IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グローブライド株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ルアー 図1
  • 特開-ルアー 図2
  • 特開-ルアー 図3
  • 特開-ルアー 図4
  • 特開-ルアー 図5
  • 特開-ルアー 図6
  • 特開-ルアー 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047754
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/16 20060101AFI20240401BHJP
   A01K 85/00 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
A01K85/16
A01K85/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153418
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】古谷 英之
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA42
2B307BA46
2B307BA49
2B307BA60
(57)【要約】
【課題】実釣時において、フォール操作してもライントラブルが発生し難いルアーを提供する。
【解決手段】本発明に係るルアー1は、先端側に設けられたライン用の第1のアイ3aと、後端側に設けられたリアフック用の第2のアイ3bとを備えた本体2と、本体2の後方側に設けられ、第2のアイ3bの上方に配置されて整流する平面を備えた尾翼20とを有する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側に設けられたライン用の第1のアイと、後端側に設けられたリアフック用の第2のアイとを備えた本体と、
前記本体の後方側に設けられ、前記第2のアイの上方に配置されて整流する平面を備えた尾翼と、
を有することを特徴とするルアー。
【請求項2】
前記尾翼は、前記本体に対して上方に突出する第1の部分と、前記第1の部分の両側でそれぞれ側方に突出し、前記第1の部分と一体形成された第2の部分及び第3の部分とを有することを特徴とする請求項1に記載のルアー。
【請求項3】
前記本体の尾翼の下方には、後方に向けて突出した規制部が形成されており、
前記第2のアイは、前記尾翼の下方と前記規制部の上方との間の凹所内に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のルアー。
【請求項4】
前記第2のアイには、スプリットリングが取り付けられており、
前記規制部は、その断面の径が、前記第2のアイに取り付けられたスプリットリングの径よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項3に記載のルアー。
【請求項5】
前記尾翼の後端縁には、前記スプリットリングに取り付けられるスイベルが当て付いてスイベルの回動を規制する回動規制部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のルアー。
【請求項6】
前記尾翼の形成位置は、前記本体の重心位置よりも上方に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のルアー。
【請求項7】
前記尾翼は、前記本体の全長をLとした場合、前記ルアーの後端から0.3Lの位置よりも後方側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のルアー。
【請求項8】
前記本体はタングステンで形成されていることを特徴とする請求項1に記載のルアー。
【請求項9】
前記第2のアイには、スプリットリングを介してブレード及びリアフックを備えた仕掛けパーツが取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣りに際して用いられるルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、実際の魚と同じような外観模様を呈した金属製のルアー(メタルジグとも称される)が知られている。そのようなルアーには、例えば、特許文献1に開示されているように、先端側にリールからのラインを取り付けるアイ(先端アイ)が設けられており、後端側にリアフック(釣針)を取り付けるアイ(後端アイ)が設けられている。また、後端アイには、集魚効果を高めるように、ブレードを取り付けることもある。この場合、ブレードやリアフックは、固定状態にあると糸縒れが発生し易くなるため、後端アイにスイベルを介して取り付けることが行なわれている。
【0003】
