(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047768
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/26 20060101AFI20240401BHJP
B65H 31/38 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
B65H31/26
B65H31/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153443
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】並木 政樹
【テーマコード(参考)】
3F054
【Fターム(参考)】
3F054AA01
3F054BA02
3F054BD04
3F054BD07
3F054BG02
3F054BH02
3F054BH11
(57)【要約】
【課題】排出部9から排出された媒体3を載置する載置部18等における整列性を高めること。
【解決手段】搬送される媒体3の画像を読み取る読取部5と、搬送されてくる媒体3を排出方向Dに排出する排出部9と、排出部9により排出される媒体3の後端部3eを下方に向かって叩く叩き部材11とを備える画像読取装置。叩き部材11は、媒体3の先端部3tが排出部9により排出経路13に排出されるときは排出経路13から退避し、媒体3の後端部3eが排出部9を通過するときに排出経路13に進出する。叩き部材11が媒体3を叩く位置P2は、排出方向Dにおいて排出部9と重ならない位置である。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される媒体の画像を読み取る読取部と、
搬送されてくる媒体を排出方向に排出する排出部と、
前記排出部により排出される前記媒体の後端部を下方に向かって叩く叩き部材と、を備える、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置において、
前記叩き部材は、
前記媒体の先端部が前記排出部により排出経路に排出されるときは前記排出経路から退避し、
前記媒体の前記後端部が前記排出部を通過した後、前記排出経路に進出することで前記後端部を叩く、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像読取装置において、
前記叩き部材が前記媒体を叩く位置は、前記排出方向において前記排出部と重ならない位置である、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像読取装置において、
前記排出部は、前記排出方向と交差する幅方向において2つのローラー対を備え、
前記叩き部材は、前記幅方向において前記2つのローラー対の間に位置する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像読取装置において、
前記叩き部材が前記媒体の排出経路から退避する退避姿勢と、前記叩き部材が前記排出経路に進出する進出姿勢とに切り換え可能な姿勢切換部を備え、
前記姿勢切換部は、
前記排出方向において前記叩き部材よりも上流に位置して排出される前記媒体と接触する接触部を備え、
前記接触部が前記媒体と接触するときは前記叩き部材を前記退避姿勢に切り換え、
前記接触部が前記媒体と接触しないときは前記叩き部材を前記進出姿勢に切り換える、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像読取装置において、
前記接触部と前記媒体とが接触する位置は、前記排出方向において前記排出部の一部とオーバーラップする、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項5に記載の画像読取装置において、
前記排出部は、前記排出方向と交差する幅方向において2つのローラー対を備え、
前記接触部は、前記幅方向において前記2つのローラー対の間に位置する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項5に記載の画像読取装置において、
前記姿勢切換部は、
回転軸を有し、
前記回転軸に対して回転することで前記叩き部材の姿勢を切り換え、
前記回転軸は、前記排出方向において前記接触部と前記媒体とが接触する位置よりも上流に設けられる、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れか1項に記載の画像読取装置において、
前記排出部により排出される前記媒体の下面と接触し、前記媒体が排出される角度を上方に大きくする排出角度変更部を備える
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
請求項9に記載の画像読取装置において、
前記排出角度変更部は、
前記媒体が搬送される搬送経路から突出して前記媒体の下面に接触する突出状態と、前記搬送経路から退避する退避状態とを取り得る角度調整部と、
上下方向に回動可能であり、前記排出部に向かって搬送されてくる前記媒体の下面と接触する媒体接触部と、
前記角度調整部を前記搬送経路から退避する方向に付勢する付勢部材と、を備え、
前記媒体接触部は、前記媒体と接触することにより前記付勢部材の付勢力に抗して下方に回動し、前記角度調整部を前記退避状態から前記突出状態に変える、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項11】
請求項10に記載の画像読取装置において、
前記叩き部材は、前記排出角度変更部が前記退避状態となった後に、前記媒体の前記後端部が前記排出部を通過するときに前記後端部を叩く、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項12】
請求項1から請求項8の何れか1項に記載の画像読取装置において、
前記叩き部材は、前記排出部の前記排出方向における下流に位置する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項13】
