄電素子およびケースとの接続処理において、集電部材に対する作業を容易化できる。
(3) 集電部材の異なる部分で蓄電素子およびケースを接続させることで、それぞれの接続面積を十分に確保し、接続強度を維持できる。
(4) 集電部材とケースとの接続面積を多くとることができ、集電部材を介して収納部に収納された蓄電素子の耐振動性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態に係る蓄電デバイスの構成例を示す断面図である。
図2】蓄電素子の構成例を示す図である。
図3】第2の実施形態に係る蓄電デバイスの構成例を示す断面図である。
図4】蓄電デバイスの組立て処理の構成例を示す図である。
図5】集電部品の一例を示す図である。
図6】第3の実施形態に係る蓄電デバイスの構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔第1の実施形態〕
図1は、第1の実施形態に係る蓄電デバイスの構成例を示している。図1に示す構成は一例であり、斯かる構成に本発明が限定されない。
図1に示す蓄電デバイス2は、たとえば電気二重層コンデンサや電解コンデンサ、電池、その他の蓄電装置の一例であって、図1に示すように、有底筒状の外装ケース4内に形成される収納部6に蓄電素子8や電解液が収納されている。この蓄電デバイス2は、たとえば巻回されて形成された異なる端面に陽極タブ10、陰極タブ12という極性の異なる電極部が形成された蓄電素子8を用いる、所謂アキシアル構造のデバイスである。外装ケース4には、たとえば開口部14側に陽極タブ10、底部側に陰極タブ12が向けられるように蓄電素子8が収納されている。
【0016】
さらに蓄電デバイス2は、収納部6の開口部14側で蓄電素子8の陽極タブ10が集電部材16と接続し、かつ底部側で蓄電素子8の陰極タブ12が集電部材20と接続する。集電部材16は、たとえば蓄電素子8の端面に対向する平面部が形成されるとともに、この平板面と一体または接続して形成されて開口部14から収納部6の外部に向けて突出させた外部端子18を備えている。
【0017】
この外部端子18は、蓄電デバイス2を図示しない基板やその他の電子デバイスと接続して通電させるための端子部品の一例であり、集電部材16の平面部の横幅よりも径小に形成されるとともに、集電部材16の中心軸と同軸上、またはその近傍に形成される。一体化した集電部材16と外部端子18は、たとえば蓄電素子8との接続により収納部6内で逆「T」字形状に配置される。
【0018】
集電部材20は、本開示の集電部品の一例であり、少なくとも蓄電素子8の端面に平行またはそれに近い状態で配置される平面部の一部であって、蓄電素子8の端面に対向する面が陰極タブ12と接続する接続面部22を備えている。この接続面部22は、本開示の第1の接続面部の一例であり、溶接処理により平面部と陰極タブ12とを接続させている。
集電部材20は、たとえば周面部分の一部または全部に接続面部24が形成されており、外装ケース4の内壁面の一部と接触している。接続面部24と接触する内壁面は、筒状に形成された外装ケース4の一部であって、少なくとも収納部6内に収納された蓄電素子8の箔の外周面に対向する壁面である。この内壁面は、たとえば蓄電素子8の巻回形状と同等に曲面形状に形成されている。この接続面部24は、本開示の第2の接続面部の一例であって、集電部材20を介して外装ケース4と蓄電素子8の陰極側とを導通させる機能部である。接続面部24は、外装ケース4の外周面側から所定の強さの押圧により外装ケース4の一部を内側に変形させることで収納部6内に配置された集電部材20との接触により接続させる加締め処理が好ましく、または外装ケース4の外周側から溶接処理を施してもよい。
