(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047806
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】仕分け装置および物品搬送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 47/64 20060101AFI20240401BHJP
B65G 43/00 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
B65G47/64
B65G43/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153501
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古屋 春仁
【テーマコード(参考)】
3F027
3F070
【Fターム(参考)】
3F027AA02
3F027DA21
3F027EA01
3F027FA02
3F027FA12
3F027FA18
3F070AA06
3F070BA01
3F070BA07
3F070BA10
3F070BB02
3F070BB05
3F070BB09
3F070BD01
3F070BD05
3F070BE00
3F070BG00
3F070EA24
3F070EB02
3F070EB03
3F070EB15
(57)【要約】
【課題】新規な改善された仕分け装置および物品搬送システムを得る。
【解決手段】可動部が第一位置に位置する第一状態では、物品を第一搬送路へ仕分け、可動部が第二位置に位置する第二状態では、物品を第二搬送路へ仕分ける仕分け装置であって、当該仕分け装置は、例えば、仕分け装置に対する電力供給が遮断された後の再起動時において、位置検出部が可動部が第二位置に位置することを検出した場合には、駆動制御部は、可動部が第二位置に位置するよう駆動機構を制御するとともに、搬送制御部は、物品の第二搬送路への搬送作動を行うよう搬送機構を制御し、位置検出部が可動部が第二位置に位置しないことを検出した場合には、駆動制御部は、可動部が第一位置に位置するよう駆動機構を制御する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一位置と第二位置との間で移動可能な可動部と、
前記可動部を、前記第一位置に位置した状態と前記第二位置に位置した状態とを切り替え可能に動かす駆動機構と、
物品のそれぞれに対応して前記可動部が前記第一位置または前記第二位置に位置するよう、前記駆動機構を制御する駆動制御部と、
前記可動部が前記第二位置にあるか否かを検出する位置検出部と、
前記物品を第一搬送路または第二搬送路へ搬送する搬送機構と、
前記搬送機構の作動を制御する搬送制御部と、
を備え、
前記可動部が前記第一位置に位置する第一状態では、前記物品を第一搬送路へ仕分け、前記可動部が第二位置に位置する第二状態では、前記物品を第二搬送路へ仕分ける、仕分け装置であって、
前記仕分け装置に対する電力供給が遮断された後の再起動時において、
前記位置検出部が前記可動部が前記第二位置に位置することを検出した場合には、前記駆動制御部は、前記可動部が前記第二位置に位置するよう前記駆動機構を制御するとともに、前記搬送制御部は、前記物品の前記第二搬送路への搬送作動を行うよう前記搬送機構を制御し、
前記位置検出部が前記可動部が前記第二位置に位置しないことを検出した場合には、前記駆動制御部は、前記可動部が前記第一位置に位置するよう前記駆動機構を制御する、仕分け装置。
【請求項2】
前記物品が所定の搬送位置にあるか否かを検出する物品検出部と、
前記仕分け装置に対する電力供給が遮断された場合にあっても前記物品検出部に対する作動電力の供給を維持する予備電源と、
を備えた、請求項1に記載の仕分け装置。
【請求項3】
前記仕分け装置に対する電力供給が遮断された場合において、前記搬送機構および前記駆動機構のうち少なくとも一方に対する作動電力の供給が遮断されるよう構成された、請求項2に記載の仕分け装置。
【請求項4】
前記物品が所定の搬送位置にあるか否かを検出可能な物品検出部を備え、
前記駆動制御部は、前記再起動時において、前記位置検出部によって前記可動部が前記第二位置に位置することが検出されるとともに、前記物品検出部によって前記物品が検出された場合には、少なくとも当該物品の前記第二搬送路への移動が完了するまでは、前記搬送作動を継続するよう、前記駆動機構を制御する、請求項1に記載の仕分け装置。
【請求項5】
前記位置検出部が前記可動部が前記第二位置に位置することを検出した場合の、前記駆動制御部による前記駆動機構の制御、および前記搬送制御部による前記搬送機構の制御が、所定の計時開始時刻から所定時間継続した後に終了する、請求項1に記載の仕分け装置。
