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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047743
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】電動パワーステアリング装置
(51)【国際特許分類】
B62D 5/04 20060101AFI20240401BHJP
【ＦＩ】
B62D5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2022153404
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒川 祥史
(72)【発明者】
【氏名】藤井 大剛
【テーマコード（参考）】
3D333
【Ｆターム（参考）】
3D333CB02
3D333CB21
3D333CC14
3D333CD05
3D333CD09
3D333CE04
(57)【要約】
【課題】より小型化される電動パワーステアリング装置を提供すること。
【解決手段】電動パワーステアリング装置は、アシストピニオン軸と、ウォームホイールと、ウォームシャフトと、ボルトと、アシストピニオン軸収容部と、ウォームシャフト収容部と、アシストピニオン軸収容部に設けられる第１取付部と、ウォームシャフト収容部に設けられる第３取付部と、を備える。第１取付部にボルトの大径部が当接し且つ第３取付部の雌ねじ部にボルトの雄ねじ部が噛み合った状態で第３取付部が第１取付部にボルトを介して取り付けられる。第１方向から見て、ボルトの大径部の少なくとも一部がウォームシャフト収容部と重なる。
【選択図】図５
【解決手段】電動パワーステアリング装置は、アシストピニオン軸と、ウォームホイールと、ウォームシャフトと、ボルトと、アシストピニオン軸収容部と、ウォームシャフト収容部と、アシストピニオン軸収容部に設けられる第１取付部と、ウォームシャフト収容部に設けられる第３取付部と、を備える。第１取付部にボルトの大径部が当接し且つ第３取付部の雌ねじ部にボルトの雄ねじ部が噛み合った状態で第３取付部が第１取付部にボルトを介して取り付けられる。第１方向から見て、ボルトの大径部の少なくとも一部がウォームシャフト収容部と重なる。
【選択図】図５
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第１方向に延び、且つ、第１方向の一方側の外周にラック軸のラック歯と噛み合うピニオン歯が設けられるアシストピニオン軸と、
前記アシストピニオン軸における第１方向の他方側に取り付けられ、且つ、外周にホイール歯部が設けられるウォームホイールと、
前記ホイール歯部と噛み合うシャフト歯部を有し、前記ウォームホイールに対して第１方向に交差する第２方向の一方側に配置され、且つ、モータの駆動力によって回転するウォームシャフトと、
頭部を含む大径部と当該大径部の最大径よりも径が小さい雄ねじ部とを有し、前記大径部が第１方向の一方側に配置され前記雄ねじ部が第１方向の他方側に配置された状態で、第１方向に沿って延びる複数のボルトと、
前記アシストピニオン軸を収容し且つ第１方向の他方側に第１取付部および第２取付部が設けられるアシストピニオン軸収容部と、前記ウォームホイールを収容し且つ前記アシストピニオン軸収容部の第１方向の他方側に配置されるウォームホイール収容部と、当該ウォームホイール収容部に対して第２方向の一方側に配置され且つ前記ウォームシャフトを収容するウォームシャフト収容部と、前記ウォームシャフト収容部に設けられ且つ前記第１取付部に前記ボルトを介して取り付けられる第３取付部と、前記ウォームホイール収容部に設けられ且つ前記第２取付部に前記ボルトを介して取り付けられる第４取付部と、を含むハウジングと、
を備え、
前記第１取付部には、前記ボルトの前記雄ねじ部が貫通可能な貫通孔が設けられ、前記第３取付部には、前記ボルトの前記雄ねじ部が噛み合う雌ねじ部が設けられ、
前記第１取付部に前記ボルトの前記大径部が当接し且つ前記第３取付部の前記雌ねじ部に前記ボルトの前記雄ねじ部が噛み合った状態で前記第３取付部が前記第１取付部に前記ボルトを介して取り付けられ、
第１方向から見て、
前記ボルトの前記大径部の少なくとも一部が前記ウォームシャフト収容部と重なる、
電動パワーステアリング装置。
前記アシストピニオン軸における第１方向の他方側に取り付けられ、且つ、外周にホイール歯部が設けられるウォームホイールと、
前記ホイール歯部と噛み合うシャフト歯部を有し、前記ウォームホイールに対して第１方向に交差する第２方向の一方側に配置され、且つ、モータの駆動力によって回転するウォームシャフトと、
頭部を含む大径部と当該大径部の最大径よりも径が小さい雄ねじ部とを有し、前記大径部が第１方向の一方側に配置され前記雄ねじ部が第１方向の他方側に配置された状態で、第１方向に沿って延びる複数のボルトと、
前記アシストピニオン軸を収容し且つ第１方向の他方側に第１取付部および第２取付部が設けられるアシストピニオン軸収容部と、前記ウォームホイールを収容し且つ前記アシストピニオン軸収容部の第１方向の他方側に配置されるウォームホイール収容部と、当該ウォームホイール収容部に対して第２方向の一方側に配置され且つ前記ウォームシャフトを収容するウォームシャフト収容部と、前記ウォームシャフト収容部に設けられ且つ前記第１取付部に前記ボルトを介して取り付けられる第３取付部と、前記ウォームホイール収容部に設けられ且つ前記第２取付部に前記ボルトを介して取り付けられる第４取付部と、を含むハウジングと、
を備え、
前記第１取付部には、前記ボルトの前記雄ねじ部が貫通可能な貫通孔が設けられ、前記第３取付部には、前記ボルトの前記雄ねじ部が噛み合う雌ねじ部が設けられ、
前記第１取付部に前記ボルトの前記大径部が当接し且つ前記第３取付部の前記雌ねじ部に前記ボルトの前記雄ねじ部が噛み合った状態で前記第３取付部が前記第１取付部に前記ボルトを介して取り付けられ、
第１方向から見て、
前記ボルトの前記大径部の少なくとも一部が前記ウォームシャフト収容部と重なる、
電動パワーステアリング装置。
【請求項2】
