(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047771
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240401BHJP
F21V 7/06 20060101ALI20240401BHJP
F21V 7/09 20060101ALI20240401BHJP
F21V 9/40 20180101ALI20240401BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240401BHJP
【FI】
F21S2/00 310
F21S2/00 340
F21S2/00 612
F21S2/00 625
F21V7/06 100
F21V7/09 200
F21V9/40 400
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153446
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 誠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 延幸
(72)【発明者】
【氏名】岡田 真文
(57)【要約】
【課題】1個の光源から複数の方向に光を照射することが出来、各光スポットの形状を任意に変えることが可能である、コンパクトな照明装置を実現する。
【解決手段】
これを実現するために、本発明は、次のような構成をとる。すなわち、光源20が配置した第1の孔13と光を出射する第2の孔12と、前記第1の孔13と前記第2の孔12を連結する反射曲面11を有し、前記第1の孔13の中心と前記第2の孔12の中心を結ぶ線を第1の方向とし、前記第1の方向に光を出射する第1の反射体10と、底面と複数の傾斜面を有する多角錐30が、前記複数の傾斜面を前記第1の反射体10の前記第2の孔12に対向するように配置し、前記多角錐30の前記複数の傾斜面は反射面であり、前記反射面において、前記第1の方向に進む光は、前記第1の方向と交差する第2の方向に進路を変え、前記第2の方向には、液晶レンズ100が配置していることを特徴とする照明装置である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源が配置した第1の孔と光を出射する第2の孔と、前記第1の孔と前記第2の孔を連結する反射曲面を有し、前記第1の孔の中心と前記第2の孔の中心を結ぶ線を第1の方向とし、前記第1の方向に光を出射する第1の反射体と、
底面と複数の傾斜面を有する多角錐が、前記複数の傾斜面を前記第1の反射体の前記第2の孔に対向するように配置し、
前記複数の傾斜面は反射面であり、前記反射面において、前記第1の方向に進む光は、前記第1の方向と交差する第2の方向に進路を変え、
前記第2の方向には、液晶レンズが配置していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記多角錐は四角錐であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第1の方向と前記第2の方向の交差角は90度であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記液晶レンズは、前記第2の傾斜面の全てに対応して配置していることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第1の反射体の外形は直方体であり、
前記第1の孔は、前記直方体の第1の面に形成され、
前記第2の孔は、前記直方体において、前記第1の面に対向する第2の面に形成され、
前記第1の孔は第2の孔よりも小さく、
前記第1の孔と前記第2の孔を結ぶ曲面の少なくとも一部は、パラボラ曲面であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第1の反射体の前記第2の孔は円であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項7】
前記第1の反射体の前記第2の孔は矩形であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項8】
前記第1の反射体において、前記第2の孔の直径と前記第1の反射体の前記第1の面と前記第2の面の距離の比は2以上であることを特徴とする請求項6に記載の照明装置。
【請求項9】
前記第1の反射体の前記第2の孔は正方形であり、
前記第2の孔の辺の長さと前記第1の反射体の前記第1の面と前記第2の面の距離の比は2以上であることを特徴とする請求項7に記載の照明装置。
【請求項10】
前記液晶レンズと前記第2の反射体の間には絞りが配置していることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項11】
前記液晶レンズと前記第2の反射体の間には、液晶ライトバルブが配置していることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項12】
