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特開2024-47881フィルタカートリッジおよびフィルタユニット
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  • 特開-フィルタカートリッジおよびフィルタユニット 図1
  • 特開-フィルタカートリッジおよびフィルタユニット 図2
  • 特開-フィルタカートリッジおよびフィルタユニット 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047881
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】フィルタカートリッジおよびフィルタユニット
(51)【国際特許分類】
   B01D 27/08 20060101AFI20240401BHJP
   B01D 46/24 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
B01D27/08
B01D46/24 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153632
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000232885
【氏名又は名称】株式会社ロキテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】金城 隆司
【テーマコード(参考)】
4D058
4D116
【Fターム(参考)】
4D058JA02
4D058KC33
4D058QA01
4D058QA19
4D116AA07
4D116AA22
4D116BB01
4D116BC27
4D116BC45
4D116BC47
4D116BC75
4D116DD06
4D116QB03
4D116QB17
4D116QB23
4D116QB25
4D116QB36
4D116QB41
(57)【要約】
【課題】配管内にバルブを配置すると、設備コストは増加し、構造上も配管長さが長くなり、液溜り、発塵、漏れ、異物流出などの問題につながる。
【解決手段】上流側流路に連なる流路端と下流側流路に連なる流路端との一方である内部流路端と、前記上流側流路に連なる流路端と下流側流路に連なる流路端との他方であって前記内部流路端の外側周状に形成される外側流路端とを有するベースユニットに着脱可能に取り付けられ、伸縮バルブを備えるフィルタカートリッジにより解決する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側流路に連なる流路端と下流側流路に連なる流路端との一方である内部流路端と、前記上流側流路に連なる流路端と下流側流路に連なる流路端との他方であって前記内部流路端の外側周状に形成される外側流路端とを有するベースユニットに着脱可能に取り付けが行われるフィルタカートリッジであって、そのフィルタカートリッジは、
内部流路を有する筒状のフィルタエレメントと、
一端が前記フィルタエレメントの一端に固定され、他端が少なくとも前記フィルタエレメントの他端まで延在するように前記フィルタエレメントに沿って前記フィルタエレメントの外側に配置されるカプセルシェルであって、前記取り付けは前記カプセルシェルの前記他端が前記ベースユニットに嵌合するものであるカプセルシェルと、
前記フィルタエレメントに対して相対的な伸縮が可能な柔軟性を有し、一端が前記フィルタエレメントの前記一端に固定され、他端が前記フィルタエレメントの前記他端まで前記フィルタエレメントの前記内部流路の中に延在するように配置される伸縮バルブであって、前記伸縮バルブの外面と前記フィルタエレメントの内面との間に内部流路を形成する伸縮バルブと、を備え、
前記カプセルシェルと前記フィルタエレメントの外面との間は前記フィルタエレメントの前記内部流路と前記フィルタエレメントを介して流体的に連通する外側流路を形成し、
前記フィルタエレメントの前記他端には前記内部流路と連通する貫通流路を有するエンドキャップを備え、
前記フィルタカートリッジが前記ベースユニットに取り付けられた際には、前記内部流路端と前記貫通流路とが、前記外側流路端と前記外側流路とが、それぞれ接合し、