前記第３取付部は、第２方向の一方側に突き出る第１フランジを含み、
当該第１フランジに前記雌ねじ部が設けられ、
第１方向から見て、
前記ボルトの前記大径部の一部が前記ウォームシャフト収容部と重なる、
請求項１に記載の電動パワーステアリング装置。
当該第１フランジに前記雌ねじ部が設けられ、
第１方向から見て、
前記ボルトの前記大径部の一部が前記ウォームシャフト収容部と重なる、
請求項１に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項3】
前記雌ねじ部は、前記第１フランジを第１方向に貫通する、
請求項２に記載の電動パワーステアリング装置。
請求項２に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項4】
第１方向から見て、
前記ボルトの前記大径部の全部が前記ウォームシャフト収容部と重なる、
請求項１に記載の電動パワーステアリング装置。
前記ボルトの前記大径部の全部が前記ウォームシャフト収容部と重なる、
請求項１に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項5】
前記第４取付部は、第２フランジを含み、当該第２フランジには、前記ボルトの前記雄ねじ部が噛み合う雌ねじ部が設けられ、
前記第２取付部は、前記第２フランジに対して第１方向の他方側に対向配置される第３フランジを含み、当該第３フランジには、前記ボルトの前記雄ねじ部が貫通可能な貫通孔が設けられ、
前記第３フランジに前記ボルトの前記大径部が当接し且つ前記第２フランジの前記雌ねじ部に前記ボルトの前記雄ねじ部が噛み合った状態で前記第２フランジが前記第３フランジに前記ボルトを介して取り付けられる、
請求項１に記載の電動パワーステアリング装置。
前記第２取付部は、前記第２フランジに対して第１方向の他方側に対向配置される第３フランジを含み、当該第３フランジには、前記ボルトの前記雄ねじ部が貫通可能な貫通孔が設けられ、
前記第３フランジに前記ボルトの前記大径部が当接し且つ前記第２フランジの前記雌ねじ部に前記ボルトの前記雄ねじ部が噛み合った状態で前記第２フランジが前記第３フランジに前記ボルトを介して取り付けられる、
請求項１に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項6】
前記アシストピニオン軸に対して第２方向の他方側に前記ラック軸が設けられ、当該ラック軸に対して第２方向の他方側に、前記ラック軸を前記アシストピニオン軸に向けて押すラックガイドが設けられ、
前記ラック軸は、第１方向および第２方向に交差する第３方向に延び、前記ラックガイドは、第２方向の他方側に向けて突出し、
前記ハウジングは、第１方向から見て、
第３方向に延び且つ前記ラック軸を収容するラック軸収容部と、当該ラック軸収容部から第２方向の他方側に突出し且つ前記ラックガイドを収容するラックガイド収容部と、を含み、
前記第２フランジおよび前記第３フランジは、
第１方向から見て、
前記ラック軸収容部と前記ラックガイド収容部とが交差する隅部に位置する、
請求項５に記載の電動パワーステアリング装置。
前記ラック軸は、第１方向および第２方向に交差する第３方向に延び、前記ラックガイドは、第２方向の他方側に向けて突出し、
前記ハウジングは、第１方向から見て、
第３方向に延び且つ前記ラック軸を収容するラック軸収容部と、当該ラック軸収容部から第２方向の他方側に突出し且つ前記ラックガイドを収容するラックガイド収容部と、を含み、
前記第２フランジおよび前記第３フランジは、
第１方向から見て、
前記ラック軸収容部と前記ラックガイド収容部とが交差する隅部に位置する、
請求項５に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項7】
前記ボルトの前記大径部は、前記頭部と、当該頭部よりも径が大きいワッシャーと、を含む、
請求項１から６のいずれか１項に記載の電動パワーステアリング装置。
請求項１から６のいずれか１項に記載の電動パワーステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献１の電動パワーステアリング装置は、ラック軸と、ピニオン軸と、ウォームホイールと、ウォームシャフトと、ハウジングと、を備える。具体的には、ピニオン軸の中心軸の軸方向の一端部にピニオン歯が設けられ、当該ピニオン歯がラック軸のラック歯に噛み合う。ピニオンシャフトの軸方向の他端部にウォームホイールが取り付けられ、ウォームホイールはウォームシャフトに噛み合う。ウォームシャフトは、モータの出力軸に回転可能に取り付けられる。
【0003】
ハウジングは、ピニオン軸を収容するピニオン軸収容部と、ウォームホイールを収容するウォームホイール収容部と、ウォームシャフトを収容するウォームシャフト収容部と、を備える。ピニオン軸収容部の上側に、ウォームホイール収容部およびウォームシャフト収容部が配置される。ウォームシャフト収容部のフランジとピニオン軸収容部のフランジとをボルトを介して締結している。具体的には、ウォームシャフト収容部のフランジに貫通孔を設け、ピニオン軸収容部のフランジに雌ねじ部を設ける。ボルトの頭部が上側で雄ねじ部が下側の状態になるように配置し、ボルトの雄ねじ部が、ピニオン軸収容部のフランジに雌ねじ部に噛み合い、ボルトの頭部がウォームシャフト収容部のフランジの上面に当接する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開２００１－２７１９１３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ウォームシャフト収容部のフランジは、ウォームシャフト収容部の側面の下端から側方に向けて突出している。ここで、ボルトの頭部とウォームシャフト収容部の側面との干渉を避けるため、例えば、ボルトの位置をウォームシャフト収容部の側面から遠ざけるか、ボルトの頭がウォームシャフト収容部の側面と干渉しない位置までウォームシャフト収容部のフランジの高さを高くする必要がある。具体的には、特許文献１では、図３に示すように、ボルト５３は、ウォームシャフト収容部のフランジに相当する取付ボス部３２ｆの貫通孔に挿通され、且つ、ボルト５３の雄ねじ部がピニオン軸収容部のフランジの雌ねじ部に噛み合うことによって、ウォームシャフト収容部をピニオン軸収容部に固定している。ここで、取付ボス部３２ｆの高さをウォームシャフトの高さより高い位置に配置することで、ボルト５３の頭がウォームシャフト収容部の側面に干渉しないようにしている。以上説明した特許文献１のように、ウォームシャフト収容部のフランジに形成された貫通孔にボルトを挿通して、ピニオン軸収容部のフランジの雌ねじにボルトの雄ねじ部を締め込み、ウォームシャフト収容部をピニオン軸収容部に固定する場合、フランジが大きくなり、ひいては、電動パワーステアリング装置が大型化する可能性がある。
【0006】
本開示は、前述の課題に鑑みてなされたものであって、より小型化される電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、一態様に係る電動パワーステアリング装置は、第１方向に延び、且つ、第１方向の一方側の外周にラック軸のラック歯と噛み合うピニオン歯が設けられるアシストピニオン軸と、前記アシストピニオン軸における第１方向の他方側に取り付けられ、且つ、外周にホイール歯部が設けられるウォームホイールと、前記ホイール歯部と噛み合うシャフト歯部を有し、前記ウォームホイールに対して第１方向に交差する第２方向の一方側に配置され、且つ、モータの駆動力によって回転するウォームシャフトと、頭部を含む大径部と当該大径部の最大径よりも径が小さい雄ねじ部とを有し、前記大径部が第１方向の一方側に配置され前記雄ねじ部が第１方向の他方側に配置された状態で、第１方向に沿って延びる複数のボルトと、前記アシストピニオン軸を収容し且つ第１方向の他方側に第１取付部および第２取付部が設けられるアシストピニオン軸収容部と、前記ウォームホイールを収容し且つ前記アシストピニオン軸収容部の第１方向の他方側に配置されるウォームホイール収容部と、当該ウォームホイール収容部に対して第２方向の一方側に配置され且つ前記ウォームシャフトを収容するウォームシャフト収容部と、前記ウォームシャフト収容部に設けられ且つ前記第１取付部に前記ボルトを介して取り付けられる第３取付部と、前記ウォームホイール収容部に設けられ且つ前記第２取付部に前記ボルトを介して取り付けられる第４取付部と、を含むハウジングと、を備え、前記第１取付部には、前記ボルトの前記雄ねじ部が貫通可能な貫通孔が設けられ、前記第３取付部には、前記ボルトの前記雄ねじ部が噛み合う雌ねじ部が設けられ、前記第１取付部に前記ボルトの前記大径部が当接し且つ前記第３取付部の前記雌ねじ部に前記ボルトの前記雄ねじ部が噛み合った状態で前記第３取付部が前記第１取付部に前記ボルトを介して取り付けられ、第１方向から見て、前記ボルトの前記大径部の少なくとも一部が前記ウォームシャフト収容部と重なる。なお、同様の態様として、前記第３取付部は、第２方向の一方側に突き出る第１フランジを含み、当該第１フランジに前記雌ねじ部が設けられ、第１方向から見て、前記ボルトの前記大径部の一部が前記ウォームシャフト収容部と重なる。
【0008】
前述したように、特許文献１では、ボルトの頭部が上側で雄ねじ部が下側に位置した状態で、ウォームシャフト収容部のフランジとピニオン軸収容部のフランジとを締結する。ボルトの頭部とウォームシャフト収容部の側面との干渉を避けるため、ボルトの位置をウォームシャフト収容部の側面から遠ざける必要がある。このため、フランジが大きくなり、ひいては、電動パワーステアリング装置が大型化する可能性がある。
【0009】
これに対して、本開示では、引用文献１に対してボルトの上下を反対側に配置している。即ち、ボルトの大径部が下側（第１方向の一方側）で雄ねじ部が上側（第１方向の他方側）に位置した状態で、ウォームシャフト収容部に設けた第３取付部と、アシストピニオン軸収容部に設けた第１取付部と、を締結する。さらに、第１方向から見て、ボルトの大径部の少なくとも一部がウォームシャフト収容部と重なる。
【0010】
従って、第３取付部および第１取付部を特許文献１のフランジよりも小さくしながら、ボルトの頭部とウォームシャフト収容部の壁面が干渉することを防止でき、ひいては、より小型化される電動パワーステアリング装置を提供することが可能となる。
【0011】
望ましい態様として、前記雌ねじ部は、前記第１フランジを第１方向に貫通する。このため、雌ねじ部を止まり穴にする場合に対して、ボルトと雌ねじ部との軸方向の噛み合い長さがより長くなる。よって、第３取付部と第１取付部との締結力がより大きくなる。
【0012】
望ましい態様として、第１方向から見て、前記ボルトの前記大径部の全部が前記ウォームシャフト収容部と重なる。従って、第３取付部および第１取付部を、さらに小さくすることができ、ひいては、さらに小型化される電動パワーステアリング装置を提供することが可能となる。
【0013】
望ましい態様として、前記第４取付部は、第２フランジを含み、当該第２フランジには、前記ボルトの前記雄ねじ部が噛み合う雌ねじ部が設けられ、前記第２取付部は、前記第２フランジに対して第１方向の他方側に対向配置される第３フランジを含み、当該第３フランジには、前記ボルトの前記雄ねじ部が貫通可能な貫通孔が設けられ、前記第３フランジに前記ボルトの前記大径部が当接し且つ前記第２フランジの前記雌ねじ部に前記ボルトの前記雄ねじ部が噛み合った状態で前記第２フランジが前記第３フランジに前記ボルトを介して取り付けられる。
【0014】
このように、ウォームホイール収容部に設けた第４取付部とアシストピニオン軸収容部に設けた第２取付部との締結においても、ボルトの上下位置を引用文献１に対して反対にし、ボルトの大径部が下側で雄ねじ部が上側に位置した状態で取り付ける。これによれば、全てのボルトの大径部と雄ねじ部の上下位置が同じになる。従って、ボルトの締結作業が全て下側から行うことができるため、当該締結作業が容易になる。
【0015】
