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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047830
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】現像装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
G03G15/08 348A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153542
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安西 尭
【テーマコード(参考)】
2H077
【Fターム(参考)】
2H077AA31
2H077AB02
2H077AB14
2H077AB15
2H077AB18
2H077AC02
2H077AC16
2H077AD06
2H077AD14
2H077AD18
2H077AD24
2H077AE06
2H077BA08
2H077BA09
2H077CA12
2H077EA03
2H077GA04
(57)【要約】
【課題】現像剤を格納する格納部内から崩し部材を引き抜く孔に閉じ部材を引き抜き方向に移動可能に配置する構成と比べて、崩し部材の引き抜き時に当該孔から閉じ部材が抜け出るのを抑制可能な現像装置を得る。
【解決手段】現像装置は、現像剤を格納する格納部と、前記格納部が有する前記現像剤の出口を封止する封止部材と、前記格納部内に引き抜き可能に配置され、前記格納部内からの引き抜き動作により前記現像剤を崩す崩し部材と、前記格納部における前記崩し部材の引き抜き孔に配置され、前記孔から引き抜かれる前記崩し部材に接して前記崩し部材を清掃し、前記崩し部材が引き抜かれた前記孔を閉じる閉じ部材と、前記閉じ部材に設けられた引掛り部と、前記孔に設けられ、前記引掛り部が引っ掛かることによって前記閉じ部材の前記崩し部材の引き抜き方向の移動を制限する制限部と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を格納する格納部と、
前記格納部が有する前記現像剤の出口を封止する封止部材と、
前記格納部内に引き抜き可能に配置され、前記格納部内からの引き抜き動作により前記現像剤を崩す崩し部材と、
前記格納部における前記崩し部材の引き抜き孔に配置され、前記孔から引き抜かれる前記崩し部材に接して前記崩し部材を清掃し、前記崩し部材が引き抜かれた前記孔を閉じる閉じ部材と、
前記閉じ部材に設けられた引掛り部と、
前記孔に設けられ、前記引掛り部が引っ掛かることによって前記閉じ部材の前記崩し部材の引き抜き方向の移動を制限する制限部と、
を備える現像装置。
【請求項2】
前記制限部は、前記孔の内面に設けられた突部である、請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記閉じ部材は、互いに対向して配置され、前記崩し部材を両側から挟む低弾性部と、前記低弾性部よりも高弾性で該低弾性部の前記崩し部材と反対側の面に固着され、前記低弾性部と反対側の板面が前記孔の内面に接する板状の高弾性部と、を有し、
前記高弾性部は、前記突部が挿入可能な開口を有し、
前記引掛り部は、前記開口である、請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記開口は、前記高弾性部を貫通する貫通孔であり、
前記貫通孔に挿入された前記突部によって前記低弾性部が前記崩し部材へ向けて押圧されている、請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記孔を前記引き抜き方向と直交する断面で見て、前記突部の突出方向上に前記崩し部材が配置されている、請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
前記突部は、突出方向から見て、前記引き抜き方向と直交する方向の長さが前記引き抜き方向の長さよりも長い、請求項5に記載の現像装置。
【請求項7】
互いに対向する前記低弾性部を挟んで両側に配置された前記高弾性部にそれぞれ前記開口が設けられている、請求項3に記載の現像装置。
【請求項8】
前記孔の内面に前記突部が一つ設けられている、請求項7に記載の現像装置。
【請求項9】
前記制限部は、前記孔の内面に設けられた凹部である、請求項1に記載の現像装置。
【請求項10】
前記閉じ部材は、互いに対向して配置され、前記崩し部材を両側から挟む低弾性部と、前記低弾性部よりも高弾性で該低弾性部の前記崩し部材と反対側の面に固着され、前記低弾性部と反対側の板面が前記孔の内面に接する板状の高弾性部と、を有し、
前記高弾性部は、前記凹部に挿入可能な突部を有し、
前記引掛り部は、前記突部である、請求項9に記載の現像装置。
【請求項11】
潜像を保持する保持体と、
前記潜像を現像する請求項1~10のいずれか1項に記載の現像装置と、
を備える画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、現像装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像が記録される媒体の搬送方向に交差する媒体幅方向に沿って延びると共に、潜像が表面に形成される像保持体に対向して配置され、表面に現像剤を保持して回転する現像剤保持体と、前記現像剤保持体が収容される保持体収容部を有し、内部に現像剤が収容される現像容器と、前記現像容器に流入口を介して接続され、前記現像容器に流入される現像剤が収容される現像剤収容部と、前記現像剤収容部の内部に配置され、且つ、前記現像剤収容部内の空間を仕切る仕切部材と、前記現像剤収容部内に配置され且つ前記現像剤収容部を仕切った前記仕切部の一側面および他側面に沿って配置された崩し部と、前記崩し部に接続され且つ前記現像剤収容部に形成された崩し引出口から前記現像剤収容部の外部に延びる引出部と、を有し、前記引き出し部が引き出される際に、前記崩し部が前記仕切部の一側面および他側面に交差する方向に移動して前記現像剤収容部内の現像剤を崩す崩し部材と、を備えたことを特徴とする現像装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、現像剤を収容する現像剤容器において、該現像剤容器は、前記容器本体の底部開口周縁面の剥離可能に貼着され、該開口部分を封止および開放可能にする