より具体的に、集電部材20は、たとえば平面部が収納部6の内径と同等またはそれに近い大きさで形成されており、かつ所定の厚さを備えている。そのほか集電部材20の平面部には、たとえば平面部の外周部分の一部または全部に沿って、所定の高さで立設した立壁が形成されてもよい。これにより接続面部24は、たとえば集電部材20の平面部か立壁の一部または全部、平面部と立壁の一部または全部に形成される。そして、溶接により接続面部24を形成する場合は、たとえば集電部材20の平面部の厚さの範囲(領域A)内に溶接箇所が設定されることが好ましい。また、加締めにより接続面部24形成する場合は、たとえば立壁の高さの範囲であってかつ蓄電素子8の陰極タブ12を含まない範囲(領域B)内を加締めるのが好ましい。外装ケース4への溶接処理では、たとえばレーザー光の照射による影響で、中空で薄肉の外装ケース4への影響を避ける必要があるが、領域Aでの溶接処理であれば、収納部6の内径と同等の径であり肉厚な集電部材20の平板部分の配置位置に重なる位置が溶接されるので、レーザー光の影響を受けずに、または最小限に抑えることができる。また外装ケース4の加締め処理では、たとえば蓄電素子8の陰極タブ12よりも蓄電素子8側、すなわち収納部の内側に近い位置で外装ケース4の一部を変形させればよい。
このように接続面部24の形成に加締め処理を用い、外装ケース4と蓄電素子8および集電部材20とが変形して一体化することで、蓄電デバイス2、蓄電素子8の耐震性が高められる。
【0019】
このような構成により、この蓄電デバイス2では、集電部材20を通じて導通した外装ケース4の一部を陰極側の外部端子として機能する。蓄電デバイス2は、たとえば実装させる基板や電子部品に対し、図示しないリード線やその他の導電性の部品を接続させてもよく、または外装ケース4の一部に端子部を形成してもよい。
【0020】
そのほか、この外装ケース4は、蓄電素子8や電解液を収納部6内に配置した後、開口部14側に配置される封口部材26によって収納部6が封止される。このとき外装ケース4は、たとえば開口部14の端部を収納部6の内側に折り込むほか、封口部材26の配置位置に対して外周側から押圧することで封口部材26と外装ケース4とを密着させ、加締め部28を形成して密閉状態となる。この封口部材26は、たとえば絶縁性のゴムやその他のゴム材、樹脂材料で形成されている。また封口部材26の一部には、集電部材16上面から突出する外部端子18が挿通される。このとき封口部材26は外部端子18の周面に対して圧着状態にしており、外部端子18の周面を通じた収納部6と外気との接触を遮断している。
さらに、外装ケース4の底部30には、たとえば収納部6内に充填されている電解液の化学反応などによる内圧上昇時に開状態となる弁機構を備えている。
【0021】
なお、収納部6内において、集電部材20は、平面部を収納部6の底面部に接触させてもよく、または平面部と底面部との間に隙間が生じるように配置してもよい。
【0022】
<蓄電素子8の構成について>
図2は蓄電素子の構成例を示している。
蓄電素子8は、たとえば陽極箔と陰極箔とがセパレータを介して積層されており、この積層体を所定方向に巻回して、円筒状の巻回素子を構成する。
陽極箔および陰極箔にはベース材としてたとえば、アルミニウム箔が用いられ、このアルミニウム箔の両面に活性炭等の活物質および結着剤等を含む分極性電極が形成されている。
セパレータは、陽極箔と陰極箔よりも幅広に形成されており、陽極箔と陰極箔とを絶縁させる。
この陽極箔には、たとえば図2Aに示すように、巻回方向に沿った一方の長辺部分に陽極張出部32が形成されている。また陰極箔には、たとえば巻回方向に沿って、他方の長辺部分に陰極張出部34が形成されている。
そして蓄電素子8は、巻回中心に対し、積層状態を維持したまま巻回される。これにより巻回体の端面には、一方に陽極張出部32の積層体が形成され、他方に陰極張出部34の積層体が形成される。この形成された陽極張出部32と陰極張出部34の積層体は、それぞれ所定方向に折り畳まれて陽極タブ10または陰極タブ12となる。
そのほか蓄電素子8には、たとえば周囲に保持テープが巻回され、陽極箔や陰極箔の巻き戻りを防止してもよい。
【0023】
