(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047756
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】漏洩検知方法及び移動体並びに漏洩検知装置
(51)【国際特許分類】
G01M 3/04 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
G01M3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153425
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000219358
【氏名又は名称】東亜グラウト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】足利 英昭
(72)【発明者】
【氏名】金氏 眞
(72)【発明者】
【氏名】野口 剛
(72)【発明者】
【氏名】大塚 響
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA12
2G067CC02
2G067CC18
2G067DD27
(57)【要約】
【課題】圧力を持った液体が流通する管路に於ける移動体の位置と、この位置に対応させて漏洩位置を検知することができる漏洩検知方法と、この方法を実施する移動体、漏洩検知装置を提供する。
【解決手段】管路Aに検知開始点B1、検知終点B2、検知基準点となる曲がり部C1~C3及び管A1、A2を設定する。移動体10の移動開始時刻t0、移動停止時刻t4を記録する。移動体が移動する過程で記録した移動体の向きデータ、管材質の変化データから得られた移動体の検知基準点通過時の時刻と、移動開始時刻、移動停止時刻を敷設図に対応させることで、時刻毎に対応させた、管路に於ける移動体の位置を推定する。移動体が移動する過程で集音して記録した音のデータに基いて、音を記録した時刻に対応した移動体の位置によって、漏洩位置D1~D3の位置を検知する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力を持った液体が流通する管路の漏洩を検知するための漏洩検知方法であって、
漏洩を検知すべき管路に検知開始点及び検知終点を設定すると共に、検知開始点から検知終点までの間に於ける曲がり部、又は管路を構成する管の材質の変化点、或いは曲がり部及び管路を構成する管の材質の変化点、を選択して検知基準点として設定し、
液体を介して伝達された音を集音して時刻と共に記録し得るように構成されると共に、液体と共に移動する際に前記検知基準点を感知して時刻と共に記録し得るように構成された移動体を、
前記漏洩を検知すべき管路に設定された検知開始点から該管路に挿入して該検知開始点に於ける移動開始時刻を記録すると共に、検知終点に於ける移動停止時刻を記録して該管路から取り出して回収し、
回収した移動体から該移動体が液体と共に該管路内を移動する過程で記録した検知基準点を感知したデータを取り出し、該検知基準点のデータ及び移動体の移動開始時刻、移動停止時刻を前記管路の敷設図に対応させることで、時刻に対応させた該管路に於ける移動体の位置を推定し、
更に、回収した移動体から、該移動体が液体と共に前記管路内を移動する過程で記録した液体を介して伝達された音のデータを取り出し、該音のデータに基いて前記液体を介して伝達された音を記録した時刻に対応した該管路に於ける移動体の位置を推定することで、
前記管路に於ける漏洩位置を検知することを特徴とする漏洩検知方法。
【請求項2】
圧力を持った液体が流通する管路の内部を液体と共に移動して液体を介して伝達された音を集音して記録すると共に、液体と共に移動する際に基準となる方向に対する自身の向き、又は管路を構成する管の材質の変化、或いは基準となる方向に対する自身の向き及び管路を構成する管の材質の変化、を時刻と共に記録するための移動体であって、
本体の内部に、時計と、
液体が管路内を流通する際に該液体を介して伝達された音を集音する集音部材と、
前記集音部材が集音した音を時刻と共に記録する音記録部材と、
液体と共に管路内を移動する際の基準となる方向に対する自身の向きを感知する向き感知部材、又は液体と共に管路内を移動する際に該管路を構成する管の材質の変化を感知する管材質感知部材、或いは液体と共に管路内を移動する際の基準となる方向に対する自身の向きを感知する向き感知部材及び液体と共に管路内を移動する際に該管路を構成する管の材質の変化を感知する管材質感知部材、と、
前記向き感知部材が感知した基準となる方向に対する自身の向きを時刻と共に記録する向き記録部材、又は前記管材質感知部材が感知した材質の変化を時刻と共に記録する管材質記録部材、或いは前記向き感知部材が感知した基準となる方向に対する自身の向きを時刻と共に記録する向き記録部材及び前記管材質感知部材が感知した材質の変化を時刻と共に記録する管材質記録部材と、
が配置され、
且つ、比重が流通する液体の比重と略同じであることを特徴とする移動体。
【請求項3】
前記向き感知部材がジャイロセンサーであることを特徴とする請求項2に記載した移動体。
【請求項4】
前記管材質感知部材が磁気センサーであることを特徴とする請求項2に記載した移動体。
【請求項5】
予め、圧力を持った液体が流通する管路に漏洩を検知するための検知開始点及び検知終点を設定すると共に、検知開始点から検知終点までの間に於ける曲がり部、又は管路を構成する管の材質の変化点、或いは曲がり部及び管路を構成する管の材質の変化点、を選択して検知基準点として設定し、検知開始点から検知終点の間に於ける漏洩位置を検知するための漏洩検知装置であって、
漏洩を検知すべき管路内を移動する移動体と、解析装置とを有して構成され、
前記移動体は、
圧力を持った液体が流通する管路の内部を液体と共に移動して液体を介して伝達された音を集音して記録すると共に、液体と共に移動する際に基準となる方向に対する自身の向き、又は管路を構成する管の材質の変化、或いは基準となる方向に対する自身の向き及び管路を構成する管の材質の変化、を時刻と共に記録するための移動体であって、
本体の内部に、時計と、
液体が管路内を流通する際に該液体を介して伝達された音を集音する集音部材と、
前記集音部材が集音した音を時刻と共に記録する音記録部材と、
液体と共に管路内を移動する際の基準となる方向に対する自身の向きを感知する向き感知部材、又は液体と共に管路内を移動する際に該管路を構成する管の材質の変化を感知する管材質感知部材、或いは液体と共に管路内を移動する際の基準となる方向に対する自身の向きを感知する向き感知部材及び液体と共に管路内を移動する際に該管路を構成する管の材質の変化を感知する管材質感知部材、と、
前記向き感知部材が感知した基準となる方向に対する自身の向きを時刻と共に記録する向き記録部材、又は前記管材質感知部材が感知した材質の変化を時刻と共に記録する管材質記録部材、或いは前記向き感知部材が感知した基準となる方向に対する自身の向きを時刻と共に記録する向き記録部材及び前記管材質感知部材が感知した材質の変化を時刻と共に記録する管材質記録部材と、
が配置され、
且つ、比重が流通する液体の比重と略同じに構成されており、
前記解析装置は、
入力部と、