【請求項6】
前記第一搬送路は、当該第一搬送路を搬送される前記物品の識別情報を検出する識別情報検出部が設けられた搬送路である、請求項1に記載の仕分け装置。
【請求項7】
前記第一搬送路は、当該第一搬送路に対応して、前記識別情報検出部による検出信号から、当該物品が前記第一搬送路を搬送されるべき物品でなかったと判定された場合に、当該物品を前記第一搬送路外に搬出する搬出機構が設けられた搬送路である、請求項6に記載の仕分け装置。
【請求項8】
前記第一搬送路は、前記搬出機構に対応して、当該搬出機構で搬出された前記物品を、前記仕分け装置の前記物品の入口に搬送する第三搬送路が設けられた搬送路である、請求項7に記載の仕分け装置。
【請求項9】
前記第一搬送路は、前記物品を前記仕分け装置の前記物品の入口に搬送する循環経路を構成した、請求項1に記載の仕分け装置。
【請求項10】
請求項1~9のうちいずれか一つに記載の仕分け装置と、
前記第一搬送路と、
前記第二搬送路と、
を備えた、物品搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕分け装置および物品搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送路上で搬送されている物品を複数の搬送路に仕分ける仕分け装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の仕分け装置を含む物品搬送システムは、例えば、搬送路上の複数の位置で物品を検出する物品センサと、搬送路上の所定位置で物品の識別情報を検出する識別情報センサと、を備えている。物品搬送システムは、物品の検出情報と識別情報とを関連付けることにより、搬送路上での物品の大まかな位置、および当該物品の識別情報を把握する。そして、仕分け装置は、物品の検出情報に関連付けられた識別情報に基づいて、到来した物品を、複数の搬送路のうち当該物品に対応した搬送路に仕分ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した構成の物品搬送システムで、不意に停電が生じた場合、物品の実際の位置と物品の検出情報とのずれが生じたり、検出情報が消失してしまったりする虞がある。特に、仕分け装置内やその入口付近に物品がある場合には、停電後の再起動時に、仕分け装置が物品を正しく仕分けることができなくなる虞があるため、例えば、作業員が実際の物品の識別情報を確認し、当該物品を識別情報に対応した正しい搬送路に持って行ったり送ったりする手間が生じ、通常運転に復旧するまでに時間を要する虞があった。
【0006】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、不意に停電が生じたような場合にあっても、復旧までの手間や時間を減らすことが可能となるような、新規な改善された仕分け装置および物品搬送システムを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の仕分け装置は、例えば、第一位置と第二位置との間で移動可能な可動部と、前記可動部を、前記第一位置に位置した状態と前記第二位置に位置した状態とを切り替え可能に動かす駆動機構と、物品のそれぞれに対応して前記可動部が前記第一位置または前記第二位置に位置するよう、前記駆動機構を制御する駆動制御部と、前記可動部が前記第二位置にあるか否かを検出する位置検出部と、前記物品を第一搬送路または第二搬送路へ搬送する搬送機構と、前記搬送機構の作動を制御する搬送制御部と、を備え、前記可動部が前記第一位置に位置する第一状態では、前記物品を第一搬送路へ仕分け、前記可動部が第二位置に位置する第二状態では、前記物品を第二搬送路へ仕分ける、仕分け装置であって、前記仕分け装置に対する電力供給が遮断された後の再起動時において、前記位置検出部が前記可動部が前記第二位置に位置することを検出した場合には、前記駆動制御部は、前記可動部が前記第二位置に位置するよう前記駆動機構を制御するとともに、前記搬送制御部は、前記物品の前記第二搬送路への搬送作動を行うよう前記搬送機構を制御し、前記位置検出部が前記可動部が前記第二位置に位置しないことを検出した場合には、前記駆動制御部は、前記可動部が前記第一位置に位置するよう前記駆動機構を制御する。
【0008】
また、本発明の物品搬送システムは、例えば、前記仕分け装置と、前記第一搬送路と、前記第二搬送路と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態の仕分け装置を含む物品搬送システムの例示的かつ模式的な平面図である。
【
図2】
図2は、実施形態の仕分け装置の一部の例示的かつ模式的な背面図である。
【
図3】
