(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047845
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】エレベーターシステム及びエレベーター保守点検方法
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20240401BHJP
B66B 3/02 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
B66B5/00 D
B66B3/02 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153568
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神谷 駿
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一朗
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋
【テーマコード(参考)】
3F303
3F304
【Fターム(参考)】
3F303BA01
3F303CB13
3F303DA08
3F303DB11
3F304BA02
3F304BA22
3F304BA24
3F304EA05
3F304EA26
3F304EB15
(57)【要約】
【課題】昇降路に制御盤が設置されたエレベーターにおいて、作業員がかご上に乗り込んで制御盤の作業を行う際における、作業員の安全を適切に確保できるようにする。
【解決手段】保守作業を行う作業員が保持する保守用端末として、エレベーターの制御盤と通信を行う送受信部21と、送受信部21が受信した情報に基づいて、乗りかごの昇降路内の位置を特定するかご位置特定部221と、当該エレベーターシステムのスペック情報に基づいて、制御盤の位置を特定する制御盤位置特定部222と、制御盤位置特定部222で特定した制御盤の位置に対して作業を行う際に、かご位置特定部221で特定した乗りかごの位置が適正かを判定する判定部223と、判定部223で適正と判定したとき、制御盤の保守作業を許可する保守作業実行部(アプリ制御部224)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかごが昇降する昇降路に制御盤が設置されたエレベーターシステムであり、
前記エレベーターシステムの保守作業を行う作業員が保持する保守用端末として、
エレベーターの制御盤と通信を行う送受信部と、
前記送受信部が受信した情報に基づいて、前記乗りかごの昇降路内の位置を特定するかご位置特定部と、
当該エレベーターシステムのスペック情報に基づいて、前記制御盤の位置を特定する制御盤位置特定部と、
前記制御盤位置特定部で特定した前記制御盤の位置に対して作業を行う際に、前記かご位置特定部で特定した前記乗りかごの位置が適正かを判定する判定部と、
前記判定部で適正と判定したとき、前記制御盤の保守作業を許可する保守作業実行部と、を備える
エレベーターシステム。
【請求項2】
前記保守作業実行部は、前記制御盤に実装されたメモリのデータを書き換える処理である
請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項3】
前記かご位置特定部は、巻上機に設置されたロータリーエンコーダの検出値に基づいて、前記乗りかごの昇降路内の位置を特定する
請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項4】
前記昇降路に、前記巻上機の駆動により昇降するカウンタウェイトの位置を検出するセンサが設置され、
前記かご位置特定部は、前記ロータリーエンコーダの検出値から前記乗りかごの位置が特定できないとき、前記センサの検出信号から前記乗りかごの昇降路内の位置を特定する
請求項3に記載のエレベーターシステム。
【請求項5】
前記かご位置特定部で前記乗りかごの位置が特定できないとき、前記判定部は、前記制御盤に設置された操作部の操作信号を前記送受信部が受信することで、前記乗りかごの位置が適正と判定する
請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項6】
前記乗りかごの上面に設置されるストッパの装着を検出するスイッチを、前記乗りかごは備え、
前記かご位置特定部で前記乗りかごの位置が特定できないとき、前記判定部は、前記ストッパが装着されたことを示す前記スイッチの検出信号を前記送受信部が受信することで、前記乗りかごの位置が適正と判定する
請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項7】
乗りかごが昇降する昇降路に制御盤が設置されたエレベーターの保守作業を行うエレベーター保守点検方法であり、
前記乗りかごの昇降路内の位置を特定するかご位置特定処理と、
当該エレベーターのスペック情報に基づいて、前記制御盤の位置を特定する制御盤位置特定処理と、
前記制御盤位置特定処理で特定した前記制御盤の位置に対して前記保守作業を行う際に、前記かご位置特定処理で特定した前記乗りかごの位置が適正かを判定する判定処理と、
前記判定処理で適正と判定したとき、前記制御盤の保守作業を許可する保守作業実行処理と、を含む