そして、上記のルアーは、遠投してリールを巻き取り操作する釣法(リトリーブ)、或いは、船などでそのまま落下させたり遠投して落下させたりして巻き取り操作する釣法(フォール)などに利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6047788号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図7(a)(b)で示すように、従来のルアー100は、フォールさせると、後端アイ101にスイベル102を介して取り付けられたブレード105やリアフック106が抵抗となり、頭部が下を向いて落下するようになる。このため、後方側が浮き上がってライン200とルアー100の間隔が狭くなってしまい、ブレード105と一緒に回転するリアフック106がライン200に絡み付き易く、ライントラブルが発生し易くなる。特に、後端アイ101は、ルアー100の後端部位から後方に向けて突出させているため、リアフック106の回動範囲が広くなり、リアフック106がライン200を拾い易く、上記したライントラブルが発生し易い。
【0006】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、実釣時において、フォール操作してもライントラブルが発生し難いルアーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明に係るルアーは、先端側に設けられたライン用の先端アイと、後端側に設けられたリアフック用の後端アイとを備えた本体と、前記本体の後方側に設けられ、前記後端アイの上方に配置されて整流する平面を備えた尾翼と、を有することを特徴とする。
【0008】
上記した構成のルアーの本体は、後端アイの上方に配置された尾翼が平面を有することで整流効果が得られ、ルアーが水中に落下する際に、フォール姿勢の安定化が図れる。また、後端アイにリアフックやブレードを取り付けた状態でルアーをフォールした際、本体の尾翼が後端アイの上方に配置されているのでリアフックやブレードの可動範囲が狭くなり、上記した整流効果による本体の安定化に加え、リアフックやブレードラインに絡み付き難くなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、実釣時において、フォール操作してもライントラブルが発生し難いルアーが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るルアーの一実施形態を示す図であり、(a)は前方の上方側から見た斜視図、(b)は後方の下方側から見た斜視図。
図2図1のルアーを示しており、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は平面図、(d)は下面図、(e)は背面図。
図3図2に示すルアーの本体の主要部を示す図であり、後端アイ(第2のアイ)にスプリットリングを介して取り付けられるスイベル、及び、スイベルにスプリットリングを介して取り付けられるブレードとリアフックを示す図。
図4】後端アイにスプリットリングを介して取り付けられたスイベルの可動範囲を説明する図。
図5】尾翼に対して回動したスイベルが当て付いた状態を拡大して示す平面図。
図6図5のA-A線に沿った断面図。
図7】(a)及び(b)は、従来のルアーをフォールした際に生じる問題を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るルアーの一実施形態について説明する。
なお、以下の説明において、ルアー(本実施形態では魚の形態を模した本体)の方向性を特定するに際しては、水中でのルアーの進行方向(図2では頭部側)を前(前方、前端)、進行方向の反対側(図2では尾部側)を後(後方、後端)で定義し、背側を上(上方)、腹側を下(下方)で定義する。また、図2で示す前後方向及び上下方向と直交する方向を幅方向で定義する。
【0012】
図1(a)(b)は、本発明に係るルアーの一実施形態を示す図である。
本実施形態に係るルアー1は、メタルジグと称されるものであり、その本体2は、小魚(ベイトフィッシュ)の形態を模した形状に形成されている。このため、本体2には、例えば、印刷、シール(ホログラムシール等を含む)の貼付、ホットスタンプ等、各種の手法で鱗、目などの模様が付されている。なお、このような模様の形態や模様の設け方については限定されることはなく、上記した手法以外にも、様々な方法で設けることが可能である。
【0013】
前記本体2は、遠投できるように金属で形成されることが好ましく、例えば、比重が大きいタングステンで形成することで、重く、小型化することができる。この場合、後述する尾翼構造が形成されることで安定した落下状態が得られるため、小型でありながら、深く、早く沈めることが可能となる。
【0014】
