(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047841
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】プリフォーム、二重容器
(51)【国際特許分類】
B29C 49/22 20060101AFI20240401BHJP
B29B 11/04 20060101ALI20240401BHJP
B29B 11/08 20060101ALI20240401BHJP
B29B 11/10 20060101ALI20240401BHJP
B65D 1/02 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
B29C49/22
B29B11/04
B29B11/08
B29B11/10
B65D1/02 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153555
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】室屋 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】大村 一平
(72)【発明者】
【氏名】森岡 舜
【テーマコード(参考)】
3E033
4F201
4F208
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA17
3E033BB08
3E033DA04
3E033DB01
3E033DE05
3E033FA03
3E033GA02
4F201AG03
4F201AG07
4F201AG21
4F201AG23
4F201AH55
4F201AR12
4F201BA03
4F201BC02
4F201BD06
4F201BM02
4F201BM05
4F201BM06
4F201BM13
4F208AG03
4F208AG07
4F208AG21
4F208AG23
4F208AH55
4F208AR12
4F208LA08
4F208LB01
4F208LB22
4F208LG03
4F208LG13
4F208LG16
4F208LG19
4F208LG22
4F208LG28
4F208LH06
4F208LN23
(57)【要約】
【課題】内袋の薄肉化が可能な、プリフォームを提供する。
【解決手段】本発明によれば、内プリフォームに外プリフォームを被せて構成されるプリフォームであって、前記外プリフォームの全高をHとし、前記外プリフォームの下端から0.2Hの位置での前記内プリフォームの外径をDi
0.2とし、前記外プリフォームの外径をDo
0.2とすると、Di
0.2/Do
0.2は、0.70以下である、プリフォームが提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内プリフォームに外プリフォームを被せて構成されるプリフォームであって、
前記外プリフォームの全高をHとし、前記外プリフォームの下端から0.2Hの位置での前記内プリフォームの外径をDi0.2とし、前記外プリフォームの外径をDo0.2とすると、
Di0.2/Do0.2は、0.70以下である、プリフォーム。
【請求項2】
請求項1に記載のプリフォームであって、
前記内プリフォームは、内側に向かって凸となるように湾曲する内方湾曲部位を備える、プリフォーム。
【請求項3】
請求項2に記載のプリフォームであって、
前記内方湾曲部位の高さ範囲をHcとすると、Hc/Hは、0.10以上である、プリフォーム。
【請求項4】
請求項2に記載のプリフォームであって、
前記外プリフォームの下端から0.2H~1.0Hの範囲内において、前記内プリフォームと前記外プリフォームの間の隙間は、前記内方湾曲部位において最大となる、プリフォーム。
【請求項5】
請求項1に記載のプリフォームであって、
前記外プリフォームの開口端での前記内プリフォームの外径をDiとすると、Di0.2/Diは、0.60以下である、プリフォーム。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れか1つに記載のプリフォームであって、
前記外プリフォームの開口端での前記外プリフォームの外径をDoとすると、Do0.2/Doは、0.95以下である、プリフォーム。
【請求項7】
内プリフォームに外プリフォームを被せて構成されるプリフォームであって、
前記外プリフォームの口部には貫通孔が設けられており、
前記外プリフォームの前記口部の内面には、前記外プリフォームの底部側に向かって延びる凸条が設けられている、プリフォーム。
【請求項8】
請求項7に記載のプリフォーム。
前記外プリフォームは、射出成形体であり、
前記内プリフォームは、ダイレクトブロー成形体である、プリフォーム。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載のプリフォームであって、
前記外プリフォームの全高をHとすると、
前記凸条の下端の位置は、前記外プリフォームの下端から0.8H以下である、プリフォーム。
【請求項10】
容器本体を備える、二重容器であって、
前記容器本体は、内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を備え、
前記外殻は、外殻本体と、前記外殻本体に連結された係合部材を備え、
前記内袋は、前記係合部材に軸方向に係合しており、
前記外殻本体は、前記係合部材から分離可能に構成されている、二重容器。
【請求項11】
請求項10に記載の二重容器であって、