請求項1に記載の画像読取装置において、
前記排出部の動力を生成する駆動源を備え、
前記叩き部材は、
前記媒体の先端部が前記排出部により排出経路に排出されるときは前記排出経路から退避し、
前記媒体の前記後端部が前記排出部を通過するときに前記排出経路に進出することで前記後端部を叩き、
前記駆動源の前記動力により前記退避の状態又は前記進出の状態を取る、
ことを特徴とする画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体排出装置を備える画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の一例として、特許文献1に記載のものが挙げられる。特許文献1には、以下の課題が記載されている。カール癖が強い用紙の場合、用紙が押え部材の下部に堆積する前に散らばる虞がある。また、複数の用紙が押さえつけられている場合に、押えつける力が強いと、既に堆積されている用紙に阻害されて、新たな用紙が押え部材の下部に堆積されない場合もある。
その課題に対する対策として、押下部材を上下方向に可動としたガイド部材が開示されている。更に、ガイド部材を着脱可能とすることで、排紙トレイの形状に関係なく、どのような装置であっても、押下部材を利用できるようになるということが説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構造では、即ち上記ガイド部材を設ける構造では、剛性が弱い媒体はガイド部材との接触が負荷となり、整列性が悪化する虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像読取装置は、搬送される媒体の画像を読み取る読取部と、搬送されてくる媒体を排出方向に排出する排出部と、前記排出部により排出される前記媒体の後端部を下方に向かって叩く叩き部材と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態1に係る媒体排出装置を備える画像読取装置を示す要部斜視図。
【
図2】実施形態1の叩き部材の部分を示す斜視図(A)と側断面(B)。
【
図3】
図2と異なる状態における同斜視図(A)と同側断面(B)。
【
図4】実施形態1の排出角度変更部の部分を示す斜視図(A)と側断面(B)。
【
図5】
図4と異なる状態における同斜視図(A)と同側断面(B)。
【
図6】実施形態1で排出角度変更部と排出部の部分を示す要部斜視図(A)(B)。
【
図7】実施形態1で排出角度変更部の作用を説明する側断面図(A)(B)。
【
図8】実施形態1の排出角度変更部の変形例を示す斜視図(A)と側断面(B)。
【
図9】
図8と異なる状態における同斜視図(A)と同側断面(B)。
【
図10】実施形態1の媒体排出装置の作用を説明する要部側断面。
【
図11】実施形態1の媒体排出装置の作用を説明する要部側断面。
【
図12】実施形態2に係る媒体排出装置を示す要部斜視図。
【
図13】実施形態2に係る媒体排出装置の作用を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明について先ず概略的に説明する。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る画像読取装置は、搬送される媒体の画像を読み取る読取部と、搬送されてくる媒体を排出方向に排出する排出部と、前記排出部により排出される前記媒体の後端部を下方に向かって叩く叩き部材と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、前記叩き部材は、前記排出部により排出される前記媒体の後端部を下方に向かって叩く。これにより、排出された前記媒体を載置する載置部等における整列性を高めることができる。
【0009】
本発明の第2の態様に係る画像読取装置は、第1の態様において、前記叩き部材は、前記媒体の先端部が前記排出部により排出経路に排出されるときは前記排出経路から退避し、前記媒体の前記後端部が前記排出部を通過した後、前記排出経路に進出することで前記後端部を叩くことを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、前記叩き部材は、前記媒体の先端部が前記排出経路に排出されるときは退避し、前記媒体の前記後端部が前記排出部を通過するときに前記排出経路に進出することで前記後端部を叩く。即ち、前記叩き部材は、前記媒体を前記排出部等で搬送している最中においては前記媒体と接触せず、前記媒体の後端部が前記排出部を通過するときに前記媒体に接触する。これにより、剛性が弱い媒体であっても搬送中にその先端部にジャムが生じる虞を低減することができる。
【0011】
本発明の第3の態様に係る画像読取装置は、第1の態様において、前記叩き部材が前記媒体を叩く位置は、前記排出方向において前記排出部と重ならない位置であることを特徴とする。
ここで、「前記叩き部材が前記媒体を叩く位置は、前記排出方向において前記排出部と重ならない位置」における「重ならない」とは、前記叩き部材が前記媒体を叩く位置は、前記媒体の搬送方向において前記排出部の占める領域よりも下流に位置することを意味する。
【0012】
本態様によれば、前記叩き部材が前記媒体を叩く位置は、前記排出方向において前記排出部と重ならない位置である。これにより、前記叩き部材によって上から叩かれた前記媒体の後端部が前記排出部に当たる虞は少ない。即ち、前記媒体の後端部が前記排出部と接触して丸まったり、前記排出部と擦れ続けたりする状態になる虞が少ない。よって、より確実に前記媒体を載置部等に落すことができる。
【0013】
本発明の第4の態様に係る画像読取装置は、第1の態様から第3の態様のいずれか一つの態様において、前記排出部は、前記排出方向と交差する幅方向において2つのローラー対を備え、前記叩き部材は、前記幅方向において前記2つのローラー対の間に位置することを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、前記叩き部材は、前記幅方向において前記2つのローラー対の間に位置する。これにより、前記媒体は前記2つのローラー対で両側をニップされた状態で前記叩き部材によって上から叩かれることになるので、例えば媒体が薄紙であっても適切に載置部等に排出させることができる。