前記本体2の先端側には、リールから繰り出されたラインが連結されるライン用の第1のアイ3aが設けられている。また、本体2の後端側は、リアフック等が連結されるリアフック用の第2のアイ3bが設けられている。本実施形態の第1のアイ3aは、本体2の上面に設けられているが、先端縁に設けられるものであっても良い(以下、ラインが連結されるライン用の第1のアイを先端アイ3aと称する)。また、第2のアイ3bは、本体2の最も後端位置に設けられるものを意味しており、後端アイ3bの上方は、後述する尾翼20によって覆われた状態となる(以下、尾翼によって覆われる第2のアイを後端アイ3bと称する)。
【0015】
前記後端アイ3bには、図3に示すように、スプリットリング5Aを装着してスイベル7の一端7aが取り付けられている。スイベル7は、公知のように、固定部7Aと、固定部7Aに対して同軸上で回転する可動部7Bとを備えており、固定部7A側の前記一端7aにスプリットリング5Aを取り付け、これを後端アイ3bに取り付けると、可動部7Bが固定部7Aに対して同軸上で回転可能となる。また、可動部7B側である他端7bにはスプリットリング5Bが取り付けられ、このスプリットリング5Bには、集魚効果を高めるブレード8とリアフック9が取り付けられる。
【0016】
以下の説明において、後端アイ3bに取り付けられる構成要素、具体的に本実施形態では、上記したスプリットリング5A、スイベル7、スプリットリング5B、ブレード8、及び、リアフック9を纏めて仕掛けパーツ10と総称する。このような仕掛けパーツ10は、上記した構成要素以外のものを含んでいても良いし、構成要素の一部が無いもの(例えば、ブレード8が無い)であっても良い。また、各構成要素の形態、大きさ、設置個数等、適宜変形することができる。
さらに、本発明のルアーは、本体2に予め上記の仕掛けパーツ10を後端アイ3bに取り付けた状態で実施しても良いし、上記した本体2のみで実施(販売等)しても良い。
【0017】
前記本体2の後方側には、前記後端アイ3bの上方に尾翼20が配置されており、この尾翼20は、図2(c)で示すように、本体2を平面視した際、後端アイ3bを覆って見えない状態にしている。また、尾翼20は、ルアーが水中を移動する際に整流する機能が発揮できるように、平面を備えた構造となっている。
【0018】
本実施形態の尾翼20は、本体2に対して上方に突出する第1の部分(垂直尾翼とも称する)21と、第1の部分21の両側でそれぞれ側方に突出し、第1の部分21と一体形成された第2の部分22a及び第3の部分22b(水平尾翼22とも称する)とを有する構造となっている。前記第1の部分~第3の部分は、いずれも略板状に形成されて、平面21A,21B,22A,23Aを備えた構造となっており、後端側にこのような平面部分が存在することで、本体2の挙動を安定化させることができる。
【0019】
なお、ここでの平面とは、本体2が水中で移動する際、乱流を生じさせるような凹凸が存在しない面状態(本体2の挙動を不安定にさせない面状態)になっていれば良く、整流効果が発揮されるような整流面を意味し、例えば、直線状の面、湾曲状の面、更には、これらが組み合わさった複合面等が該当する。また、本実施形態のように垂直尾翼と水平尾翼を設ける構成では、平面は、安定性を考慮して、垂直尾翼21の幅方向両面側(図1では平面21A,21B)及び、水平尾翼22の上下方向両面側(図1では平面22A,23A)に形成することが好ましい。
【0020】
前記尾翼20については、本体2の後端側に形成されていれば良く、図2(a)に示すように、本体2の全長をLとした場合、本体2の後端(最も後方となる位置P)から0.3Lの位置よりも後方側に形成することが好ましい。これにより、本体2が小魚の形態として自然な形状になり、集魚効果の向上が図れる。また、尾翼20は、前記Pの部分まで形成することで、仕掛けパーツ10のラインへの絡みを効果的に防止することができる。
【0021】
前記尾翼20については、仕掛けパーツ10が後端アイ3bを中心に反時計回り方向に回動しても(図4参照)、その回動が規制できるように、本体2の側方(好ましくは両側方)に突出するように、水平尾翼22のみを有する構成であっても良い。この水平尾翼22の側方への突出幅Wについては、魚の形態(デザイン)として自然で、かつ、仕掛けパーツ10のラインへの絡みが効果的に防止できる範囲を考慮して、本体2の最大幅W1以下にすることが好ましい。また、水平尾翼22については、後方に移行するに従って、次第に幅広となる略三角形状にすることで、整流効果を高めることが可能となる。
【0022】
前記尾翼20については、前記水平尾翼22に加え、垂直尾翼21を形成することが好ましい。このような垂直尾翼21を形成することで、本体2の幅方向の挙動の安定化が図れ、更には、実際の小魚のような尾ビレに見せることができ、魚(フィッシュイーター)の食い付きを向上することができる。特に、後方に移行するに連れて突出高さを高くする形状(略三角形状)にすることで、実際の小魚の尾ビレにより近似させることができる。
【0023】