前記液晶レンズは、第1の液晶レンズ、第2の液晶レンズ、第3の液晶レンズ、第4の液晶レンズを有することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項13】
前記第1の液晶レンズ、前記第2の液晶レンズ、前記第3の液晶レンズ、前記第4の液晶レンズは、入射光のうちの、異なる偏光光に対して作用することを特徴とする請求項12に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の方位角方向に任意の形状の光スポットを照射することが出来る照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
室内において、例えば天井に取り付けられた照明装置に対し、垂直方向、すなわち、床方向ではなく、水平方向、すなわち、壁方向に光を出射し、間接照明をおこなう需要がある。一方、公園等では、照明装置の側面方向に光を照射することによって、公園内の照明として使用する需要が存在する。
【0003】
特許文献1には、1個の光源を用いて、照明装置の周辺全体に均一に光を照射することが出来る構成が記載されている。また、特許文献2には複数の光源を用いて照明装置の周辺に均一に光を照射することが出来る構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-12588号公報
【特許文献2】特開2015-167086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来例による技術では、照明装置の側方に均一に光を放射することは可能であるが、側方の複数の方向に任意の形状の光スポットを照射する構成には対応することが出来ない。
【0006】
本発明の課題は、1個の光源により、複数の方位角方向に任意の形状の光スポットを形成することが出来る照明装置を実現することである。また、本発明の課題は、このような照明装置を小型の照明装置で実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するものであり、主な具体的な手段は次のとおりである。
【0008】
(1)光源が配置した第1の孔と光を出射する第2の孔と、前記第1の孔と前記第2の孔を連結する反射曲面を有し、前記第1の孔の中心と前記第2の孔の中心を結ぶ線を第1の方向とし、前記第1の方向に光を出射する第1の反射体と、底面と複数の傾斜面を有する多角錐が、前記複数の傾斜面を前記第1の反射体の前記第2の孔に対向するように配置し、前記複数の傾斜面は反射面であり、前記反射面において、前記第1の方向に進む光は、前記第1の方向と交差する第2の方向に進路を変え、前記第2の方向には、液晶レンズが配置していることを特徴とする照明装置。
【0009】
(2)前記多角錐は四角錐であることを特徴とする(1)に記載の照明装置。
【0010】
(3)前記第1の方向と前記第2の方向の交差角は90度であることを特徴とする(1)に記載の照明装置。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】コリメート光を出射する照明装置の側面図である。
【
図2】
図1の照明装置を用いて4方向に光を出射する場合の平面図である。
【
図3】本発明の照明装置の一部を示す斜視図である。
【
図9】四角錐反射体と液晶レンズの関係を示す断面図である。
【
図10】液晶レンズの動作を説明する断面図である。
【
図11】液晶レンズの動作を説明する他の断面図である。
【
図12】液晶レンズの動作を説明するさらに他の断面図である。
【
図14】第1液晶レンズの電極形状を示す平面図である。
【
図15】第1液晶レンズと第2液晶レンズの動作を示す斜視図である。
【
図16】第1液晶レンズと第2液晶レンズを積層した状態を示す断面図である。
【
図17】第1液晶レンズ、第2液晶レンズ、第3液晶レンズ、第4液晶レンズの動作を示す斜視図である。
【
図19】
図18の構成によって、液晶レンズに投射される光スポットの形状である。
【
図21】
図20の構成によって、液晶レンズに投射される光スポットの形状である。
【
図22】実施例1による液晶レンズの種々の作用を示す表である。
【
図24】
図23における液晶レンズのレンズ要素の平面図である。
【
図26】液晶レンズを時分割駆動する場合のチャートである。
【
図28】
図27の構成によって、液晶レンズに投射される光スポットの形状である。
【
図30】実施例4のファンネル型反射体の斜視図である。
【
図31】
図30のファンネル型反射体を上面方向から視た平面図である。
【
図34】
図33の構成によって、液晶レンズに投射される光スポットの形状である。
【
図35】実施例4に実施例2を組み合わせた場合の動作を示す図である。
【
図36】
図35の構成によって、液晶レンズに投射される光スポットの形状である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
