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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047822
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】点灯回路
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/50 20220101AFI20240401BHJP
   H05B 45/345 20200101ALI20240401BHJP
【FI】
H05B45/50
H05B45/345
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153522
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 優弥
(72)【発明者】
【氏名】大後 奨
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA02
3K273BA24
3K273BA30
3K273BA31
3K273BA34
3K273CA02
3K273EA06
3K273EA07
3K273EA22
3K273EA25
3K273EA40
3K273EA41
3K273FA07
3K273FA11
3K273FA12
3K273FA27
3K273FA38
3K273FA39
3K273GA06
3K273GA14
3K273GA29
(57)【要約】
【課題】電源電圧が印加された際に、発熱量を抑制することのできる点灯回路を提供する。
【解決手段】光源を含む車両用灯具に適用される点灯回路であって、電源ラインに電源電圧が印加されると、前記光源を駆動する駆動回路と、前記電源ラインに前記電源電圧が印加されると、前記電源ラインから接地に所定電流を流す定電流回路と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を含む車両用灯具に適用される点灯回路であって、
電源ラインに電源電圧が印加されると、前記光源を駆動する駆動回路と、
前記電源ラインに前記電源電圧が印加されると、前記電源ラインから接地に所定電流を流す定電流回路と、
を備える点灯回路。
【請求項2】
請求項1に記載の点灯回路であって、
前記電源電圧が所定レベルより高くなると、前記所定電流の生成が停止されるよう、前記定電流回路を制御する第1制御回路を備える、
点灯回路。
【請求項3】
請求項2に記載の点灯回路であって、
前記光源に異常があるか否かを判定する判定回路と、
前記光源に異常があると判定されると、前記所定電流の生成が停止されるよう、前記定電流回路を制御する第2制御回路を備える、
点灯回路。
【請求項4】
請求項3に記載の点灯回路であって、
前記定電流回路は、
前記電源電圧に基づいて、所定電圧を生成する電圧生成回路と、
前記所定電圧が制御電極に印加されるトランジスタと、
前記トランジスタの接地側の電極に接続された抵抗と、
を含み、
前記トランジスタは、前記抵抗を介して前記所定電流を接地に流す、
点灯回路。
【請求項5】
請求項4に記載の点灯回路であって、
前記第1制御回路は、
前記電源電圧が所定レベルより高いか否かを検出する検出回路と、
前記電源電圧が所定レベルより高くなると、前記トランジスタをオフするスイッチと、
を含む、
点灯回路。
【請求項6】
請求項4に記載の点灯回路であって、
前記第2制御回路は、
前記トランジスタの制御電極に接続されたスイッチと、
前記光源に異常があると、前記トランジスタがオフとなるよう前記スイッチを制御するスイッチ制御回路と、
を含む、
点灯回路。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載の点灯回路であって、
前記車両用灯具は、ターンシグナルランプであり、
前記電源ラインには、前記電源電圧が周期的に印加される、
