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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047772
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】果実分離装置
(51)【国際特許分類】
   A23N 15/00 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
A23N15/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153447
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】515085923
【氏名又は名称】株式会社カセダ
(71)【出願人】
【識別番号】514047711
【氏名又は名称】美郷町
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100214363
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】加世田 光義
【テーマコード(参考)】
4B061
【Fターム(参考)】
4B061AA01
4B061AA02
4B061BA11
4B061BB07
4B061CB04
4B061CB05
4B061CB12
(57)【要約】
【課題】枝、茎及び果柄のいずれか1以上を含む状態で収穫された果実から、果実に含まれる果柄の量を低減させることができ、果柄の残存量がばらつくことなく、効率よく果柄が除去された果実を得ることができる果実分離装置を提供すること。
【解決手段】枝、茎及び果柄のいずれか1以上を含む果実を処理する第1果実処理部、前記第1果実処理部で処理した果実から、不要部を分離する第2果実処理部、前記第2果実処理部で処理した果実を整列させる第3果実処理部、前記第3果実処理部で処理した果実から、果柄を除去する果柄除去部、を備える、果実分離装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枝、茎及び果柄のいずれか1以上を含む果実を処理する第1果実処理部、
前記第1果実処理部で処理した果実から、不要部を分離する第2果実処理部、
前記第2果実処理部で処理した果実を整列させる第3果実処理部、
前記第3果実処理部で処理した果実から、果柄を除去する果柄除去部、
を備える、果実分離装置。
【請求項2】
前記果柄除去部は、下部に果柄を突出させる空隙部を有する果実保持部材、前記果実保持部材を振動させる加振機構、前記果実保持部材に果実を押圧する果実押圧機構、前記空隙部から突出した果柄を切断する果柄切断機構、を備える、請求項1に記載の果実分離装置。
【請求項3】
前記第2果実処理部は、下降時に果実収容凹部を形成する上下動可能な下部部材、前記果実収容凹部に嵌合するとともに前記下部部材との間に果実を保持する空間を形成して回転する上部部材、処理した果実の回収・移送部材、を備え、前記下部部材の前記上部部材と対向する面及び前記上部部材の前記下部部材と対向する面にそれぞれ弾性部材が設けられており、少なくとも前記上部部材の回転により果実から不要部を分離する、請求項1又は2に記載の果実分離装置。
【請求項4】
下部に果柄を突出させる空隙部を有する果実保持部材、
前記果実保持部材を振動させる加振機構、
前記果実保持部材に果実を押圧する果実押圧機構、
前記空隙部から突出した果柄を切断する果柄切断機構、
を備える、果柄除去装置。
【請求項5】
下降時に果実収容凹部を形成する上下動可能な下部部材、
前記果実収容凹部に嵌合するとともに前記下部部材との間に果実を保持する空間を形成して回転する上部部材、
処理した果実の回収・移送部材、を備え、
前記下部部材の前記上部部材と対向する面及び前記上部部材の前記下部部材と対向する面にそれぞれ弾性部材が設けられており、
前記上部部材及び/又は前記下部部材の回転の回転により果実から不要部を分離する、
果実処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫した果実から不要部位を除去するための、果実分離装置に関する。特に、バラ科植物の果実から果柄を除去するのに有効な果実分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
枝・茎等から果柄を介して吊下される果実を収穫すると、通常、果実に果柄が残されている。これまで、果柄を除去する作業は、人手により行われることが多かった。果柄は、移送時等に果物を傷つけるおそれがあり、また、果柄が残っていることで、商品価値が低下してしまうおそれがあった。