前記伸縮バルブは、前記伸縮バルブの前記フィルタエレメントに対する相対的な伸縮に応じて、前記伸縮バルブの前記他端が前記フィルタエレメントの前記エンドキャップと接触して前記内部流路と前記貫通流路との流体的連通を切断する閉鎖位置と、前記伸縮バルブの前記他端が前記フィルタエレメントの前記エンドキャップと離間して前記内部流路と前記貫通流路との流体的連通を確保する開放位置と、の間で前記伸縮を行うフィルタカートリッジ。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルタカートリッジであって、
前記フィルタエレメントの前記伸縮バルブの前記他端は突起弁体を備え、
前記エンドキャップは、前記伸縮バルブの前記突起弁体を受容する弁体受を有し、前記閉鎖位置において前記貫通流路を閉鎖するフィルタカートリッジ。
【請求項3】
請求項1に記載のフィルタカートリッジであって、
前記伸縮バルブの前記柔軟性は前記伸縮バルブの蛇腹構造により生じ、
前記蛇腹構造の広径部は前記フィルタエレメントの内周面と部分的に接触して前記内部流路において前記フィルタエレメントの前記内周面に沿った方向の流れを喚起するフィルタカートリッジ。
【請求項4】
請求項3に記載のフィルタカートリッジであって、
前記蛇腹構造の前記広径部は、前記フィルタエレメントの前記内周面に沿って螺旋状に形成されているフィルタカートリッジ。
【請求項5】
請求項1に記載のフィルタカートリッジであって、
前記ベースユニットには、前記ベースユニットに前記フィルタカートリッジが取り付けらえた状態で前記フィルタカートリッジの外側に位置するように前記ベースユニットに取りつけられるカプセルカバーが取り付け可能であって、
前記カプセルカバーには、前記伸縮バルブの前記フィルタエレメントに対する前記相対的な伸縮を喚起する伸縮喚起機構を有するフィルタカートリッジ。
【請求項6】
請求項5に記載のフィルタカートリッジであって、
前記伸縮喚起機構は前記伸縮バルブに接続される加圧機構であって、前記加圧機構により前記伸縮バルブを加圧または減圧することにより、前記伸縮バルブの前記フィルタエレメントに対する前記相対的な伸縮が喚起されるフィルタカートリッジ。
【請求項7】
請求項5に記載のフィルタカートリッジであって、
前記伸縮喚起機構は前記カプセルカバーに配置される調整ねじであって、前記伸縮バルブの前記他端は前記調整ねじに螺嵌されていて、前記調整ねじを回転させることにより、前記伸縮バルブの前記フィルタエレメントに対する前記相対的な伸縮が喚起されるフィルタカートリッジ。
【請求項8】
上流側流路に連なる流路端と下流側流路に連なる流路端との一方である内部流路端と、前記上流側流路に連なる流路端と下流側流路に連なる流路端との他方であって前記内部流路端の外側周状に形成される外側流路端とを有するベースユニットと、前記ベースユニットに着脱可能に取り付けが行われるフィルタカートリッジと、を備えるフィルタユニットであって、そのフィルタカートリッジは、
内部流路を有する筒状のフィルタエレメントと、
前記ベースユニットに取り付けられる側と反対側の一端が前記フィルタエレメントの一端に固定され、前記ベースユニットの側の他端が少なくとも前記フィルタエレメントの他端まで延在するように前記フィルタエレメントに沿って前記フィルタエレメントの外側に配置されるカプセルシェルであって、前記取り付けは前記カプセルシェルの前記他端が前記ベースユニットに嵌合するものであるカプセルシェルと、
前記フィルタエレメントに対して相対的な伸縮が可能な柔軟性を有し、一端が前記フィルタエレメントの前記一端に固定され、他端が前記フィルタエレメントの前記他端まで前記フィルタエレメントの前記内部流路の中に延在するように配置される伸縮バルブであって、前記伸縮バルブの外面と前記フィルタエレメントの内面との間に内部流路を形成する伸縮バルブと、を備え、
前記カプセルシェルと前記フィルタエレメントの外面との間は前記フィルタエレメントの前記内部流路と前記フィルタエレメントを介して流体的に連通する外側流路を形成し、
前記フィルタエレメントの前記他端には前記内部流路と連通する貫通流路を有するエンドキャップを備え、
前記フィルタカートリッジが前記ベースユニットに取り付けられた際には、前記内部流路端と前記貫通流路とが、前記外側流路端と前記外側流路とが、それぞれ接合し、
