(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047846
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】対象物移動装置
(51)【国際特許分類】
E05F 11/48 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
E05F11/48 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153571
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100128923
【弁理士】
【氏名又は名称】納谷 洋弘
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100180297
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 裕子
(72)【発明者】
【氏名】梅村 泰司
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ケーブルガイドをガイドレールに取り付けた際のガタつきを抑制し、ケーブルからの張力を簡易な構造で支持することが可能な対象物移動装置を提供する。
【解決手段】移動対象物が取り付けられる移動体と、この移動体を案内するガイドレール40と、移動体を移動させるインナーケーブルと、インナーケーブルの配索経路をガイドレール40に沿わせるように規制するケーブルガイド70とを備える。本体部50は、インナーケーブルを取り付け可能な取付孔部51,52を有する。ケーブルガイド70は、インナーケーブルが摺動する摺動部71と、取付孔部51,52に嵌合する嵌合部と、本体部50の他方の面に当接する支持部と、取付孔部51,52の縁部に係止される被係止部77とを有する。取付孔部51,52は、嵌合部が嵌合する被嵌合部53,54と、被係止部77を係止する係止部とを有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動対象物が取り付けられる移動体と、
本体部を有し、該本体部の一方の面が前記移動体と対向し、該移動体を案内するガイドレールと、
前記移動体を移動させるケーブルと、
前記ケーブルの配索経路を前記ガイドレールに沿わせるように規制するケーブルガイドと、
を備え、
前記本体部は、前記ケーブルガイドを取り付け可能な取付孔部を有し、
前記ケーブルガイドは、
前記ケーブルが摺動する摺動部と、
前記取付孔部に嵌合する嵌合部と、
前記本体部の一方の面と反対側の面である他方の面に当接する支持部と、
前記取付孔部の縁部に係止される被係止部と、
を有し、
前記取付孔部は、
前記嵌合部が嵌合する被嵌合部と、
前記被係止部を係止する係止部と、
を有する、
ことを特徴とする対象物移動装置。
【請求項2】
前記ケーブルガイドは、
前記取付孔部の縁部を挟持する挟持部を有し、
前記本体部は、
前記被嵌合部に隣接して設けられ、前記挟持部に挟持される被挟持部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の対象物移動装置。
【請求項3】
前記取付孔部は、
前記被係止部を配置可能な配置部を有し、
前記ケーブルガイドは、
前記配置部から前記被嵌合部に向けて前記嵌合部をスライド移動させることが可能に構成される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の対象物移動装置。
【請求項4】
前記被係止部は、
前記嵌合部が前記配置部にあるときは前記他方の面に向けて付勢しつつ該他方の面と当接し、前記嵌合部が前記被嵌合部に嵌合されると前記係止部に係止される、
ことを特徴とする請求項3に記載の対象物移動装置。
【請求項5】
前記ガイドレールが有する前記本体部は長手状であり、
前記係止部は、前記本体部の長手方向の一方側に設けられ、
前記被嵌合部は、前記本体部の長手方向の他方側に設けられる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の対象物移動装置。
【請求項6】
前記ガイドレールが有する前記本体部は長手状であり、
前記係止部は、前記本体部の長手方向と直交する短手方向の一方側に設けられ、
前記被嵌合部は、前記本体部の短手方向の他方側に設けられる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の対象物移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの配索経路をガイドレールに沿わせるように規制するケーブルガイドを有する対象物移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の対象物移動装置として、例えばウインドレギュレータが知られている。ウインドレギュレータは、キャリアプレートに取り付けられた窓ガラスを、ケーブルを介して、ガイドレールに沿って昇降させる。窓ガラスの昇降は、通常、車体の形状に合わせて行われる。そのため、ガイドレールは、湾曲するように形成されているものがある。このようなウインドレギュレータでは、ケーブルの配索経路をガイドレールに沿わせるように規制するためのケーブルガイドが取り付けられる(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2014/103816号公報
【特許文献2】特許第6770991号公報