図3は、実施形態の仕分け装置の例示的なブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態の仕分け装置による停電後の再起動時の制御の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第2実施形態の仕分け装置を含む物品搬送システムの例示的かつ模式的な平面図である。
【
図6】
図6は、第3実施形態の仕分け装置を含む物品搬送システムの例示的かつ模式的な平面図である。
【
図7】
図7は、第4実施形態の仕分け装置を含む物品搬送システムの例示的かつ模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成から得られる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、下記の構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0011】
以下に例示される複数の実施形態は、同様の構成を含んでおり、各実施形態によれば、それら同様の構成に基づく同様の効果が得られる。なお、以下では、同様の構成要素については、共通の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
【0012】
また、本明細書において、序数は、位置や、構造等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではないし、個数を限定するものでもない。
【0013】
また、各図中には、方向を示す矢印が描かれている。X方向およびY方向は、水平方向に略沿うとともに、Z方向は、鉛直上方に略沿っている。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに直交している。
【0014】
[第1実施形態]
[物品搬送システムの構成]
図1は、第1実施形態の物品搬送システム1A(1)の平面図である。
図1に示されるように、物品搬送システム1Aは、搬送路10と、仕分け装置100と、搬送路21と、搬送路22と、を備えている。
【0015】
搬送路10,21,22は、それぞれ、物品Aを搬送する少なくとも一つの搬送機構を有している。搬送機構は、例えば、ローラコンベヤや、チェーンコンベヤのようなコンベヤであるが、これには限定されない。なお、搬送路10において仕分け装置100の直前で物品Aを搬送する搬送機構を、搬送機構104とする。
【0016】
搬送路10では、物品Aが仕分け装置100へ搬送される。仕分け装置100は、当該物品Aを、搬送路21および搬送路22のうちいずれか一方に選択的に受け渡す、すなわち仕分ける。搬送路21,22では、それぞれ仕分け装置100で仕分けされた物品Aが搬送される。搬送路21は、第一搬送路の一例であり、搬送路22は、第二搬送路の一例である。
【0017】
搬送路10,21,22および仕分け装置100には、それぞれ、物品センサ40が設けられている。物品センサ40は、それぞれ、所定の搬送位置における物品Aの検出信号を出力する。当該検出信号に基づいて、当該搬送位置に物品Aが存在するか否かが検出される。各搬送路10,21,22には、複数の物品センサ40が、物品Aの搬送方向に所定の間隔で設けられている。また、仕分け装置100にも、それぞれ異なる物品Aの搬送位置に対応した複数の物品センサ40が、設けられている。物品センサ40は、例えば、光電センサであるが、これには限定されない。なお、搬送位置とは、搬送路10,21,22や、仕分け装置100上での、物品Aの位置を示す。物品センサ40は、物品検出部の一例である。
【0018】
また、搬送路10,21には、それぞれ、識別情報センサ50(50-1,50-2)が設けられている。識別情報センサ50は、物品Aに付与された識別子を所定の搬送位置で読み取り、当該物品Aの識別情報を検出する。識別情報センサ50は、例えば、受光部とデコーダとを有したコードリーダであるが、これには限定されない。また、例えば、識別子は、RFID(radio frequency identifier)タグであってもよいし、その場合、識別情報センサ50は、RFIDリーダであってもよい。識別情報センサ50は、識別情報検出部の一例である。
【0019】
識別情報センサ50-1は、搬送路10において、仕分け装置100に対する搬送方向の後方において、当該仕分け装置100に入る前の物品Aの識別情報を検出できるよう、設けられている。また、識別情報センサ50-2は、搬送路21において当該仕分け装置100に対する搬送方向の前方において、仕分け装置100から搬送路21に仕分けられた物品Aの識別情報を検出できるよう、設けられている。
【0020】
[仕分け装置]