前記入力部から入力された漏洩を検知すべき管路に於ける検知開始点から検知基準点までの距離、検知基準点から検知終点までの距離、検知基準点となる曲がり部の曲がり角度、又は管路を構成する管の材質の変化点、或いは曲がり部の曲がり角度及び管路を構成する管の材質の変化点、及び前記移動体が検知開始点に於いて移動を開始した時刻、検知終点に於いて移動を停止した時刻を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶した移動体が検知開始点に於いて移動を開始した時刻、検知終点に於いて移動を停止した時刻、及び前記移動体の向き記録部材に記録された該移動体自身の基準となる方向に対する向きのデータ、又は前記管材質記録部材に記録された管材質の変化点のデータ、或いは前記移動体の向き記録部材に記録された該移動体自身の基準となる方向に対する向きのデータ及び前記管材質記録部材に記録された管材質の変化点のデータ、に基づく移動体が検知基準点を通過した時刻とによって、時刻に対応させた管路に於ける移動体の位置を推定する移動体位置推定演算部と、
前記移動体の音記録部材に時刻と共に記録された集音部材が集音した音のデータに基づいて、該時刻に対応した管路に於ける移動体の位置を推定する音発生位置推定演算部と、を有して構成されている、
ことを特徴とする漏洩検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力を持った液体が流通する管路に於ける漏洩の有無、及び漏洩位置を検知するための方法と、この方法を実施するための移動体と漏洩検知装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
地中には上水道や工業用水或いは農業用水を含む種々の圧力を持った液体が流通する管路が敷設されている。このような管路は、規格サイズの管を配列すると共に、流通する液体に対応させた構造を持った継手を介して管どうしを液密性を確保して接続して構成されている。例えば、工業用水用や農業用水用の管路の場合、コンクリート管の管端どうしをパッキンを介して接続することで水密性を確保している。また、上水道用の管路の場合には、鋳鉄管の管端どうしをパッキンを介してボルト締結することで水密性を確保している。
【0003】
上記の如き管路は一直線状に敷設されていることはなく、周囲の地形や環境などに対応して曲がっているのが一般的である。また、管路には、内部に入り込んだ空気を開放するための弁栓部や、断面積が減少し又は増大する部分が配置されているものもある。そして、このような管路の敷設経路は敷設図として記録されている。
【0004】
一方、地中に敷設された管路には、路面を走行する車両による振動に応じた力や地盤沈下に伴う力、地震時に於ける管路の敷設方向又は管路の敷設方向に対し交差する方向への力等の力が作用している。そして、管路に作用するこれらの力によって管の継ぎ目が離隔して隙間ができたり、長期間にわたる利用によって劣化して管壁にひび割れが生じたりすることがある。
【0005】
圧力を持った液体が流通する管路に継ぎ目の隙間や管壁のひび割れ等が生じると、流通している液体が地中に漏洩することとなり、流通する液体の性質に対応した不具合が生じる。例えば、工業用水や農業用水或いは上水の場合、これらの水には夫々の目的に応じた水処理が行われており、漏水によって処理費用の無駄が生じることとなる。また、管路からの漏水によって、該管路周囲の地盤が軟弱化したり、或いは土壌が変化する虞もある。特に、液体がオイル成分を含むような場合、環境汚染を引き起こす虞もある。
【0006】
管路に生じた漏洩箇所を補修する場合、予め検知した漏洩位置と実際の漏洩位置との差が大きいと補修に要する時間や手間が大きくなるため、漏洩位置を可及的に正確に検知することが必要である。このような管路に於ける漏洩の有無と位置を検知するために、本件出願人は特許文献1~5に記載された漏洩検知方法と装置を開発して特許出願している。これらの技術は、管路の内部を移動する移動体によって液体を介して伝達された音を集音して記録すると共に、音を集音したときの移動体の位置を検知することで漏洩位置を検知するものである。
【0007】
特許文献1に記載された発明は、基準となるクロックに対応して信号を発信する発信部材を移動体に搭載し、管路の外部に前記クロックと同期して信号を受信する受信部材を配置して構成されている。そして、管路内を移動している移動体から発信した信号が受信されるまでの時間によって、該移動体の管路内に於ける位置を検知している。
【0008】
特許文献2に記載された発明は、移動体が比重を管路内を流れる液体の比重と略同じにして構成されると共に、ジャイロと加速度センサーを搭載して構成されている。この発明では、移動体が管路の略中心に沿って移動することが可能である。そして、移動体の管路内に於ける位置は、該移動体が管路内に挿入された時点から、各センサーの測定値を積分することで検知するか、又は特許文献1に記載したように構成することで検知している。
【0009】
特許文献3に記載された発明は、二つの集音マイクを移動体の移動方向上流側と下流側に指向させて配置している。また、移動体の移動位置を検知する構成は、前述の特許文献2と同様に移動体にジャイロと加速度センサーを搭載し、管路内に挿入された時点から、各センサーの測定値を積分することで検知するか、又は特許文献1に記載したように構成することで検知している。
【0010】
特許文献4に記載された発明は、管路に設けられている弁栓部に監視装置を配置している。このため、移動体が監視装置の配置位置を通過した時刻を検知することが可能となり、より高い精度で移動体の移動位置を検知することが可能である。なお、移動体は前述の特許文献2と同様に構成されている。
【0011】
特許文献5に記載された発明は、移動体に加速度計を搭載して構成されている。この加速度計によって、移動体の速度の変化、水平面内に於ける姿勢の変化、垂直面内に於ける姿勢の変化を感知することが可能である。この発明では、予め管路に検知起点と検知終点を設定しておき、移動体の移動過程で、時刻に対応した移動速度及び移動方向の変化又は移動方向の変化、液体を通して伝えられた音、を記録している。そして、移動体を回収した後、移動変化データ、音データと管路の敷設図とによって漏水位置を検知している。
【0012】
この発明は、前述の各特許文献に記載された発明とは異なり、管路に於ける液体の流れが変化することに着目し、搭載した加速度計によって、移動体の速度の変化、水平面内に於ける姿勢の変化、垂直面内に於ける姿勢の変化を感知して移動状態の変化としている。そして、記録した移動体の移動変化データから、移動状態の変化を感知した位置が、敷設図に於けるどこに対応するか、及び対応した位置の通過時刻を推定している。従って、敷設図と移動状態の変化した位置と通過時刻を対応させると共に、音データから音を記録した時刻を対応させることで、管路に於ける漏水位置を推定することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第5583994号公報
【特許文献2】特許第6919884号公報
【特許文献3】特開2019-152450号公報
【特許文献4】特開2021-021665号公報
【特許文献5】特開2022-049807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
