(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047855
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】既設構造物の地下階に設置される仮設杭の施工方法
(51)【国際特許分類】
E02D 11/00 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
E02D11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153585
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000179915
【氏名又は名称】ジェコス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087491
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 享
(74)【代理人】
【識別番号】100104271
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 保子
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕太
(72)【発明者】
【氏名】時津 康明
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 与一
【テーマコード(参考)】
2D050
【Fターム(参考)】
2D050AA01
2D050CB02
2D050EE01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】既設建物の地下階に仮設杭を地下各階の貫通孔に貫通させて安全にかつ容易に設置する施工方法を提供する。
【解決手段】既設建物の地下階に仮設杭を以下の工程により施工する。
(1)地下階の各階床スラブB1FL~B3FL及びその下方に位置する基礎底盤B4FLに貫通孔を設ける工程。
(2)上記貫通孔を貫通させてケーシング2及びケーシング2内を回転昇降するアースオーガ4を立て込む工程。
(3)ケーシング2内でアースオーガ4を回転させながら地下階より下方の地盤中に杭孔Aを削孔する工程。
(4)ケーシング2とアースオーガ4を地下階より撤去する工程。
(5)地下階に仮設杭を各階床スラブB1FL~B3FL及び基礎底盤B4FLの貫通孔に貫通させて立て込み、その下端部を杭孔Aに立て込む工程。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設構造物の地下階に設置される仮設杭の施工法であって、以下の工程を含むことを特徴とする仮設杭の施工方法。
(1)前記既設構造物の地下各階の床スラブに貫通孔を設ける工程。
(2)前記地下階に前記貫通孔を貫通させてケーシングおよび前記ケーシング内を回転しながら昇降するアースオーガを立て込む工程。
(3)前記アースオーガを回転させながら前記ケーシング内を下降させることにより前記地下階より下方の地盤中に杭孔を削孔する工程。
(4)前記ケーシングおよび前記アースオーガを前記地下階より撤去する工程。
(5)前記地下階に前記地下各階床スラプの貫通孔に貫通させて、前記仮設杭を立て込み、その下端部を前記杭孔に立て込む工程。
【請求項2】
請求項1記載の仮設杭の施工方法において、前記ケーシングに前記アースオーガを仕込み、前記ケーシングと前記アースオーガを前記地下階に一緒に立て込み、かつ前記地下階より撤去することを特徴とする仮設杭の施工方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の仮設杭の施工方法において、前記ケーシングを前記地下階の床スラブにケーシング固定具によって固定することを特徴とする仮設杭の施工方法。
【請求項4】
