(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047818
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】食品用包装容器
(51)【国際特許分類】
B65D 85/00 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
B65D85/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153517
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】522380974
【氏名又は名称】金崎 信義
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】金崎 信義
【テーマコード(参考)】
3E068
【Fターム(参考)】
3E068AA21
3E068BB01
3E068BB02
3E068CC04
3E068CD01
3E068CD02
3E068CE02
3E068CE03
3E068CE04
3E068DD17
3E068DD40
3E068DE12
3E068EE20
3E068EE25
(57)【要約】
【課題】食品を華やかに装飾することが可能な食品用包装容器を提供する。
【解決手段】食品用包装容器10は、蓋を有する箱状に形成された容器本体12と、容器本体の底部に設けられ、天面13tにカットケーキCが配置される台部13と、台部13の周囲に設けられ、花Fから延びる茎Sが装着される装飾部14とを備えている。台部13と装飾部と14の高さH11,H21は、台部13の天面13tにカットケーキCが配置されると、カットケーキCの高さ位置(高さH1)が装飾部14に装着された花Fの高さ位置(高さH2)より高くなるように形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋を有する箱状に形成された容器本体と、
前記容器本体の底部に設けられ、天面に食品が配置される台部と、
前記台部の周囲に設けられ、植物の軸部が装着される装飾部とを備え、
前記台部と前記装飾部との高さは、前記台部の天面に前記食品が配置されると、前記食品の高さ位置が前記装飾部に装着された植物の高さ位置より高い食品用包装容器。
【請求項2】
前記台部は、保冷材が収納される空間が形成された請求項1記載の食品用包装容器。
【請求項3】
前記台部の周壁面に、通気口が形成された請求項2記載の食品用包装容器。
【請求項4】
前記台部は、複数の小台部に分割され、
前記装飾部は、前記複数の小台部同士の間にも設けられた請求項1から3のいずれかの項に記載の食品用包装容器。
【請求項5】
前記装飾部は、前記台部を囲う各辺が長さ方向の一方の端部が高く、他方の端部が低く形成された請求項1から3のいずれかの項に記載の食品用包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーキ、クッキーやチョコレートなどの食品を収納可能な食品用包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品用包装容器は、食品を収納するだけでなく、例えば、蓋を開けた際に、華やかさがあると、食品が豪華に見える。特に、自家用だけでなく贈答用であれば、見栄えのよい方が喜ばれる。このような華やかさを醸し出す食品用包装容器として、特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の菓子類包装箱は、上端開口を有する箱本体と菓子用ケーシングとを備え、箱本体内の底部に床部材を設置すると共に、この床部材の略中心部に支持穴を形成し、この支持孔に菓子用ケーシングを内嵌め固定し、ケーシングの周囲に生け花等用環状養生部材を外嵌めした状態で床部材の表面に固着し、この環状養生部材が略隠れる状態に生けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実願平2-403412号(実開平4-89785号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の菓子類包装箱では、菓子ケーシングに洋菓子等が収容されるため、洋菓子等を取り出すときには、生け花等用環状養生部材に刺した状態で立設された生花等を避けながら取り出さなければならない。また、蓋を開けたときに洋菓子等が見えず、生花等が菓子ケーシングの環状に見えるだけである。
そのため、特許文献1には、菓子販売店において、洋菓子等を生花等によって華やかさを倍増させるということが記載されているが、これでは、生花等が役目を果たしていない。
【0006】
そこで本発明は、食品を華やかに装飾することが可能な食品用包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の食品用包装容器は、蓋を有する箱状に形成された容器本体と、前記容器本体の底部に設けられ、天面に食品が配置される台部と、前記台部の周囲に設けられ、植物の軸部が装着される装飾部とを備え、前記台部と前記装飾部との高さは、前記台部の天面に前記食品が配置されると、前記食品の高さ位置が前記装飾部に装着された植物の高さ位置より高いことを特徴としたものである。
【0008】
本発明の食品用包装容器によれば、台部の天面に配置された食品の高さ位置が、装飾部に装着された植物の高さ位置より高くなるように形成されていることで、食品を華やかに見せながら、食品を目立たせることができる。
【0009】
前記台部は、保冷材が収納される空間が形成されたものとすることができる。台部に保冷材が収納されていることで、容器本体内を低温に保つことができるので、食品を長持ちさせることができ、台部の周囲の植物の状態を維持することができる。