前記伸縮バルブは、前記伸縮バルブの前記フィルタエレメントに対する相対的な伸縮に応じて、前記伸縮バルブの前記他端が前記フィルタエレメントの前記エンドキャップと接触して前記内部流路と前記貫通流路との流体的連通を切断する閉鎖位置と、前記伸縮バルブの前記他端が前記フィルタエレメントの前記エンドキャップと離間して前記内部流路と前記貫通流路との流体的連通を確保する開放位置と、の間で前記伸縮を行うフィルタユニット。
【請求項9】
請求項8に記載のフィルタユニットであって、
前記フィルタエレメントの前記伸縮バルブの前記他端は突起弁体を備え、
前記エンドキャップは、前記伸縮バルブの前記突起弁体を受容する弁体受を有し、前記閉鎖位置において前記貫通流路を閉鎖するフィルタユニット。
【請求項10】
請求項8に記載のフィルタユニットであって、
前記伸縮バルブの前記柔軟性は前記伸縮バルブの蛇腹構造により生じ、
前記蛇腹構造の広径部は前記フィルタエレメントの内周面と部分的に接触して前記内部流路において前記フィルタエレメントの前記内周面に沿った方向の流れを喚起するフィルタユニット。
【請求項11】
請求項10に記載のフィルタユニットであって、
前記蛇腹構造の前記広径部は、前記フィルタエレメントの前記内周面に沿って螺旋状に形成されているフィルタユニット。
【請求項12】
請求項8に記載のフィルタユニットであって、
前記ベースユニットには、前記ベースユニットに前記フィルタカートリッジが取り付けらえた状態で前記フィルタカートリッジの外側に位置するように前記ベースユニットに取りつけられるカプセルカバーが取り付け可能であって、
前記カプセルカバーには、前記伸縮バルブの前記フィルタエレメントに対する前記相対的な伸縮を喚起する伸縮喚起機構を有するフィルタユニット。
【請求項13】
請求項12に記載のフィルタユニットであって、
前記伸縮喚起機構は前記伸縮バルブに接続される加圧機構であって、前記加圧機構により前記伸縮バルブを加圧または減圧することにより、前記伸縮バルブの前記フィルタエレメントに対する前記相対的な伸縮が喚起されるフィルタユニット。
【請求項14】
請求項12に記載のフィルタユニットであって、
前記伸縮喚起機構は前記カプセルカバーに配置される調整ねじであって、前記伸縮バルブの前記他端は前記調整ねじに螺嵌されていて、前記調整ねじを回転させることにより、前記伸縮バルブの前記フィルタエレメントに対する前記相対的な伸縮が喚起されるフィルタユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタカートリッジおよびフィルタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外筒内に液体を濾過する筒状のフィルタを有するフィルタユニットが開示されている。このフィルタユニットには、濾過する流体がフィルタユニットに流入する上流側流路と、濾過された流体がフィルタユニットから流出する下流側流路とが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6154239号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示すようなフィルタユニットでは、フィルタユニットに流入する濾過する流体の流入量を調節するために、流路を構成する配管内に、フィルタユニットとは別に、バルブを配置することが必要である。しかし、配管内にバルブを配置すると、設備コストは増加し、構造上も配管長さが長くなる問題がある。配管内に固定的なバルブを配置すると、経年的な劣化により、液溜り、発塵、漏れ、異物流出などの問題につながる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上流側流路に連なる流路端と下流側流路に連なる流路端との一方である内部流路端と、前記上流側流路に連なる流路端と下流側流路に連なる流路端との他方であって前記内部流路端の外側周状に形成される外側流路端とを有するベースユニットに着脱可能に取り付けが行われるフィルタカートリッジであって、そのフィルタカートリッジは、内部流路を有する筒状のフィルタエレメントと、一端が前記フィルタエレメントの一端に固定され、他端が少なくとも前記フィルタエレメントの他端まで延在するように前記フィルタエレメントに沿って前記フィルタエレメントの外側に配置されるカプセルシェルであって、前記取り付けは前記カプセルシェルの前記他端が前記ベースユニットに嵌合するものであるカプセルシェルと、前記フィルタエレメントに対して相対