点灯回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯回路に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用灯具として、発光素子を用いる光源に対して、例えば定電流回路を設けて、発光素子を定電流で駆動するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-80999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両に、車両側の電源から車両用灯具へ供給される電流(以下、入力電流)が所定値より小さいと、光源が断線していると検出する検出装置が設けられることがある。このような車両において、入力電流が小さいときに光源が断線していると誤って検出(誤検出)されないように、例えば、電源ラインと接地の間に電流調整用の抵抗を設けて、入力電流を増やすようにしたものも知られている。しかし、この場合、電源電圧が高くなるほど発熱量が増大してしまう。
【0005】
本発明の目的は、電源電圧が印加された際に、発熱量を抑制することのできる点灯回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成する主たる本発明は、光源を含む車両用灯具に適用される点灯回路であって、電源ラインに電源電圧が印加されると、前記光源を駆動する駆動回路と、前記電源ラインに前記電源電圧が印加されると、前記電源ラインから接地に所定電流を流す定電流回路と、を備える点灯回路である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電源電圧が印加された際に、発熱量を抑えることのできる点灯回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の車両用灯具1の構成を示す図である。
図2】電源ラインL1に電源電圧Vbatが印加されるタイミングを示す図である。
図3】ダミー電流回路40の構成例の説明図である。
図4】入力電流Iinと閾値との関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
以下では、各図面に示される同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明を省略することがある。
【0011】
本実施形態で、「接続」とは、特段の言及がない限り電気的に接続されている状態をいう。このため「接続」には、2つの部品が配線のみならず、例えば、抵抗を介して接続されている場合も含む。
【0012】
=====本実施形態=====
<<<車両用灯具1の構成>>>
図1は、本実施形態の車両用灯具1の構成を示す図である。なお、本実施形態の車両用灯具1は、ターンシグナルランプ(車両用方向指示灯)である。
【0013】
図1に示すように、車両用灯具1は、スイッチ4と、点灯回路10と、光源14とを備えている。
【0014】
スイッチ4は、車両用のバッテリー2の電源電圧Vbat(以下、単に電圧Vbatともいう)を、車両用灯具1の電源ラインL1に印加するための素子である。スイッチ4には、例えば、メカニカル方式の有接点リレーや、半導体素子を使用した無接点リレーなどが採用される。
【0015】
スイッチ4の一端には、バッテリー2の電圧Vbatが印加され、他端は、電源ラインL1に接続されている。このため、スイッチ4がオンすると、バッテリー2の電圧Vbatは、電源ラインL1に印加される。また、スイッチ4がオフすると、電源ラインL1に電圧Vbatの印加が停止される。この結果、例えば、電源ラインL1と接地との間の抵抗等(不図示)の影響により、電源ラインL1の電圧は、ゼロまで低下する。
【0016】
なお、本実施形態において、スイッチ4に接続されるライン(点灯回路10の内側、外側)を全て電源ラインL1とする。電源ラインL1は、点灯回路10の内部の回路に電圧Vbatを供給する配線である。また、車両用灯具1には、図示しない接地ラインも設けられている。車両用灯具1の各回路において接地されている箇所は、接地ラインに接続されていることを意味している。
【0017】
図2は、電源ラインL1に電圧Vbatが印加されるタイミングを示す図である。
【0018】
例えば、車両の運転手が、車両用灯具1(ターンシグナルランプ)を点灯させるべく、方向指示器(不図示)を操作すると、ターン信号STがハイレベル(以下、Hレベル)になる。そして、ターン信号STがHレベルとなっている間(図2のTtonの期間)、マイコン等の制御回路(不図示)が、スイッチ4のオンオフを制御する。
【0019】
スイッチ4のオンオフにより、周期Txで、Hレベルの期間T1と、ローレベル(以下、Lレベル)の期間T2と、を交互に繰り返す電圧(以下、ターン電圧Vtともいう)が生成される。
【0020】