蓄電素子8の巻回端面には、たとえば図2Bに示すように、立設した陽極張出部32に対し、巻回中心Oを基準とし、その円周方向に対して所定の角度ごとに複数の区画に区分する。そして陽極張出部32では、たとえば1つおきの区画ごとに金型などを巻回端面に押し付けることで、陽極張出部32を低頭に折曲げた第1の区画部10Aと、この第1の区画部10Aよりも高く突出させるように折曲げた第2の区画部10Bを形成する。
この蓄電素子8の陰極張出部34に対しても、陽極張出部32と同様の手法で、第1の区画部12Aと第2の区画部12Bを形成する。
【0024】
また陽極タブ10および陰極タブ12の成形処理では、たとえば陽極張出部32または陰極張出部34を折曲げてそれぞれの区画部10A、10B、12A、12Bを形成した後、集電部材16、20と密着可能な高さとなるように成形処理を施してもよい。この成形処理では、たとえば陽極タブ10および陰極タブ12の形成状態を安定化させるため、陽極タブ10および陰極タブ12に先端側から押圧治具によって素子端面側に圧力をかけてもよい。このように圧力をかけて成形処理することで、陽極タブ10および陰極タブ12は、各区画部の立ち上がりを防止し、集電部材16、20との溶接面積および接触面積を増加させることができる。
【0025】
そして、集電部材16、20は、たとえば蓄電素子8の陽極タブ10および陰極タブ12に対して平面部を載置した後、その反対側の面からレーザ照射することで、集電部材16と陽極タブ10、集電部材20と陰極タブ12とを溶接して接続させればよい。
【0026】
<第1の実施形態の効果>
斯かる構成によれば、以下のような効果が得られる。
(1) 外装ケース4の一部を外部端子とする電極部において、集電部材20に対する蓄電素子8および外装ケース4の内壁面との接続面部22、24を異ならせることで、溶接などの接続処理部分が重なるのを防止できる。これにより、集電部材20との接続強度の低下を防止できるとともに、集電部材20に対する負荷集中を回避でき、劣化防止が図れる。
(2) 蓄電素子8と集電部材20との接続面部22を避けて外装ケース4との接続面部24を形成するなどの作業が不要になり、蓄電デバイス2の組立て作業性を向上させることができる。
【0027】
(3) 集電部材20に対する蓄電素子8および外装ケース4の接続面を異ならせることで、集電部材20の接続処理の容易化が図れる。
(4) 集電部材20の異なる部分で蓄電素子8および外装ケース4を接続させることで、それぞれの接続面積を十分に確保し、接続強度を確保できる。
(5) 集電部材20と外装ケース4との接続面積を多くとることができ、集電部材20を介して収納部6に収納された蓄電素子8の耐振動性を向上させることができる。
(6) 集電部材20の外周部分を外装ケース4と接続させることで、蓄電素子8の巻回中心軸に対して交差方向に負荷される振動や応力に対する耐震性や保持性を高めることができる。
【0028】
〔第2の実施形態〕
図3は、第2の実施形態に係る蓄電デバイスの構成例を示している。図3に示す構成は一例であり、本開示の技術が斯かる構成に限定されない。また図3において、図1と同一部分には同一の符号を付している。
この実施形態の蓄電デバイス40は、たとえば接続する蓄電素子8の陰極タブ12とともに、蓄電素子8の一端側の周囲を覆う集電部材20を備えている。さらに、この蓄電デバイス40では、集電部材20と外装ケース4との接続処理により、蓄電素子8の一部と集電部材20とを密着させている。
【0029】
この集電部材20は、たとえば収納部6の底部側に配置され、蓄電素子8の陰極タブ12に対する接続面を備える平面部42と、この平面部42の外周部分に形成された立壁部44を備えている。平面部42は、底板部の一例である。この集電部材20は、平面部42と立壁部44の間に蓄電素子8の一端側を覆う空間である収納領域52(図5)を形成している。平面部42は、蓄電素子8の外径または収納部6の内径と同等またはそれに近い径の円形、またはそれに近い形状(図4図5)で形成されている。これにより、集電部材20は、収納部6内で外装ケース4の内壁面に沿って均等またはそれに近い間隔で配置されるほか、立壁部44により形成される収納領域内に蓄電素子8を収納させることができる。