【0015】
本発明の第5の態様に係る画像読取装置は、第1の態様において、前記叩き部材が前記媒体の排出経路から退避する退避姿勢と、前記叩き部材が前記排出経路に進出する進出姿勢とに切り換え可能な姿勢切換部を備え、前記姿勢切換部は、前記排出方向において前記叩き部材よりも上流に位置して排出される前記媒体と接触する接触部を備え、前記接触部が前記媒体と接触するときは前記叩き部材を前記退避姿勢に切り換え、前記接触部が前記媒体と接触しないときは前記叩き部材を前記進出姿勢に切り換えることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、前記叩き部材が前記退避姿勢と前記進出姿勢とに切り換え可能な姿勢切換部を備える。そして、前記姿勢切換部は、前記排出方向において前記叩き部材よりも上流に位置して前記媒体と接触する接触部を備え、前記接触部が前記媒体と接触するときは前記叩き部材を前記退避姿勢に切り換え、前記接触部が前記媒体と接触しないときは前記叩き部材を前記進出姿勢に切り換える。これにより、構造簡単にして、前記叩き部材の前記叩きの動作を実現することができる。
【0017】
本発明の第6の態様に係る画像読取装置は、第5の態様において、前記接触部と前記媒体とが接触する位置は、前記排出方向において前記排出部の一部とオーバーラップすることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、前記接触部と前記媒体とが接触する位置は、前記排出方向において前記排出部の一部とオーバーラップする。これにより、前記媒体が排出部により排出されているとき、前記接触部の接触によって前記媒体の搬送方向における剛性が高くなり、前記媒体に折れや皺が生じる虞を低減することができる。
前記接触部と前記媒体とが接触する位置は、前記排出方向において前記排出部が前記媒体をニップする位置より下流であることが好ましい。
【0019】
本発明の第7の態様に係る画像読取装置は、第5の態様又は第6の態様において、前記排出部は、前記排出方向と交差する幅方向において2つのローラー対を備え、前記接触部は、前記幅方向において前記2つのローラー対の間に位置することを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、前記接触部は前記幅方向において前記2つのローラー対の間に位置する。前記媒体が前記2つのローラー対により両側をニップされているとき、前記媒体の搬送方向の剛性が高くなる。これにより、前記媒体の剛性が高まっている状態で前記接触部が前記媒体と接触することになるので、前記媒体に折れや皺が生じる虞を低減することができる。
【0021】
本発明の第8の態様に係る画像読取装置は、第5の態様から第7の態様のいずれか一つの態様において、前記姿勢切換部は、回転軸を有し、前記回転軸に対して回転することで前記叩き部材の姿勢を切り換え、前記回転軸は、前記排出方向において前記接触部と前記媒体とが接触する位置よりも上流に設けられることを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、前記姿勢切換部は、前記回転軸に対して回転することで前記叩き部材の姿勢を切り換える。更に、前記回転軸は、前記排出方向において前記接触部と前記媒体とが接触する位置よりも上流に設けられる。これにより、前記叩き部材の叩き動作を容易に実現することができる。更に、前記回転軸が前記位置に設けられることで、前記姿勢切換部が回動する回動範囲を広く確保することができる。
【0023】
本発明の第9の態様に係る画像読取装置は、第1の態様から第8の態様のいずれか一つの態様において、前記排出部により排出される前記媒体の下面と接触し、前記媒体が排出される角度を上方に大きくする排出角度変更部を備えることを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、前記排出部により排出される前記媒体の下面と接触することにより前記媒体から受ける下方への力を動力として、前記媒体が排出される角度を上方に大きく変える排出角度変更部を備える。即ち、前記排出角度変更部は、排出される前記媒体の排出角度を上方に大きくするので、排出される前記媒体が載置部等の載置面と当接する角度が小さくなる。これにより、前記媒体が前記載置面との間で生じる前記当接の摩擦を低減することができる。
【0025】
本発明の第10の態様に係る媒体排出装置は、第9の態様において、前記排出角度変更部は、前記媒体が搬送される搬送経路から突出して前記媒体の下面に接触する突出状態と、前記搬送経路から退避する退避状態とを取り得る角度調整部と、上下方向に回動可能であり、前記排出部に向かって搬送されてくる前記媒体の下面と接触する媒体接触部と、前記角度調整部を前記搬送経路から退避する方向に付勢する付勢部材と、を備え、前記媒体接触部は、前記媒体と接触することにより前記付勢部材の付勢力に抗して下方に回動し、前記角度調整部を前記退避状態から前記突出状態に変えることを特徴とする。
【0026】
本態様によれば、前記排出角度変更部は、前記角度調整部と前記媒体接触部と前記付勢部材とを備え、前記媒体接触部は、前記媒体と接触することにより前記媒体から受ける下方への力によって前記付勢部材の付勢力に抗して下方に回動し、前記角度調整部を前記退避状態から前記突出状態に変える。
前記媒体接触部が接触する媒体には、例えば剛性の大きい厚紙や剛性の小さい薄紙がある。前記厚紙は前記媒体接触部を下方に押す力が大きいが、前記薄紙は前記媒体接触部を下方に押す力が厚紙より小さい。前記付勢部材の付勢力が同じである場合は、厚紙は前記媒体接触部を前記付勢力に抗して大きく下げるので、前記角度調整部の前記突出状態における突出量が大きくなる。一方、薄紙は前記媒体接触部を厚紙より小さく下げることになるので、前記角度調整部の前記突出状態における突出量が小さくなる。
