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特開2024-47877フィルタカートリッジおよびフィルタユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047877
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】フィルタカートリッジおよびフィルタユニット
(51)【国際特許分類】
   B01D 27/08 20060101AFI20240401BHJP
   B01D 46/24 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
B01D27/08
B01D46/24 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153622
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000232885
【氏名又は名称】株式会社ロキテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】金城 隆司
【テーマコード(参考)】
4D058
4D116
【Fターム(参考)】
4D058JA02
4D058KC33
4D058LA01
4D058LA02
4D058QA03
4D058QA19
4D116AA07
4D116AA11
4D116AA22
4D116BC23
4D116BC27
4D116BC45
4D116BC47
4D116BC76
4D116QA17C
4D116QA17E
4D116QA17F
4D116QB02
4D116QB17
4D116QB25
4D116QB36
4D116QB41
4D116QB43
(57)【要約】
【課題】配管内にバルブを配置すると、設備コストは増加し、構造上も配管長さが長くなり、経年的な劣化により、液溜り、発塵、漏れ、異物流出などの問題につながる。
【解決手段】上流側流路に連なる流路端と下流側流路に連なる流路端との一方である内側流路端と、上流側流路に連なる流路端と下流側流路に連なる流路端との他方であって内側流路端の外側周状に形成される外側流路端とを有するベースユニットに着脱可能に取り付けられるフィルタカートリッジにより解決する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側流路に連なる流路端と下流側流路に連なる流路端との一方である内側流路端と、上流側流路に連なる流路端と下流側流路に連なる流路端との他方であって内側流路端の外側周状に形成される外側流路端とを有するベースユニットに着脱可能に取り付けが行われるフィルタカートリッジであって、そのフィルタカートリッジは、
内側流路を有する筒状のフィルタエレメントと、
一端が前記フィルタエレメントの一端に固定され、他端が少なくとも前記フィルタエレメントの他端まで延在するように前記フィルタエレメントに沿って前記フィルタエレメントの外側に配置されるカプセルシェルであって、前記取り付けは前記カプセルシェルの前記他端が前記ベースユニットに嵌合するものであるカプセルシェルと、を備え、
前記カプセルシェルと前記フィルタエレメントの外面との間は前記フィルタエレメントの前記内側流路と前記フィルタエレメントを介して流体的に連通する外側流路を形成し、
前記フィルタカートリッジが前記ベースユニットに取り付けられた際には、前記内側流路端と前記内側流路とが、前記外側流路端と前記外側流路とが、それぞれ接合し、
前記カプセルシェルは前記フィルタエレメントに対して相対的な伸縮が可能な柔軟性を有し、
前記カプセルシェルは、前記カプセルシェルの前記フィルタエレメントに対する相対的な伸縮に応じて、前記カプセルシェルの前記他端が前記フィルタエレメントの端部と接触して前記外側流路を閉鎖する閉鎖位置と、前記カプセルシェルの前記他端が前記フィルタエレメントの前記端部と離間して前記外側流路を開放する開放位置と、の間で前記伸縮を行う弁体機構を有するフィルタカートリッジ。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルタカートリッジであって、
前記フィルタエレメントの前記他端には前記フィルタエレメントから突出する突起弁体を有するエンドキャップを備え、
前記内側流路は前記エンドキャップを貫通するように形成され、
前記カプセルシェルの前記他端にはリングキャップを備え、
前記リングキャップは、前記閉鎖位置において前記エンドキャップの前記突起弁体と接触する弁体受を有するフィルタカートリッジ。