【0030】
集電部材20には、たとえば蓄電素子8の陰極タブ12との接続処理として、レーザ照射による溶接部46が形成される。
また、蓄電デバイス40は、外装ケース4と集電部材20の立壁部44との接続処理として、外装ケース4の一部を外部から押圧した、加締め部48が形成されている。この加締め部48は、たとえば図示しない加締めコマなどの押圧治具を利用して形成される。これにより、外装ケース4は、一部が収納部6側に変形することで、立壁部44と密着状態となる。さらに、このとき立壁部44は、加締めの押圧により外装ケース4とともに変形して、蓄電素子8の一部と密着状態となる。
加締めの押圧深さや押圧強度は、外装ケース4の剛性および設定変形量に基づいて設定すればよく、かつ外装ケース4や立壁部44の変形により蓄電素子8の一部を破損させない程度に調整される。
加締め部48が形成された外装ケース4には、たとえば立壁部44の先端部分もしくは加締め部48から開口部14の方向に向けて、蓄電素子8と内壁面との間に所定幅の隙間が形成される。この隙間には、たとえば含浸処理が施された蓄電素子8とともに収納部6内に収納された電解液が流入し、貯留される。この収納部6内の隙間は、立壁部44の長さや加締め部48の位置に応じて、その形成位置、長さや容積が決まる。これにより収納部6内に貯留される電解液は、隙間の形成位置によって貯留する位置や水位とともに、蓄電素子8との接触位置が決まる。すなわち、立壁部44や加締め部48が形成されていない従来の蓄電デバイスでは、使用する向きに対し、重力によって収納部6の底部に電解液が貯まるのみである。これに対し、本開示の蓄電デバイス40では、立壁部44の高さや加締め部48の位置により、収納部6内での電解液の貯留位置が設定でき、蓄電素子8に対する電解液の含浸性の向上が図れる。
そのほか、集電部材20の立壁部44は、低く形成することで集電部材20の収納領域52に覆われる蓄電素子8の外周面積が小さくなる。これにより、蓄電素子8は、収納部6内に露出する面積が大きくなるため、電解液との接触可能性が高められ、電解液の含浸性を高めることができる。
なお、この蓄電デバイス40の組立て処理では、たとえば蓄電素子8の収納処理に合わせて、必要な量の電解液を外装ケース4の内部に注入する場合も含まれる。
【0031】
図4は、蓄電デバイスの組立て処理の一例を示している。
蓄電デバイス40の組立て処理では、たとえば蓄電素子8の巻回工程(S101)、蓄電素子8端面のタブ成型工程(S102)、陽極側の集電部材16の接続工程(S103)、陰極側の集電部材20の接続工程(S104)、電解液の含浸工程(S105)、封口部材26の設置工程(S106)、外装ケース4への収納工程(S107)、外装ケース4の開口部14の封止工程(S108)、外装ケース4と集電部材20の接続工程(S109)などが含まれる。
【0032】
蓄電素子8の巻回工程(S101):セパレータを介して陽極箔と陰極箔を積層し、この積層体を巻回中心Oで巻回して蓄電素子8を形成する。
蓄電素子8端面のタブ成型工程(S102):巻回した蓄電素子8の一方の端面に陽極張出部32、他方の端面に陰極張出部34を形成し、それぞれを複数に領域分けするとともに折曲げ処理を行って、陽極タブ10、陰極タブ12を形成する。
陽極側の集電部材16の接続工程(S103):陽極タブ10に対して集電部材16を配置し、その平面部に対して溶接処理を行う。
陰極側の集電部材20の接続工程(S104):蓄電素子8には、たとえば図4に示すように、陰極タブ12が形成された端部側に対して集電部材20を被せて、平面部42と立壁部44とで形成された収納領域52(図5)内に収納させる。集電部材20は、陰極タブ12を平面部42に接続させると、設定された位置として、たとえば突出した区画部12B(図2)の配置位置に合わせてレーザ照射して溶接接続する。この溶接処理により平面部42の外部側には、ナゲットと呼ばれる溶接部46が形成される。