例えば、バラ科の植物であるノイバラ(又はその近縁植物)の果実であるエイジツは、果柄を介して枝から吊下された果実が集合して果穂状となっており、果穂状で、又は、果柄を切断することで収穫が行われている。エイジツは、漢方薬として用いられてきており、現在でも、生薬(日本薬局方)として、主に瀉下薬の用途に使用されている。エイジツは、果柄を含むことで商品価値が低下するため、これまでは、人手により果柄の除去を行っていた。
しかしながら、近年、農業人口の減少による労働力不足、農作業の作業環境改善・効率向上、長時間労働の改善・労働負荷軽減等の観点から、収穫後の果実から果柄等の不要部分の除去を機械化する要望が高まっている。
【0003】
これまで、果実の果柄を切断除去するための装置として、以下のような装置が知られている。
特許文献1には、駆動源を必要としない簡単な構成を有し、果実を傷付けることなく確実に果柄を切断可能な果実の果柄切断機が記載されている。
特許文献2には、果実の果柄を切断する一対のフィンガを有する切断機構と、前記果実が前記一対のフィンガの間に侵入するのを抑制するカバーと、前記果実と前記カバーとの接触を検出する検出機構と、前記検出機構による検出結果に基づいて、前記切断機構による前記果柄の切断を行う制御部と、を備える果柄除去装置が記載されている。
特許文献3及び4には、袋が掛かった状態で収穫された梨・リンゴ等から、果柄を切断するとともに袋を除去する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-239386号公報
【特許文献2】特開2013-176328号公報
【特許文献3】特開昭50-110841号公報
【特許文献4】特開昭50-87831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1~4に記載されている果実の果柄を切断除去するための装置は、収穫から果柄が除去された果実とするまでに、人手による作業が多数存在しており、機械化や効率向上の点でさらなる検討が必要である。
また、特許文献1~4に記載されている果実の果柄を切断除去するための装置は、果実に含まれる果柄の量を低減させることが困難であり、人手による作業で果柄の量を低減させる必要があることから効率が悪く、また、果柄の残存量がばらつくことがあった。
【0006】
本発明のうちの第1発明が解決しようとする課題は、枝、茎及び果柄のいずれか1以上を含む状態で収穫された果実から、果実に含まれる果柄の量を低減させることができ、果柄の残存量がばらつくことなく、効率よく果柄が除去された果実を得ることができる果実分離装置を提供することである。
本発明のうちの第2発明が解決しようとする課題は、果実に含まれる果柄の量を低減させることができ、果柄の残存量がばらつくことなく、効率よく果柄が除去された果実を得ることができる果柄除去装置を提供することである。
本発明のうちの第3発明が解決しようとする課題は、枝、茎及び果柄のいずれか1以上を含む状態で収穫された果実から果実を分離した後に、果実に含まれる不要物の量を低減させることができる果実処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、以下のような構成とすることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、下記のとおりである。
[項1]
枝、茎及び果柄のいずれか1以上を含む果実を処理する第1果実処理部、
前記第1果実処理部で処理した果実から、不要部を分離する第2果実処理部、
前記第2果実処理部で処理した果実を整列させる第3果実処理部、
前記第3果実処理部で処理した果実から、果柄を除去する果柄除去部、
を備える、果実分離装置。
[項2]
前記果柄除去部は、下部に果柄を突出させる空隙部を有する果実保持部材、前記果実保持部材を振動させる加振機構、前記果実保持部材に果実を押圧する果実押圧機構、前記空隙部から突出した果柄を切断する果柄切断機構、を備える、項1に記載の果実分離装置。
[項3]
前記第2果実処理部は、下降時に果実収容凹部を形成する上下動可能な下部部材、前記果実収容凹部に嵌合するとともに前記下部部材との間に果実を保持する空間を形成して回転する上部部材、処理した果実の回収・移送部材、を備え、前記下部部材の前記上部部材と対向する面及び前記上部部材の前記下部部材と対向する面にそれぞれ弾性部材が設けられており、少なくとも前記上部部材の回転により果実から不要部を分離する、項1又は2に記載の果実分離装置。
[項4]
下部に果柄を突出させる空隙部を有する果実保持部材、
前記果実保持部材を振動させる加振機構、
前記果実保持部材に果実を押圧する果実押圧機構、
前記空隙部から突出した果柄を切断する果柄切断機構、
を備える、果柄除去装置。
[項5]
下降時に果実収容凹部を形成する上下動可能な下部部材、
前記果実収容凹部に嵌合するとともに前記下部部材との間に果実を保持する空間を形成して回転する上部部材、
