(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047869
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】半導体装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H04R 29/00 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
H04R29/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153602
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】片山 貴夫
(72)【発明者】
【氏名】福澤 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】倍賞 文仁
(72)【発明者】
【氏名】野中 勉
(57)【要約】
【課題】音再生装置の故障を検出するために必要な信号を小規模の回路で生成可能な半導体装置を提供すること。
【解決手段】第1動作モードにおいて、第1増幅回路が有する複数のインバーター回路に前記第1変調信号が入力され、第2増幅回路が有する複数のインバーター回路に前記第2変調信号が入力され、第2動作モードにおいて、テスト信号生成回路がテスト信号を変調して第3変調信号及び第4変調信号を生成し、前記第1増幅回路が有する前記複数のインバーター回路の一部に前記第3変調信号が入力され、他の一部の出力がハイインピーダンスとなり、前記第2増幅回路が有する前記複数のインバーター回路の一部に前記第4変調信号が入力され、他の一部の出力がハイインピーダンスとなり、ピーク周波数検出回路が、音再生装置のインピーダンスがピークとなる前記テスト信号の周波数が含まれる周波数範囲を検出する、半導体装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音再生装置の第1端子と接続される第1出力端子と、
前記音再生装置の第2端子と接続される第2出力端子と、
音源信号に基づく信号を変調して第1変調信号及び第2変調信号を出力する変調回路と、
第1動作モードにおいて、前記第1変調信号を増幅した第1増幅信号を前記第1出力端子に出力する第1増幅回路と、
前記第1動作モードにおいて、前記第2変調信号を増幅した第2増幅信号を前記第2出力端子に出力する第2増幅回路と、
第2動作モードにおいて、予め設定された周波数帯域で周波数を変化させたテスト信号を変調して第3変調信号及び第4変調信号を生成するテスト信号生成回路と、
前記第2動作モードにおいて、前記第1出力端子と前記第2出力端子との電位差を測定し、前記音再生装置のインピーダンスがピークとなる前記テスト信号の周波数であるピーク周波数が含まれる周波数範囲を検出するピーク周波数検出回路と、
を備え、
前記第1増幅回路は、前記第2動作モードにおいて、前記第3変調信号を増幅した第3増幅信号を前記第2出力端子に出力し、
前記第2増幅回路は、前記第2動作モードにおいて、前記第4変調信号を増幅した第4増幅信号を前記第2出力端子に出力し、
前記第1増幅回路は、各出力端子が前記第1出力端子と接続される複数のインバーター回路を有し、
前記第2増幅回路は、各出力端子が前記第2出力端子と接続される複数のインバーター回路を有し、
前記第1動作モードにおいて、
前記第1増幅回路が有する前記複数のインバーター回路の各入力端子に前記第1変調信号が入力され、前記第2増幅回路が有する前記複数のインバーター回路の各入力端子に前記第2変調信号が入力され、
前記第2動作モードにおいて、
前記第1増幅回路が有する前記複数のインバーター回路の一部のインバーター回路の各入力端子に前記第3変調信号が入力され、前記第1増幅回路が有する前記複数のインバーター回路の他の一部のインバーター回路の各出力端子がハイインピーダンスとなり、前記第2増幅回路が有する前記複数のインバーター回路の一部のインバーター回路の各入力端子に前記第4変調信号が入力され、前記第2増幅回路が有する前記複数のインバーター回路の他の一部のインバーター回路の各出力端子がハイインピーダンスとなる、半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記ピーク周波数検出回路は、前記第2動作モードにおいて、前記第1出力端子と前記第2出力端子との電位差が最大となる時間を含む範囲を測定することにより、前記周波数範囲を検出する、半導体装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記ピーク周波数検出回路は、
前記第1出力端子の電圧と前記第2出力端子の電圧とが入力される差動ローパスフィルターと、
前記差動ローパスフィルターの出力電圧を少なくとも1つの閾値電圧と比較する比較器と、
前記比較器の出力信号に基づいて、前記第1出力端子と前記第2出力端子との電位差が最大となる時間を含む範囲を測定するピーク時間測定回路と、
を含む、半導体装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記差動ローパスフィルターのカットオフ周波数は、前記周波数帯域の最大周波数よりも高い、半導体装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記テスト信号生成回路は、前記第2動作モードにおいて、前記周波数帯域に含まれる第1周波数帯域で周波数を変化させた後に前記周波数帯域に含まれる前記第1周波数帯域以外の第2周波数帯域で周波数を変化させた前記テスト信号を変調して前記第3変調信号及び前記第4変調信号を生成し、
前記第1周波数帯域には、前記音再生装置が正常であるときの前記ピーク周波数が含まれる、半導体装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記テスト信号生成回路は、前記第2動作モードにおいて、前記周波数帯域に含まれる互いに異なる第1周波数帯域及び第2周波数帯域で同時に周波数を変化させた前記テスト信号を変調して前記第3変調信号及び前記第4変調信号を生成する、半導体装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記ピーク周波数検出回路が検出した前記周波数範囲に基づいて、前記音再生装置の故障を検出する故障検出回路を備え、
前記故障検出回路は、前記音再生装置の故障を検出した場合に、前記第1変調信号を増幅した信号及び前記第2変調信号を増幅した信号を前記音再生装置とは異なる音再生装置に出力させる、半導体装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の半導体装置と、
前記音再生装置と、
を備える、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、制御部により、スピーカーの構造的な変化に伴って変化するインピーダンスを測定し、測定したインピーダンスが所定の範囲内にあるか否かを判別し、インピーダンスがその範囲内にないと判別した場合に、スピーカーが故障している旨を報知するスピーカー故障報知装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のスピーカー故障報知装置では、スピーカーのインピーダンスを測定する際に、制御部は、アナログ音声信号のレベルを増減させてスピーカーへ出力するアンプを用いずに、専用の物理量測定器を介して所定の周波数の交流電圧をスピーカーに印加すると共にスピーカーを流れる電流を測定し、電圧/電流によりインピーダンスを求める。そのため、特許文献1に記載のスピーカー故障報知装置では、所定の周波数の交流電圧をスピーカーに印加して電流を測定するために専用の物理量測定器が必要であり、スピーカーのインピーダンスを測定するための回路が大きくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る半導体装置の一態様は、
音再生装置の第1端子と接続される第1出力端子と、
前記音再生装置の第2端子と接続される第2出力端子と、
音源信号に基づく信号を変調して第1変調信号及び第2変調信号を出力する変調回路と、
第1動作モードにおいて、前記第1変調信号を増幅した第1増幅信号を前記第1出力端子に出力する第1増幅回路と、
前記第1動作モードにおいて、前記第2変調信号を増幅した第2増幅信号を前記第2出力端子に出力する第2増幅回路と、
第2動作モードにおいて、予め設定された周波数帯域で周波数を変化させたテスト信号を変調して第3変調信号及び第4変調信号を生成するテスト信号生成回路と、
前記第2動作モードにおいて、前記第1出力端子と前記第2出力端子との電位差を測定し、前記音再生装置のインピーダンスがピークとなる前記テスト信号の周波数であるピーク周波数が含まれる周波数範囲を検出するピーク周波数検出回路と、
を備え、
前記第1増幅回路は、前記第2動作モードにおいて、前記第3変調信号を増幅した第3増幅信号を前記第2出力端子に出力し、
前記第2増幅回路は、前記第2動作モードにおいて、前記第4変調信号を増幅した第4増幅信号を前記第2出力端子に出力し、
前記第1増幅回路は、各出力端子が前記第1出力端子と接続される複数のインバーター回路を有し、
前記第2増幅回路は、各出力端子が前記第2出力端子と接続される複数のインバーター回路を有し、
前記第1動作モードにおいて、
前記第1増幅回路が有する前記複数のインバーター回路の各入力端子に前記第1変調信号が入力され、前記第2増幅回路が有する前記複数のインバーター回路の各入力端子に前記第2変調信号が入力され、
前記第2動作モードにおいて、
前記第1増幅回路が有する前記複数のインバーター回路の一部のインバーター回路の各入力端子に前記第3変調信号が入力され、前記第1増幅回路が有する前記複数のインバーター回路の他の一部のインバーター回路の各出力端子がハイインピーダンスとなり、前記第2増幅回路が有する前記複数のインバーター回路の一部のインバーター回路の各入力端子に前記第4変調信号が入力され、前記第2増幅回路が有する前記複数のインバーター回路の他の一部のインバーター回路の各出力端子がハイインピーダンスとなる。
【0006】
本発明に係る電子機器の一態様は、
前記半導体装置の一態様と、
前記音再生装置と、
を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の半導体装置の構成例を示す図。
【
図2】パルス幅変調信号DOPを生成するためのパルス幅変調の一例を示す図。
【
図3】パルス幅変調信号DONを生成するためのパルス幅変調の一例を示す図。
【
図4】パルス幅変調信号DOPとパルス幅変調信号DONとの差分の一例を示す図。
【
図5】スピーカーの状態とインピーダンス特性との関係の一例を示す図。
【
図6】D級アンプ、ピーク周波数検出回路及びその周辺回路の構成例を示す図。
【
図7】D級アンプ、ピーク周波数検出回路及びその周辺回路の構成例を示す図。
【
図8】差動ローパスフィルター及び比較器の構成例を示す図。
【
図9】エンコーダーの出力信号の真理値表を示す図。
【
図10】ピーク周波数を含む周波数範囲の開始時刻及び終了時刻を測定する手順の一例を示すフローチャート図。
【
図11】第1実施形態におけるテスト信号の生成並びに開始時刻及び終了時刻の測定の一例を示す図。
【
図12】第1実施形態におけるテスト信号の生成並びに開始時刻及び終了時刻の測定の一例を示す図。
【
図13】第1実施形態におけるテスト信号の生成並びに開始時刻及び終了時刻の測定の一例を示す図。
【
図14】第2実施形態におけるテスト信号の生成並びに開始時刻及び終了時刻の測定の一例を示す図。
【
図15】第3実施形態におけるテスト信号の生成並びに開始時刻及び終了時刻の測定の一例を示す図。
【
図16】第4実施形態の半導体装置の構成例を示す図。
【
図17】故障検出回路による処理の手順の一例を示すフローチャート図。
【
図18】パルス幅変調信号DONを生成するためのパルス幅変調の他の一例を示す図。
【
図19】パルス幅変調信号DOPとパルス幅変調信号DONとの差分の他の一例を示す図。