可撓性シール部材と、該シール部材の剥離方向と直交する方向に摺動して前記容器本体の底部を閉じる引き蓋と、前記引き蓋が前記容器本体の底部を閉止状態にしているときは前記可撓性シール部材が前記開口部分を開放できないようにし、かつ前記引き蓋が前記可撓性シール部材の剥離方向と直交する方向に摺動することによって前記可撓性シール部材が前記開口部分を開放できるように前記引き蓋に設けられた規制部材とを有することを特
徴とする現像剤容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-107644号公報
【特許文献2】特公平7-120086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、現像剤を格納する格納部内から崩し部材を引き抜く孔に閉じ部材を引き抜き方向に移動可能に配置する構成と比べて、崩し部材の引き抜き時に当該孔から閉じ部材が抜け出るのを抑制可能な現像装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様の現像装置は、現像剤を格納する格納部と、前記格納部が有する前記現像剤の出口を封止する封止部材と、前記格納部内に引き抜き可能に配置され、前記格納部内からの引き抜き動作により前記現像剤を崩す崩し部材と、前記格納部における前記崩し部材の引き抜き孔に配置され、前記孔から引き抜かれる前記崩し部材に接して前記崩し部材を清掃し、前記崩し部材が引き抜かれた前記孔を閉じる閉じ部材と、前記閉じ部材に設けられた引掛り部と、前記孔に設けられ、前記引掛り部が引っ掛かることによって前記閉じ部材の前記崩し部材の引き抜き方向の移動を制限する制限部と、を備える。
【0007】
本開示の第2態様の現像装置は、第1態様の現像装置において、前記制限部は、前記孔の内面に設けられた突部である。
【0008】
本開示の第3態様の現像装置は、第2態様の現像装置において、前記閉じ部材は、互いに対向して配置され、前記崩し部材を両側から挟む低弾性部と、前記低弾性部よりも高弾性で該低弾性部の前記崩し部材と反対側の面に固着され、前記低弾性部と反対側の板面が前記孔の内面に接する板状の高弾性部と、を有し、前記高弾性部は、前記突部が挿入可能な開口を有し、前記引掛り部は、前記開口である。
【0009】
本開示の第4態様の現像装置は、第3態様の現像装置において、前記開口は、前記高弾性部を貫通する貫通孔であり、前記貫通孔に挿入された前記突部によって前記低弾性部が前記崩し部材へ向けて押圧されている。
【0010】
本開示の第5態様の現像装置では、第4態様の現像装置において、前記孔を前記引き抜き方向と直交する断面で見て、前記突部の突出方向上に前記崩し部材が配置されている。
【0011】
本開示の第6態様の現像装置は、第5態様の現像装置において、前記突部は、突出方向から見て、前記引き抜き方向と直交する方向の長さが前記引き抜き方向の長さよりも長い。
【0012】
本開示の第7態様の現像装置は、第3態様の現像装置において、互いに対向する前記低弾性部を挟んで両側に配置された前記高弾性部にそれぞれ前記開口が設けられている。
【0013】
本開示の第8態様の現像装置は、第7態様の現像装置において、前記孔の内面に前記突部が一つ設けられている。
【0014】
本開示の第9態様の現像装置は、第1態様の現像装置において、前記制限部は、前記孔の内面に設けられた凹部である。
【0015】
本開示の第10態様の現像装置では、第9態様の現像装置において、前記閉じ部材は、互いに対向して配置され、前記崩し部材を両側から挟む低弾性部と、前記低弾性部よりも高弾性で該低弾性部の前記崩し部材と反対側の面に固着され、前記低弾性部と反対側の板面が前記孔の内面に接する板状の高弾性部と、を有し、前記高弾性部は、前記凹部に挿入可能な突部を有し、前記引掛り部は、前記突部である。
【0016】
本開示の第11態様の画像形成装置は、潜像を保持する保持体と、前記潜像を現像する第1態様~第10態様のいずれか一態様の現像装置と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
第1態様の現像装置では、現像剤を格納する格納部内から崩し部材を引き抜く孔に閉じ部材を引き抜き方向に移動可能に配置する構成と比べて、崩し部材の引き抜き時に孔から閉じ部材が抜け出るのを抑制できる。
【0018】
第2態様の現像装置では、小径部を有する孔において該小径部の崩し部材の引き抜き方向と反対側の部分を制限部とする構成と比べて、閉じ部材が孔を閉じやすい。
【0019】
第3態様の現像装置では、低弾性部が孔の内面に接する構成と比べて、閉じ部材を孔内に配置する作業がしやすい。
【0020】
第4態様の現像装置では、貫通孔に挿入された突部が低弾性部に接しない構成と比べて、閉じ部材による崩し部材の清掃性が向上する。
【0021】
第5態様の現像装置では、孔を崩し部材の引き抜き方向と直交する断面で見て、突部の突出方向上から崩し部材がずれて配置されている構成と比べて、閉じ部材による崩し部材の清掃性が向上する。
【0022】
第6態様の現像装置では、突部を突出方向から見て、引き抜き方向と直交する方向の長さが引き抜き方向の長さと同じ又は短い構成と比べて、崩し部材が引き抜きやすく、かつ、閉じ部材による崩し部材の清掃性も向上する。
【0023】
第7態様の現像装置では、互いに対向する低弾性部を挟んで両側に配置された高弾性部の一方のみに開口が設けられる構成と比べて、閉じ部材を上下逆にしても開口に突部を挿入できる。
【0024】