前記係合部材は、前記外殻本体に螺合されている、二重容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリフォーム及び二重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外殻と内袋とを有する容器本体を備える二重容器が知られている。例えば、特許文献1には、外プリフォームと内プリフォームとを重ねた状態で二軸延伸ブロー成形を行うことによって形成した二重容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、内袋は、外殻に比べて、薄肉に形成することが望まれる場合がある。内袋を薄肉化するために、内プリフォームの肉厚を小さくすればいいが、内プリフォームを薄肉化するほど、内プリフォームを成形する難易度が高くなったり、内プリフォームの取り扱い性が悪くなったりするので、内プリフォームを薄肉化することによって、内袋を薄肉化するにも限界がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、内袋の薄肉化が可能な、プリフォームを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1](第1観点)内プリフォームに外プリフォームを被せて構成されるプリフォームであって、前記外プリフォームの全高をHとし、前記外プリフォームの下端から0.2Hの位置での前記内プリフォームの外径をDi0.2とし、前記外プリフォームの外径をDo0.2とすると、Di0.2/Do0.2は、0.70以下である、プリフォーム。
【0007】
本発明では、Di0.2/Do0.2が0.70以下であるので、二軸延伸ブロー成形の際には、プリフォームの底部近傍において、内プリフォームが外プリフォームに比べて大きく引き伸ばされることになり、その分だけ薄肉化される。従って、本発明によれば、内袋を薄肉化することができる。
【0008】
[2][1]に記載のプリフォームであって、前記内プリフォームは、内側に向かって凸となるように湾曲する内方湾曲部位を備える、プリフォーム。
[3][2]に記載のプリフォームであって、前記内方湾曲部位の高さ範囲をHcとすると、Hc/Hは、0.10以上である、プリフォーム。
[4][2]又は[3]に記載のプリフォームであって、前記外プリフォームの下端から0.2H~1.0Hの範囲内において、前記内プリフォームと前記外プリフォームの間の隙間は、前記内方湾曲部位において最大となる、プリフォーム。
[5][1]~[4]の何れか1つに記載のプリフォームであって、前記外プリフォームの開口端での前記内プリフォームの外径をDiとすると、Di0.2/Diは、0.60以下である、プリフォーム。
[6][1]~[5]の何れか1つに記載のプリフォームであって、前記外プリフォームの開口端での前記外プリフォームの外径をDoとすると、Do0.2/Doは、0.95以下である、プリフォーム。
[7](第2観点)内プリフォームに外プリフォームを被せて構成されるプリフォームであって、前記外プリフォームの口部には貫通孔が設けられており、前記外プリフォームの前記口部の内面には、前記外プリフォームの底部側に向かって延びる凸条が設けられている、プリフォーム。
[8][7]に記載のプリフォーム。前記外プリフォームは、射出成形体であり、前記内プリフォームは、ダイレクトブロー成形体である、プリフォーム。
[9][7]又は[8]に記載のプリフォームであって、前記外プリフォームの全高をHとすると、前記凸条の下端の位置は、前記外プリフォームの下端から0.8H以下である、プリフォーム。
[10](第3観点)容器本体を備える、二重容器であって、前記容器本体は、内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を備え、前記外殻は、外殻本体と、前記外殻本体に連結された係合部材を備え、前記内袋は、前記係合部材に軸方向に係合しており、前記外殻本体は、前記係合部材から分離可能に構成されている、二重容器。
[11][10]に記載の二重容器であって、前記係合部材は、前記外殻本体に螺合されている、二重容器。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態の二重容器1の斜視図である。図中の一点鎖線は、表面形状を構成する面の曲率が変化する境界線を表す。他の図についても同様である。
【
図7】
図1に示す二重容器1の正面図(部分的に、口部5の中心を通る縦断面図)である。
【
図8】内プリフォーム14及び外プリフォーム13が分離されている状態を示す斜視図である。
【
図9】
図9Aは、外プリフォーム13を斜め上から見た斜視図である。
図9Bは、外プリフォーム13の縦断面図である。
図9Cは、
図9C中のC-C断面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態についての、
図4に対応する分解斜視図である。
【
図12】本発明の第2実施形態についての、
図8に対応する斜視図である。
【
図13】本発明の第2実施形態について、内プリフォーム14に外プリフォーム13を被せた状態での、縦断面図である。
【
図14】本発明の第3実施形態についての、
図4に対応する分解斜視図である。
【
図15】
図14中の係合部材34を斜め下から見た斜視図である。
【
図17】本発明の第3実施形態についての、
図8に対応する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0011】
