(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047789
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】梱包材
(51)【国際特許分類】
B65D 85/68 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
B65D85/68 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153476
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】水川 洸一
(72)【発明者】
【氏名】玉田 晴彦
【テーマコード(参考)】
3E037
【Fターム(参考)】
3E037AA20
3E037BA02
3E037CA05
(57)【要約】
【課題】設置現場で設備機器にオプション部材を装着し易くすることができる梱包材を提供すること。
【解決手段】設備機器(10)の運搬時に利用される包材(1)は、設備機器(10)の上部を覆う天部材(2)と、下部を支持する底部材(3)と、側面部を保護する側面部材(4)を備え、天部材(2)と側面部材(4)が取り外されて底部材(3)に設備機器(10)が載置された状態で、底部材(3)を変形させることによって、設備機器(10)にオプション部材を装着可能な状態になるように構成された。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備機器の運搬時に利用される梱包材において、
前記設備機器の上部を覆う天部材と、下部を支持する底部材と、側面部を保護する側面部材を備え、
前記天部材と前記側面部材が取り外されて前記底部材に前記設備機器が載置された状態で、前記底部材を変形させることによって、前記設備機器にオプション部材を装着可能な状態になるように構成されたことを特徴とする梱包材。
【請求項2】
前記底部材は、前記設備機器の前部を支持する前部材と前記設備機器の中部及び後部を支持する後部材とが上面又は側面から延びる連結部で連結されて形成され、前記設備機器が載置された状態で前記連結部を切断可能であることを特徴とする請求項1に記載の梱包材。
【請求項3】
前記底部材は、前記設備機器の前部を支持する前部材と前記設備機器の中部及び後部を支持する後部材を有し、前記設備機器が載置された状態で前記前部材を除去可能であることを特徴とする請求項1に記載の梱包材。
【請求項4】
前記オプション部材は、前記設備機器をパイプシャフトの金枠に固定するための扉内ケースであることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の梱包材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備機器を運搬する際に、この設備機器を保護するために利用される梱包材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、一般家庭用の設備機器は、梱包材によって梱包された状態で、例えばフォークリフト又はハンドリフトによって運搬されている。梱包材は、設備機器を載置するための底部材として例えば特許文献1のようなスキッドと、設備機器の側面を覆う筒状の側面部材と、設備機器の上部を覆う天部材によって構成され、これらが例えば結束バンドによって設備機器から外れないように結束されている。
【0003】
梱包された状態で設置現場まで運搬された設備機器は、梱包が解かれて所定の設置場所に固定用のオプション部材によって固定される。オプション部材は、設置場所に応じて適宜選択される。
【0004】
設置現場が集合住宅である場合、設備機器は、各戸に設けられているパイプシャフトと呼ばれる収容部に設置される。このパイプシャフトは、上下方向に通る上水、排水及びガスの配管類やその使用量メータ等を収容するスペースである。
【0005】
例えば共用通路に面したパイプシャフトの開口部には金枠が設置され、この開口部を開閉する扉がヒンジによって金枠に連結されている。このパイプシャフトに設備機器が設置される場合には、金枠に固定するためのオプション部材として扉内ケースが設備機器の前側部分に装着される。そして、扉内ケースが装着された設備機器は、金枠の所定の区画に入れられ、扉内ケースが金枠に固定されてパイプシャフトに設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