【
図21】電子機器の一例である警告装置の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.半導体装置
1-1.第1実施形態
図1は、第1実施形態の半導体装置の構成例を示す図である。
図1に示すように、第1実施形態の半導体装置1は、通信インターフェース回路10、メモリー20、スイッチ81,82、音源再生回路100及び検査回路110を備える。半導体装置1は、1チップの半導体集積回路装置であってもよいし、複数チップの半導体集積回路装置で構成されてもよいし、少なくとも一部が半導体集積回路装置以外の電子部品で構成されてもよい。
【0010】
メモリー20には、n個の音源データ21-1~21-nが記憶されている。nは1以上の整数である。メモリー20は、例えば、フラッシュメモリーであってもよい。音源データ21-1~21-nは、それぞれ、例えば、パルス符号変調された音声データであってもよいし、適応的差分パルス符号変調された音声データであってもよい。音源データ21-1~21-nは、例えば、人が発話する際の声を模した音声、機械的な警告音や効果音等の各種の音の基となるデータであってもよい。
【0011】
通信インターフェース回路10は、マイクロコントロールユニット2とデータ通信を行う回路である。通信インターフェース回路10は、例えば、SPIインターフェース回路であってもよいし、I2Cインターフェース回路であってもよい。SPIはSerial Peripheral Interfaceの略であり、I2CはInter-Integrated Circuitの略である。
【0012】
通信インターフェース回路10は、マイクロコントロールユニット2から送信された各種のコマンドを受信し、受信したコマンドに応じた各種の制御信号を生成する。例えば、通信インターフェース回路10は、半導体装置1の動作モードを通常動作モード又は検査モードに切り替えるコマンドを受信した場合、動作モードに応じてスイッチ41,42の接続を切り替えるための制御信号を生成する。また、通信インターフェース回路10は、メモリー20に記憶されている音源データ21-1~21-nのうちのいずれか1つである音源データ21-iに対する音源再生コマンドを受信した場合、メモリー20から音源データ21-iを読み出して音源信号DIとして音源再生回路100に入力するとともに、音源再生回路100に再生を指示する。また、例えば、通信インターフェース回路10は、再生中の音源データ21-iに対する音源停止コマンドを受信した場合、音源再生回路100に再生の停止を指示する。また、例えば、通信インターフェース回路10は、音源再生に関する各種の設定コマンドを受信した場合、音源再生回路100に対して各種の設定を行う。
【0013】
本実施形態では、音源再生回路100に入力される音源信号DIはパルス符号変調信号である。音源データ21-1~21-nが圧縮された音声データである場合や適応的差分パルス符号変調された音声データである場合は、再生対象の音源データ21-iは不図示のデコーダーによってパルス符号変調信号である音源信号DIに変換される。
【0014】
音源再生回路100は、音源信号DIを音信号である増幅信号DOXP,DOXNに変換し、半導体装置1と接続される音再生装置3に出力する。これにより、音再生装置3から、増幅信号DOXP,DOXNに応じた音が出力される。例えば、音再生装置3は、スピーカーであってもよいし、ブザーであってもよい。なお、音再生装置3から出力される音は、例えば、人が発話する際の声を模した音声であってもよいし、機械的な警告音や効果音等の各種の音であってもよい。
【0015】
図1に示すように、本実施形態では、音源再生回路100は、変調回路30、スイッチ41,42及び増幅回路50を含む。
【0016】
変調回路30は、音源信号DIが入力され、音源信号DIに基づく信号を変調してパルス幅変調信号DOP,DONを出力する。音源信号DIに基づく信号は、音源信号DIそのものであってもよいし、音源信号DIに何らかの処理が施された信号であってもよい。本実施形態では、変調回路30は、デジタルフィルター31、シグマデルタ変調回路32及びパルス幅変調回路33を含む。
【0017】
デジタルフィルター31は、音源信号DIが入力され、音源信号DIに含まれる高周波ノイズを低減させた信号DFを出力するローパスフィルターである。シグマデルタ変調回路32は、デジタルフィルター31から信号DFが入力され、信号DFをn倍のサンプリング比でオーバーサンプリングしてシグマデルタ変調することにより、高周波数帯にノイズが偏ったシグマデルタ変調信号DSを出力する。nは2以上の整数である。したがって、音源信号DIのサンプリング周波数をfsとすると、デジタルフィルター31から出力される信号DFのサンプリング周波数はfsであり、シグマデルタ変調信号DSのサンプリング周波数はn×fsである。デジタルフィルター31は、シグマデルタ変調回路32のオーバーサンプリングによって信号帯域に折り返される高周波ノイズを低減させるアンチエイリアスフィルターとして機能する。
【0018】
パルス幅変調回路33は、シグマデルタ変調信号DSをパルス幅変調してパルス幅変調信号DOP,DONを出力する。パルス幅変調信号DOP,DONは、それぞれ1ビットのデジタル信号である。シグマデルタ変調信号DSのサンプリング周波数をn×fsとすると、パルス幅変調信号DOP,DONのサンプリング周波数はn×m×fsである。ここで、シグマデルタ変調信号DSのビット数をMとするとm=2Mである。
【0019】
このように、変調回路30は、音源信号DIをデジタルフィルター処理した信号をシグマデルタ変調し、さらにパルス幅変調してパルス幅変調信号DOP,DONを出力する。
【0020】
パルス幅変調信号DOPを生成するためのパルス幅変調とパルス幅変調信号DONを生成するためのパルス幅変調とは、方式が異なる。
図2は、パルス幅変調信号DOPを生成するためのパルス幅変調の一例を示す図である。また、
図3は、パルス幅変調信号DONを生成するためのパルス幅変調の一例を示す図である。
図2及び
図3は、シグマデルタ変調信号DSのビット数Mが4の場合の例である。
図2及び
図3において、シグマデルタ変調信号DSは期間Tを周期として更新され、パルス幅変調信号DOP,DONは、期間Tが分割された16個の区間T1~T16の各々においてハイレベル又はローレベルとなる。すなわち、期間Tの長さは1/(n×fs)であり、区間T1~T16の各々の長さは1/(n×m×fs)である。
【0021】
図2に示すように、パルス幅変調信号DOPは、シグマデルタ変調信号DSの値が大きいほどハイレベルの時間が長くなる。例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「-7」、すなわち2進数の「1001」であるときは、パルス幅変調信号DOPは、1つの区間T1がハイレベルであり、15個の区間T2~T16がローレベルである。また、例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「0」、すなわち2進数の「0000」であるときは、パルス幅変調信号DOPは、8個の区間T1~T8がハイレベルであり、8個の区間T9~T16がローレベルである。また、例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「7」、すなわち2進数の「0111」であるときは、パルス幅変調信号DOPは、15個の区間T1~T15がハイレベルであり、1つの区間T16がローレベルである。
【0022】
図3に示すように、パルス幅変調信号DONは、シグマデルタ変調信号DSの値が大きいほどハイレベルの時間が短くなる。例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「-7」、すなわち2進数の「1001」であるときは、パルス幅変調信号DONは、15個の区間T1~T15がハイレベルであり、1つの区間T16がローレベルである。また、例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「0」、すなわち2進数の「0000」であるときは、パルス幅変調信号DONは、8個の区間T1~T8がハイレベルであり、8個の区間T9~T16がローレベルである。また、例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「7」、すなわち2進数の「0111」であるときは、パルス幅変調信号DONは、1つの区間T1がハイレベルであり、15個の区間T2~T16がローレベルである。
【0023】
したがって、例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「-7」、「0」、「7」であるときのパルス幅変調信号DOPとパルス幅変調信号DONとの差分は
図4に示すようになる。
【0024】
図1の説明に戻り、スイッチ41は、通信インターフェース回路10から出力される制御信号に応じて、パルス幅変調信号DOP及びパルス幅変調信号TPのいずれか一方を増幅回路50のD級アンプ51Pに出力する。具体的には、スイッチ41は、半導体装置1の動作モードが通常動作モードであるときはD級アンプ51Pにパルス幅変調信号DOPを出力し、半導体装置1の動作モードが検査モードであるときはD級アンプ51Pにパルス幅変調信号TPを出力する。
【0025】
また、スイッチ42は、通信インターフェース回路10から出力される制御信号に応じて、パルス幅変調信号DON及びパルス幅変調信号TNのいずれか一方を増幅回路50のD級アンプ51Nに出力する。具体的には、スイッチ42は、半導体装置1の動作モードが通常動作モードであるときはD級アンプ51Nにパルス幅変調信号DONを出力し、半導体装置1の動作モードが検査モードであるときはD級アンプ51Nにパルス幅変調信号TNを出力する。
【0026】
増幅回路50は、通常動作モードにおいて、パルス幅変調信号DOP,DONが入力され、パルス幅変調信号DOP,DONを増幅した増幅信号DOXP,DOXNを半導体装置1の出力端子91,92に出力する。また、増幅回路50は、検査モードにおいて、パルス幅変調信号TP,TNが入力され、パルス幅変調信号TP,TNを増幅した増幅信号DOXP,DOXNを半導体装置1の出力端子91,92に出力する。
【0027】
本実施形態では、増幅回路50は、2つのD級アンプ51P,51Nを含む。D級アンプ51Pは、通常動作モードにおいて、パルス幅変調信号DOPを増幅した増幅信号DOXPを出力端子91に出力し、検査モードにおいて、パルス幅変調信号TPを増幅した増幅信号DOXPを出力端子91に出力する。D級アンプ51Nは、通常動作モードにおいて、パルス幅変調信号DONを増幅した増幅信号DOXNを出力端子92に出力し、検査モードにおいて、パルス幅変調信号TNを増幅した増幅信号DOXNを出力端子92に出力する。出力端子91は音再生装置3の端子P1と接続され、出力端子92は音再生装置3の端子P2と接続されている。そして、音再生装置3は、増幅信号DOXPと増幅信号DOXNとの電圧差に応じた大きさの音を再生する。
【0028】
検査回路110は、音再生装置3を検査する回路である。
【0029】
図5は、スピーカーの状態とインピーダンス特性との関係の一例を示す図である。
図5において、横軸はスピーカーの入力信号の周波数であり、縦軸はスピーカーのインピーダンス値である。G1は、スピーカーが正常であるときのインピーダンス特性の一例である
。スピーカーのインピーダンスがピークとなる入力信号の周波数であるピーク周波数f0は、スピーカーの種類によって変わるが、スピーカーが正常であるときは、少なくとも、人の可聴域下限である20Hz以上であってブザー警告音で使われる周波数である3kHz以下の周波数帯域に含まれる。G2は、スピーカーのマグネットが破損して取れた状態のときのインピーダンス特性の一例である。スピーカーはマグネットが取れるとコイルだけになってしまうので高域になるにつれてゆっくりインピーダンス値が上昇し、ピーク周波数f0が消え去る。G3は、スピーカーのコーン紙が破れた状態のときのインピーダンス特性の一例である。スピーカーの振動面であるコーン紙が破れると低音が出なくなり、ピーク周波数f0が高域側にシフトする。