【請求項3】
請求項1に記載のフィルタカートリッジであって、
前記カプセルシェルの前記柔軟性は前記カプセルシェルの蛇腹構造により生じ、
前記蛇腹構造の狭径部は前記フィルタエレメントの外周面と少なくとも部分的に接触して前記外側流路において前記フィルタエレメントの周面に沿った方向の流れを喚起するフィルタカートリッジ。
【請求項4】
請求項3に記載のフィルタカートリッジであって、
前記蛇腹構造の広径部は、前記フィルタエレメントの外周面に沿って螺旋状に形成されているフィルタカートリッジ。
【請求項5】
請求項1に記載のフィルタカートリッジであって、
前記ベースユニットには、前記ベースユニットに前記フィルタカートリッジが取り付けらえた状態で前記フィルタカートリッジの外側に位置するように前記ベースユニットに取りつけられるカプセルカバーが取り付け可能であって、
前記カプセルカバーには、前記カプセルシェルの前記フィルタエレメントに対する前記相対的な伸縮を喚起する伸縮喚起機構を有するフィルタカートリッジ。
【請求項6】
請求項5に記載のフィルタカートリッジであって、
前記伸縮喚起機構は前記カプセルカバーに配置される調整ねじであって、前記フィルタエレメントの前記一端は前記調整ねじに螺嵌されていて、前記調整ねじを回転させることにより、前記カプセルシェルの前記フィルタエレメントに対する前記相対的な伸縮が喚起されるフィルタカートリッジ。
【請求項7】
上流側流路に連なる流路端と下流側流路に連なる流路端との一方である内側流路端と、上流側流路に連なる流路端と下流側流路に連なる流路端との他方であって内側流路端の外側周状に形成される外側流路端とを有するベースユニットと、
前記ベースユニットに着脱可能に取り付けが行われるフィルタカートリッジと、を備えるフィルタユニットであって、
前記フィルタカートリッジは、
内側流路を有する筒状のフィルタエレメントと、
一端が前記フィルタエレメントの一端に固定され、前記ベースユニットの側の他端が少なくとも前記フィルタエレメントの他端まで延在するように前記フィルタエレメントに沿って前記フィルタエレメントの外側に配置されるカプセルシェルであって、前記取り付けは前記カプセルシェルの前記他端が前記ベースユニットに嵌合するものであるカプセルシェルと、を備え、
前記カプセルシェルと前記フィルタエレメントの外面との間は前記フィルタエレメントの前記内側流路と前記フィルタエレメントを介して流体的に連通する外側流路を形成し、
前記フィルタカートリッジが前記ベースユニットに取り付けられた際には、前記内側流路端と前記内側流路とが、前記外側流路端と前記外側流路とが、それぞれ接合し、
前記カプセルシェルは前記フィルタエレメントに対して相対的な伸縮が可能な柔軟性を有し、
前記カプセルシェルは、前記カプセルシェルの前記フィルタエレメントに対する相対的な伸縮に応じて、前記カプセルシェルの前記他端が前記フィルタエレメントの端部と接触して前記外側流路を閉鎖する閉鎖位置と、前記カプセルシェルの前記他端が前記フィルタエレメントの前記端部と離間して前記外側流路を開放する開放位置と、の間で前記伸縮を行う弁体機構を有するフィルタユニット。
【請求項8】
請求項7に記載のフィルタユニットであって、
前記フィルタエレメントの前記他端には前記フィルタエレメントから突出する突起弁体を有するエンドキャップを備え、
前記内側流路は前記エンドキャップを貫通するように形成され、
前記カプセルシェルの前記他端にはリングキャップを備え、
前記リングキャップは、前記閉鎖位置において前記エンドキャップの前記突起弁体と接触する弁体受を有するフィルタユニット。
【請求項9】
請求項7に記載のフィルタユニットであって、
前記カプセルシェルの前記柔軟性は前記カプセルシェルの蛇腹構造により生じ、
前記蛇腹構造の狭径部は前記フィルタエレメントの外周面と少なくとも部分的に接触して前記外側流路において前記フィルタエレメントの周面に沿った方向の流れを喚起するフィルタユニット。
【請求項10】
請求項9に記載のフィルタユニットであって、
前記蛇腹構造の広径部は、前記フィルタエレメントの外周面に沿って螺旋状に形成されているフィルタユニット。
【請求項11】
請求項7に記載のフィルタユニットであって、
前記ベースユニットには、前記ベースユニットに前記フィルタカートリッジが取り付けらえた状態で前記フィルタカートリッジの外側に位置するように前記ベースユニットに取りつけられるカプセルカバーが取り付け可能であって、
前記カプセルカバーには、前記カプセルシェルの前記フィルタエレメントに対する前記相対的な伸縮を喚起する伸縮喚起機構を有するフィルタユニット。