既設構造物の地下階に仮設杭を設置するための仮設杭の施工装置であって、前記既設構造物の各階床スラブを貫通して設置されるケーシングと、前記ケーシングの上端部を前記床スラブに固定するケーシング固定具と、前記ケーシング内に立て込まれ、前記ケーシング内を回転しながら昇降することにより前記地下階下方の地盤中に前記仮設杭の下端部を立て込むための杭孔を削孔するアースオーガと、前記床スラブに立て付けられ、前記アースオーガを駆動する減速機が取り付くリーダを備えていることを特徴とする仮設杭の施工装置。
【請求項5】
請求項4記載の仮設杭の施工装置において、前記ケーシング固定具は、前記ケーシングが貫通する貫通孔を有し、かつ前記地下階の床スラブと前記リーダとの間に挟持されていることを特徴とする仮設杭の施工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は既設建物の建替え工事などに際し、残置された地下階を貫通して設置される仮設杭の施工方法に関し、例えば、残置された地下階の躯体や躯体周囲の地山を支える山留杭、地下階解体時の作業ヤードとして利用される構台床を支える構台杭などの施工に用いられる。
【背景技術】
【0002】
土工事において山留杭や構台杭を施工するとき、通常は敷地に敷き鉄板を敷設し、その上に杭打機を据え付け、そして、杭打ち機が備えるアースオーガによって杭孔を削孔しH形鋼を立て込むのが一般的である。
【0003】
また、地下階を有する既設建物を解体し、その跡地に新設建物を構築する既設建物の建替え工事では、工事に先立ち地下階の壁、柱等の躯体や躯体周囲の地山を支える山留支保工が設置される。
【0004】
また、地下階の解体が進むに伴い、作業ヤードとしての1FL床(地下一階の天井スラブ)が無くなるため、これに替わる作業ヤードとして作業構台が設置され、解体が最下階まで進んだとき、さらに最下階より下方の地盤を一部掘り下げることがある。
【0005】
この一連の工事では、地下階の壁、柱等の躯体や躯体周囲の地山を支える山留杭、山留支保工の切梁を支える棚杭、作業構台を支える構台杭、さらに地盤の一部を掘り下げる際は周囲に仕切り杭などが施工される。
【0006】
また、これらの山留杭は、特に敷地一杯に建つ既設建物の解体にあっては、周囲に空きスペースがないため、残置された地下階を貫通して設置されることがある。
【0007】
従来、これらの仮設杭を残置された地下階を貫通して設置する方法として、例えば、
図8に図示する方法が知られている。
【0008】
図8に図示する仮設杭の施工方法を簡単に説明すると、
(1)既設建物の地上階を解体して撤去した後、地上一階の床スラブ1FL(地下一階の天井スラブ)と当該床スラブ1FLより下方に位置する地下各階の床スラブB1FL~B3FLおよびその下方に位置する基礎底盤(地盤に接する耐圧盤)B4FLにそれぞれ貫通孔1
1~1
4を設ける。
(2)次に、地上一階の床スラブ1FLと当該床スラブ1FLより下方に位置する地下各階の床スラブB3FLおよび基礎底盤B4FL間にアースオーガ4を各階の貫通孔1
1~1
4に貫通させて立て込み、当該アースオーガ4を基礎底盤B4FLより下方の地盤中に回転させながら挿入することにより杭孔Aを削孔する。
【0009】
(3)次に、杭孔Aにセメントミルク等の固化材を注入し、アースオーガ4を引き上げて撤去する。
(4)そして、各階の貫通孔11~14を貫通させて、地上一階の床スラブ1FLより地下各階の床スラブB1FL~B3FLおよび基礎定盤B4FL間に仮設杭(主としてH形鋼)を立て込み、その下端部を杭孔Aに建て込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特2020-125630号公報
【特許文献2】特2019-31856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、この仮設杭の施工方法では、アースオーガ4が地下階の各階に晒されるため、地下階で作業する者が誤って接触する恐れがあり、その安全対策として安全柵8を設置する必要があった。
【0012】
また、アースオーガ4は通常、軸方向に継ぎ足して延長され、その際のアースオーガどうしはピンによって連結されるため、杭孔削孔時の横振れが大きく、このため削孔開始位置から近いスラブに振れ止め9を取り付ける必要があり、その製作および取り付けに余計なコストと労力を必要とした。
【0013】
さらに、アースオーガ4に付着した掘削土が各階床の上に飛散して床が汚れ、各階における他の作業に支障をきたすおそれがあった。