処理した果実の回収・移送部材、を備え、
前記下部部材の前記上部部材と対向する面及び前記上部部材の前記下部部材と対向する面にそれぞれ弾性部材が設けられており、
前記上部部材及び/又は前記下部部材の回転の回転により果実から不要部を分離する、
果実処理装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明のうちの第1発明により、枝、茎及び果柄のいずれか1以上を含む状態で収穫された果実から、果実に含まれる果柄の量を低減させることができ、果柄の残存量がばらつくことなく、効率よく果柄が除去された果実を得ることができる果実分離装置が提供される。
本発明のうちの第2発明により、果実に含まれる果柄の量を低減させることができ、果柄の残存量がばらつくことなく、効率よく果柄が除去された果実を得ることができる果柄除去装置が提供される。
本発明のうちの第3発明により、枝、茎及び果柄のいずれか1以上を含む状態で収穫された果実から果実を分離した後に、果実に含まれる不要物の量を低減させることができる果実処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の果実分離装置を示す側面概略図
図2】本発明の果実分離装置を示す上面概略図
図3】本発明の果実分離装置における第2果実処理部(本発明の果実処理装置)の動作を示す概略図
図4】本発明の果実分離装置における果柄除去部(本発明の果柄除去装置)の動作を示す概略図
図5】本発明の果実分離装置における果柄除去部(本発明の果柄除去装置)の上面概略図
図6】本発明の果実分離装置における果柄除去部(本発明の果柄除去装置)の側面概略図
図7】処理対象である果実の状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、果実分離装置に係る第1発明、果柄除去装置に係る第2発明及び果実処理装置に係る第3発明を含むものである。
【0011】
果実分離装置に係る第1発明は、
枝、茎及び果柄のいずれか1以上を含む果実を処理する第1果実処理部、
前記第1果実処理部で処理した果実から、不要部を分離する第2果実処理部、
前記第2果実処理部で処理した果実を整列させる第3果実処理部、
前記第3果実処理部で処理した果実から、果柄を除去する果柄除去部、
を備える、果実分離装置、
である。
【0012】
果柄除去装置に係る第2発明は、
下部に果柄を突出させる空隙部を有する果実保持部材、
前記果実保持部材を振動させる加振機構、
前記果実保持部材に果実を押圧する果実押圧機構、
前記空隙部から突出した果柄を切断する果柄切断機構、
を備える、果柄除去装置、
である。
【0013】
果実処理装置に係る第3発明は、
下降時に果実収容凹部を形成する上下動可能な下部部材、
前記果実収容凹部に嵌合するとともに前記下部部材との間に果実を保持する空間を形成して回転する上部部材、
処理した果実の回収・移送部材、を備え、
前記下部部材の前記上部部材と対向する面及び前記上部部材の前記下部部材と対向する面にそれぞれ弾性部材が設けられており、
前記上部部材及び/又は前記下部部材の回転の回転により果実から不要部を分離する、
果実処理装置、
である。
以下、詳細に説明する。
【0014】
[果実]
本発明において、「果実」は、広義の果実を意味し、いわゆる「偽果」も含むものである。
本発明の果実分離装置A、果柄除去装置400及び果実処理装置200で処理する果実としては、特に限定されない。例えば、バラ科植物、ブドウ科植物、ツツジ科植物、ブナ科植物、イチョウ科植物等の果実が挙げられる。
例えば、本発明の本発明の果実分離装置A、果柄除去装置400及び果実処理装置200は、バラ科植物の果実(ヒップ、エイジツ、サクランボ、ウメ等)、ブドウ科植物の果実、ツツジ科植物の果実(ブルーベリー等)、ブナ科植物の果実(クリ等)、イチョウ科植物の果実(ギンナン等)等の処理・分離に好適に用いることができる。
本発明の果実分離装置A、果柄除去装置400及び果実処理装置200は、バラ科植物の果実の処理に好適であり、特に、ヒップ(ローズヒップ)やエイジツ(栄実)等の処理・分離に特に好適に用いることができる。
【0015】
本発明の果実分離装置Aにおける各段階の果実の状態は、以下のとおりとなる。
第1果実処理部100において、例えば図7の<7A>で示される果穂状の未処理化物501を処理すると、例えば図7の<7B>で示される、枝、果柄等を含み、果実が個々に完全に分離されていない状態の第1処理果実511を得ることができる。
第2果実処理部200において、第1処理果実511を処理すると、例えば図7の<7C>で示される、果実が個々に完全に分離され果柄を有する状態の第2処理果実521を得ることができる。
