(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047782
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】樹脂成形品、及び樹脂成形方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/14 20060101AFI20240401BHJP
B29C 69/02 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
B29C45/14
B29C69/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153464
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】井野元 誠
【テーマコード(参考)】
4F206
4F213
【Fターム(参考)】
4F206AD05
4F206AD07
4F206AD20
4F206AG03
4F206AG18
4F206JA07
4F206JB12
4F206JL02
4F213AB25
4F213AD05
4F213AD07
4F213AD20
4F213AG03
4F213AG18
4F213AR06
4F213AR15
4F213WA05
4F213WA25
4F213WA43
4F213WB01
4F213WB11
4F213WL02
4F213WL96
(57)【要約】
【課題】強度低下が抑制されるとともに歩留まりが向上した樹脂成形品、及び樹脂成形方法を提供する。
【解決手段】樹脂成形品は、第一の樹脂で形成された主部材と、第一の樹脂よりも高い融点を有する第二の樹脂で形成された副部材と、主部材と副部材との間に介在することで主部材、及び副部材を結合する融着部と、を備え、主部材における融着部に接する外郭部の密度は、主部材の内部の密度よりも高い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の樹脂で形成された主部材と、
前記第一の樹脂よりも高い融点を有する第二の樹脂で形成された副部材と、
前記主部材と前記副部材との間に介在することで前記主部材、及び前記副部材を結合する融着部と、
を備え、
前記主部材における前記融着部に接する外郭部の密度は、前記主部材の内部の密度よりも高い樹脂成形品。
【請求項2】
前記主部材は、
空気を内包する空隙部と、
該空隙部を囲う骨格部と、
を有する請求項1に記載の樹脂成形品。
【請求項3】
前記骨格部は、
前記空隙部を形成する壁面部と、
該壁面部の内側に形成され、強度を負担する内部構造部と、
を有する請求項2に記載の樹脂成形品。
【請求項4】
前記主部材は、前記第一の樹脂に混合された繊維材料をさらに有する請求項1から3のいずれか一項に記載の樹脂成形品。
【請求項5】
前記主部材は、
多角形状に形成された複数の小室を形成するハニカム部と、
該ハニカム部を厚さ方向から覆う前記外郭部と、
を有する請求項1に記載の樹脂成形品。
【請求項6】
請求項1に記載の樹脂成形品を製造するための樹脂成形方法であって、
三次元積層造形によって前記第一の樹脂を積層して前記主部材を成形するステップと、
前記主部材を金型の内部に載置するステップと、
前記金型内に、前記主部材と接するように溶融した前記第二の樹脂を充填して前記副部材の射出成形を行うステップと、
を含む樹脂成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、樹脂成形品、及び樹脂成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂によって成形品を得るための手法として、金型を用いた射出成形が広く用いられている。この方法では、金型内に形成されたキャビティに溶融した樹脂を高圧で注入し、樹脂が硬化した時点で金型から成形品が取り出される。
【0003】
ところで、射出成形を用いる場合、成形品の厚さが一定程度を超えると、キャビティ内に樹脂が円滑に行き渡らなくなる場合がある。その結果、成形品にヒケやボイドを生じることがある。このような不良を回避するための技術として、例えば下記特許文献1に記載されたものが知られている。下記特許文献1には、キャビティ内に流入した樹脂の圧力を下げることで、当該樹脂の一部を発泡させる技術が記載されている。これにより、樹脂が到達しないことによるヒケやボイドの形成が回避されるとともに、良好な発色も得られるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような発泡成形を用いる場合、気泡の存在によって成形品の強度低下が生じる。また、成形品全体で均一に発泡を生じさせることが難しく、成形品の歩留まりが低下してしまうという課題もある。