このように、前記付勢部材を設けたことによって、自動的に、厚紙に対しては大きい排出角度で排出させることができ、薄紙に対しては小さい排出角度で排出させることが可能になる。厚紙は、前記排出角度が小さいと先に載置部上に排出された媒体に対して、その後端に接して前に押し出してしまう場合があるので、前記排出角度は大きい方がよい。一方、薄紙は前記排出角度が大きいと空気抵抗を受けて排出されにくくなるので、前記排出角度は小さい方がよい。このように、媒体の厚さ等の剛性に対応して前記角度調整部の突出量を変えることができ、媒体の剛性に応じて適切な排出角度に調整することができる。
【0027】
本発明の第11の態様に係る画像読取装置は、第9の態様又は第10の態様において、前記叩き部材は、前記排出角度変更部が前記退避状態となった後に、前記媒体の前記後端部が前記排出部を通過するときに前記後端部を叩くことを特徴とする。
【0028】
本態様によれば、前記叩き部材は、前記排出角度変更部が前記退避状態となった後に、前記媒体の前記後端部が前記排出部を通過するときに叩く。これにより、前記叩き部材は、前記媒体の後端部が前記排出角度変更部と接触しない状態になってから叩くことになり、より確実に載置部等に落とすことができる。
【0029】
本発明の第12の態様に係る画像読取装置は、第1の態様から第8の態様のいずれか一つの態様において、前記叩き部材は、前記排出部の前記排出方向における下流に位置することを特徴とする。
【0030】
本態様によれば、前記叩き部材は、前記排出部の前記排出方向における下流に位置する。これにより、前記叩き部材は、前記媒体の後端部が前記排出部のニップ位置を通り過ぎた状態なってから叩くことになるので、排出された前記媒体を載置部等に効果的に落とすことができ、以って整列性を高めることができる。
【0031】
本発明の第13の態様に係る画像読取装置は、第1の態様において、前記排出部の動力を生成する駆動源を備え、前記叩き部材は、前記媒体の先端部が前記排出部により排出経路に排出されるときは前記排出経路から退避し、前記媒体の前記後端部が前記排出部を通過するときに前記排出経路に進出することで前記後端部を叩き、前記駆動源の前記動力により前記退避の状態又は前記進出の状態を取ることを特徴とする。
【0032】
本態様によれば、前記叩き部材は、前記駆動源の動力により前記媒体の後端部を叩くので、より確実に前記媒体を載置部等に落とすことができる。
【0033】
[実施形態]
以下、本発明の各実施形態に係る媒体排出装置と、この媒体排出装置を備える画像読取装置について、図面に基づいて具体的に説明する。
以下の説明においては、互いに直交する3つの軸を、各図に示すように、それぞれX軸、Y軸、Z軸とする。3つの軸(X,Y,Z)の矢印の示す方向が各方向の+方向であり、その逆が-方向である。Z軸方向は鉛直方向即ち重力が作用する方向に相当し、+Z方向が鉛直上方を示し、-Z方向が鉛直下方を示す。X軸方向及びY軸方向は、水平方向に相当する。+Y方向が装置の前方向を示し、-Y方向が装置の後方向を示す。+X方向が装置の右方向を示し、-X方向が装置の左方向を示す。
【0034】
[実施形態1]
<画像読取装置の全体構成>
実施形態1の画像読取装置1は、媒体の画像を読み取り可能なスキャナーである。ここで、前記画像は、前記媒体に視覚的に記録されているものを意味し、例えば文字、図形、表、絵、写真等である。また、前記媒体は、シートに限らず、カード、冊子等も含まれる。
図1、
図10及び
図11に示したように、画像読取装置1は、媒体3の画像を読み取り可能な読取部5と、媒体排出装置7とを備える。媒体排出装置7は、読取部5より上流から搬送経路2を搬送方向Fに搬送されてくる媒体3を排出方向Dに排出する排出部9と、排出部9により排出方向Dに排出される媒体3の後端部3eを下方に向かって叩く叩き部材11とを備える。尚、搬送経路2とは、この明細書においては、排出部9の上流側の部分だけでなく、排出部9の下流側の部分、即ち排出経路Dも含む意味で使われている。
搬送経路2には、読取部5の上流に媒体3に搬送力を付与する搬送ローラー対等の他の構造部材が通常のスキャナーと同様に配置されている。ここでは、それらについての図示及び説明は省略する。
【0035】
<媒体排出装置>
図1、
図10及び
図11に示したように、本実施形態の媒体排出装置7は、繰り返しの記載になるが、搬送方向Fの上流から搬送されてくる媒体3を排出方向Dに排出する排出部9と、排出部9により排出される媒体3の後端部3eを下方に向かって叩く叩き部材11を備えている。
ここでは、
図10及び
図11に示したように、叩き部材11は、排出部9の排出方向Dにおける下流に位置する。
排出部9は、排出駆動ローラー4と排出従動ローラー6のローラー対10で構成されている。排出部9は、排出駆動ローラー4と排出従動ローラー6の対で媒体3をニップして排出方向Dに排出する。
図10と
図11において、符号14は排出駆動ローラー4の回転軸、符号16は排出従動ローラー6の回転軸、符号8(
図11)はニップ点を示す。更に、符号18は媒体3を載置する載置部、符号20は載置面を示し、排出部9から排出された媒体3は載置部18の載置面20上に載置される。
【0036】
<叩き部材>
図1から
図3、
図10及び
図11により、叩き部材11の構造を説明する。
図1(B)と
図10に示したように、叩き部材11は、媒体3の先端部3tが排出部9により排出経路13に排出されるときは排出経路13から退避する。一方、叩き部材11は、媒体3の後端部3eが排出部9を通過するときには、
図1(A)と
図11に示したように、排出経路13に進出し、その進出の際に後端部3eを叩くように構成されている。尚、
図1(A)(B)においては、媒体3の図示は省略されている。
【0037】
本実施形態では、媒体排出装置7は姿勢切換部15を備えている。姿勢切換部15は、叩き部材11が媒体3の排出経路13から退避する退避姿勢(
図11、
図1(B))と、叩き部材11が排出経路13に進出する進出姿勢(
図10、
図1(A))とに切り換え可能である。
姿勢切換部15は、本実施形態では、排出方向Dにおいて叩き部材11よりも上流に位置して、排出される媒体3の上面と接触する接触部17を備えている。そして、接触部17が媒体3と接触するときは叩き部材11を退避姿勢(
図11)に切り換える。一方、接触部17が媒体3と接触しないときは叩き部材11を進出姿勢(
図10)に切り換えるように構成されている。
【0038】