エレベーター保守点検方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターシステム及びエレベーター保守点検方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、機械室のないエレベーターが普及している。この機械室のないエレベーターの場合、制御盤は昇降路内に設置されることになるが、昇降路内の制御盤の設置位置として、昇降路底部のピットの近傍に設置されるものと、昇降路の最上階の近傍に設置されるものがある。
【0003】
昇降路の最上階の近傍に制御盤が設置される場合、その制御盤の保守時には、最上階付近に乗りかごを停止させ、最上階の乗場ドアから乗りかごの上に作業員が乗り込んで各種作業を行うようにしている。
作業員が制御盤に対して行う作業としては、制御盤の部品交換、プログラムなどのデータ書き換え等がある。
このような作業員が乗りかごの上に乗り込んで制御盤の保守作業を行う際には、いうまでもなく、作業員の安全性を確保して行う必要がある。
【0004】
特許文献1には、エレベーターの乗場ドアを外部から開放する外部開放治具を使った転落防止技術についての記載がある。すなわち、特許文献1には、外部開放治具を使って乗場ドアを開放した際の乗りかごの位置が、作業員が乗り込むことができない不適切な位置である場合に、外部装置で警告を行う技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されるように、乗場ドアを外部開放治具で開放した際に、乗りかごの上に乗り込む作業員に、かご位置の警告を行うことは従来から提案されている。しかしながら、特許文献1に記載の技術は、乗場ドアを専用の外部開放治具で開放することが前提であり、乗場ドアを専用の治具を使わずに開けた際には、適切な警告ができないという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、作業員がかご上に乗り込んで制御盤の作業を行う際に、作業員の安全を適切に確保できるエレベーターシステム及びエレベーター保守点検方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、乗りかごが昇降する昇降路に制御盤が設置されたエレベーターシステムである。
構成としては、エレベーターシステムの保守作業を行う作業員が保持する保守用端末として、エレベーターの制御盤と通信を行う送受信部と、送受信部が受信した情報に基づいて、乗りかごの昇降路内の位置を特定するかご位置特定部と、当該エレベーターシステムのスペック情報に基づいて、制御盤の位置を特定する制御盤位置特定部と、制御盤位置特定部で特定した制御盤の位置に対して作業を行う際に、かご位置特定部で特定した乗りかごの位置が適正かを判定する判定部と、判定部で適正と判定したとき、制御盤の保守作業を許可する保守作業実行部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、エレベーターの乗りかごの位置が、制御盤の位置に対して適正で作業可能である場合に、保守用端末を使用して保守作業が実行される。このため、乗りかごの位置が適正でなく安全性が確保できない状況で、作業員による制御盤の保守作業が行われることがないので、作業員の安全性向上を図ることができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施の形態例によるエレベーターシステムの構成図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態例による制御処理を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の第1の実施の形態例での乗りかごと制御盤との位置関係(例1)を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態例での乗りかごと制御盤との位置関係(例2)を示す図である。
【
図5】本発明の第2の実施の形態例によるエレベーターシステムの構成図である。
【
図6】本発明の第2の実施の形態例による制御処理を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第2の実施の形態例によるカウンタウェイトセンサ及び制御盤の例を示す図である。
【
図8】本発明の第2の実施の形態例による制御盤を開けた例を示す図である。
【
図9】本発明の第3の実施の形態例によるエレベーターシステムの構成図である。
【
図10】本発明の第3の実施の形態例による制御処理を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の第4の実施の形態例によるエレベーターシステムの構成図である。
【
図12】本発明の第4の実施の形態例による制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施の形態例>
以下、本発明の第1の実施の形態例によるエレベーターシステム及びエレベーター保守点検方法を、
図1~
図4を参照して説明する。
【0012】
[制御盤の配置構成]
まず、
図3及び
図4を参照して、本実施の形態例における、エレベーター内の制御盤の配置状態を説明する。