【0014】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、既設建物の建替え工事などに際し、山留杭や構台杭などとして用いられる仮設杭の施工をきわめて安全にかつ効率的に実施できるようにした仮設杭の施工方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、既設構造物の地下階に前記地下階の各階を貫通して設置される仮設杭の施工法であって、以下の工程を含むことを特徴とするものである。
【0016】
(1)前記既設構造物の地下各階の床スラブに貫通孔を設ける工程。
(2)前記地下階に前記貫通孔を貫通させてケーシングおよび前記ケーシング内を回転しながら昇降するアースオーガを立て込む工程。
(3)前記アースオーガを回転させながら前記ケーシング内を下降させることにより前記地下階より下方の地盤中に杭孔を削孔する工程。
(4)前記ケーシングおよび前記アースオーガを前記地下階より撤去する工程。
(5)前記地下階に前記地下階の各階床スラプの貫通孔に貫通させて、前記仮設杭を立て込み、その下端部を前記杭孔に立て込む工程。
【0017】
前記ケーシングに前記アースオーガを仕込み、前記ケーシングと前記アースオーガを前記地下階に一緒に立て込み、また、前記地下階より撤去することによりケーシングとアースオーガの立て込みと撤去作業をきわめて効率的に行うことができる。
【0018】
また、前記ケーシングを前記地下階の床スラブにケーシング固定具によって支持すると共に、前記ケーシング固定具を前記地下階の床スラブと前記床スラブの上に立て付けられ、前記アースオーガが取り付くリーダとの間に挟持することにより、ケ-シングをきわめて簡単かつ強固に固定することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、例えば、残置された地下階の躯体や躯体周囲の地山を支持する山留杭、地下階解体時の作業ヤードとして利用される構台床を支える構台杭など仮設杭をきわめて安全にかつ効率的に施工することができる。
【0020】
特に、地下階を立て込まれるアースオーガは、ケーシングによってその全長が完全に被覆されるため、地下階で作業する作業員の安全を確保できる。
【0021】
また、削孔中のアースオーガは、ケーシングによってガイドされることにより、ケーシングの横振れが防止され、かつ仮設杭の下端部を立て込むための杭孔を確実に削孔することができる。また、地下階にアースオーガ振れ止め用の治具を別途設置する必要がない。さらに、アースオーガによる掘削によって排出された掘削土が地下階に飛散することもない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の既設建物の地下階に設置される仮設杭の施工方法を示す地下階躯体の一部縦断面図である。
【
図2】
図1における1EL階の貫通孔を有する部分の拡大図であり、図(a)は拡大斜視図、図(b)は拡大縦断面図である。
【
図3】本発明の施工手順を示し、図(a)は地下各階の床スラブに貫通孔を形成する工程、図(b)は地下各階の貫通孔にアースオーガを仕込んだケーシングを貫通させて建て込む工程を示す地下階躯体の一部縦断面図である。
【
図4】図(a),(b)は、本発明の施工手順を示し、アースオーガを駆動させて基礎底盤B4FL下の地盤中に杭孔を削孔する工程を示す地下階躯体の一部縦断面図である。
【
図5】図(a),(b)は、本発明の施工手順を示し、削孔が完了し、アースオーガを仕込んだケーシングを貫通孔から引き上げて撤去する工程を示す地下階躯体の一部縦断面図である。
【
図6】本発明の施工手順を示し、アースオーガを仕込んだケーシングを地下各階の次の貫通孔に貫通させて立て込む工程を示す地下階躯体の一部縦断面図である。
【
図7】ケーシングとケーシングに仕込まれたアースオーガの上端部分の側面図である。
【
図8】既設建物の地下階に設置される仮設杭の施工方法の従来例を示す地下階躯体の一部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1~