的な伸縮が可能な柔軟性を有し、一端が前記フィルタエレメントの前記一端に固定され、他端が前記フィルタエレメントの前記他端まで前記フィルタエレメントの前記内部流路の中に延在するように配置される伸縮バルブであって、前記伸縮バルブの外面と前記フィルタエレメントの内面との間に内部流路を形成する伸縮バルブと、を備え、前記カプセルシェルと前記フィルタエレメントの外面との間は前記フィルタエレメントの前記内部流路と前記フィルタエレメントを介して流体的に連通する外側流路を形成し、前記フィルタエレメントの前記他端には前記内部流路と連通する貫通流路を有するエンドキャップを備え、前記フィルタカートリッジが前記ベースユニットに取り付けられた際には、前記内部流路端と前記貫通流路とが、前記外側流路端と前記外側流路とが、それぞれ接合し、前記伸縮バルブは、前記伸縮バルブの前記フィルタエレメントに対する相対的な伸縮に応じて、前記伸縮バルブの前記他端が前記フィルタエレメントの前記エンドキャップと接触して前記内部流路と前記貫通流路との流体的連通を切断する閉鎖位置と、前記伸縮バルブの前記他端が前記フィルタエレメントの前記エンドキャップと離間して前記内部流路と前記貫通流路との流体的連通を確保する開放位置と、の間で前記伸縮を行うフィルタカートリッジにより解決する。
【0006】
上流側流路に連なる流路端と下流側流路に連なる流路端との一方である内部流路端と、前記上流側流路に連なる流路端と下流側流路に連なる流路端との他方であって前記内部流路端の外側周状に形成される外側流路端とを有するベースユニットと、前記ベースユニットに着脱可能に取り付けが行われるフィルタカートリッジと、を備えるフィルタユニットであって、そのフィルタカートリッジは、内部流路を有する筒状のフィルタエレメントと、前記ベースユニットに取り付けられる側と反対側の一端が前記フィルタエレメントの一端に固定され、前記ベースユニットの側の他端が少なくとも前記フィルタエレメントの他端まで延在するように前記フィルタエレメントに沿って前記フィルタエレメントの外側に配置されるカプセルシェルであって、前記取り付けは前記カプセルシェルの前記他端が前記ベースユニットに嵌合するものであるカプセルシェルと、前記フィルタエレメントに対して相対的な伸縮が可能な柔軟性を有し、一端が前記フィルタエレメントの前記一端に固定され、他端が前記フィルタエレメントの前記他端まで前記フィルタエレメントの前記内部流路の中に延在するように配置される伸縮バルブであって、前記伸縮バルブの外面と前記フィルタエレメントの内面との間に内部流路を形成する伸縮バルブと、を備え、前記カプセルシェルと前記フィルタエレメントの外面との間は前記フィルタエレメントの前記内部流路と前記フィルタエレメントを介して流体的に連通する外側流路を形成し、前記フィルタエレメントの前記他端には前記内部流路と連通する貫通流路を有するエンドキャップを備え、前記フィルタカートリッジが前記ベースユニットに取り付けられた際には、前記内部流路端と前記貫通流路とが、前記外側流路端と前記外側流路とが、それぞれ接合し、前記伸縮バルブは、前記伸縮バルブの前記フィルタエレメントに対する相対的な伸縮に応じて、前記伸縮バルブの前記他端が前記フィルタエレメントの前記エンドキャップと接触して前記内部流路と前記貫通流路との流体的連通を切断する閉鎖位置と、前記伸縮バルブの前記他端が前記フィルタエレメントの前記エンドキャップと離間して前記内部流路と前記貫通流路との流体的連通を確保する開放位置と、の間で前記伸縮を行うフィルタユニットにより解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、フィルタユニットとは別に、配管内にバルブを配置せずに、液溜り、発塵、漏れ、異物流出などの問題を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施の形態のフィルタユニット1およびフィルタカートリッジ2の断面図であって、流路の閉鎖状態を示している。
図2】本発明の第1の実施の形態のフィルタユニット1およびフィルタカートリッジ2の断面図であって、流路の開放状態を示している。
図3】本発明の第2の実施の形態のフィルタユニット1およびフィルタカートリッジ2の断面図であって、流路の開放状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施の形態]