扉内ケースは矩形筒状に形成され、設備機器の前側部分に、その上面と両側面と底面を囲むように装着される。このとき、設備機器が底部材に載置された状態では、設備機器の底面よりも下側に扉内ケース下部を入れるスペースが十分に確保されていない場合が多い。このような場合には、設備機器が前面側を持ち上げた傾斜姿勢又は後面を下にして寝かせた姿勢にされ、扉内ケースが装着される。
【0008】
しかし、設備機器が重量物である場合、傾斜姿勢にして扉内ケースを装着することは容易ではなく、寝かせた姿勢にすることも困難であり、作業性の向上が望まれている。また、設備機器の種類によっては、傾斜姿勢又は寝かせた姿勢にすることが禁止されている場合がある。
【0009】
そこで、本発明は、設置現場で設備機器にオプション部材を装着し易くすることができる梱包材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明の梱包材は、設備機器の運搬時に利用される梱包材において、前記設備機器の上部を覆う天部材と、下部を支持する底部材と、側面部を保護する側面部材を備え、前記天部材と前記側面部材が取り外されて前記底部材に前記設備機器が載置された状態で、前記底部材を変形させることによって、前記設備機器にオプション部材を装着可能な状態になるように構成されたことを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、梱包材は、設備機器の上部、側面部、下部に対応する天部材、側面部材、底部材を有する。そして、梱包が解かれて設備機器から天部材と側面部材が取り外され、底部材に設備機器が載置された状態で、この底部材を変形させることによってオプション部材を装着するためのスペースを空け、オプション部材を装着可能な状態になる。従って、設置現場で設備機器の姿勢を変えずに、底部材に載置された状態の設備機器にオプション部材を容易に装着することができ、作業性が向上する。
【0012】
請求項2の発明の梱包材は、請求項1の発明において、前記底部材は、前記設備機器の前部を支持する前部材と前記設備機器の中部及び後部を支持する後部材とが上面又は側面から延びる連結部で連結されて形成され、前記設備機器が載置された状態で前記連結部を切断可能であることを特徴としている。
上記構成によれば、設備機器の前部を支持する前部材と、設備機器の中部と後部を支持する後部材とが、連結部により連結されて底部材が形成されている。この連結部は、底部材に設備機器が載置された状態で切断可能であり、連結部を切断することによって、設備機器を後部材で支持しながら前部材を容易に移動可能である。従って、連結部が切断されて分離された前部材の移動によって底部材を変形させて、オプション部材を装着するためのスペースを空けることができるので、設備機器の姿勢を変更せずに、この設備機器にオプション部材を容易に装着することができる。
【0013】
請求項3の発明の梱包材は、請求項1の発明において、前記底部材は、前記設備機器の前部を支持する前部材と前記設備機器の中部及び後部を支持する後部材を有し、前記設備機器が載置された状態で前記前部材を除去可能であることを特徴としている。
上記構成によれば、底部材に設備機器が載置された状態で、設備機器の中部と後部を支持する後部材を残して、設備機器の前部を支持する前部材を底部材から除去可能である。従って、前部材の除去によって後部材のみの底部材に変形され、オプション部材を装着するためのスペースを空けることができるので、設備機器の姿勢を変更せずに、この設備機器にオプション部材を容易に装着することができる。
【0014】
請求項4の発明の梱包材は、請求項1~3の何れか1項において、前記オプション部材は、前記設備機器をパイプシャフトの金枠に固定するための扉内ケースであることを特徴としている。
上記構成によれば、パイプシャフトに設備機器を設置する際に、パイプシャフト周辺の限られた作業スペースで設備機器の姿勢を変更せずに、この設備機器に扉内ケースを容易に装着することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の梱包材によれば、設置現場で設備機器の姿勢を変更せずに、この設備機器にオプション部材を容易に装着することができ、作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例に係る梱包材の斜視図である。
【