図6は、既設構造物(以下「既設建物」)の地下階に山留杭または構台杭などとして設置される仮設杭を打設する方法を図示したものである。
【0024】
図において、地上一階の床スラブ(地下一階の天井スラブ) 1FLと地上一階の床スラブ1FLの下方に位置する地下各階の床スラブB1FL~B3FLおよびその下側に位置する最下階の基礎底盤(地盤に接する耐圧盤(底盤))に、貫通孔11~14がそれぞれ同一鉛直線上で重なるように形成されている。
【0025】
また、床スラブ1FLおよび床スラブ1FLより下方に位置する各地下階の床スラブB1FL~B3FLおよび基礎底盤B4FL間に、ケーシング2が各階床スラブの貫通孔11,12,13を鉛直に貫通して立て込まれている。
【0026】
さらに、床スラブ1FLの上に、掘削機(図省略)のリーダ3が貫通孔11に近接して鉛直に立て付けられ、当該リーダ3に後述するアースオーガ4を駆動(回転)させる動力源としての減速機(図省略)が設置されている。減速機はアースオーガ4を回転させながらアースオーガ4と共にリーダ3に沿って自走式で昇降するように設置されている。
【0027】
ケーシング2の上端部2aは、床スラブ1FLの貫通孔11を貫通し、床スラブ1FLの上面より所定長立ち上げられ、かつケーシング固定具5によって床スラブ1FLの貫通孔11に横振れしないようにガイドされている。
【0028】
ケーシング固定具5は長方形板状に形成され、そのほぼ中央部に円形の貫通孔5aが形成されている。また、ケーシング固定具5は床スラブ1FLの上に設置され、貫通孔5aをケーシング2の上端部2aが貫通している。そして、貫通孔5aの周縁部がケーシング2の周壁に溶接されている。
【0029】
また、ケーシング固定具5の長辺方向の一端側部5bが床スラブ1FLとリーダ3の下端部3aとの間に挟持され、これによりケーシング固定具5は床スラブ1FLの上に脱着可能に固定されている。
【0030】
また、ケーシング固定具5の上面に、リーダ3の下端部3aの外周面に沿って環状に立ち上がるガイドリブ(図省略)が形成してあれば、削孔時の振動等によってリーダ3の下端部が横ずれしたりするのを防止することができ、また、これによりケーシング2の上端部を床スラブ1FLの上に強固にかつ簡単に固定することができる。
【0031】
ケーシング2の下端部は、基礎底版B4FLの上面より少し高い位置に配置され、基礎底版B4FLに形成された貫通孔14は基礎底版B4FL最下階に解放されている。
【0032】
これによりアースオーガ4によって掘削された掘削土は、基礎底版B4FLの貫通孔14より基礎底盤B4FLの上に排土される。
【0033】
アースオーガ4は、ケーシング2内を通って床スラブ1FLと床スラブ3FL間に連続して立て込まれ、上端部がリーダ3に設置された減速機(図省略)に脱着可能に接続されている。また、アースオーガ4は減速機によって回転し、かつ減速機と共にリーダ3に沿ってケーシング2内を回転しながら昇降するようになっている。
【0034】
これにより基礎底版B4FLより下方の地盤中に山留杭または構台杭などとして用いられる仮設杭の下端部が立て込まれる杭孔Aを削孔することができる。
【0035】
また、ケーシング2とアースオーガ4が撤去された後、山留杭または構台杭などとして用いられる仮設杭が各階の貫通孔11,12,13,14を連続して貫通し、かつ下端部が杭孔Aに立て込まれる。また、杭孔Aに固化材が注入されており、これにより杭孔Aに立て込まれた仮設杭の下端部は杭孔A内に固定される。
【0036】
次に、山留杭または構台杭などとして用いられる仮設杭を、残置された地下階を貫通して設置する仮設杭の施工方法について説明する。
【0037】
(1)最初に、既設建物の地上一階の床スラブ(地下一階の天井スラブ)1FLと当該床スラブ1FLの下方に位置する地下各階の床スラブB1FL~B3FLおよびその下方に位置する基礎底盤B4FLにそれぞれ貫通孔11,12,13,14を形成する。
各階の貫通孔11,12,13,14は各階に同一鉛直線上で重なるように形成し、また、ケーシング2を立て込む際に支障を来さない程度の内径に形成し、可能な限り小径に形成するのがケーシング2を支持する上で好ましい。
【0038】