【特許文献3】US特許第10501978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、インナーガイド(ケーブルガイドに相当する)を、ガイドレールに固着されたブラケットに取り付けるウインドレギュレータが開示されている(同文献の段落[0023]参照)。特許文献1に開示されるウインドレギュレータは、ブラケットを溶接等でガイドレールに固着させる必要があり、作業性が悪かった。
【0005】
特許文献2には、ケーブルと摺動する摺動部材(ケーブルガイドに相当する)を、ガイドレールの被取付部にスライドさせて取り付けるウインドレギュレータが開示されている(同文献の段落[0036]参照)。しかし、特許文献2に開示されるウインドレギュレータは、ケーブルからの張力により生じるモーメントを支持するためには、ガイドレールの被取付部の厚みを大きくする必要がある。
【0006】
ケーブルからの張力により生じるモーメントを支持する構造としては、例えば特許文献3に開示されるウインドレギュレータがある。しかし、特許文献3に開示されるウインドレギュレータは、ガイドレールを貫通する開口に、ケーブルガイドを回転させて挿入する構造である。ケーブルガイドを回転させるため、その回転軌跡分の余分な隙間が必要となり、ケーブルガイドをガイドレールに取り付けた際に、ガタつきが発生するおそれがある。
【0007】
本発明は、ケーブルガイドをガイドレールに取り付けた際のガタつきを抑制し、ケーブルからの張力を簡易な構造で支持することが可能な対象物移動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る対象物移動装置は、移動対象物が取り付けられる移動体と、本体部を有し、該本体部の一方の面が前記移動体と対向し、該移動体を案内するガイドレールと、前記移動体を移動させるケーブルと、前記ケーブルの配索経路を前記ガイドレールに沿わせるように規制するケーブルガイドと、を備え、前記本体部は、前記ケーブルガイドを取り付け可能な取付孔部を有し、前記ケーブルガイドは、前記ケーブルが摺動する摺動部と、前記取付孔部に嵌合する嵌合部と、前記本体部の一方の面と反対側の面である他方の面に当接する支持部と、前記取付孔部の縁部に係止される被係止部と、を有し、前記取付孔部は、前記嵌合部が嵌合する被嵌合部と、前記被係止部を係止する係止部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ケーブルガイドをガイドレールに取り付けた際のガタつきを抑制し、ケーブルからの張力を簡易な構造で支持することが可能な対象物移動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一般的な対象物移動装置の斜視図の一例である。
【
図2】第1実施形態において、移動体とガイドレールとケーブルガイドとを示す分解斜視図の一例である。
【
図3】第1実施形態において、ガイドレールの本体部のうち、第1取付孔部及び第2取付孔部の近傍を前方やや下方から見た略正面図の一例である。
【
図4】第1実施形態において、ケーブルガイドの形態を説明するための斜視図の一例である。
【
図5】第1実施形態において、第1取付孔部及び第2取付孔部に対してケーブルガイドの取り付けを開始したときの状態を、前方やや下方から見た図の一例である。
【
図6】第1実施形態において、第1取付孔部及び第2取付孔部にケーブルガイドが取り付けられたときの状態を、前方やや下方から見た図の一例である。
【
図7】(A)
図6に示されるA-A線断面図の一例、(B)
図6に示されるB-B線断面の一例である。
【
図8】第2実施形態において、ガイドレールの本体部のうち、取付孔部の近傍を前方やや下方から見た略正面図の一例である。
【
図9】第2実施形態において、ケーブルガイドの形態を説明するための斜視図の一例である。
【
図10】第2実施形態において、取付孔部にケーブルガイドが取り付けられた状態を示す斜視図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る対象物移動装置について説明する。本発明に係る対象物移動装置は、例えば、車両のドア等に設けられ、車両の窓ガラスの開閉を行うウインドレギュレータ等として用いられるものである。
【0012】
[1.対象物移動装置の概略]
本発明に係る対象物移動装置について説明する前に、先ず、一般的な対象物移動装置の概略について、
図1を参照して説明する。
図1は、一般的な対象物移動装置1の斜視図の一例である。
【0013】
図1に示されるように、対象物移動装置1は、駆動装置2と、上下方向に移動することが可能な移動体3と、上下方向に所定の長さを有する略長方形状の板状部材で構成されたガイドレール4と、駆動装置2により移動体3を上下方向に移動させるインナーケーブル6と、インナーケーブル6の配索経路をガイドレール4に沿わせるように規制するケーブルガイド7と、ガイドレール4の上端に設けられるプーリ8と、を備える。
【0014】
駆動装置2は、ガイドレール4の下端に取り付けられ、移動体3の下限位置よりも下側に位置するように配置されている。この駆動装置2は、例えば、インナーケーブル6を巻き取り、送り出すドラム(不図示)と、このドラムを駆動するモータ22と、モータ22に連結されるウォームギア減速機等の減速機(不図示)を収容するためのハウジング23とを有する。なお、第1実施形態では、駆動装置2はガイドレール4の下端に取り付けられているが、駆動装置2の位置はこれに限定されるものではなく、他の箇所に駆動装置2が設けられていても良い。
【0015】