第8態様の現像装置では、孔の内面に複数の突部を設ける構成と比べて、格納部の製造が容易になる。
【0025】
第9態様の現像装置では、小径部を有する孔において該小径部の崩し部材の引き抜き方向と反対側の部分を制限部とする構成と比べて、閉じ部材が孔を閉じやすい。
【0026】
第10態様の現像装置では、低弾性部が孔の内面に接する構成と比べて、閉じ部材を孔内に配置する作業がしやすい。
【0027】
第11態様の画像形成装置では、現像剤を格納する格納部内から崩し部材を引き抜く孔に閉じ部材を引き抜き方向に移動可能に配置する構成と比べて、閉じ部材の抜け出しにともなう装置汚れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本実施形態に係る画像形成装置を示す概略図である。
図2】本実施形態に係る現像装置を示す概略図である。
図3図2に示される現像装置において、マイラで格納容器に収容された現像剤を崩して収容部へ供給した状態を示す概略図である。
図4】格納容器からマイラを引き抜いた状態を示す概略図である。
図5図2に示される格納容器を前後方向に切断した側断面図である。
図6図5の矢印6で指し示す部分の拡大図である。
図7図6で示される格納容器の部位を矢印7で指し示す方向から見た正面図である。
図8図5に示される格納容器から封止部材を引き抜いた後、マイラを引き出している状態を示す側断面図である。
図9図8の矢印9で指し示す部分の拡大図である。
図10図8に示される格納容器からマイラを引き抜いた状態を示す側断面図である。
図11図10の矢印11で指し示す部分の拡大図である。
図12】シールキャップの側面図である。
図13図12のシールキャップを矢印13の方向から見た正面図である。
図14図12のシールキャップを矢印14の方向から見た正面図である。
図15】本実施形態に係る現像装置の変形例を示す断面図(図6に対応する断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本開示に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0030】
(画像形成装置10)
本実施形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す概略図である。
【0031】
なお、図中に示す矢印UPは、装置の上方(具体的には鉛直上方)を示し、矢印DOは、装置の下方(具体的には鉛直下方)を示す。また、図中に示す矢印LHは、装置の左方を示し、矢印RHは、装置の右方を示す。また、図中に示す矢印FRは、装置の前方を示し、矢印RRは、装置の後方を示す。これらの方向は、説明の便宜上定めた方向であるから、装置構成がこれらの方向に限定されるものではない。なお、装置の各方向において、「装置」の語を省略して示す場合がある。すなわち、例えば、「装置の上方」を、単に「上方」と示す場合がある。
【0032】
また、下記の説明では、「上下方向」を、「上方及び下方の両方」又は「上方及び下方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。「左右方向」を、「右方及び左方の両方」又は「右方及び左方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。なお、「左右方向」は、側方、横方向、及び水平方向ともいえる。「前後方向」を、「前方及び後方の両方」又は「前方及び後方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。なお、「前後方向」は、側方、横方向、及び水平方向ともいえる。また、上下方向、左右方向、前後方向は、互いに交差する方向(具体的には、直交する方向)である。
【0033】
また、図中の「○」の中に「×」が記載された記号は、紙面の手前から奥へ向かう矢印を意味する。また、図中の「○」の中に「・」が記載された記号は、紙面の奥から手前へ向かう矢印を意味する。
【0034】
図1に示される画像形成装置10は、画像を形成する装置である。具体的には、画像形成装置10は、図1に示されるように、媒体収容部12と、搬送部13と、画像形成部14と、を備えている。以下、画像形成装置10の各部について説明する。
【0035】
(媒体収容部12及び搬送部13)
媒体収容部12は、画像形成装置10において、記録媒体Pを収容する部分である。この媒体収容部12に収容された記録媒体Pが、画像形成部14へ供給される。媒体収容部12に収容される記録媒体Pは、画像形成部14によって画像が形成される対象である。記録媒体Pとしては、例えば、用紙、及びフィルムなどがある。フィルムとしては、例えば、樹脂製フィルム、金属製フィルムなどがある。なお、記録媒体Pとしては、前述のものに限られず、種々の記録媒体を用いることが可能である。
【0036】
図2に示される搬送部13は、媒体収容部12に収容された記録媒体Pを排出部(図示省略)へ搬送する。具体的には、搬送部13は、図2に示されるように、複数の搬送ロール等の搬送部材13Aを有しており、搬送部材13Aにより記録媒体Pを搬送する。なお、搬送部材13Aとしては、例えば、搬送ベルト及び搬送ドラム等の搬送部材であってもよく、種々の搬送部材を用いることが可能である。
【0037】
(画像形成部14)
図2に示される画像形成部14は、搬送部13(具体的には、搬送部材13A)によって搬送される記録媒体Pに画像を形成する。具体的には、画像形成部14では、電子写真方式によりトナー画像(画像の一例)を記録媒体Pに形成する。さらに具体的には、画像形成部14は、図1に示されるように、トナー像形成部20Y、20M、20C、20K(以下、20Y~20Kという)と、転写体24と、定着部26と、を有している。
【0038】
トナー像形成部20Y~20Kの各々は、感光体32を有している。なお、トナー像形成部20Y~20Kは、同様に構成されているので、図1において、トナー像形成部20Y、20M、20Cにおける各部の符号を省略している。
【0039】