【請求項12】
請求項11に記載のフィルタユニットであって、
前記伸縮喚起機構は前記カプセルカバーに配置される調整ねじであって、前記フィルタエレメントの前記一端は前記調整ねじに螺嵌されていて、前記調整ねじを回転させることにより、前記カプセルシェルの前記フィルタエレメントに対する前記相対的な伸縮が喚起されるフィルタユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタカートリッジおよびフィルタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外筒内に液体を濾過する筒状のフィルタを有するフィルタユニットが開示されている。このフィルタユニットには、濾過する流体がフィルタユニットに流入する上流側流路と、濾過された流体がフィルタユニットから流出する下流側流路とが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6154239号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すようなフィルタユニットでは、フィルタユニットに流入する濾過する流体の流入量を調節するために、上流側流路の配管内に、フィルタユニットとは別に、バルブを配置することが必要である。しかし、配管内にバルブを配置すると、設備コストは増加し、構造上も配管長さが長くなる問題がある。配管内に固定的なバルブを配置すると、経年的な劣化により、液溜り、発塵、漏れ、異物流出などの問題につながる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上流側流路に連なる流路端と下流側流路に連なる流路端との一方である内側流路端と、上流側流路に連なる流路端と下流側流路に連なる流路端との他方であって内側流路端の外側周状に形成される外側流路端とを有するベースユニットに着脱可能に取り付けが行われるフィルタカートリッジであって、そのフィルタカートリッジは、内側流路を有する筒状のフィルタエレメントと、一端が前記フィルタエレメントの一端に固定され、他端が少なくとも前記フィルタエレメントの他端まで延在するように前記フィルタエレメントに沿って前記フィルタエレメントの外側に配置されるカプセルシェルであって、前記取り付けは前記カプセルシェルの前記他端が前記ベースユニットに嵌合するものであるカプセルシェルと、を備え、前記カプセルシェルと前記フィルタエレメントの外面との間は前記フィルタエレメントの前記内側流路と前記フィルタエレメントを介して流体的に連通する外側流路を形成し、前記フィルタカートリッジが前記ベースユニットに取り付けられた際には、前記内側流路端と前記内側流路とが、前記外側流路端と前記外側流路とが、それぞれ接合し、前記カプセルシェルは前記フィルタエレメントに対して相対的な伸縮が可能な柔軟性を有し、前記カプセルシェルは、前記カプセルシェルの前記フィルタエレメントに対する相対的な伸縮に応じて、前記カプセルシェルの前記他端が前記フィルタエレメントの端部と接触して前記外側流路を閉鎖する閉鎖位置と、前記カプセルシェルの前記他端が前記フィルタエレメントの前記端部と離間して前記外側流路を開放する開放位置と、の間で前記伸縮を行う弁体機構を有するフィルタカートリッジにより解決する。
【0006】
上流側流路に連なる流路端と下流側流路に連なる流路端との一方である内側流路端と、上流側流路に連なる流路端と下流側流路に連なる流路端との他方であって内側流路端の外側周状に形成される外側流路端とを有するベースユニットと、前記ベースユニットに着脱可能に取り付けが行われるフィルタカートリッジと、を備えるフィルタユニットであって、前記フィルタカートリッジは、内側流路を有する筒状のフィルタエレメントと、一端が前記フィルタエレメントの一端に固定され、前記ベースユニットの側の他端が少なくとも前記フィルタエレメントの他端まで延在するように前記フィルタエレメントに沿って前記フィルタエレメントの外側に配置されるカプセルシェルであって、前記取り付けは前記カプセルシェルの前記他端が前記ベースユニットに嵌合するものであるカプセルシェルと、を備え、前記カプセルシェルと前記フィルタエレメントの外面との間は前記フィルタエレメントの前記内側流路と前記フィルタエレメントを介して流体的に連通する外側流路を形成し、前記フィルタカートリッジが前記ベースユニットに取り付けられた際には、前記内側流路端と前記内側流路とが、前記外側流路端と前記外側流路とが、それぞれ接合し、前記カプセルシェルは前記フィルタエレメントに対して相対的な伸縮が可能な柔軟性を有し、前記カプセルシェルは、前記カプセルシェルの前記フィルタエレメントに対する相対的な伸縮に応じて、前記カプセルシェルの前記他端が前記フィルタエレメントの端部と接触して前記外側流路を閉鎖する閉鎖位置と、前記カプセルシェルの前記他端が前記フィルタエレメントの前記端部と離間して前記外側流路を開放する開放位置と、の間で前記伸縮を行う弁体機構を有するフィルタユニットにより解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、フィルタユニットとは別に、配管内にバルブを配置せずに、液溜り、発塵、漏れ、異物流出などの問題を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施の形態のフィルタユニット1およびフィルタカートリッジ2の断面図であって、流路の閉鎖位置にある閉鎖状態を示している。
図2】本発明の第1の実施の形態のフィルタユニット1およびフィルタカートリッジ2の断面図であって、流路の開放位置にある開放状態を示している。
図3】本発明の第2の実施の形態のフィルタユニット1およびフィルタカートリッジ2の断面図であって、流路の閉鎖位置にある閉鎖状態を示している。
図4】本発明の第3の実施の形態のフィルタユニット1およびフィルタカートリッジ2の断面図であって、流路の閉鎖位置にある閉鎖状態を示している。
図5】本発明の第4の実施の形態のフィルタユニット1およびフィルタカートリッジ2の弁機能部を拡大した断面図であって、流路の閉鎖位置にある閉鎖状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施の形態]
図1および図2を参照して、本発明の実施の形態としてのフィルタユニット1について説明する。図1は流路閉鎖状態のフィルタユニット1およびフィルタカートリッジ2の断面図を示している。図2は流路が開放位置にある開放状態のフィルタユニット1およびフィルタカートリッジ2の断面図を示している。
【0010】
フィルタユニット1は、フィルタカートリッジ2と、ベースユニット3とを備える。フィルタカートリッジ2は、ベースユニット3に着脱可能に取り付けられる。ベースユニット3には第1流路31と第2流路32とが接続されている。第1流路31と第2流路32とは、第1流路31が第2流路32の内側流路となるように二重管を形成するように、第2流路32が第1流路31の外側周状に形成され、ベースユニット3において、それぞれの流路の端部として第1流路31の第1流路端31aと第2流路32の第2流路端32aとが画定されている。ベースユニット3に接続されている第1流路端31aと第2流路端32aとは、第1流路31と第2流路32とが二重管の管路端部を形成するように、第1流路31が第2流路32の内部に位置するように配置される。すなわち、第2流路32は、第1流路31を画定する管の管壁を内壁とし、第1流路31の管壁の外側と第2流路32の管壁の内側との間に画定される。たとえば、第1流路31が流れの上流側である上流側流路とし第2流路32を流れの下流側である下流側流路として、第1流路端31aを上流側流路に連なる流路端としての内側流路端とし、第2流路端32aを下流側流路に連なる流路端としての外側流路端とすることができる。また、逆に、第2流路32を流れの上流側である上流側流路に第1流路31を流れの下流側である下流側流路として、第2流路端32aを上流側流路に連なる流路端としての内側流路端とし、第1流路端31aを下流側流路に連なる流路端としての外側流路端とすることができる。
【0011】
フィルタカートリッジ2は、フィルタエレメント21と、カプセルシェル23と、を有する。フィルタエレメント21は円筒状の形状であって、代表的には、その内部に、その円筒の形状の軸に沿って、フィルタエレメント21の一方の円形端21bの側からフィルタエレメント21の他方の円形端21cの側まで延在するように内側流路21aを有する。内側流路21aは一方の円形端21bから他方の円形端21cまで配置されることが好ましいが、一方の円形端21bに完全に至らなくてもよい。フィルタエレメント21の内側流路21aの周りは不織布などの多孔質素材であって、フィルタエレメント21の外周面とフィルタエレメント21の内側流路21aとの間は流体的に連通する。
【0012】