図1および図2を参照して、本発明の第1の実施の形態としてのフィルタユニット1について説明する。図1は流路閉鎖状態のフィルタユニット1およびフィルタカートリッジ2の断面図を示している。図2は流路開放状態のフィルタユニット1およびフィルタカートリッジ2の断面図を示している。
【0010】
フィルタユニット1は、フィルタカートリッジ2と、ベースユニット3と、伸縮バルブ25と、を備える。フィルタカートリッジ2は、ベースユニット3に着脱可能に取り付けられる。ベースユニット3には第1流路31と第2流路32とが接続されている。第1流路31と第2流路32とは、第1流路31が第2流路32の内部流路となるように二重管を形成するように、第2流路32が第1流路31の外側周状に形成され、ベースユニット3において、それぞれの流路の端部として第1流路31の第1流路端31aと第2流路32の第2流路端32aとが画定されている。ベースユニット3に接続されている第1流路端31aと第2流路端32aとは、第1流路31と第2流路32とが二重管の管路端部を形成するように、第1流路31が第2流路32の内部に位置するように配置される。すなわち、第2流路32は、第1流路31を画定する管の管壁を内壁とし、第1流路31の管壁の外側と第2流路32の管壁の内側との間に画定される。たとえば、第1流路31が流れの上流側である上流側流路とし第2流路32を流れの下流側である下流側流路として、第1流路端31aを上流側流路に連なる流路端としての内部流路端とし、第2流路端32aを下流側流路に連なる流路端としての外側流路端とすることができる。また、逆に、第2流路32を流れの上流側である上流側流路に第1流路31を流れの下流側である下流側流路として、第2流路端32aを上流側流路に連なる流路端としての内部流路端とし、第1流路端31aを下流側流路に連なる流路端としての外側流路端とすることができる。
【0011】
フィルタカートリッジ2は、フィルタエレメント21と、カプセルシェル23と、を有する。フィルタエレメント21は円筒状の形状であって、代表的には、その内部に、その円筒の形状の軸に沿って、フィルタエレメント21の一方の円形端21bの側からフィルタエレメント21の他方の円形端21cの側まで延在するように内部流路21aを有する。内部流路21aは一方の円形端21bから他方の円形端21cまで至るように配置されることが好ましいが、一方の円形端21bに完全に至らなくてもよい。フィルタエレメント21の内部流路21aの周りは不織布などの多孔質素材であって、フィルタエレメント21の外周面とフィルタエレメント21の内部流路21aとの間は流体的に連通する。
【0012】
フィルタエレメント21の一方の円形端21bからフィルタエレメント21の他方の円形端21cに至るまでフィルタエレメント21に沿って延在してフィルタエレメント21の外周面を覆うように、フィルタエレメント21にはカプセルシェル23が取り付けられている。たとえば、フィルタエレメント21の一方の円形端21b(一端)にカプセルシェル23の端部(一端)が固定されていて、一方、フィルタエレメント21の他方の円形端21c(他端)とカプセルシェル23の端部(他端)とは固定されていない。カプセルシェル23は、フィルタエレメント21の円形端21b(一端)から、カプセルシェル23の他端が少なくともフィルタエレメント21の他端まで延在するように、フィルタエレメント21に沿ってフィルタエレメント21の外側に配置される。
【0013】
カプセルシェル23はフィルタエレメント21の外周面と離間して隙間を形成し、この隙間が外側流路2bを形成する。図1では、カプセルシェル23とフィルタエレメント21との間の隙間はカプセルシェル23とフィルタエレメント21との長手方向に亘って一定の間隔として示している。しかし、カプセルシェル23が広径部と狭径部とを繰り返し有するように、フィルタエレメント21の外周面に対して、フィルタエレメント21の軸周りに沿って螺旋状に形成されて、外側流路2bがフィルタエレメント21の外周面に沿っての螺旋流路を形成させることがとより好ましい。外側流路2bを螺旋流路とすることにより、外側流路2bがフィルタエレメント21の外周全域に満遍なく接するように、外側流路2bを形成することが可能となるので有利である。外側流路2bはフィルタエレメント21を介してフィルタエレメント21の内部流路21aと流体的に連通する。
【0014】