【0006】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、強度低下が抑制されるとともに歩留まりが向上した樹脂成形品、及び樹脂成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る樹脂成形品は、第一の樹脂で形成された主部材と、前記第一の樹脂よりも高い融点を有する第二の樹脂で形成された副部材と、前記主部材と前記副部材との間に介在することで前記主部材、及び前記副部材を結合する融着部と、を備え、前記主部材における前記融着部に接する外郭部の密度は、前記主部材の内部の密度よりも高い。
【0008】
本開示に係る樹脂成形方法は、上記樹脂成形品を製造するための樹脂成形方法であって、三次元積層造形によって前記第一の樹脂を積層して前記主部材を成形するステップと、前記主部材を金型の内部に載置するステップと、前記金型内に、前記主部材と接するように溶融した前記第二の樹脂を充填して前記副部材の射出成形を行うステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、強度低下が抑制されるとともに歩留まりが向上した樹脂成形品、及び樹脂成形方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態に係る樹脂成形品の一例を示す模式断面図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る樹脂成形品の要部拡大断面図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る樹脂成形方法の各ステップを示す工程図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る主部材の第一変形例を示す横断面図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る主部材の第二変形例を示す横断面図である。
【
図6】本開示の実施形態に係る樹脂成形品の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(樹脂成形品の構成)
以下、本開示の実施形態に係る樹脂成形品1、及び樹脂成形方法について、
図1から
図3を参照して説明する。樹脂成形品1は、各種の工業製品の部品として用いられるものである。本実施形態では、樹脂成形品1の適用対象を特に限定しない。
【0012】
図1と
図2に示すように、樹脂成形品1は、主部材10と、副部材11と、融着部12と、を備えている。主部材10は、一例として厚肉板状をなしている。主部材10は、第一の樹脂21で形成されている。第一の樹脂21は、例えばナイロン6(Nylon6)で形成されており、その融点は200℃である。主部材10は、三次元積層造形によって一体に形成されている。主部材10は、後述する副部材11に接する部分である外郭部31の密度が、当該外郭部31よりも内側の密度よりも高くなるように構成されている。より具体的には、外郭部31が中実の板状等の高密度構造をなしている。一方で、主部材10の内部はトラス構造やポーラス構造のような低密度構造を有している。これら外郭部31と内部構造とは、第一の樹脂21によって一体に形成されている。
【0013】
副部材11は、主部材10を外側から覆う被覆部41と、この被覆部41から突出する突出部42と、を一例として有している。被覆部41の厚さは、主部材10の厚さと同等かわずかに小さく設定されている。突出部42の内部には主部材10は存在せず、副部材11のみによって形成されている。突出部42の厚さは、主部材10の厚さと同等かわずかに小さい。つまり、突出部42の厚さは、副部材11の被覆部41の厚さと主部材10の厚さの合計よりも小さい。この突出部42の厚さは、射出成形によって成形可能な最大肉厚よりも小さく設定されている。副部材11は、第二の樹脂22で形成されている。第二の樹脂22は、第一の樹脂21よりも融点の高い樹脂である。一例として、第二の樹脂22は、ナイロン9T(Nylon9T)であり、その融点は300℃である。なお、第二の樹脂22の融点は、第一の樹脂21の融点よりも50℃以上高いことが望ましい。この関係を満足する限りにおいて、第一の樹脂21、及び第二の樹脂22として任意の樹脂材料を適宜選択することが可能である。
【0014】