以下に示す第1実施形態は、主に、第2観点に関連し、第2実施形態は、主に、第1観点に関連し、第3実施形態は、主に、第3観点に関連する。第1~第3実施形態で述べた内容は、その趣旨に反しない限り、相互に適用可能である。第1~第3観点に関連して述べた内容は、その趣旨に反しない限り、相互に適用可能である。
【0012】
1.第1実施形態
1-1.二重容器1の構成
<基本構成>
図1に示すように、本発明の第1実施形態の二重容器1は、容器本体2と、口部装着部材8を備える。
【0013】
図2~
図3に示すように、容器本体2は、口部5と、胴部6と、底部7を備える。口部5は、開口端5cを有する筒状(好ましくは円筒状)部位である。口部5は、キャップやポンプなどの口部装着部材8を装着可能な係合部4mを備える。係合部4mの詳細は、後述する。口部5には、フランジ5bが設けられている。フランジ5bは、口部5に口部装着部材8を装着する際に口部5を支持するために利用可能である。
【0014】
胴部6は、口部5よりも開口端5cから離れた側に口部5に隣接して配置される。胴部6は、口部5よりも外径(本明細書において、「外径」は、断面が円形でない場合は、円相当径を意味する。)が大きい。胴部6は筒状であり、底部7は、胴部6の下端に設けられ、胴部6の下端を閉塞する。胴部6は、口部5から離れるにつれて外径が大きくなる肩部6bを備える。また、胴部6は、肩部6bよりも底部7側に、胴部本体6cを備える。胴部本体6cは、例えば、底部7に向かって外径が略一定である形状であるか、又は底部7に向かって縮径する形状である。
【0015】
図4に示すように、容器本体2は、内袋4と、内袋4を覆うように配置された外殻3を備える。内袋4は、突出部4c以外の内袋本体4dが外殻3内に収容されている。以下の説明では、内袋4のうち、容器本体2の口部5、胴部6、及び底部7に相当する部位をそれぞれ、内袋4の口部5、胴部6、及び底部7のように称する。外殻3についても同様である。
【0016】
胴部6の高さ方向の中央での外殻3の平均肉厚は、例えば、200~800μmであり、250~500μmが好ましいこの肉厚は、具体的には例えば、具体的には例えば、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800μmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0017】
胴部6の高さ方向の中央での内袋4の平均肉厚は、例えば、50~250μmであり、50~100μmが好ましい。この肉厚は、具体的には例えば、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250μmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内又は何れか以下であってもよい。本明細書において、所定の高さ位置での平均肉厚は、その高さ位置で周方向に等間隔に設定した8つの測定点での測定値の平均値を意味する。
【0018】
外殻3の口部5の内径は、例えば20~50mmであり、25~40mmが好ましい。外殻3の口部5の内径は、具体的には例えば、20、25、30、35、40、45、50mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。口部5の長さは、例えば15~45mmであり、具体的には例えば、15、20、25、30、35、40、45mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0019】
<内袋4の内容物の吐出による内袋4の収縮>
口部装着部材8には、不図示の逆止弁が設けられており、この逆止弁によって、内袋4の内容物は吐出可能であるが、内袋4内への外気の流入が規制されている。また、
図3及び
図7に示すように、外殻3には、外気導入部3pが設けられており、外気導入部3pを通じて、内袋4と外殻3の間の中間空間55に外気が導入可能になっている。これによって、内袋4の内容物の減少に伴って内袋4が外殻3から離れて収縮するように構成されている。
【0020】
本実施形態では、外気導入部3pは、外殻3の口部5に設けられた貫通孔3p1によって構成されている。
図7に示すように、外殻3には、フランジ5bよりも開口端3aに近い位置に密閉用フランジ3qが設けられており、口部装着部材8の筒部8bの内面が密閉用フランジ3qの外周に密着することによって、容器本体2と口部装着部材8で囲まれた密閉空間53が形成されている。密閉空間53は、外気導入部3pを通じて中間空間55に連通している。外気導入部3pは、密閉空間53内に配置されている。
図6に示すように、口部装着部材8の筒部8bには、貫通孔8cが設けられている。
図6及び
図7に示すように、貫通孔8cには、弁部材54が装着されている。貫通孔8cは、密閉空間53と二重容器1の外部とを連通するように設けられている。弁部材54は、貫通孔8cを通じたエアーの流れを制御可能に構成されている。内容物の吐出時に外殻3を圧縮すると弁部材54が閉じて密閉空間53及び中間空間55が加圧され、外殻3に加えた圧縮力が内袋4に伝達される。外殻3の圧縮を解除すると、弁部材54が開いて中間空間55内に外気が導入されることによって、外殻3が元の形状に復元される。
【0021】
本実施形態では、弁部材54は、筒体54aと移動体54bで構成され、筒体54aに対して移動体54bが相対移動することによって、弁部材54が開閉可能に構成されている。移動体54bは、好ましくは球形である。
【0022】
ところで、貫通孔3p1が外殻3の口部5に設けられている場合、口部5において外殻3と内袋4が密着していると、容器本体2の胴部6にまで外気が入りにくく、内袋4の収縮性が悪くなりやすい。そこで、本実施形態では、