移動体3は、ガイドレール4の一方の面と対向するように配置されており、上下方向に延びるガイドレール4に沿って摺動自在に保持されている。移動体3の上下方向の移動は、ガイドレール4によって案内される。詳しくは図示しないが、移動体3には、インナーケーブル6の端部を取り付けるためのケーブル端連結部が設けられている。また、移動体3には、例えば車両の窓ガラス(不図示)をねじ等によって固定するための固定孔31が形成されている。この移動体3は、例えば、合成樹脂等によって一体的に形成することができるが、別体として熱融着等によって互いに固着させることにより形成しても良い。なお、移動体3の素材は、特に合成樹脂に限定されるものではなく、金属や金属と合成樹脂を組み合わせたもの等でも良い。
【0016】
ガイドレール4は、亜鉛メッキ鋼板等の金属薄板であって、移動体3に固定された例えば窓ガラスが湾曲した軌跡で上下に昇降するように、上下に弓なりに湾曲するよう形成されている。また、ガイドレール4は、ケーブルガイド7を取り付けるための取付部7aが例えば溶接されており、この取付部7aにケーブルガイド7が取り付けられる。
【0017】
インナーケーブル6は、駆動装置2により移動体3を上下に移動させるものであり、一方の端部がドラム(不図示)に巻き取られ、他方の端部が移動体3に連結されている。インナーケーブル6は、ケーブルガイド7によって規制されていない状態においては、ガイドレール4の上端に設けられるプーリ8と、ガイドレール4の下端に設けられる上述のドラム(不図示)との間において、最短距離を通るように直線状に配索される。なお、「インナーケーブル6」は、本発明の「ケーブル」に相当する。
【0018】
ケーブルガイド7は、取付部7aを介してガイドレール4に取り付けられており、インナーケーブル6の配索経路をガイドレール4に沿わせるように規制する機能を有する。ケーブルガイド7は、移動体3が上下方向に移動するとき、インナーケーブル6が摺動するように構成されている。
【0019】
プーリ8は、インナーケーブル6の移動方向を変えるための方向転換部材として機能する。この方向転換部材は、プーリ8に限定されるものではなく、インナーケーブル6を巻き掛けて回転することが可能な部材など、インナーケーブル6の移動方向を変えることができれば良い。
【0020】
次に、本発明に係る対象物移動装置の実施形態について説明する。本発明に係る対象物移動装置は、上述のケーブルガイド7に代えて、ケーブルガイド7とは形態が異なるケーブルガイドを備える。また、本発明に係る対象物移動装置は、上述のガイドレール4に代えて、ケーブルガイド7を取り付けるための開口部を有するガイドレールを備える。
【0021】
なお、本発明に係る対象物移動装置の実施形態を説明するにあたり、上述の一般的な対象物移動装置1と形態が同じ部材については、上述の一般的な対象物移動装置1の説明において用いた符号と同一の符号を用いるものとする。上述の一般的な対象物移動装置1と形態が異なる部材(具体的はガイドレール4及びケーブルガイド7)については、上述の一般的な対象物移動装置1の説明において用いた符号と異なる符号を用いるものとする。また、本発明に係る対象物移動装置については、後述の第1実施形態及び第2実施形態について説明する図面において図示されていないため、参照符号を付さずに単に「対象物移動装置」と称する。
【0022】
以下に、本発明に係る対象物移動装置の実施形態として、第1実施形態及び第2実施形態について説明する。以下の第1実施形態及び第2実施形態では、上述の一般的な対象物移動装置1と異なる点として、主に、ガイドレール及びケーブルガイドについて説明する。
【0023】
[2.第1実施形態]
先ず、第1実施形態について説明する。第1実施形態では、上述の一般的な対象物移動装置1と異なる点についてのみ説明し、特に言及しない点については、上述の一般的な対象物移動装置1と同様である。
【0024】
図2は、第1実施形態において、移動体3とガイドレール40とケーブルガイド70とを示す分解斜視図の一例である。
図2に示されるように、ガイドレール40は、移動体3の移動方向に沿って延伸する板状の本体部50を有する。ガイドレール40が有する本体部50は、幅方向の両端を、移動体3が配置される側に向けて略直角に折り曲げて立設された側壁が形成されている。左右の側壁のうち一方の側壁55は、さらに略直角に折り曲げられて、レール部56が形成されている。このレール部56は、移動体3に形成されるガイド溝32に嵌入される。このようにして、移動体3は、ガイドレール40に対して上下方向に摺動自在に取り付けられ、側壁55及びレール部56に案内されつつ、レール部56に沿って上下方向に移動することが可能となる。なお、この第1実施形態において、本体部50の表裏面のうち、移動体3と対向する側の面を「前面50a」と称し、移動体3と対向する側の面と反対側の面を「後面50b」と称する。
【0025】
ガイドレール40が有する本体部50の幅方向(すなわち左右方向)の一側には、上下方向に沿って2つの開口部が形成されている。この2つの開口部にはケーブルガイド70を取り付けることが可能である。この明細書において、上方の開口部を第1取付孔部51と称し、下方の開口部を第2取付孔部52と称する。
【0026】
(第1取付孔部51及び第2取付孔部52)
図3を参照して、ガイドレール40の本体部50に形成された2つの開口部である第1取付孔部51及び第2取付孔部52の形態について説明する。
図3は、ガイドレール40の本体部50のうち、第1取付孔部51及び第2取付孔部52の近傍を前方やや下方から見た略正面図の一例である。
図3において、上方向、下方向、左方向、右方向、及び前方向を、それぞれ、図示されるように定義する。後方向は、
図3の紙面において奥側に向かう方向であり、本体部50の後方向側の面が、
図2に示される後面50bとなる。これらの方向は、後述の
図4~
図6においても同様である。なお、上方向は移動体3が上昇する方向、下方向は移動体3が下降する方向である。
【0027】
ガイドレール40の本体部50は、ドラム(不図示)とプーリ8(