仕分け装置100は、物品Aを搬送路21に向けてX方向に搬送する搬送機構101と、物品Aを搬送路22に向けてY方向に搬送する搬送機構102およびX方向に向けて搬送する搬送機構103と、を有している。搬送機構101~103は、互いに干渉しないよう構成されている。搬送機構101,103は、例えば、ローラコンベヤであり、搬送機構102は、例えば、チェーンコンベヤであるが、これには限定されない。
【0021】
仕分け装置100は、搬送機構102の位置を上下に変更することで、搬送機構101,103が物品Aを搬送する状態と、搬送機構102が物品Aを搬送する状態と、を切り替える。
【0022】
図2は、仕分け装置100の一部をX方向に見た背面図である。
図2に示されるように、搬送機構102は、第一位置P1と、当該第一位置P1より上方の第二位置P2と、の間で移動可能に構成されている。
【0023】
搬送機構102が第一位置P1にある第一状態S1では、搬送機構102の上面102aは、搬送機構101の上面101aより下方に位置している。この第一状態S1において、物品Aは、搬送機構101の上面101a上に支持され、当該搬送機構101によってX方向に搬送される、すなわち、搬送路21へ仕分けられる。
【0024】
他方、搬送機構102が第二位置P2にある第二状態S2では、搬送機構102の上面102aは、搬送機構101の上面101aより上方に位置している。この第二状態S2において、物品Aは、搬送機構102の上面102a上に支持され、当該搬送機構102によってY方向に搬送される、すなわち、搬送路22へ仕分けられる。
【0025】
このように、本実施形態の仕分け装置100は、搬送機構102の第一位置P1と第二位置P2との切り替えにより、物品Aが搬送路21へ仕分けられる第一状態S1と、物品Aが搬送路22へ仕分けられる第二状態S2と、が切り替わるよう、構成されている。搬送機構102は、可動部の一例である。
【0026】
なお、仕分け装置100としては、種々の形式のトランサや、ソータ、ダイバータ等を採用することができ、仕分け装置100や可動部の構成は、この例には限定されない。また、仕分け装置の可動部は、物品Aを、搬送路21,22のうち一方へ選択的に案内する構成であってもよいし、第一位置P1および第二位置P2は、水平方向に異なる位置であってもよい。
【0027】
[仕分け装置の制御]
図3は、仕分け装置100のブロック図である。
図3に示されるように、仕分け装置100は、コンピュータを含んでおり、演算処理部110と、主記憶部121と、補助記憶部122と、を有している。
【0028】
演算処理部110は、例えば、プロセッサ(回路)である。主記憶部121は、例えば、RAM(random access memory)やROM(read only memory)であり、補助記憶部122は、例えば、HDD(hard disk drive)やSSD(solid state drive)である。演算処理部110は、主記憶部121のROMや補助記憶部122に記憶されたプログラム(アプリケーション)を読み出して実行する。プロセッサは、プログラムにしたがって作動することにより、搬送制御部111、仕分け判定部112、駆動制御部113、終了判定部114、物品検出処理部115、識別情報処理部116、位置検出処理部117、および電圧検出処理部118として作動する。この場合、プログラムは、これら搬送制御部111、仕分け判定部112、駆動制御部113、終了判定部114、物品検出処理部115、識別情報処理部116、位置検出処理部117、および電圧検出処理部118のそれぞれに対応するプログラムモジュールを含む。
【0029】
プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されうる。記録媒体は、プログラムプロダクトとも称されうる。また、プログラムは、通信ネットワークに接続されたコンピュータの記憶部に記憶され、ネットワーク経由でダウンロードされることによってコンピュータに導入されうる。また、プログラムは、ROM等に予め組み込まれてもよい。
【0030】
また、コンピュータの少なくとも一部がハードウエアによって構成される場合、当該コンピュータには、例えば、FPGA(field programmable gate array)や、ASIC(application specific integrated circuit)等が含まれてもよい。
【0031】
主記憶部121のROMまたは補助記憶部122には、搬送制御部111、仕分け判定部112、駆動制御部113、終了判定部114、物品検出処理部115、識別情報処理部116、位置検出処理部117、および電圧検出処理部118による演算処理で用いられる情報が、記憶されている。また、当該演算処理で用いられる情報は、プログラム内で記述されてもよい。
【0032】
また、演算処理部110には、搬送機構101~104、駆動機構140、物品センサ40、識別情報センサ50、位置センサ161、および電圧センサ162が、電気的に接続されている。