期間T1では、スイッチ4がオンすることにより、電源ラインL1に電圧Vbatが印加される。なお、ここでは、ダイオード21(後述)の順方向電圧による電圧低下(例えば0.7Vの低下)は、便宜上、無視している。また、期間T2では、スイッチ4がオフすることにより、電源ラインL1に電源電圧Vbatが印加されない。このため、点灯回路10に電力が供給されなくなるので各回路の動作が停止する。このように、スイッチ4のオンオフ(すなわち期間T1と期間T2)が繰り返されることで、電源ラインL1には電源電圧Vbatが周期的に印加される。
【0021】
点灯回路10は、電源ラインL1に電圧Vbatが印加されることに基づいて、光源14を点灯する回路であり、光源14を点灯させるための複数の回路等が基板に取り付けられたモジュールである。なお、点灯回路10の構成については後述する。
【0022】
光源14は、直列接続された複数の発光素子D1~Dnを備えている。本実施形態の発光素子D1~Dnには、発光ダイオード(LED)が用いられている。ただし、発光素子D1~Dnは、LEDには限られず、例えば、レーザダイオード(LD)や有機EL素子などの他の半導体発光素子、あるいは、ハロゲンランプなどでもよい。
【0023】
発光素子D1のアノードは点灯回路10(より具体的には駆動回路31)に接続されており、発光素子Dnのカソードは接地されている。なお。本実施形態の光源14は、複数の発光素子D1~Dnで構成されているが、これには限られず一つの発光素子で構成されていてもよい。また、複数の発光素子が並列に接続されていてもよい。
【0024】
<<点灯回路10の構成>>
点灯回路10は、図1に示すように、保護回路20、点灯制御回路30、及びダミー電流回路40を備えている。
【0025】
<保護回路20>
保護回路20は、バッテリー2の逆接続や、サージ電圧から車両用灯具1(具体的には点灯回路10)を保護するための回路である。保護回路20は、ダイオード21とコンデンサ22を備えている。
【0026】
ダイオード21は、バッテリー2が逆接続された場合に、電源ラインL1等に電流(逆電流)が流れることを防止するための素子である。ダイオード21のアノードは、スイッチ4に接続され、カソードは、点灯制御回路30及びダミー電流回路40に接続されている。
【0027】
コンデンサ22は、サージ保護用の素子であり、ダイオード21のカソード(電源ラインL1)と、接地との間に設けられている。
【0028】
<点灯制御回路30>
点灯制御回路30は、光源14の点灯を制御する回路であり、駆動回路31、制御回路32、断線検出回路33、及び電源回路34を備えている。
【0029】
駆動回路31は、例えば、DC-DCコンバータであり、スイッチ4がオンし、電圧Vbatが電源ラインL1に印加されると、電源ラインL1から供給される電力に基づいて、駆動電流Ikを生成し、光源14の発光素子D1~Dnに供給する。
【0030】
制御回路32は、点灯回路10の各回路(例えば駆動回路31)の動作を制御する回路である。また、制御回路32は、断線検出回路33が光源14の断線(異常)を検出すると、駆動回路31の動作を停止させるとともに、ダミー電流回路40に出力する信号Sdのレベルを切り替える。なお、本実施形態において、制御回路32から出力される信号Sdは、正常時にはHレベルであり、異常時にはLレベルである。
【0031】
断線検出回路33は、駆動回路31の出力電圧に基づいて、光源14の発光素子D1~Dnに断線が有るか否か(すなわち、光源14に異常が有るか否か)を判定する回路であり、「判定回路」に相当する。断線検出回路33は、例えば、駆動回路31の出力電圧を分圧する分圧抵抗(不図示)と、分圧電圧を基準電圧と比較するコンパレータ(不図示)で構成することができる。
【0032】
ここで、発光素子D1~Dnの何れかが断線すると、光源14の内部抵抗が非常に高くなるため、駆動回路31の出力電圧(換言すると分圧電圧)も高くなる。よって、分圧電圧と基準電圧との比較により、断線(異常)の有無を判定することができる。なお、光源14の異常の有無の判定方法は上記したものには限られない。例えば、駆動電流Ikの大きさを検出し、その結果に基づいて異常の有無を判定してもよい。
【0033】
電源回路34は、電源ラインL1に印加される電圧Vbatに基づいて、点灯回路10の各回路を動作させるための電圧VCC(例えば、5V)を生成する回路である。
【0034】
<ダミー電流回路40>
本実施形態の車両用灯具1が組み込まれる車両には、車両用のバッテリー2から車両用灯具1へ供給される入力電流Iinが所定の閾値(後述)より小さいと、光源14が断線していると検出する検出装置(不図示)が設けられる。したがって、入力電流Iinが閾値よりも小さくなると、光源14が正常な状態で動作しているにも関わらず、発光素子D1~Dnが断線していると誤って検出(誤検出)されるおそれがある。