フィルタエレメント21の一方の円形端21bからフィルタエレメント21の他方の円形端21cに至るまでフィルタエレメント21に沿って延在してフィルタエレメント21の外周面を覆うように、フィルタエレメント21にはカプセルシェル23が取り付けられている。たとえば、フィルタエレメント21の一方の円形端21b(一端)にカプセルシェル23の端部(一端)が固定されていて、一方、フィルタエレメント21の他方の円形端21c(他端)とカプセルシェル23の端部(他端)とは固定されていない。カプセルシェル23は、フィルタエレメント21の円形端21b(一端)から、カプセルシェル23の他端が少なくともフィルタエレメント21の他端まで延在するようにフィルタエレメント21に沿ってフィルタエレメント21の外側に配置される。カプセルシェル23は変形可能な薄い素材または柔軟な軟質材料でできている。
【0013】
カプセルシェル23は蛇腹構造を有しており、その蛇腹構造によりフィルタエレメント21の軸方向に、フィルタエレメント21に対して相対的に伸長し、または収縮するような柔軟性を有する。カプセルシェル23とフィルタエレメント21の外周面との間には外側流路2bが画定され、外側流路2bにおいてフィルタエレメント21の周面に沿った方向の流れが喚起される。代表的には、カプセルシェル23は、カプセルシェル23の軸方向に、カプセルシェル23の半径が狭い狭径部と、カプセルシェルの半径が広い広径部とが、繰り返し出現するような蛇腹構造を有している。すなわち、カプセルシェル23の蛇腹構造は、フィルタエレメント21の軸を含むように切断した断面において、フィルタエレメント21の半径方向に狭い狭径部と、フィルタエレメント21の半径方向に広い広径部とが、フィルタエレメント21の軸方向に繰り返し出現するような断面が波形の構造である。フィルタエレメント21の半径方向に狭い狭径部の少なくとも一部が、好ましくは全部が接触する。すなわち、カプセルシェル23の半径が小さい狭径部がフィルタエレメント21の外周面と部分的に接触する。
【0014】
ここで、「部分的に接触する」の技術的意義は、フィルタエレメント21の長手方向において、カプセルシェル23の蛇腹構造のすべての狭径部がフィルタエレメント21の外周面と接触するのではなく、ほとんどの狭径部がフィルタエレメント21の外周面と接触する態様であって、また、フィルタエレメント21の外周面と接触しているカプセルシェル23の蛇腹構造の狭径部が状態によってフィルタエレメント21の外周面と接触しなくなったり、またフィルタエレメント21の外周面と接触していないカプセルシェル23の蛇腹構造の狭径部が状態によってフィルタエレメント21の外周面と接触するようになることも含む意味である。また、カプセルシェル23の蛇腹構造の狭径部とフィルタエレメント21の外周面との接触は、カプセルシェル23がフィルタエレメント21を圧縮するような過剰な力を生じしないように、カプセルシェルの蛇腹構造の狭径部がフィルタエレメント21の外周面に接する程度の接触であることが好ましい。カプセルシェル23の蛇腹構造の狭径部とフィルタエレメント21の外周面との接触により、カプセルシェル23がフィルタエレメント21を圧縮してしまうと、フィルタエレメント21内での濾過すべき流体の流路断面積が減少してしまうからである。
【0015】
一方、カプセルシェル23の半径が大きい広径部はフィルタエレメント21の外周面と離間する。このフィルタエレメント21の外周面とカプセルシェル23の広径部とにより形成される隙間は外側流路2bとして画定される。また、特には、広径部と狭径部とがフィルタエレメント21の外周面に対して、フィルタエレメント21の長手方向(フィルタエレメントの軸方向)に沿って、フィルタエレメント21の外周面上で螺旋状に形成されていることが好ましい。外側流路2bを螺旋流路とすることにより、外側流路2bがフィルタエレメント21の外周全域に満遍なく接するように、外側流路2bを形成することが可能となる。外側流路2bはフィルタエレメント21を介してフィルタエレメント21の内側流路21aと流体的に連通する。これにより、濾過すべき流体がフィルタエレメント21の長手方向(フィルタエレメントの軸方向)に沿って、フィルタエレメント21の全面においてフィルタエレメント21との流れを維持することが可能となる。
【0016】