液体と共に移動する移動体によって管路の漏洩位置を検知するには、管路内に於ける移動体の位置を正確に知る必要がある。即ち、移動体の位置を正確に知ることによって、該移動体が移動する過程で集音した音から漏水位置を精度良く特定することができる。前述の各特許文献に記載された発明では、夫々移動体の位置を検知することができるものの、全く問題がない訳ではなく、夫々解決すべき課題を有している。
【0015】
例えば、特許文献1に記載された発明では、移動体に配置された発信部材から発信されたパルス状の音波は管路内を進行する過程で管壁に衝突して反射を繰り返し、移動体との距離が増加するのに伴ってパルスであることが不明確になる。このため、移動体の移動距離の増加に伴ってパルスの受信精度が低下する虞がある。そして、この技術を適用した特許文献2、3に記載された発明も同様の課題を有している。
【0016】
また、特許文献2、3に記載された発明では、移動体に搭載したジャイロと加速度センサーを組み合わせ、各センサーの測定値を積分することによって移動位置を検知している。このため、測定値に含まれるノイズも積分されることとなり、検知した位置の精度が低くなってしまう虞がある。
【0017】
また、特許文献4に記載された発明では、前述の各特許文献に記載された発明に比較してより高い精度で移動体の位置を検知することができる。しかし、管路に設けられた複数の弁栓部を選択して監視装置を配置することとなり、段取りに手間がかかるという課題を有している。
【0018】
特許文献5に記載した発明では、加速度計によって移動体の速度変化や姿勢の変化を感知して記録した移動変化データと敷設図を突き合わせて移動体の移動位置を推定している。しかし、移動体が管路の直線部分を移動している際に、管路の中心軸(管軸)と一致した軸を一定の速度、一定の姿勢を保持している訳ではなく、速度、姿勢が変化しつつ移動しているため、このような変化も感知して移動状態の変化として記録している。また、移動体が曲がり部を通過する際に、曲がりの内径側と外径側とに於ける液体の速度変化により移動体に曲がりに沿った方向への姿勢の変化が生じるため、このときの姿勢の変化に応じた移動体に作用する遠心力を感知して移動状態の変化として記録している。
【0019】
しかし、移動体の移動変化データを解析する際に、明確な信号が記録されず小さな信号の連続であるような場合、記録された信号が実際に移動状態を変化させるような部位に相当するのか、ノイズであるのか、を判定するのが困難であるという課題を有している。
【0020】
上記したように、加速度計が感知した移動状態の変化が必ずしも管路に於ける曲がり部分や断面積が変化する部分などと一致しない虞があり、移動変化データを基に移動体の移動位置を推定する作業は経験を要するという課題がある。このようなことから、この発明であっても、特許文献4に記載された発明のように、管路に設けられている弁栓部に監視装置を配置して移動体が通過した時刻を検知することが好ましい、とされている。
【0021】
前述した特許文献1~5に記載された発明では加速度計を利用し、計測値を積分することで移動体の位置を推定している。このため、移動体が移動する際に生じる微妙な速度の変化や姿勢の変化がノイズとなって測定されることで、位置を正確に検知することが困難になるという課題がある。
【0022】
本発明の目的は、圧力を持った液体が流通する管路に於ける移動体の位置と、この位置に対応させて漏洩位置を検知することができる漏洩検知方法と、この方法を実施するための移動体と漏洩検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本件出願人は、圧力を持った液体が流通する管路に於ける漏洩の有無、漏洩位置の検知のための技術の開発を進めてきた結果、前述した特許文献1~5の成果を得ている。そして、これらの技術であっても未だ完全なものではないとの認識と、管路に於ける漏洩位置を検知するには該管路内を移動する移動体の正確な位置を検知するための技術を確立することが必要であるとの観点にたち、多くの手間を掛けることなく且つ精度良く管路に於ける漏洩位置を検知し得る技術の開発に努めている。
【0024】
引用文献5に記載した技術について確認の実験を行ったところ、角度90度の曲がり部を通過したときでも明確な感知ができなかったことが判明した。これは移動体が曲がり部を通過する際に加速度センサーが感知した速度変化が、直線部分を通過する際に感知している速度変化の大きさと大きな違いがないことに起因しているものと思われる。更なる実験の結果、加速度センサーによって移動体の移動状態の変化を感知するには、この移動体が管路の側壁や曲がり部の正面壁などに衝突したときに生じるような大きい速度変化が必要であることが判明した。
【0025】
通常、圧力を持った液体が流れる管路は直線状にのみ敷設されているわけではなく、複数の曲がり部(変曲点)が設けられている。また、管路を構成する管としてはコンクリート管、鋳鉄管、合成樹脂管などが利用されている。これらの点に着目し、これらの何れか、又は両方を確実に検知することができれば移動体の移動位置を高い精度で検知できるものと推測した。
【0026】
例えば、管路の曲がり部を移動体が通過する際に、この曲がり部が鉛直面内の場合には該移動体にピッチングさせるような力が働き、水平面内の場合にはヨーイングさせるような力が働く。実験を重ねた結果、曲がり部に於いてこのような力が働いたときの移動体の向きの変化を感知することで、該移動体が曲がり部を通過したことを検知することができるとの知見を得た。従って、感知した向きの変化を時刻と共に記録することで、この記録から移動体が曲がり部を通過したときの時刻を検知することができること、曲がり部に於ける移動体に生じるヨーイング、ピッチングはジャイロセンサーを用いることで感知することができることなどが判明した。
【0027】
また、コンクリート管は内部に鉄筋籠を有しており、鋳鉄管、コンクリート管、合成樹脂管は夫々磁気に対するシールド性能に違いがある。このため、移動体が管路を移動する過程で磁気を感知することで管の材質を検知することができるとの知見を得た。従って、感知した磁気を時刻と共に記録することで、この記録から移動体が移動している管の材質と時刻を検知することができること、管の材質の違いによる磁気は磁気センサーを用いることで感知することができることなどが判明した。
【0028】
従って、本発明に係る漏洩検知方法は、圧力を持った液体が流通する管路の漏洩を検知するための漏洩検知方法であって、漏洩を検知すべき管路に検知開始点及び検知終点を設定すると共に、検知開始点から検知終点までの間に於ける曲がり部、又は管路を構成する管の材質の変化点、或いは曲がり部及び管路を構成する管の材質の変化点、を選択して検知基準点として設定し、液体を介して伝達された音を集音して時刻と共に記録し得るように構成されると共に、液体と共に移動する際に前記検知基準点を感知して時刻と共に記録し得るように構成された移動体を、前記漏洩を検知すべき管路に設定された検知開始点から該管路に挿入して該検知開始点に於ける移動開始時刻を記録すると共に、検知終点に於ける移動停止時刻を記録して該管路から取り出して回収し、回収した移動体から該移動体が液体と共に該管路内を移動する過程で記録した検知基準点を感知したデータを取り出し、該検知基準点のデータ及び移動体の移動開始時刻、移動停止時刻を前記管路の敷設図に対応させることで、時刻に対応させた該管路に於ける移動体の位置を推定し、更に、回収した移動体から、該移動体が液体と共に前記管路内を移動する過程で記録した液体を介して伝達された音のデータを取り出し、該音のデータに基いて前記液体を介して伝達された音を記録した時刻に対応した該管路に於ける移動体の位置を推定することで、前記管路に於ける漏洩位置を検知することを特徴とするものである。