【0035】
そこで本実施形態では、上述したような誤検出を防止するため電流調整用のダミー電流回路40を設けている。
【0036】
ダミー電流回路40は、電源ラインL1に接続されており、電源ラインL1から接地に入力電流Iinを調整する調整電流(以下、ダミー電流Id)を流す。このダミー電流Idの設定により、入力電流Iinを閾値より大きくすることができ、車両側の検出装置による誤検出を防止できる。
【0037】
図3は、ダミー電流回路40の構成の一例を示す図である。
【0038】
ダミー電流回路40は、抵抗41,43,45,48、NPNトランジスタ42、ツェナーダイオード44、コンデンサ46、NMOSトランジスタ47、及び定電流回路50を備えている。
【0039】
<定電流回路50の構成>
まず、定電流回路50の構成について説明する。
【0040】
定電流回路50は、電源ラインL1に電圧Vbatが印加されると、電源ラインL1から接地に定電流I1a~I1cを流す回路である。定電流回路50は、抵抗51、ツェナーダイオード52、NPNトランジスタ53a~53c、抵抗54a~54c、及びコンデンサ55a~55cを備えている。
【0041】
ツェナーダイオード52は、NPNトランジスタ53a~53cのベース電圧を、所定電圧に固定(クランプ)させるための素子である。ツェナーダイオード52のカソードは、電流制限用の抵抗51を介して電源ラインL1に接続されており、アノードは接地されている。そして、ツェナーダイオード52は、電源ラインL1に電圧Vbatが印加されると、カソードと抵抗51との接続点(以下、ノードN1とする)に、所定電圧(例えば、6V)を生成する。なお、抵抗51及びツェナーダイオード52は、「電圧生成回路」に相当する。
【0042】
NPNトランジスタ53a~53cのベースは、ノードN1に接続されている。また、NPNトランジスタ53a~53cのコレクタは、電源ラインL1に接続されている。また、NPNトランジスタ53aのエミッタは、抵抗54aを介して接地され、NPNトランジスタ53bのエミッタは、抵抗54bを介して接地され、NPNトランジスタ53cのエミッタは、抵抗54cを介して接地されている。
【0043】
また、コンデンサ55aは、NPNトランジスタ53aのベースと接地の間に接続され、コンデンサ55bは、NPNトランジスタ53bのベースと接地の間に接続され、コンデンサ55cは、NPNトランジスタ53cのベースと接地の間に接続されている。
【0044】
このように、NPNトランジスタ53aと抵抗54aとコンデンサ55a、NPNトランジスタ53bと抵抗54bとコンデンサ55b、およびNPNトランジスタ53cと抵抗54cとコンデンサ55cの組み合わせは、同様に構成されており、互いに並列に接続されている。
【0045】
NPNトランジスタ53aと抵抗54aは、いわゆるエミッタフォロア回路を構成している。つまり、ノードN1の電圧がNPNトランジスタ53aのベースに印加されると、ノードN1の電圧からNPNトランジスタ53aのベース-エミッタ間電圧だけ低下した電圧が抵抗54aに印加される。したがって、NPNトランジスタ53aには、ノードN1の電圧と、抵抗54aの抵抗値で定まる一定電流(以下、定電流I1a)が流れる。
【0046】
NPNトランジスタ53b,53cについても同様であり、NPNトランジスタ53bには定電流I1bが流れ、NPNトランジスタ53cには定電流I1cが流れる。なお、本実形態では、抵抗54a~54cの抵抗値等の条件は同じであるので、定電流I1a~I1cは等しい。よって、定電流I1aの3倍(定電流I1a~I1cの合計)の電流が「所定電流」に相当し、電源ラインL1から接地へと流れる。
【0047】
本実施形態において、ダミー電流Idと、定電流I1a~I1cの合計とは、厳密には異なる。具体的には、後述するように、電圧Vbatの電圧が過大の場合、定電流I1a~I1cはゼロになるが、抵抗43、ツェナーダイオード44、抵抗45等に電流が流れるため、ダミー電流Idはゼロにはならない。ただし、上述した抵抗43等に流れる電流は小さいため、以降、本実施形態において、便宜上、定電流I1a~I1cの合計をダミー電流Idとして説明することがある。
【0048】
<定電流回路50の動作>
ここでは、車両用灯具1が正常であるときの定電流回路50の動作について説明する。この場合、電源ラインL1に印加される電圧Vbatは通常の許容範囲内(例えば9~16V)であり、制御回路32から出力される信号SdはHレベルである。このときダミー電流回路40のNPNトランジスタ42はオン、NMOSトランジスタ47はオフとなっている。