【実施例0013】
図1は、所定の方向にコリメート光を出射する照明装置1の側面図である。
図1において、縦長の照明装置1の先端にレンズ等の光学部品2が配置され、レンズ等の光学部品2から光が放射される。コリメート光は所定の配向角θを有している。
【0014】
コリメート光を得るための照明装置1は、パラボラ曲面鏡を用いる場合が多い。このような照明装置1において、出射光4の配光角θを小さくするには、照明装置1の長さh1を大きくする必要がある。また、所定の光スポットを得るためには、対応したレンズ等の光学部品を配置する必要がある。
【0015】
図2は、4方向の側面方向に任意のスポット形状を有する光を放射する場合の平面図である。
図2は
図1に示す照明装置1を水平に方向に、方位角90度をもって配置したものである。
図2の照明装置セットによれば、4方向に任意の光スポットを形成するこが出来るが、
図2に示すように、照明装置セットの平面の径x1、y1が大きくなる。また、
図1で述べたように、コリメート光を得ようとすると。照明装置1の長さh1が大きくなり、その結果、照明装置セットの水平方向の径x1、y1がさらに大きくなる。
【0016】
図3は、このような問題を解決した本発明による照明装置の一部分を示す斜視図である。
図3において、ベース3の上にコリメート光を出射するファンネル型反射体10が配置している。ファンネル型反射体10は、外側は直方体で、内側に壁面がパラボラ曲面の反射面11が形成されている。ファンネル型反射体10の底面に形成された孔13にLED20が配置している。LED20からの光はパラボラ曲面11で反射しながら、出射孔12から出射する。
【0017】
出射孔12に対応して、四角錐反射体30が反射面を下側、すなわち、出射孔12と対向して配置している。四角錐反射体30の4個の反射面は、頂角が90度の3角形である。四角錐反射体30の頂点はファンネル型反射体10の中心軸、すなわち、光軸と一致している。したがって、ファンネル型反射体10の出射孔12から出射したコリメート光は四角錐反射体30の4面で反射して4方向に出射する。
【0018】
図3において、ファンネル型反射体10の外形は直方体であり、高さzfは20mm程度、幅xf、yfは例えば10mm程度である。また、ベース3はLED基板を収容する程度の高さがあればよいので、高さzbは、例えば、3mm程度で十分である。一方、四角錐反射体は1辺が10mmとすると、高さは3.5mm程度になる。したがって、
図3の構造は、断面の1辺が10mmの正方形で、高さは30mm以下の非常にコンパクトな外形となる。このようなコンパクトな照明装置から4方向にコリメート光を出射することが出来る。
【0019】
図3の構造では、所定のコリメート光を所定の4方向に放射することが出来るが、出射光の形状は変化させることが出来ない。実施例1では、
図3の構成において、四角錐反射体30で反射した光に対し、液晶レンズ100を作用させる構成とする。
図4は、この構成を示す斜視図である。
【0020】
図4において、四角錐反射体30で反射した光の光路と直角の主面を有する液晶レンズ100が配置されている。
図4では、位置関係を示すために、液晶レンズ100は透明シートであるとして記載されている。液晶レンズ100は、実際には、薄い液晶レンズが積層された構成であるが、
図4では、図を複雑にしないために、1枚の透明シートとして記載されている。
【0021】
図5は
図4のA-A断面図である。
図5は、実施例1の作用を示す断面図である。
図5において、外形が直方体であるファンネル型反射体10の内側に側壁がパラボラ曲面である反射面11が形成されている。ファンネル型反射体10の底面に形成されたLED用孔13にLED20が配置している。LED20はLED基板21に配置され、LED基板21はベース3内に収容されている。
【0022】
図5において、LED20を出射した光は、パラボラ曲面11で反射しながら出射孔12から四角錐反射体30に向かい、四角錐反射体30の反射面において、90度光路を曲げられ、水平方向(x方向に向かう)。水平方向に進路を変えた光は液晶レンズ100に入射し、レンズ作用を受ける。
【0023】
液晶レンズ100において、レンズ作用を受けなければ、光はそのまま水平方向に直進するが、液晶レンズ100によって、発散作用を受けると
図5の点線のように、光は発散する。後で述べるように、液晶レンズ100は電気的に種々な形状のレンズ作用を行うことが出来るので、種々の形状の光スポットを容易に得ることが可能である。
【0024】
図6は、
図4を上側から視た平面図である。
図10において、外形の平面形状が正方形であり、内側に円形の出射孔12が形成されたファンネル型反射体10の上に、四角錐反射体30が凸部を下向きにして配置している。平面で視て、四角錐反射体30を挟む形で、4個の液晶レンズ100が配置している。
図6において、ファンネル型反射体10からの出射光は互い90度の方位角をもって、水平方向に出射される。
図6における平面の径x2、y2は
図2のx1、y1に比べて小さくすることが出来る。