【0029】
また、本発明に係る代表的な移動体は、圧力を持った液体が流通する管路の内部を液体と共に移動して液体を介して伝達された音を集音して記録すると共に、液体と共に移動する際に基準となる方向に対する自身の向き、又は管路を構成する管の材質の変化、或いは基準となる方向に対する自身の向き及び管路を構成する管の材質の変化、を時刻と共に記録するための移動体であって、本体の内部に、時計と、液体が管路内を流通する際に該液体を介して伝達された音を集音する集音部材と、前記集音部材が集音した音を時刻と共に記録する音記録部材と、液体と共に管路内を移動する際の基準となる方向に対する自身の向きを感知する向き感知部材、又は液体と共に管路内を移動する際に該管路を構成する管の材質の変化を感知する管材質感知部材、或いは液体と共に管路内を移動する際の基準となる方向に対する自身の向きを感知する向き感知部材及び液体と共に管路内を移動する際に該管路を構成する管の材質の変化を感知する管材質感知部材、と、前記向き感知部材が感知した基準となる方向に対する自身の向きを時刻と共に記録する向き記録部材、又は前記管材質感知部材が感知した材質の変化を時刻と共に記録する管材質記録部材、或いは前記向き感知部材が感知した基準となる方向に対する自身の向きを時刻と共に記録する向き記録部材及び前記管材質感知部材が感知した材質の変化を時刻と共に記録する管材質記録部材と、が配置され、且つ、比重が流通する液体の比重と略同じであることを特徴とするものである。
【0030】
また本発明に係る漏洩検知装置は、予め、圧力を持った液体が流通する管路に漏洩を検知するための検知開始点及び検知終点を設定すると共に、検知開始点から検知終点までの間に於ける曲がり部、又は管路を構成する管の材質の変化点、或いは曲がり部及び管路を構成する管の材質の変化点、を選択して検知基準点として設定し、検知開始点から検知終点の間に於ける漏洩位置を検知するための漏洩検知装置であって、漏洩を検知すべき管路内を移動する移動体と、解析装置とを有して構成され、前記移動体は、本体の内部に、時計と、液体が管路内を流通する際に該液体を介して伝達された音を集音する集音部材と、前記集音部材が集音した音を時刻と共に記録する音記録部材と、液体と共に管路内を移動する際の基準となる方向に対する自身の向きを感知する向き感知部材、又は液体と共に管路内を移動する際に該管路を構成する管の材質の変化を感知する管材質感知部材、或いは液体と共に管路内を移動する際の基準となる方向に対する自身の向きを感知する向き感知部材及び液体と共に管路内を移動する際に該管路を構成する管の材質の変化を感知する管材質感知部材、と、前記向き感知部材が感知した基準となる方向に対する自身の向きを時刻と共に記録する向き記録部材、又は前記管材質感知部材が感知した材質の変化を時刻と共に記録する管材質記録部材、或いは前記向き感知部材が感知した基準となる方向に対する自身の向きを時刻と共に記録する向き記録部材及び前記管材質感知部材が感知した材質の変化を時刻と共に記録する管材質記録部材と、が配置され、且つ、比重が流通する液体の比重と略同じに構成されており、前記解析装置は、入力部と、前記入力部から入力された漏洩を検知すべき管路に於ける検知開始点から検知基準点までの距離、検知基準点から検知終点までの距離、検知基準点となる曲がり部の曲がり角度、又は管路を構成する管の材質の変化点、或いは曲がり部の曲がり角度及び管路を構成する管の材質の変化点、及び前記移動体が検知開始点に於いて移動を開始した時刻、検知終点に於いて移動を停止した時刻を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶した移動体が検知開始点に於いて移動を開始した時刻、検知終点に於いて移動を停止した時刻、及び前記移動体の向き記録部材に記録された該移動体自身の基準となる方向に対する向きのデータ、又は前記管材質記録部材に記録された管材質の変化点のデータ、或いは前記移動体の向き記録部材に記録された該移動体自身の基準となる方向に対する向きのデータ及び前記管材質記録部材に記録された管材質の変化点のデータ、に基づく移動体が検知基準点を通過した時刻とによって、時刻に対応させた管路に於ける移動体の位置を推定する移動体位置推定演算部と、前記移動体の音記録部材に時刻と共に記録された集音部材が集音した音のデータに基づいて、該時刻に対応した管路に於ける移動体の位置を推定する音発生位置推定演算部と、を有して構成されている、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0031】
既設の管路の敷設経路、弁栓部の位置、長さ、管の材質などの詳細な条件は敷設図に表現されている。このため、本発明に係る漏洩検知方法では、圧力を持った液体(以下「液体」という)が流通する管路に対し、漏洩を検知すべき区間が設定されたとき、該管路に検知開始点と検知終点及び曲がり部、又は管の材質の変化点、或いは曲がり部及び管の材質の変化点、を選択して検知基準点として設定する。そして、管路内に移動体を移動させることで、検知開始点、検知基準点、検知終点に対応した時刻を夫々記録すると共に、液体を介して伝達された音を集音して時刻毎に記録し、これらの記録から漏洩位置を検知することができる。
【0032】
また、本発明に係る移動体では、管路を流通する液体と共に移動しつつ、基準となる方向に対する移動体の向きを感知して時刻と共に記録し、移動している位置に対応した管の材質を感知して材質の変化点を時刻と共に記録することができる。同時に、液体を介して伝達された音を集音して記録することができる。
【0033】
また、本発明に係る漏洩検知装置では、漏洩を検知すべき管路に設定された検知開始点から移動体の移動を開始させ、該移動体が検知基準点を通過して検知終点で移動を停止するまでの間に時刻と共に記録した基準となる方向に対する移動体の向き、又は管の材質の変化点、或いは基準となる方向に対する移動体の向き及び管の材質の変化点と、記録した音によって、該管路に於ける漏洩位置を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】管路の敷設図と該敷設図に設定された検知開始点、検知終点及び検知基準点を説明する模式図である。
【
図2】本実施例に係る漏洩を検知する方法を説明する模式図である。
【
図3】本実施例に係る移動体の構成を説明する模式図である。
【
図4】本実施例に係る漏洩検知装置の解析装置の構成を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係る漏洩検知方法、移動体、解析装置について説明する。本発明に係る漏洩検知方法は、液体が流通する管路に於ける漏洩の有無と、漏洩が生じている場合にはその位置を検知するためのものである。また、移動体はこの漏洩検知方法を実施する際に、管路を液体と共に移動して検知基準点を通過する際に生じる状態の変化、及び音を記録するためのものである。更に、解析装置は、移動体に記録された各種データを解析して漏水位置を推定するものである。
【0036】