フィルタエレメント21の他方の円形端21c(他端)に固定されていないカプセルシェル23の端部(他端)はリングキャップ23aを備え、リングキャップ23aの内側が開口23cを形成する。カプセルシェル23の端部のリングキャップ23aはベースユニット3の第2流路端32aに嵌合可能であって、フィルタカートリッジ2のベースユニット3への着脱可能な取り付けは、カプセルシェル23の端部(他端)がベースユニット3に嵌合することによる。カプセルシェル23の端部(他端)であるリングキャップ23aには、シール材23dが配置されている。フィルタエレメント21がベースユニット3に取り付けられた際には、カプセルシェル23のリングキャップ23aとベースユニット3の第2流路端32aとが嵌合して、シール材23dが第2流路端32aに押しつけられて、カプセルシェル23のリングキャップ23aと第2流路端32aとの間が密閉される。この状態で、フィルタエレメント21とカプセルシェル23のリングキャップ23aとの間の外側流路2bが、第2流路32と流体的に連通して外側流路2bが開放される開放状態となる。開放状態にあるフィルタエレメント21とカプセルシェル23のリングキャップ23aとの位置が開放位置として画定される。図1では、シール材23dはカプセルシェル23のリングキャップ23aに取り付けられている例で説明しているが、シール材23dは第2流路32に取りつけてもよい。
【0017】
カプセルシェル23のリングキャップ23aの側の内部の、フィルタエレメント21の他方の円形端21cには、フィルタエレメント21から突出する形状のエンドキャップ22が固定されている。エンドキャップ22は、たとえば半球形状などの曲面である突起弁体22aとして機能する。カプセルシェル23のリングキャップ23aの内側と突起弁体22aとは、カプセルシェル23がフィルタエレメント21に対して収縮したときにリングキャップ23aの円周方向全域に亘って接触し、カプセルシェル23がフィルタエレメント21に対して伸長したときに離間する。カプセルシェル23がフィルタエレメント21に対して収縮したときに、突起弁体22aと円周方向全域に亘って接触するリングキャップ23aの部位が弁体受23bとして機能する。突起弁体22aと弁体受23bとが接触する箇所で、リングキャップ23aの全域に亘って接触することで、外側流路2bと第2流路32との流体的な連通が切断され、外側流路2bは閉鎖状態となる。
【0018】
すなわち、カプセルシェル23は、カプセルシェル23のフィルタエレメント21に対するフィルタエレメント21の軸方向の相対的な伸縮に応じて、閉鎖状態となる閉鎖位置と開放状態となる開放位置との間を移動可能な弁体機構として機能する。閉鎖状態では、図1のように、カプセルシェル23のリングキャップ23aがフィルタエレメント21の端部と接触して外側流路2bを閉鎖し、開放状態では、図2のようにカプセルシェル23のリングキャップ23aがフィルタエレメント21の端部と離間して外側流路2bを開放する。
【0019】
エンドキャップ22がフィルタエレメント21に固定されている側と反対側に円筒状の突出端22bを有し、内部に貫通流路22cを有している。貫通流路22cの一端はフィルタエレメント21の内側流路21aと流体的に連通するように開口し、貫通流路22cの他端は突出端22bの先端で開口している。突出端22bは外周面にシール材22dを備え、突出端22bは第1流路端31aの内面に挿入されて嵌合可能である。このとき、シール材22dが押圧されて、貫通流路22cと第1流路31とが外部から遮断されるように密閉された状態で流体的に連通する。
【0020】
ベースユニット3には、内部に中空を有し、一端に開口を有するカプセルカバー2aが取り付け可能である。フィルタエレメント21がベースユニット3に接合されている状態で、カプセルカバー2aの開口がベースユニット3に接合されると、内部の中空部にフィルタエレメント21がベースユニット3により外部から隔絶された状態で格納される。すなわち、カプセルカバー2aは、ベースユニット3にフィルタエレメント21が取り付けらえた状態でフィルタエレメント21の外側に位置するようにベースユニット3に取り付け可能である。
【0021】
カプセルカバー2aは、ベースユニット3にフィルタエレメント21が取り付けらえた状態でフィルタエレメント21の外側に位置するようにベースユニット3に取り付けられた状態では、カプセルシェル23の広径部の外側がカプセルカバー2aの内面に接するような内径を有していることが好ましい。カプセルカバー2aは、カプセルシェル23が柔軟性を有しているため自立することができないので、カプセルカバー2aがカプセルシェル23の半径が広い広径部の半径方向への拡大を規制することにより、カプセルシェル23を構造的に支持する。また、カプセルカバー2aは、カプセルシェル23の半径が広い広径部の半径方向への拡大を規制することにより、カプセルシェル23の半径が狭い狭径部の半径方向の拡大も間接的に規制し、これによりフィルタエレメント21のフィルタエレメント部の膨張を防いで、外側流路2bの流路断面積を確保する。
【0022】