望ましい態様として、前記アシストピニオン軸に対して第２方向の他方側に前記ラック軸が設けられ、当該ラック軸に対して第２方向の他方側に、前記ラック軸を前記アシストピニオン軸に向けて押すラックガイドが設けられ、前記ラック軸は、第１方向および第２方向に交差する第３方向に延び、前記ラックガイドは、第２方向の他方側に向けて突出し、前記ハウジングは、第１方向から見て、第３方向に延び且つ前記ラック軸を収容するラック軸収容部と、当該ラック軸収容部から第２方向の他方側に突出し且つ前記ラックガイドを収容するラックガイド収容部と、を含み、前記第２フランジおよび前記第３フランジは、第１方向から見て、前記ラック軸収容部と前記ラックガイド収容部とが交差する隅部に位置する。
【0016】
ラック軸収容部とラックガイド収容部とが交差する隅部は、デッドスペースになっている。従って、隅部に第２フランジおよび第３フランジを配置することにより、デッドスペースの有効利用を図ることができる。
【0017】
望ましい態様として、前記ボルトの前記大径部は、前記頭部と、当該頭部よりも径が大きいワッシャーと、を含む。このため、ワッシャーを設けたボルトであっても、第３取付部および第１取付部をより小さくすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、電動パワーステアリング装置がより小型化される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を実施するための形態（実施形態）につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、同一構造の部位には同一符号を付けて、説明を省略する。なお、本実施形態において、Ｚ方向を第１方向とし、Ｙ方向を第２方向、Ｘ方向を第３方向とする。Ｚ方向は、Ｙ方向と交差する。Ｘ方向は、Ｙ方向およびＺ方向と交差する。Ｚ２側は第１方向の一方側、Ｚ１側は第１方向の他方側である。Ｙ１側は第２方向の一方側、Ｙ２側は第２方向の他方側である。
【0021】
［実施形態］
実施形態に係る電動パワーステアリング装置について説明する。図１は、実施形態に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。図２は、図１の一部を示す斜視図である。図３は、図２の一部を拡大した斜視図である。図４は、図１のＩＶ－ＩＶ線による断面図である。図５は、図４の一部を拡大した模式図である。図６は、図３を別の方向から見た斜視図である。図７は、図６をアシストピニオン軸の軸方向から見た斜視図である。図８は、図７からボルトを取り外した状態を示す斜視図である。図９は、図７からウォームホイール収容部とウォームシャフト収容部を取り外した状態を示す斜視図である。図１０は、図７を下側から見た状態を示す斜視図である。
実施形態に係る電動パワーステアリング装置について説明する。図１は、実施形態に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。図２は、図１の一部を示す斜視図である。図３は、図２の一部を拡大した斜視図である。図４は、図１のＩＶ－ＩＶ線による断面図である。図５は、図４の一部を拡大した模式図である。図６は、図３を別の方向から見た斜視図である。図７は、図６をアシストピニオン軸の軸方向から見た斜視図である。図８は、図７からボルトを取り外した状態を示す斜視図である。図９は、図７からウォームホイール収容部とウォームシャフト収容部を取り外した状態を示す斜視図である。図１０は、図７を下側から見た状態を示す斜視図である。
【0022】
図１に示すように、電動パワーステアリング装置１００は、ステアリングホイール１０と、第１ステアリングシャフト１１と、第２ステアリングシャフト１２と、操舵ピニオン軸１３と、ラック軸１５と、タイロッド１６と、アシストピニオン軸２１と、ウォームホイール２３と、ウォームシャフト２７と、モータ７０と、ハウジング４００と、を備える。ハウジング４００は、操舵側ハウジング３と、アシスト側ハウジング４０と、を含む。操舵側ハウジング３とアシスト側ハウジング４０とは、繋がって一体構造になっている。電動パワーステアリング装置１００は、例えばいわゆるデュアルピニオンタイプのステアリング装置である。
【0023】
図１に示すように、ステアリングホイール１０は、第１ステアリングシャフト１１に連結され、第１ステアリングシャフト１１は、ユニバーサルジョイント１１１を介して第２ステアリングシャフト１２に連結される。第２ステアリングシャフト１２は、ユニバーサルジョイント１２１を介して操舵ピニオン軸１３に連結される。操舵ピニオン軸１３の下端部の外周には、ピニオン歯１４が設けられる。
【0024】
図１に示すように、ラック軸１５は、Ｘ方向に延びる。ここで、ラック軸１５の中心軸を中心軸ＡＸ２（図３参照）とすると、中心軸ＡＸ２の軸方向は、Ｘ方向に沿っている。即ち、ラック軸１５は、中心軸ＡＸ２の軸方向に延びる。Ｘ方向は、例えば車両の車幅方向である。図１に示すように、ラック軸１５の部位のうちＸ２側の外周には、ラック歯１５１が設けられる。ラック歯１５１は、操舵ピニオン軸１３のピニオン歯１４と噛み合う。ラック軸１５の部位のうちＸ１側の外周には、ラック歯１５２が設けられる。ラック歯１５２は、アシストピニオン軸２１のピニオン歯２２と噛み合う。ラック軸１５のＸ１側およびＸ２側の両端部は、タイロッド１６を介して車輪１７に連結される。
【0025】
以上説明したように、ステアリングホイール１０は、第１ステアリングシャフト１１、第２ステアリングシャフト１２を介して操舵ピニオン軸１３に連結される。従って、運転者がステアリングホイール１０に対して、左または右方向に操舵トルクを付与することにより、第１ステアリングシャフト１１と第２ステアリングシャフト１２とを介して操舵ピニオン軸１３に操舵トルクが伝達される。そして、操舵ピニオン軸１３のピニオン歯１４は、ラック歯１５１と噛み合うため、操舵トルクは、ラック軸１５がＸ方向に移動する力に変換される。
【0026】
また、図示しない操舵トルクセンサにより、ステアリングホイール１０に付与された操舵トルクを検出し、検出した操舵トルクに応じて、図示しないコントローラがモータ７０に電流を供給する。モータ７０に電流が供給されると、モータ７０にウォームホイール２３とウォームシャフト２７とを介して接続されたアシストピニオン軸２１に、モータ７０が発生させたアシストトルクが伝達され、アシストピニオン軸２１に接続されたラック軸１５がＸ方向に移動するアシスト力が発生する。