図3に示すように、エレベーターシステム10の昇降路300には、乗りかご301が配置されている。乗りかご301は、主ロープ303を介してカウンタウェイト302と接続されている。そして、巻上機304による主ロープ303の駆動で、カウンタウェイト302とバランスを取りながら、乗りかご301が昇降路300を昇降(走行)する。
【0013】
巻上機304には、回転角度を検出するロータリーエンコーダ131が取り付けられている。エレベーターの制御装置(不図示)は、このロータリーエンコーダ131の検出値から乗りかご301の昇降位置を検出することができる。また、カウンタウェイト302が昇降路300内の最も下側になる位置の近傍には、カウンタウェイトセンサ132が配置されており、これによりカウンタウェイト302の昇降位置が検出される。但し、カウンタウェイトセンサ132がカウンタウェイト302の昇降位置を検出するときは、乗りかご301が最上階の近傍にあるときである。
【0014】
昇降路300の各階の停止位置に隣接して、1階から4階の乗場410,420,430,440が配置されている。各階の乗場410,420,430,440には、乗場ドア411,421,431,441が配置され、乗りかご301が停止した際に、かごドア(不図示)に連動して開閉する。
また、各階の乗場410,420,430,440には、かご呼び釦412,422,432,442が配置されている。なお、4階のかご呼び釦442の箇所には、後述する保守用端末を接続するための接続端子442aが取付けられている。この接続端子442aは、かご呼び釦442に隣接した箇所の蓋を開けることで露出される構成になっており、通常の運転時には隠されている。
【0015】
昇降路300の最上階(ここでは4階)の乗場440に隣接した位置には、制御盤306が配置されている。制御盤306には、エレベーター制御装置が内蔵されており、エレベーター制御装置は、各階のかご呼び釦412,422,432,442や乗りかご301内の操作盤(不図示)の操作信号を受信して、乗りかご301の昇降やかごドアの開閉を制御する。
【0016】
また、制御盤306には、デップスイッチ等で構成された操作部307が取付けられており、作業員は、この操作部307を操作することで調整や修理などの保守作業を行うことができる。この制御盤306は、最上階の乗場440に隣接した位置にあるため、作業員は、乗りかご301の位置を適正な位置に停止させた後、乗りかご301の上(外側)に乗り込んで、制御盤306の保守作業を行う。
【0017】
図3に示す例では、乗りかご301は1階の乗場410に停止している。この状態では、作業員は、制御盤306の保守作業を行うことはできない。
図4は、制御盤306の保守作業を行う際の乗りかご301の位置を示す。
図4に示すように、制御盤306の保守作業を行う場合には、乗りかご301を最上階の下の階である3階に停止させる。この状態で、作業員は、手動で4階の乗場ドア441を開け、乗りかご301の上に乗り込んで、制御盤306の保守作業を行う。
【0018】
乗りかご301の上に乗り込んだ作業員は、乗りかご301の上部にかご上ストッパ308を取付けて、乗りかご301が昇降路300のガイドレール(不図示)に固定した状態として、作業を行う場合がある。このかご上ストッパ308が取付けられた場合、乗りかご301の上面に設置されたセンサにより、ストッパ取付けが検知される。
【0019】
なお、
図4に示すように4階に制御盤306が配置された状態で、作業員が乗り込むために3階に乗りかご301を停止させるのは一例である。建物の形状によっては、3階より上の位置、すなわち本来の停止位置よりも上に乗りかご301を停止させる場合もある。
【0020】
[エレベーターシステムの構成]
次に、
図1を参照して、本実施の形態例のエレベーターシステム10の構成を説明する。
エレベーターシステム10は、制御部12と、制御部12に接続された送受信部11と、センサ部13とを備える。
センサ部13は、エレベーターの各部の状態を検出するセンサで構成される。例えば、センサ部13として、巻上機304による駆動状態を検出するロータリーエンコーダ131を備える。ロータリーエンコーダ131の検出値は、制御部12に供給される。制御部12などで構成されるエレベーター制御装置には、エレベーター制御を行うためのアプリケーションプログラムが書き込まれたメモリが実装される。このメモリに書き込まれたアプリケーションプログラムは、接続された保守用端末20からの指示で書き換えが可能である。
【0021】
送受信部11は、保守用端末20と情報の送受信を行う通信装置である。
なお、制御部12は、
図3に示す乗りかご301の走行を制御する装置であり、かご呼び釦412,422,432,442やかご内の操作盤などと通信を行う。また、制御部12は、巻上機304の駆動を制御する機構を備えるが、
図1ではこれらの機構については省略している。
【0022】
エレベーターシステム10の保守作業を行う作業員は、保守用端末20を所持している。保守用端末20は、タブレット端末、スマートフォン端末、ノート型のパーソナルコンピュータ端末などで構成される。そして、保守用端末20には、エレベーター保守作業用アプリケーションプログラムが実装されている。
作業員は、保守作業を行う際に、保守用端末20に実装されたエレベーター保守作業用アプリケーションプログラムを実行して、アプリケーションプログラムの実行画面上での指示に基づいて、保守作業を実行する。