【0025】
図7はファンネル型反射体10の斜視図である。ファンネル型反射体10の外形は直方体となっている。直方体の内部には、ファンネル状に凹部が形成され、凹部の壁面はパラボラ曲面11となっている。この凹部の形状は、x-y平面では円であり、z軸方向の断面はパラボラ曲面となっている。パラボラ曲面によって、光は、z軸と平行方向にコリメートされる。なお、凹部の壁面は、一部がパラボラ曲面となっている構成でもよい。
【0026】
図7において、直方体の下面には、LED20用の孔13が形成されている。小型のLEDは平面で視て1.5mm□程度の小さいものも市販されている。LED孔13には、このような小さなLEDが組み込まれるだけのスペースが存在していればよい。直方体の上面には、出射孔12が形成されている。出射孔12は、例えば直径ddが6.5mm程度の円である。
【0027】
LED用孔13と出射孔12の間はパラボラ曲面11でつながっている。パラボラ曲面11によってLED20から出射した光はコリメートされて出射孔12から出射する。
図6において、出射孔12の径ddとファンネル型反射体10の高さの比(hf/dd)が大きいほど、よりコリメートされた光、すなわち、配光角の小さな出射光を得ることが出来る。(hf/dd)をアスペクト比と呼ぶこともある。
【0028】
アスペクト比は、2以上であることが好ましく、3以上であればより好ましく、4以上であればさらに好ましい。
図4の本発明の構成では、ファンネル型反射体10は縦向きで使用されるので、アスペクト比を大きくしても、照明装置の水平方向の幅には影響がない。
【0029】
図8は四角錐反射体30の斜視図である。
図3、
図4、
図5では、図を複雑にしないために、四角錐反射体30が宙に浮いているように記載されているが、実際には、四角錐反射体30のコーナーに配置された支柱31によって支えられている。各支柱31は、ファンネル型反射体10の出光面側のコーナー付近に配置されることになる。四角錐反射体10のコーナーには光が入射しないので、
図8のような支柱31を配置するスペースが存在する。
【0030】
図9は、四角錐反射体30と液晶レンズ100付近の光の進路を示す断面図である。
図9において、ファンネル型反射体10側からの光は四角錐反射体30の反射面で反射して液晶レンズ100に入射する。
図9では、液晶レンズ100に入射した光は発散作用を受けて液晶レンズから出射する。
【0031】
図9では、液晶レンズ100は4枚の液晶レンズ110,120、130、140によって構成されている。各々の液晶レンズは、異なった偏光を有する光に対して作用する。各々の液晶レンズは、配線が形成されたTFT基板と対向基板で構成されているが、TFT基板と対向基板の厚さは各々0.5mm程度であるので、各々の液晶レンズの厚さは1mm程度である。したがって、4枚使用したとしても、液晶レンズの総厚は4mm程度である。また、液晶レンズに入射する光スポットは、非常に小さいので、液晶レンズの外形は、1辺が10mm程度あれば十分である。
【0032】
図10は、液晶レンズ100の原理を示す断面図である。
図10において、液晶層300の左側からコリメートされた光が入射している。
図10におけるPは入射光の偏向方向の意味である。通常の光の偏向方向はランダム分布しているが、液晶は屈折率に異方性があるので、
図7はP方向に偏向している光についての作用を示すものである。
【0033】
図10において、液晶層300には、電極によって液晶分子301が液晶層300の周辺に行くにしたがって、傾きが大きくなるように配向している。液晶分子301は細長い形状であり、液晶分子301の長軸方向の実効屈折率は、液晶分子301の短軸方向の実効屈折率よりも大きいので、液晶層300の周辺ほど屈折率が大きくなるため、凸レンズが形成される。
図10における点線は光波面WFであり、fはレンズのフォーカス距離である。
【0034】
液晶は、屈折率に異方性があるので、レンズを形成するには、第1のレンズが作用する光の偏向方向と直角方向に偏向する光に作用する第2のレンズが必要になる。
図11はこのレンズ構成を示す分解斜視図である。
図11において、左側の平行四辺形は光の波面である。つまり、X方向とY方向に偏向した光が液晶層300に入射する。第1液晶レンズ110はX偏光光に作用するレンズであり、第2液晶レンズ120はY偏光光に作用するレンズである。
【0035】
図11において、第1液晶レンズ110と第2液晶レンズ120では液晶分子301の初期配向方向が90度異なっている。液晶分子301の初期配向は、液晶レンズ内の配向膜の配向方向によって決定される。つまり、
図11では、2枚の液晶レンズ110、120において、光が入射する側の基板における配向膜の配向方向が互いに直角方向になっている。
【0036】
図12は液晶レンズによって凹レンズを形成する場合である。
図12において、波面WFが液晶層300に平行で、1方向に偏向した光が、左側から液晶層300に入射する。