図1参照)との間に、第1取付孔部51及び第2取付孔部52を有する。第1取付孔部51及び第2取付孔部52は、ケーブルガイド70を本体部50に取り付けるために形成された開口部であり、本体部50の幅方向の片側において上下方向に並んで形成されている。なお、第1取付孔部51及び第2取付孔部52が幅方向のいずれの側(右側又は左側)に有するかは、移動体3のガイドレールに沿った移動を阻害しない位置であればいずれでもよい。
【0028】
第1取付孔部51及び第2取付孔部52は、それぞれ、第1被嵌合部53及び第2被嵌合部54を有する。より詳しくは、第1取付孔部51は、第1取付孔部51の下端部に第1被嵌合部53を有し、第2取付孔部52は、第2取付孔部52の下端部に第2被嵌合部54を有する。ケーブルガイド70が第1取付孔部51及び第2取付孔部52(すなわちガイドレール40)に取り付けられた状態で、第1被嵌合部53は後述の第1嵌合部73(後述の
図4(A)参照)と嵌合し、第2被嵌合部54は後述の第2嵌合部74(後述の
図4(A)参照)と嵌合する。
【0029】
第1取付孔部51及び第2取付孔部52は、それぞれ、第1被挟持部55及び第2被挟持部56を有する。ケーブルガイド70が第1取付孔部51及び第2取付孔部52に取り付けられた状態で、第1被挟持部55は後述の第1挟持部75(後述の
図4(A)参照)によって挟持され、第2被挟持部56は後述の第2挟持部76(後述の
図4(A)参照)によって挟持される。
【0030】
第1被嵌合部53と第1被挟持部55とは、第1取付孔部51の下方側の端部において、左右方向に隣接している。第2被嵌合部54と第2被挟持部56とは、第2取付孔部52の下方側の端部において、左右方向に隣接している。
【0031】
第1取付孔部51の上方側の端部57は、ケーブルガイド70が第1取付孔部51及び第2取付孔部52に取り付けられた状態で、後述の被係止部77(後述の
図4参照)を係止する。この明細書において、第1取付孔部51の上方側の端部57を、「係止部57」と称する。
【0032】
第1取付孔部51のうち係止部57よりも下方側の開口部58には、ケーブルガイド70が第1取付孔部51及び第2取付孔部52に取り付けられた状態で、後述の被係止部77(後述の
図4参照)が配置される。この明細書において、ケーブルガイド70が第1取付孔部51及び第2取付孔部52に取り付けられた状態で被係止部77が配置される部位を「配置部58」と称する。
【0033】
(ケーブルガイド70)
図4(A)及び(B)を参照して、ケーブルガイド70について説明する。
図4は、ケーブルガイド70の形態を説明するための斜視図の一例である。
図4(A)と
図4(B)とは、ケーブルガイド70を見る方向が異なる。
【0034】
ケーブルガイド70は、インナーケーブル6の配索経路をガイドレール40(
図1参照)に沿わせるように規制するためのものであり、第1取付孔部51及び第2取付孔部52に取り付けられる。
【0035】
ケーブルガイド70は、インナーケーブル6を支持する機能を有する第1本体部61と、ガイドレール4の本体部5に支持される機能を有する第2本体部62と、を有する。第1本体部61と第2本体部62とは一体で構成されており、第1本体部61及び第2本体部62は、いずれも前側に平面部を有する。
【0036】
ケーブルガイド70の第1本体部61は、移動体3(
図3参照)の昇降時にインナーケーブル6が摺動する摺動部71と、インナーケーブル6が摺動部71において摺動するようにインナーケーブル6の左右方向の位置を規制する規制部78と、を有する。
【0037】
ケーブルガイド70の第2本体部62は、ケーブルガイド70が第1取付孔部51及び第2取付孔部52(いずれも
図3参照)に取り付けられた状態で、本体部50の後面50b(
図3参照)と当接する平面状の支持部72を有する。ケーブルガイド70は、摺動部71においてインナーケーブル6からの張力を受けると、支持部72が本体部50の後面50b(
図3参照)を押圧する。
【0038】
ケーブルガイド70の第2本体部62は、第2本体部62の左側の部位に、前側に向けて突出する第1突設部63及び第2突設部64を有する。第1突設部63及び第2突設部64は、それぞれ、第1取付孔部51及び第2取付孔部52(いずれも
図3参照)と対応するように、上下に並んで形成されている。
【0039】
第1突設部63は、下方側端部に、第1嵌合部73及び第1挟持部75を有する。具体的には、第1突設部63の下方側端部のうち左側の一部が、第1被挟持部55(
図3参照)を挟持できるように切り欠かれている。この切り欠かれた第1突設部63の部位と、第2本体部62の平面部とで第1挟持部75を構成し、第1被挟持部55(
図3参照)を前後方向から挟持することができる。一方、第1突設部63の下方側端部のうち右側は切り欠かれておらず、この部位が第1嵌合部73である。
【0040】
第2突設部64は、下方側端部に、第2嵌合部74及び第2挟持部76を有する。具体的には、第2突設部64の下方側端部のうち左側の一部が、第2被挟持部56(
図3参照)を前後方向から挟持できるように切り欠かれており、この切り欠かれた部位が第2挟持部76である。第2突設部64の下方側端部のうち右側は切り欠かれておらず、この部位が第2嵌合部74である。
【0041】
ケーブルガイド70は、第1突設部63の上方側端部から上方に向けて形成された被係止部77を有する。この被係止部77は、前後方向に弾性変形する弾性部材であり、上方側端部に爪部77aを有する。ケーブルガイド70が第1取付孔部51及び第2取付孔部52(いずれも
図3参照)に取り付けられる過程において、被係止部77は、後方に向けて弾性変形する。また、被係止部77は、ケーブルガイド70が第1取付孔部51及び第2取付孔部52(いずれも
図3参照)に取り付けられた状態で、上述のとおり配置部58(
図3参照)に配置される。また、被係止部77の爪部77aが、係止部57(
図3参照)によって係止される。