【0049】
電源ラインL1に電圧Vbatが印加されると、抵抗51とツェナーダイオード52は、ノードN1の電圧を所定電圧(例えば6V)に固定(クランプ)する。換言すると、抵抗51とツェナーダイオード52は、ノードN1に6Vの電圧を生成する。
【0050】
NPNトランジスタ53a及び抵抗54aは、前述したようにエミッタフォロア回路を構成している。NPNトランジスタ53aには、ベース電圧(ノードN1の電圧:ここでは6V)とベース-エミッタ間電圧(例えば、0.7V)との差分(5.3V)と、抵抗54aの抵抗値で定まる定電流I1aが流れる。
【0051】
NPNトランジスタ53b、及びNPNトランジスタ53cについても同様に定電流I1b,I1cが流れる。そして、NPNトランジスタ53a~53cに流れる定電流I1a~I1aに基づいてダミー電流Idが流れる。このように、同じ回路を複数(ここでは3つ)並列に設けることにより、1つの場合よりもダミー電流Idを大きくできる。なお、必ずしも同じ回路を並列に複数設ける必要はなく、1つでもよい。
【0052】
また、定電流I1a~I1cを生成する構成は、本実施形態のものには限られない。例えば、オペアンプを用いて定電流I1a~I1cを生成するようにしてもよい。ただし、本実施形態のようにすると、簡易な構成で定電流I1a~I1cを生成することができる。
【0053】
次に、定電流回路50以外の回路について説明する。
【0054】
抵抗43、ツェナーダイオード44、抵抗45、及びNMOSトランジスタ47は、電源ラインL1に印加される電圧Vbatが所定レベルより高くなると、定電流I1a~I1cの生成が停止されるよう、定電流回路50を制御する回路を構成している。この回路は「第1制御回路」に相当する。
【0055】
ツェナーダイオード44のカソードは、抵抗43を介して電源ラインL1に接続されており、アノードは、抵抗45を介して接地されている。ツェナーダイオード44は、耐圧が高いダイオードであり、電源ラインL1の電圧(電圧Vbat)が所定レベル(例えば20V)よりも高くなると導通する。これにより、ツェナーダイオード44と抵抗45の接続点(以下、ノードN2とする)の電圧が、NMOSトランジスタ47のしきい値よりも高くなる。これにより、NMOSトランジスタ47がオンするため、NPNトランジスタ53a~53cがオフする。よって、定電流I1a~I1cがゼロになる。なお、抵抗43、ツェナーダイオード44、抵抗45は、電圧Vbatが所定レベルよりも高いか否かを検出する回路を構成しており、「検出回路」に相当する。
【0056】
NMOSトランジスタ47は、定電流回路50のNPNトランジスタ53a~53cのオンオフする機能を有しており、「スイッチ」に相当する。NMOSトランジスタ47のゲートは、ノードN2に接続され、ソースは、ノードN1(NPNトランジスタ53a~53cのベース)に接続され、ドレインは、接地されている。
【0057】
コンデンサ46は、ノードN2の電圧を安定化させるための素子であり、NMOSトランジスタ47のゲートと接地の間に設けられている。
【0058】
また、抵抗41、NPNトランジスタ42、及びNMOSトランジスタ47は、光源14に異常がある場合(具体的には、断線検出回路33において発光素子D1~Dnの断線が検出された場合)、定電流I1a~I1cの生成が停止されるよう、定電流回路50を制御する回路を構成している。この回路は「第2制御回路」に相当する。
【0059】
NPNトランジスタ42のベースには、点灯制御回路30の制御回路32から出力される信号Sdが印加される。また、NPNトランジスタ42のコレクタは、抵抗41を介して電圧VCCが印加されるとともに、抵抗48及びノードN2を介してNMOSトランジスタ47のゲートに接続されている。また、NPNトランジスタ42のエミッタは接地されている。なお、抵抗41及びNPNトランジスタ42は、光源14に異常があると、NPNトランジスタ53a~53cがオフとなるように、NMOSトランジスタ47を制御する回路を構成しており、「スイッチ制御回路」に相当する。
【0060】