図12において、液晶層300における液晶分子301は、電極によって光軸付近において最も大きく配向され、周辺に行くにしたがって、配向角度が小さくなっている。このような液晶配向によるレンズ構成によって、液晶層300を通過した光の波面WFは
図12の点線で示すような曲線になって凹レンズが形成される。なお、凹レンズの場合も、
図11に示すように、2枚の液晶レンズが必要なことは同じである。
【0037】
図13は、液晶レンズ110の詳細断面図である。
図13において、TFT基板111の上には、第1電極112が形成され、第1電極112を覆って第1配向膜113が形成されている。第1配向膜113の配向方向によって、入射光のうちの、液晶レンズによって作用を受ける方向の偏光光が決められる。対向基板115の内側には、第2電極116が形成され、第2電極116を覆って第2配向膜117が形成されている。第1配向膜113の配向方向と第2配向膜117の配向方向の関係は、どのような液晶を使用するかによって決められる。TFT基板111と対向基板115の間に液晶層300が挟持されている。
【0038】
図14の左側は第1基板111に形成された第1電極112の平面図である。第1電極112は同心円状の円となっている。円状の各電極112には電圧を印加するための引き出し配線114が接続されている。
図21の右側の図は、対向基板115に形成された第2電極116の形状を示す平面図である。第2電極116は、平面電極であり、対向基板115のほぼ全面にわたって形成されている。
【0039】
図14において、第1電極112と第2電極116間の電圧を変化させることによって種々の強度のレンズを形成することができる。
図13、
図14の例は、第1電極111が同心円で形成されているので、円形のレンズを容易に形成できるという特徴を有している。
【0040】
図13及び
図14で説明した液晶レンズ110は、1方向、例えば偏光光PXに対して作用するレンズである。しかし、LED10からの光は、あらゆる方向に偏光しているので、少なくとも、PXと直角方向に偏光した光PYに対して作用する液晶レンズが必要である。
【0041】
図15はこの構成を示す斜視図である。
図15において、LEDからの光LLが左側から入射すると、第1液晶レンズ110によってPX方向に偏光した光が液晶レンズの作用を受ける。PY方向に偏光した光は第1液晶レンズ110の影響を受けない。PY方向に偏光した光は、第2液晶レンズ120によって液晶レンズの作用を受ける。PX方向に偏光した光は、第2液晶レンズ120の作用は受けない。これによって、x方向に偏光した光もy方向に偏光した光も液晶レンズの作用を受けることが出来る。
【0042】
図16は、第1液晶レンズ110と第2液晶レンズ120を積層した状態を示す断面図である。第1液晶レンズ110と第2液晶レンズ120は透明接着材200によって接着している。
図16において、第2液晶レンズ120の電極構成は、第1液晶レンズ110と同じである。つまり、第2液晶レンズ120において、TFT基板121に第3電極122が形成され、その上に第3配向膜123が形成されている。対向基板125の上に第4電極126が形成され、その上に第4配向膜127が形成されている。
【0043】
第2液晶レンズ120が第1液晶レンズ110と異なる点は、配向膜123の配向方向である。
図16において、ALは配向膜113の配向方向を示している。
図16において、第1液晶レンズ110におけるTFT基板111に形成された第1配向膜113の配向方向は例えばx方向である。第2液晶レンズ120のTFT基板121に形成された第3配向膜123の配向方向は、例えばy方向である。つまり、x方向に偏光した光もy方向に偏光した光も、2枚の液晶レンズ110及び120によって作用を受けることが出来る。
【0044】
なお、第1液晶レンズ110における対向基板115に形成された第2配向膜117の配向方向、及び第2液晶レンズ120の対向基板125に形成された第4配向膜127の配向方向は、液晶300としてどのような液晶を使用するかによって決まる。つまり、第1液晶レンズ110における第2配向膜117は第1配向膜113と同じ方向に配向する場合もあるし、直角方向に配向する場合もある。第2液晶レンズ120における第3配向膜123と第4配向膜127の関係も同じである。
【0045】
ところで、LED10からの光は、全方向に偏光しているので、PXあるいはPYの偏光光にのみ作用したのでは、液晶レンズの十分な作用を得られない場合がある。この場合は、
図17に示すように、例えば、x方向に対して45度方向に偏光している光P45に対して作用する液晶レンズ130、x方向に対して135度方向に偏光している光P135に対して作用する液晶レンズ140を加えればよい。
【0046】
以上で説明したように、実施例1の構成によれば、非常にコンパクトな照明装置によって、四方向にコリメート光を放射することが出来る。さらに、照射光の形状を任意に変化させることが出来る。
TFT基板111は対向基板115よりも大きく形成され、TFT基板111において、対向基板115と重なっていない部分は端子領域160である。端子領域160には、液晶レンズを駆動するドライバIC165等が配置している。