【0010】
前記台部の周壁面に、通気口が形成されたものとすることができる。そうすることで、容器本体内の空気を効率よく冷却することができる。
【0011】
前記台部は、複数の小台部に分割され、前記装飾部は、前記複数の小台部同士の間にも設けられたものとすることができる。
また、前記装飾部は、前記台部を囲う各辺が長さ方向の一方の端部が高く、他方の端部が低く形成されたものとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、食品を華やかに見せながら、食品を目立たせることができるので、食品を華やかに装飾することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る食品用包装容器の構成を説明するための斜視図である。
【
図2】
図1に示す食品用包装容器の装飾部の例を説明するための図であり、(A)は装飾部がスポンジにより形成された図、(B)は装飾部がダンボール紙により形成された図、(C)は装飾部がへ字状片を備えた板材により形成された図、(D)は装飾部が切り欠き部を備えた板材により形成された図である。
【
図3】
図1に示す食品用包装容器の台部と装飾部との高さを説明するための図である。
【
図4】本発明の実施の形態2に係る食品用包装容器の台部および装飾部を説明するための斜視図である。
【
図5】本発明の実施の形態3に係る食品用包装容器の装飾部を説明するための斜視図であり、(A)は小装飾部の高い部分に他の小装飾部の低い部分が続く装飾部を示す図、(B)は小装飾部の高い部分と他の小装飾部の高い部分同士、小装飾部の低い部分と他の小装飾部の低い部分同士を突き合わせた装飾部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る食品用包装容器(以下、単に容器と称することがある。)を図面に基づいて説明する。本実施の形態1では、食品として洋菓子を収納する容器を例に説明する。
【0015】
図1に示す容器10は、洋菓子の一種であるケーキであり、ホールケーキを切り分けたカットケーキを収納するものである。容器10は、紙製とすることができる。紙製としては、カード紙としたり、コーティングしたダンボール紙としたりすることができる。
【0016】
容器10は、蓋11を有する箱状に形成された容器本体12と、容器本体12の底面12bに設けられ、天面13tに食品が配置される台部13と、台部13の周囲に設けられ、花Fから延びる茎Sが装着される装飾部14とを備えている。
【0017】
蓋11は、容器本体12の開口部12aに合わせた矩形状に形成され、一方の端部が容器本体12に繋がった蓋本体11aと、蓋本体11aの他方の端部に繋がったタップ11bとを備えている。
【0018】
容器本体12は、例えば、直方体状に形成されている。容器本体12は、台部13に食品を配置しても、蓋11を閉めることができる高さに形成されている。
【0019】
台部13は、例えば、容器本体12と別部材により形成することができる。台部13は、開口した直方体状の箱体の開口を下方に向けて開口縁部に形成されたタブ部を、容器本体12の底面12bに接着したり、嵌め込んだりすることにより、容器本体12に連結することができる。台部13の内部は空間とすることができ、図示しない保冷材を格納させることができる。
【0020】
装飾部14は、台部13の周囲を囲うように配置されている。装飾部14Aは、例えば、
図2(a)に示すように、平面視がロ字状に形成されたスポンジ(発泡性樹脂材)により形成することができる。装飾部14Aがスポンジにより形成されていることで、茎を突き刺して花を飾ることができる。
図2(B)に示すように、装飾部14Bは、フルート(中芯)の溝方向を高さ方向に向けたダンボール紙を複数枚接着して形成された板材14bをロ字状に形成したものとすることができる。そうすることで、上端面の断面から露出したフルート14fによる溝に、茎を突き刺して花を飾ることができる。
図2(C)に示すように、装飾部14Cは、板材からへ字状片14pの両端部を残して上下辺を切り離して隙間をつくったものとすることができる。そうすることで、へ字状片14pによる隙間に、茎を差し通して花を飾ることができる。板材は、紙製や樹脂製とすることができる。
更に、
図2(D)に示すように、装飾部14Dは、台部13の上端辺から容器本体12に底面に向かって傾斜する板材に、高さ方向に沿って切り欠き部14nが形成されたものとすることができる。そうすることで、切り欠き部14nに茎を差し通して花を飾ることができる。板材は、紙製や樹脂製とすることができる。切り欠き部は、装飾部14Dの下端まで延びているが、途中まで延びる貫通孔としてもよい。
【0021】
ここで、台部13と装飾部14との高さについて、
図3に基づいて説明する。
台部13と装飾部14との高さは、台部13の天面に食品が配置されると、食品の高さ位置が装飾部に装着された花の高さ位置より高くなるように形成されている。台部13の高さの詳細については、後述する。
容器本体12の底面12bからカットケーキC(食品・洋菓子)の頂部までの高さH1は、台部13の高さH11とカットケーキCの高さH12の合計である。
また、容器本体12の底面12bから花Fの頂部までの高さH2は、装飾部14の高さH21と、装飾部14に装着した状態の茎および花の高さH22の合計である。
【0022】
本実施の形態1では、カットケーキCの高さ位置が装飾部14に装着された花の高さ位置より高くなるように形成されている。従って、高さH1>高さH2となるように、台部13の高さH11が形成されている。
例えば、カットケーキCの高さH12が8cmで、花と茎との合計の長さが10cmで装飾部14に差し込むことで高さH22が8cmとなる場合、台部13の高さH11を9cm、装飾部14の高さH21を7cmとすることができる。