感光体32は、保持体の一例であり、潜像を保持する構造体である。具体的には、感光体32は、一方向(例えば、図1における反時計回り方向)へ回転する。感光体32の周囲には、感光体32の回転方向上流側から順に、帯電装置34と、露光装置36と、現像装置38と、が設けられている。
【0040】
トナー像形成部20Y~20Kの各々では、帯電装置34が感光体32を帯電させる(帯電工程)。さらに、露光装置36が、帯電装置34によって帯電した感光体32を露光して、感光体32に潜像(具体的には静電潜像)を形成する(露光工程)。感光体32は、露光装置36によって形成された潜像を保持する。
【0041】
そして、現像装置38は、感光体32が保持する潜像を現像する(現像工程)。これにより、感光体32にトナー画像が形成される。なお、現像装置38の具体的な構成については後述する。
【0042】
画像形成部14では、トナー像形成部20Y~20Kの各々が、帯電、露光、及び現像の各工程を行い、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を転写体24に形成する。さらに、画像形成部14では、転写体24に形成された各色のトナー像を記録媒体Pに転写し、該トナー像を定着部26にて記録媒体Pに定着する。このように、画像形成部14では、転写体24を介して画像を記録媒体Pに転写する中間転写方式を用いている。
【0043】
なお、画像形成部としては、中間転写方式に限られず、記録媒体Pへ直接、画像を転写する直接転写方式を用いてもよく、種々の画像形成部を適用することが可能である。
【0044】
(現像装置38)
図2図3及び図4は、現像装置38の概略図である。図5図8及び図10は、現像装置38に備えられた格納筐体40を示す側断面図である。
【0045】
図2図3及び図4に示される現像装置38は、前述のように、感光体32が保持する潜像を現像剤Gにより現像する装置である。なお、現像剤Gは、トナー及び磁性キャリアを含む現像剤である。現像装置38は、具体的には、図2に示されるように、格納筐体40と、封止部材50と、装置筐体60と、マイラ70と、シールクリップ90と、引掛り部100と、制限部110と、を備えている。以下、現像装置38の各部について説明する。
【0046】
(格納筐体40)
図2図3及び図4に示される格納筐体40は、本開示における格納部の一例である。この格納筐体40は、前後方向に長さを有する箱状に形成されている。また、格納筐体40は、図2に示されるように、下方側に開口する開口部42を有し、内部(内部空間44)に現像剤Gを収容(格納)している。なお、開口部42は、格納筐体40における現像剤Gの出口である。
【0047】
格納筐体40には、図2に示されるように、流入口48が設けられている。この流入口48は、現像剤Gが落下した後の内部空間44に、後述する収容部63(具体的には供給路61)から浮揚した現像剤G(具体的にはトナー)を流入させる口部であり、開口部42とは異なる口部である。本実施形態では、流入口48は、供給路61の上方で開口している。具体的には、流入口48は、供給路61に対する上方側で下方側へ向けて開口している。
【0048】
また、格納筐体40には、図2に示されるように、現像剤Gの投入口47が設けられている。この投入口47から内部空間44に現像剤Gが投入される。この投入口47は、格納筐体40に現像剤Gが投入された後、キャップ49により閉塞される。
【0049】
また、格納筐体40の前壁には、図6に示されるように、後述する封止部材50の引き抜き孔45と後述するマイラ70の引き抜き孔46が設けられている。
【0050】
(封止部材50)
図2及び図5に示される封止部材50は、開口部42を封止している。この封止部材50は、自身が除去されることで、開口部42を通じて現像剤Gを落下させる。すなわち、格納筐体40に格納された現像剤Gは、封止部材50で封止された開口部42が開放されると、自重により、開口部42を通じて落下する。
【0051】
封止部材50は、フィルム状(すなわち膜状)に形成されている。封止部材50は、一例として、樹脂製のフィルムで形成されている。封止部材50は、例えば、溶融接着(いわゆるヒートシール)により、開口部42において、格納筐体40に接合されている。ここで、封止部材50は、一部が引き抜き孔45を通して格納筐体40の外側に出ており、出ている部分を掴んだ使用者が封止部材50を前方側へ引き抜くことで開口部42が開放される(図3及び図8参照)。
【0052】
なお、封止部材50は、金属製のフィルムで形成されていてもよい。また、封止部材50の格納筐体40への接合は、接着剤等の接合剤による接合方法等を用いてもよい。
【0053】
(装置筐体60)
図2図3及び図4に示される装置筐体60は、格納筐体40の開口部42を通じて格納筐体40から落下した現像剤Gを内部に収容する構成部である。
【0054】
装置筐体60には、現像装置38がトナー像形成部20Y~20Kの各々に設置された状態において、図2図3及び図4に示されるように、感光体32側(具体的には、左方側)に向かって開口する開口部64が形成されている。この開口部64から一部が露出するように、感光体32へ現像剤Gを供給する現像ロール80が装置筐体60内に設けられている。現像ロール80の下方側には、層規制部材84が設けられている。なお、図2図3及び図4には、現像装置38がトナー像形成部20Y~20Kに設置された状態における感光体32が図示されている。
【0055】
現像ロール80は、外周面に現像剤Gを保持して、当該現像剤Gを感光体32と対向する対向位置へ搬送する。当該対向位置へ向かって搬送される現像剤Gは、層規制部材84によって、現像剤Gの層の厚さ(現像剤量)が規制される。そして、現像ロール80上の現像剤G(具体的にはトナー)が対向位置にて感光体32へ供給され、感光体32に形成された静電潜像が、現像剤G(具体的にはトナー)によって現像される。
【0056】
さらに、装置筐体60は、格納筐体40の開口部42を通じて落下した現像剤Gを収容する収容部63を有している。収容部63は、第一搬送路としての供給路61と、第二搬送路としての攪拌路62と、を有して構成されている。