【0027】
すなわち、ステアリングホイール１０を操舵することにより生じる操舵トルクに応じてモータ７０を駆動することにより、ラック軸１５がＸ方向に移動することを補助することができる。
【0028】
次に、ハウジング４００について説明する。図１および図２に示すように、ハウジング４００は、Ｘ２側の操舵側ハウジング３とＸ１側のアシスト側ハウジング４０とを含む。図２に示すように、操舵側ハウジング３のＸ２側の端部およびアシスト側ハウジング４０のＸ１側の端部には、それぞれ車体取付部３１、４１３が取り付けられる。車体取付部３１には、貫通孔３２が設けられ、貫通孔３２に締結部材（例えばボルト）が挿入される。車体取付部４１３には、貫通孔４１４が設けられ、貫通孔４１４に締結部材（例えばボルト）が挿入される。即ち、締結部材を貫通孔３２、４１４に貫通させたのち車体に締結することにより、操舵側ハウジング３およびアシスト側ハウジング４０が車体に取り付けられる。
【0029】
操舵側ハウジング３には、操舵ピニオン軸１３およびラック軸１５におけるＸ２側の部位が収容される。具体的には、操舵ピニオン軸１３の先端部は、操舵ピニオン軸収容部３３の内部に収容される。アシスト側ハウジング４０には、アシストピニオン軸２１、ウォームホイール２３、ウォームシャフト２７およびラック軸１５におけるＸ２側の部位が収容される。
【0030】
図２から図４に示すように、アシスト側ハウジング４０は、ラック軸収容部４１１と、アシストピニオン軸収容部４と、ウォームホイール収容部５と、ウォームシャフト収容部６と、ラックガイド収容部４１２と、を備える。ラック軸収容部４１１は、ラック軸１５を収容する。ラックガイド収容部４１２は、ラックガイド１５３と、スプリング１５４と、を収容する。
【0031】
図４に示すように、ラック軸１５は、Ｙ１側の側面にラック歯１５２を有する。ラック軸１５におけるＹ２側の側面は、湾曲面である。ラック軸１５のＹ２側には、ラックガイド１５３と、スプリング１５４と、封止部材１５５と、が設けられる。具体的には、アシストピニオン軸収容部４の本体部４１から、筒状のラックガイド収容部４１２がＹ２側に向けて突出する。ラックガイド収容部４１２の内側に、ラックガイド１５３と、スプリング１５４と、が収容される。ラックガイド収容部４１２のＹ２側の端部には、封止部材１５５が嵌められる。スプリング１５４が縮んだ状態で、ラックガイド１５３とスプリング１５４とが収容されるため、スプリング１５４がラックガイド１５３をＹ１側に押すと、ラックガイド１５３がアシストピニオン軸２１に押し付けられる。これにより、ラック軸１５のラック歯１５２とアシストピニオン軸２１のピニオン歯２２との噛み合いが保持される。なお、アシストピニオン軸２１は、中心軸ＡＸ３を有する。中心軸ＡＸ３の軸方向は、Ｚ方向（第１方向）に沿う。
【0032】
図４に示すように、ウォームホイール２３は、アシストピニオン軸２１のＺ１側の端部に嵌合される。アシストピニオン軸２１におけるＺ１側の部位は、軸受け２４１を介してアシストピニオン軸収容部４の本体部４１に回転可能に支持される。アシストピニオン軸２１におけるＺ２側の部位は、軸受け２４２を介してアシストピニオン軸収容部４のフランジ４２に回転可能に支持される。ウォームホイール２３は、芯金部２３１と、ホイール歯部２３２とを備える。ホイール歯部２３２は、ウォームシャフト２７のシャフト歯部２７１に噛み合う。ウォームシャフト２７は、中心軸ＡＸ１を有する。ウォームシャフト２７は、モータ７０（図２参照）の出力軸に回転可能に取り付けられる。
【0033】
図４に示すように、アシストピニオン軸収容部４は、本体部４１と、フランジ４２と、を備える。本体部４１は、Ｚ方向に延びる筒状の部材である。フランジ４２は、本体部４１におけるＺ１側の端部に設けられて本体部４１の径方向外側に向けて広がる。本体部４１におけるＺ２側の端部は開口され、当該開口はキャップ２６で封止される。
【0034】
図４および図５に示すように、フランジ４２は、径方向内側に環状凸部４０１を有する。環状凸部４０１の外周面４０１ａには、シール部材収容溝５１４が周方向に沿って設けられる。シール部材収容溝５１４は、径方向内側に凹む。シール部材収容溝５１４には、シール部材Ｓが収容される。
【0035】
また、図９に示すように、フランジ４２は、Ｙ１側に位置する突出部（第１取付部）４２５と、Ｙ２側に位置する第３フランジ（第２取付部）４２４と、含む。即ち、突出部４２５は、フランジ４２におけるＹ１側の部位であり、第１取付部とも称される。突出部４２５には、貫通孔４２５ａが設けられる。貫通孔４２５ａには、ボルト２００の雄ねじ部２１２が貫通する。第３フランジ４２４は、フランジ４２におけるＹ２側の部位であり、第２取付部とも称される。第３フランジ４２４は、２つ設けられる。第３フランジ４２４には、貫通孔４２４ａが設けられる。貫通孔４２４ａには、ボルト２００の雄ねじ部２１２が貫通する。
【0036】
図９に示すように、環状凸部４０１には、凹部４３が設けられる。凹部４３は、底面４３ａおよび側面４３ｂに面する。凹部４３は、環状凸部４０１の周方向に沿って複数（本実施形態では、８つ）設けられる。また、環状凸部４０１は、第１環状部４２６と、第２環状部４２７と、複数（本実施形態では、８つ）の支持脚４２８と、を備える。フランジ４２の内周面４２ａの内周側には、底面４２ｂが隣接して設けられる。フランジ４２の内周面４２ａの内周側には、軸受け２４２が設けられる。
【0037】
次に、ウォームホイール収容部５およびウォームシャフト収容部６を説明する。図４および図５に示すように、ウォームホイール収容部５は、アシストピニオン軸収容部４のＺ１側に配置される。ウォームシャフト収容部６は、ウォームホイール収容部５に対してＹ１側に配置される。ウォームホイール収容部５は、ウォームホイール２３を収容する。ウォームシャフト収容部６は、ウォームシャフト２７を収容する。なお、モータ７０の出力軸にウォームシャフト２７が取り付けられ、図２に示すように、モータ７０はモータ取付板７に取り付けられる。ウォームホイール収容部５とウォームシャフト収容部６とは一体である。ウォームホイール収容部５は、側面部５１および天面部５２を有する。ウォームシャフト収容部６は、側面部６１および天面部６２を有する。