フィルタエレメント21の他方の円形端21c(他端)に固定されていないカプセルシェル23の端部(他端)はリングキャップ23aを備え、リングキャップ23aの内側が開口23cを形成する。カプセルシェル23の端部のリングキャップ23aはベースユニット3の第2流路端32aに嵌合可能であって、フィルタカートリッジ2のベースユニット3への着脱可能な取り付けは、カプセルシェル23の端部(他端)がベースユニット3に嵌合することによる。カプセルシェル23の端部(他端)であるリングキャップ23aには、シール材23dが配置されている。フィルタエレメント21がベースユニット3に取り付けられた際には、カプセルシェル23のリングキャップ23aとベースユニット3の第2流路端32aとが嵌合して、シール材23dが第2流路端32aに押しつけられて、カプセルシェル23のリングキャップ23aと第2流路端32aとの間が密閉される。この状態で、フィルタエレメント21とカプセルシェル23のリングキャップ23aとの間の外側流路2bが、第2流路32と流体的に連通して外側流路2bが開放状態となる。図1では、シール材23dはカプセルシェル23のリングキャップ23aに取り付けられている例で説明しているが、シール材23dを第2流路32に取りつけてもよい。
【0015】
カプセルシェル23のリングキャップ23aの側の内部の、フィルタエレメント21の他方の円形端21cには、エンドキャップ22が固定されている。エンドキャップ22としては、様々な形態を採用できるが、たとえば半球形状などの曲面である突起を有する部材を選択することができる。エンドキャップ22とカプセルシェル23の内側との間には流路となるべき隙間が確保され、外側流路2bと第2流路32との流体的な連通が確保される。本実施の形態では、エンドキャップ22とカプセルシェル23の内側との間には流路となるべき隙間により外側流路2bと第2流路32との流体的な連通が常に確保されている前提で説明を行う。
【0016】
ただし、本実施の形態の変形として、カプセルシェル23につき、エンドキャップ22とカプセルシェル23の内側との間には流路となるべき隙間により外側流路2bと第2流路32との流体的な連通が確保されている状態を開放状態とする突起弁体22aとして機能するように構成させてもよい。この場合、エンドキャップ22の突起弁体22aは、外側流路2bと第2流路32との流体的な連通を切断するように外側流路2bは閉鎖状態とするように構成させ、開放状態と閉鎖状態とを切り替えられるようにすることもできる。この場合、たとえば、エンドキャップ22の突起弁体22aがフィルタエレメント21から突出する突起形状を有し、カプセルシェル23がフィルタエレメント21の長手方向に可動な構成とすることで閉鎖状態と開放状態との間を移動して切替可能な弁体機構として機能するようにしてもよい。ただし、この明細書では、前記の通り、エンドキャップ22とカプセルシェル23の内側との間には流路となるべき隙間により外側流路2bと第2流路32との流体的な連通が常に確保されている前提で説明を行う。
【0017】
エンドキャップ22には内部に貫通流路22cを有している。貫通流路22cの一端22eはフィルタエレメント21の内部流路21aと流体的に連通するように開口し、貫通流路22cの他端は突出端22bの先端で開口している。貫通流路22cの一端22eに、たとえば、フィルタエレメント21の内部流路21a側で広く、突出端22bに向けて先細となるように、突起弁体28を受容する斜面としての弁体受を形成させて、突起弁体28が弁体受に密着して貫通流路22cの一端22eを閉止しやすい状態を確保することもできる。突出端22bは外周面にシール材22dを備え、突出端22bは第1流路端31aの内面に挿入されて嵌合可能である。このとき、シール材22dが押圧されて、貫通流路22cと第1流路31とが外部から遮断されるように密閉された状態を保って貫通流路22cと第1流路31とが流体的に連通する。
【0018】