【0057】
供給路61は、現像ロール80に対する下方側であって右方側において前後方向に沿って配置されている。具体的には、供給路61は、現像ロール80に対する右斜め下方側において前後方向に沿って配置されている。この供給路61は、現像ロール80へ供給される現像剤Gが収容され、当該現像剤Gが搬送方向(具体的には前後方向の一方)へ搬送される。具体的には、搬送部材としての搬送オーガ81が供給路61に配置されており、搬送オーガ81の回転により、供給路61において、現像剤Gが搬送方向(具体的には前後方向の一方)へ搬送される。
【0058】
攪拌路62は、供給路61に隣り合うように供給路61に沿って配置されている。具体的には、攪拌路62は、供給路61に対する右方側で、前後方向に沿って配置されている。攪拌路62は、前端部及び後端部の各々において、供給路61の前端部及び後端部の各々と接続されており、供給路61とで循環経路を形成している。
【0059】
攪拌路62は、供給路61へ供給される現像剤Gが収容され、現像剤Gが上記搬送方向とは反対方向(具体的には前後方向の他方)へ搬送される。具体的には、搬送部材としての搬送オーガ82が攪拌路62に配置されており、搬送オーガ82の回転により、攪拌路62において、現像剤Gが攪拌されながら、反対方向(具体的には前後方向の他方)へ搬送される。
【0060】
(マイラ70)
マイラ70は、崩し部材の一例であり、図2及び図5に示されるように、格納筐体40内に引き抜き可能に配置されている。具体的には、図5に示されるように、マイラ70は、格納筐体40の前壁40A、天井面40C、後壁40Bの内面の近くを通るように配置されている。すなわち、マイラ70は、格納筐体40からの引き抜き前においては、前壁40Aに設けられた引き抜き孔46を通過する引出部71と、引出部71から格納筐体40の前壁40Aに沿って上側へ延びる前側縦部72と、前側縦部72から天井面40Cに沿って後方へ延びる横部73と、横部73から格納筐体40の後壁40Bに沿って下側へ延びる後側縦部74とを備えている。
【0061】
このマイラ70は、格納筐体40内からの引き抜き動作にともない、格納筐体40内に格納された現像剤Gを崩す。具体的には、図8に示されるように、マイラ70は、引き抜き動作にともない、封止部材50が除去された開口部42から現像剤Gを収容部63(具体的には攪拌路62)へ向けて押し出すと共に格納筐体40内で固まった状態の現像剤Gを崩す機能を有する。
【0062】
マイラ70は、図5及び図6に示されるように、引出部71(マイラ70の前端70Aを含む)が引き抜き孔46を通して格納筐体40の外側に出ている。一方、マイラ70の後端70B(後側縦部74に含まれる)は、格納筐体40の後壁40Bの内面に取り付けられている。具体的には、マイラ70の後端70Bが後壁40Bの内面に両面テープ78によって剥離可能に接着されている(図5参照)。ここで、封止部材50を引き抜いた後、マイラ70の格納筐体40の引き抜き孔46から出ている引出部71を掴んだ使用者が、マイラ70を前方側へ引くことで格納筐体40内の現像剤Gが崩される(図8参照)。そして、さらにマイラ70を前方側へ引くことで、マイラ70の後端70Bが格納筐体40の後壁40Bの内面から外れる(図10参照)。これにより、格納筐体40からマイラ70が引き抜かれる。なお、本実施形態では、マイラ70の後端70Bを後壁40Bの内面に両面テープ78で剥離可能に接着しているが、本開示はこの構成に限定されず、マイラ70の後端70Bを後壁40Bの内面に両面テープ以外の方法で取り付けてもよい。
【0063】
マイラ70は、フィルム状(すなわち膜状)に形成されている。マイラ70は、一例として、樹脂製のフィルムで形成されている。マイラ70を形成する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いてもよい。
【0064】
(シールクリップ90)
シールクリップ90は、図5及び図6に示されるように、格納筐体40におけるマイラ70の引き抜き孔46に配置されている。具体的には、シールクリップ90は、格納筐体40の前方側から引き抜き孔46に挿入されて、引き抜き孔46内に配置されている。
【0065】
シールクリップ90は、引き抜き孔46から引き抜かれるマイラ70に接してマイラ70を清掃する。具体的には、シールクリップ90は、マイラ70を格納筐体40内から引き抜く際に、マイラ70の両面(表面及び裏面)を清掃する機能を有する(図9参照)。また、シールクリップ90は、マイラ70が引き抜き孔46から引き抜かれた後で、引き抜き孔46を閉じる機能を有する(図11参照)。
【0066】
シールクリップ90は、図12図14に示されるように、一対の低弾性部92と、高弾性部94と、を有している。
【0067】
低弾性部92は、低弾性の部材である。低弾性の部材としては、例えば、ウレタンで構成されたクッション部材を用いてもよい。図6に示されるように、シールクリップ90を引き抜き孔46に挿入した状態において、一対の低弾性部92は、互いに対向して配置されている。これらの低弾性部92は、マイラ70を両側から挟むように構成されている。具体的には、一対の低弾性部92は、マイラ70の両面(表面及び裏面)を両側から挟むように構成されている。なお、本実施形態では、1枚の高弾性部94の長手方向の両端側に低弾性部92がそれぞれ設けられている(図12図14参照)。
【0068】
高弾性部94は、低弾性部92よりも高弾性(圧縮に対して高弾性)で板状の部材である。高弾性部94としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)を板状に形成した部材を用いてもよい。なお、ここでいう板状には、膜状が含まれる。すなわち、板状の高弾性部94には、膜状のもの、及び膜状よりも厚いものが含まれる。図6に示されるように、シールクリップ90を引き抜き孔46に挿入した状態において、高弾性部94は、低弾性部92のマイラ70と反対側の面に固着され、低弾性部92と反対側の板面94Aが引き抜き孔46の内面46Aに接する。