【0033】
搬送制御部111は、物品Aを搬送するよう、搬送機構101~104を制御することができる。
【0034】
仕分け判定部112は、識別情報処理部116から物品Aの識別情報を取得し、補助記憶部122に記憶された物品Aの識別情報と仕分け先となる搬送路21,22との対応付けを示すデータを参照して、当該物品Aの識別情報に対応した仕分け先となる搬送路21,22を決定する。
【0035】
駆動制御部113は、可動部としての搬送機構102が、第一位置P1または第二位置P2に位置するよう、駆動機構140を制御する。駆動機構140は、例えば、モータや、減速機構、回転直動変換機構等を有する。この場合、駆動機構140のモータの回転に応じて、搬送機構102の位置が変化し、当該モータの停止に応じて搬送機構102が静止する。すなわち、駆動機構140は、搬送機構102が、第一位置P1に位置した状態、第二位置P2に位置した状態、および第一位置P1と第二位置P2との間で移動する状態、を切り替えることができる。通常運転時において、駆動制御部113は、仕分け判定部112が決定した搬送路21,22に物品Aが搬送されるよう、すなわち、物品Aのそれぞれに対応して搬送機構102が第一位置P1または第二位置P2に位置するよう、駆動機構140を制御する。
【0036】
終了判定部114は、停電後の再起動時の制御を終了するか否かを判定する。終了判定部114の作動については後述する。
【0037】
物品検出処理部115は、各物品センサ40の検出信号に基づいて、当該物品センサ40に対応する搬送位置における物品Aの有無を検出する。物品センサ40および物品検出処理部115は、物品検出部の一例である。
【0038】
識別情報処理部116は、各識別情報センサ50からの識別情報を取得し、当該識別情報を、仕分け判定部112へ送る。なお、識別情報処理部116は、識別情報センサ50とともに、識別情報検出部を構成してもよい。
【0039】
位置検出処理部117は、位置センサ161の検出信号に基づいて、可動部としての搬送機構102の位置を検出する。位置検出処理部117は、少なくとも、搬送機構102が第二位置P2にあるか否かを検出することができる。位置センサ161は、搬送機構102の位置の検出信号を出力する。位置センサ161は、例えば、搬送機構102が第二位置P2に位置する場合に検出信号を出力するセンサであり、例えば、光電センサ等であるが、これには限定されない。なお、搬送機構102が第二位置P2に位置する場合に検出信号を出力するセンサの他に、第一位置P1に位置する場合に検出信号を出力するセンサが設けられてもよい。位置センサ161および位置検出処理部117は、位置検出部の一例である。
【0040】
電圧検出処理部118は、電圧センサ162の検出信号に基づいて、仕分け装置100に対する供給電源の電圧を検出する。電圧検出処理部118および電圧センサ162は、電圧検出部の一例である。
【0041】
また、
図3に示されるように、仕分け装置100は、予備電源150を備えてもよい。予備電源150は、停電時においても少なくとも物品センサ40に対する作動電力の供給を維持するものであり、例えば、無停電電源装置である。さらに、予備電源150は、停電時に、物品センサ40以外の、識別情報センサ50や、位置センサ161等のセンサに対する作動電力の供給を維持してもよい。予備電源は、バックアップ電源とも称されうる。なお、電圧センサ162、並びにコンピュータとしての演算処理部110、主記憶部121、および補助記憶部122は、予備電源150とは別にあるいは当該予備電源150により、停電の有無によらず、作動電力が供給されるよう、構成されている。
【0042】
また、本実施形態では、停電時において、搬送機構101~104や、駆動機構140に対する作動電力の供給は維持されない、すなわち、遮断される。これは、搬送機構101~104や、駆動機構140の作動には、より大きな電力が必要となるため、予備電源の装置構成が大型化したり、設置費用が嵩んだりするためである。なお、この場合、搬送機構101~104および駆動機構140の全てに対して電力の供給が遮断されなくてもよい。
【0043】
[停電後の再起動時の制御手順]
図4は、停電後の再起動時における仕分け装置100の制御手順を示すフローチャートである。仕分け装置100は、不意な停電後の再起動時には、
図4の手順に従い、通常運転とは異なるモードで作動する。なお、停電は、仕分け装置100の搬送機構101~103や、搬送機構104、駆動機構140等への電力供給が遮断された状態とする。
【0044】
停電後の再起動時において、まず、位置検出処理部117は、搬送機構102が第二位置P2に位置するか否かを検出する(S11)。
【0045】
S11において、位置検出処理部117が、搬送機構102が第二位置P2に位置することを検出した場合(S11でYes)、駆動制御部113は、当該搬送機構102を第二位置P2で維持するよう、駆動機構140を制御する(S12)。