【0023】
このように、台部13の天面13tに配置されたカットケーキCの高さ位置が、装飾部14に装着された花の高さ位置より高くなるように形成されていることで、カットケーキCを華やかに見せながら、カットケーキCを目立たせることができるので、カットケーキCを華やかに装飾することが可能である。また、カットケーキCの上部が周囲の花より高い位置にあるため、花に邪魔されずにカットケーキCの上部を掴み取り出すことができる。
【0024】
また、台部13の内部空間に保冷材が格納されることで、カットケーキCの状態を維持することができるだけでなく、保冷材からの冷気が容器本体12内で充満することで、台部13の周囲の花を冷却することができるので、花および茎の呼吸が低下することで、花を長持ちさせることができる。
【0025】
台部13の周壁面13wに、通気口が形成されていれば、台部13内部の保冷材からの冷気を、効率よく、容器本体12内へ拡散させることができる。通気口は、例えば、周壁面13wに開設した複数の円形孔、上下方向または左右方向に沿って形成された1つまたは複数のスリットなどとすることができる。また、通気口を台部13の下端と容器本体12の底面12bとの間の隙間とすれば、保冷材による冷気が台部13内の下部に拡がり、台部13の下端の隙間から台部13の周囲に拡散させることができる。
【0026】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る食品用包装容器について、図面に基づいて説明する。
実施の形態2に係る食品用包装容器は、台部が複数の小台部に分割され、小台部の間の隙間にも装飾部が設けられたものである。
本実施の形態2では、
図4に示すように台部15は、矩形状の天面の対角線に沿って分割されることで、2つの小台部15pにより形成されている。
小台部15p内には、保冷材が収納可能である。
そして、小台部15p同士の間にも装飾部16が設けられている。
【0027】
このように、台部15が複数に分割されていることで、複数種類の異なる食品を天面に載せることができ、その間を植物により飾ることができるので、より華やかさを向上させることができる。
【0028】
なお、
図4では、2分割としているが、3分割以上としてもよい。また、装飾部16は、
図2(A)から同図(D)に示す装飾部14A~14Dとすることができる。
【0029】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る食品用包装容器について、図面に基づいて説明する。
実施の形態3に係る食品用包装容器は、台部を囲う各辺の装飾部が、長さ方向の一方の端部が高く、他方の端部が低く形成されたものである。
本実施の形態3では、
図5(A)および同図(B)に示す装飾部17は、台部13を囲う4つの小装飾部17pにより形成されている。この小装飾部17pは、側面17sが台形状に形成されている。
このように小装飾部17pが形成されていることで、長さ方向Fの一方の端部17t1が高く、他方の端部17t2が低く、その間が徐々に高さが低くなる傾斜面に形成されている。
【0030】
図5(A)では、装飾部17は、小装飾部17pの高い部分に他の小装飾部17pの低い部分が続くように形成されている。そうすることで、花の高さが、段々高くなり、低くなった後に、また高くなるので、装飾部17は、台部13を囲う花の階段のように見せることができ、花の装飾に変化をもたらすことができる。
【0031】
また、
図5(B)では、装飾部17は、小装飾部17pの高い部分と他の小装飾部17pの高い部分同士、小装飾部17pの低い部分と他の小装飾部17pの低い部分同士を突き合わせて形成されている。このように形成されていても、装飾部17は、台部13を囲う花の階段のように見せることができ、花の装飾に変化をもたらすことができる。
【0032】
更に、装飾部17の低い部分は、食品までの高さとの差が大きい。従って、大きな花や、背の高い植物などで、装飾することができる。
【0033】
なお、本実施の形態1,2では、容器本体12が直方体状に形成されていたが、円形状、三角形状、五角形状以上の多角形状や異形状とすることも可能である。また、容器本体12は紙製以外に樹脂製とすることも可能である。
台部13も同様に、直方体状に形成されていたが、高さが確保でき、内部に収納空間が確保できれば、様々な形状のものを、様々な材質のものによって形成することが可能である。
【0034】
また、本実施の形態1,2では、食品が洋菓子の一種であるカットケーキとしたが、袋に詰められたクッキー、ビスケット、チョコレートや袋詰めのキャンディなどとすることができる。食品が袋詰めであるときには、袋詰め状態の最も高い位置が食品の高さとなる。
【0035】
更に、本実施の形態1,2では、植物として茎の先端に花を備えたものを使用していたが、葉が特徴となる観葉植物としてもよい。また、軸部が茎の他に、弦や枝を有する植物でもよい。花は生花以外に造花でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、あらゆる食品の包装に用いることができるので食料品店の販売に好適であり、特に、華やかな花の装飾が似合う洋菓子の包装を行う洋菓子店に最適である。
【符号の説明】
【0037】
10 食品用包装用容器
11 蓋
11a 蓋本体
11b タップ
12 容器本体
12a 開口部
12b 底面
13 台部
13t 天面
13w 周壁面
14,14A~14C 装飾部
14b 板材
14f フルート
14p へ字状片
15 台部
15p 小台部
16,17 装飾部
17p 小装飾部
17s 側面
17t1,17t2 端部
C カットケーキ
F 花
S 茎
H1,H11,H12,H2,H21,H22 高さ