伸縮バルブ25は、伸縮体25aと、伸縮体25aの先端に取り付けられる突起弁体28と、を備えている。突起弁体28は、エンドキャップ22の貫通流路22cを塞いで閉止することができる大きさであって、一方エンドキャップ22の貫通流路22cから離れて、突起弁体28と貫通流路22cとの間に流体が流れる隙間を形成することができる大きさである。たとえば、突起弁体28は、先端に曲面を有するように形成することができる。また、突起弁体28は、先端が曲面の円錐台形状を有するように形成させて、貫通流路22cの一端22eの斜面との間で流体が滑らかに流れるような隙間を形成するように設定宇できる。伸縮バルブ25は、フィルタエレメント21の内部流路21aの内部に挿入されるように配置される。伸縮バルブ25の伸縮体25aは内部に中空の空間であって、たとえば伸縮バルブ25は蛇腹構造を有している。伸縮バルブ25のフィルタエレメント21に対する相対的な伸縮は伸縮バルブ25の構造または材料の柔軟性により生じる。伸縮バルブ25の柔軟性は伸縮バルブ25の蛇腹構造により生じさせることができる。
【0019】
たとえば、伸縮バルブ25は蛇腹構造を有する伸縮体25aを形成し、伸縮体25aは、伸縮体25aの半径がフィルタエレメント21の長手方向(フィルタエレメントの軸方向)に沿って広狭が交互に繰り返すように延在する。伸縮体25aの半径が最も大きい伸縮体25aの蛇腹構造の広径部はフィルタエレメント21の内周面と部分的に接触する。伸縮バルブ25の蛇腹構造の広径部がフィルタエレメント21の内周面と部分的に接触することにより、内部流路21aにおいてフィルタエレメント21の内周面に沿った方向の流れを喚起する。フィルタエレメント21の内周面と、伸縮体25aの蛇腹構造の半径の小さい伸縮体25aの狭径部とにより濾過すべき流体の流路が画定される。
【0020】
ここで、「部分的に接触する」の技術的意義は、フィルタエレメント21の長手方向において、伸縮体25aの蛇腹構造のすべての広径部がフィルタエレメント21の内周面と接触するのではなく、ほとんどの広径部がフィルタエレメント21の内周面と接触する態様であって、また、フィルタエレメント21の内周面と接触している伸縮体25aの蛇腹構造の広径部が状態によってフィルタエレメント21の内周面と接触しなくなったり、またフィルタエレメント21の内周面と接触していない伸縮体25aの蛇腹構造の広径部が状態によってフィルタエレメント21の内周面と接触するようになることも含む意味である。また、伸縮バルブ25の伸縮体25aの蛇腹構造の広径部とフィルタエレメント21の内周面との接触は、伸縮バルブ25の伸縮体25aがフィルタエレメント21を圧縮するような過剰な力を生じしないように、伸縮バルブ25の伸縮体25aの蛇腹構造の広径部がフィルタエレメント21の内周面に接する程度の接触であることが好ましい。伸縮バルブ25の伸縮体25aの蛇腹構造の広径部とフィルタエレメント21の内周面との接触により、伸縮バルブ25の伸縮体25aがフィルタエレメント21を圧縮してしまうと、フィルタエレメント21内での濾過すべき流体の流路断面積が減少してしまうからである。また、伸縮体25aの蛇腹構造の広径部は、フィルタエレメント21の長手方向(フィルタエレメントの軸方向)に沿って、フィルタエレメント21の内周面上で螺旋状に形成されている。すなわち、フィルタエレメント21の内周面と伸縮体25aの蛇腹構造の狭径部とにより画定される流路が螺旋流路として形成される。これにより、濾過すべき流体がフィルタエレメント21の長手方向(フィルタエレメントの軸方向)に沿って、フィルタエレメント21の全面からフィルタエレメント21内に流入しやすくなる。
【0021】
伸縮バルブ25の伸縮体25aのフィルタエレメント21の長手方向の長さに対する相対的な伸縮は、たとえば伸縮喚起機構としての加圧機構26により、伸縮バルブ25の内部の圧力Pの増減によって喚起するようにできる。加圧機構26は、フィルタエレメント21付近の任意の箇所に配置できる。加圧機構26の配置の代表例は後述する。伸縮バルブ25の内部の圧力Pを高める(加圧する)と伸縮バルブ25の伸縮体25aの伸長によって伸縮バルブ25が伸長して閉鎖位置となる。閉鎖位置では、伸縮体25aの先端に取り付けられる突起弁体28がエンドキャップ22には内部に貫通流路22cの一端22eを塞いで封止して貫通流路22cを閉止して、フィルタエレメント21の内周面と伸縮体25aの蛇腹構造の狭径部とにより画定される螺旋流路の流体的連通を遮断し、ひいては第1流路31との流れを切断する。また、一方、伸縮バルブ25の内部の圧力Pを減じる(減圧する)と伸縮バルブ25の伸縮体25aの収縮によって伸縮バルブ25が収縮して開放位置となる。開放位置では、伸縮体25aの先端に取り付けられる突起弁体28がエンドキャップ22には内部に貫通流路22cの一端22eから退避して離れ、突起弁体28による貫通流路22cの閉止を解除して、フィルタエレメント21の内周面と伸縮体25aの蛇腹構造の狭径部とにより画定される螺旋流路の流体的連通を確保し、ひいては第1流路31との流れを確保する。