【0023】
作業員は、
図4に示す制御盤306の保守作業を行う際には、4階のかご呼び釦442の近傍に設置された接続端子442aに、保守用端末20をケーブルで接続する。この接続により、保守用端末20の送受信部21が、制御部12の送受信部11と送受信可能な状態に接続される。なお、ケーブルで保守用端末20を接続するのは一例であり、無線通信で保守用端末20が制御部12と情報の送受信を行うようにしてもよい。
【0024】
保守用端末20は、エレベーター保守作業用アプリケーションプログラムを実行することにより、CPU(中央制御ユニット)で構成される制御部22に、
図1に示される各処理部が構成される。すなわち、制御部22には、エレベーター保守作業用アプリケーションプログラムを実行することで、かご位置特定部221、制御盤位置特定部222、判定部223、及びアプリケーション制御部(
図1では、「アプリ制御部」と略記)224が構成される。
【0025】
また、保守用端末20は、記憶部23を備える。記憶部23は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)などの主記憶装置,HDD(Hard Disk Drives),フラッシュメモリなどの補助記憶装置により構成される。
記憶部23には、エレベータースペック情報231が記憶される。このエレベータースペック情報231には、制御盤の位置の特定に必要な機種情報、揚程,階床,階高情報などが含まれる。保守用端末20は、このエレベータースペック情報231に基づいて、ビルに設置されたエレベーターの制御盤の位置と、その制御盤の保守作業時に適切な乗りかご301の位置を判断することができる。
【0026】
記憶部23には、エレベーター保守作業用アプリケーションプログラムと、このプログラムの実行で得られた情報も記憶される。また、制御盤306に記憶されたプログラムの更新作業を行う際には、更新用のプログラムも、記憶部23に記憶される。但し、更新用のプログラムは、記憶部23が記憶する代わりに、外部のサーバ(不図示)から保守用端末20がダウンロードしてもよい。
【0027】
かご位置特定部221は、制御部12で判定した乗りかご301の昇降位置の情報を取得して、乗りかご301の昇降位置を特定する。乗りかご301の昇降位置の情報は、ロータリーエンコーダ131の検出値から制御部12内で算出される。あるいは、かご位置特定部221は、ロータリーエンコーダ131の検出値を直接取得して、乗りかご301の昇降位置を算出してもよい。また、かご位置特定部221は、気圧センサなどのその他のセンサの検出値から、乗りかご301の昇降位置を特定してもよい。
【0028】
制御盤位置特定部222は、記憶部23に記憶されたエレベータースペック情報231から、作業中のエレベーターの制御盤306の位置を特定する。
判定部223は、かご位置特定部221で特定した乗りかご301の位置と、制御盤位置特定部222で特定した制御盤306の位置とを比較して、制御盤306の作業を行う上で、乗りかご301の位置が適正か否かを判定する。本実施の形態例の場合には、
図4に示すように、乗りかご301が、最上階の1つ下の階(3階)に停止しているか否かを判定する。
【0029】
アプリケーション制御部224は、送受信部21で接続された制御部12が配置された制御盤306の保守作業を実行する保守作業実行部であり、制御盤306の保守作業の指示などを行う。また、アプリケーション制御部224は、必要があれば、制御盤306に実装されたプログラムの書き換えを実行する。このアプリケーション制御部224による制御盤306の保守作業は、判定部223で乗りかご301の位置が適正な場合、つまり乗りかご301が3階に停止している場合に行われる。
【0030】
[制御盤の保守作業の流れ]
図2は、本実施の形態例による、保守用端末20での制御盤306の保守作業の流れの例を示すフローチャートである。
ここでは、制御盤306の保守作業の一例として、制御盤306に実装されたプログラムの書換えを行うものとする。
【0031】
まず、保守用端末20のアプリケーション制御部224が、データ書換えアプリケーションプログラムを起動させる(ステップS101)。
このデータ書換えアプリケーションプログラムが起動すると、かご位置特定部221は、ロータリーエンコーダ131の検出値に基づいた乗りかご301の昇降位置を特定する(かご位置特定処理:ステップS102)。
そして、判定部223は、かご位置特定部221が特定した乗りかご301の位置と、エレベータースペック情報231から制御盤位置特定部222による制御盤位置特定処理により特定した制御盤306の位置とに基づいて、乗りかご301が適正な位置にあるか否かを判定する(判定処理:ステップS103)。
【0032】
ステップS103で、乗りかご301が適正な位置にある場合(ステップS103のYES)、アプリケーション制御部224は、データ書換えアプリケーションプログラムによる作業(書込み作業)を許可する(ステップS104)。この許可があると、作業員は、保守端末20を操作してデータ書換えアプリケーションプログラムを実行し、制御盤306に実装されたメモリ内のプログラムの書換えを行う(保守作業実行処理)。この乗りかご301が適正な位置にあり作業を許可する場合は、既に説明したように、乗りかご301が