【0042】
(ガイドレール40へのケーブルガイド70の取り付け)
図5~
図7を参照して、ガイドレール40へのケーブルガイド70の取り付け方法について説明する。
【0043】
図5は、ガイドレール40の本体部50に形成された第1取付孔部51及び第2取付孔部52に対してケーブルガイド70の取り付けを開始したときの状態を、前方やや下方から見た図の一例である。
図6は、ガイドレール40の本体部50に形成された第1取付孔部51及び第2取付孔部52にケーブルガイド70が取り付けられたときの状態を、前方やや下方から見た図の一例である。
図7(A)は、
図6に示されるA-A線断面図の一例である。
図7(B)は、
図6に示されるB-B線断面の一例である。
【0044】
図5に示されるように、ガイドレール40にケーブルガイド70を取り付けるとき、第1突設部63及び第2突設部64を、それぞれ、第1取付孔部51及び第2取付孔部52に貫通させる。このとき、支持部72及び被係止部77(より詳しくは爪部77a)は、いずれも、本体部50の後面50b(
図3参照)に当接する。なお、被係止部77は、本体部50の後面50bと当接しているとき、上述のとおり後方に向けて弾性変形しているため、本体部50の後面50bに対して付勢力が作用する。ガイドレール40(より詳しくは本体部50)へのケーブルガイド70の取り付けは、ケーブルガイド70を、
図5に示される状態から、下方に向けてスライド移動させることによって行われる。
【0045】
ケーブルガイド70を下方端まで移動させると、第1取付孔部51及び第2取付孔部52へのケーブルガイド70の取り付け過程では後方に向けて弾性変形していた被係止部77が、負荷が作用していない自然体に戻る。このとき、被係止部77は、
図6に示されるように、爪部77aと係止部57とが対向するように配置部58に配置される。被係止部77が配置部58に配置されると、被係止部77の爪部77aが係止部57に係止され、上下方向へのケーブルガイド70の移動が規制される。
【0046】
ケーブルガイド70が第1取付孔部51及び第2取付孔部52に取り付けられた状態では、第1嵌合部73(
図5、
図6、
図7(A)参照)及び第2嵌合部74(
図5、
図6参照)が、それぞれ、第1被嵌合部53(
図5参照)及び第2被嵌合部54(
図5参照)と嵌合する。また、第1挟持部75及び第2挟持部76は、それぞれ、第1被挟持部55及び第2被挟持部56を前後方向から挟持する。このとき、ケーブルガイド70は、左右方向、上下方向、及び前後方向のいずれにおいても移動が規制される。なお、ケーブルガイド70は、挟持部75,挟持部76によって被挟持部55,第2被挟持部56を挟持することに加え、上述したように、被係止部77の爪部77aが係止部57に係止される。そのため、ケーブルガイド70は、ガイドレール4の本体部5に取り付けられた状態で、上下方向への移動が規制される。
【0047】
(作用効果等)
第1実施形態の対象物移動装置は、上下方向に昇降可能な移動体3と、移動体3を昇降方向に案内するガイドレール40と、移動体3を移動させるインナーケーブル6と、インナーケーブル6の配索経路をガイドレール40に沿わせるように規制するケーブルガイド70とを備える。移動体3は、移動対象物(例えば、車両の窓ガラス等の開閉体)が取り付けられるキャリアプレート等が相当する。インナーケーブル6は、一方の端部がドラムに巻き取られ、他方の端部が移動体3に連結されている。ガイドレール40は、板状の本体部50の前面50a側において移動体3が対向しており、この移動体3の昇降方向への移動を案内する。このような対象物移動装置において、ガイドレール40の本体部50は、ケーブルガイド70を取り付け可能な第1取付孔部51及び第2取付孔部52を備える。ケーブルガイド70は、インナーケーブル6が摺動する摺動部71と、第1取付孔部51及び第2取付孔部52にそれぞれ嵌合する第1嵌合部73及び第2嵌合部74と、本体部50の後面50b(移動体3と対向する側の前面50aと反対側の面)に当接する支持部72と、を有する。第1取付孔部51は、第1取付孔部51の下端部に第1被嵌合部53を有し、第2取付孔部52は、第2取付孔部52の下端部に第2被嵌合部54を有する。第1被嵌合部53には第1嵌合部73が嵌合し、第2被嵌合部54には第2嵌合部74が嵌合する。このような第1実施形態の対象物移動装置によれば、簡易な構成で、ケーブルガイド70をガイドレール40に取り付けた際のケーブルガイド70のガタつきを抑制できるとともに、インナーケーブル6から受ける張力を支持部72において支持することが可能となる。
【0048】
また、ケーブルガイド70は、第1実施形態のように、第1挟持部75及び第2挟持部76を有することが好ましい。第1実施形態において、第1挟持部75は、ケーブルガイド70が第1取付孔部51及び第2取付孔部52に取り付けられた状態で、第1取付孔部51の下端部側の縁部である第1被挟持部55を前後方向から挟持する。第2挟持部76は、ケーブルガイド70が第1取付孔部51及び第2取付孔部52に取り付けられた状態で、第2取付孔部52の下端部側の縁部である第2被挟持部56を前後方向から挟持する。このように、本体部50が第1被挟持部55及び第2被挟持部56を有することで、本体部50の面(前面50a及び後面50b)に直交する前後方向へのケーブルガイド70のガタつきが抑制される。また、インナーケーブル6からの張力を、ガイドレール40においてより強固に支持することが可能となる。
【0049】