(2)次に、床スラブ1FLおよび当該床スラブ1FLより下方に位置する地下各階の床スラブB1FL~B3FL間に、ケーシング2を各階の貫通孔11,12,13を鉛直に貫通させて立て込む。その際、クレーン6を用いてケーシング2を各階の貫通孔11,12,13内に鉛直に吊り込む。また、床スラブ1FLの上にケーシング固定具5を設置し、ケーシング2の上端部2aをケーシング固定具5の貫通孔5aに貫通させる。
【0039】
(3)次に、床スラブ1FLの上に掘削機(図省略)のリーダ3を立て付ける。その際、リーダ3の下端部3aをケーシング固定具5の端部5bの上に載せることにより、ケーシング固定具5の端部5bを床スラブ1FLとリーダ3の下端部3aとの間に挟持する。これによりケーシング2の上端部2aを床スラブ1FLの上にケーシング固定具5によって横振れしないように固定することができる。
また、リーダ3の下端部外周に沿って環状に立ち上がるガイドリブ(図省略)が形成してあることで、削孔時の振動等によってリーダ3の下端部が横ずれしたりするのを防止することができる。
【0040】
(4)次に、クレーン6を用いてアースオーガ4をケーシング2内に建て込み、アースオーガ4の上端部をリーダ3に設置された減速機(図省略)に接続する。
なお、ケーシング2の設置に際し、地上でアースオーガ4をケーシング2内に仕込み、ケーシング2とアースオーガ4をクレーン6によって一緒に立て込むことにより、ケーシング2とアースオーガ4の設置を同時におこなうことができ、作業性が著しく向上する(
図5(b)参照)。
【0041】
この場合、ケーシング2とアースオーガ4は、ケーシング2の側部に固定ピン(俗に「かんざし筋」)7をアースオーガ4の羽根と羽根との間を貫通するように差し込むだけで互いに離脱しないように簡単に仮固定することができる(
図5参照)。
なお、固定ピン7には鋼材などが用いられ、また、ケーシング2の側部に固定ピン7が管軸直角方向に貫通するピン孔2bが形成されている。
固定ピン7として、落下しようとするアースオーガ4の重量に充分耐え得る鋼材を使用することで、作業の安全性を確保することができる。
【0042】
(5)次に、減速機(図省略)を作動させて、アースオーガ4を回転させながらリーダ3に沿ってケーシング2内を下降させることにより、基礎底盤B4FL下の地盤中に杭孔Aを削孔する。
なお、削孔に伴って排土される掘削土は、基礎底盤B4FLに形成された貫通孔14から基礎底盤B4FLの上に排土される。
【0043】
(6)杭孔Aの削孔が完了したら、次に、減速機(図省略)を作動させて、アースオーガ4をリーダ3に沿ってケーシング2内をケーシング2の上端部まで引き上げる。そして、上端部を減速機から切り離し、ケーシング2にワイヤーを巻き掛け、クレーン6を用いてリーダ3から取り外す。また、アースオーガ4の撤去に続き、クレーン6を用いてケーシング2を撤去する。
【0044】
なお、アースオーガ4とケーシング2の撤去に際しては、アースオーガ4をケーシング2内に残し、固定ピン7によってケーシング2内に固定する。そして、アースオーガ4を減速機から切り離し、クレーン6を用いてケーシング2とアースオーガ4を一緒に撤去することにより、ケーシング2とアースオーガ4を同時に撤去できて好ましい。
【0045】
(7)次に、杭孔A内に固化材を注入し、山留杭または構台杭などとして用いられる仮設杭を、クレーン6を用いて地下各階の貫通孔11,12,13,14に貫通させて立て込み、そして仮設杭の下端部を杭孔Aに建て込んで仮設杭の設置作業は完了する。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は既設建物の建替え等に際し、残置された地下階の躯体や躯体周囲の地山を支える山留杭、地下階解体時の作業ヤードとして利用される構台床を支える構台杭などの仮設杭をきわめて安全に施工することができる。
【符号の説明】
【0047】
11,12,13,14 貫通孔
2 ケーシング
2a ケーシングの上端部
2b ピン孔
3 リーダ
4 アースオーガ
5 ケーシング固定具
5a 貫通孔
5b 一端側部
6 クレーン
7 固定ピン
1FL 地上一階の床スラブ(地下一階の天井スラブ)
B1FL~B3FL 地下各階の床スラブ
B4FL 基礎底盤(地盤に接する耐圧盤)
A 杭孔