図4に示す昇降位置にあるときである。
【0033】
また、ステップS103で、乗りかご301が適正な位置でない場合(ステップS103のNO)、アプリケーション制御部224は、制御盤306に実装されたプログラムの書換えを実行せず、書換え不可のアラートを発信する(ステップS105)。この乗りかご301が適正でない位置にある場合は、乗りかご301が
図4に示す昇降位置以外の状態にあるときである。
ステップS105におけるアラートの発信で、保守用端末20の表示部での表示などが行われ、作業員に書換え不可のアラートが通知される。
【0034】
なお、ここでは、かご位置特定部221はロータリーエンコーダ131の検出値に基づいた乗りかご301の昇降位置を特定するようにしたが、別の手法で昇降位置を特定してもよい。例えば、かご位置特定部221は、乗りかご301に搭載された気圧センサが検出した気圧のデータから、かご位置を特定するようにしてもよい。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態例によると、エレベーターの制御盤306のデータ書換え作業時に、万が一、何らかの不具合が発生して、基板交換などの制御盤306に対して直接作業が必要になった場合、作業員は速やかに作業に取り掛かることができる。つまり、判定部223でかご位置が適正と判定したとき、保守作業実行部であるアプリケーション実行部224が、制御盤306の保守作業を許可することで、制御盤306のデータ書換えなどの保守作業が、制御盤306に安全にアクセスできるときだけ実行できるようになる。
具体的には、データ書換え作業などの制御盤306に関係した作業時には、乗りかご301は、
図4に示すように、作業員が上部に乗り移ることができ、制御盤306に対して安全に直接作業を行うことができる。したがって、作業員は、安全を確保しながら、データ書換え作業時の対応に要する時間を低減することができる。
【0036】
逆に、作業員は、制御盤306に対して作業を行うために、乗りかご301の上に乗り込むことができない状況(例えば
図3に示す状態)のときには、制御盤306のデータ書換え作業が開始されないため、作業員の安全が確実に確保される。
【0037】
<第2の実施の形態例>
次に、本発明の第2の実施の形態例によるエレベーターシステム及びエレベーター保守点検方法を、
図5~
図8を参照して説明する。
図5~
図8において、第1の実施の形態例で説明した
図1~
図4と同一の箇所に同一符号を付し、重複説明は省略する。
【0038】
[制御盤とセンサの配置構成]
まず、
図7及び
図8を参照して、本実施の形態例における、エレベーター内の制御盤とセンサの配置状態を説明する。
図7に示すように、エレベーターシステムの昇降路には、ガイドレール309に沿って昇降するカウンタウェイト302が配置されている。このカウンタウェイト302は、乗りかご301(
図7では不図示)の昇降に連動して昇降し、乗りかご301が最上階にあるとき、昇降路内のピットPに最も近づく。
【0039】
そして、カウンタウェイト302がガイドレール309に沿って昇降し、最も下側に下がった位置よりも若干上側に位置したところに、カウンタウェイトセンサ132が設置されている。カウンタウェイトセンサ132は、例えば赤外線センサなどで構成されており、カウンタウェイトセンサ132が設置された高さの位置をカウンタウェイト302が通過したとき、検出信号を出力する構成になっている。
【0040】
本実施形態例の場合、カウンタウェイトセンサ132の検出信号を使って、乗りかご301が、制御盤306のデータ書換え作業時の適正な位置にあるかを検出するようにしたものである。
すなわち、カウンタウェイトセンサ132がカウンタウェイト302を検出した状態では、乗りかご301は、制御盤306が配置された最上階の近傍にある。そして、カウンタウェイトセンサ132が検出した時点から、最上階の乗場ドア441を介して乗りかご301の上に乗り込むことができる程度に、乗りかご301を走行させることで、乗りかご301を適正な位置に停止させることができる。
【0041】
なお、
図7に示すように昇降路の最上階の乗場ドア441と同じ高さに制御盤306が設置されている場合には、作業員は乗りかご301の上に載って、制御盤306の蓋を開けて制御盤306についての作業を行う。ここで、制御盤306の蓋は、例えばスライドするようにして、作業時に作業員の邪魔にならない構成としてもよい。
【0042】
例えば、
図8に示すように、制御盤306の蓋306aを上側にスライドさせることで、制御盤306を開けることができる構成としてもよい。また、
図8に示すように、蓋306aを上側にスライドさせることで、制御盤306に配置された表示パネル306bや操作スイッチ133などが露出し、制御盤306に対する操作が可能になる。
図8では図示を省略するが、基板も配置され、作業時には基板を交換することもある。
【0043】
[エレベーターシステムの構成]
次に、
図5を参照して、本実施の形態例のエレベーターシステム10Aの構成を説明する。
エレベーターシステム10Aは、制御部12と、制御部12に接続された送受信部11と、センサ部13とを備える点は、第1の実施の形態例のエレベーターシステム10と同じであるが、センサ部13がカウンタウェイトセンサ132を備える点が、第1の実施の形態例のエレベーターシステム10と相違する。