【0030】
このように、ピーク周波数f0はスピーカーの状態によって変化する。そこで、本実施形態では、検査回路110は、検査モードにおいて、ピーク周波数f0が含まれる周波数範囲F0を検出する。本実施形態では、検査回路110は、テスト信号生成回路60及びピーク周波数検出回路70を含む。
【0031】
テスト信号生成回路60は、検査モードにおいて、予め設定された周波数帯域で周波数を変化させたテスト信号を変調して変調信号TP,TNを生成する。テスト信号生成回路60がテスト信号の周波数を変化させる周波数帯域は、マイクロコントロールユニット2によって任意に設定可能であり、例えば、10Hz以上3kHz以下の周波数帯域であってもよい。本実施形態では、テスト信号生成回路60は、テスト信号をパルス幅変調してパルス幅変調信号TP,TNを生成する。テスト信号生成回路60によるパルス幅変調の方式は、パルス幅変調回路33によるパルス幅変調の方式と同じである。
【0032】
ピーク周波数検出回路70は、検査モードにおいて、出力端子91と出力端子92との電位差を測定し、音再生装置3のインピーダンスがピークとなるテスト信号の周波数であるピーク周波数f0が含まれる周波数範囲F0を検出する。
【0033】
スイッチ81は、通信インターフェース回路10から出力される制御信号に応じて、半導体装置1の出力端子91とピーク周波数検出回路70とを電気的に接続するか遮断するかを切り替える。具体的には、スイッチ81は、半導体装置1の動作モードが通常動作モードであるときは出力端子91とピーク周波数検出回路70とを電気的に遮断し、半導体装置1の動作モードが検査モードであるときは出力端子91とピーク周波数検出回路70とを電気的に接続する。
【0034】
また、スイッチ82は、通信インターフェース回路10から出力される制御信号に応じて、半導体装置1の出力端子92とピーク周波数検出回路70とを電気的に接続するか遮断するかを切り替える。具体的には、スイッチ82は、半導体装置1の動作モードが通常動作モードであるときは出力端子92とピーク周波数検出回路70とを電気的に遮断し、半導体装置1の動作モードが検査モードであるときは出力端子92とピーク周波数検出回路70とを電気的に接続する。
【0035】
このように、ピーク周波数検出回路70は、スイッチ81,82により、通常動作モードでは出力端子91,91と電気的に遮断され、検査モードでは出力端子91,91と電気的に接続されて出力端子91と出力端子92との電位差を測定し、ピーク周波数f0が含まれる周波数範囲F0を検出する。
【0036】
通信インターフェース回路10は、マイクロコントロールユニット2からピーク周波数f0が含まれる周波数範囲F0を読み出すコマンドを受信すると、ピーク周波数検出回路70から周波数範囲F0を取得してマイクロコントロールユニット2に送信する。例えば、マイクロコントロールユニット2は、周波数範囲F0に基づいて、音再生装置3の故障
の有無や故障モードを判定することができる。
【0037】
図6及び
図7は、D級アンプ51P,51N、ピーク周波数検出回路70及びその周辺回路の構成例を示す図である。
図6は通常動作モードにおける構成を示し、
図7は検査モードにおける構成を示す。
【0038】
図6及び
図7に示すように、D級アンプ51Pは、複数のインバーター回路201-1~201-nを有し、D級アンプ51Nは、複数のインバーター回路202-1~202-nを有する。nは2以上の整数であり、例えば、10~100程度であってもよい。インバーター回路201-1~201-nの各々は、1対のPMOSトランジスターとNMOSトランジスターによって構成されており、PMOSトランジスターのドレインとNMOSトランジスターのドレインとが接続されたノードである出力端子が出力端子91と接続されている。同様に、インバーター回路202-1~202-nの各々は、1対のPMOSトランジスターとNMOSトランジスターによって構成されており、PMOSトランジスターのドレインとNMOSトランジスターのドレインとが接続されたノードである出力端子が出力端子92と接続されている。
【0039】
図6に示すように、通常動作モードにおいて、D級アンプ51Pが有するインバーター回路201-1~201-nの各入力端子に、スイッチ41を介して変調信号DOPが入力され、D級アンプ51Nが有するインバーター回路202-1~202-nの各入力端子に、スイッチ42を介して変調信号DONが入力される。すなわち、通常動作モードにおいて、D級アンプ51Pが有するインバーター回路201-1~201-nは、変調回路30と半導体装置1の出力端子91との間に並列に接続され、D級アンプ51Nが有するインバーター回路202-1~202-nは、変調回路30と半導体装置1の出力端子92との間に並列に接続される。これにより、D級アンプ51Pのオン抵抗R
onPはインバーター回路201-1のオン抵抗の1/nとなり、D級アンプ51Nのオン抵抗R
onNはインバーター回路202-1のオン抵抗の1/nとなる。
【0040】
そして、増幅回路50は、変調信号DOPを増幅した増幅信号DOXPを出力端子91に出力し、変調信号DONを増幅した増幅信号DOXNを出力端子92に出力する。出力端子91,92は、それぞれ音再生装置3の端子P1,P2と接続されている。端子P1と端子P2との間のインピーダンスRspは、例えば4Ω~128Ωであり、通常動作モードでは、D級アンプ51Pのオン抵抗RonP及びD級アンプ51Nのオン抵抗RonNは、音再生装置3のインピーダンスRspの1/10~1/100程度である。
【0041】
また、
図6に示すように、検査モードにおいて、スイッチ81,82は非導通であり、ピーク周波数検出回路70は、半導体装置1の出力端子91,92と電気的に遮断される。
【0042】
一方、
図7に示すように、検査モードにおいて、D級アンプ51Pが有するインバーター回路201-1~201-nの一部のインバーター回路の各入力端子に、スイッチ41を介して変調信号TPが入力され、インバーター回路201-1~201-nの他の一部のインバーター回路の各出力端子がハイインピーダンスとなる。例えば、検査モードにおいて、インバーター回路201-1の入力端子に変調信号TPが入力され、インバーター回路201-2~201-nの各出力端子がハイインピーダンスとなる。同様に、D級アンプ51Nが有するインバーター回路202-1~202-nの一部のインバーター回路の各入力端子に、スイッチ42を介して変調信号TNが入力され、インバーター回路202-1~202-nの他の一部のインバーター回路の各出力端子がハイインピーダンスとなる。例えば、検査モードにおいて、インバーター回路202-1の入力端子に変調信号TNが入力され、インバーター回路202-2~202-nの各出力端子がハイインピー
ダンスとなる。これにより、例えば、D級アンプ51Pのオン抵抗R
onP及びD級アンプ51Nのオン抵抗R
onNは、インピーダンスR
spと同程度となる。
【0043】
また、
図7に示すように、検査モードにおいて、スイッチ81,82が導通し、ピーク周波数検出回路70は、半導体装置1の出力端子91,92と電気的に接続される。
【0044】
ピーク周波数検出回路70は、差動ローパスフィルター71と、比較器72と、ピーク時間測定回路73と、を含む。
【0045】
差動ローパスフィルター71は、検査モードにおいて、スイッチ81,82を介して出力端子91の電圧と出力端子92の電圧とが入力される。すなわち、差動ローパスフィルター71は、増幅信号DOXP,DOXNが入力され、パルス幅変調によって増幅信号DOXP,DOXNに重畳される高域のノイズ成分を低減させるとともに、増幅信号DOXP,DOXNの電位差に応じた電圧V’を出力する。差動ローパスフィルター71のカットオフ周波数は、テスト信号生成回路60がテスト信号の周波数を変化させる周波数帯域の最大周波数よりも高い。例えば、テスト信号生成回路60が10Hz以上3kHz以下の周波数帯域でテスト信号の周波数を変化させる場合、差動ローパスフィルター71のカットオフ周波数は、3kHzよりも高い。差動ローパスフィルター71のカットオフ周波数がテスト信号の周波数を変化させる周波数帯域の最大周波数よりも高いので、差動ローパスフィルター71によって当該周波数帯域に含まれる周波数成分が減衰しない。
【0046】
比較器72は、差動ローパスフィルター71の出力電圧を少なくとも1つの閾値電圧と比較し、比較結果を示すデータDTを出力する。比較器72は、例えば、2m-1個の閾値電圧と比較してmビットのデジタル信号を出力するアナログ/デジタル変換回路であってもよい。mは1以上の整数である。
【0047】
ピーク時間測定回路73は、比較器72の出力信号であるデータDTに基づいて、出力端子91と出力端子92との電位差が最大となる時間を含む範囲を測定する。例えば、ピーク時間測定回路73は、出力端子91と出力端子92との電位差が最大となる時間を含む範囲として、当該範囲の開始時刻tstart及び終了時刻tstopを測定してもよい。テスト信号の周波数が10Hz以上3kHz以下の周波数帯域で時間とともに増加する場合、開始時刻tstartにおけるテスト信号の周波数が周波数範囲F0の下限に相当し、終了時刻tstopにおけるテスト信号の周波数が周波数範囲F0の上限に相当する。
【0048】
このように、ピーク周波数検出回路70は、検査モードにおいて、出力端子91と出力端子92との電位差が最大となる時間を含む範囲を測定することにより、ピーク周波数f0が含まれる周波数範囲F0を検出する。ピーク周波数検出回路70が検出する周波数範囲F0は、出力端子91と出力端子92との電位差が最大となる時間を含む範囲の開始時刻tstart及び終了時刻tstopであってもよい。あるいは、ピーク周波数検出回路70は、周波数範囲F0として、開始時刻tstart及び終了時刻tstopに対応するテスト信号の周波数範囲を算出してもよい。
【0049】
図8は、差動ローパスフィルター71及び比較器72の構成例を示す図である。
図8に示すように、差動ローパスフィルター71は、演算増幅器211、5個の抵抗212,213,214,216,218及び3個のコンデンサー215,217,219を含む。
【0050】
検査モードにおいて、抵抗212の一端には、半導体装置1の出力端子91に出力される増幅信号DOXPが入力される。また、抵抗213の一端には、半導体装置1の出力端子92に出力される増幅信号DOXNが入力される。抵抗212の他端、抵抗214の一
端及びコンデンサー215の一端は、演算増幅器211の非反転入力端子と接続されている。抵抗213の他端、抵抗216の一端、コンデンサー217の一端、抵抗218の一端及びコンデンサー219の一端は、演算増幅器211の反転入力端子と接続されている。
【0051】
抵抗214の他端及びコンデンサー215の他端は、演算増幅器211の出力端子と接続されている。抵抗216の他端及びコンデンサー217の他端は接地され、抵抗218の他端及びコンデンサー219の他端には電源電圧が供給される。
【0052】
このように構成されている差動ローパスフィルター71は、パルス幅変調によって増幅信号DOXP,DOXNに重畳される高域のノイズ成分を低減させるとともに、演算増幅器211の出力端子から、増幅信号DOXP,DOXNの電位差、すなわち、出力端子91と出力端子92との電位差に応じた電圧V’を出力する。電源電圧をVDDとし、グラウンド電圧を0Vとしたとき、高域のノイズ成分を低減された出力端子91と出力端子92との電位差が正のときは、電圧V’がVDD×1/2よりも高くなり、高域のノイズ成分を低減された出力端子91と出力端子92との電位差が負のときは、電圧V’がVDD×1/2よりも低くなる。
【0053】
そして、電圧V’の振幅電圧V’(p-p)と、音再生装置3のインピーダンスRsp、D級アンプ51Pのオン抵抗RonP及びD級アンプ51Nのオン抵抗RonNとの間には、式(1)の関係がある。式(1)より、インピーダンスRspが大きいほど電圧V’の振幅が大きくなるので、インピーダンスRspがピークとなるときに電圧V’の振幅が最大となる。