更に、姿勢切換部15は、回転軸19を有し、回転軸19に対して回転することで叩き部材11の姿勢を退避姿勢(
図11)と進出姿勢(
図10)とに切り換えることができる。回転軸19は、排出方向Dにおいて接触部17と媒体3とが接触する位置P1よりも上流に設けられている。
更に、
図11に示したように、接触部17と媒体3とが接触する位置P1は、排出方向Dにおいて排出部9の一部とオーバーラップする。ここでは、排出駆動ローラー4と排出従動ローラー6のローラー対10が排出方向Dにおいて占めるそれぞれの領域内に位置P1があるように設定されている。別の言い方をすると、排出駆動ローラー4と排出従動ローラー6の直径の範囲内に位置P1がある。
更に、
図10に示したように、叩き部材11が媒体3を叩く位置P2は、排出方向Dにおいて排出部9と重ならない位置である。これにより、媒体3の後端部3eが排出部9を通り過ぎてから、叩き部材11が媒体3の後端部3eを叩くことができるようになっている。
【0039】
また、
図10中の要部拡大模式図(W)に示したように、本実施形態では、排出部9は、排出方向Dと交差する幅方向(X軸方向)において2つのローラー対10,10を備えている。そして、叩き部材11は、幅方向(X軸方向)において2つのローラー対10,10の間に位置するように構成されている。
更に、接触部17も、幅方向(X軸方向)において2つのローラー対10,10の間に位置するように構成されている。
尚、2つのローラー対10,10が、幅方向(X軸方向)において複数組設けられている場合は、同様に接触部17を他の2つのローラー対10,10の間にも配置することが好ましい。
ここで、模式図(W)は、
図10において排出部9を矢印Sの方向に見て描いた図である。
【0040】
図2と
図3は、叩き部材11の部分だけを描いた斜視図(A)と側断面図(B)である。
図2(A)は、
図1(A)及び
図10に示した進出姿勢の状態である。
図2(B)は、
図1(B)及び
図11に示した退避姿勢の状態である。
本実施形態では、叩き部材11は、接触部17を有する姿勢切換部15と一体成形で作られている。尚、叩き部材11と姿勢切換部15とを別体に作り、その両者を一体化してもよい。
姿勢切換部15は、回転軸19によって第1ホルダー12に回転可能に保持されている。姿勢切換部15は、第1ホルダー12を介して
図1に示したように、媒体排出装置7の排出部9の部分に取り付けられている。姿勢切換部15が回転軸19を回転支点として回転することで、叩き部材11の姿勢を退避姿勢(
図11)と進出姿勢(
図10)とに切り換えることができる。
【0041】
<排出角度変更部>
また、
図1、
図4、
図5、
図10及び
図11に示したように、本実施形態では、媒体排出装置7は、搬送されてくる媒体3を排出方向Dに排出する排出部9と、排出部9により排出される媒体3の下面23に接触して、媒体3が排出される排出角度θ(
図11)を上方に大きくする排出角度変更部21を備えている。なお、排出角度θとは、搬送経路2を延長した仮想線と排出部9により媒体が排出される方向とが成す角度である。排出角度θは、読取部5が設けられる読取経路を延長した仮想線と排出部9により媒体が排出される方向とが成す角度であってもよい。
排出角度変更部21は、角度調整部25と媒体接触部27とを有する。角度調整部25は、媒体3が搬送される搬送経路2から突出して媒体3の下面23(
図11)に接触する突出状態(
図11、
図1(B))と、搬送経路2から退避する退避状態(
図10、
図1(A))とを取り得る。媒体接触部27は、上下方向に回動可能であり、排出部9に向かって搬送されてくる媒体3の下面23と接触するように配置されている。媒体接触部27は軸24を回動支点として上下方向に回動可能である。角度調整部25は、媒体接触部27に対して軸22を介して自由端が回転可能に連結されている。
媒体接触部27は、媒体3の下面23が接触することにより軸24を回動支点として下方に回動し、その下方への回動により角度調整部25の自由端が上方に回動する。これにより角度調整部25を退避状態(
図10)から突出状態(
図11)に変えることができる。
【0042】
本実施形態では、排出角度変更部21は、角度調整部25を搬送経路2から退避する方向に付勢する付勢部材29(
図4、
図5)を備えている。媒体接触部27は、媒体3の下面23と接触することにより、付勢部材29の付勢力に抗して下方に回動し、角度調整部25を退避状態(
図10)から突出状態(
図11)に変えるように構成されている。
ここでは、付勢部材29はトーションバネが使われているが、これに限定されない。同様の役割を果たせるものであれば、引っ張りバネ、圧縮バネ等でもよい。また、付勢部材29を設ける位置も上記した位置に限定されない。付勢部材29としての付勢力が上記と同様に作用する位置であればよい。
媒体接触部27が媒体3と接触する位置P3は、排出方向Dにおいて角度調整部25が媒体3の下面23と接触する位置P4より上流であるように構成されている。
ここでは、
図11に示したように、角度調整部25が媒体3と接触する位置P4は、排出方向Dにおいてローラー対10のニップ位置8より下流に位置する。
【0043】
図4と
図5は、排出角度変更部21の部分だけを描いた斜視図(A)と側断面図(B)である。
図4(A)は、
図1(A)及び
図10に示した進出姿勢の状態である。
図4(B)は、
図1(B)及び
図11に示した退避姿勢の状態である。
本実施形態では、排出角度変更部21は、媒体接触部27の基端が軸24によって第2ホルダー26に回動可能に保持されている。排出角度変更部21は、第2ホルダー26を介して
図1に示したように、媒体排出装置7の排出部9の部分に取り付けられている。
【0044】
図4の状態にある媒体接触部27が、搬送されてくる媒体3の先端部3tの下面に接触することで、軸24を回動支点として下方に回動し、上記したように媒体接触部27の自由端に位置し角度調整部25の基端が回動可能に連結される軸22の部分が下方に移動する。軸22の部分が下方に移動すると、角度調整部25の裏面28の第2ホルダー26の被ガイド部30と接触する部分である接点32が、その接触状態のまま移動する。これにより、角度調整部25は軸22を回動支点として自由端が上方に回動する。この一連の動作により、角度調整部25は、退避状態(