本発明に係る漏洩検知方法の対象となる管路は、全長にわたって、或いは大半の部分が地中に敷設されており、延長は数キロメートルないし数十キロメートルにも及ぶため、検知対象区間などは敷設図に基づいて決定される。この敷設図は長期間にわたる保守作業に利用されるものであり、検知の開始点、終点となる弁栓部を含む複数の弁栓部の位置と相互の距離、複数の曲がり部の位置及び曲がり部及び弁栓部の相互の距離、管路を構成する管の材質及び長さ、などが詳細に記載されている。
【0037】
本発明に係る検知方法は、漏洩位置を検知するに際し、移動体に配置した時計及び移動体以外の部署に配置され移動体の時計と同期した時計による時刻に対応した管路内に於ける基準となる方向に対する移動体の向き(以下単に「移動体の向き」という)、又は管の材質の変化点、或いは移動体の向き及び管の材質の変化点、を記録すると共に、伝達音を記録し、これらの記録と管路の敷設図を突き合わせることによって、漏洩部位を検知するものである。ここで、移動体の向きを規定する「基準となる方向」とは、移動体に配置され、該移動体の向きを感知するためのセンサーに予め設定された方向であり、地軸に沿った方向や、このセンサーに対して独自に設定した方向である。
【0038】
本発明では、管路に設けられた曲がり部と管の材質の変化点の何れか一方又は両方を検知基準点として設定し、この検知基準点を確実に検知することで、管路に於ける移動体の位置を把握し得るようにしている。即ち、検知開始点に於ける検知開始時刻、検知基準点を通過した時刻、検知終点の到着時刻を検知し、各点間の距離によって各点間に於ける移動体の平均速度を計算して時刻に対応させて移動体の位置を推測し、記録した音のデータを突き合わせることによって漏洩位置を検知し得るように構成されている。
【0039】
圧力を持った液体が流通する管路は、該管路の起点から終点まで一直線状に敷設されているものなどはなく、水平面内又は鉛直面内三次元的な曲がり部分を複数有している。例えば、水管橋や川などの下側を通過するサイフォンでは三次元的な曲がり部分を有している。また、管路に巻き込まれた空気を抜くための弁栓部が略一定の間隔をもって配置されている。そして、このような曲がり部、弁栓部などの位置は目的の管路の敷設図に記載されている。また、管路は液体の性質や、圧力に対応させてコンクリート管や鋳鉄管、合成樹脂管など、材質の異なる管を選択して用いており、これらの管の配置位置や長さは目的の管路の敷設図に記載されている。
【0040】
管路内を移動する移動体の向きをどのように感知するかは限定するものではない。即ち、移動体がある方向に向かって移動しているときの向き、移動体が曲がり部を曲がる際に曲がることによる向き、を感知することが可能であれば良い。
【0041】
例えば、管路内の直線部を移動していた移動体が、水平面内の曲がり部を通過しようとしたとき、移動体にはヨーイングさせる方向の力が作用し、この力に応じて直線部を移動していたときの向きが変化する。同様に、移動体が鉛直面内の曲がり部を通過しようとしたとき、移動体にはピッチングさせる方向の力が作用し、この力に応じて向きが変化する。従って、移動体の向きを感知することで、移動体が曲がり部を通過したとして検知することが可能である。
【0042】
また、管の材質の変化を感知する手段も特に限定するものではない。前述したように、管路を構成する管としては、鉄筋籠を利用したコンクリート管、遠心鋳造法によって製造された鋳鉄管、合成樹脂管などが選択的に用いられるため、これらの管を感知し得るものであれば良い。
【0043】
漏洩を検知すべき管路が設定されたとき、先ずこの管路に対し、検知開始点と検知終点となる弁栓部を設定すると共にこれらの弁栓部を敷設図上で特定する。また、検知開始点と検知終点の間に設けられている曲がり部、又は管の材質の変化点、或いは曲がり部及び管の材質の変化点を検知基準点として設定する。
【0044】
そして、検知開始点として設定された弁栓部から移動体を挿入して液体と共に移動を開始させ、このときの時刻を移動開始時刻として記録する。移動体が管路内を移動して検知基準点としての曲がり部を通過する際に、該移動体の向きを感知して時刻と共に記録し、管の材質の変化点を感知して時刻と共に記録する。このとき、移動体は、管路の直線部分を移動している間は略一定の向きを保持しており、曲がり部を通過する際には曲がり部の角度に対応して向きが変化する。同時に、移動体が移動している管の材質の変化を感知する。
【0045】
検知終点で移動体を回収した後、記録した向きデータ、管材質データから、時間軸に対応させて向きの順序、管の順序を知ることが可能である。このように、向きデータによって管路に於ける曲がり部を検知し、管材質データによって管路を構成する管を検知することが可能となる。
【0046】
従って、向きデータに基いて検知した曲がり部の順序に従って敷設図に突き合せると共に時間軸に対応させることで、管路に於ける移動体の位置を推定することが可能である。また、管材質データに基いて検知した管路に於ける管の順序に従って敷設図に突き合せると共に時間軸に対応させることで、管路に於ける移動体の位置を推定することが可能である。このように、移動体の向きによる曲がり部の検知、管の材質の変化による管路を構成する管の検知、が互いに独立して管路に於ける移動体の位置を推定することが可能である。
【0047】
しかし、時間軸に対応させた向きデータに基く曲がり部の検知と管材質データに基く管路を構成する管の検知を重ね合わせて、敷設図に突き合わせることで、管路に於ける移動体の位置をより高い精度で推定することが可能である。
【0048】
そして、移動体が管路内を移動する過程で時刻に対応させて伝達音を記録し、この記録した時刻と、同時刻に於ける移動体の位置を対応させることで、敷設図上で、管路に於ける漏洩個所を検知することが可能である。
【0049】
特に、上流側の曲がり部の通過時刻と下流側に隣接した曲がり部の通過時刻と、両曲がり部間の距離とから、この間の移動体の平均移動速度を計算し、伝達音を記録した時刻と、この時刻に於ける移動体の平均移動速度と、上流側の曲がり部を通過したときの時刻から、この上流側の曲がり部から伝達音を検知した位置までの距離を計算することで、漏洩位置を検知することが可能である。
【0050】
このように本発明に係る漏洩検知方法では、移動体の向き、管路を構成する管の材質の変化点、伝達音の集音、という夫々が独立した事象を同期した時計を基準とした時刻と共に記録することによって互いを関連付けている。これにより、移動体の向きの記録から、目的の管路の敷設図に記載された曲がり部(検知基準点)を移動体が通過した時刻を計算すると共に、上流側の検知基準点からの距離によって平均移動速度を計算することが可能となる。また、移動体が記録した管材質の変化の記録から、目的の管路の敷設図に記載された管の材質の変化点(検知基準点)を移動体が通過した時刻を計算すると共に、上流側の検知基準点からの距離によって平均移動速度を計算することが可能となる。そして、伝達音を集音した時刻と、該時刻前後の移動体が検知基準点を通過した時刻を比較すると共に、これらの検知基準点間の平均移動速度から伝達音を集音した位置(漏洩位置)を特定することが可能である。
【0051】
尚、本発明に係る漏洩検知方法に於いて、目的の管路に設定する検知始点と検知終点の位置は限定するものではなく、該管路に於けるこれまでの検知履歴などに対応させて適宜設定することが好ましい。また、検知基準点として設定される曲がり部、管材質の変化点の数も限定するものではなく、曲がり部の角度などを考慮して適宜設定することが好ましい。