主部材10と副部材11との間には、融着部12が介在している。融着部12は、主部材10の第一の樹脂21、及び副部材11の第二の樹脂22が溶融硬化して形成された層状の領域である。つまり、この融着部12によって、主部材10と副部材11とが融着結合されている。主部材10と副部材11を融着結合させる方法については後述する。
【0015】
(樹脂成形方法)
次いで、
図3を参照して、上記の樹脂成形品1を成形する方法(樹脂成形方法)について説明する。同図に示すように、この方法は、主部材10の外部形状を設計するステップS1と、主部材10の内部構造を設計するステップS2と、主部材10を成形するステップS3と、主部材10を金型内部に載置するステップS4と、当該金型によって副部材11を射出成形するステップS5と、を含む。
【0016】
ステップS1では、最終的な樹脂成形品1の形状や寸法、要求される強度、重量等に基づいて、主部材10の外部形状(上記の外郭部31の形状)が決定される。一例として、射出成形では良好な成形品が得られない程度の肉厚が最終製品としての樹脂成形品1に要求される場合に、射出成形が可能な最大限の副部材11の肉厚を確保できるように、肉厚を含む主部材10の外部形状が決定される。
【0017】
ステップS2では、主部材10の内部構造が決定される。ここで言う内部構造とは、例えば主部材10の内部に空隙を形成する等して軽量化、高強度化を図る場合の形状を指す。より具体的には、主部材10の内部を中実ではなく、トラス構造としたり、ポーラス構造としたりする例が考えられる。
【0018】
ステップS3では、上記のステップS1、及びステップS2で決定された外部形状、及び内部構造に基づいて、第一の樹脂21を順次積層する三次元積層造形(AM造形法:Additive Manufacturing)によって主部材10を形成する。
【0019】
ステップS4では、ステップS3で得られた主部材10を、金型の内部に載置する。ここで、金型とは、最終製品である樹脂成形品1の外形に合わせてキャビティが形成された金型を指す。この金型の内部に主部材10を載置した状態で、ステップS5を実行する。ステップS5では、主部材10に接するようにして、又は主部材10を囲むようにして第二の樹脂22をキャビティ内に溶融状態で圧入して、副部材11を射出成形する。この際に、第二の樹脂22の熱によって、主部材10を形成する第一の樹脂21の表面が溶融して、第二の樹脂22と接合する(融着する)。その後、第一の樹脂21と第二の樹脂22とが冷却硬化することで、上述の溶着部が形成される。その後、樹脂成形品1を金型から取り出す。以上により、樹脂成形品1の製造が完了する。
【0020】
(作用効果)
従来、樹脂によって成形品を得るための手法として、金型を用いた射出成形が広く用いられている。この方法では、金型内に形成されたキャビティに溶融した樹脂を高圧で注入し、樹脂が硬化した時点で金型から成形品が取り出される。
【0021】
ところで、射出成形を用いる場合、成形品の厚さが一定程度を超えると、キャビティ内に樹脂が円滑に行き渡らなくなる場合がある。その結果、成形品にヒケやボイドを生じることがある。このような不良を回避するための技術として、例えば発泡成形と呼ばれるものが知られている。発泡成形では、キャビティ内に流入した樹脂の圧力を下げることで、当該樹脂の一部を発泡させる。
【0022】
しかしながら、上記のような発泡成形を用いる場合、気泡の存在によって成形品の密度が下がるために、成形品の強度や剛性の低下が生じる。また、成形品全体で均一に発泡を生じさせることが難しく、成形品の歩留まりが低下してしまうという課題もあった。そこで、本実施形態では、上記の各構成、及び方法を採っている。
【0023】
上記構成によれば、副部材11を形成する第二の樹脂22の融点が、主部材10を形成する第一の樹脂21の融点よりも高い。これにより、当該第二の樹脂22を溶融させて副部材11を成形する際に主部材10もともに溶融する。そのため、主部材10と副部材11との間に融着部12が安定的に形成され、これら主部材10と副部材11とを強固に接合することが可能となる。一方で、第一の樹脂21の融点が第二の樹脂22の融点よりも低い場合、第二の樹脂22を溶融させても、第一の樹脂21が溶融しない。このため、溶着部が安定的に形成されず、主部材10と副部材11との接合が不完全となってしまうリスクが生じる。その結果、樹脂成形品1の歩留まりが低下してしまう。しかしながら、上記の構成によれば、このようなリスクを低減し、樹脂成形品1の歩留まりを向上させることが可能となる。
【0024】