【0033】
電解液の含浸工程(S105):集電部材16、20が接続された蓄電素子8は、たとえば図示しない電解液が貯留された処理槽内に浸漬され、陽極箔、陰極箔、巻回内部に電解液を含浸させる。
封口部材26の設置工程(S106):蓄電素子8には、集電部材16側にゴムや樹脂材料などで形成された封口部材26を配置させる。封口部材26の配置処理では、たとえば集電部材16と一体的に形成された外部端子18(図1)を図示しない挿通孔に挿通させることで、集電部材16に対する配置位置が設定される。
外装ケース4への収納工程(S107):外装ケース4の開口部14側に対し、集電部材20が設置された陰極タブ12側から収納部6内に挿入させていく。蓄電素子8は、たとえば予め設定された挿入量、または集電部材20の平面部42が収納部6の底部に接触するまで挿入させる。この蓄電素子8の挿入条件は、たとえば挿入させる距離のほか、設定された挿入速度とその挿入時間の組み合せなどを利用して制御してもよい。
外装ケース4の開口部14の封止工程(S108):蓄電デバイス40は、たとえば外装ケース4の内部に蓄電素子8が収納されると、開口部14(図1)の縁部を内側に折曲げる、縦加締め処理を行うとともに、封口部材26の配置位置に合せて、その周面側から外装ケース4を押圧する、横加締め処理により加締め部28を形成して、収納部6を封止させる。
【0034】
外装ケース4と集電部材20の接続工程(S109):外装ケース4の周面側であって、集電部材20の立壁部44の配置位置に対して押圧し、加締め部48を形成する。この加締め部48の形成処理では、たとえば収納部6の長手方向の長さ(深さ)L1、蓄電素子8の長手方向の長さL2、および立壁部44の長さL3を利用して、加締め位置を設定すればよい。加締め位置は、たとえば収納部6の底部からの距離Lxの条件として、少なくとも立壁部44の長さL3よりも小さい値が設定される。またこの距離Lxは、たとえば収納部6の底部と集電部材20の平面部42との間に生じる隙間や、外装ケース4の底部30の厚さなどを考慮して算出すればよい。この距離Lxは、たとえば収納部6の長さL1を基準に、その1/2以下に設定すればよく、もしくは1/3以下、1/4以下など、加締め位置を底部側に近い位置に設定してもよい。このように加締め位置を底部に近い位置に設定すれば、蓄電素子8は、たとえば収納部6内において、開口部14側の加締め部28と、底部側の加締め部48により、両端部側で固定保持されることで、蓄電デバイス40の耐震性が高められる。すなわち、蓄電素子8は、加締め部48の形成位置よりも底部に近い部分は固定保持されず、いわゆる片持ち梁状態の自由端となるため、できるだけ加締め位置を底部側に設定するのが好ましい。
【0035】
そのほか立壁部44の長さL3は、たとえば収納部6の長さL1を基準に、1/2以下の長さ、もしくは1/3以下の長さで形成されればよい。この蓄電デバイス40では、たとえば設定された加締め部48の形成位置に応じて立壁部44の長さL3を決めてもよく、または立壁部44の長さL3に基づいて加締め部48の形成位置を決めてもよい。
【0036】
<集電部材20の構成について>
集電部材20は、たとえば図5Aおよび図5Bに示すように、平面部42を底部とした有底筒状に形成されており、立壁部44の内側に蓄電素子8の一部を覆う収納領域52が形成される。また平面部42には、たとえば複数の開口部50が形成されている。この開口部50は、本開示の開孔の一例であり、平面部42のうち陰極タブ12と溶接処理が行われない部分に対し、設定された面積もしくは径で形成されている。つまり集電部材20には、底板部である平面部42上に、その中心部から所定距離で離間した位置に、複数の開口部50が形成されている。開口部50は、たとえば収納部6内に蓄電素子8を挿入する場合に電解液を通過させるほか、収納部6内で気化した電解液を外装ケース4の底部30の弁機構側に流すための流路として機能する。開口部50は、たとえば図5Aに示すように、所定の径の円形で形成してもよく、図5Bに示すように、陰極タブ12との溶接領域および立壁部44との接続部分以外を開孔させてもよい。また、開口部50は、たとえば平面部42の中心部よりも外周側に複数形成されればよい。これにより、蓄電素子8は、集電部材20と一体化させた後に電解液の含浸処理において、筒状の収納領域52内に電解液が行き渡り易くなり、電解液の含浸性が高められる。