図4~
図5に示すように、外殻3の底部7側に向かって延びる凸条3rが設けられている。凸条3rを設けることによって、外殻3と内袋4の間に隙間が形成されて、容器本体2の胴部6にまで外気が入りやすくなる。凸条3rは、貫通孔3p1が設けられた高さ位置又はそれよりも高い位置を起点として、外殻3の底部7側に向かって延びることが好ましい。凸条3rは、貫通孔3p1に隣接した位置に設けられることが好ましい。また、複数の凸条3rが貫通孔3p1を挟むように配置されることが好ましい。凸条3rの数は、例えば1~40であり、2~30が好ましい(本実施形態では18)。この数は、具体的には例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、18、20、25、30、35、40であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。凸条3rは、フランジ5bよりも底部7に近い位置にまで設けられることが好ましい。凸条3rの幅及び突出量は、それぞれ、例えば、0.2~3mmであり、0.5~2mmが好ましい。
【0023】
<外殻3と内袋4の詳細構造>
図3~
図4に示すように、内袋4は、外殻3の開口端3aから突出する突出部4cを備える。突出部4cは、突出筒4c1と、係合凸部4c2と、環状凸部4c5と、当接フランジ4c4を備える。
【0024】
環状凸部4c5は、口部装着部材8と軸方向に係合する。係合凸部4c2は、口部装着部材8と周方向に係合する。本明細書において、「軸方向」とは、口部5の中心軸Cが延びる方向であり、言い換えると、容器本体2から内袋4を引き抜く方向である。「周方向」とは、口部5の中心軸Cを中心として回転させる方向であり、言い換えると、口部5において内袋4を外殻3に対して、回転させる方向である。また、「上方向」は、軸方向上向きを意味し、「下方向」は、軸方向下向きを意味する。
【0025】
係合凸部4c2は、周方向に離間されて複数箇所(本実施形態では8箇所)に設けられることが好ましい。係合凸部4c2は、環状凸部4c5上に配置され、環状凸部4c5から径方向外側に向かって突出するように設けられる。環状凸部4c5及び係合凸部4c2は、上面にテーパー面4c8,4c3が設けられている。これによって、後述するように、口部装着部材8の環状凸部28c(
図6及び
図7に図示)が環状凸部4c5及び係合凸部4c2を乗り越えやすくなっている。
【0026】
当接フランジ4c4は、開口端3aに当接する位置に配置され且つ突出筒4c1よりも拡径された環状部位である。当接フランジ4c4が開口端3aに当接することによって、内袋4が外殻3内に脱落することが回避される。
【0027】
内袋4の開口端4lには、拡径構造4kが設けられている。拡径構造4kによって、内袋4の口部5の剛性が高まり、内袋4の口部5の変形が抑制される。本実施形態では、内袋4に設けた係合部4m(より詳しくは環状凸部4c5及び係合凸部4c2)を用いて内袋4の引き抜きを行うので、内袋4に高い荷重が加わる場合があり、その場合に、内袋4の開口端4lが変形しやすいと内袋4を引き抜きにくくなる場合があるが、本実施形態では、内袋4の開口端4lの変形が抑制されるので、内袋4のスムーズな引き抜きが可能になる。
【0028】
<口部装着部材8の詳細構造>
図2に示すように、本実施形態では、口部装着部材8は、キャップ8aであり、中栓26と、オーバーキャップ27と、弁部材54を備える。中栓26は、打栓式で内袋4の口部5に周方向及び軸方向に係合されている。オーバーキャップ27は、脱着可能に中栓26に装着されており、オーバーキャップ27を取り外すことによって口部装着部材8を通じた内容物の吐出が可能になる。
【0029】
図2及び
図6~
図8に示すように、中栓26は、本体部28を備える。本体部28は、外筒28aと、内筒28bと、環状凸部28cと、係合凸部28dと、天板28eと、流通孔28iを備える。
【0030】
流通孔28iは、天板28eに設けられており、内袋4内の内容物は、流通孔28iを通じて吐出することができる。天板28eは、外筒28aの上面に設けられる。天板28eの下面には内筒28bが設けられている。内筒28bは、外筒28aよりも直径が小さく、外筒28aの内部に配置される、いわゆるインナーリングである。中栓26を口部5に装着すると、内筒28bが内袋4内に挿入され、内筒28bの外周面が内袋4の内周面に密着する。
【0031】
環状凸部28cは、外筒28aの内周面に周方向に延びるように設けられる環状の凸部である。環状凸部28cが係合凸部4c2と軸方向に係合することによって、本体部28が内袋4の口部5に軸方向に係合する。係合凸部28dは、周方向に離間されて複数箇所(本実施形態では8箇所)に設けられることが好ましい。係合凸部28dは、環状凸部28c上に配置され、環状凸部28cから径方向内側に向かって突出するように設けられる。係合凸部28dは、隣接する係合凸部4c2の間に配置され、これによって、本体部28が内袋4の口部5に周方向に係合する。
【0032】
<内袋4の引き抜き>
口部装着部材8は、内袋4の口部5に周方向及び軸方向に係合されており、口部装着部材8の回転に伴って内袋4の口部5が外殻3に対して回転するように構成されている。このため、口部装着部材8を回転させることによって、内袋4を捻ることができる。また、口部装着部材8を把持して引っ張ることによって内袋4を引き抜くことができる。本実施形態では、内容物を使い切った後は、内袋4が収縮しているものの、内袋4を捻ることによって内袋4の引き抜きが一層容易になる。
【0033】
1-2.二重容器1の製造方法
図8~