第1取付孔部51は、第1実施形態のように、ケーブルガイド70が第1取付孔部51及び第2取付孔部52に取り付けられた状態で被係止部77が配置される配置部58を有することが好ましい。第1実施形態において、ケーブルガイド70は、本体部50への取付方向(すなわちケーブルガイド70が上方に向かう方向)に向けてスライド移動できるように構成されている。そのため、第1突設部63及び第2突設部64をそれぞれ第1取付孔部51及び第2取付孔部52に貫通させた後、ケーブルガイド70を取付方向に向けてスライド移動させるだけの簡易な動作で、ケーブルガイド70をガイドレール40に取り付けることができる。
【0050】
被係止部77は、第1実施形態のように、第1嵌合部73が配置部58にあるときは本体部50の後面50bに対して付勢しつつこの後面50bと当接し、第1嵌合部73が第1被嵌合部53に嵌合されると係止部57に係止されるようにすることが好ましい。第1実施形態において、第1嵌合部73が配置部58にあるとき、被係止部77は弾性変形しており、本体部50の後面50bに対して付勢力が作用している。そして、ケーブルガイド70を下方に向けてスライド移動させると、第1嵌合部73が第1被嵌合部53に嵌合される。そして、弾性変形していた被係止部77は、自然体に戻り、爪部77aと係止部57とが対向するように配置部58に配置される。そのため、ケーブルガイド70を下方に向けてスライド移動させるだけで、ケーブルガイド70を第1取付孔部51及び第2取付孔部52に容易に取り付けることができる。また、ケーブルガイド70は、従来のように取付部7a(
図1参照)を介してガイドレール4に取り付けられるのではなく、ガイドレール4の本体部5に直接取り付けられる。そのため、ガイドレール4の本体部5から摺動部71までの距離を従来よりも小さくすることができ、インナーケーブル6から受ける張力を抑制することが可能となる。
【0051】
以上、本発明に係る対象物移動装置の第1実施形態について説明したが、本発明は、第1実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。
【0052】
例えば、第1実施形態では、被係止部77が第1突設部63の上方側端部に形成されているが、これに限られない。例えば、被係止部77と同じ機能を有する被係止部が第2突設部64の上方側端部に形成され、係止部57と同じ機能を有する係止部が第2取付孔部52の上方側端部に形成されるようにしてもよい。このように構成した場合であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0053】
また、第1実施形態では、ケーブルガイド70を下方に向けてスライド移動させることで、ケーブルガイド70を第1取付孔部51及び第2取付孔部52(すなわちガイドレール40)に容易に取り付けることができるが、これに限られない。例えば、ケーブルガイド70をガイドレール40に取り付ける際に、ケーブルガイド70を下方に向けてスライド移動させることに代えて、ケーブルガイド70を上方に向けてスライド移動させるように構成してもよい。
【0054】
また、第1実施形態では、被係止部77が第1突設部63のみに形成されているが、これに限られない。例えば、被係止部77と同じ機能を有する被係止部が第2突設部64のみに形成されていてもよいし、被係止部77が第1突設部63に形成されることに加えて、被係止部77と同じ機能を有する被係止部が第2突設部64に形成されるようにしてもよい。また、被係止部77を上下方向にそれぞれ設けるようにしてもよい。これにより左右のドアに対して共通でケーブルガイド70を用いることが可能となる。
【0055】
また、第1実施形態では、ケーブルガイド70を取り付ける取付孔部として機能する2つの開口部(第1取付孔部51、第2取付孔部52)が本体部50の上下方向に沿って並んで形成されているが、これに限られず、取付孔部の数は例えば1つであってもよい。この場合、例えば、第2突設部64を備えずに、ケーブルガイド70の上下方向における中央部に第1突設部63を設けるとよい。
【0056】
また、第1実施形態では、被係止部77が配置部58に配置されたときに、爪部77aと係止部57とが対向しているが、これに加えて、例えば爪部77aが係止部57に係合するように構成してもよい。このようにすることで、ケーブルガイド70をガイドレール40に取り付けた際のケーブルガイド70のガタつきを、より一層、抑制することが可能となる。
【0057】
[3.第2実施形態]
次に、第2実施形態について、
図8~
図10を参照して説明する。第2実施形態では、上述の第1実施形態と異なる点についてのみ説明し、特に言及しない点については、上述の一般的な対象物移動装置又は第1実施形態と同様である。
【0058】
図8は、第2実施形態において、取付孔部151が形成されたガイドレール140の本体部150のうち、取付孔部151の近傍を前方やや下方から見た略正面図の一例である。
図9は、第2実施形態において、ケーブルガイド170の形態を説明するための斜視図の一例である。
図9(A)と
図9(B)とは、ケーブルガイド170を見る方向が異なる。
図10は、第2実施形態において、取付孔部151(
図8参照)にケーブルガイド170が取り付けられた状態を示す斜視図の一例である。
【0059】
第2実施形態に係る対象物移動装置は、第1実施形態のガイドレール40に代えてガイドレール140を備えるとともに、ケーブルガイド70に代えてケーブルガイド170を備える。より詳しくは、第2実施形態のガイドレール140は、本体部150に形成された開口部としても取付孔部151の形態が、第1実施形態のガイドレール40が有する本体部50に形成された開口部の形態と異なる。また、第2実施形態のケーブルガイド170は、第1実施形態のケーブルガイド70と形態が異なる。
【0060】
(取付孔部151)
図8に示されるように、取付孔部151は、本体部150の幅方向(すなわち左右方向)の一側(
図8では左側)に形成されている。取付孔部151は、ケーブルガイド170(