さらに、上記構成では、主部材10の外郭部31の密度が当該主部材10の内部の密度よりも高い。したがって、外郭部31を含めて主部材10の全体をトラス構造やポーラス構造のような低密度な構造とした場合に比べて、主部材10の表面(外郭部31)の耐熱性が向上する。これにより、第二の樹脂22を溶融させる際に、当該外郭部31までもが溶融してしまう可能性を低減することができる。一方で外郭部31が容易に溶融してしまう場合、主部材10の変形や損壊を生じてしまい、最終的な製品である樹脂成形品1の歩留まりが低下してしまうリスクがある。上記の構成によれば、このようなリスクを大きく低減して、樹脂成形品1の歩留まりをさらに向上させることが可能となる。
【0025】
さらに、上記方法では、主部材10をはじめに金型の内部に載置して、当該主部材10と接するように副部材11を射出成形する。つまり、主部材10の周囲に第二の樹脂22を行き渡らせるようにしてインサート成形が行われる。これにより、射出成形で必要となる第二の樹脂22の量が少なくなり、当該第二の樹脂22によって形成される部分の肉厚が小さく抑えられる。その結果、樹脂成形品1全体を射出成形のみによって形成する場合に比べて、樹脂材料(第二の樹脂22)が行き渡らないことに起因するヒケやボイドの発生を回避しつつ、大型の樹脂成形品1を得ることができる。特に、射出成形のみでは、成形可能な肉厚の最大値が5ミリ程度に留まることが知られているが、上記の方法によれば、この値を上回る肉厚を有する樹脂成形品1を安定的に得ることができる。これにより、樹脂成形品1の歩留まりが向上して、製造コストを低減することが可能となる。
【0026】
以上、本開示の実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成、及び方法に種々の変形や改修を施すことが可能である。
【0027】
例えば、上記実施形態で説明した主部材10の内部構造について、より具体的な例(第一変形例)として
図4に示すような構成を採ることが考えられる。同図の例では、主部材10は、空隙部51と、骨格部52と、を有する。空隙部51は、空気を内包する空間である。骨格部52は、これら空隙部51を囲っている。
図4では、一例として、主部材10の外形が矩形状をなし、その内側で対角線に沿って骨格部52が設けられている。つまり、空隙部51はそれぞれ三角形状をなしている。さらに、骨格部52は、空隙部51、及び外郭部31を形成する壁面部61と、壁面部61の内側に形成された内部構造部62と、を有する。内部構造部62は、主部材10の強度を負担するための構造であって、一例として
図4ではトラス構造を採用した例を示している。
【0028】
上記構成によれば、主部材10に骨格部52を空隙部51が形成されていることにより、主部材10を中実構造とした場合に比べて、樹脂成形品1全体を軽量化することができる。また、空隙部51に内包された空気によって断熱性や遮音性を当該樹脂成形品1に付与することも可能となる。つまり、樹脂成形品1に強度以外の機能性を与えることができる。さらに、上記構成によれば、骨格部52が、壁面部61と、内部構造部62とを有することから、当該骨格部52を中実構造としたえ場合に比べて、さらに軽量化することができる。加えて、骨格部52が単に中実に形成されている場合に比べて、内部構造部62が優先的に強度を負担することから、主部材10全体の強度をさらに向上させることができる。
【0029】
また、
図5に第二変形例として示すように、主部材10が、上記の外郭部31と、ハニカム部70と、を有する構成を採ることも可能である。ハニカム部70は、多角形状の小室71を複数形成している。一例として小室71は、六角形状をなしている。このような小室71が互いに隣接するようにして複数連なっている。外郭部31は、これら小室71を厚さ方向から覆っている。
【0030】
上記構成によれば、多角形状の小室71を有するハニカム部70が形成されていることによって、主部材10の構造強度をさらに向上させることができる。同時に、小室71が形成されていることによって、主部材10をさらに軽量化することもできる。
【0031】
さらに、図示は省略するが、上記の主部材10の第一の樹脂21に、繊維材料を混合することも可能である。つまり、主部材10は、繊維強化樹脂としての機能を発揮する。この場合、繊維材料の有する引張強度によって、主部材10の強度や剛性がさらに向上する。その結果、最終製品としての樹脂成形品1の構造強度もより一層高めることが可能となる。
【0032】
なお、上記の実施形態、及び各変形例では、主として樹脂成形品1の肉厚を主部材10によって調整・補完する例について説明した。しかしながら、
図6に示すように、主部材10によって平面方向の寸法を補完することも可能である。具体的には、同図の例では、格子状の主部材10を互いに間隔をあけて配置して、その間隔を埋めるようにして副部材11が介在している。つまり、隣り合う一対の主部材10同士の間で、一方の主部材10の開口部80と、他方の主部材10の開口部80との間の離間距離が大きい場合(平面寸法が大きい場合)に、当該離間距離を補完するために副部材11を介在させる。このような構成によっても、上述したものと同様に、ヒケやボイドの発生を回避し、良好な樹脂成形品1を安定的に得ることが可能となる。