図9に示すように、容器本体2は、プリフォーム15を加熱して二軸延伸ブロー成形することによって形成することができる。
【0034】
<内プリフォーム14、外プリフォーム13、プリフォーム15の構成>
プリフォーム15は、一例では、内袋4となる内プリフォーム14に、外殻3となる外プリフォーム13を被せて構成することができる。
【0035】
図8に示すように、内プリフォーム14は、有底筒状であり、口部14aと、胴部14bと、底部14cを備える。口部14aの開口端には、突出部14dが設けられている。突出部14dは、成形時に変形せずにそのままの形状で突出部4cとなる。従って、突出部4cについて述べた事項は、突出部14dにも当てはまる。突出部14dには、係合部14mが設けられて。係合部14mは、成形後に係合部4mとなり、内袋4の引き抜きに用いられる。底部14cは、胴部14bの下端を閉じるように設けられる。底部14cには、位置決めピン(不図示)を設けてもよい。
【0036】
図8~
図9に示すように、外プリフォーム13は、有底筒状であり、口部13aと、胴部13bと、底部13cを備える。底部13cは、胴部13bの下端を閉じるように設けられる。底部13cには、環状凸部13d及び位置決め孔(不図示)が設けられている。
【0037】
外プリフォーム13の口部13aには貫通孔13eが設けられている。口部13aは二軸延伸ブロー成形の際にほとんど変形しないので、貫通孔13eが外殻3の貫通孔3p1となる。
図9Aに示すように、外プリフォーム13の口部13aの内面には、外プリフォーム13の底部側に向かって延びる凸条13fが設けられている。凸条13fは、貫通孔13eが設けられた高さ位置又はそれよりも高い位置を起点として、外プリフォーム13の底部側に向かって延びるように設けることが好ましい。凸条13fは、二軸延伸ブロー成形後に外殻3の凸条3rとなる。凸条13fは、好ましくは、口部13aと胴部13bにまたがって設けられる。凸条13fのうち口部13aに設けられている部分は、二軸延伸ブロー成形の際にほとんど変形せず、胴部13bに設けられている部分は、胴部13bと共に延伸される。
【0038】
図9Bに示すように、外プリフォーム13の全高をHとすると、凸条13fの下端13gの位置は、外プリフォーム13の下端13hから0.8H以下であることが好ましい。これによって、凸条3rが十分に長くなり、胴部6にまで外気が導入されやすくなる。凸条13fの下端13gの位置は、例えば、外プリフォーム13の下端13hから0.1H~0.8Hであり、0.4H~0.8Hが好ましく、具体的には例えば、0.1H,0.2H,0.3H,0.4H,0.5H,0.6H,0.7H,0.8Hであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲又は何れか以下であってもよい。
図9Cに示すように、凸条13fは、貫通孔13eに隣接した位置に設けられることが好ましい。また、複数の凸条13fが貫通孔13eを挟むように配置されることが好ましい。凸条13fの数は、例えば1~40であり、2~30が好ましい(本実施形態では18)。この数は、具体的には例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、18、20、25、30、35、40であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。凸条13fの幅及び突出量は、それぞれ、例えば、0.2~3mmであり、0.5~2mmが好ましい。
【0039】
内プリフォーム14に外プリフォーム13を被せることによって、プリフォーム15を形成することができる。内プリフォーム14に位置決めピンが設けられている場合には、この位置決めピンを外プリフォーム13の位置決め孔に挿入して、内プリフォーム14と外プリフォーム13を互いに位置決めすることができる。プリフォーム15では、口部14aと口部13aが対向し、胴部14bと胴部13bが対向する。
【0040】
口部13a,14aがプリフォーム15の口部となり、胴部13b,14bがプリフォーム15の胴部となり、底部13c,14cがプリフォーム15の底部となる。プリフォーム15の胴部及び底部が、二軸延伸ブロー成形において主に延伸される。
【0041】
<内プリフォーム14、外プリフォーム13、プリフォーム15の材料・製造方法>
内プリフォーム14及び外プリフォーム13は、ポリエステル(例:PET)やポリオレフィン(例:ポリプロピレン、ポリエチレン)等の熱可塑性樹脂のダイレクトブロー成形や射出成形等によって形成可能である。一例では、内プリフォーム14がポリオレフィン(例:ポリプロピレン)で構成され、外プリフォーム13はPETで構成される。内プリフォーム14に用いられるポリオレフィンは、ポリエチレンよりもポリプロピレンが好ましい。ポリプロピレンの方が、ポリエチレンよりも、二軸延伸ブロー成形に適した温度がPETに近いからである。
【0042】
プリフォーム15は、内プリフォーム14と外プリフォーム13を別々に製造した後に、内プリフォーム14に外プリフォーム13を被せて構成することができる。
【0043】
内プリフォーム14は、溶融状態の筒状パリソンを用いたダイレクトブロー成形で形成することが好ましい。ダイレクトブロー成形では、射出成形に比べて、薄肉化及び多層化が容易であるので、ダイレクトブロー成形で内プリフォーム14を形成することによって、内袋4の薄肉化が可能であり、多層構造の内袋4を形成しやすい。
【0044】
筒状パリソンの内面同士が溶着して構成されるシール部は、強度が不十分である場合があり、