【0052】
本発明に係る移動体は、管路を流通する液体と共に該管路の略中心に沿って移動しつつ、検知基準点を感知して記録すると共に伝達音を集音して記録するものである。移動体は液体の比重と略同じに設定されており、管路の略中心に沿って移動することが可能である。この場合、管路を流通する液体が層流状態を保持していることが好ましい。
【0053】
移動体は弁栓部を通して管路内に挿入し得る形状を有して入れば良く、形状を特に限定するものではない。移動体は内部に配置すべき各部材を収容することが可能な寸法を有する本体を有することが必要である。この本体の形状としては円筒体であることが好ましく、前後端の形状は球形であることが好ましい。特に、移動体が外径に対して長さが充分に大きい円柱体である場合、曲がり部を通過する際に、曲がり部に沿って液体の流れの方向が変わるとき、この変化に容易に追従することが可能となり、向き感知部材による移動体の向きをより明確に、且つ正確に感知することが可能となる。
【0054】
移動体の寸法は限定するものではないが、目的の管路の内径よりも充分に小さい外径を有することが必要であり、特に、検知開始点、検知終点として設定される弁栓部を容易に通過し得る寸法であることが必要である。通常、弁栓部を構成する管は直径が75mmであるため、移動体10の外径は50mm~70mm程度、長さは収容すべき部材の構成に対応するものの、約100mm~約200mm程度であることが好ましい。
【0055】
特に、移動体は、内部に収容する機器類を、重量が低部に集中するように配置することで、管路内を移動中に生じる虞のあるローリングを少なくして移動体の向きを感知する際のノイズを低減することが可能である。
【0056】
前述したように、管路内を移動する移動体の向きをどのように感知するかは限定するものではなく、例えば、ジャイロセンサーや移動体の長手方向の両端部分に夫々配置した加速度センサーによって感知することが可能である。特に、ジャイロセンサーを用いることが好ましい。
【0057】
また、管の材質の変化点を感知する手段も特に限定するものではなく、管路を構成するコンクリート管、鋳鉄管、合成樹脂管などの管の磁気に対するシールド性能の差を利用して材質を感知することが可能である。このような管の材質の変化を感知するには磁気センサーを用いることが好ましい。
【0058】
また、移動体が管路に形成された曲がり部を通過する際に、管壁に接触する虞がある。このため、移動体の外周面にはクッション材が配置されていることが好ましい。このクッション材は移動体の内部に収容されている機器類に対する衝撃を緩和する機能を有するものであり、このような機能を発揮し得るものであれば材質などを限定するものではない。
【0059】
移動体に配置される伝達音を集音する集音部材、集音部材で集音した音を記録する記録部材の構成は特に限定するものではなく、管路内を流通する液体を介して伝達された音を確実に集音することが可能なマイク、及び記録部材であれば良い。このような、集音部材、記録部材は1組あれば良い。しかし、管路A内で発生した音は管壁などに反射して明確なピークを生じないことが多い。このため、指向性の異なる2組の集音部材と、夫々の集音部材に対応させた2組の記録部材を配置しておくことが好ましい。
【0060】
本発明に係る漏洩検知装置は、移動体と解析装置とを有して構成されている。移動体としては前述の移動体を用いている。また、解析装置は漏洩を検知すべき管路に設定された検知開始点、検知基準点となる曲がり部や管の材質の変化点、検知終点の位置や、各点間の距離、検知基準点の条件(曲がり角度、管の材質)などの情報を記憶したデータと、移動体の向き記憶部材、管材質記憶部材に記憶したデータから時刻に対応した移動体の管路に於ける位置を推定すると共に、音記憶部に記憶した音データから漏洩位置を推定するものである。
【0061】
以下、本実施例に係る移動体10と解析装置20を有する漏洩検知装置1の構成を説明し、併せて漏洩検知方法について説明する。
【0062】
図1は、漏洩を検知すべき管路の一部を模式的に説明する平面図である。前述したように、圧力を持った液体が流通する管路Aは敷設長が数キロメートルから数十キロメートルに及ぶのが一般的であり、周囲の地形や環境に合わせて平面的な及び立体的な曲り部を有している。
【0063】
図1に示す管路Aは、コンクリート管によって構成された管A1と鋳鉄管によって構成された管A2が接続されて地中に埋設されている。この管路Aには複数の弁栓部が配置されており、上流側の弁栓部が検知開始点B1として設定され、下流側の弁栓部が検知終了点B2として設定されている。また、管路Aは液体の流れの方向が変化する複数の曲がり部C1~C3を有しており、これらの曲がり部C1~C3、管材質の変化点となる管A1と管A2の接続部E1、E2が夫々検知基準点として設定されている。
【0064】
本実施例では、曲がり部C1は下流方向に向かって(以下同じ)右方向に40度、曲がり部C2は左方向に65度、曲がり部C3は右方向に50度に設定されており、これらの数値は敷設図に記載されている。
【0065】
また、検知開始点B1から曲がり部C1までの距離L1、曲がり部C1から管A1と管A2の接続部E1までの距離L2、接続部E1から曲がり部C2までの距離L3、曲がり部C2から管A1と管A2の接続部E2までの距離L4、接続部E2から曲がり部C3までの距離L5、曲がり部C3から検知終了点B2までの距離L6は夫々敷設図に記載されている。
【0066】
尚、
図1に示す管路Aには複数の漏洩部D1、D2、D3が存在するものとし、本発明はこれらの漏洩部D1~D3の位置を検知するための方法と、この方法を実施するための移動体10、移動体10と共に漏洩検知装置1を構成する解析装置20を提案するものである。
【0067】
移動体10は、アルミニウム等の金属或いはプラスチックによって形成され、円筒状で
滑らかな外周面を有する本体10aと、半球形で滑らかな外周面を有するキャップ10bとを有している。そして、本体10aに図示しないパッキンを介してキャップ10bを装着したとき、内部に管路からの漏洩を検知するのに必要な機器類を収容する収容空間10cが形成されている。従って、移動体10の収容空間10cは密閉された空間として構成されている。
【0068】
移動体10に形成された収容空間10cには、2組の集音部材、記録部材が配置されている。即ち、移動体10には、前後に夫々集音部材となる集音マイク11a、11aと、集音した音を記録する音記録部材となる録音機11b、11bが配置されている。特に、一方の集音マイク11aは移動体10の移動方向下流側の端部側に配置され、下流側に対する指向性を有している。また、他方の集音マイク11aは移動体10の上流側の端部側に配置され、上流側に対する指向性を有している。
【0069】
移動体10に形成された収容空間10cには時計12が配置されており、この時計12による時刻に対応させて後述する向きの記録、管材質の記録、集音した音の記録が行われる。
【0070】
また、収容空間10cには、移動体10の向きを感知して信号を発生する向き感知部材となるジャイロセンサー15aが配置されている。また、収容空間10cに、ジャイロセンサー15aが発生した信号を時刻と共に記録する向き記録部材15bが配置されている。
【0071】