【0069】
低弾性部92の表層は、繊維材93によって構成されている。この繊維材93は、マイラ70を清掃するための部位である。すなわち、低弾性部92は、クッション部92Aと繊維材93とを有する。この繊維材93として、織布、不織布等を用いてもよい。本実施形態では、繊維材93としてフェルトが用いられているが、マイラ70に付着した現像剤Gを清掃しやすい部材であれば、特に限定されない。また、繊維材93を設定せずに直接クッション部92Aでマイラ70を清掃してもよい。
【0070】
ここでシールクリップ90は、高弾性部94の長手方向両側に設けられた低弾性部92同士が互いに接するように高弾性部94を折り曲げた状態で引き抜き孔46に挿入される。シールクリップ90が引き抜き孔46の所定の位置まで挿入されると、開口112に突部102が挿入される。このとき、突部102によって押圧されていた高弾性部94が弾性復帰するため、組付け作業者が所定の位置にシールクリップ90が挿入されたことを把握することができる。
【0071】
(引掛り部100)
引掛り部100は、図6に示されるように、シールクリップ90に設けられている。具体的には、引掛り部100の高弾性部94に設けられている。より具体的には、高弾性部94は、後述する突部102が挿入可能な開口112を有している。この開口112におけるマイラ70の引き抜き方向(以下、単に「引き抜き方向」という。)と反対側の縁部が引掛り部100である。なお、開口112は、高弾性部94に形成された凹部でも貫通孔でもよいが、本実施形態の開口112は、高弾性部94を厚み方向に貫通する貫通孔である。
【0072】
また、図6に示されるように、シールクリップ90を引き抜き孔46に挿入した状態において、互いに対向する低弾性部92を挟んで両側に配置された高弾性部94にそれぞれ開口112が設けられている。言い換えると、高弾性部94において、長手方向の一方側の部分で一方の低弾性部92と重なる領域に開口112が形成され、長手方向の他方側の部分で他方の低弾性部92と重なる領域に開口112が形成されている。
【0073】
高弾性部94の開口112の形状は、図13に示されるように、それぞれ略矩形である。また、高弾性部94の長手方向の中央部であって、長手方向で一対の開口112間の領域には、開口113が形成されている。この開口113は、高弾性部94が折り曲げられた状態、すなわち、シールクリップ90を引き抜き孔46に挿入した状態において、マイラ70が通過する貫通孔である。この開口113の形状は、図13に示されるように、それぞれ略矩形である。また、本実施形態では、開口113の大きさは、開口112の大きさよりも大きいがこれに限定されない。
【0074】
(制限部110)
制限部110は、図6に示されるように、引き抜き孔46に設けられている。この制限部110が引掛り部100に引っ掛かることによってシールクリップ90のマイラ70の引き抜きにともなう該引き抜き方向の移動が制限される。具体的には、引き抜き孔46は、図6に示されるように、内面から突出する突部102を有している。この制限部110は、突部102における引き抜き方向と反対側の部分である。なお、本実施形態では、制限部110は、突部102における引き抜き方向と反対側の壁部であり、この壁部は、図6で見て、引き抜き方向と直交する方向に延びている。
【0075】
本実施形態では、引き抜き孔46の内面、具体的には内面上側に突部102が一つ設けられているが、本開示はこれに限定されない。例えば、引き抜き孔46の内面上側及び内面下側にそれぞれ突部102が設けられてもよい。この場合には、シールクリップ90の一対の開口112にそれぞれの突部102が挿入される。
【0076】
また、シールクリップ90を引き抜き孔46に装填した状態では、図6に示されるように、開口112に挿入された突部102によって低弾性部92がマイラ70へ向けて押圧されている。
【0077】
また、引き抜き孔46を引き抜き方向と直交する断面で見て(図7で見て)、突部102の突出方向上にマイラ70が配置されている。
【0078】
突部102は、突出方向から見て、引き抜き方向と直交する方向の長さL1が引き抜き方向の長さL2よりも長い。具体的には、突部102は、図7に示される方向から見た場合の引き抜き方向と直交する方向の長さL1が、図6に示される方向から見た場合の、引き抜き方向の長さL2よりも長い。
【0079】
また、シールクリップ90は、図12に示されるように、無負荷状態において、一対の低弾性部92間の距離Hの値が、低弾性部92の厚みTの値よりも小さい。
【0080】
(格納筐体40に格納された現像剤Gを収容部63へ供給する供給動作)
使用者は、まず、図5に示されるように、引き抜き孔45から出た封止部材50の前端を掴み前方へ向けて引き抜く。これにより、図6に示されるように、開口部42が開放され、格納筐体40内に格納された現像剤Gが、開口部42を通じて、攪拌路62へ落下し始める。
【0081】
次に、マイラ70の引き抜き孔46から出た引出部71を掴み前方へ向けて引くと、図8に示されるように、マイラ70が開口部42へ向けて(すなわち下方へ)移動し、格納筐体40内に格納された現像剤Gが、崩され、開口部42から攪拌路62へ押し出される。すなわち、マイラ70は、封止部材50を引き抜いた後に格納筐体40内に残った現像剤Gを崩しながら開口部42を通して攪拌路62へ押し出す。
【0082】
マイラ70をさらに引くと、マイラ70が格納筐体40から引き抜かれる(図10及び図11参照)。マイラ70が引き抜かれると、シールクリップ90の対向する繊維材93同志が接触して引き抜き孔56が閉じられる。
【0083】
このようにして、格納筐体40に格納された現像剤Gを収容部63(具体的には攪拌路62)へ供給する。そして、現像剤Gが収容部63(具体的には攪拌路62)へ供給された現像装置38を、トナー像形成部20Y~20Kの各々に設置する。
【0084】
(本実施形態の作用)