【0046】
そして、搬送制御部111は、物品Aの搬送路22への搬送作動を開始するよう、搬送機構101~104を制御する(S13)。なお、S13における搬送作動とは、物品Aの搬送路22への搬送が可能となる作動を意味する。すなわち、S13において、実際に物品Aがある場合には当該物品Aの搬送が行われるが、実際には物品Aが無い場合には物品Aの搬送は行われない。
【0047】
ここで、物品検出処理部115において、仕分け装置100に対応して設定された物品Aの所定の搬送位置(所定位置)で、物品Aが検出された場合(S14でYes)、終了判定部114は、それ以降、物品Aの搬送位置の追跡、すなわち物品Aの搬送位置の推移の監視を行い、物品Aの搬送路22への移動が完了したと判定した時点で(S15でYes)、停電後の再起動時における一連の制御を終了する。言い換えると、S15において終了判定部114が制御終了を判定するまで、搬送制御部111は、S13で開始した搬送作動を継続し、駆動制御部113は、当該搬送作動によって物品Aが搬送路22へ搬送されるよう駆動機構140を制御する。一連の制御の終了により、仕分け装置100は、通常運転に戻る。また、終了判定部114は、物品Aの搬送路22への移動が完了したと判定しない場合(S15でNo)、所定の時間間隔をあけてS15を繰り返す。なお、S15の判定は、時間制限を設けて終了してもよい。
【0048】
S14における所定位置、すなわち仕分け装置100に対応して設定された物品Aの所定の搬送位置は、例えば、
図1中に示した物品センサ40Aによる検出信号が出力される位置のような、仕分け装置100内の搬送位置や、識別情報センサ50-1による識別情報の検出が行われる搬送位置に対して搬送方向の前方となりかつ仕分け装置100に対して搬送方向の後方(手前)となる搬送位置等である。
【0049】
他方、S14において、所定位置で物品Aが検出されなかった場合(S14でNo)、終了判定部114は、例えば、S13の直後から所定時間が経過した時点で(S16でYes)、停電後の再起動時における一連の制御を終了する。すなわち、停電後の再起動時における、搬送制御部111による搬送機構101~104の制御、および駆動制御部113による駆動機構140の制御が終了する。これにより、仕分け装置100は、通常運転に戻る。他方、所定時間が経過する前にあっては(S16でNo)、S14に戻る。ここで、S16の所定時間は、例えば、物品Aが識別情報センサ50-1によって識別情報を検出された搬送位置から搬送路22へ移動するまでに要する最長時間に、1より大きい安全率を乗算した時間、である。なお、所定時間の計時開始時刻は、S12やS13の前後に適宜に設定されればよい。
【0050】
また、S11において、位置検出処理部117が、搬送機構102が第二位置P2に位置しないことを検出した場合(S11でNo)、駆動制御部113は、搬送機構102を第一位置P1で維持するか、あるいは第一位置P1へ移動するよう、駆動機構140を制御し(S17)、停電後の再起動時における一連の制御を終了する。これにより、仕分け装置100は、通常運転に戻る。
【0051】
以上説明した本実施形態の手順によれば、停電後の再起動時に搬送機構102が第二位置P2に位置していた場合には、仕分け装置100は、物品Aを搬送路22へ仕分ける予定だったはずであるという推定に基づき、仕分け装置100内および仕分け装置100の直前に位置していた物品Aを、搬送路22へ仕分ける。他方、搬送機構102が第二位置P2に位置していない場合には、仕分け装置100は、仕分け装置100内および仕分け装置100の直前に位置していた物品Aを、搬送路21へ仕分ける。本実施形態によれば、停電により、仮に、物品Aの検出情報や識別情報の信頼性が損なわれてしまった場合にあっても、停電後の再起動時に、仕分け装置100は、自動的に物品Aを仕分けることができる。このため、従来のように、作業員が手作業で仕分け装置100内やその入口付近に位置する全ての物品Aの識別情報を確認して仕分けを行っていた場合に比べて、復旧までの手間や時間を減らすことができる。
【0052】
さらに、
図1に示されるように、搬送路21には、識別情報センサ50-2が設けられている。したがって、仮に、上述した制御によって、本来搬送路22へ仕分けられるべき物品Aが、搬送路21へ仕分けされてしまった場合にあっても、当該識別情報センサ50-2によって検出された識別情報に基づいて、当該物品Aを、搬送路22へ戻すことができる。なお、この場合の、取出位置21Pから物品Aを搬送路22へ移す作業は、作業員が手作業で行ってもよい。また、搬送路22にも、識別情報センサ50が設けられてもよい。
【0053】