また、収容空間10cには、管材質感知部材となる管路Aを構成する管の材質の変化点となる管A1と管A2の接続部E1、E2を感知して信号を発生する磁気センサー16aが配置されており、この磁気センサー16aが発生した信号を時刻と共に記録する管材質記録部材16bが配置されている。
【0072】
更に、収容空間10cには、集音マイク11a、録音機11b、ジャイロセンサー15a、向き記録部材15b、磁気センサー16a、管材質記録部材16bを制御する制御部13及び電源14が配置されている。
【0073】
録音機11b、向き記録部材15b、管材質記録部材16bの構成は限定するものではなく、小型で取り扱いの容易な記録部材であることが好ましい。本実施例では、SDカードのような記録媒体と、この記録媒体を利用する記録部材を用いている。
【0074】
本実施例に係る解析装置20を
図4により説明する。解析装置20は、制御部21と、入力部22と、出力部23を有して構成されている。制御部21は、記憶部21aと、検知基準点感知時刻判定部21bと、移動体位置推定演算部21cと、音発生位置推定演算部21dと、を有して構成されている。
【0075】
入力部22は、漏洩を検知すべき管路Aに設定された曲がり部C1~C3の曲がり角度、検知開始点B1から曲がり部C1までの距離L1、曲がり部C1から管A1と管A2の接続部E1までの距離L2、接続部E1から曲がり部C2までの距離L3、曲がり部C2から管A1と管A2の接続部E2までの距離L4、接続部E2から曲がり部C3までの距離L5、曲がり部C3から検知終了点B2までの距離L6、管路Aを構成する管A1、A2の材質、及び移動体10が検知開始点に於いて移動を開始した時刻、検知終点B2に於いて移動を停止した時刻を含む管路Aに於ける漏洩を検知するのに必要な数値やデータを入力するものである。
【0076】
また、入力部22には、録音機11b、向き記録部材15b、管材質記録部材16bが記録した記録媒体を接続し得るように構成されており、夫々の記録媒体に記録したデータを読み出す機能を有している。そして、読み取ったデータは記憶部21aに記憶される。
【0077】
検知基準点感知時刻判定部21bでは、記憶部21aに記憶された向き記録部材15bのデータ、管材質記録部材16bのデータを読み出して、夫々のデータと信号が発生した時刻とから、該信号に対応する検知基準点を判定する。即ち、
図2(c)に示すピーク31~33が曲がり部C1~C3に対応しその通過時刻がt1~3であることを判定し、
図2(b)に示す管A1、管A2に対応した信号の変化部位が管A1、A2の接続部E1、E2でありその通過時刻がt5~6であることを判定する。
【0078】
移動体位置推定演算部21cでは、記憶部21aに記憶した移動体10が検知開始点B1に於いて移動を開始した時刻、検知終点B2に於いて移動を停止した時刻、及び検知基準点C1~C3及びE1、E2を通過した時刻によって、時刻に対応させた管路Aに於ける移動体10の位置を推定する。
【0079】
また、音発生位置推定演算部21dでは、記憶部21aに記憶した移動体10が検知開始点B1に於いて移動を開始した時刻、検知終点B2に於いて移動を停止した時刻、及び録音機11bに記録された音データによって、時刻に対応した管路に於ける移動体の位置を推定することで、漏水位置を推定する。そして、推定された時刻に対応した移動体10の位置や漏水位置は出力部23に出力される。
【0080】
次に上記の如く構成された移動体10、解析装置20を利用して管路Aの漏洩を検知する方法の実施例について説明する。
【0081】
前述したように、管路Aの敷設図に検知開始点B1と検知終了点B2を設定すると共に、検知開始点B1と検知終了点B2の間に形成されている曲がり部C1~C3と管A1、A2及び管A1と管A2の接続部E1、E2を選択して検知基準点として設定し、解析装置20の入力部22から入力して記憶部21aに記憶させる。また、曲がり部C1~C3の曲がり方向と曲がり角度、管A1、A2の材質、及び各点間の距離L1~L6を入力部22から入力して記憶部21aに記憶させる。
【0082】
上記の如くして管路Aに検知開始点B1と検知終点B2及び検知基準点となる曲がり部C1~C3、管A1、A2の接続部E1、E2を設定した後、検知開始点B1から移動体10を管路Aに挿入して移動を開始させる。この操作は、図示しない把持部材によって移動体10を把持した状態で、検知開始点B1となる弁栓部から管路Aに挿入し、移動体10が管路Aの略中心に達したときに把持部材による把持を解除することで行われる。
【0083】
把持部材による把持が解除された移動体10は管路A内の移動を開始する。そして、把持部材による移動体10の把持を解除した時刻がt0として記録される。また、検知終点B2には移動体10の到着時刻を想定して該移動体10を回収する回収部材を管路Aの内部に配置しておく。特に、検知終点B2には予め移動してくる移動体10を視認するための視認部材を配置しておき、移動体10が回収部材に到着した時刻がt4として記録される。
【0084】
移動体10が検知開始点B1から検知終点B2に至る過程で、曲がり部C1~C3、接続部E1、E2を通過し、夫々の部位で移動体の向きと、管の材質の変化点を感知して時刻と共に対応する記録部材に記録してゆく。同様にして管路Aに漏洩部D1~D3が存在していた場合、これらの漏洩部D1~D3で生じた漏水音が集音マイク11aによって集音され、録音機11bに記録される。
【0085】
図2(a)~(d)は移動体10が管路A内を移動する過程で記録した信号と液体を介して伝達された伝達音を集音した記録を示す図であり、
図2(e)は時刻を表す時間軸を示す図である。
【0086】
図2(e)に於いて、t0~t4は管路Aに於ける検知開始点B1と検知終点B2、及びこれらの点B1、B2の間に配置されている曲がり部C1~C3を移動体10が通過する際の移動体の向きを記録した時刻を示している。また、t5、t6は移動体10が管A1、A2の接続部E1、E2を通過する際に生じた磁気センサーの信号を記録した時刻を示している。また、T1~T3は異常な伝達音を記録した時刻を示している。
【0087】
管路Aに形成された曲がり部C1~C3を感知する場合、夫々の曲がりの方向に沿って液体の流れの方向が変化することとなる。このため、液体と共に管路Aの内部を移動する移動体10が曲がり部を通過する際に、ヨーイングさせる方向の力が働き、これに伴って向きが変化する。そして、この変化した向きを感知することによって、移動体が曲がり部C1~C3の何れかを通過したことを認識することが可能である。
【0088】
図2(c)に示すように、検知開始点B1で把持部材による把持を解除されたときの時刻が、移動体10の移動開始時刻t0として記録される。引き続く移動に伴って移動体10が曲がり部C1~曲がり部C3を通過する際には、ジャイロセンサー15aから信号31~信号33が発生し、夫々時刻t1~t3と共に向き記録部15bに記録される。
【0089】
即ち、移動体10が曲がり部C1を通過するのに伴って右方向の角度40度に対応して+方向に角度40度に対応する幅を有する信号31が発生する。また、曲がり部C2を通過する際には左方向の角度65度に対応して-方向に角度65度に対応する幅を有する信号32が発生する。更に、曲がり部C3を通過する際には左方向に角度50度に対応する幅を有する信号33が発生する。
【0090】
図2(c)に示すジャイロセンサーの出力は積分され、