本実施形態の現像装置38は、格納筐体40の引き抜き孔46からマイラ70を引き抜く際に、引き抜き孔46の引掛り部100にシールクリップ90の制限部110が引っ掛かる。このため、マイラ70を引き抜く際にシールクリップ90に作用する引き抜き力に対し、引掛り部100が制限部110に引っ掛かり、シールクリップ90のマイラ70の引き抜き方向の移動が制限される。これにより、現像装置38では、現像剤Gを格納する格納筐体40内からマイラ70を引き抜くための引き抜き孔46にシールクリップ90を引き抜き方向に移動可能に配置する構成と比べて、マイラ70の引き抜き時に引き抜き孔46からシールクリップ90が抜け出るのを抑制できる。
【0085】
また、本実施形態の現像装置38は、引き抜き孔46が内面から突出する突部102を有している。そして、この突部102における引き抜き方向と反対側の部分が制限部110である。このため、現像装置38では、小径部を有する孔において該小径部のマイラ70の引き抜き方向と反対側の部分を制限部110とする構成と比べて、シールクリップ90が引き抜き孔46を閉じやすい。
【0086】
本実施形態の現像装置38は、シールクリップ90が低弾性部92と、高弾性部94とを有している。また、高弾性部94が、突部102が挿入可能な開口112を有している。そして、開口112における引き抜き方向と反対側の縁部が引掛り部100である。このため、現像装置38では、低弾性部92が引き抜き孔46の内面に接する構成と比べて、シールクリップ90を引き抜き孔46内に配置する作業がしやすい。
【0087】
本実施形態の現像装置38は、貫通孔である開口112に挿入された突部102によって低弾性部92がマイラ70へ向けて押圧されている。このため、開口112に挿入された突部102が低弾性部92に接しない構成と比べて、シールクリップ90によるマイラ70の清掃性が向上する。
【0088】
本実施形態の現像装置38は、引き抜き孔46を引き抜き方向と直交する断面で見て、突部102の突出方向上にマイラ70が配置されている。このため、引き抜き孔46をマイラ70の引き抜き方向と直交する断面で見て、突部102の突出方向上からマイラ70がずれて配置されている構成と比べて、シールクリップ90によるマイラ70の清掃性が向上する。
【0089】
本実施形態の現像装置38は、突部102は、突出方向から見て、引き抜き方向と直交する方向の長さL1が引き抜き方向の長さL2よりも長い。このため、突部を突出方向から見て、引き抜き方向と直交する方向の長さL1が引き抜き方向の長さL2と同じ又は短い構成と比べて、マイラ70が引き抜きやすく、かつ、シールクリップ90によるマイラ70の清掃性も向上する。
【0090】
本実施形態の現像装置38では、互いに対向する低弾性部92を挟んで両側に配置された高弾性部にそれぞれ開口112を設けている。このため、互いに対向する低弾性部92を挟んで両側に配置された高弾性部94の一方のみに開口112が設けられる構成と比べて、シールクリップ90を上下逆にしても開口112に突部102を挿入できる。
【0091】
本実施形態の現像装置38では、引き抜き孔46の内面に突部102が一つ設けられている。このため、引き抜き孔46の内面に複数の突部102を設ける構成と比べて、格納筐体40の製造が容易になる。
【0092】
本実施形態の画像形成装置10は、潜像を保持する感光体32と、潜像を現像する現像装置38と、を備えることから、現像剤Gを格納する格納筐体40内からマイラ70を引き抜く孔46にシールクリップ90を引き抜き方向に移動可能に配置する構成と比べて、シールクリップ90の抜け出しにともなう装置汚れを抑制できる。
【0093】
(変形例)
前述の実施形態の現像装置38では、引き抜き孔46に引掛り部100が設けられ、シールクリップ90に制限部110が設けられているが本開示はこれに限定されない。図15に示される現像装置120のように、引き抜き孔46が内面に凹部122を有しており、この凹部122における引き抜き方向側の壁部が制限部124を構成してもよい。具体的には、図15では、シールクリップ130の高弾性部132が凹部122に挿入可能な突部126を有し、突部126におけるマイラ70の引き抜き方向側の部分が引掛り部128であってもよい。この場合でも、前述の実施形態の現像装置38と同様の作用効果を得ることができる。具体的には、現像装置120では、小径部を有する引き抜き孔46において該小径部のマイラ70の引き抜き方向と反対側の部分を制限部とする構成と比べて、シールクリップ90が引き抜き孔46を閉じやすい。また、現像装置38では、低弾性部92が引き抜き孔46の内面に接する構成と比べて、シールクリップ90を引き抜き孔46内に配置する作業がしやすい。
【0094】
前述の実施形態の現像装置38では、封止部材50を引き抜いた後にマイラ70を引き抜く構成とされているが、本開示はこれに限定されない。例えば、封止部材50を引く抜き動作に連動してマイラ70も引き抜かれる構成としてもよい。さらに、現像装置38は、流入口48を閉じる別の封止部材を備えてもよい。そして、この別の封止部材の引き抜き動作に連動してマイラ70が引き抜かれる構成としてもよい。
【0095】
前述の実施形態の現像装置38では、引き抜き孔46に突部102を設け、シールクリップ90に開口112を設けているが、本開示はこれに限定されない。例えば、引き抜き孔46に突部102を設け、シールクリップ90の高弾性部94の外面に突部102に引っ掛かる突起(リブ含む)を設けてもよい。さらに、前述の実施形態の現像装置38では、突部102における引き抜き方向と反対側の壁部を制限部110としているが、本開示はこれに限定されない。例えば、引き抜き孔46の入口側を小径、奥側を大径とし、小径と大径との間の段差を制限部としてもよい。
【0096】
前述の実施形態の現像装置38では、高弾性部94の長手方向の両端側にそれぞれ低弾性部92を固着しているが、本開示はこれに限定されない。例えば、高弾性部94の板面に沿って一つの高弾性部94を固着してもよい。この場合には、低弾性部92の数が減り、部品管理が簡単になる。
【0097】
