(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047808
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】モータの組付方法
(51)【国際特許分類】
B60K 1/02 20060101AFI20240401BHJP
H02K 5/10 20060101ALI20240401BHJP
F16H 57/027 20120101ALN20240401BHJP
【FI】
B60K1/02
H02K5/10
F16H57/027
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153504
(22)【出願日】2022-09-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海老原 大貴
【テーマコード(参考)】
3D235
3J063
5H605
【Fターム(参考)】
3D235AA02
3D235BB20
3D235CC12
3D235HH51
3J063AA04
3J063BA13
3J063BB48
3J063XG04
5H605AA08
5H605CC01
5H605DD07
5H605DD16
(57)【要約】
【課題】既存の製造ラインを用いて車体フレームにモータを組み付けると共に、モータを上下反転させた際にモータの内部のオイルが外部に漏れることを防ぐこと。
【解決手段】車体フレーム10にモータ1を組み付けるモータ組付方法は、車体フレーム10の上下を反転させる第1のステップと、モータ1の内部を密閉するブリーザ装置2aを設けたモータ1の上下を反転させてモータ1を車体フレーム10に上方より組み付ける第2のステップと、モータ1を組み付けた車体フレーム10の上下を反転させる第3のステップと、ブリーザ装置2aを、モータ1の内圧に応じて開閉するブリーザ装置2bに交換する第4のステップと、を有する。
【選択図】
図3C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームにモータを組み付ける方法であって、
前記車体フレームの上下を反転させる第1のステップと、
前記モータの内部を密閉する第1のブリーザ装置を設けた前記モータの上下を反転させて前記モータを前記車体フレームに上方より組み付ける第2のステップと、
前記モータを組み付けた前記車体フレームの上下を反転させる第3のステップと、
前記第1のブリーザ装置を、前記モータの内圧に応じて開閉する第2のブリーザ装置に交換する第4のステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記モータは、
車両の駆動源である、
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記モータは、
前記車両の前輪を駆動させる第1のモータと、前記車両の後輪を駆動させる第2のモータと、から構成される、
ことを特徴とする請求項2記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車体フレームにモータを組み付けるモータ組付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータのケースの内部と外部とを連通するブリーザ装置が知られている(例えば、特許文献1)。このようなブリーザ装置は、ケースの内部の圧力が上昇した際にケースの内部と外部とを連通することにより、ケース内の圧力を下げる。また、モータのケースの内部には、モータ及びベアリング等を冷却又は潤滑するためのオイルが封入されている。
【0003】
従来、このようなブリーザ装置を備えるモータを車体フレームに組み付ける組付方法としては、車体フレームの上方よりモータを組み付ける方法が知られている。しかしながら、従来の組付方法においては、モータ搭載予定場所の上方にサイドフレームが設けられている車体フレームに対しては、モータを組み付ける際に、モータがサイドフレームに干渉することにより、モータを組み付けることができないという課題を有する。
【0004】
これに対して、車体フレームの下方よりモータを組み付ける方法が考えられる。しかしながら、車体フレームに対して搭載品を上方より組み付けている製造ラインの仕様を変えるためには、コストの上昇を招く。そのため、車体フレームに対して搭載品を上方より組み付ける製造ラインを用いて車体フレームにモータを組み付けることが望ましい。
【0005】
これらの課題を解決するために、車体フレームを上下反転させると共にモータを上下反転させた上で、車体フレームに対して上方よりモータを組み付ける。これにより、サイドフレームに干渉することなく車体フレームに対して、モータを上方より組み付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のモータの組付方法においては、モータを上下反転させることにより、モータの内部のオイルがブリーザ装置から外部に漏れるという課題を有する。
【0008】
本開示の目的は、車体フレームに対して搭載品を上方より組み付ける製造ラインを用いて車体フレームにモータを組み付けることができると共に、モータを上下反転させた際にモータの内部のオイルが外部に漏れることを防ぐことができるモータの組付方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係るモータの組付方法は、車体フレームにモータを組み付ける方法であって、前記車体フレームの上下を反転させる第1のステップと、前記モータの内部を密閉する第1のブリーザ装置を設けた前記モータの上下を反転させて前記モータを前記車体フレームに上方より組み付ける第2のステップと、前記モータを組み付けた前記車体フレームの上下を反転させる第3のステップと、前記第1のブリーザ装置を、前記モータの内圧に応じて開閉する第2のブリーザ装置に交換する第4のステップと、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、車体フレームに対して搭載品を上方より組み付ける製造ラインを用いて車体フレームにモータを組み付けることができると共に、モータを上下反転させた際にモータの内部のオイルが外部に漏れることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態に係るモータの組付方法において車体フレームに組み付けられるモータの模式図