図2(d)に示すように、曲がり部C1~C3に対応する角度を有する直線として表示される。即ち、検知開始点B1から曲がり部C1に至る直線区間では角度0に対応した平坦な線となり、曲がり部C1から曲がり部C21に至る間では、曲がり部C1の右方向40度(+40度)に対応した平坦な線となる。また、曲がり部C2から曲がり部C3に至る間では、曲がり部C1と曲がり部C2の左方向65度の差分である-25度に対応した平坦な線となる。更に、曲がり部C3から検知終点B2に至る間では、曲がり部C2と曲がり部C3との差分である+35度を維持した平坦な線となる。
【0091】
移動体10が検知開始点B1から検知終点B2に至る間で、コンクリート管からなる管A1~鋳鉄管からなる管A2~コンクリート管からなる管A1の内部を通過する。移動体10に磁気センサー16aを配置することによって、管路A内を移動する過程で、現在の管がコンクリート管からなる管A1と鋳鉄管からなる管A2の接続部E1、E2を検知することが可能である。
【0092】
即ち、コンクリート管からなる管A1と鋳鉄管からなる管A2では、磁気に対するシールド性能が異なる点に着目し、移動体10に配置した磁気センサー16aによって移動過程に於ける磁気を感知することで、管A1、A2の接続部E1、E2を材質の変化点として感知することが可能である。このため、移動体10が管路Aを移動する過程で、管A1に対応した磁気を感知し、或いは管A2に対応した磁気を感知することで、
図2(b)に示す信号が出力され、この変化した信号を感知した時刻と共に管材質記録部材16bに記録される。従って、信号が変化した点を管A1と管A2の接続部E1、E2として感知することが可能である。
【0093】
一方、集音マイク11aは、移動体10が管路Aの内部を移動している間、連続して集音して集音した音を時刻と共に録音機11bに録音してゆく。即ち、前述した曲がり部の感知や管材質の感知とは独立して独自に集音を継続する。そして、その過程で
図2(a)に示すような集音ピーク41~43が生じたとき、この集音ピーク41~43は時刻と共に録音機11bに録音される。
【0094】
移動体10が検知終点B2に到達したとき、該検知終点B2となる弁栓部に配置された回収部材によって回収される。そして、移動体10を管路Aから取り出し、この移動体10から、向き記録部材15bに記録した向きデータ、管材質記録部材16bに記録した管材質データ、及び録音機11bに記録した音データ、を取り出し、入力部22を解して制御部21に入力する。
【0095】
制御部21の検知基準点感知時刻判定部21bでは、前述したように、記憶部21aに記憶された向き記録部材15bのデータ、及び管材質記録部材16bのデータから、記録されている時刻に発生した信号が管路Aに設定された検知基準点のどれに対応するかを判定する。この判定により、記録されている複数の信号の夫々が何れかの検知基準点と対応されることとなる。
【0096】
即ち、移動体10から取り出した向きデータ及び管材質データを、時刻を基準とした時系列に沿って並べ、移動開始時刻t0と検知開始点B1となる弁栓部を一致させて基準とし、敷設図と突き合わせ、
図2(e)に示す時刻の時間軸に対応させる。夫々時間軸に対応させた、移動体の向きを感知したピークによって表示された移動体の向きを
図2(c)に示し、曲がり角度を
図2(d)に示し、管材質の変化点を
図2(b)に示す。
【0097】
そして、これらの図から、移動体10の向きのピーク31が管路Aの曲がり部の通過に対応するとの認識から該ピーク31と曲がり部C1、同様にしてピーク32と曲がり部C2、ピーク33が曲がり部C3を夫々一致させると共に各ピーク30~34に対応した時刻t0~t4を対応させる。また、接続部E1、E2に対応した時刻t5、t6を対応させる。
【0098】
また、移動体位置推定演算部21cでは、記憶部21aに記憶した移動体10が検知開始点B1に於いて移動を開始した時刻、検知終点B2に於いて移動を停止した時刻、及び検知基準点C1~C3及びE1、E2を通過した時刻によって、時刻に対応させた管路Aに於ける移動体10の位置を推定する。
【0099】
更に、検知開始点B1から曲がり部C1までの距離L1と時刻t0から時刻t1までの時間によって、移動体10が距離L1を移動する際の平均移動速度V1(図示せず)を演算する。同様にして移動体10が距離L2を移動する際の平均移動速度V2、距離L3を移動する際の平均移動速度V3、距離L4を移動する際の平均移動速度V4、距離L5を移動する際の平均移動速度V5、距離L6を移動する際の平均移動速度V6が夫々演算される。尚、移動体10が距離L1~L6を移動する際の平均移動速度V1~V6は必ずしも同じ値とはならない。
【0100】
このようにして、時々刻々変化する移動体10の移動位置を推定する。推定された移動体10の位置は出力部23に出力することが可能である。
【0101】
次に、音発生位置推定演算部21dでは、伝達音を記録した音データを示す
図2(a)に表示された集音ピーク41、42、43に対応した時刻T1、T2、T3によって、各集音ピーク41~43の管路Aに於ける位置を推定し、漏洩部D1~D3の位置を検知する。即ち、移動体10の平均移動速度を利用して上流側に位置している曲がり部C1~C3からの距離X1~X3を演算することで、漏洩部D1~D3の位置を推定する。
【0102】
例えば、集音ピーク41が曲がり部C1と接続部E1との間にあり、この間の移動体10の平均移動速度がV2で、移動体10が曲がり部C1を通過した時刻がt1、集音ピーク41の時刻がT1であることから、時刻t1から時刻T1までの時間と平均移動速度V2と、によって距離X1を演算する。この結果、曲がり部C1から距離X1だけ下流側に集音ピーク41を発生させた漏洩部D1が存在する、としてこの漏洩部D1の位置を推定する。
【0103】
同様にして接続部E2から距離X2だけ下流側の位置に漏洩部D2が存在するとして推定し、曲がり部C3から距離X3だけ下流側の位置に漏洩部D3が存在するとして推定する。
【0104】
そして、管路Aに於ける位置が推定された漏洩部D1~D3の夫々の位置を出力部23に出力する。
【0105】
上記の如くして、管路Aに於ける漏水部D1~D3の位置を検知することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の漏洩検知方法及び移動体並びに漏洩検知装置は、圧力を持った液体が流通する管路であれば、水用の管路、油用の管路に利用することが可能である。特に、管路に配置された多くの弁栓部の中から検知始点と検知終点の弁栓部を利用することで良く、漏洩検知作業を容易に行うことが可能である。
【符号の説明】
【0107】
A 管路
A1、A2 管
B1 検知始点
B2 検知終点
C1~C3 曲がり部
D1~D3 漏洩部
E1、E2 接続部
L1~L6、X1~X3 距離
t0~t6、T1~T3 時刻
1 漏洩検知装置
10 移動体
10a 本体
10b キャップ
10c 収容空間
11a 集音マイク
11b 録音機
12 時計
13 制御部
14 電源
15a ジャイロセンサー
15b 向き記録部材
16a 磁気センサー
16b 管材質記録部材
20 解析装置
21 制御部
21a 記憶部
21b 検知基準点感知時刻判定部
21c 移動体位置推定演算部
21d 音発生位置推定演算部
22 入力部
23 出力部
31~33 向きを記録したピーク
41~43 集音ピーク