図9参照)を本体部150に取り付けるための開口部である。取付孔部151が幅方向のいずれの側(右側又は左側)に有するかは、対象物移動装置が例えば車両に取り付けられる場合に、車両の左右いずれのドアに取り付けられるかに応じて決まる。
【0061】
取付孔部151は、取付孔部151を形成する上下方向の2つの辺のうち一側(
図8では左側)において、上下方向における中央部に、被嵌合部153を有する。取付孔部151は、被嵌合部153の下方に第1被挟持部155を有し、被嵌合部153の上方に第2被挟持部156を有する。第1被挟持部155及び第2被挟持部156は、後述の挟持部175(
図9参照)によって挟持される。
【0062】
取付孔部151は、取付孔部151を形成する上下方向の2つの辺のうち、一側と反対側の他側(
図8では右側)に、係止部157を有する。この係止部157は、ケーブルガイド170が取付孔部151に取り付けられた状態で、後述の第1被係止部176及び第2被係止部177を係止する部位である。
【0063】
取付孔部151は、第1被挟持部155及び第2被挟持部156と、取付孔部151との間に、配置部158を有する。この配置部158は、ケーブルガイド170が取付孔部151に取り付けられた状態で、後述の第1被係止部176及び第2被係止部177(いずれも後述の
図9参照)が配置される。
【0064】
(ケーブルガイド170)
図9(A)及び(B)に示されるように、ケーブルガイド170は、摺動部171と、規制部178と、支持部172と、嵌合部173(
図9(A)参照)と、挟持部175と、第1被係止部176と、第2被係止部177とを備える。
【0065】
摺動部171は、平面状に形成されており、移動体3(
図1参照)の昇降時に、インナーケーブル6(
図1参照)が摺動する部位である。規制部178は、インナーケーブル6が摺動部171において摺動するようにインナーケーブル6の左右方向の位置を規制する。支持部172は、平面状に形成されており、ケーブルガイド170が取付孔部151(
図8参照)に取り付けられた状態で、本体部150の後面(
図8に示される本体部150の後方側の面)と当接する。挟持部175は、ケーブルガイド170が取付孔部151(
図8参照)に取り付けられた状態で、第1被挟持部155及び第2被挟持部156を前後方向から挟持する。
【0066】
第1被係止部176及び第2被係止部177は、前後方向に弾性変形する弾性部材である。第1被係止部176及び第2被係止部177のいずれも弾性爪部を有するが、
図9において参照符号を省略している。
【0067】
なお、支持部172の上下方向長さは挟持部175の上下方向長さよりも小さく、第1被係止部176及び第2被係止部177は、挟持部175の上下方向長さの範囲内に収まるように、支持部172を上下方向から挟むように設けられている。このように構成することで、ケーブルガイド170をコンパクトにすることができる。
【0068】
ケーブルガイド170が取付孔部151(
図8参照)に取り付けられる過程において、第1被係止部176及び第2被係止部177は、後方に向けて弾性変形する。また、第1被係止部176及び第2被係止部177は、ケーブルガイド170が取付孔部151(
図8参照)に取り付けられた状態で、上述のとおり配置部58(
図8参照)に配置される。また、第1被係止部176及び第2被係止部177それぞれの爪部77aが、係止部157によって係止される。
【0069】
(ガイドレール140へのケーブルガイド170の取り付け)
次に、ガイドレール140へのケーブルガイド170の取り付けについて説明する。
【0070】
ガイドレール140(
図8、
図10参照)にケーブルガイド170(
図9、
図10参照)を取り付けるとき、挟持部175(
図9、
図10参照)を取付孔部151(
図8参照)に貫通させる。このとき、第1被係止部176(
図9、
図10参照)及び第2被係止部177(
図9(B)、
図10参照)を、本体部150の後面(
図10に示される本体部150の後方側の面)に当接させることができる。そして、第1被係止部176及び第2被係止部177を後方に向けて弾性変形させつつ、ケーブルガイド170を、本体部150の幅方向(すなわち左右方向)の一側(
図10では左側)に向けてスライド移動させる。ケーブルガイド170を、本体部150の幅方向の一側の端部まで移動させると、後方に向けて弾性変形していた第1被係止部176及び第2被係止部177が、負荷が作用していない自然体に戻る。このとき、
図10に示されるように、第1被係止部176及び第2被係止部177は、係止部157と対向するように配置部158(
図8参照)に配置される。第1被係止部176及び規制部178が配置部158に配置されると、第1被係止部176及び第2被係止部177それぞれの爪部が係止部157に係止され、左右方向へのケーブルガイド170の移動が規制される。
【0071】
また、ケーブルガイド170が取付孔部151に取り付けられた状態では、嵌合部173(
図9参照)が被嵌合部153(
図8参照)と嵌合する。また、挟持部175は、第1被挟持部155及び第2被挟持部156(いずれも
図8参照)を前後方向から挟持する。このとき、ケーブルガイド170は、左右方向、上下方向、及び前後方向のいずれにおいても移動が規制される。なお、ケーブルガイド170の上下方向への移動は、取付孔部151の上下方向における端部においても規制することができる。
【0072】
(作用効果等)