カプセルカバー2aは、カプセルシェル23のフィルタエレメント21に対する相対的な伸縮を喚起する伸縮喚起機構を有する。伸縮喚起機構は、たとえば、カプセルカバー2aの鉛直方向の頭頂部に配置することができる。伸縮喚起機構は、たとえば、カプセルカバー2aの頭頂部に配置される調整ねじ24とすることができる。すなわち、フィルタエレメント21の一方の円形端21bはカプセルカバー2aとともに調整ねじ24に螺嵌されている構造とすることができる。これにより、調整ねじ24を回転させることにより、カプセルシェル23のフィルタエレメント21に対する相対的な伸縮が喚起される。
【0023】
続いて、フィルタユニット1の機能について説明する。フィルタカートリッジ2はベースユニット3と取付けおよび取外しが可能な構造を有している。新しいフィルタカートリッジ2をベースユニット3に取り付ける。ここでは、エンドキャップ22の突出端22bを第1流路端31aに、カプセルシェル23のリングキャップ23aを第2流路端32aに、接合する。これにより、第1流路31からエンドキャップ22の貫通流路22cと内側流路21aとを経由してフィルタエレメント21への流路と、フィルタエレメント21の内部から外側流路2bとリングキャップ23aの開口23cを経由して第2流路32へと至る流路が完成する。そして、ここで、カプセルカバー2aを、フィルタエレメント21が伸縮喚起機構に接合された状態でベースユニット3に取り付ける。この例では、カプセルカバー2aの調整ねじ24にフィルタエレメント21が螺嵌される。ここで、伸縮喚起機構を機能させ、すなわちカプセルカバー2aの調整ねじ24を回転させて、カプセルシェル23の長さがフィルタエレメント21に対して相対的に収縮するようにカプセルシェル23を下げると、重力によって、突起弁体22aと弁体受23bとが接触して、外側流路2bと第2流路32との流体的な連通が切断され、外側流路2bが閉鎖状態となる。一方、カプセルカバー2aの調整ねじ24を逆に回転させて、カプセルシェル23の長さがフィルタエレメント21に対して相対的に伸長するようにカプセルシェル23を引き上げると、突起弁体22aと弁体受23bとが離間して、外側流路2bと第2流路32とが流体的に連通し、外側流路2bが開放状態となる。
【0024】
[第2の実施の形態]
以上、第1の実施の形態を説明してきたが、フィルタエレメント21の内部空間は明確な中空空間としての内側流路21aとして配置しなくてもよい。たとえば、図3に示すようにフィルタエレメント21の湿潤による流れが形成される形態でもよい。この場合、フィルタエレメント21の全面に流れを形成させるために、流路拡大部22eを配置することが好ましい。内側流路21aとして配置しない点および流路拡大部22eを配置すること以外は、第1の実施の形態と同様である。
【0025】
[第3の実施の形態]
また、第1の実施の形態では、カプセルカバー2aと独立してカプセルシェル23がベースユニット3と嵌合する形態として説明したが、カプセルカバー2aによりカプセルシェル23がベースユニット3に取り付けられる形態とすることもできる。たとえば、図4に示すように、カプセルシェル23のリングキャップ23aをカプセルカバー2aとベースユニット3との間に挟持させて固定する形態にしてもよい。
【0026】
[第5の実施の形態]
さらに、第1の実施の形態では、フィルタエレメント21のエンドキャップ22の突起弁体22aの形状を曲面として説明したが、フィルタエレメント21のエンドキャップ22の突起弁体22aの形状は、球面などの曲面でなくてもよい。たとえば、図5に示すように、突起弁体22aを円錐形状とすることもできる。円錐形状であっても、突起弁体22aの昇降によって外側流路2bの流路断面積が開放状態から閉鎖状態まで徐々に減少し、閉鎖状態において外側流路2bの流路断面積がゼロとなる限り、さまざまな形態とすることができる。
【0027】
カプセルカバー2aの、カプセルシェル23のフィルタエレメント21に対する相対的な伸縮を喚起する伸縮喚起機構は、調整ねじ24以外の構造とすることもできる。たとえば、カプセルカバー2aとカプセルシェル23との間に、気体を送り込む形態とすることもできる。このとき、外側流路2b内の液体の圧力との関係で、カプセルシェル23のフィルタエレメント21に対する相対的な伸縮を喚起されて、閉鎖状態において外側流路2bの流路断面積がゼロとなり、開放状態において外側流路2bの流路断面積が確保可能な限り、さまざまな形態とすることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 フィルタユニット
2 フィルタカートリッジ
2a カプセルカバー
21 フィルタエレメント
22 エンドキャップ
23 カプセルシェル
24 調整ねじ
3 ベースユニット
31 第1流路
32 第2流路
図1
図2
図3
図4
図5