図2】設備機器が底部材に載置された状態を示す斜視図である。
【
図3】パイプシャフトへの設備機器の設置例を示す図である。
【
図5】底部材に載置された設備機器へのオプション部材の装着説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0018】
図1、
図2に示すように、一般家庭用の設備機器10を覆うための梱包材1は、設備機器10の上部、下部、側面部に対応する天部材2、底部材3、側面部材4を有する。底部材3に載置された設備機器10は、側面部を覆う側面部材4の上部と共に天部材2によって上部が覆われ、例えばポリプロピレン製の結束バンド6によって天部材2と底部材3と側面部材4とが結束されることにより梱包される。尚、図中の矢印U、矢印F,矢印Lは、設備機器10の上方、前方、左方を夫々表している。
【0019】
設備機器10は、例えば家庭用の燃焼式給湯装置又は貯湯給湯システムの機能ユニットである。梱包材1で梱包された設備機器10は、例えばフォークリフト又はハンドリフトによって運搬される。そのため、底部材3は、フォークリフト等のフォークに対応するトンネル状のフォーク挿入部5a,5bを備えた所謂スキッドである。フォーク挿入部5a,5bは、設備機器10に対して前後方向に間隔を空けて左右方向にわたって形成されている。
【0020】
梱包材1で梱包された設備機器10は設置現場に運搬され、設置場所の傍の平坦な地面又は通路に置かれて梱包が解かれる。結束バンド6を取り除き、天部材2と側面部材4が取り外されると、底部材3に載置された状態の設備機器10が露出する。
【0021】
底部材3は、例えば古紙を圧縮成形したパルプモールドによって形成され、設備機器10の形状等に応じて低コストで容易に製造可能であると共に加工、廃棄が容易である。この底部材3は、前部材3aと後部材3bと、これらの上面又は側面から延びる連結部3cを有し、前部材3aと後部材3bとが連結部3cによって連結された状態で底部材3が一体的に形成されている。前部材3aと後部材3bと連結部3cとで三方を囲まれたトンネル状の空間がフォーク挿入部5aである。後部材3bには、その前後方向中間部分にフォーク挿入部5bが形成されている。
【0022】
前部材3aは、運搬時に設備機器10が前方及び左右にずれないように又は倒れないように設備機器10の前部を支持するために、設備機器10の前側の角部に当接又は近接する支持材7aを有する。後部材3bは、運搬時に設備機器10が後方及び左右にずれないように又は倒れないように設備機器10の後部を支持するために、設備機器10の後側の角部に当接又は近接する支持材7bを有する。
【0023】
さらに、後部材3bは、設備機器10の底面に設けられた例えば配管接続部のような突起部分を保護すると共に、設備機器10の前後方向中央部を支持するための支持材7cを備えている。設備機器10の重量は支持材7cを有する後部材3bによって支えられている。尚、支持材7a,7b,7cは底部材3に上方から差し込まれているが、底部材3の上面に接着されていてもよく、底部材3と一体的に形成されていてもよい。
【0024】
設備機器10には、設置場所に固定するためのオプション部材が装着される。オプション部材は、設備機器10の設置場所に応じて適宜選択される。例えば
図3に示すようにパイプシャフトPSに設置される場合には、扉内ケース12と呼ばれるオプション部材が設備機器10に装着される。
【0025】
パイプシャフトPSは、例えば集合住宅の共用通路に面するように開口部が設けられた収容部であり、上下方向に通る上水、排水及びガスの配管類やそれらの使用量メータ等を収容すると共に、給湯装置のような設備機器10の設置場所になっている。パイプシャフトPSの開口部には金枠14が設けられ、開口部を開閉する扉15が金枠14にヒンジで連結されている。設備機器10は、オプション部材である扉内ケース12を介して金枠14に固定される。扉内ケース12は、設備機器10の前方に延びる矩形筒状の部材であり、設備機器10の前側部分の上面と両側面と底面に設けられているフランジ11に固定される。
【0026】
ここで、
図2の支持材7a及び前部材3aは、底部材3に載置されている設備機器10の前側部分にオプション部材を装着する妨げになり、特にフランジ11に装着される扉内ケース12は装着が困難である。そこで、設備機器10が載置されている状態で底部材3を変形させることによって、支持材7aと前部材3aがある部分においてスペースを空け、扉内ケース12を装着可能な状態にする。