第2実施形態の対象物移動装置は、上下方向に昇降可能な移動体3と、移動体3を昇降方向に案内するガイドレール140と、移動体3を移動させるインナーケーブル6と、インナーケーブル6の配索経路をガイドレール140に沿わせるように規制するケーブルガイド170とを備える。移動体3は、例えば、窓ガラス等の移動対象物が取り付けられるキャリアプレート等が相当する。インナーケーブル6は、一方の端部がドラムに巻き取られ、他方の端部が移動体3に連結されている。ガイドレール140は、板状の本体部150の前面150a側において移動体3が対向しており、この移動体3の昇降方向への移動を案内する。このような対象物移動装置において、ガイドレール140の本体部150は、ケーブルガイド170を取り付け可能な取付孔部151を備える。ケーブルガイド170は、インナーケーブル6が摺動する摺動部171と、取付孔部151に嵌合する嵌合部173と、本体部150の後面150b(移動体3と対向する側の前面150aと反対側の面)に当接する支持部172と、を有する。取付孔部151は、取付孔部151の上下方向における中央部に被嵌合部153を有する。被嵌合部153には嵌合部173が嵌合する。このような第2実施形態の対象物移動装置によれば、簡易な構成で、ケーブルガイド170をガイドレール140に取り付けた際のケーブルガイド170のガタつきを抑制できるとともに、インナーケーブル6から受ける張力を支持部172において支持することが可能となる。
【0073】
また、ケーブルガイド170は、第2実施形態のように、挟持部175を有することが好ましい。第2実施形態において、挟持部175は、ケーブルガイド170が取付孔部151に取り付けられた状態で、第1被挟持部155及び第2被挟持部156を前後方向から挟持する。このように、本体部150が第1被挟持部155及び第2被挟持部156を有することで、本体部150の面(前面150a及び後面150b)に直交する前後方向へのケーブルガイド170のガタつきが抑制される。また、インナーケーブル6からの張力を、ガイドレール140においてより強固に支持することが可能となる。
【0074】
取付孔部151は、第2実施形態のように、ケーブルガイド170が取付孔部151に取り付けられた状態で第1被係止部176及び第2被係止部177が配置される配置部158を有することが好ましい。第2実施形態において、ケーブルガイド170は、本体部150への取付方向(すなわちケーブルガイド170が右方に向かう方向)に向けてスライド移動できるように構成されている。そのため、嵌合部173及び挟持部175を取付孔部151(配置部158)に貫通させた後、ケーブルガイド170を取付方向に向けてスライド移動させるだけの簡易な動作で、ケーブルガイド170をガイドレール140に取り付けることができる。
【0075】
第1被係止部176及び第2被係止部177は、第2実施形態のように、嵌合部173及び挟持部175が配置部158にあるときは本体部150の後面150bに対して付勢しつつこの後面150bと当接し、嵌合部173及び挟持部175が被嵌合部153に嵌合されると係止部157に係止されるようにすることが好ましい。第2実施形態において、嵌合部173及び挟持部175が配置部158にあるとき、第1被係止部176及び第2被係止部177は弾性変形しており、本体部150の後面150bに対して付勢力が作用している。そして、ケーブルガイド170を左方に向けてスライド移動させると、嵌合部173が被嵌合部153に嵌合される。そして、弾性変形していた第1被係止部176及び第2被係止部177は、自然体に戻り、それぞれの爪部と係止部157とが対向するように配置部158に配置される。そのため、ケーブルガイド170を左方に向けてスライド移動させるだけで、ケーブルガイド170を取付孔部151に容易に取り付けることができる。
【0076】
以上、本発明に係る対象物移動装置の第2実施形態について説明したが、本発明は、第1実施形態又は第2実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。
【0077】
例えば、第2実施形態では、被嵌合部153が取付孔部151の上下方向における中央部に形成されているが、これに限られない。例えば、被嵌合部153と同じ機能を有する被嵌合部が、取付孔部151の上下方向における上端部及び下端部に形成されるようにしてもよい。このように構成した場合であっても、第2実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0078】
また、第2実施形態では、第1被係止部176及び第2被係止部177が配置部158に配置されたときに、第1被係止部176及び第2被係止部177それぞれの爪部と係止部157とが対向しているが、これに加えて、例えば爪部が係止部157に係合するように構成してもよい。このようにすることで、ケーブルガイド170をガイドレール140に取り付けた際のケーブルガイド170のガタつきを、より一層、抑制することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本実施の形態では、対象物移動装置1が採用される適用例として、車両のドア等に設けられ、車両の窓ガラスの開閉を行うウインドレギュレータを例示したが、ウインドレギュレータに限定されず、様々な装置に搭載されてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 対象物移動装置
3 移動体
4 ガイドレール
5 本体部
6 インナーケーブル
7 ケーブルガイド
50a 前面
50b 後面
51 第1取付孔部
52 第2取付孔部
53 第1被嵌合部
54 第2被嵌合部
55 第1被挟持部
56 第2被挟持部
57 係止部57
58 配置部
70 ケーブルガイド
71 摺動部
72 支持部
73 第1嵌合部
74 第2嵌合部
75 第1挟持部
76 第2挟持部
77 被係止部
150a 前面
150b 後面
151 取付孔部
153 被嵌合部
155 第1被挟持部
156 第2被挟持部
157 係止部
158 配置部
170 ケーブルガイド
171 摺動部
172 支持部
173 嵌合部
175 挟持部
176 第1被係止部
177 第2被係止部