具体的には、通常(正常時)には信号SdはHレベルであり、信号SdによりNPNトランジスタ42はオンする。NPNトランジスタ42がオンすることにより、ノードN2の電圧がNMOSトランジスタ47のしきい値よりも低くなり、NMOSトランジスタ47はオフする。異常時には信号SdがLレベルになり、NPNトランジスタ42がオフする。これにより、電圧VCCが抵抗41を介してノードN2に印加されるので、ノードN2の電圧がNMOSトランジスタ47のしきい値よりも高くなり、NMOSトランジスタ47がオンし、NPNトランジスタ53a~53cがオフする。よって、定電流I1a~I1cがゼロになる。
【0061】
<<<点灯回路10の動作について>>>
前述した図2において、スイッチ4がオンする期間(期間T1)では、電源ラインL1に電圧Vbatが印加される。点灯制御回路30の駆動回路31は、電圧Vbatに基づき、駆動電流Ikを生成して光源14に供給する。電源回路34は、電圧Vbatに基づいて例えば5Vの電圧VCCを生成する。また、ダミー電流回路40(より具体的には定電流回路50)は、電源ラインL1から接地に定電流I1a~I1cを流す。
【0062】
この際、光源14の発光素子D1~Dnが点灯しない場合、断線検出回路33は、異常であることを検出し、制御回路32は、断線検出回路33の検出結果に基づき、駆動回路31の動作を停止させるとともに、ダミー電流回路40への信号SdをLレベルにする。
【0063】
また、スイッチ4がオフする期間(期間T2)では、電源ラインL1に電源電圧Vbatが印加されない。これにより、点灯回路10の各回路の動作が停止し、光源14は消灯する。
【0064】
<<ダミー電流回路40の動作について>>
<電圧Vbatの電圧が過大の場合>
車両用のバッテリー2の電圧Vbatは、常に一定ではなく、例えば9V~16Vの間で変動する。また、電圧Vbatが動作保証範囲外の過電圧となるおそれもある。
【0065】
本実施形態のダミー電流回路40では、電圧Vbatが過大(例えば20V)になると、ツェナーダイオード44が導通し、ノードN2の電圧が上がり、NMOSトランジスタ47がオンする。これにより、定電流回路50のNPNトランジスタ53a~53cがオフになり、定電流I1a~I1cが生成されなくなる。
【0066】
<光源14の異常が検出された場合>
点灯制御回路30の断線検出回路33が、光源14の発光素子D1~Dnに断線が発生したことを検出(異常と判定)すると、制御回路32は、駆動回路31の動作を停止させるとともに、信号SdをHレベルからLレベルにする。
【0067】
信号SdがLレベルになると、NPNトランジスタ42がオフする。これにより、電圧VCCが抵抗41を介して、NMOSトランジスタ47のゲートに印加され、NMOSトランジスタ47がオンする。よって定電流回路50のNPNトランジスタ53a~53cがオフになり、定電流I1a~I1cが生成されなくなる。
【0068】
<ダミー電流Idについて>
図4は、入力電流Iinと閾値との関係を説明するための図である。図4の横軸は電圧Vbatを示し、縦軸は入力電流Iinを示している。なお、横軸(電圧Vbat)の範囲は、バッテリー2の動作保証範囲(例えば9~16V)である。また、図4には、車両側の検出装置で異常の有無を判定する際の閾値(電流値)を破線で示している。さらに、図4には、点灯制御回路30に供給される電流Icと、ダミー電流Idも示しており、電流Icとダミー電流Idとの和が入力電流Iinとなる。図4において、ダミー電流Idが無い場合(ゼロの場合)の入力電流Iin(この場合、電流Ic)は、閾値よりも小さい。このため、車両側の検出装置で、異常であると誤検出されるおそれがある。本実施形態では、ダミー電流Idを流すようにすることで、入力電流Iinを閾値よりも大きくすることができ、車両側の検出装置での誤検出を防止することができる。
【0069】
なお、図4に示すように、本実施形態のダミー電流Idは、電圧Vbatの大きさに関わらず一定である。
【0070】
ここで、仮に、電源ラインL1と接地との間に抵抗(例えば複数の抵抗で構成された抵抗回路)を設けて、抵抗を介して電源ラインL1から接地に電流を流すようにした場合、電圧Vbatが大きくなるほど電流値も大きくなる。これにより、発熱量が増大するため、広い放熱面積が必要となり、基板面積が大型化するおそれがある。
【0071】
これに対し、本実施形態では、ダミー電流回路40(定電流回路50)は、電圧Vbatの大きさに関わらずダミー電流Idが一定であるので、発熱量を抑制することができる。
【0072】
なお、図4では、ダミー電流Idは閾値よりも小さく設定されているが、閾値よりも大きくてもよい。この場合、入力電流Iinは、電流Icの大きさに関わらずに、閾値よりも大きくなる。また、図4では、便宜上、電流Icも一定としているが、電流Icは、電圧Vbatに応じて変化してもよい。この場合、入力電流Iin(=Ic+Id)も電圧Vbatに応じて変化することになる。