【
図2A】本発明の実施の形態に係るモータの組付方法において車体フレームに組み付けられるモータに取り付けられるブリーザ装置の模式図
【
図2B】本発明の実施の形態に係るモータの組付方法において車体フレームに組み付けられるモータに取り付けられる
図2Aと異なるブリーザ装置の模式図
【
図3A】本発明の実施の形態に係るモータの組付方法においてモータが組み付けられる車体フレームの正転状態を示す模式図
【
図3B】本発明の実施の形態に係るモータの組付方法においてモータが組み付けられる車体フレームの反転状態を示す模式図
【
図3C】本発明の実施の形態に係るモータの組付方法において反転状態の車体フレームに反転状態のモータを組み付ける様子を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下に説明する実施の形態は一例であり、本開示はこの実施の形態に限定されるものではない。なお、既に周知な事項の詳細な説明や、実質的に同一の構成に対する重複説明等は、適宜省略する場合がある。
【0013】
<モータの構成>
本発明の実施の形態に係るモータ1の組付方法で車体フレーム10に組み付けられるモータ1の構成について、
図1から
図3Cを参照しながら、詳細に説明する。
【0014】
モータ1は、図示しない車両の前輪20を駆動させる駆動源であるモータ1aと、車両の後輪21を駆動させる駆動源であるモータ1bと、から構成されている。モータ1は、ブリーザ装置2と、ケース3と、を有している。
【0015】
ブリーザ装置2は、地面からの雨水等の水分の侵入を防ぐためにモータ1のケース3の上方に設けられている。ブリーザ装置2は、モータ1に交換可能に設けられている。
【0016】
ケース3は、ケース3の内部の空気をブリーザ装置2を介して外部に排出する際の通路となる排出路31と、ブリーザ装置2が取り付けられる取付部32と、を備えている。取付部32には、ブリーザ装置2が図示しないネジ等によって着脱自在に設けられている。具体的には、ケース3には、ケース3の内部の圧力が上昇した際にケース3の内部と外部とを連通することにより、ケース3内の圧力を下げる
図2Bに示すブリーザ装置2b、又は開閉せずに常に閉じた状態でケース3の内部を密閉する
図2Aに示すブリーザ装置2aが着脱自在に設けられている。
【0017】
上記の構成を有するモータ1は、ケース3によって覆われる内部に、モータ1及び図示しないベアリング等を冷却又は潤滑するための図示しないオイルが封入されている。
【0018】
<モータの組付方法>
本発明の実施の形態に係るモータ1の組付方法について、
図2Aから
図3Cを参照しながら、詳細に説明する。
【0019】
まず、
図3Aに示す正転状態の車体フレーム10を、上下を反転させることにより
図3Bに示す反転状態にする(第1のステップ)。
【0020】
次に、モータ1a及びモータ1bの上下を反転させて
図3Bに示す反転状態の車体フレーム10に対して、
図3Cに示すようにモータ1a及びモータ1bを上方より組み付ける(第2のステップ)。この際に、モータ1a及びモータ1bには、モータ1a及びモータ1bの内部を密閉するブリーザ装置2aが取り付けられている。これにより、モータ1a及びモータ1bを反転状態にした場合に、モータ1a及びモータ1bの内部に封入されているオイルがブリーザ装置2aを介して外部に漏れることを防ぐことができる。
【0021】
次に、モータ1a及びモータ1bを組み付けた車体フレーム10の上下を反転させてモータ1a、モータ1b及び車体フレーム10を正転状態にする(第3のステップ)。
【0022】
そして、モータ1a及びモータ1bに取り付けられているブリーザ装置2aを、モータ1の内圧に応じて開閉するブリーザ装置2bに交換する(第4のステップ)。これにより、モータ1a及びモータ1bを使用することによってケース3の内部の圧力が上昇した際に、ケース3の内部と外部とをブリーザ装置2bを介して連通することにより、ケース3内の圧力を下げることができる。
【0023】
ブリーザ装置2aをブリーザ装置2bに交換することにより、車体フレーム10に対するモータ1a及びモータ1bの組み付けが完了する。
【0024】
このように、本実施の形態によれば、車体フレーム10の上下を反転させ、モータ1の内部を密閉するブリーザ装置2aを設けたモータ1の上下を反転させてモータ1を車体フレーム10に上方より組み付け、モータ1を組み付けた車体フレーム10の上下を反転させると共に、ブリーザ装置2aを、モータ1の内圧に応じて開閉するブリーザ装置2bに交換することにより、既存の製造ラインを用いて車体フレームにモータを組み付けることができると共に、モータを上下反転させた際にモータの内部のオイルが外部に漏れることを防ぐことができる。
【0025】
なお、本発明は、部材の種類、配置、個数等は前述の実施の形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【0026】
具体的には、上記の実施の形態において、モータ1を前輪20及び後輪21の駆動源として使用したが、これに限らず、モータ1を駆動源以外に使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本開示は、車体フレームにモータを組み付けるモータ組付方法に好適である。
【符号の説明】
【0028】
1 モータ
1a モータ
1b モータ
2 ブリーザ装置
2a ブリーザ装置
2b ブリーザ装置
10 車体フレーム
20 前輪
30 後輪
31 排出路
32 取付部