図10、
図4)から突出状態(
図11、
図5)に変わる。
更に、媒体3の後端部3eが排出部9から排出されると、媒体接触部27は媒体3の下面23との接触が無くなるので、媒体3との接触に基づく下方に押す力から解放される。この状態になると、付勢部材29の付勢力による復元作用によって角度調整部25の自由端が下方に回動しつつ、軸22の部分を上方に移動させる。媒体接触部27の基端は軸24で上下方向には固定されているので、上記のように、軸22の部分が上方に移動する。そして、突出状態(
図10、
図5)に戻る。
【0045】
図6(A)(B)に示したように、排出部9は、排出方向Dと交差する幅方向(X軸方向)において2つのローラー対10,10を備えている。そして、排出角度変更部21は、幅方向(X軸方向)において2つのローラー対10,10の間に位置するように構成されている。即ち、角度調整部25と媒体接触部27は、2つのローラー対10,10の間に位置する。
尚、2つのローラー対10,10が、幅方向(X軸方向)において複数組設けられている場合は、同様に排出角度変更部21を他の2つのローラー対10,10の間にも配置することが好ましい。
【0046】
<厚紙と薄紙>
図7(A)(B)に基いて、媒体として剛性が高い厚紙と剛性が低い薄紙を搬送して排出する場合の排出角度変更部21の動作を説明する。
図7(A)は厚紙である媒体3が排出部9から排出される状態を示している。媒体3の先端3tの下面23が媒体接触部27に接触すると媒体接触部27が軸24を回動支点として、付勢部材29の付勢力に抗して、下方に回動する。媒体接触部27のこの下方への回動は、同時に角度調整部25を付勢部材29の付勢力に抗して上方に回動させる。これにより角度調整部25の自由端の一部が媒体3の下面23に接触する状態になる。
この際、媒体3が厚紙である場合は、媒体接触部27を下方に押す力が薄紙より大きいので、媒体接触部27の下方への回動角度は大きくなる。この回動角度が大きいと角度調整部25を上方に回動させる角度も大きくなり、以って媒体3は、排出角度θ(
図11)が大きい状態で排出される。
【0047】
一方、
図7(B)に示したように、媒体3が薄紙である場合は、媒体接触部27を下方に押す力が厚紙より小さいので、媒体接触部27の下方への回動角度はその分だけ小さくなる。この回動角度が小さいと角度調整部25を上方に回動させる角度も小さくなり、媒体3は排出角度θ(
図11)が小さい状態で排出されることになる。
以上説明したように、付勢部材29の付勢力を適切に設定することにより、媒体3の排出角度θを厚紙に適切な角度と薄紙に適切な角度に自動的に変えることができるようになる。
【0048】
<排出角度変更部の変形例>
図8と
図9は、排出角度変更部21の変形例を示す。
この変形例の排出角度変更部21は、角度調整部25と媒体接触部27が別個に形成されている。角度調整歯25は、第2ホルダー26に軸22が取付けられ、軸22を回動支点として自由端が上下に回動するように構成されている。
媒体接触部27は、軸34が第2ホルダー26に取り付けられ、軸34を回動支点として自由端が上下に回動するように構成されている。ここでは、軸34の部分にも付勢部材36が設けられている。付勢部材36の付勢方向は、媒体支持部27の自由端を上方に移動させ、搬送経路2と交差する位置である
図1(A)、
図9及び
図10に示した状態になるまで移動させる方向である。
ここでは、付勢部材36はトーションバネが使われているが、これに限定されない。同様の役割を果たせるものであれば、引っ張りバネ、圧縮バネ等でもよい。また、付勢部材36を設ける位置も上記した位置に限定されない。付勢部材36としての付勢力が上記と同様に作用する位置であればよい。
図9の状態にある媒体接触部27が、搬送されてくる媒体3の下面23と接触すると、媒体接触部27の自由端が下方に回動して移動する。そして、媒体接触部27の自由端が角度調整部25の基端を上から下方に向かって押す。これにより、角度調整部25の自由端が付勢部材29の付勢力に抗して上方に回動し、
図8に示した状態になり、その状態が維持される。
【0049】
<実施形態1の作用の説明>
叩き部材11が
図10に示した進出姿勢の状態で、媒体3が読取部5のある上流から搬送されてきてその先端部3tが排出部9の領域に達すると、媒体3の上面が姿勢切換部15の接触部17に下方から接触する。媒体3が更に搬送されると、接触部17を上方に持ち上げる。これにより姿勢切換部15は回転軸19を支点として時計回りに回転するので、叩き部材11は上方に移動して
図11に示した退避姿勢の状態になる。
排出部9によって媒体3が排出方向Dに排出され、媒体3の後端部3eが排出部9を通過すると、接触部17を持ち上げるものが無い状態になり、接触部17は下方に移動する。これにより、姿勢切換部15は、回転軸19を支点として反時計回りに回転するので、叩き部材11は下方に移動して
図11に示す進出姿勢の状態に移行する。即ち、叩き部材11は媒体3の後端部3eを下方に叩く。
【0050】
本実施形態では、媒体排出装置7は排出角度変更部21も備えている。排出角度変更部21の角度調整部25が
図10に示した退避状態で且つ媒体接触部27が搬送経路2と交差する位置にある状態で、媒体3が上流から搬送されてきてその先端部3tが排出部9の領域に達すると、媒体3の下面23が媒体接触部27に接触する。媒体3が更に搬送されると、媒体接触部27は軸24を回動支点として下方に回動する。これにより、角度調整部25の軸22の部分が下方に移動する。軸22の部分が下方に移動すると、角度調整部25は軸22を回動支点として自由端が上方に回動する。この一連の動作により、角度調整部25は、退避状態(
図10、
図4)から突出状態(
図11、
図5)に変わる。これにより、媒体3の排出角度θが大きくなる。
【0051】
<実施形態1の効果の説明>
<叩き部材に基づく効果>
(1)実施形態1では、叩き部材11は、排出部9により排出される媒体3の後端部3eを下方に向かって叩く。これにより、排出された媒体3を載置する載置部18等における整列性を高めることができる。
(2)また、本実施形態では、叩き部材11は、媒体3の先端部3tが排出経路13に排出されるときは退避し、媒体3の後端部3eが排出部9を通過するときに排出経路13に進出することで後端部3eを叩く。即ち、叩き部材11は、媒体3を排出部9等で搬送している最中においては媒体3と接触せず、媒体3の後端部3eが排出部9を通過するときに媒体3に接触するので、剛性が弱い媒体3であっても搬送中にその先端部にジャムが生じる虞を低減することができる。
また、本実施形態では、
図10等で示すように、排出部9は排出方向において読取部5の下流に位置する。すなわち、排出部9は、読取部5が媒体3を読み取っている間に載置部18に向けて媒体3を排出し始める。このとき、叩き部材11は、退避姿勢となるため、媒体3と接触しない。すなわち、本実施形態では、叩き部材11は、読取部5が媒体3を読み取っている間に媒体3と接触しないので、読取部3の読取精度に影響を及ぼすことを抑制できる。
【0052】
(3)また、本実施形態では、叩き部材11が媒体3を叩く位置P2は、排出方向Dにおいて排出部9と重ならない位置である。これにより、叩き部材11によって上から叩かれた媒体3の後端部3eが排出部9に当たる虞は少ない。即ち、媒体3の後端部3eが排出部9と接触して丸まったり、排出部9と擦れ続けたりする状態になる虞が少ない。よって、より確実に媒体3を載置部18等に落すことができる。
(4)また、本実施形態では、叩き部材11は、幅方向(X軸方向)において2つのローラー対10,10の間に位置する。これにより、媒体3は2つのローラー対10,10で両側をニップされた状態で叩き部材11によって上から叩かれることになるので、例えば媒体3が薄紙であっても適切に載置部18等に排出させることができる。
【0053】
(5)また、本実施形態では、叩き部材11を退避姿勢(
図11)と進出姿勢(
図10)とに切り換え可能な姿勢切換部15を備える。そして、姿勢切換部15は、排出方向Dにおいて叩き部材11よりも上流に位置して媒体3と接触する接触部17を備え、接触部17が媒体3と接触するときは叩き部材11を退避姿勢(
図11)に切り換え、接触部17が媒体3と接触しないときは叩き部材11を進出姿勢(
図10)に切り換える。これにより、構造簡単にして、叩き部材11の叩きの動作を実現することができる。
(6)また、本実施形態では、接触部17と媒体3とが接触する位置P1は、排出方向Dにおいて排出部9の一部とオーバーラップする。これにより、媒体3が排出部9により排出されているとき、接触部17の接触によって媒体3の搬送方向Fにおける剛性が高くなり、媒体3に折れや皺が生じる虞を低減することができる。この位置P1は、排出方向Dにおいて排出部9が媒体3をニップする位置であるニップ点8より下流であることが好ましい。
【0054】
(7)また、本実施形態では、接触部17は幅方向(X軸方向)において2つのローラー対10,10の間に位置する。媒体3が前記2つのローラー対10,10により両側をニップされているとき、媒体3の搬送方向Fの剛性が高くなる。これにより、媒体3の剛性が高まっている状態で接触部17が媒体3と接触するため、媒体3に折れや皺が生じる虞を低減することができる。
(8)また、本実施形態では、姿勢切換部15は、回転軸19を回転支点として回転することで叩き部材11の姿勢を切り換える。更に、回転軸19は、排出方向Dにおいて接触部17と媒体3とが接触する位置P1よりも上流に設けられる。これにより、叩き部材11の叩き動作を容易に実現することができる。更に、回転軸19が前記位置に設けられることで、姿勢切換部15が回動する回動範囲を広く確保することができる。
(9)また、本実施形態では、叩き部材11は、排出部9の排出方向Dにおける下流に位置する。これにより、叩き部材11は、媒体3の後端部3eが排出部9のニップ点8を通り過ぎた状態なってから叩くことになるので、排出された媒体3を載置部18等に効果的に落とすことができ、以って整列性を高めることができる。
【0055】
<排出角度変更部に基づく効果>
(10)また、本実施形態では、排出部9により排出される媒体3の下面23と接触することにより媒体3から受ける下方への力を動力として、媒体3が排出される角度を上方に大きく変える排出角度変更部21を備える。即ち、排出角度変更部21は、排出される媒体3の排出角度θを上方に大きくするので、排出される媒体3が載置部18等の載置面20と当接する角度が小さくなる。これにより、媒体3が載置面20との間で生じる前記当接の摩擦を低減することができる。
【0056】
(11)また、本実施形態では、排出角度変更部21は、角度調整部25と媒体接触部27と付勢部材29とを備え、媒体接触部27は、媒体3と接触することにより媒体3から受ける下方への力によって付勢部材29の付勢力に抗して下方に回動し、角度調整部25を退避状態(
図10)から突出状態(
図11)に変える。
媒体接触部27が接触する媒体3には、例えば剛性の大きい厚紙や剛性の小さい薄紙がある。前記厚紙は媒体接触部27を下方に押す力が大きいが、前記薄紙は媒体接触部27を下方に押す力が厚紙より小さい。付勢部材29の付勢力が同じである場合は、厚紙は媒体接触部27を前記付勢力に抗して大きく下げるので、角度調整部25の突出状態(
図11)における突出量が大きくなる。一方、薄紙は媒体接触部27を厚紙よりも小さく下げることになるので、角度調整部25の突出状態(
図11)における突出量が小さくなる。
このように、付勢部材29を設けたことによって、自動的に、厚紙に対しては大きい排出角度θで排出させることができ、薄紙に対しては小さい排出角度θで排出させることが可能になる。厚紙は、排出角度θが小さいと先に排出された媒体3に対して、その後端に接して前に押し出してしまう場合があるので、排出角度θは大きい方がよい。一方、薄紙は排出角度θが大きいと空気抵抗を受けて排出されにくくなるので、排出角度θは小さい方がよい。このように、媒体3の厚さ等の剛性に対応して角度調整部25の突出量を自動的に変えることができ、媒体3の剛性に応じて適切な排出角度θに調整することができる。
【0057】
(12)また、本実施形態では、前記各位置P1、P2、P3、P4の相対位置の関係から理解できるように、叩き部材11は、排出角度変更部21が退避状態(