図8に示すように、シール部43を内プリフォーム14の本体部14qから突出させて突出シール部42とすることが好ましい。突出シール部42は、筒状パリソンの内面同士が溶着して構成され且つ内プリフォーム14の本体部14qから突出する。本体部14qは、内プリフォーム14のうち突出シール部42以外の部位を指す。
図8に示すように、シール部43を突出させて突出シール部42とすることによって、シール面の面積が大きくなり、シール部43でのシール強度が高められる。
【0045】
好ましくは、外プリフォーム13は、射出成形体であり、内プリフォーム14は、ダイレクトブロー成形体である。ダイレクトブロー成形は、射出成形に比べて成形体の形状精度が低いので、ダイレクトブロー成形体である内プリフォーム14の外面に凸条を設けようとすると、凸条の形状精度が低くなり、二軸延伸ブロー成形後に胴部6に外気が導入されにくくなる虞がある。一方、射出成形は成形体の形状精度が高いので、射出成形体である外プリフォーム13の内面に凸条13fを設ける場合に、凸条13fの形状精度が悪くなりにくく、上記問題の発生が抑制される。
【0046】
<第1実施形態の変形例>
本実施形態は、以下の形態でも実施することができる。
・口部装着部材8は、ネジ式で口部5に装着されるものであってもよい。
・弁部材54は、外殻3に装着してもよい。例えば、弁部材54を貫通孔3p1に挿入することによって装着してもよい。
・口部装着部材8は、内袋4に係合させずに、外殻3のみに係合させるようにしてもよい。
・弁部材54は、フラップ式などの別の方式による弁であってもよい。
・弁部材54は、省略可能である。ポンプ式容器の場合は、弁部材54なしでも内容物を問題なく吐出できる。スクイズ式容器の場合、弁部材54がなくても、貫通孔3p1を指などで閉塞することによって、外殻3に加えた圧縮力を内袋4に伝達させることができる。
・内袋4の引き抜きは、口部装着部材8を用いずに行ってもよい。例えば、口部装着部材8を最初に外した後に、内袋4を直接引っ張って、内袋4の引き抜きを行ってもよい。
【0047】
2.第2実施形態
図10~
図13を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態の二重容器1は、第1実施形態に類似しており、以下、相違点を中心に説明する。
【0048】
2-1.二重容器1の構成
第1実施形態は、内袋4の内容物の減少に伴って内袋4が収縮することが想定されていたが、本実施形態の二重容器1は、内袋4の内容物の減少に伴って内袋4が収縮する態様で実施してもよく、内袋4が収縮しない態様で実施してもよい。後者の場合、外殻3と内袋4の間の中間空間55に外気を導入する必要がないので、外気導入部3pは不要である。また、弁部材54を設ける必要がない。また、口部装着部材8には、内袋4の内容物の吐出を可能にしつつ内袋4内への外気の流入を規制する逆止弁を設ける必要がない。
【0049】
一方、本実施形態の二重容器1は、内袋4の内容物を使い切った後に内袋4を容器本体2から引き抜くことを想定しており、内袋4の引き抜きを容易にするために、以下に示す構成が設けられている。
【0050】
すなわち、
図10に示すように、内袋本体4dの外周面には、カム凸部4gと、係合凸部4hが設けられている。係合凸部4hは、カム凸部4g上に設けられている。カム凸部4gと係合凸部4hのそれぞれの下面は、それぞれ、口部5の開口端5c側から見て、反時計周りに進むにつれて開口端5cに近づくように傾斜している。
【0051】
図11に示すように、外殻3の内周面には、カムレール3lと、係合凹部3mと、係合凸部3nが設けられている。係合凹部3mは、係合凹部3mの下面がカムレール3lの上面と連続するように設けられている。カムレール3lの上面及び係合凹部3mの下面は、開口端3a側から見て、反時計周りに進むにつれて開口端3aに近づくように傾斜している。係合凸部3nは、係合凹部3mに隣接した位置に配置されている。
【0052】
内袋4を容器本体2から引き抜く前の状態では、係合凸部4hが係合凹部3m内に配置されており、カム凸部4gの下面がカムレール3lの上面に当接している。カム凸部4gとカムレール3lによって、カム機構31が構成される。本実施形態では、係合凹部3mは貫通孔であるが、非貫通孔であってもよい。
【0053】
内袋4を反時計回りに回転させようとすると、係合凸部4hが係合凸部3nに当接して、回転が規制される。この規制は強固ではなく、強めのトルクを内袋4に加えると、係合凸部4hが係合凸部3nを乗り越え、内袋4が外殻3に対して自由に回転可能となる。そして、内袋4を反時計回りにさらに回転させると、内袋4がカム機構31の作用によって容器本体2から抜け出す方向に移動する。この際に、内袋4が捻られて縮径される。このように、内袋4が縮径されると共に、容器本体2から抜け出す方向に移動するので、内袋4が引き抜きやすくなる。
【0054】
内袋4と口部装着部材8の係合構造は、第1実施形態と同様であり、口部装着部材8を回転させることによって、内袋4を捻ることができる。
【0055】
2-2.二重容器1の製造方法
本実施形態の二重容器1は、プリフォーム15の形状が異なる点を除くと、第1実施形態と同様の方法で適用可能である。
【0056】
本実施形態のプリフォーム15は、
図12~
図13に示す形状を有する。外プリフォーム13の全高をHとし、外プリフォーム13の下端13hから0.2Hの位置での内プリフォーム14の外径をDi
0.2とし、外プリフォーム13の外径をDo
0.2とすると、Di
0.2/Do
0.2は、0.70以下であることが好ましい。Di
0.2/Do
0.2が0.70以下である場合、二軸延伸ブロー成形の際に、プリフォーム15の底部近傍において、内プリフォーム14が外プリフォーム13に比べて大きく引き伸ばされることになり、その分だけ薄肉化される。このため、内袋4を特に薄肉化することができる。Di