【0054】
【0055】
比較器72は、8個の抵抗221~228、7個のコンパレーター231~237、6個の論理素子241~247及びエンコーダー250を含む。
【0056】
抵抗221~228は、電源とグラウンドとの間に直列に接続されている。抵抗222~227の抵抗値は同じである。抵抗221,228は、電圧V’の振幅電圧V’(p-p)の設定最大値に合わせて調整される。ここでは、説明を単純化するために抵抗221~228の抵抗値がすべて同じであるものとする。電源電圧をVDD、グラウンド電圧を0Vとすると、抵抗221と抵抗222との接続ノードの電圧はVDD×7/8であり、抵抗222と抵抗223との接続ノードの電圧はVDD×6/8であり、抵抗223と抵抗224との接続ノードの電圧はVDD×5/8であり、抵抗224と抵抗225との接続ノードの電圧はVDD×4/8であり、抵抗225と抵抗226との接続ノードの電圧はVDD×3/8であり、抵抗226と抵抗227との接続ノードの電圧はVDD×2/8であり、抵抗227と抵抗228との接続ノードの電圧はVDD×1/8である。
【0057】
コンパレーター231の出力信号は、電圧V’が抵抗221と抵抗222との接続ノードの電圧であるVDD×7/8よりも高いときにローレベルとなり、そうでなければハイレベルとなる。コンパレーター232の出力信号は、電圧V’が抵抗222と抵抗223との接続ノードの電圧であるVDD×6/8よりも高いときにローレベルとなり、そうでなければハイレベルとなる。コンパレーター233の出力信号は、電圧V’が抵抗223と抵抗224との接続ノードの電圧であるVDD×5/8よりも高いときにローレベルとなり、そうでなければハイレベルとなる。コンパレーター234の出力信号は、電圧V’
が抵抗224と抵抗225との接続ノードの電圧であるVDD×4/8よりも高いときにローレベルとなり、そうでなければハイレベルとなる。コンパレーター235の出力信号は、電圧V’が抵抗225と抵抗226との接続ノードの電圧であるVDD×3/8よりも高いときにローレベルとなり、そうでなければハイレベルとなる。コンパレーター236の出力信号は、電圧V’が抵抗226と抵抗227との接続ノードの電圧であるVDD×2/8よりも高いときにローレベルとなり、そうでなければハイレベルとなる。コンパレーター237の出力信号は、電圧V’が抵抗227と抵抗228との接続ノードの電圧であるVDD×1/8よりも高いときにローレベルとなり、そうでなければハイレベルとなる。
【0058】
論理素子241は、コンパレーター231の出力信号がハイレベルであって、かつ、コンパレーター232の出力信号がローレベルの場合にローレベルとなり、その他の場合はハイレベルとなる信号を出力する。論理素子242は、コンパレーター232の出力信号がハイレベルであって、かつ、コンパレーター233の出力信号がローレベルの場合にローレベルとなり、その他の場合はハイレベルとなる信号を出力する。論理素子243は、コンパレーター233の出力信号がハイレベルであって、かつ、コンパレーター234の出力信号がローレベルの場合にローレベルとなり、その他の場合はハイレベルとなる信号を出力する。論理素子244は、コンパレーター234の出力信号がハイレベルであって、かつ、コンパレーター235の出力信号がローレベルの場合にローレベルとなり、その他の場合はハイレベルとなる信号を出力する。論理素子245は、コンパレーター235の出力信号がハイレベルであって、かつ、コンパレーター236の出力信号がローレベルの場合にローレベルとなり、その他の場合はハイレベルとなる信号を出力する。論理素子246は、コンパレーター236の出力信号がハイレベルであって、かつ、コンパレーター237の出力信号がローレベルの場合にローレベルとなり、その他の場合はハイレベルとなる信号を出力する。
【0059】
したがって、電圧V’がVDD×7/8よりも高いときは、論理素子241~247の各出力信号がハイレベルとなる。また、電圧V’がVDD×6/8よりも高く、かつ、VDD×7/8よりも低いときは、論理素子241の出力信号がローレベルとなり、論理素子242~247の各出力信号がハイレベルとなる。また、電圧V’がVDD×5/8よりも高く、かつ、VDD×6/8よりも低いときは、論理素子241,242の各出力信号がローレベルとなり、論理素子243~247の各出力信号がハイレベルとなる。また、電圧V’がVDD×4/8よりも高く、かつ、VDD×5/8よりも低いときは、論理素子241~243の各出力信号がローレベルとなり、論理素子244~247の各出力信号がハイレベルとなる。また、電圧V’がVDD×3/8よりも高く、かつ、VDD×4/8よりも低いときは、論理素子241~244の各出力信号がローレベルとなり、論理素子245~247の各出力信号がハイレベルとなる。また、電圧V’がVDD×2/8よりも高く、かつ、VDD×3/8よりも低いときは、論理素子241~245の各出力信号がローレベルとなり、論理素子246,247の出力信号がハイレベルとなる。また、電圧V’がVDD×1/8よりも高いときは、論理素子241~246の各出力信号がローレベルとなり、論理素子247の出力信号のみがハイレベルとなる。
【0060】
論理素子241~247の出力信号をそれぞれ信号D1~D7とし、エンコーダー250は、
図9のテーブルに従って、信号D1~D7を3ビットのデータDT[2:0]にエンコードする。
【0061】
図9に示すように、信号D1~D7がハイレベルのとき、データDT[2:0]は011である。また、信号D1がローレベルであって、かつ信号D2~D7がハイレベルのとき、データDT[2:0]は010である。また、信号D1,D2がローレベルであって、かつ信号D3~D7がハイレベルのとき、データDT[2:0]は001である。また
、信号D1~D3がローレベルであって、かつ信号D4~D7がハイレベルのとき、データDT[2:0]は000である。また、信号D1~D4がローレベルであって、かつ信号D5~D7がハイレベルのとき、データDT[2:0]は100である。また、信号D1~D5がローレベルであって、かつ信号D6,D7がハイレベルのとき、データDT[2:0]は101である。また、信号D1~D6がローレベルであって、かつ信号D7がハイレベルのとき、データDT[2:0]は110である。また、信号D1~D7がローレベルのとき、データDT[2:0]は111である。
【0062】
DT[2]は、電圧V’の符号を表し、電圧V’がVDD×1/2よりも高いときはローレベルであり、電圧V’がVDD×1/2よりも低いときはハイレベルである。DT[1:0]は、電圧V’の振幅の大きさを表し、00,01,10,11の4値を取り得る。
【0063】
ピーク時間測定回路73は、例えば、2ビットのデータDT[1:0]に基づいて、出力端子91と出力端子92との電位差が最大となる時間含む範囲の開始時刻tstart及び終了時刻tstopを測定することができる。
【0064】
図10は、ピーク時間測定回路73が開始時刻t
start及び終了時刻t
stopを測定する手順の一例を示すフローチャート図である。
図10の例では、ピーク時間測定回路73にN個のデータDT[1:0]であるデータDT(0)[1:0]~データDT(N-1)[1:0]が入力されるものとする。
【0065】
図10に示すように、まず、工程S1において、ピーク時間測定回路73は、データDT[1:0]の番号を示す変数iを0に初期化し、データDT[1:0]の最大値を示す変数DT[1:0]
maxを00に初期化し、開始時刻t
start及び終了時刻t
stopをともに0に初期化する。
【0066】
次に、工程S2において、ピーク時間測定回路73は、データDT(i)[1:0]が変数DT[1:0]maxよりも大きいか否かを判定する。そして、工程S2において、データDT(i)[1:0]が変数DT[1:0]maxよりも大きい場合、工程S3において、ピーク時間測定回路73は、変数DT[1:0]maxをデータDT(i)[1:0]に更新し、開始時刻tstart及び終了時刻tstopをともにiに更新する。
【0067】
一方、工程S2において、データDT(i)[1:0]が変数DT[1:0]maxと等しい場合、工程S4において、ピーク時間測定回路73は、データDT(i)[1:0]が変数DT[1:0]maxと等しいか否かを判定する。そして、工程S4において、データDT(i)[1:0]が変数DT[1:0]maxと等しい場合、工程S5において、ピーク時間測定回路73は、終了時刻tstopをiに更新する。
【0068】
次に、工程S6において、ピーク時間測定回路73は、変数iがN-1よりも小さいか否かを判定する。そして、工程S6において、変数iがN-1よりも小さい場合、工程S7において、ピーク時間測定回路73は、変数iをi+1に更新し、変数iがN-1に達するまで工程S2以降の処理を繰り返す。変数iがN-1に達すると、ピーク時間測定回路73は、処理を終了する。
【0069】
図11~
図13は、検査回路110によるテスト信号の生成並びに開始時刻t
start及び終了時刻t
stopの測定の一例を示す図である。
図11は、音再生装置3のインピーダンス特性が
図5のG1である場合の例である。
図12は、音再生装置3のインピーダンス特性が
図5のG2である場合の例である。
図13は、音再生装置3のインピーダンス特性が
図5のG3である場合の例である。
図11~
図13の例では、テスト信号生成回
路60は、テスト信号の振幅を一定電圧V1に維持したままテスト信号の周波数を10Hz以上3kHz以下の周波数帯域で連続的に変化させている。
【0070】
図11の例では、テスト信号のピーク周波数f0において差動ローパスフィルター71の出力電圧V’の振幅が最大となる。比較器72が出力するデータDT[1:0]の最大値は10であり、ピーク時間測定回路73は、データDT[1:0]が最初に10となるときの変数iを開始時刻t
startとして測定し、データDT[1:0]が最後に10となるときの変数iを終了時刻t
stopとして測定する。
【0071】
図12の例では、比較器72が出力するデータDT[1:0]は常に00であり、その最大値も00である。したがって、ピーク時間測定回路73は、データDT[1:0]が最初に10となるときの変数i=0を開始時刻t
startとして測定し、データDT[1:0]が最後に10となるときの変数i=N-1を終了時刻t
stopとして測定する。ピーク周波数検出回路70は、開始時刻t
startから終了時刻t
stopまでの時間に対応するテスト信号の周波数範囲F0として10Hz以上3kHz以下の周波数帯域の全範囲を検出する。
【0072】
図13の例では、比較器72が出力するデータDT[1:0]の最大値は01であり、ピーク時間測定回路73は、データDT[1:0]が最初に01となるときの変数iを開始時刻t
startとして測定し、データDT[1:0]が最後に10となるときの変数i=N-1を終了時刻t
stopとして測定する。ピーク周波数検出回路70は、開始時刻t
startから終了時刻t
stopまでの時間に対応するテスト信号の周波数範囲F0を検出する。
【0073】
通信インターフェース回路10は、マイクロコントロールユニット2からピーク周波数f0が含まれる周波数範囲F0を読み出すコマンドを受信すると、ピーク周波数検出回路70から周波数範囲F0として開始時刻tstart及び終了時刻tstopを取得してマイクロコントロールユニット2に送信する。あるいは、ピーク周波数検出回路70は、開始時刻tstartから終了時刻tstopまでの時間に対応するテスト信号の周波数範囲F0を算出し、通信インターフェース回路10は、この周波数範囲F0を取得してマイクロコントロールユニット2に送信してもよい。マイクロコントロールユニット2は、通信インターフェース回路10を介して周波数範囲F0を取得し、周波数範囲F0に基づいて、音再生装置3の故障の有無や故障モードを判定することができる。マイクロコントロールユニット2は、周波数範囲F0の下限及び上限がそれぞれ所定の範囲に含まれていれば、音再生装置3が正常であると判定し、そうでなければ故障していると判定する。また、マイクロコントロールユニット2は、音再生装置3が故障している場合は、周波数範囲F0の下限及び上限に基づいて、故障モードを判定する。