【0073】
===まとめ===
以上、本実施形態の点灯回路10について説明した。点灯回路10は、電源ラインL1に電圧Vbatが印加されると、光源14を駆動する駆動回路31と、電源ラインL1に電圧Vbatが印加されると、電源ラインL1から接地に定電流I1a~I1cを流す定電流回路50と、を備えている。これにより、電圧Vbatが印加された際に、発熱量を抑えることができる。
【0074】
また、点灯回路10は、電圧Vbatが所定レベルより高くなると、ダミー電流Idの生成が停止されるよう、定電流回路50を制御する制御回路(第1制御回路)を備える。これにより、電圧Vbatが過電圧となるときに、定電流I1a~I1cを生成しない(電流調整を行わない)ようにできる。
【0075】
また、点灯回路10は、光源14に異常があるか否かを判定する断線検出回路33と、光源14に異常があると判定されると、定電流I1a~I1cの生成が停止されるよう、ダミー電流回路40を制御する制御回路(第2制御回路)を備える。これにより、光源14に断線などの異常が発生したときに、定電流I1a~I1cを生成しない(電流調整を行わない)ようにできる。
【0076】
また、定電流回路50は、電圧Vbatに基づいて、所定電圧(6V)を生成する抵抗51およびツェナーダイオード52と、所定電圧がベース電極に印加されるNPNトランジスタ53a~53cと、NPNトランジスタ53a~53cの各エミッタ電極に接続された抵抗54a~54cと、を含み、NPNトランジスタ53a~53cは、それぞれ、抵抗54a~54cを介して定電流I1a~I1cを接地に流す。これにより、オペアンプなどを用いて定電流を生成する場合と比べて、簡易な構成で定電流を生成することができる。
【0077】
また、第1制御回路は、電圧Vbatが所定レベルより高いか否かを検出する検出回路(抵抗43,45、ツェナーダイオード44)と、電圧Vbatが所定レベルより高くなると、NPNトランジスタ53a~53cをオフするNMOSトランジスタ47と、を含む。これにより、電圧Vbatが所定レベルより高くなると、定電流I1a~I1cの生成を停止することができる。
【0078】
また、第2制御回路は、NPNトランジスタ53a~53cのベース電極に接続されたNMOSトランジスタ47と、光源14に断線などの異常があると、NMOSトランジスタ47がオフとなるよう制御する抵抗41及びNPNトランジスタ42を含む。これにより、光源14に異常がある場合に、NPNトランジスタ53a~53cをオフにでき、定電流I1a~I1cの生成を停止することができる。
【0079】
また、車両用灯具1は、ターンシグナルランプであり、電源ラインL1には、電圧Vbatが周期的に印加される。このような車両用灯具1に点灯回路10を適用すると効果的である。特に、複数の発光素子を順次点灯させるシーケンシャル点灯を行う場合により効果的である。
【0080】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【0081】
前述の実施形態では、車両用灯具1は、ターンシグナルランプであったが、ターンシグナルランプには限られず、他のランプであってもよい。
【0082】
前述の実施形態では複数の発光素子D1~Dnが同時に点灯するように構成されていたが、複数の発光素子D1~Dnが、シーケンシャル方式で順次点灯するように構成されていてもよい。特に、この場合、点灯させる発光素子の数が少ないときには入力電流Iinが小さくなる。よって、この場合、ダミー電流回路40を設けてダミー電流Idを流すことで、入力電流Iinを大きく(閾値よりも大きく)できるので、誤検出を防止するのにより効果的である。
【符号の説明】
【0083】
1 車両用灯具(ターンシグナルランプ)
2 バッテリー
4 スイッチ
10 点灯回路
14 光源
20 保護回路
21 ダイオード
22 コンデンサ
30 点灯制御回路
31 駆動回路
32 制御回路
33 断線検出回路
34 電源回路
40 ダミー電流回路
41,43,45,48 抵抗
42 NPNトランジスタ
44 ツェナーダイオード
46 コンデンサ
47 NMOSトランジスタ
50 定電流回路
51 抵抗
52 ツェナーダイオード
53a~53c NPNトランジスタ
54a~54c 抵抗
55a~55c コンデンサ
L1 電源ライン
Iin 入力電流
Id ダミー電流
Ik 駆動電流
I1a~I1c 定電流
Vbat 電源電圧
図1
図2
図3
図4