カウンタウェイトセンサ132は、
図7で説明したように、カウンタウェイト302がピットの近傍まで下がったことを検出するものである。
【0044】
エレベーターシステム10Aのその他の構成と、保守用端末20の構成は、
図1で説明した第1の実施の形態例の構成と同じである。但し、保守用端末20のかご位置特定部221は、ロータリーエンコーダ131の検出値からかご位置を特定できる他に、カウンタウェイトセンサ132の検出値からもかご位置を特定することができる。
【0045】
[制御盤の保守作業の流れ]
図6は、本実施の形態例による、保守用端末20での制御盤306の保守作業の流れの例を示すフローチャートである。
本実施の形態例においても、制御盤306の保守作業の一例として、制御盤306に実装されたプログラムの書換えを行うものとする。
【0046】
まず、保守用端末20のアプリケーション制御部224が、データ書換えアプリケーションプログラムを起動させる(ステップS101)。
このデータ書換えアプリケーションプログラムが起動すると、保守用端末20は、ロータリーエンコーダ131の検出データが正常か否かを判定する(ステップS106)。
ここで、ロータリーエンコーダ131の検出データが正常でない場合とは、例えばロータリーエンコーダ131からのデータが取得できない場合や、データが適正範囲から大きく外れている場合などが含まれる。
【0047】
ステップS106で、ロータリーエンコーダ131の検出データが正常である場合(ステップS106のYES)、かご位置特定部221は、ロータリーエンコーダ131の検出値に基づいた乗りかご301の昇降位置を特定する(ステップS102)。
ステップS102で昇降位置を特定してからステップS104でプログラムの書換えを許可するまでの処理、あるいは、ステップS102で昇降位置を特定してからステップS105で書換え不可のアラートを発信するまでの処理は、
図2のフローチャートと同じである。
【0048】
そして、ステップS106で、ロータリーエンコーダ131の検出データが正常でない場合(ステップS106のNO)、保守用端末20は、音声やメッセージを出力して、乗りかご301を最上階へ移動するよう作業員に指示する(ステップS107)。この指示を確認した作業員は、乗りかご301を最上階へ移動させる(ステップS108)。
次に、保守用端末20は、カウンタウェイトセンサ132がオンになったことを判定したか否かを判定する(ステップS109)。カウンタウェイトセンサ132がオンになるときは、
図7に示すように、カウンタウェイト302がカウンタウェイトセンサ132の設置箇所を通過したときである。
ステップS109でカウンタウェイトセンサ132がオンにならない場合(ステップS109のNO)には、保守用端末20は故障と判断し、制御盤306のデータ書換え不可のアラート処理を行う(ステップS117)。
【0049】
ステップS109でカウンタウェイトセンサ132がオンになった場合(ステップS109のYES)、保守用端末20は、音声やメッセージを出力して、乗りかご301を低速の下り運転とするよう作業員へ指示をする(ステップS110)。低速の下り運転は、例えば毎秒数センチのような一定速度の低速運転であり、運転時間から乗りかご301が走行(昇降)した距離がわかる。
この指示を確認した作業員は、乗りかご301を低速の下り運転を実施する(ステップS111)。
【0050】
保守用端末20は、この低速の下り運転の実施後に、カウンタウェイトセンサ132がオンからオフへの変化を検知したか否かを判断する(ステップS112)。ステップS112でオンからオフへの変化を検知しない場合(ステップS112のNO)、保守用端末20は、ステップS110の低速の下り運転指示を継続する。
ステップS112でオンからオフへの変化を検知した場合(ステップS112のYES)、保守用端末20のかご位置特定部221は、オフに変化したときからの低速の下り運転の走行時間を計測する(ステップS113)。かご位置特定部221は、ステップS113で計測した走行時間が、かご位置が適正な位置になるまでの走行時間であるか否かを判断する(ステップS114)。
【0051】
ステップS114で、かご位置が適正な位置になる走行時間に達していない場合(ステップS114のNO)、かご位置特定部221は、ステップS113で走行時間の計測を継続して行う。そして、ステップS114で、かご位置が適正な位置になる走行時間に達した場合には(ステップS114のYES)、保守用端末20は、制御部12に対して低速の下り運転を停止させる指令を送り、低速の下り運転を自動停止させる(ステップS115)。
この低速の下り運転を自動停止させた後、アプリケーション制御部224は、制御盤306に実装されたプログラムの書換えを許可する(ステップS116)。これにより、プログラムの書換えが可能になる。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態例の場合には、故障などでロータリーエンコーダ131からかご位置が特定できない場合であっても、カウンタウェイトセンサ132よりかご位置を特定することができるので、適切にデータ書換えの制御ができるようになる。
【0053】
<第3の実施の形態例>
次に、本発明の第3の実施の形態例によるエレベーターシステム及びエレベーター保守点検方法を、
図9~
図10を参照して説明する。
図9~