図10)となった後であって、媒体3の後端部3eが排出部9を通過するときに叩くように構成されている。これにより、叩き部材11は、媒体3の後端部3eが排出角度変更部21と接触しない状態になってから叩くので、より確実に載置部18等に落とすことができる。
本実施形態では、媒体接触部27が媒体3と接触する位置P3は、接触部17と媒体3とが接触する位置P1よりも搬送方向の下流に位置する。このため、媒体接触部27が媒体3と接触する期間が長くなり、角度調整部25の突出状態を長期間維持させることができる。結果、排出角度θを長期間維持できるので媒体3をより適切に排出することができる。
なお、位置P1及び位置P3の位置関係は、本実施形態に限定されず、適宜変更可能である。
【0058】
[実施形態2]
以下、実施形態2に係る媒体排出装置7と、この媒体排出装置7を備える画像読取装置1について、
図12と
図13に基づいて説明する。実施形態1と同一部分については同一符号を付してその構成及び対応する効果の説明は省略する。
実施形態2では、排出部9の動力を生成する駆動源31としての排出モーターを備えている。叩き部材11は、媒体3の先端部3tが排出部9により排出経路13に排出されるときは排出経路13から退避している。一方、叩き部材11は、媒体3の後端部3eが排出部9を通過するときに排出経路13に進出することで後端部3eを叩く。本実施形態では、叩き部材11は、駆動源31の動力により退避の状態(
図11、
図1(B))又は進出の状態(
図10、
図1(A))を取るように構成されている。ここで、媒体3の後端部3eが排出部9を通過することは、図示を省く媒体センサーによって検出されるように構成されている。
【0059】
具体的には、排出部9を成す排出駆動ローラー4の回転軸14にワンウェイギア38が取付けられている。ワンウェイギア38は駆動源31からベルト40を介して動力が伝達される。ワンウェイギア38は、駆動源31の正回転時には排出駆動ローラー4の回転軸14を正転方向には回転させて媒体3を排出するが、逆転方向には回転させない。
また、駆動源31は、ギア輪列42を介して回転軸44に動力を伝達可能である。回転軸44には姿勢切換部15が取付けられている。回転軸44と姿勢切換部15との間にはカム構造46が設けられおり、このカム構造46によって動力の伝達状態と非伝達状態を切り換えることができるように構成されている。ギア輪列42は、駆動源31の逆回転時には回転軸44を回転させて、叩き部材11を上下に動かすことができるようになっている。
尚、駆動源31の動力をギア輪列42を介して排出角度変更部21に動力伝達可能に構成して、排出角度変更部21を駆動源31の動力を使って動作するようにしてもよい。
【0060】
図13に基いて、駆動源31の動力によって叩き部材11を上下に動かす動作のフローを説明する。このフローは図示を省く制御部によって実行される。
ステップS1では、駆動源31が正転し、排出駆動ローラー4も正転し、媒体3の排出動作が行われる。ステップS2で、図示を省く媒体センサーが、媒体3の後端部3eが排出部9を通過したことを検出すると、ステップS3に進む。ステップS3では、駆動源31が逆転に変わり、排出駆動ローラー4がワンウェイギア38によって停止状態になり、その状態で叩き部材11が媒体3の後端部3eを下方に叩く。
【0061】
本実施形態2によれば、叩き部材11は、駆動源31の動力により媒体3の後端部3eを叩くので、より確実に媒体3を載置部18等に落とすことができる。
【0062】
〔他の実施形態〕
本発明に係る媒体排出装置7及び媒体排出装置7を備える画像読取装置1は、以上述べた実施形態の構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことは勿論可能である。
(1)上記各実施形態では、本発明に係る媒体排出装置7を備える装置を画像読取装置1として説明したが、これに限定されず、印刷装置や媒体搬送装置等にも適用することができる。
(2)上記各実施形態では、媒体排出装置7が叩き部材11に加えて排出角度変更部21も備える構造について説明したが、媒体排出装置7が排出角度変更部21を備えない構造であってもよい。
(3)上記実施形態1では、叩き部材11は付勢部材を備えていない構造として説明した。具体的には、叩き部材11の自重を利用して回転軸19を回転支点として回転することで叩くようにしている。これに限定されず、叩き部材1が付勢部材を備えて、その付勢力を利用して回転軸19を回転支点として回転することで叩くようにしてもよい。
(4)叩き部材11の構造は、上記した構造に限定されない。
(5)薄紙が搬送される場合、角度調整部25が退避状態を維持する構成としてもよい。すなわち、厚紙が搬送される場合、角度調整部25が退避状態から突出状態となる構成としてもよい。本構成は、例えば、付勢部材29の付勢力を調整することにより実現してもよい。或いは、角度調整部25と媒体接触部27との間に所定のクリアランスを設けることにより実現してもよい。薄紙が搬送される場合、当該クリアランスが詰まらず、角度調整部25が退避状態を維持する一方で、厚紙が搬送される場合、当該クリアランスが詰まり、角度調整部25が退避状態から突出状態となる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…画像読取装置、2…搬送経路、3…媒体、3e…後端部、3t…先端部、
4…排出駆動ローラー、5…読取部、6…排出従動ローラー、7…媒体排出装置、
8…ニップ点、9…排出部、10…ローラー対、11…叩き部材、
12…第1ホルダー、13…排出経路、14…回転軸、15…姿勢切換部、
16…回転軸、17…接触部、18…載置部、19…回転軸、20…載置面、
21…排出角度変更部、22…軸、23…下面、24…軸、25…角度調整部、
26…第2ホルダー、27…媒体接触部、28…裏面、29…付勢部材、
30…被ガイド部、31…駆動源、32…接点、34…軸、36…付勢部材、
38…ワンウェイギア、40…ベルト、42…ギア輪列、44…回転軸、
D…排出方向、F…搬送方向、P1…接触部と媒体とが接触する位置、
P2…叩く位置、P3…媒体接触部が媒体と接触する位置、
P4…角度調整部が媒体の下面と接触する位置、S…矢印、θ…排出角度