【0038】
図５に示すように、ボルト２００は、頭部２１０を含む大径部２１１と、雄ねじ部２１２と、を有する。ボルト２００は、中心軸ＡＸ４を有し、中心軸ＡＸ４の軸方向に延びる。大径部２１１は、ボルト２００の部位のうち径が最も大きい部位である。例えば、大径部２１１は、ボルト２００の頭部２１０である。また、頭部２１０よりも径が大きいワッシャー２１３（後述する図１１参照）が設けられる場合は、大径部２１１は、ワッシャー２１３である。大径部２１１は、最大径２１１Ａを有する。雄ねじ部２１２は、大径部２１１の最大径２１１Ａよりも径が小さい。ボルト２００は、大径部２１１がＺ２側に配置され雄ねじ部２１２がＺ１側に配置された状態で、Ｚ方向に沿って延びる。即ち、中心軸ＡＸ４の軸方向は、Ｚ方向と略一致した状態で締結される。
【0039】
次に、第１取付部３１０と第３取付部３３０を図５を参照して説明する。第１取付部３１０および第３取付部３３０は、ハウジング４００に含まれる。第３取付部３３０は、ウォームシャフト収容部６に設けられ且つ第１取付部３１０にボルト２００を介して取り付けられる。以下、具体的に説明する。前述のように、第１取付部３１０は、フランジ４２の突出部４２５である。突出部４２５には、貫通孔４２５ａが設けられる。本実施形態では、第３取付部３３０は、第１フランジ３３１である。第１フランジ３３１は、ウォームシャフト収容部６の側面部６１からＹ１側に突出する。第１フランジ３３１には、雌ねじ部３３２が設けられる。雌ねじ部３３２は、第１フランジ３３１をＺ方向に貫通する。
【0040】
次に、ボルト２００を第１取付部３１０および第３取付部３３０に締結する手順を簡単に説明する。まず、ボルト２００をＺ方向に沿って配置し、大径部２１１をＺ２側（下側）に配置し雄ねじ部２１２をＺ１側（上側）に配置した状態で、突出部４２５のＺ２側に配置する。そのまま、ボルト２００をＺ１側（上側）に向けて移動させ、雄ねじ部２１２を貫通孔４２５ａを通過させ、雌ねじ部３３２に雄ねじ部２１２を噛み込ませ、大径部２１１が突出部４２５の下面に当接させる。これにより、ボルト２００を第１取付部３１０および第３取付部３３０に締結することができる。
【0041】
ここで、図５に示すように、ボルト２００の大径部２１１の外周縁を通り中心軸ＡＸ４に平行な直線を、二点鎖線の直線Ｌ１、Ｌ２とする。直線Ｌ１は、大径部２１１の外周縁における最もＹ２側の部位を通り、直線Ｌ２は、大径部２１１の外周縁における最もＹ１側の部位を通る。直線Ｌ１は、ウォームシャフト収容部６の側面部６１を通る。換言すると、Ｚ方向から見て、ボルト２００の大径部２１１の一部がウォームシャフト収容部６と重なる。
【0042】
次に、第２取付部３２０と第４取付部３４０を図６から図９を参照して説明する。図６から図９に示すように、第２取付部３２０および第４取付部３４０は、ハウジング４００に含まれる。第４取付部３４０は、ウォームホイール収容部５に設けられ且つ第２取付部３２０にボルト２００を介して取り付けられる。以下、具体的に説明する。前述のように、第２取付部３２０は、第３フランジ４２４である。第３フランジ４２４は、２つ設けられ、Ｘ２側とＸ１側とにそれぞれ配置される。具体的には、図９に示すように、第３フランジ４２４は、Ｚ方向から見て、ラックガイド収容部４１２に対してＸ１側とＸ２側とに１つずつ配置される。第４取付部３４０は、第２フランジ５１６である。第２フランジ５１６は、２つ設けられ、第３フランジ４２４に対してＺ１側に対向配置される。第２フランジ５１６には、雌ねじ部５１７が設けられる。第２フランジ５１６は、Ｚ方向から見て、ラックガイド収容部４１２に対してＸ１側とＸ２側とに１つずつ配置される。第３フランジ４２４にボルト２００の大径部２１１が当接し且つ第２フランジ５１６の雌ねじ部５１７にボルト２００の雄ねじ部２１２が噛み合った状態で第２フランジ５１６が第３フランジ４２４にボルト２００を介して取り付けられる。なお、第２フランジ５１６と第３フランジ４２４とにボルト２００を締結させる手順は、前述のように、ボルト２００を第１取付部３１０および第３取付部３３０に締結する手順と同じである。
【0043】
ここで、図４で説明したように、アシストピニオン軸２１に対してＹ２側にラック軸１５が設けられ、ラック軸１５に対してＹ２側にラックガイド１５３が設けられる。ラックガイド１５３は、ラック軸１５をアシストピニオン軸２１に向けて押す。
【0044】
また、図１０に示すように、ラック軸１５は、Ｘ方向に延び、ラックガイド１５３は、Ｙ２側に向けて突出する。ラックガイド収容部４１２は、ラック軸収容部４１１からＹ２側に突出する。そして、ラックガイド収容部４１２のＸ１側およびＸ２側には、太い破線で示す隅部３５０、３５１が設けられる。隅部３５０、３５１の輪郭は、Ｚ方向から見て、例えば矩形状である。換言すると、Ｘ方向に延びるラック軸収容部４１１とＹ方向に延びるラックガイド収容部４１２とが交差し、当該交差部分に隅部３５０、３５１が形成される。隅部３５０は、ラックガイド収容部４１２に対してＸ１側に配置され、隅部３５１は、ラックガイド収容部４１２に対してＸ１側に配置される。Ｚ方向から見て、隅部３５０、３５１には、第２フランジ５１６および第３フランジ４２４が配置される。
【0045】