【0022】
ベースユニット3には、内部に中空を有し、一端に開口を有するカプセルカバー2aが取り付け可能である。カプセルカバー2aは、必須の構成ではないが、カプセルカバー2aを配置することにより、カプセルカバー2aがカプセルシェル23を外殻として保護する機能を有する。すなわち、フィルタエレメント21がベースユニット3に接合されている状態で、カプセルカバー2aの開口がベースユニット3に接合されると、内部の中空部にフィルタエレメント21がベースユニット3により外部から隔絶された状態で格納される。カプセルカバー2aは、ベースユニット3にフィルタエレメント21が取り付けらえた状態でフィルタエレメント21の外側に位置するようにベースユニット3に取り付け可能である。カプセルカバー2aが配置される場合には、カプセルシェル23はカプセルカバー2aに保持される。
【0023】
カプセルカバー2aを配置する場合には、特に、伸縮バルブ25のフィルタエレメント21に対する相対的な伸縮を喚起する加圧機構26はカプセルカバー2aに取り付けることができる。代表的には、加圧機構26はカプセルカバー2aの頭頂部に配置される伸縮喚起機構保持部27に取り付けられるように構成させることができる。すなわち、加圧機構26は送気パイプを有し、伸縮喚起機構保持部27が送気パイプを保持する。加圧機構26は内部の圧力Pを増減させる圧力源に接続され、加圧機構26による伸縮バルブ25の内部の圧力Pを加圧または減圧を実現する。
【0024】
続いて、フィルタユニット1の機能について説明する。フィルタカートリッジ2はベースユニット3と取付けおよび取外しが可能な構造を有している。新しいフィルタカートリッジ2をベースユニット3に取り付ける。ここでは、エンドキャップ22の突出端22bを第1流路端31aに、カプセルシェル23のリングキャップ23aを第2流路端32aに、接合する。これにより、第1流路31からエンドキャップ22の貫通流路22cと内部流路21aとを経由してフィルタエレメント21への流路と、フィルタエレメント21の内部から外側流路2bとリングキャップ23aの開口23cを経由して第2流路32へと至る流路が完成する。そして、ここで、カプセルカバー2aを、ベースユニット3に取り付ける。
【0025】
ここで、加圧機構26を機能させ、伸縮バルブ25の内部の圧力Pを高める(加圧する)と伸縮バルブ25の伸縮体25aの伸長によって伸縮バルブ25が伸長し閉鎖位置となる。伸縮バルブ25の内部の圧力Pを減じる(減圧する)と伸縮バルブ25の伸縮体25aの収縮によって伸縮バルブ25が収縮して開放位置となる。
【0026】
[第2の実施の形態]
第1の実施の形態は、伸縮喚起機構を加圧機構26として、加圧および減圧により、伸縮バルブ25を伸縮させる形態であった。しかし、伸縮喚起機構は加圧機構26に限られず、機械的に、伸縮バルブ25を伸縮させる形態であってもよい。ここでは、第2の実施の形態として、機械的に伸縮バルブ25を伸縮させる形態について、図3を参照して説明する。第2の実施の形態を説明する上で、第1の実施の形態と同様の部分については説明を割愛する。すなわち、伸縮喚起機構以外の部分については、第1の実施の形態と同様であるので説明を割愛する。
【0027】
第2の実施の形態は、たとえば、図3に示すように、伸縮喚起機構は昇降ねじ29とすることができる。昇降ねじ29は螺子部29aを備え、カプセルカバー2aの頭頂部に配置される伸縮喚起機構保持部27に螺嵌されている。昇降ねじ29は螺子部29aを所定の方向に回転させることにより昇降ねじ29が伸縮喚起機構保持部27から突出する。また、その逆に回転させることにより昇降ねじ29が伸縮喚起機構保持部27に向かって退出する。これにより、伸縮バルブ25のフィルタエレメント21に対する相対的な伸縮が喚起され、第1の実施の形態の加圧機構26と同様に機能する。
【符号の説明】
【0028】
1 フィルタユニット
2 フィルタカートリッジ
2a カプセルカバー
21 フィルタエレメント
22 エンドキャップ
23 カプセルシェル
25 伸縮バルブ
26 加圧機構[伸縮喚起機構(第1の実施の形態)]
27 伸縮喚起機構保持部
28 突起弁体
29 昇降ねじ[伸縮喚起機構(第2の実施の形態)]
29a 螺子部
31 第1流路
32 第2流路
図1
図2
図3