【0074】
例えば、
図11の例では、マイクロコントロールユニット2は、周波数範囲F0の下限に対応する開始時刻t
startが第1基準範囲に含まれ、かつ、周波数範囲F0の上限に対応する終了時刻t
stopが第2基準範囲に含まれるため、音再生装置3が正常であると判定する。また、
図12の例や
図13の例では、マイクロコントロールユニット2は、周波数範囲F0の下限に対応する開始時刻t
startが第1基準範囲に含まれず、あるいは、周波数範囲F0の上限に対応する終了時刻t
stopが第2基準範囲に含まれないため、音再生装置3が故障していると判定することができる。また、
図12の例では、マイクロコントロールユニット2は、開始時刻t
startが0であり、かつ、終了時刻t
stopがN-1であるので、テスト信号が10Hz以上3kHzの周波数帯域で変化しても電圧V’が徐々に変化する故障モード、すなわち、インピーダンス特性が
図5のG2のようになる、音再生装置3のスピーカーのマグネットが破損して取れた故障モードであると判定することができる。また、
図13の例では、マイクロコントロールユニット2
は、開始時刻t
startがN-1に近く、かつ、終了時刻t
stopがN-1であるので、ピーク周波数f0が3kHzよりも高い周波数にシフトする故障モード、すなわち、インピーダンス特性が
図5のG3のようになる、音再生装置3のコーン紙が破れた故障モードであると判定することができる。
【0075】
なお、第1実施形態において、音再生装置3の端子P1は「第1端子」の一例であり、音再生装置3の端子P2は「第2端子」の一例である。また、半導体装置1の出力端子91は「第1出力端子」の一例であり、半導体装置1の出力端子92は「第2出力端子」の一例である。また、パルス幅変調信号DOPは「第1変調信号」の一例であり、パルス幅変調信号DONは「第2変調信号」の一例である。また、パルス幅変調信号TPは「第3変調信号」の一例であり、パルス幅変調信号TNは「第4変調信号」の一例である。また、パルス幅変調信号DOPが増幅された増幅信号DOXPは「第1増幅信号」の一例であり、パルス幅変調信号DONが増幅された増幅信号DOXNは「第2増幅信号」の一例である。また、パルス幅変調信号TPが増幅された増幅信号DOXPは「第3増幅信号」の一例であり、パルス幅変調信号TNが増幅された増幅信号DOXNは「第4増幅信号」の一例である。また、D級アンプ51Pは「第1増幅回路」の一例であり、D級アンプ51Nは「第2増幅回路」の一例である。また、通常動作モードは「第1動作モード」の一例であり、検査モードは「第2動作モード」の一例である。
【0076】
第1実施形態の半導体装置1は、1つの音再生装置3に音を出力させることが可能な構成であるが、複数の音再生装置に音を出力させることが可能な構成であってもよい。
【0077】
以上に説明したように、第1実施形態の半導体装置1によれば、通常動作モードでは、D級アンプ51Pが音源信号DIに基づくパルス幅変調信号DOPを増幅した増幅信号DOXPを出力端子91に出力するとともに、D級アンプ51Nが音源信号DIに基づくパルス幅変調信号DONを増幅した増幅信号DOXNを出力端子92に出力することにより、音再生装置3が音を再生することができる。具体的には、通常動作モードでは、D級アンプ51Pが有するインバーター回路201-1~201-nが並列に接続されるともにD級アンプ51Nが有するインバーター回路202-1~202-nが並列に接続される。そのため、D級アンプ51Pのオン抵抗RonP及びD級アンプ51Nのオン抵抗RonNが音再生装置3のインピーダンスRspよりも十分に小さくなり、音再生装置3が適切に音を再生することができる。
【0078】
一方、検査モードでは、D級アンプ51Pがテスト信号に基づくパルス幅変調信号TPを増幅した増幅信号DOXPを出力端子91に出力するとともに、D級アンプ51Nがテスト信号に基づくパルス幅変調信号TNを増幅した増幅信号DOXNを出力端子92に出力することにより、ピーク周波数検出回路70が、出力端子91と出力端子92との電位差を測定し、音再生装置3のインピーダンスがピークとなるピーク周波数f0が含まれる周波数範囲F0を検出することができる。具体的には、検査モードでは、D級アンプ51Pが有するインバーター回路201-1~201-nの一部の出力がハイインピーダンスとなるとともにD級アンプ51Nが有するインバーター回路202-1~202-nの一部の出力がハイインピーダンスとなる。そのため、D級アンプ51Pのオン抵抗RonP及びD級アンプ51Nのオン抵抗RonNが増加し、前出の式(1)より、音再生装置3のインピーダンスRspの変化による出力端子91と出力端子92との電位差の変化量が大きくなる。特に、オン抵抗RonP,RonNがインピーダンスRspと同程度になるようにすれば、インピーダンスRspの変化に対して出力端子91と出力端子92との電位差の変化が最も敏感になるので、ピーク周波数検出回路70が、ピーク周波数f0が含まれる周波数範囲F0を精度良く検出することができる。したがって、マイクロコントロールユニット2が、ピーク周波数f0が含まれる周波数範囲F0に基づいて音再生装置3のインピーダンス特性を推定し、音再生装置3の故障の有無や故障モードを判定すること
ができる。
【0079】
すなわち、第1実施形態の半導体装置1では、D級アンプ51P及びD級アンプ51Nが、通常動作モードにおいて音再生装置3に音を再生させるための増幅信号DOXP,DOXNの生成と、検査モードにおいてピーク周波数f0が含まれる周波数範囲F0の検出に必要な増幅信号DOXP,DOXNの生成とに兼用される。さらに、検査モードにおいて、音再生装置3のインピーダンスRspの変化による出力端子91と出力端子92との電位差の変化量が大きいので、ピーク周波数検出回路70のサイズが低減される。したがって、第1実施形態の半導体装置1によれば、音再生装置3の故障を検出するために必要な信号を小規模の回路で生成することができる。
【0080】
また、第1実施形態の半導体装置1によれば、音再生装置3のインピーダンスRspがピークとなるときに出力端子91と出力端子92との電位差もピークとなるので、出力端子91と出力端子92との電位差が最大となる時間を含む範囲を測定することにより、ピーク周波数f0が含まれる周波数範囲F0を検出することができる。
【0081】
また、第1実施形態の半導体装置1によれば、ピーク周波数検出回路70において、差動ローパスフィルター71が、テスト信号を変調することによって増幅信号DOXP,DOXNに重畳される高域のノイズ成分を低減させ、比較器72が差動ローパスフィルター71の出力電圧をデータDTに変換し、ピーク時間測定回路73が、容易に高精度の測定を行うことができる。
【0082】
また、第1実施形態の半導体装置1によれば、音再生装置3のインピーダンスRspは増幅信号DOXP,DOXNの電圧の大小に依存しないので、検査モードにおいて、音再生装置3が人の耳に聞こえない微小な音を再生しながら、ピーク周波数f0が含まれる周波数範囲F0を検出することができる。
【0083】
1-2.第2実施形態
以下、第2実施形態の半導体装置1について、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、第1実施形態と同様の説明は省略又は簡略し、主として第1実施形態と異なる内容について説明する。
【0084】
第2実施形態の半導体装置1の構成は、
図1と同様であるため、その図示を省略する。第2実施形態の半導体装置1では、テスト信号生成回路60が生成するテスト信号が第1実施形態と異なる。
【0085】
本実施形態では、テスト信号生成回路60は、検査モードにおいて、あらかじめ設定された周波数帯域に含まれる第1周波数帯域F1で周波数を変化させた後に当該設定された周波数帯域に含まれる第1周波数帯域F1以外の第2周波数帯域F2で周波数を変化させたテスト信号を変調して変調信号TP,TNを生成する。第1周波数帯域F1には、音再生装置3が正常であるときのピーク周波数f0が含まれる。第1周波数帯域F1及び第2周波数帯域F2は、マイクロコントロールユニット2によって任意に設定可能であってもよい。第1実施形態と同様、テスト信号生成回路60は、テスト信号をパルス幅変調してパルス幅変調信号TP,TNを生成する。テスト信号生成回路60によるパルス幅変調の方式は、パルス幅変調回路33によるパルス幅変調の方式と同じである。
【0086】
第2実施形態の半導体装置1のその他の構成及び機能は、第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0087】
図14は、第2実施形態における検査回路110によるテスト信号の生成及び開始時刻
t
start及び終了時刻t
stopの測定の一例を示す図である。
図14は、音再生装置3のインピーダンス特性が
図5のG1である場合の例である。
図14の例では、テスト信号生成回路60は、テスト信号の振幅を一定電圧V1に維持したまま、テスト信号の周波数を、10Hz以上3kHz以下の周波数帯域に含まれる7種類の周波数で段階的に変化させている。具体的には、テスト信号生成回路60は、テスト信号の周波数を、第1周波数帯域F1に含まれる4種類の周波数で段階的に変化させた後に、第1周波数帯域F1以外の第2周波数帯域F2に含まれる3種類の周波数で段階的に変化させている。このように、テスト信号の周波数を段階的に変化させることにより、テスト信号生成回路60及びピーク周波数検出回路70の回路規模を小さくすることができる。
【0088】
図14の例では、第1周波数帯域F1に含まれるピーク周波数f0において差動ローパスフィルター71の出力電圧V’の振幅が最大となる。比較器72が出力するデータDT[1:0]の最大値は10であり、ピーク時間測定回路73は、データDT[1:0]が最初に10となるときの変数iを開始時刻t
startとして測定し、データDT[1:0]が最後に10となるときの変数iを終了時刻t
stopとして測定する。
【0089】
図14の例における開始時刻t
start及び終了時刻t
stopは、を
図11における開始時刻t
start及び終了時刻t
stopよりも早い時刻である。すなわち、第2実施形態におけるピーク周波数検出回路70は、第1実施形態よりも短い時間で周波数範囲F0を検出することができる。なお、
図14の例では、テスト信号生成回路60は、テスト信号の周波数を段階的に変化させているので、周波数範囲F0にはピーク周波数f0のみが含まれている。
【0090】
ピーク周波数検出回路70が第1周波数帯域F1において周波数範囲F0を検出した場合、テスト信号生成回路60及びピーク周波数検出回路70は動作を停止し、検査完了割り込み信号をマイクロコントロールユニット2に出力してもよい。その場合、マイクロコントロールユニット2は、検査完了割り込み信号を受けて通信インターフェース回路10を介して周波数範囲F0を取得し、周波数範囲F0に基づいて、音再生装置3の故障の有無や故障モードを判定することができる。
【0091】
なお、第2実施形態において、音再生装置3の端子P1は「第1端子」の一例であり、音再生装置3の端子P2は「第2端子」の一例である。また、半導体装置1の出力端子91は「第1出力端子」の一例であり、半導体装置1の出力端子92は「第2出力端子」の一例である。また、パルス幅変調信号DOPは「第1変調信号」の一例であり、パルス幅変調信号DONは「第2変調信号」の一例である。また、パルス幅変調信号TPは「第3変調信号」の一例であり、パルス幅変調信号TNは「第4変調信号」の一例である。また、パルス幅変調信号DOPが増幅された増幅信号DOXPは「第1増幅信号」の一例であり、パルス幅変調信号DONが増幅された増幅信号DOXNは「第2増幅信号」の一例である。また、パルス幅変調信号TPが増幅された増幅信号DOXPは「第3増幅信号」の一例であり、パルス幅変調信号TNが増幅された増幅信号DOXNは「第4増幅信号」の一例である。また、D級アンプ51Pは「第1増幅回路」の一例であり、D級アンプ51Nは「第2増幅回路」の一例である。また、通常動作モードは「第1動作モード」の一例であり、検査モードは「第2動作モード」の一例である。