【0027】
例えば、底部材3の連結部3cはカッター等を用いて切断可能であり、連結部3cが破線8に沿って切断されて、
図4に示すように後部材3bから前部材3aが分離される。前部材3aを容易に分離できるように、連結部3cに例えば所謂ミシン目加工がなされていてもよく、例えば開封テープ(カットテープ)が連結部3cに埋め込まれていてもよい。破線8の位置(切断位置)は、フランジ11よりも後方であり、支持材7cに近いことが好ましい。前部材3aが分離されても、後部材3b(変形後の底部材3)に設備機器10が載置された状態が維持される。
【0028】
底部材3の変形によって前部材3aと支持材7aがあった部分のスペースが空けられたので、変形後の底部材3に載置されている設備機器10のフランジ11に扉内ケース12を装着可能になっている。例えば
図5に示すように、設備機器10が変形後の底部材3に載置された状態で、扉内ケース12の倒立U形の第1ケース部材12aは、その下端部分を少し開きながら被せるようにフランジ11に装着され、ビス等で固定される。
【0029】
そして、底部材3を変形させて空けたスペースを利用して、扉内ケース12の第2ケース部材12bが設備機器10の底面側から装着され、フランジ11及び第1ケース部材12aにビス等で固定される。こうして、設備機器10を傾斜姿勢又は寝かせた姿勢にすることなく、パイプシャフト設置用のオプション部材である扉内ケース12が、底部材3に載置された状態の設備機器10に装着される。
【0030】
扉内ケース12が装着された設備機器10は、
図3のように、パイプシャフトPSの金枠14の外枠14aと横桟14bと縦桟14cで囲まれた所定の区画に挿入され、扉内ケース12が外枠14aと横桟14bと縦桟14cに例えばビスによって固定される。そして、図示を省略するが、配線、配管等が接続されてパイプシャフトPSへの設備機器10の設置が完了する。
【0031】
上記梱包材1の作用、効果について説明する。
設備機器10の運搬時に利用する梱包材1は、設備機器10の上部を覆う天部材2と、下部を支持する底部材3と、側面部を保護する側面部材4を有する。この梱包材1は、梱包が解かれて天部材2と側面部材4が取り外され、底部材3に設備機器10が載置された状態で、底部材3を変形させることによってオプション部材を装着するためのスペースを空けて、設備機器10にオプション部材を装着可能な状態にすることができる。従って、設備機器10の姿勢を変更せずに、この設備機器10にオプション部材を容易に装着することができ、作業性が向上する。
【0032】
設備機器10の前部を支持する前部材3aと、設備機器10の中部及び後部を支持する後部材3bとが、これらの上面又は側面から延びる連結部3cで連結されて底部材3が形成されている場合に、この連結部3cは設備機器10が底部材3に載置された状態で切断可能である。そして、連結部3cが切断された場合に、設備機器10を後部材3bで支持しながら分離された前部材3aを容易に移動させることができる。従って、この前部材3aの分離及び移動により底部材3を変形させて、オプション部材を装着するためのスペースを空けることができるので、設備機器10の姿勢を変更せずに、この設備機器10にオプション部材を容易に装着することができる。
【0033】
設備機器10の前部を支持する前部材3aと、設備機器10の中部と後部を支持する後部材3bを有する底部材3は、この底部材3に設備機器10が載置された状態で、前部材3aを除去可能である。従って、前部材3aの除去によって底部材3が変形されて後部材3bのみになり、オプション部材を装着するためのスペースを空けることができるので、設備機器10の姿勢を変更せずに、この設備機器10にオプション部材を容易に装着することができる。
【0034】
オプション部材が、設備機器10をパイプシャフトPSの金枠14に固定するための扉内ケース12である場合には、パイプシャフトPS周辺の限られた作業スペースで設備機器10の姿勢を変更せずに、この設備機器10に扉内ケース12を容易に装着することができる。
【0035】
オプション部材は、例えば設置場所に形成された基礎又は架台に固定するための脚部材であってもよい。また、設備機器10の後部側にもオプション部材を装着するため、後部材3bがフォーク挿入部5bの上方で前後に分離可能なように構成されていてもよい。その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。