本実施形態の本体2には、尾翼20の下方に、後方に向けて突出する規制部30が設けられており、前記尾翼20の下面23Aと規制部30の上面との間で、前方側に向けて窪む凹所30Sが生じるように形成されている。前記後端アイ3bは、この凹所30S内に配置された状態となっており、後端アイ3bの一端側が尾翼20の下面23Aに、後端アイ3bの他端側が規制部30の上面に固定されている。このため、後端アイ3bは、凹所30S内で、本体2の後端の位置Pよりも前側に配置されており、後端アイ3bの側方側が開放した状態で固定されている。
【0024】
上記した規制部30によって形成される凹所30S内に後端アイ3bを配置したことで、図4に示すように、仕掛けパーツ10の上下方向の回動を一定の範囲内に規制することができ、ラインへの絡み付きをより防止することが可能となる。すなわち、規制部30が形成されていないと、仕掛けパーツ10が時計回り方向に大きく回動してラインへ絡み付く可能性があるが、規制部30を形成したことで、このような絡み付きを防止することが可能となる。
【0025】
前記後端アイ3bは、凹所30S内で本体2の後端の位置Pよりも前側に位置することで、仕掛けパーツ10が多少長くなっても、効果的に回動を規制することが可能となる。また、前記尾翼20の後端縁には、仕掛けパーツ10を構成するスイベル7の回動が規制されるように、図5に示すように、回動規制部22Bを形成することが好ましい。このような回動規制部22Bは、前記水平尾翼を構成している第2の部分22a及び第3の部分22bの後端縁を湾曲状に窪ませることで形成することができ、このような回動規制部22Bを形成することで、回動するスイベル7が納まり易くなって、ラインへの糸絡みを効果的に防止することができる。
【0026】
また、上記したルアーの構成では、尾翼20の形成位置を、本体2の重心位置Gよりも上方(尾翼20の最下端位置P1が重心位置Gよりも上方)となるように形成している。このような構成では、本体2は安定して腹側から落下するようになり、かつ、上記した尾翼20の構成、及び、尾翼20と後端アイ3bの配置関係によって、仕掛けパーツ10がラインへ糸絡みすることが効果的に防止される。特に、船上でルアーをキャストして後、ルアーが円弧軌道を描いて船の下方に移動しても、本体2は安定して腹側が沈むことができ、上記した尾翼20の配置構造によって、仕掛けパーツ10がラインへ糸絡みすることが効果的に防止される。
【0027】
また、図4で示したように、後端アイ3bにスプリットリング5Aが装着されている構成では、前記規制部30は、その断面の径が、後端アイ3bに取り付けられたスプリットリング5Aの径よりも小さく形成されて、スプリットリング5Aが嵌まり込むようにすることが好ましい(図6参照)。すなわち、ルアーとして、仕掛けパーツ10を装着した状態で実施(販売)する場合、そのような大きさのスプリットリング5Aを連結しておけば良い。
【0028】
このような構成によれば、規制部30にスプリットリング5Aが当て付いて固定できるので、プライヤ等を用いて仕掛けパーツ10の構成部材(スイベル7等)を取り付ける際に、スプリットリング5Aを安定化させることができ、仕掛けの組付け、取り外し作業が容易に行えるようになる。
【0029】
上記したように構成されるルアー1によれば、本体2の後方側に設けられた尾翼20によって整流効果が得られるので、ルアーが落下する際の挙動の安定化が図れる。また、尾翼20の下方に後端アイ3bが設置されることで、後端アイ3bに取り付けられた仕掛けパーツ(ブレード8やリアフック9)が回動しても、リールからのラインを拾うことがなく、ライントラブルを防止することができる。また、本体2に、ユーザが好みの仕掛けパーツを取り付けても、そのような作用効果を発揮することができる。
【0030】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
ルアーについては、メタルジグタイプのものを例示したが、本発明は、各種タイプのルアーに適用することができ、それに応じて、本体2の構成(大きさ、材質、アイの個数、仕掛けパーツの構成等)、適宜変形することが可能である。
【0031】
また、尾翼20については、本実施形態のように、水平尾翼と垂直尾翼を十字状にクロスするように交差させなくても良い。例えば、傾斜した状態(X字状)で交差させる等、尾翼は上方側や下方側に傾斜していても良い。さらに、第1のアイ3a、及び、第2のアイ3bが取り付けられる位置や大きさについても変更することが可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 ルアー
2 本体
3a 前端アイ(第1のアイ)
3b 後端アイ(第2のアイ)
5A,5B スプリットリング
7 スイベル
8 ブレード
9 リアフック
10 仕掛けパーツ
20 尾翼
21 垂直尾翼(第1の部分)
21A,21B 平面
22 水平尾翼
22A,23A 平面
22a,22b 第2の部分,第3の部分
30 規制部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7