0.2/Do
0.2は、例えば、0.10~0.70であり、具体的には例えば、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0057】
0.2Hの位置での内プリフォーム14の厚さは、例えば0.5~2.0mmであり、具体的には例えば、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。0.2Hの位置での外プリフォームの厚さは、例えば、1.5~4.0mmであり、具体的には例えば、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。0.2Hの位置での[外プリフォーム13の厚さ/内プリフォーム14の厚さ]の値は、例えば、1.0~3.0であり、具体的には例えば、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0058】
Di0.2は、例えば6~20mmであり、8~16mmが好ましい。この値は、具体的には例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。Do0.2は、例えば12~40mmであり、18~32mmが好ましい。この値は、具体的には例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0059】
外プリフォーム13の開口端13iでの内プリフォーム14の外径をDiとすると、Di0.2/Diは、0.60以下が好ましい。この場合、プリフォーム15の底部近傍において、内プリフォーム14が大きく縮径されるので、内袋4の底部7の近傍での内袋4の薄肉化が顕著である。Di0.2/Diは、例えば、0.10~0.60であり、具体的には例えば、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0060】
内プリフォーム14は、内側に向かって凸となるように湾曲する内方湾曲部位14rを備える。この場合、内方湾曲部位14rにおいて、内プリフォーム14が顕著に縮径される。内方湾曲部位14rは、二軸延伸ブロー成形後に容器本体2の肩部6bとなる部位に設けることが好ましい。肩部6bは、内袋4を容器本体2から引き抜く際の抵抗力が大きくなりやすいので、肩部6bを薄肉化することが特に望まれる場合がある。内方湾曲部位14rを設けると、二軸延伸ブロー成形の際のブロー比が大きくなりやすいので、肩部6bの薄肉化が可能である。
【0061】
内方湾曲部位14rの高さ範囲(つまり、内方湾曲部位14rの上端と下端の間の上下方向の距離)をHcとすると、Hc/Hは、0.10以上であることが好ましい。高さ方向の広い範囲に渡って内方湾曲部位14rを設けることによって、広い範囲での内袋4の薄肉化が可能となる。Hc/Hは、例えば、0.10~0.60であり、具体的には例えば、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0062】
外プリフォーム13の下端13hから0.2H~1.0Hの範囲内において、内プリフォーム14と外プリフォーム13の間の隙間15dは、内方湾曲部位14rにおいて最大となることが好ましい。二軸延伸ブロー成形では、通常、内プリフォーム14が外プリフォーム13よりも先行して膨張するので、内プリフォーム14と外プリフォーム13の間に隙間があると、まずは、この隙間をなくすように内プリフォーム14が膨張し、その後に、内プリフォーム14と外プリフォーム13が一緒に膨張して、容器本体2を形成する。最初の膨張の際には、隙間15dが大きい部位ほど、内プリフォーム14が大きく延伸して薄肉化される。このため、隙間15dが内方湾曲部位14rにおいて最大になるようにすることによって、内方湾曲部位14rによって形成される部位(例:肩部6b)を一層薄肉化することができる。
【0063】
隙間15dが最大となる高さ位置で隙間15dの大きさをSmaxとし、その高さ位置での内プリフォーム14の外径をDimaxとすると、Smax/Dimaxは例えば、0.20~0.80であり、具体的には例えば、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0064】
内方湾曲部位14rでの隙間15dを大きくするために、外プリフォーム13は、内方湾曲部位14rに対向する部位13jの一部又は全部が外側に向かって凸になるように湾曲されていることが好ましい。
【0065】
外プリフォーム13の開口端13iでの外プリフォーム13の外径をDoとすると、Do0.2/Doは、0.95以下である。これによって、底部近傍での隙間15dが大きくなりすぎることが抑制され、内方湾曲部位14rにおいて内プリフォーム14が選択的に膨張しやすくなる。Do0.2/Doは、例えば、0.50~0.95であり、具体的には例えば、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0066】
本実施形態では、内プリフォーム14は、射出成形で形成することが好ましい。射出成形は、形状精度を高めやすいという利点があるものの、ダイレクトブロー成形に比べて薄肉化の難易度が高い。本実施形態は、内プリフォーム14を縮径することによって、内プリフォーム14を薄肉化することなく、内袋4の肉厚を低減させるという思想にも基づくものであり、射出成形によって内プリフォーム14を形成する場合に特に技術的意義が顕著である。
【0067】
3.第3実施形態
図14~