つまり蓄電素子8は、電解液の含浸処理を行う前に集電部材20が接続される。蓄電素子8の陰極タブ12側の端面と素子側面の一部が集電部材20の収納領域52内に配置されることになる。蓄電素子8の外径と集電部材20の収納領域52の径は略同等に形成されているとともに、陰極タブ12と平面部42が溶接により密着状態となるため、収納領域52内で、蓄電素子8の表面に対して平面部42および立壁部44との間に隙間が殆ど形成されない。これに対し、平面部42の中心部よりも外周側に複数の開口部50を備えた蓄電素子8は、たとえば含浸処理として図示しない処理槽内に貯留された電解液内に漬ける手法を用いた場合、開口部50から収納領域52内に電解液が通流し易くなり、特に平面部42や立壁部44に近接する陰極タブ12の周面部分の電解液の含浸性が高められる。
【0037】
<第2の実施形態の効果>
斯かる構成によれば以下のような効果が得られる。
(1) 第1の実施形態と同様の効果が得られる。
(2) 集電部材20の立壁部44と重なる位置で外装ケース4を加締めて接続させることで、集電部材20の収納領域52に覆われた蓄電素子8の一部が保持されるので、蓄電デバイス40の耐振動性を向上させることができる。
(3) 外装ケース4内に蓄電素子8を収納させた後に電解液に含浸させる必要が無く、集電部材20などを装着させた蓄電素子8を電解液に含浸させることができるので、製造設備や製品自体が電解液の付着、電解質の結晶化などによる汚染を防止できる。
(4) 集電部材20に形成する開口部50の形成位置や面積、および開口数により、集電部材20が接続された蓄電素子8に対する電解液の含浸性を高めることができる。
【0038】
〔第3の実施形態〕
図6は、第3の実施形態に係る蓄電デバイスの構成例を示している。図6に示す構成は一例であり、本開示の技術が斯かる構成に限定されない。また図6において、図1図3と同一部分には同一の符号を付している。
この実施形態の蓄電デバイス60は、平面部62のみで形成された集電部材20を用いており、その蓄電素子8の陰極タブ12に対向した面で接続するとともに、平面部62の外周面を外装ケース4の内壁面に接触させて接続する場合を示している。また蓄電デバイス60は、たとえば図6に示すように、外装ケース4と集電部材20との接続部として、平面部62の配置位置に対し、外装ケース4の外周側から押圧して加締め部64を形成している。
【0039】
そのほか、蓄電デバイス60は、たとえば平面部62の配置位置に対し、外装ケース4の外周側からレーザを照射して溶接部を形成してもよい。この溶接処理を行う場合、たとえば電解液の沸騰を防止するために、レーザの出力を低減させるとともに、照射時間を長く設定するほか、レーザの照射面積を小さくして収納部6内の電解液に対する伝熱を最小限に抑えるようにしてもよい。
【0040】
この実施形態の集電部材20の平面部62は、たとえば他の実施形態に示す平面部よりも厚さを大きく形成している。この平面部62は、たとえば加締め部64を形成する治具の厚さよりも幅広に設定すればよい。これにより、加締め部64は、押圧部分の全て、またはほぼ全てが平面部62に形成される。これにより蓄電素子8のうち、陰極タブ12に対して押圧力が作用するのを阻止し、または小さく抑えることで、陰極タブ12の破損や変形を抑える。
【0041】
さらに、平面部62は、収納部6の内径と同等、もしくは略同等に形成することで、収納部6内に貯留している電解液に対し、加締めによる押圧力を作用させないほか、溶接処理による熱を平面部62で遮断する。
【0042】
<第3の実施形態の効果>
斯かる構成によれば、以下のような効果が得られる。