【0092】
第2実施形態の半導体装置1は、1つの音再生装置3に音を出力させることが可能な構成であるが、複数の音再生装置に音を出力させることが可能な構成であってもよい。
【0093】
以上に説明した第2実施形態の半導体装置1によれば、第1実施形態の半導体装置1と同様の効果を奏する。さらに、第2実施形態の半導体装置1によれば、音再生装置3が正常であるときのピーク周波数f0が含まれる第1周波数帯域F1を優先してテスト信号の
周波数を変化させるので、ピーク周波数f0が含まれる周波数範囲F0を短い時間で検出することができる。
【0094】
1-3.第3実施形態
以下、第3実施形態の半導体装置1について、第1実施形態又は第2実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、第1実施形態又は第2実施形態と同様の説明は省略又は簡略し、主として第1実施形態及び第2実施形態と異なる内容について説明する。
【0095】
第3実施形態の半導体装置1の構成は、
図1と同様であるため、その図示を省略する。第3実施形態の半導体装置1では、テスト信号生成回路60が生成するテスト信号が第1実施形態及び第2実施形態と異なる。
【0096】
本実施形態では、テスト信号生成回路60は、検査モードにおいて、あらかじめ設定された周波数帯域に含まれる互いに異なる第1周波数帯域F1及び第2周波数帯域F2で同時に周波数を変化させたテスト信号を変調して変調信号TP,TNを生成する。第1周波数帯域F1には、音再生装置3が正常であるときのピーク周波数f0が含まれてもよい。第1周波数帯域F1及び第2周波数帯域F2は、マイクロコントロールユニット2によって任意に設定可能であってもよい。第1実施形態と同様、テスト信号生成回路60は、テスト信号をパルス幅変調してパルス幅変調信号TP,TNを生成する。テスト信号生成回路60によるパルス幅変調の方式は、パルス幅変調回路33によるパルス幅変調の方式と同じである。
【0097】
第3実施形態の半導体装置1のその他の構成及び機能は、第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0098】
図15は、第3実施形態における検査回路110によるテスト信号の生成及び開始時刻t
start及び終了時刻t
stopの測定の一例を示す図である。
図15は、音再生装置3のインピーダンス特性が
図5のG1である場合の例である。
図15の例では、テスト信号生成回路60は、テスト信号の振幅を一定電圧V1に維持したまま、テスト信号の周波数を、10Hz以上3kHz以下の周波数帯域に含まれる第1周波数帯域F1及び第2周波数帯域F2で同時に段階的に変化させている。具体的には、テスト信号生成回路60は、テスト信号の周波数を、第1周波数帯域F1に含まれる4種類の周波数で段階的に変化させるのと並行して、第1周波数帯域F1以外の第2周波数帯域F2に含まれる3種類の周波数で段階的に変化させている。このように、テスト信号の周波数を段階的に変化させることにより、テスト信号生成回路60及びピーク周波数検出回路70の回路規模を小さくすることができる。
【0099】
図15の例では、第1周波数帯域F1に含まれるピーク周波数f0において差動ローパスフィルター71の出力電圧V’の振幅が最大となる。比較器72が出力するデータDT[1:0]の最大値は10であり、ピーク時間測定回路73は、データDT[1:0]が最初に10となるときの変数iを開始時刻t
startとして測定し、データDT[1:0
]が最後に10となるときの変数iを終了時刻t
stopとして測定する。
【0100】
図15の例における開始時刻t
start及び終了時刻t
stopは、
図11における開始時刻t
start及び終了時刻t
stopよりも早い時刻である。すなわち、第3実施形態におけるピーク周波数検出回路70は、第1実施形態と比較して、テスト信号の周波数を変化させる時間が短くなり、周波数範囲F0の検出時間が短縮される。なお、
図15の例では、テスト信号生成回路60は、テスト信号の周波数を段階的に変化させているので、周波数範囲F0にはピーク周波数f0のみが含まれている。
【0101】
マイクロコントロールユニット2は、通信インターフェース回路10を介して周波数範囲F0を取得し、周波数範囲F0に基づいて、音再生装置3の故障の有無や故障モードを判定することができる。
【0102】
なお、第3実施形態において、音再生装置3の端子P1は「第1端子」の一例であり、音再生装置3の端子P2は「第2端子」の一例である。また、半導体装置1の出力端子91は「第1出力端子」の一例であり、半導体装置1の出力端子92は「第2出力端子」の一例である。また、パルス幅変調信号DOPは「第1変調信号」の一例であり、パルス幅変調信号DONは「第2変調信号」の一例である。また、パルス幅変調信号TPは「第3変調信号」の一例であり、パルス幅変調信号TNは「第4変調信号」の一例である。また、パルス幅変調信号DOPが増幅された増幅信号DOXPは「第1増幅信号」の一例であり、パルス幅変調信号DONが増幅された増幅信号DOXNは「第2増幅信号」の一例である。また、パルス幅変調信号TPが増幅された増幅信号DOXPは「第3増幅信号」の一例であり、パルス幅変調信号TNが増幅された増幅信号DOXNは「第4増幅信号」の一例である。また、D級アンプ51Pは「第1増幅回路」の一例であり、D級アンプ51Nは「第2増幅回路」の一例である。また、通常動作モードは「第1動作モード」の一例であり、検査モードは「第2動作モード」の一例である。
【0103】
第3実施形態の半導体装置1は、1つの音再生装置3に音を出力させることが可能な構成であるが、複数の音再生装置に音を出力させることが可能な構成であってもよい。
【0104】
以上に説明した第3実施形態の半導体装置1によれば、第1実施形態又は第2実施形態の半導体装置1と同様の効果を奏する。さらに、第3実施形態の半導体装置1によれば、同時に複数の周波数を有するテスト信号を生成することによってテスト信号の周波数を変化させる時間が短くなるので、ピーク周波数f0が含まれる周波数範囲F0を短い時間で検出することができる。
【0105】
1-4.第4実施形態
以下、第4実施形態の半導体装置1について、第1実施形態~第3実施形態のいずれかと同様の構成については同じ符号を付し、第1実施形態~第3実施形態のいずれかと同様の説明は省略又は簡略し、主として第1実施形態~第3実施形態のいずれとも異なる内容について説明する。
【0106】
図16は、第4実施形態の半導体装置1の構成例を示す図である。
図16に示すように、第4実施形態の半導体装置1は、
図1に示した第1実施形態の半導体装置1と比較して、増幅回路50a、故障検出回路120及び6個のスイッチ41a,42a,43,44,121,122を備える点が異なる。
【0107】
スイッチ43は、故障検出回路120から出力される制御信号に応じて、パルス幅変調信号DOPをスイッチ41及びスイッチ41aのいずれか一方に出力する。また、スイッチ44は、故障検出回路120から出力される制御信号に応じて、パルス幅変調信号DONをスイッチ42及びスイッチ42aのいずれか一方に出力する。
【0108】
スイッチ41aは、通信インターフェース回路10から出力される制御信号に応じて、スイッチ43からの信号及びパルス幅変調信号TPのいずれか一方を増幅回路50aのD級アンプ51Paに出力する。具体的には、スイッチ43がパルス幅変調信号DOPをスイッチ41aに出力しているとき、スイッチ41aは、半導体装置1の動作モードが通常動作モードであるときはD級アンプ51Paにパルス幅変調信号DOPを出力する。またし、スイッチ41aは、半導体装置1の動作モードが検査モードであるときはD級アンプ
51Paにパルス幅変調信号TPを出力する。
【0109】
また、スイッチ42aは、通信インターフェース回路10から出力される制御信号に応じて、スイッチ44からの信号及びパルス幅変調信号TNのいずれか一方を増幅回路50aのD級アンプ51Naに出力する。具体的には、スイッチ44がパルス幅変調信号DONをスイッチ42aに出力しているとき、スイッチ42aは、半導体装置1の動作モードが通常動作モードであるときはD級アンプ51Naにパルス幅変調信号DONを出力する。また、スイッチ42aは、半導体装置1の動作モードが検査モードであるときはD級アンプ51Naにパルス幅変調信号TNを出力する。
【0110】
スイッチ43,44がパルス幅変調信号DOP,DONをスイッチ41a,42aに出力しているとき、増幅回路50aは、通常動作モードにおいて、パルス幅変調信号DOP,DONが入力され、パルス幅変調信号DOP,DONを増幅した増幅信号DOXPa,DOXNaを半導体装置1の出力端子93,94に出力する。また、増幅回路50aは、検査モードにおいて、パルス幅変調信号TP,TNが入力され、パルス幅変調信号TP,TNを増幅した増幅信号DOXPa,DOXNaを半導体装置1の出力端子93,94に出力する。
【0111】
本実施形態では、増幅回路50aは、2つのD級アンプ51Pa,51Naを含む。D級アンプ51Paは、通常動作モードにおいて、パルス幅変調信号DOPを増幅した増幅信号DOXPaを出力端子93に出力し、検査モードにおいて、パルス幅変調信号TPを増幅した増幅信号DOXPaを出力端子94に出力する。D級アンプ51Naは、通常動作モードにおいて、パルス幅変調信号DONを増幅した増幅信号DOXNaを出力端子94に出力し、検査モードにおいて、パルス幅変調信号TNを増幅した増幅信号DOXNaを出力端子94に出力する。出力端子93は音再生装置3aの端子P1aと接続され、出力端子94は音再生装置3aの端子P2aと接続されている。そして、音再生装置3aは、増幅信号DOXPと増幅信号DOXNとの電圧差に応じた大きさの音を再生する。
【0112】
故障検出回路120は、ピーク周波数検出回路70が検出した周波数範囲F0に基づいて、音再生装置3の故障を検出する。具体的には、故障検出回路120は、周波数範囲F0の下限が第1基準範囲に含まれ、かつ、周波数範囲F0の上限が第2基準範囲に含まれている場合は、音再生装置3が正常であると判定し、そうでなければ故障していると判定する。例えば、通信インターフェース回路10が、マイクロコントロールユニット2から送信されたコマンドを受信して第1基準範囲及び第2基準範囲を設定してもよい。
【0113】
そして、故障検出回路120は、音再生装置3の故障を検出した場合に、増幅回路50aが変調信号DOP,DONをそれぞれ増幅した増幅信号DOPa,DONaを、音再生装置3とは異なる音再生装置3aに出力させる。具体的には、故障検出回路120は、音再生装置3の故障を検出した場合、パルス変調信号DOPが増幅回路50aのD級アンプ51aに出力されるようにスイッチ43を切り替えるとともに、パルス変調信号DONが増幅回路50aのD級アンプ52aに出力されるようにスイッチ44を切り替える。これにより、音再生装置3からの音の出力が停止するとともに、パルス変調信号DON,DOPが増幅された増幅信号DOXP,DOXNが出力端子93,94に出力され、音再生装置3aから音が出力される。例えば、音再生装置3aは、スピーカーであってもよいし、ブザーであってもよい。なお、音再生装置3aから出力される音は、例えば、人が発話する際の声を模した音声であってもよいし、機械的な警告音や効果音等の各種の音であってもよい。
【0114】
スイッチ121は、故障検出回路120から出力される制御信号に応じて、スイッチ81の一端を半導体装置1の出力端子91と出力端子93のいずれか一方と接続する。また
、スイッチ122は、故障検出回路120から出力される制御信号に応じて、スイッチ82の一端を半導体装置1の出力端子92と出力端子94のいずれか一方と接続する。
【0115】
スイッチ81は、通信インターフェース回路10から出力される制御信号に応じて、半導体装置1の出力端子91,93とピーク周波数検出回路70とを電気的に接続するか遮断するかを切り替える。スイッチ81は、半導体装置1の動作モードが通常動作モードであるときは出力端子91,93とピーク周波数検出回路70とを電気的に遮断し、半導体装置1の動作モードが検査モードであるときは、スイッチ121を介して出力端子91,93のいずれか一方とピーク周波数検出回路70とを電気的に接続する。