図18を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態の二重容器1は、第2実施形態に類似しており、以下、相違点を中心に説明する。
【0068】
3-1.二重容器1の構成
本実施形態の二重容器1は、第2実施形態と同様に、内袋4の内容物を使い切った後に内袋4を容器本体2から引き抜くことを想定しており、内袋4の引き抜きを容易にするために、以下に示す構成が設けられている。
【0069】
図14~
図16に示すように、本実施形態では、外殻3は、外殻本体33と、これに連結可能な係合部材34を備える。外殻本体33と係合部材34の連結機構は、外殻本体33が係合部材34から分離可能な構成であれば限定されない。一例では、外殻本体33と係合部材34は、外殻本体33の雄ネジ部33bと係合部材34の雌ネジ部34bにおいて螺合されており、両者を螺合解除方向に相対回転させることによって、外殻本体33が係合部材34から分離可能になっている。
【0070】
図16Bに示すように、外殻本体33と係合部材34が連結された状態で、係合部材34の突出部34aが、外殻本体33よりも、容器本体2の内側に向かって突出している。内袋4の内袋本体4dには、係合突起4qが設けられており、係合突起4qが突出部34aに係合することによって、内袋4が係合部材34に軸方向に係合される。
【0071】
図14に示すように、外殻本体33の口部5の内面には、係合突起4qと係合可能な係合突起33dが設けられており、係合突起4qと係合突起33dが周方向に係合することによって、外殻3に対する内袋4の相対回転が規制されている。なお、係合突起4qと係合突起33dは、それぞれ、複数個設けられており、外殻3と内袋4の相対回転の遊びが小さくなっている。なお、外殻3と内袋4の相対回転を規制する必要がない場合、係合突起33dは不要である。また、係合突起4qは、環状に形成してもよい。
【0072】
内袋4の内容物を使い切った後は、外殻本体33を係合部材34から分離することによって、外殻本体33を容器本体2から分離することができる。外殻本体33と係合部材34が螺合されている場合、外殻本体33と係合部材34を螺合解除方向に相対回転させることによって、外殻本体33を係合部材34から分離することができる。係合部材34は、内袋4の当接フランジ4c4に当接しており、、外殻本体33を係合部材34から分離する際に、係合部材34が当接フランジ4c4を押し上げる方向の力が発生し、内袋4が引き抜きやすくなる。また、内袋4と外殻本体33は、周方向にのみ係合しているので、内袋4と外殻本体33を分離する際の抵抗力が大きくなりにくい。
【0073】
3-2.二重容器1の製造方法
本実施形態の二重容器1は、プリフォーム15の形状が異なる点を除くと、第1実施形態と同様の方法で適用可能である。
【0074】
本実施形態では、
図17に示すように、外プリフォーム13は、外プリフォーム本体16と、係合部材17で構成される。外プリフォーム本体16と係合部材17は、二軸延伸ブロー成形後に、それぞれ、外殻本体33及び係合部材34となる。外プリフォーム本体16は、雄ネジ部33bに対応する雄ネジ部16bを備えており、係合部材17と螺合可能になっている。外プリフォーム本体16と係合部材17を螺合させた得られた外プリフォーム13を、内プリフォーム14に被せることによって、二軸延伸ブロー成形に用いるプリフォーム15を得ることができる。
【0075】
<変形例>
図18Aに示す変形例1のように、係合部材34に設けた凹部34cに、内袋4に設けた係合突起4qを係合させることによって、内袋4と係合部材34を軸方向に係合させてもよい。また、
図18Bに示す変形例2のように、外殻本体33に設けた雌ネジ部33cと係合部材34に設けた雄ネジ部34dにおいて、外殻本体33と係合部材34を螺合させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 :二重容器
2 :容器本体
3 :外殻
3a :開口端
3l :カムレール
3m :係合凹部
3n :係合凸部
3p :外気導入部
3p1 :貫通孔
3q :密閉用フランジ
3r :凸条
4 :内袋
4c :突出部
4c1 :突出筒
4c2 :係合凸部
4c3 :テーパー面
4c4 :当接フランジ
4c5 :環状凸部
4c8 :テーパー面
4d :内袋本体
4g :カム凸部
4h :係合凸部
4k :拡径構造
4l :開口端
4m :係合部
4q :係合突起
5 :口部
5b :フランジ
5c :開口端
6 :胴部
6b :肩部
6c :胴部本体
7 :底部
8 :口部装着部材
8a :キャップ
8b :筒部
8c :貫通孔
13 :外プリフォーム
13a :口部
13b :胴部
13c :底部
13d :環状凸部
13e :貫通孔
13f :凸条
13g :下端
13h :下端
13i :開口端
13j :部位
14 :内プリフォーム
14a :口部
14b :胴部
14c :底部
14d :突出部
14m :係合部
14q :本体部
14r :内方湾曲部位
15 :プリフォーム
15d :隙間
16 :外プリフォーム本体
16b :雄ネジ部
17 :係合部材
26 :中栓
27 :オーバーキャップ
28 :本体部
28a :外筒
28b :内筒
28c :環状凸部
28d :係合凸部
28e :天板
28i :流通孔
31 :カム機構
33 :外殻本体
33b :雄ネジ部
33c :雌ネジ部
33d :係合突起
34 :係合部材
34a :突出部
34b :雌ネジ部
34c :凹部
34d :雄ネジ部
42 :突出シール部
43 :シール部
53 :密閉空間
54 :弁部材
54a :筒体
54b :移動体
55 :中間空間
C :中心軸