図10において、第1及び第2の実施の形態例で説明した
図1~
図8と同一の箇所に同一符号を付し、重複説明は省略する。
【0054】
[エレベーターシステムの構成]
図9を参照して、本実施の形態例のエレベーターシステム10Bの構成を説明する。
エレベーターシステム10Bは、制御部12と、制御部12に接続された送受信部11と、センサ部13とを備える点は、第1の実施の形態例のエレベーターシステム10と同じであるが、センサ部13が制御盤スイッチ133を備える点が、
図5に示す第2の実施の形態例のエレベーターシステム10Aと相違する。
【0055】
図8で説明したように、制御盤スイッチ133は、エレベーターのモード設定などを行うスイッチであり、制御盤306の内部に配置されている。この制御盤スイッチ133は、微小なスイッチが基板上に多数配置された、いわゆるデップスイッチで構成される。
【0056】
エレベーターシステム10Bのその他の構成と、保守用端末20の構成は、
図1及び
図5で説明した、第1及び第2の実施の形態例の構成と同じである。但し、保守用端末20のかご位置特定部221は、制御盤スイッチ133の操作により、かご位置が適正かを判定することができる。
【0057】
[制御盤の保守作業の流れ]
図10は、本実施の形態例による、保守用端末20での制御盤306の保守作業の流れの例を示すフローチャートである。
本実施の形態例においても、制御盤306の保守作業の一例として、制御盤306に実装されたプログラムの書換えを行うものとする。
図10に示すフローチャートにおいて、ステップS101からステップS117までの処理は、
図6のフローチャートで説明した処理と同じなので、ここでは
図6のフローチャートからの変更点について説明する。
【0058】
図10のフローチャートでは、ステップS109でカウンタウェイトセンサ132がオンにならない場合(ステップS109のNO)、保守用端末20は、作業員に対して制御盤306の制御盤スイッチ133の操作を指示する(ステップS118)。この指示を確認した作業員は、制御盤306の制御盤スイッチ133を操作する(ステップS119)。
【0059】
すると、保守用端末20のかご位置特定部221では、ステップS119での操作を検知したか否かを判断する(ステップS120)。ステップS120で制御盤スイッチ133の操作を検知した場合(ステップS120のYES)、ステップS116に移って、アプリケーション制御部224が、制御盤306に実装されたプログラムの書換えを許可する。
また、ステップS120で制御盤スイッチ133の操作を検知しない場合(ステップS120のNO)、ステップS117に移って、保守用端末20は故障と判断し、制御盤306のデータ書換え不可のアラート処理を行う。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態例の場合には、故障などでロータリーエンコーダ131からかご位置が特定できなくなったり、さらにカウンタウェイトセンサ132でもかご位置を特定できなくなったりした場合に、制御盤306を操作できる状態にあることが検知された場合に、作業員がかご上の適正な位置でスイッチを操作していると判断して、データ書換えの制御を適正に行うことが可能になる。
【0061】
<第4の実施の形態例>
次に、本発明の第4の実施の形態例によるエレベーターシステム及びエレベーター保守点検方法を、
図11~
図12を参照して説明する。
図11~
図12において、第1~第3の実施の形態例で説明した
図1~
図10と同一の箇所に同一符号を付し、重複説明は省略する。
【0062】
[エレベーターシステムの構成]
図11を参照して、本実施の形態例のエレベーターシステム10Cの構成を説明する。
エレベーターシステム10Cは、制御部12と、制御部12に接続された送受信部11と、センサ部13とを備える点は、第1から第3の実施の形態例のエレベーターシステム10と同じであるが、本実施の形態例では、センサ部13がかご上ストッパスイッチ134を備える点が、特に第3の実施の形態例のエレベーターシステム10Bと相違する。
【0063】
かご上ストッパスイッチ134は、
図4に破線で示したかご上ストッパ308が、乗りかご301の上部に取付けられたとき、このことを検出するスイッチである。かご上ストッパ308が乗りかご301の上部に取付けられた場合には、乗りかご301は、昇降路300のガイドレールに固定されて、昇降ができない状態になる。なお、かご上ストッパ308は、通常、乗りかご301の上部に作業員が乗り込んで、制御盤306についての作業を行う際に取付けられる。
【0064】
エレベーターシステム10Cのその他の構成と、保守用端末20の構成は、第1~第3の実施の形態例で
図1、
図5、及び
図9を用いて説明した構成と同じである。但し、保守用端末20のかご位置特定部221は、かご上ストッパスイッチ134の状態から、かご位置が適正か否かを判定することができる。
【0065】
[制御盤の保守作業の流れ]
図12は、本実施の形態例による、保守用端末20における制御盤306の保守作業の流れの例を示すフローチャートである。
本実施の形態例においても、制御盤306の保守作業の一例として、制御盤306に実装されたプログラムの書換えを行うものとする。
図12に示すフローチャートにおいて、ステップS101からステップS120までの処理は、