第3果実処理部300において、第2処理果実521を処理した後に、果柄除去部400において処理すると、図4の<4C>、図5及び図6中で示される、果柄がほとんど除去された果実である、果柄除去果実531を得ることができる。例えば、果柄の残存長が1mm以下、好ましくは0.5mm以下である果柄除去果実531を得ることができる。
【0016】
[果実分離装置]
図1は、本発明の第1発明に係る果実分離装置Aの側面概略図であり、図2は、本発明の第1発明に係る果実分離装置Aの上面概略図である。
果実分離装置Aは、第1果実処理部100、第2果実処理部200、第3果実処理部300及び果柄除去部400を備えている。各部の詳細は、以下のとおりである。
【0017】
<第1果実処理部>
図1及び図2に示すように、第1果実処理部100は、枝付き、茎付き、果柄付き、果穂状態等の収穫された果実を、第1果実処理部100に供給するための第1果実処理部供給口111と、第1果実処理部供給口111から供給された収穫された果実を、枝、茎、果穂から脱落させるための多数の扱歯を有する扱胴121と、扱胴121を回転させるための扱胴回転歯車122と、扱胴回転歯車122を回転させるための回転ハンドル141と、第1果実搬出部材131を備えている。第1果実処理部100は、いわゆる脱穀機と同様の機構とすることができる。
【0018】
第1果実処理部供給口111から供給された枝付き、茎付き、果柄付き、果穂状態等の収穫された果実は、回転する扱胴121の扱歯により、果実が枝、茎、果穂から扱落されることとなる。図1及び図2に示される第1果実処理部100では、扱胴121の回転手段として、扱胴回転歯車122と連動した回転ハンドル141を手動で操作する手段を用いるものとしているが、本発明においては、扱胴121の回転手段を、足踏み、モータ等の任意の扱胴回転手段とすることができる。
扱落された果実は、第1果実搬出部材131から搬出され、次の第2果実処理手段200に移送される。
【0019】
第1果実処理部100においては、扱胴の下部に、枝、茎、果穂から扱落された果実と、枝、茎等の果実以外の部分とを選別するための扱網等を設け、風力や搖動等により果実以外のものを除去するように構成することも可能である。
【0020】
<第2果実処理部>
図1及び図2に示すように、第2果実処理部200は、上部部材221、上部部材の回転機器222、上部部材の上下動機器223、下部部材231、下部部材の回転・上下動機器232、処理果実回収・移送部材241、処理果実の回収・搬送部材の駆動機器、第2果実搬出部材251を備えている。また、図3に示すように、処理時において果実の破損・押潰防止や、果実の処理効率の向上のために、上部部材221における下部部材231と対向する面と、下部部材231における上部部材221と対向する面には、それぞれ弾性部材224、233が設けられている。なお、弾性部材224、233は、いずれか一方に設けてもよく、設けなくてもよい。
処理果実回収・移送部材241は、果実収容凹部211を取り囲む形状とすることができる。また、処理果実回収・移送部材241は、下部部材231の上下動方向と垂直な方向に、処理果実回収・搬送部材241の駆動機器(図示されていない)により往復動するように構成されている。
【0021】
第2果実処理部200における果実の処理は、図3に示すように行うことができる。
図3Aは、処理する果実を第2果実処理部200に供給する様子を示している。上部部材221を上昇させた状態で下部部材231を下降させることで果実収容凹部211が形成される。この時、処理果実回収・移送部材241は、果実収容凹部211に対し、第2果実搬出部材251と反対側に、果実の回収・移送時に果実と接触する部位が来るように配置されている。そして、果実収容凹部200に、第1処理果実511が移送・充填される。
【0022】
次いで、図3Bに示すように、上昇させていた上部部材221が下降し、上部部材221を果実収容凹部211に嵌合させる。その際、図3Cに示すように、上部部材211と下部部材231とは、果実の潰れ等が発生しないような所定の間隔を形成するように配置される。
【0023】
次いで、図3Cに示すように、上部部材221及び下部部材231を互いに逆回転となるように回転させる。回転処理の時間・回転速度等を調製することで、枝、茎、果穂等と果実を確実に分離することができる。なお、上部部材221及び下部部材231の両者を回転させず、いずれか一方のみ回転させてもよい。
【0024】
次いで、図3Dに示すように、上部部材221を上昇させるとともに、下部部材231を上昇させる。
次いで、図3Eに示すように、下部部材231の上昇が終了し、果実収容凹部211が解消して周囲と面一となった後に、処理果実回収・搬送部材の駆動機器242を起動し、下部部材231上の第2処理果実521を、処理果実回収・移送部材241により、第2果実搬出部材251にむけて移送する。
【0025】