(1) 第1の実施形態と同様の効果が得られる。
(2) 第2の実施形態に示す蓄電デバイス40の組立て処理と同様の効果が得られる。
(3) 平面部62のみで形成された集電部材20であっても、蓄電素子8および外装ケース4に対して異なる面で接続させることができる。
(4) 平面部62を厚く形成することで、蓄電素子8の端部側の変形や、溶接による電解液の変質などの影響を抑制、または回避することができる。
【0043】
〔変形例〕
以上説明した実施形態について、その特徴事項や変形例を以下に列挙する。
【0044】
(1) 上記実施形態では、蓄電素子8の陰極側について、集電部材20を介して外装ケース4と接続させる場合を示したがこれに限らない。アキシアル構造の蓄電デバイス2において、蓄電素子8の陽極側を収納部6の底部側に配置し、集電部材20を介して外装ケース4に接続させるものであってもよい。
【0045】
(2) 上記実施形態では、外装ケース4に加締め部48、64を形成して集電部材20と接続させる場合について、外装ケース4の周面に沿って一連で加締める場合を示したがこれに限らない。加締め部48、64は、集電部材20の立壁部44、平面部62の位置に合せて、所定の長さ、および数で加締めを行うことで、外装ケース4と集電部材20を接続させてもよい。
【0046】
(3) 上記実施形態では、加締め部48、64の形成位置の設定について、収納部6の底部側からの距離を基準とする場合を示したがこれに限らない。加締め位置は、収納部6内に配置された立壁部44、平面部62の配置位置を特定可能な手法であればどのような算出、設定処理を用いてもよい。
【0047】
(4) 上記実施形態において、集電部材20の立壁部44の一部に開口部を形成してもよい。この開口部は、少なくとも加締め部48の形成位置以外に形成されており、開口径や開口形状はどのようなものであってもよい。立壁部44に開口部を形成することで、集電部材20と一体化した蓄電素子8に対する電解液の含浸処理において、立壁部44の開口部を通じて電解液を蓄電素子8側に流すことができ、含浸処理の作業性および蓄電素子8に対する含浸性の向上が図れる。
【0048】
(5) 上記実施形態では、集電部材20と外装ケース4とを接続させる接続面部24として、加締め処理により外装ケース4を外部から押圧して変形させる場合を示したがこれに限らない。蓄電デバイス2は、たとえば接続面部24の形成処理として、外装ケース4の外周面から集電部材20の立壁部の配置位置に対して溶接処理を施して接続してもよい。この場合、溶接処理では、たとえば外装ケース4の表面の溶接箇所やその周縁部に溶接熱により生じた孔で収納部6内を外部に露出させないように溶接温度や溶接手法を調整すればよい。
【0049】
以上説明したように、本開示の最も好ましい実施の形態等について説明した。本開示の技術は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本開示の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本開示の蓄電デバイスおよびその製造方法によれば、蓄電素子が収容されるケースの一部を外部端子として利用するアキシアル構造の蓄電デバイスにおいて、蓄電素子と外装ケースとの接続部分を集電部材の同一面上に形成させないことで、接続強度の低下や製造処理の作業性の低下を防止でき、有用である。
【符号の説明】
【0051】
2、40、60 蓄電デバイス
4 外装ケース
6 収納部
8 蓄電素子
10 陽極タブ
10A、12A 第1の区画部
12A、12B 第2の区画部
12 陰極タブ
14、50 開口部
16、20 集電部材
18 外部端子
22、24 接続面部
26 封口部材
28、48、64 加締め部
30 底部
32 陽極張出部
34 陰極張出部
42、62 平面部
44 立壁部
46、66 溶接部
52 収納領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6