図10のフローチャートで説明した処理と同じなので、ここでは
図10のフローチャートからの変更点について説明する。
【0066】
図12のフローチャートでは、ステップS120で制御盤スイッチ133の操作を検知しない場合(ステップS120のNO)、保守用端末20は、作業員に対してかご上ストッパ308の挿入を指示する(ステップS121)。この指示を確認した作業員は、かご上ストッパ308を挿入する(ステップS122)。その後、保守用端末20のかご位置特定部221は、かご上ストッパスイッチ134がオンになったか否かを判断する(ステップS123)。
【0067】
ステップS123で、かご上ストッパスイッチ134がオンになったことを検出した場合(ステップS123のYES)、ステップS116に移って、アプリケーション制御部224が、制御盤306に実装されたプログラムの書換えを許可する。
また、ステップS123で、かご上ストッパスイッチ134がオンになったことを検出しない場合(ステップS123のNO)、ステップS117に移って、保守用端末20は故障と判断し、制御盤306のデータ書換え不可のアラート処理を行う。
【0068】
以上説明したように、本実施の形態例の場合には、故障などでロータリーエンコーダ131からかご位置が特定できなくなったり、さらにカウンタウェイトセンサ132や制御盤スイッチ132でもかご位置を特定できなくなったりした場合でも、かご上ストッパスイッチ134がオンと検知された場合には、乗りかご301が適正な位置であると判断して、データ書換えの制御を適正に行うことができるようになる。
【0069】
[変形例]
なお、ここまで説明した実施の形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上述した実施の形態例で説明した構成や処理は、各種変形や変更が可能である。
【0070】
例えば、上述した実施の形態例では、作業員は乗りかご301の上部に乗り込んで、制御盤306の作業を行うようにした。これに対して、乗りかご301の壁面に開閉できる開口部を設けて、制御盤306に横付けした状態で乗りかご301を停止させて、開口部を開けて、制御盤306の作業ができるようにしてもよい。
この場合には、例えば
図8に示したように、制御盤306の蓋306aをスライドできる構成とすることで、乗りかご301内から制御盤306の蓋306aを開けることができる。
このような構成とした場合には、最上階に乗りかご301を停止させるのが、作業に適切な位置になる。
【0071】
また、最上階に制御盤306を配置するのも一例であり、その他の階に制御盤306を配置してもよい。さらに、
図7や
図8に示す制御盤306の配置状態は一例であり、昇降路300のその他の壁面に制御盤306を配置してもよい。
【0072】
さらにまた、上述した実施の形態例では、制御盤306内のプログラムなどのデータの書換えを行う場合としたが、制御盤306の基板交換などのその他の作業時にも、同様の制御盤についての保守作業時に、その作業の許可・不許可をかご位置などに基づいて設定してもよい。
【0073】
また、上述した実施の形態例では、保守用端末20がかご位置特定部221などを備えて、エレベーターの制御部12と通信を行いながら保守用端末20が処理を行うようにしたが、保守用端末20側からの指示により、エレベーターの制御部12側で、かご位置の特定などの処理を行うようにしてもよい。この場合、既存のエレベーターシステムの制御装置に実装されたプログラムを修正して、同様の処理を行うようにしてもよい。
ここでのプログラムについては、コンピュータ内の不揮発性ストレージやメモリに用意する他に、外部のメモリ、ICカード、SDカード、光ディスク等の記録媒体に置いて、転送してもよい。
さらに、エレベーターの制御盤に内蔵された制御系や保守用端末の一部又は全部を、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの専用のハードウェアによって実現してもよい。
【0074】
また、
図1、
図5、
図9、
図11に示す構成図では、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものだけを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。また、
図2、
図6、
図10、
図12に示すフローチャートについても、処理結果が同じであれば、処理順序を変更したり、複数の処理を同時に実行してもよい。
【符号の説明】
【0075】
10,10A,10B,10C…エレベーターシステム、11…送受信部、12…エレベーター制御部、13…センサ部、20…保守用端末、21…送受信部、22…制御部、23…記憶部、131…ロータリーエンコーダ、132…カウンタウェイトセンサ、133…制御盤スイッチ、134…かご上ストッパスイッチ、221…位置特定部、222…制御盤位置特定部、223…判定部、224…アプリケーション制御部、231…エレベータースペック情報、300…昇降路、301…乗りかご、302…カウンタウェイト、303…主ロープ、304…巻上機、306…制御盤、306a…蓋、306b…表示パネル、307…操作部、308…かご上ストッパ、309…ガイドレール、410,420,430,440…乗場、411,421,431,441…乗場ドア、412,422,432,442…呼び釦、442a…接続端子