次いで、図3Fに示すように、第2処理果実521を、第2果実搬出部材251から搬出する。さらに、果実の回収・移送時に果実と接触する部位が、果実収容凹部211に対して第2果実搬出部材251と反対側に来るように、処理果実回収・移送部材241を移動するとともに、果実収容凹部211を形成するように下部部材231を下降させる。
本発明においては、図3A図3Fに示される動作を繰り返し行うことができる。
【0026】
<第3果実処理部>
図1及び図2に示すように、第3果実処理部300は、第2処理果実521を収容する果実フィーダーボウル311、果実フィーダーボウル311から搬出された果実を列状に並べる果実フィーダーアタッチメント312、果実フィーダーボウル311を振動させる加振機器(図示されていない)を備えている。
果実フィーダーボウル311には、下部から若干角度が設けられた上下振動が与えられ、その振動によって果実が移動し、果実フィーダーアタッチメント312において果実が列状に並ぶこととなる。
【0027】
第3果実処理部300は、いわゆるパーツフィーダーと同様の機能・機構を有するものとすることができる。第3果実処理部300は、第2処理果実521を、果実フィーダーボウル311の振動と、果実フィーダーアタッチメント312による誘導により、果柄が残存している果実が列状に並んだ状態で第3果実処理部300から、果柄除去装置400における、下部に果柄を突出させる空隙部412を有する果実保持部材411に順次移送される。その際、第3果実処理部300により処理された果実は、果実保持部材411に加えられる振動により、果実保持部材411の空隙部412に果柄を突出させた状態で一列に並ぶこととなる。
【0028】
<果柄除去部>
図1及び図2に示すように、果柄除去部400は、第3果実処理部300で処理された果実を保持する果実保持部材411、果柄切断部材421、果実保持部材411に保持されている果実に空気を噴射するエアブロア431、果実保持部材411に振動を与える加振機器441を備えている。
【0029】
図4図6に示すように、果柄除去部400において、果実保持部材411は、例えば果実保持部が下に凸のV字状とされており、果実保持部の下部(V字状の凸部)には、果実と結合している果柄を突出させる空隙部412が設けられている。果柄切断部材400は、空隙部412から突出した果柄を可能な限り除去するための果柄切断刃422を有し、さらに、切断時に果実が上部に跳ねるのを防止する果実押圧部材451を有しており、果実押圧部材451の果実と接する面には、果実の損傷防止等のために、果実押圧部材の弾性部材452が設けられている。
【0030】
果柄切断部材421は、果柄切断刃422を駆動するための果柄切断刃駆動機構461と連接して駆動し、果柄を切断し得るものであり、果柄切断刃駆動機構と連接している果柄切断刃422を少なくとも備えている。図5及び図6では、果柄切断刃駆動機構として、回転中心462が円盤状回転体の中心からずれている偏心回転部材が例示されているが、果柄切断刃422が一定のタイミングで果柄を切断する機構のものであれば特に限定されない。例えば、欠歯車、クランク機構、リンク機構、カム機構、モータ等を用いて果柄切断刃を駆動させることができる。なお、図4図6においては、果柄切断部材421(果柄切断刃422)は、往復動する態様とされているが、回転によるものであってもよい。
【0031】
果実押圧部材451は、果柄切断刃駆動機構461の動きと連携し、空隙部412から突出した果柄の切断時に、果実が上部に跳ねるのを防止するように下降し、切断された後に上昇して果実が移動するように構成されている。
図5図6においては、果柄切断刃駆動機構461の偏心回転に伴いスイッチ可動部材454が往復動し、これにより果実押圧部材451を上下動させるサーボモータ456の駆動がON-OFFされ、果実押圧部材の上下動アーム455が上下動して、果実押圧部材451が適切なタイミングで上下動することとなる。
【0032】
果柄除去部400における果実の処理は、図4図6図7に示すように行うことができる。
図4Aは、第3果実処理部300で処理されて整列された状態で搬送されてきた果実を、果実保持部材411にエアブロア431による空気噴射により保持した状態を示し、空隙部412から突出した果柄に向けて果柄切断刃422が移動を開始したところを示す。整列状態を保持するとともに、果実の移送のために、果実保持部材411は振動させておくことが好ましい。図4Aでは、果実保持部材411は果実保持部材の加振機器441により振動しており、エアブロア431による空気噴射により、果実を果実保持部材411に確実に保持させることができる。一方で、エアブロア431による空気噴射は、果実を果実保持部材411に過剰に押し付けることがないことから、果柄を有する果実の搬送に影響を与えることがない。
【0033】