以上説明したように、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置１００は、Ｚ方向（第１方向）に延び、且つ、Ｚ２側（第１方向の一方側）の外周にラック軸１５のラック歯１５２と噛み合うピニオン歯２２が設けられるアシストピニオン軸２１と、アシストピニオン軸２１におけるＺ１側（第１方向の他方側）に取り付けられ、且つ、外周にホイール歯部２３２が設けられるウォームホイール２３と、ホイール歯部２３２と噛み合うシャフト歯部２７１を有し、ウォームホイール２３に対してＹ１側に配置され、且つ、モータ７０の駆動力によって回転するウォームシャフト２７と、を備える。ハウジング４００は、アシストピニオン軸２１を収容し且つＺ１側に第１取付部３１０および第２取付部３２０が設けられるアシストピニオン軸収容部４と、ウォームホイール２３を収容し且つアシストピニオン軸収容部４のＺ１側に配置されるウォームホイール収容部５と、ウォームホイール収容部５に対してＹ１側（第２方向の一方側）に配置され且つウォームシャフト２７を収容するウォームシャフト収容部６と、を含む。また、電動パワーステアリング装置１００は、ウォームシャフト収容部６に設けられ且つ第１取付部３１０にボルト２００を介して取り付けられる第３取付部３３０と、ウォームホイール収容部５に設けられ且つ第２取付部３２０にボルト２００を介して取り付けられる第４取付部３４０と、を含む。ボルト２００は、頭部２１０を含む大径部２１１と大径部２１１の最大径２１１Ａよりも径が小さい雄ねじ部２１２とを有し、大径部２１１がＺ２側に配置され雄ねじ部２１２がＺ１側に配置された状態で、Ｚ方向に沿って延びる。
【0046】
第１取付部３１０には、ボルト２００の雄ねじ部２１２が貫通可能な貫通孔４２５ａが設けられ、第３取付部３３０には、ボルト２００の雄ねじ部２１２が噛み合う雌ねじ部３３２が設けられ、第１取付部３１０にボルト２００の大径部２１１が当接し且つ第３取付部３３０の雌ねじ部３３２にボルト２００の雄ねじ部２１２が噛み合った状態で第３取付部３３０が第１取付部にボルト２００を介して取り付けられる。第３取付部３３０は、Ｙ１側に突き出る第１フランジ３３１を含み、第１フランジ３３１に雌ねじ部３３２が設けられる。Ｚ方向から見て、ボルト２００の大径部２１１の一部がウォームシャフト収容部６と重なる。
【0047】
前述したように、特許文献１では、ボルトの頭部が上側で雄ねじ部が下側に位置した状態で、ウォームシャフト収容部のフランジとピニオン軸収容部のフランジとを締結する。ボルトの頭部とウォームシャフト収容部の側面との干渉を避けるため、ボルトの位置をウォームシャフト収容部の側面から遠ざける必要がある。このため、フランジが大きくなり、ひいては、電動パワーステアリング装置が大型化する可能性がある。
【0048】
これに対して、本実施形態では、ボルト２００の大径部２１１が下側（Ｚ２側）で雄ねじ部２１２が上側（Ｚ１側）に位置した状態で、ウォームシャフト収容部６に設けた第１フランジ３３１（第３取付部３３０）と、アシストピニオン軸収容部４に設けた突出部４２５（第１取付部３１０）と、を締結する。さらに、Ｚ方向から見て、ボルト２００の大径部２１１の一部がウォームシャフト収容部６と重なる。
【0049】
従って、第１フランジ３３１（第３取付部３３０）および突出部４２５（第１取付部３１０）を特許文献１のフランジよりも小さくすることができるため、ひいては、より小型化される電動パワーステアリング装置１００を提供することが可能となる。
【0050】
雌ねじ部３３２は、第１フランジ３３１をＺ方向に貫通する。このため、雌ねじ部３３２を止まり穴にする場合に対して、ボルト２００と雌ねじ部３３２との軸方向の噛み合い長さがより長くなる。よって、第１フランジ３３１と突出部４２５との締結力がより大きくなる。
【0051】
第４取付部３４０は、第２フランジ５１６を含み、第２フランジ５１６には、ボルト２００の雄ねじ部２１２が噛み合う雌ねじ部５１７が設けられる。第２取付部３２０は、第２フランジ５１６に対してＺ２側に対向配置される第３フランジ４２４を含み、第３フランジ４２４には、ボルト２００の雄ねじ部２１２が貫通可能な貫通孔４２４ａが設けられる。第３フランジ４２４にボルト２００の大径部２１１が当接し且つ第２フランジ５１６の雌ねじ部５１７にボルト２００の雄ねじ部２１２が噛み合った状態で第２フランジ５１６が第３フランジ４２４にボルト２００を介して取り付けられる。
【0052】
このように、ウォームホイール収容部５に設けた第４取付部３４０とアシストピニオン軸収容部４に設けた第２取付部３２０との締結においても、ボルト２００の大径部２１１が下側（Ｚ２側）で雄ねじ部２１２が上側（Ｚ１側）に位置した状態で取り付ける。このように、全てのボルト２００の大径部２１１と雄ねじ部２１２の上下位置が同じになる。従って、ボルト２００の締結作業が全て下側（Ｚ２側）から行うことができるため、当該締結作業が容易になる。
【0053】
アシストピニオン軸２１に対してＹ２側（第２方向の他方側）にラック軸１５が設けられ、ラック軸１５に対してＹ２側に、ラック軸１５をアシストピニオン軸２１に向けて押すラックガイド１５３が設けられる。ラック軸１５は、Ｘ方向（第３方向）に延び、ラックガイド１５３は、Ｙ２側に向けて突出する。ハウジング４００は、Ｚ方向から見て、第３方向に延び且つラック軸１５を収容するラック軸収容部４１１と、ラック軸収容部４１１からＹ２側に突出し且つラックガイド１５３を収容するラックガイド収容部４１２と、を含む。第２フランジ５１６および第３フランジ４２４は、Ｚ方向から見て、ラック軸収容部４１１とラックガイド収容部４１２とが交差する隅部３５０、３５１に位置する。
【0054】
ラック軸収容部４１１とラックガイド収容部４１２とが交差する隅部３５０、３５１は、デッドスペースになっている。従って、隅部３５０、３５１に第２フランジ５１６および第３フランジ４２４を配置することにより、デッドスペースの有効利用を図ることができる。
【0055】
［変形例］
次いで、変形例に係る電動パワーステアリング装置１００Ａを説明する。図１１は、変形例を示す断面図であり、図５に対応する図である。変形例においては、Ｚ方向から見て、ボルト２００の大径部２１１の全部がウォームシャフト収容部６と重なる。以下に具体的に説明する。
次いで、変形例に係る電動パワーステアリング装置１００Ａを説明する。図１１は、変形例を示す断面図であり、図５に対応する図である。変形例においては、Ｚ方向から見て、ボルト２００の大径部２１１の全部がウォームシャフト収容部６と重なる。以下に具体的に説明する。
【0056】
図１１に示すように、変形例に係る電動パワーステアリング装置１００Ａにおいては、第３取付部３３０Ａとウォームシャフト収容部６との境界は、太い破線で示す境界３６０である。境界３６０よりもＹ１側の部位が第３取付部３３０Ａである。境界３６０は、第１部位３６０Ａと、第２部位３６０Ｂと、第３部位３６０Ｃと、を含む。第１部位３６０Ａは、第１端Ｐ１からＺ方向に向けて第２端Ｐ２まで延びる。第２部位３６０Ｂは、中心軸ＡＸ１の軸回りの周方向に沿って延びる円弧である。第２部位３６０Ｂは、第２端Ｐ２から第３端Ｐ３まで延びる。第３部位３６０Ｃは、第３端Ｐ３からＺ方向に向けて第４端Ｐ４まで延びる。