【0116】
また、スイッチ82は、通信インターフェース回路10から出力される制御信号に応じて、半導体装置1の出力端子92,94のいずれか一方とピーク周波数検出回路70とを電気的に接続するか、半導体装置1の出力端子92,94とピーク周波数検出回路70とを遮断するかを切り替える。具体的には、スイッチ82は、半導体装置1の動作モードが通常動作モードであるときは出力端子92,94とピーク周波数検出回路70とを電気的に遮断し、半導体装置1の動作モードが検査モードであるときは、スイッチ122を介して出力端子92,94のいずれか一方とピーク周波数検出回路70とを電気的に接続する。
【0117】
故障検出回路120が音再生装置3の故障を検出するまでは、ピーク周波数検出回路70は、検査モードにおいて、出力端子91と出力端子92との電位差を測定し、音再生装置3のインピーダンスがピークとなるテスト信号の周波数であるピーク周波数f0が含まれる周波数範囲F0を検出する。また、故障検出回路120が音再生装置3の故障を検出した後は、ピーク周波数検出回路70は、検査モードにおいて、出力端子92と出力端子94との電位差を測定し、音再生装置3aのインピーダンスがピークとなるテスト信号の周波数であるピーク周波数f0が含まれる周波数範囲F0を検出する。
【0118】
図17は、故障検出回路120による処理の手順の一例を示すフローチャート図である。
【0119】
図17に示すように、まず、工程S11において、故障検出回路120は、ピーク時間測定回路73が測定した開始時刻t
startがt1以上t2以下の第1基準範囲に含まれるか否かを判定する。また、工程S12において、故障検出回路120は、ピーク時間測定回路73が測定した終了時刻t
stopがt3以上t4以下の第2基準範囲に含まれるか否かを判定する。前述の通り、例えば、開始時刻t
startは周波数範囲F0の下限に対応し、終了時刻t
stopは周波数範囲F0の上限に対応する。
【0120】
そして、開始時刻tstartが第1基準範囲に含まれ、かつ、終了時刻tstopが第2基準範囲に含まれる場合、工程S13において、故障検出回路120は、スイッチ43,44を制御し、パルス幅変調信号DOP,DONが増幅された増幅信号DOXP,DOXNを音再生装置3に出力させる。一方、開始時刻tstartが第1基準範囲に含まれず、あるいは、終了時刻tstopが第2基準範囲に含まれない場合、工程S14において、故障検出回路120は、スイッチ43,44を制御し、パルス幅変調信号DOP,DONが増幅された増幅信号DOXPa,DOXNaを音再生装置3aに出力させる。
【0121】
第4実施形態の半導体装置1のその他の構成は、
図1と同様であるため、その説明を省略する。
【0122】
なお、第4実施形態において、音再生装置3の端子P1は「第1端子」の一例であり、音再生装置3の端子P2は「第2端子」の一例である。また、半導体装置1の出力端子9
1は「第1出力端子」の一例であり、半導体装置1の出力端子92は「第2出力端子」の一例である。また、パルス幅変調信号DOPは「第1変調信号」の一例であり、パルス幅変調信号DONは「第2変調信号」の一例である。また、パルス幅変調信号TPは「第3変調信号」の一例であり、パルス幅変調信号TNは「第4変調信号」の一例である。また、パルス幅変調信号DOPが増幅された増幅信号DOXPは「第1増幅信号」の一例であり、パルス幅変調信号DONが増幅された増幅信号DOXNは「第2増幅信号」の一例である。また、パルス幅変調信号TPが増幅された増幅信号DOXPは「第3増幅信号」の一例であり、パルス幅変調信号TNが増幅された増幅信号DOXNは「第4増幅信号」の一例である。また、D級アンプ51Pは「第1増幅回路」の一例であり、D級アンプ51Nは「第2増幅回路」の一例である。また、通常動作モードは「第1動作モード」の一例であり、検査モードは「第2動作モード」の一例である。
【0123】
第4実施形態の半導体装置1は、2つの音再生装置3,3aに音を出力させることが可能な構成であるが、3つ以上の音再生装置に音を出力させることが可能な構成であってもよい。
【0124】
以上に説明した第4実施形態の半導体装置1によれば、第1実施形態~第3実施形態の半導体装置1のいずれかと同様の効果を奏する。さらに、第4実施形態の半導体装置1は、故障検出回路120が音再生装置3の故障検出を行い、音再生装置3が故障した場合でも音再生装置3aから正常な音を発生させることができる。
【0125】
1-5.変形例
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0126】
例えば、上記の各実施形態では、半導体装置1と、マイクロコントロールユニット2と、音再生装置3を備えたシステムが稼働中に、マイクロコントロールユニット2が、半導体装置1が検出した周波数範囲F0に基づいて音再生装置3の故障の有無を判定する例を挙げたが、半導体装置1が周波数範囲F0を検出するケースはこれに限られない。例えば、当該システムの稼働前の検査工程において、半導体装置1が、検出した周波数範囲F0を検査装置に送信し、検査装置が、周波数範囲F0に基づいて音再生装置3が正常であるか否かを検査してもよい。
【0127】
また、例えば、上記の各実施形態では、音源データ21-1~21-nが記憶されているメモリー20が半導体装置1に内蔵されているが、メモリー20に代えて、音源データ21-1~21-nが記憶されている外部メモリーが半導体装置1と接続され、半導体装置1が当該外部メモリーから音源信号DIである音源データ21-iを読み出してもよい。あるいは、メモリー20に代えて、マイクロコントロールユニット2が音源データ21-1~21-nが記憶されているメモリーを内蔵し、マイクロコントロールユニット2が当該メモリーから音源データ21-iを読み出して音源信号DIとして半導体装置1に送信してもよい。
【0128】
また、例えば、上記の各実施形態では、パルス幅変調回路33による変調方式として
図2~
図4の例を挙げたが、他の変調方式であってもよい。例えば、パルス幅変調信号DOPを生成するためのパルス幅変調は
図2と同じ方式であり、パルス幅変調信号DONを生成するためのパルス幅変調は
図18に示す方式であってもよい。
図18の例では、パルス幅変調信号DONは、
図2に示したパルス幅変調信号DOPの論理レベルを反転した信号であり、シグマデルタ変調信号DSの値が大きいほどハイレベルの時間が短くなる。例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「-7」、すなわち2進数の「1001」であるときは、パルス幅変調信号DONは、1つの区間T11がローレベルであり、15個
の区間T2~T16がハイレベルである。また、例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「0」、すなわち2進数の「0000」であるときは、パルス幅変調信号DONは、8個の区間T1~T8がローレベルであり、8個の区間T9~T16がハイレベルである。また、例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「7」、すなわち2進数の「0111」であるときは、パルス幅変調信号DONは、15個の区間T1~T15がローレベルであり、1つの区間T16がハイレベルである。したがって、例えば、シグマデルタ変調信号DSが10進数の「-7」、「0」、「7」であるときのパルス幅変調信号DOPとパルス幅変調信号DONとの差分は
図19に示すようになる。
【0129】
2.電子機器
図20は、本実施形態の半導体装置1を用いた本実施形態の電子機器の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0130】
図20に示すように、本実施形態の電子機器300は、半導体装置1、m個の音再生装置3-1~3-m、処理部310、操作部320、記憶部330及び表示部340を備えている。なお、本実施形態の電子機器300は、
図20の構成要素の一部を省略又は変更し、あるいは、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
【0131】
処理部310は、電子機器300の各部の制御処理や種々のデータ処理を行う。例えば、処理部310は、半導体装置1に各種のコマンドを送信し、半導体装置1の動作を制御する。また、処理部310は、操作部320からの操作信号に応じた各種の処理、表示部340に各種の情報を表示させるための表示信号を送信する処理等を行う。例えば、処理部310は、前述のマイクロコントロールユニット2であってもよい。
【0132】
操作部320は、操作キーやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、ユーザーによる操作に応じた操作信号を処理部310に出力する。
【0133】
記憶部330は、処理部310が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。記憶部330は、例えば、ハードディスク、フレキシブルディスク、MO、MT、各種のメモリー、CD-ROM、又は、DVD-ROM等によって実現される。
【0134】
表示部340は、LCD等により構成される表示装置であり、入力される表示信号に基づいて各種の情報を表示する。LCDは、Liquid Crystal Displayの略である。表示部340には操作部320として機能するタッチパネルが設けられていてもよい。
【0135】
半導体装置1は、処理部310から送信される各種のコマンドに基づいて音信号を生成して音再生装置3-1に出力する。音再生装置3-1は、前述の音再生装置3に対応する。また、半導体装置1は、音再生装置3-1を検査して検査結果を処理部310に送信し、処理部310が音再生装置3-1の故障の有無や故障モードを判定してもよい。処理部310は、音再生装置3-1が故障している場合、例えば、音再生装置3-2~3-mのいずれかに音再生装置3-1が故障していることを通知する音声を再生させてもよいし、音信号の出力先を音再生装置3-1から音再生装置3-2~3-mのいずれかに切り替えてもよい。あるいは、半導体装置1は、音再生装置3-1の故障を検出した場合、音信号の出力先を音再生装置3-1から音再生装置3-2に切り替えてもよい。音再生装置3-2は、前述の音再生装置3aに対応する。
【0136】
半導体装置1は、音再生装置3-1の故障を検出するために必要な信号を生成することができるので、信頼性の高い電子機器300を実現することができる。
【0137】
このような電子機器300としては種々の電子機器が考えられ、例えば、警告装置、炊飯器、IHクッキングヒーター、掃除機、洗濯機等の各種の家庭用電気製品、電子時計、モバイル型、ラップトップ型、タブレット型などのパーソナルコンピューター、スマートフォンや携帯電話機などの移動体端末、ディジタルカメラ、インクジェットプリンターなどのインクジェット式吐出装置、ルーターやスイッチなどのストレージエリアネットワーク機器、ローカルエリアネットワーク機器、移動体端末基地局用機器、テレビ、ビデオカメラ、ビデオレコーダー、カーナビゲーション装置、リアルタイムクロック装置、ページャー、電子手帳、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ゲーム用コントローラー、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡等の医療機器、魚群探知機、各種測定機器、車両、航空機、船舶等の計器類、フライトシミュレーター、ヘッドマウントディスプレイ、モーショントレース、モーショントラッキング、モーションコントローラー、歩行者自律航法装置等が挙げられる。
【0138】
図21は、電子機器300の一例である警告装置300Aの構成例を示す図である。
図21において、
図20と同じ構成要素には同じ符号が付されている。