図4Bは、空隙部412から突出した果柄を切断した状態を示すものである。果柄切断刃422により果柄を切断する際、果実が上部に跳ね、十分な長さの果柄が切断できない等の切断エラーが発生することがある。この切断エラーを抑制するため、果実押圧部材451により果実上部を押えることで、果柄を切断する際に果実が上部に跳ねるのを抑制することができる。
図5及び図6に示すように、果柄切断部材421及び果柄切断刃422と、果実押圧部材451とは、それぞれ連携して駆動する。果実押圧部材451が下降し、第3果実処理部300から搬送された第2処理果実521を押圧したときに、果柄切断刃422が果実保持部材411の空隙部412から突出した果柄が切断され、果柄除去果実531とされる。果柄が切断された後に、果実押圧部材451が上昇し、果実保持部材411に加えられる振動により、果柄除去果実531は、果柄除去部400から取り出される。
【0034】
図4Cは、果柄除去部400で処理した果柄除去処理果実531の状態を示す。図4Bに示すように空隙412から最大限果柄が突出した状態において果柄切断刃422で切断され、果柄除去処理果実531と、切断された果柄532とに分離され、果柄の残存量が抑制された果実を得ることができる。本発明においては、果実保持部材411が振動しており、これにより、果柄切断果実回収部(図示されていない)に順次搬送するとともに、果柄の切断位置に果柄を有する果実を順次搬送することができ、果柄の切断を効率的に行うことができ、果実中の果柄の含有量を、効率的に低減させることが可能となる。
【0035】
[果柄除去装置]
本発明の第2発明に係る果柄除去装置400は、下部に果柄を突出させる空隙部412を有する果実保持部材411、前記果実保持部材411を振動させる加振機器441、前記果実保持部材411に果実を押圧する果実押圧機器(エアブロア431及び果実押圧部材451)、前記空隙部から突出した果柄を切断する果柄切断機構421、を備えている。
前記果実保持部411、前記加振機器441、前記果実押圧機器(エアブロア431及び果実押圧部材451)及び前記果柄切断部材421は、本発明の第1発明に係る果実分離装置Aにおける果柄除去部400の、果実保持部411、加振機構441、果実押圧機構(エアブロア431及び果実押圧部材451)及び果柄切断機構421と同様のものとすることができる。これより、本発明の第2発明に係る果柄除去装置400は、実質的に、本発明の第1発明に係る果実分離装置100における果柄除去部400と同様の構成とすることができる。
【0036】
[果実処理装置]
本発明の第3発明に係る果実処理装置200は、下降時に果実収容凹部211を形成する上下動可能な下部部材231、前記果実収容凹部211に嵌合するとともに前記下部部材231との間に果実を保持する空間を形成して回転する上部部材221、処理した果実の回収・移送部材、を備えている。そして、前記下部部材231の前記上部部材221と対向する面及び前記上部部材221の前記下部部材231と対向する面にそれぞれ弾性部材224、233が設けられており、前記上部部材221及び/又は前記下部部材231の回転の回転により果実から不要部を分離するものである。
前記下部部材231、前記上部部材221、前記回収・移送部材は、本発明の第1発明に係る果実分離装置Aにおける第2果実処理部200の、下部部材231、上部部材221及び回収・移送部材241と同様のものとすることができる。これより、本発明の第3発明に係る果実処理装置200は、実質的に、本発明の第1発明に係る果実分離装置Aにおける第2果実処理部200と同様の構成とすることができる。
【符号の説明】
【0037】
A 果実分離装置
100 第1果実処理部
200 第2果実処理部/果実処理装置
300 第3果実処理部
400 果柄除去部/果柄除去装置
111 第1果実処理部供給口
121 扱胴
122 扱胴回転歯車
131 第1果実搬出部材
141 回転ハンドル
211 果実収容凹部
221 上部部材
222 上部部材の回転機器
223 上部部材の上下動機器
224 上部部材の弾性部材
231 下部部材
232 下部部材の回転・上下動機器
233 下部部材の弾性部材
241 処理した果実の回収・移送部材
242 果実の回収・搬送部材の駆動機器
251 第2処理果実の搬出部材
311 果実フィーダーボウル
312 果実フィーダーアタッチメント
411 果実保持部材
412 空隙部
421 果柄切断部材
422 果柄切断刃
431 エアブロア
441 果実保持部材の加振機器
451 果実押圧部材
452 果実押圧部材の弾性部材
453 果実押圧部材上下動スイッチ
454 スイッチ可動部材
455 果実押圧部材の上下動アーム
456 サーボモータ
461 回転部材
462 回転中心
501 未処理果実
511 第1処理果実
521 第2処理果実
531 果柄除去果実
532 果柄
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7