また、予備電源150により、停電時においても少なくとも物品センサ40に対する作動電力の供給を維持する場合、演算処理部110は、停電時においても、停電前から取得し追跡していた物品Aの搬送位置を把握しやすくなる。この場合、再起動時の制御を、より円滑により迅速にあるいはより確実に行うことができるという利点が得られる。
【0054】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態の物品搬送システム1B(1)の平面図である。
図5に示されるように、本実施形態では、搬送路21に、仕分け装置21Dおよび搬送路23(排出路)が設けられている。仕分け装置21Dは、物品Aを、搬送路21外の搬送路23へ排出することが可能な搬送機構105を備えている。搬送機構105は、搬出機構の一例である。
【0055】
仕分け装置21Dは、識別情報センサ50-2で得られた物品Aの識別情報を取得し、当該識別情報に対応した搬送路を示す情報を参照する。そして、仕分け装置21Dは、当該物品Aに対応した搬送路が搬送路21では無かった場合、物品Aを搬送路21外の、搬送路23へ排出するよう、搬送機構105や、当該搬送機構105の作動の有効と無効とを切り替える切替機構を制御する。
【0056】
このような構成により、万一、上述した停電後の再起動時の制御において、仕分け装置100によって、本来搬送路22へ仕分けられるべき物品Aが、搬送路21へ仕分けられてしまった場合にあっても、当該物品Aが搬送路21で仕分け装置21Dより搬送方向の前方に搬送されるのを、抑制することができる。なお、搬送路23から搬送路22へは、物品Aは、作業員が運んでもよいし、搬送路23と搬送路22との合流装置を介して搬入されてもよい。
【0057】
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態の物品搬送システム1C(1)の平面図である。
図6に示されるように、本実施形態の物品搬送システム1Cは、第2実施形態と同様の、仕分け装置21Dおよび搬送路23を備えている。ただし、本実施形態では、搬送路23は、物品Aを、仕分け装置100における物品Aの入口に戻すよう、構成されている。具体的に、物品搬送システム1Cは、搬送路23で搬送された物品Aを搬送路10へ戻す合流装置10Jを備えており、当該合流装置10Jは、仕分け装置100の手前(搬送方向の後方)であり、かつ識別情報センサ50-1によって識別情報が検出される搬送位置よりも手前に設けられている。これにより、上述した停電後の再起動時の制御において、仕分け装置100によって、本来搬送路22へ仕分けられるべき物品Aが、搬送路21へ仕分けられてしまった場合にあっても、仕分け装置100が、例えば、停電後の再起動時の制御の後の通常運転において、当該物品Aを搬送路22へ仕分けることができる。第3実施形態の搬送路23は、第三搬送路の一例である。
【0058】
[第4実施形態]
図7は、第4実施形態の物品搬送システム1D(1)の平面図である。
図7に示されるように、本実施形態の物品搬送システム1Dは、搬送路21は、合流装置10Jを介して搬送路10へ物品を搬入する。この場合の合流装置10Jの位置は、第3実施形態と同様である。このような構成において、搬送路21は、合流装置10J、当該合流装置10Jと仕分け装置100との間の搬送路10、および仕分け装置100とともに、物品Aが搬送される循環経路を構成している。この場合も、第3実施形態と同様に、上述した停電後の再起動時の制御において、仕分け装置100によって、本来搬送路22へ仕分けられるべき物品Aが、搬送路21へ仕分けられてしまった場合にあっても、仕分け装置100が、例えば、停電後の再起動時の制御の後の通常運転において、当該物品Aを搬送路22へ仕分けることができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0060】
1,1A~1D…物品搬送システム
10…搬送路
10J…合流装置
21…搬送路(第一搬送路)
21D…仕分け装置
21P…取出位置
22…搬送路(第二搬送路)
23…搬送路(第三搬送路)
40,40A…物品センサ(物品検出部)
50,50-1,50-2…識別情報センサ(識別情報検出部)
100…仕分け装置
101…搬送機構
101a…上面
102…搬送機構(可動部)
102a…上面
103…搬送機構
104…搬送機構
105…搬送機構(搬出機構)
110…演算処理部
111…搬送制御部
112…仕分け判定部
113…駆動制御部
114…終了判定部
115…物品検出処理部(物品検出部)
116…識別情報処理部(識別情報検出部)
117…位置検出処理部(位置検出部)
118…電圧検出処理部
121…主記憶部
122…補助記憶部
140…駆動機構
150…予備電源
161…位置センサ(位置検出部)
162…電圧センサ
A…物品
P1…第一位置
P2…第二位置
S1…第一状態
S2…第二状態