【0033】
<付記>
各実施形態に記載の樹脂成形品1、及び樹脂成形方法は、例えば以下のように把握される。
【0034】
(1)第1の態様に係る樹脂成形品1は、第一の樹脂21で形成された主部材10と、前記第一の樹脂21よりも高い融点を有する第二の樹脂22で形成された副部材11と、前記主部材10と前記副部材11との間に介在することで前記主部材10、及び前記副部材11を結合する融着部12と、を備え、前記主部材10における前記融着部12に接する外郭部31の密度は、前記主部材10の内部の密度よりも高い。
【0035】
上記構成によれば、副部材11を形成する第二の樹脂22の融点が、主部材10を形成する第一の樹脂21の融点よりも高い。これにより、当該第二の樹脂22を溶融させて副部材11を成形する際に主部材10もともに溶融する。そのため、主部材10と副部材11との間に融着部12が安定的に形成され、これら主部材10と副部材11とを強固に接合することが可能となる。さらに、主部材10の外郭部31の密度が当該主部材10の内部の密度よりも高いことから、外郭部31の耐熱性が向上する。これにより、第二の樹脂22を溶融させる際に、当該外郭部31までもが溶融してしまう可能性を低減することができる。
【0036】
(2)第2の態様に係る樹脂成形品1は、(1)の樹脂成形品1であって、前記主部材10は、空気を内包する空隙部51と、該空隙部51を囲う骨格部52と、を有する。
【0037】
上記構成によれば、主部材10に骨格部52を空隙部51が形成されていることにより、樹脂成形品1を軽量化することができる。また、空隙部51に内包された空気によって断熱性や遮音性を当該樹脂成形品1に付与することも可能となる。
【0038】
(3)第3の態様に係る樹脂成形品1は、(2)の樹脂成形品1であって、前記骨格部52は、前記空隙部51を形成する壁面部61と、該壁面部61の内側に形成され、強度を負担する内部構造部62と、を有する。
【0039】
上記構成によれば、骨格部52が、壁面部61と、内部構造部62とを有することから、当該骨格部52をさらに軽量化することができる。加えて、骨格部52が単に中実に形成されている場合に比べて、内部構造部62が強度を負担することから、主部材10の強度をさらに向上させることができる。
【0040】
(4)第4の態様に係る樹脂成形品1は、(1)から(3)のいずれか一態様に係る樹脂成形品1であって、前記主部材10は、前記第一の樹脂21に混合された繊維材料をさらに有する。
【0041】
上記構成によれば、主部材10の第一の樹脂21に繊維材料が混合されていることから、当該繊維材料によって引張強度が補完される。これにより、主部材10の強度をより一層向上させることができる。
【0042】
(5)第5の態様に係る樹脂成形品1は、(1)から(4)のいずれか一態様に係る樹脂成形品1であって、前記主部材10は、多角形状に形成された複数の小室71を形成するハニカム部70と、該ハニカム部70を厚さ方向から覆う前記外郭部31と、を有する。
【0043】
上記構成によれば、多角形状の小室71を有するハニカム部70が形成されていることによって、主部材10の強度をさらに向上させることができる。同時に、主部材10をさらに軽量化することもできる。
【0044】
(6)第6の態様に係る樹脂成形方法は、(1)から(5)のいずれか一態様に係る樹脂成形品1を製造するための樹脂成形方法であって、三次元積層造形によって前記第一の樹脂21を積層して前記主部材10を成形するステップと、前記主部材10を金型の内部に載置するステップと、前記金型内に、前記主部材10と接するように溶融した前記第二の樹脂22を充填して前記副部材11の射出成形を行うステップと、を含む。
【0045】
上記方法では、主部材10をはじめに金型の内部に載置して、当該主部材10と接するように副部材11を射出成形する。これにより、射出成形で必要となる第二の樹脂22の割合が低くなる。その結果、樹脂成形品1全体を射出成形のみによって形成する場合に比べて、樹脂材料が行き渡らないことに起因するヒケやボイドを回避しつつ、大型の樹脂成形品1を得ることができる。
【符号の説明】
【0046】
1…樹脂成形品
10…主部材
11…副部材
12…融着部
21…第一の樹脂
31…外郭部
41…被覆部
42…突出部
22…第二の樹脂
51…空隙部
52…骨格部
61…壁面部
62…内部構造部
70…ハニカム部
71…小室
80…開口部