図21に示す警告装置300Aは、車両400に搭載されている。音再生装置3-1はスピーカーであり、音再生装置3-2~3-5はそれぞれブザーである。
【0139】
処理部310は、不図示の各種センサーからの信号に基づいて、各種の音の再生コマンド等を半導体装置1に送信する。各種の音には、例えば、ブレーキ、エンジンオイル、パワーステアリング、ブレーキオーバーライドシステム等の異常、半ドアでの走行、ふらつき走行、パーキングブレーキの未解除での走行、シートベルトの未着用、先行車への接近等を通知するための人の声を模した音声や警告音、ウィンカー、ハザード、バック等を通知するための効果音等が含まれる。
【0140】
半導体装置1は、処理部310からのコマンドに基づいて、各種の音に対応する複数の音源データの一部に基づいて音信号を生成して音再生装置3-1に出力する。また、半導体装置1は、音再生装置3-1を検査して検査結果を処理部310に送信し、処理部310が音再生装置3-1の故障の有無や故障モードを判定してもよい。処理部310は、音再生装置3-1が故障している場合、例えば、音再生装置3-2~3-5のいずれかに音再生装置3-1が故障していることを通知する音声を再生させてもよいし、音信号の出力先を音再生装置3-1から音再生装置3-2~3-5のいずれかに切り替えてもよい。あるいは、半導体装置1は、音再生装置3-1の故障を検出した場合、音信号の出力先を音再生装置3-1から音再生装置3-2に切り替えてもよい。
【0141】
半導体装置1は、音再生装置3-1の故障を検出するために必要な信号を生成することができるので、信頼性の高い警告装置300Aを実現することができる。
【0142】
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0143】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0144】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成
を含む。
【0145】
上述した実施形態及び変形例から以下の内容が導き出される。
【0146】
半導体装置の一態様は、
音再生装置の第1端子と接続される第1出力端子と、
前記音再生装置の第2端子と接続される第2出力端子と、
音源信号に基づく信号を変調して第1変調信号及び第2変調信号を出力する変調回路と、
第1動作モードにおいて、前記第1変調信号を増幅した第1増幅信号を前記第1出力端子に出力する第1増幅回路と、
前記第1動作モードにおいて、前記第2変調信号を増幅した第2増幅信号を前記第2出力端子に出力する第2増幅回路と、
第2動作モードにおいて、予め設定された周波数帯域で周波数を変化させたテスト信号を変調して第3変調信号及び第4変調信号を生成するテスト信号生成回路と、
前記第2動作モードにおいて、前記第1出力端子と前記第2出力端子との電位差を測定し、前記音再生装置のインピーダンスがピークとなる前記テスト信号の周波数であるピーク周波数が含まれる周波数範囲を検出するピーク周波数検出回路と、
を備え、
前記第1増幅回路は、前記第2動作モードにおいて、前記第3変調信号を増幅した第3増幅信号を前記第2出力端子に出力し、
前記第2増幅回路は、前記第2動作モードにおいて、前記第4変調信号を増幅した第4増幅信号を前記第2出力端子に出力し、
前記第1増幅回路は、各出力端子が前記第1出力端子と接続される複数のインバーター回路を有し、
前記第2増幅回路は、各出力端子が前記第2出力端子と接続される複数のインバーター回路を有し、
前記第1動作モードにおいて、
前記第1増幅回路が有する前記複数のインバーター回路の各入力端子に前記第1変調信号が入力され、前記第2増幅回路が有する前記複数のインバーター回路の各入力端子に前記第2変調信号が入力され、
前記第2動作モードにおいて、
前記第1増幅回路が有する前記複数のインバーター回路の一部のインバーター回路の各入力端子に前記第3変調信号が入力され、前記第1増幅回路が有する前記複数のインバーター回路の他の一部のインバーター回路の各出力端子がハイインピーダンスとなり、前記第2増幅回路が有する前記複数のインバーター回路の一部のインバーター回路の各入力端子に前記第4変調信号が入力され、前記第2増幅回路が有する前記複数のインバーター回路の他の一部のインバーター回路の各出力端子がハイインピーダンスとなる。
【0147】
この半導体装置によれば、第1動作モードでは、第1増幅回路が音源信号に基づく第1変調信号を増幅した第1増幅信号を第1出力端子に出力するとともに、第2増幅回路が音源信号に基づく第2変調信号を増幅した第2増幅信号を第2出力端子に出力することにより、音再生装置が音を再生することができる。具体的には、第1動作モードでは、第1増幅回路が有する複数のインバーター回路が並列に接続されるともに第2増幅回路が有する複数のインバーター回路が並列に接続される。そのため、第1増幅回路のオン抵抗及び第2増幅回路のオン抵抗が音再生装置のインピーダンスよりも十分に小さくなり、音再生装置が適切に音を再生することができる。
【0148】
一方、第2動作モードでは、第1増幅回路がテスト信号に基づく第3変調信号を増幅した第3増幅信号を第1出力端子に出力するとともに、第2増幅回路がテスト信号に基づく
第4変調信号を増幅した第4増幅信号を第2出力端子に出力することにより、ピーク周波数検出回路が、第1出力端子と第2出力端子との電位差を測定し、音再生装置のインピーダンスがピークとなるピーク周波数が含まれる周波数範囲を検出することができる。具体的には、第2動作モードでは、第1増幅回路が有する複数のインバーター回路の一部の出力がハイインピーダンスとなるとともに第2増幅回路が有する複数のインバーター回路の一部の出力がハイインピーダンスとなる。そのため、第1増幅回路のオン抵抗及び第2増幅回路のオン抵抗が増加し、音再生装置のインピーダンスの変化による第1出力端子と第2出力端子との電位差の変化量が大きくなるので、ピーク周波数検出回路が、ピーク周波数が含まれる周波数範囲を精度良く検出することができる。したがって、例えば、外部装置が、ピーク周波数が含まれる周波数範囲に基づいて音再生装置のインピーダンス特性を推定し、音再生装置の故障の有無や故障モードを判定することができる。
【0149】
すなわち、この半導体装置では、第1増幅回路及び第2増幅回路が、第1動作モードにおいて音再生装置に音を再生させるための第1増幅信号及び第2増幅信号の生成と、第2動作モードにおいてピーク周波数が含まれる周波数範囲の検出に必要な第3増幅信号及び第4増幅信号の生成とに兼用される。さらに、第2動作モードにおいて、音再生装置のインピーダンスの変化による第1出力端子と第2出力端子との電位差の変化量が大きいので、ピーク周波数検出回路のサイズが低減される。したがって、この半導体装置によれば、音再生装置の故障を検出するために必要な信号を小規模の回路で生成することができる。
【0150】
前記半導体装置の一態様において、
前記ピーク周波数検出回路は、前記第2動作モードにおいて、前記第1出力端子と前記第2出力端子との電位差が最大となる時間を含む範囲を測定することにより、前記周波数範囲を検出してもよい。
【0151】
この半導体装置によれば、音再生装置のインピーダンスがピークとなるときに第1出力端子と前記第2出力端子との電位差もピークとなるので、第1出力端子と前記第2出力端子との電位差が最大となる時間を含む範囲を測定することにより、ピーク周波数が含まれる周波数範囲を検出することができる。
【0152】
前記半導体装置の一態様において、
前記ピーク周波数検出回路は、
前記第1出力端子の電圧と前記第2出力端子の電圧とが入力される差動ローパスフィルターと、
前記差動ローパスフィルターの出力電圧を少なくとも1つの閾値電圧と比較する比較器と、
前記比較器の出力信号に基づいて、前記第1出力端子と前記第2出力端子との電位差が最大となる時間を含む範囲を測定するピーク時間測定回路と、
を含んでもよい。
【0153】
この半導体装置によれば、差動ローパスフィルターが、テスト信号を変調することによって第3増幅信号及び第4増幅信号に重畳される高域のノイズ成分を低減させ、比較器が差動ローパスフィルターの出力電圧をデジタル値に変換し、ピーク時間測定回路が、容易に高精度の測定を行うことができる。
【0154】
前記半導体装置の一態様において、
前記差動ローパスフィルターのカットオフ周波数は、前記周波数帯域の最大周波数よりも高くてもよい。
【0155】
この半導体装置によれば、差動ローパスフィルターのカットオフ周波数がテスト信号の
周波数を変化させる周波数帯域の最大周波数よりも高いので、差動ローパスフィルターによって当該周波数帯域に含まれる周波数成分が減衰せず、ピーク時間測定回路が高精度の測定を行うことができる。
【0156】
前記半導体装置の一態様において、
前記テスト信号生成回路は、前記第2動作モードにおいて、前記周波数帯域に含まれる第1周波数帯域で周波数を変化させた後に前記周波数帯域に含まれる前記第1周波数帯域以外の第2周波数帯域で周波数を変化させた前記テスト信号を変調して前記第3変調信号及び前記第4変調信号を生成し、
前記第1周波数帯域には、前記音再生装置が正常であるときの前記ピーク周波数が含まれてもよい。
【0157】
この半導体装置によれば、音再生装置が正常であるときのピーク周波数が含まれる第1周波数帯域を優先してテスト信号の周波数を変化させるので、ピーク周波数が含まれる周波数範囲を短い時間で検出することができる。
【0158】
前記半導体装置の一態様において、
前記テスト信号生成回路は、前記第2動作モードにおいて、前記周波数帯域に含まれる互いに異なる第1周波数帯域及び第2周波数帯域で同時に周波数を変化させた前記テスト信号を変調して前記第3変調信号及び前記第4変調信号を生成してもよい。
【0159】
この半導体装置によれば、同時に複数の周波数を有するテスト信号を生成することによってテスト信号の周波数を変化させる時間が短くなるので、ピーク周波数が含まれる周波数範囲を短い時間で検出することができる。
【0160】
前記半導体装置の一態様は、
前記ピーク周波数検出回路が検出した前記周波数範囲に基づいて、前記音再生装置の故障を検出する故障検出回路を備え、
前記故障検出回路は、前記音再生装置の故障を検出した場合に、前記第1変調信号を増幅した信号及び前記第2変調信号を増幅した信号を前記音再生装置とは異なる音再生装置に出力させてもよい。
【0161】
この半導体装置によれば、音再生装置が故障した場合でも他の音再生装置から正常な音を発生させることができる。
【0162】
電子機器の一態様は、
前記半導体装置の一態様と、
前記音再生装置と、
を備える。
【0163】
この電子機器によれば、音再生装置の故障を検出するために必要な信号を生成することができる半導体装置を備えるので、信頼性を高めることができる。
【符号の説明】
【0164】
1…半導体装置、2…マイクロコントロールユニット、3,3a,3-1~3-m…音再生装置、10…通信インターフェース回路、20…メモリー、21-1~21-n…音源データ、30…変調回路、31…デジタルフィルター、32…シグマデルタ変調回路、33…パルス幅変調回路、41,41a…スイッチ、42,42a…スイッチ、43…スイッチ、44…スイッチ、50,50a…増幅回路、51P,51N…D級アンプ、60…テスト信号生成回路、70…ピーク周波数検出回路、71…差動ローパスフィルター、7
2…比較器、73…ピーク時間測定回路、81…スイッチ、82…スイッチ、91…出力端子、92…出力端子、93…出力端子、94…出力端子、100…音源再生回路、110…検査回路、120…故障検出回路、121…スイッチ、122…スイッチ、201-1~201-n…インバーター回路、201-1~201-n…インバーター回路、202-1~202-n…インバーター回路、211…演算増幅器、212,213,214…抵抗、215…コンデンサー、216…抵抗、217…コンデンサー、218…抵抗、219…コンデンサー、221~228…抵抗、231~237…コンパレーター、241~246…論理素子、250…エンコーダー、300…電子機器、300A…警告装置、310…処理部、320…操作部、330…記憶部、340…表示部、400…車両