前述の実施形態の現像装置38では、突部102が開口112を貫通して低弾性部92をマイラ70へ向けて押圧しているが、本開示はこれに限定されない。突部102と開口112は、最低限、シールクリップ90が引き抜き方向に移動しようとしたときに引っかかればよい。そのため、突部102が低弾性部92を押圧しなくてもよい。すなわち、突部102の頂点が低弾性部92に接触しなくてもよい。言い換えると、開口112の深さよりも突部102の高さが低くてもよい。さらに、シールクリップ90が引き抜き方向と反対方向に移動しようとしたときに突部102と開口112が引っ掛かる構成とすることで、シールクリップ90の位置決め作業が容易になる。
【0098】
本開示は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【0099】
<付記>
(((1)))
現像剤を格納する格納部と、
前記格納部が有する前記現像剤の出口を封止する封止部材と、
前記格納部内に引き抜き可能に配置され、前記格納部内からの引き抜き動作により前記現像剤を崩す崩し部材と、
前記格納部における前記崩し部材の引き抜き孔に配置され、前記孔から引き抜かれる前記崩し部材に接して前記崩し部材を清掃し、前記崩し部材が引き抜かれた前記孔を閉じる閉じ部材と、
前記閉じ部材に設けられた引掛り部と、
前記孔に設けられ、前記引掛り部が引っ掛かることによって前記閉じ部材の前記崩し部材の引き抜き方向の移動を制限する制限部と、
を備える現像装置。
(((2)))
前記制限部は、前記孔の内面に設けられた突部である、(((1)))に記載の現像装置。
(((3)))
前記閉じ部材は、互いに対向して配置され、前記崩し部材を両側から挟む低弾性部と、前記低弾性部よりも高弾性で該低弾性部の前記崩し部材と反対側の面に固着され、前記低弾性部と反対側の板面が前記孔の内面に接する板状の高弾性部と、を有し、
前記高弾性部は、前記突部が挿入可能な開口を有し、
前記引掛り部は、前記開口である、(((2)))に記載の現像装置。
(((4)))
前記開口は、前記高弾性部を貫通する貫通孔であり、
前記貫通孔に挿入された前記突部によって前記低弾性部が前記崩し部材へ向けて押圧されている、(((3)))に記載の現像装置。
(((5)))
前記孔を前記引き抜き方向と直交する断面で見て、前記突部の突出方向上に前記崩し部材が配置されている、(((4)))に記載の現像装置。
(((6)))
前記突部は、突出方向から見て、前記引き抜き方向と直交する方向の長さが前記引き抜き方向の長さよりも長い、(((5)))に記載の現像装置。
(((7)))
互いに対向する前記低弾性部を挟んで両側に配置された前記高弾性部にそれぞれ前記開口が設けられている、(((3)))~(((6)))のいずれか1項に記載の現像装置。
(((8)))
前記孔の内面に前記突部が一つ設けられている、(((7)))に記載の現像装置。
(((9)))
前記制限部は、前記孔の内面に設けられた凹部である、(((1)))に記載の現像装置。
(((10)))
前記閉じ部材は、互いに対向して配置され、前記崩し部材を両側から挟む低弾性部と、前記低弾性部よりも高弾性で該低弾性部の前記崩し部材と反対側の面に固着され、前記低弾性部と反対側の板面が前記孔の内面に接する板状の高弾性部と、を有し、
前記高弾性部は、前記凹部に挿入可能な突部を有し、
前記引掛り部は、前記突部である、(((9)))に記載の現像装置。
(((11)))
潜像を保持する保持体と、
前記潜像を現像する(((1)))~(((10)))のいずれか1項に記載の現像装置と、
を備える画像形成装置。
【0100】
(((1)))の現像装置では、現像剤を格納する格納部内から崩し部材を引き抜く孔に閉じ部材を引き抜き方向に移動可能に配置する構成と比べて、崩し部材の引き抜き時に孔から閉じ部材が抜け出るのを抑制できる。
(((2)))の現像装置では、小径部を有する孔において該小径部の崩し部材の引き抜き方向と反対側の部分を制限部とする構成と比べて、閉じ部材が孔を閉じやすい。
(((3)))の現像装置では、低弾性部が孔の内面に接する構成と比べて、閉じ部材を孔内に配置する作業がしやすい。
(((4)))の現像装置では、貫通孔に挿入された突部が低弾性部に接しない構成と比べて、閉じ部材による崩し部材の清掃性が向上する。
(((5)))の現像装置では、孔を崩し部材の引き抜き方向と直交する断面で見て、突部の突出方向上から崩し部材がずれて配置されている構成と比べて、閉じ部材による崩し部材の清掃性が向上する。
(((6)))の現像装置では、突部を突出方向から見て、引き抜き方向と直交する方向の長さが引き抜き方向の長さと同じ又は短い構成と比べて、崩し部材が引き抜きやすく、かつ、閉じ部材による崩し部材の清掃性も向上する。
(((7)))の現像装置では、互いに対向する低弾性部を挟んで両側に配置された高弾性部の一方のみに開口が設けられる構成と比べて、閉じ部材を上下逆にしても開口に突部を挿入できる。
(((8)))の現像装置では、孔の内面に複数の突部を設ける構成と比べて、格納部の製造が容易になる。
(((9)))の現像装置では、小径部を有する孔において該小径部の崩し部材の引き抜き方向と反対側の部分を制限部とする構成と比べて、閉じ部材が孔を閉じやすい。
(((10)))の現像装置では、低弾性部が孔の内面に接する構成と比べて、閉じ部材を孔内に配置する作業がしやすい。
(((11)))の画像形成装置では、現像剤を格納する格納部内から崩し部材を引き抜く孔に閉じ部材を引き抜き方向に移動可能に配置する構成と比べて、閉じ部材の抜け出しにともなう装置汚れを抑制できる。
【符号の説明】
【0101】
10 画像形成装置
32 感光体(像保持体の一例)
38 現像装置
40 格納筐体(格納部の一例)
46 引き抜き孔(孔の一例)
50 封止部材
70 マイラ(崩し部材の一例)
90 シールクリップ(閉じ部材)
92 低弾性部
94 高弾性部
94A 板面
100 引掛り部
110 制限部
G 現像剤
P 記録媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15