【0057】
第３取付部３３０Ａに雌ねじ部３３２が設けられる。変形例では、雌ねじ部３３２は、止まり穴である。従って、境界３６０があまりウォームシャフト収容部６の内面に近づくと雌ねじ部３３２を設ける肉厚が少なくなる。従って、境界３６０は、ウォームシャフト収容部６の内面に対して一定の肉厚を保つように設定することが望ましい。また、第１取付部３１０Ａはフランジ４２である。ボルト２００には、ワッシャー２１３が設けられるため、変形例では、ワッシャー２１３が大径部２１１となる。ワッシャー２１３の最大径２１１Ａは、雄ねじ部２１２よりも大きい。
【0058】
ここで、図１１に示すように、ワッシャー２１３の外周縁を通り中心軸ＡＸ４に平行な直線を、二点鎖線の直線Ｌ１、Ｌ２とする。直線Ｌ１は、ワッシャー２１３の外周縁における最もＹ２側の部位を通り、直線Ｌ２は、ワッシャー２１３の外周縁における最もＹ１側の部位を通る。直線Ｌ１および直線Ｌ２の双方は、ウォームシャフト収容部６の側面部６１を通る。換言すると、Ｚ方向から見て、ボルト２００の大径部２１１の全部がウォームシャフト収容部６と重なる。
【0059】
以上説明したように、変形例に係る電動パワーステアリング装置１００Ａにおいては、Ｚ方向から見て、ボルト２００の大径部２１１の全部がウォームシャフト収容部６と重なる。従って、第３取付部３３０Ａおよびフランジ４２（第１取付部３１０Ａ）を、実施形態よりも小さくすることができ、ひいては、より小型化される電動パワーステアリング装置１００Ａを提供することが可能となる。
【0060】
また、ボルト２００の大径部２１１は、ボルト２００の頭部２１０と、頭部２１０よりも径が大きいワッシャー２１３と、を含む。このため、ワッシャー２１３を設けたボルト２００であっても、第３取付部３３０Ａおよびフランジ４２（第１取付部３１０Ａ）をより小さくすることができる。
【符号の説明】
【0061】
３ 操舵側ハウジング
４ アシストピニオン軸収容部
５ ウォームホイール収容部
６ ウォームシャフト収容部
７ モータ取付板
１０ ステアリングホイール
１１ 第１ステアリングシャフト
１２ 第２ステアリングシャフト
１３ 操舵ピニオン軸
１４ ピニオン歯
１５ ラック軸
１６ タイロッド
１７ 車輪
２１ アシストピニオン軸
２２ ピニオン歯
２３ ウォームホイール
２６ キャップ
２７ ウォームシャフト
３１ 車体取付部
３２ 貫通孔
３３ 操舵ピニオン軸収容部
４０ アシスト側ハウジング
４１ 本体部
４２ フランジ
４２ａ 内周面
４２ｂ 底面
４３ 凹部
４３ａ 底面
４３ｂ 側面
５１ 側面部
５２ 天面部
６１ 側面部
６２ 天面部
７０ モータ
１００、１００Ａ 電動パワーステアリング装置
１１１ ユニバーサルジョイント
１２１ ユニバーサルジョイント
１５１、１５２ ラック歯
１５３ ラックガイド
１５４ スプリング
１５５ 封止部材
２００ ボルト
２１０ 頭部
２１１ 大径部
２１１Ａ 最大径
２１２ 雄ねじ部
２１３ ワッシャー
２３１ 芯金部
２３２ ホイール歯部
２４１ 軸受け
２４２ 軸受け
２７１ シャフト歯部
３１０、３１０Ａ 第１取付部
３２０ 第２取付部
３３０、３３０Ａ 第３取付部
３３１ 第１フランジ
３３２ 雌ねじ部
３４０ 第４取付部
３５０、３５１ 隅部
３６０ 境界
３６０Ａ 第１部位
３６０Ｂ 第２部位
３６０Ｃ 第３部位
４００ ハウジング
４０１ 環状凸部
４０１ａ 外周面
４１１ ラック軸収容部
４１２ ラックガイド収容部
４１３ 車体取付部
４１４ 貫通孔
４２４ 第３フランジ（第２取付部）
４２５ 突出部（第１取付部）
４２４ａ、４２５ａ 貫通孔
４２６ 第１環状部
４２７ 第２環状部
４２８ 支持脚
５１４ シール部材収容溝
５１６ 第２フランジ（第４取付部）
５１７ 雌ねじ部
ＡＸ１、ＡＸ２、ＡＸ３、ＡＸ４ 中心軸
Ｓ シール部材
４ アシストピニオン軸収容部
５ ウォームホイール収容部
６ ウォームシャフト収容部
７ モータ取付板
１０ ステアリングホイール
１１ 第１ステアリングシャフト
１２ 第２ステアリングシャフト
１３ 操舵ピニオン軸
１４ ピニオン歯
１５ ラック軸
１６ タイロッド
１７ 車輪
２１ アシストピニオン軸
２２ ピニオン歯
２３ ウォームホイール
２６ キャップ
２７ ウォームシャフト
３１ 車体取付部
３２ 貫通孔
３３ 操舵ピニオン軸収容部
４０ アシスト側ハウジング
４１ 本体部
４２ フランジ
４２ａ 内周面
４２ｂ 底面
４３ 凹部
４３ａ 底面
４３ｂ 側面
５１ 側面部
５２ 天面部
６１ 側面部
６２ 天面部
７０ モータ
１００、１００Ａ 電動パワーステアリング装置
１１１ ユニバーサルジョイント
１２１ ユニバーサルジョイント
１５１、１５２ ラック歯
１５３ ラックガイド
１５４ スプリング
１５５ 封止部材
２００ ボルト
２１０ 頭部
２１１ 大径部
２１１Ａ 最大径
２１２ 雄ねじ部
２１３ ワッシャー
２３１ 芯金部
２３２ ホイール歯部
２４１ 軸受け
２４２ 軸受け
２７１ シャフト歯部
３１０、３１０Ａ 第１取付部
３２０ 第２取付部
３３０、３３０Ａ 第３取付部
３３１ 第１フランジ
３３２ 雌ねじ部
３４０ 第４取付部
３５０、３５１ 隅部
３６０ 境界
３６０Ａ 第１部位
３６０Ｂ 第２部位
３６０Ｃ 第３部位
４００ ハウジング
４０１ 環状凸部
４０１ａ 外周面
４１１ ラック軸収容部
４１２ ラックガイド収容部
４１３ 車体取付部
４１４ 貫通孔
４２４ 第３フランジ（第２取付部）
４２５ 突出部（第１取付部）
４２４ａ、４２５ａ 貫通孔
４２６ 第１環状部
４２７ 第２環状部
４２８ 支持脚
５１４ シール部材収容溝
５１６ 第２フランジ（第４取付部）
５１７ 雌ねじ部
ＡＸ１、ＡＸ２、ＡＸ３、ＡＸ４ 中心軸
Ｓ シール部材
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】