(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047882
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】搬送装置、液体吐出装置及び検出装置
(51)【国際特許分類】
B65H 7/02 20060101AFI20240401BHJP
B65H 5/02 20060101ALI20240401BHJP
B41J 11/44 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
B65H7/02
B65H5/02 A
B41J11/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153633
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】滝島 慶悟
【テーマコード(参考)】
2C058
3F048
3F049
【Fターム(参考)】
2C058AB15
2C058AC07
2C058AD01
2C058AE02
2C058AE04
2C058AE08
2C058AF27
3F048AA05
3F048AB01
3F048AC02
3F048BA26
3F048BB10
3F048CC00
3F048DA06
3F048DC19
3F049AA10
3F049EA22
3F049LA07
3F049LB03
3F049LB11
(57)【要約】
【課題】搬送ベルトの移動量を高精度で検出する。
【解決手段】メディアMを搬送する搬送ベルト5と、検出装置30と、を備え、検出装置30は、搬送ベルト5に接触することにより搬送ベルト5に対して従動回転可能な接触ベルト31と、接触ベルト31が掛け回される第1軸部材32及び第2軸部材33と、接触ベルト31が従動回転する際の接触ベルト31の移動量を検出可能な検出部34と、を備え、第1軸部材32及び第2軸部材33は、接触ベルト31の従動回転に伴って回転しないように構成されている搬送装置1。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアを搬送する搬送ベルトと、検出装置と、を備え、
前記検出装置は、
前記搬送ベルトに接触することにより前記搬送ベルトに対して従動回転可能な接触ベルトと、
前記接触ベルトが掛け回される第1軸部材及び第2軸部材と、
前記接触ベルトが従動回転する際の前記接触ベルトの移動量を検出可能な検出部と、
を備え、
前記第1軸部材及び前記第2軸部材は、前記接触ベルトの従動回転に伴って回転しないように構成されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置において、
前記第1軸部材は、前記接触ベルトの内周面と接触可能な第1外周面を有し、
前記第2軸部材は、前記接触ベルトの内周面と接触可能な第2外周面を有し、
前記第1外周面及び前記第2外周面のうち少なくとも一方は、潤滑剤が保持された凹部を有することを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の搬送装置において、
前記凹部は、前記凹部の少なくとも一部を構成し、前記第1軸部材及び前記第2軸部材が延在する方向である軸方向において互いに対向する第1壁部及び第2壁部を有し、
前記接触ベルトは、前記接触ベルトの内周面から前記凹部に向かって突出するとともに前記第1壁部及び前記第2壁部のうち少なくとも一方と当接可能な突出部を有することを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の搬送装置において、
前記接触ベルトは、前記搬送ベルトの内側に配置されることを特徴とする搬送装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の搬送装置において、
前記第1軸部材及び前記第2軸部材の少なくとも一方は、前記接触ベルトの従動回転に伴って回転可能に前記搬送装置に取り付けられる回転可能軸であり、
前記回転可能軸に接続されるモーターと、前記モーターに対して前記回転可能軸が前記接触ベルトの従動回転に伴って回転しないように回転トルクを発生させる制御部と、を備え、
前記搬送ベルトは、前記メディアを粘着可能な粘着面を有し、
前記接触ベルトは、前記粘着面に接触し、
前記制御部は、前記回転トルクの大きさに基づいて前記粘着面の状態を判断可能であることを特徴とする搬送装置。
【請求項6】
メディアを搬送する搬送ベルトと、前記メディアに液体を吐出する吐出部と、検出装置と、を備え、
前記検出装置は、
前記搬送ベルトに接触することにより前記搬送ベルトに対して従動回転可能な接触ベルトと、
前記接触ベルトが掛け回される第1軸部材及び第2軸部材と、
前記接触ベルトが従動回転する際の前記接触ベルトの移動量を検出可能な検出部と、
を備え、
前記第1軸部材及び前記第2軸部材は、前記接触ベルトの従動回転に伴って回転しないように構成されていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項7】
メディアを搬送する搬送ベルトの移動量を検出する検出装置であって、
前記搬送ベルトに接触することにより前記搬送ベルトに対して従動回転可能な接触ベルトと、
前記接触ベルトが掛け回される第1軸部材及び第2軸部材と、
前記接触ベルトが従動回転する際の前記接触ベルトの移動量を検出可能な検出部と、
を備え、
前記第1軸部材及び前記第2軸部材は、前記接触ベルトの従動回転に伴って回転しないように構成されていることを特徴とする検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置、液体吐出装置及び検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、媒体を搬送する様々な搬送装置が使用されている。このうち、搬送ベルトを用いて媒体を搬送する搬送装置がある。例えば、特許文献1には、搬送ベルトと該搬送ベルトに当接させて回転させる測定ローラとを備え、搬送ベルトの移動に伴う測定ローラの回転角をエンコーダにより測定し、その測定結果に応じて搬送ベルトの移動量を判断し、その移動量に応じて布帛の送り量を制御する、インクジェット印刷装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のインクジェット印刷装置においては、製造公差などにより測定ローラが偏心する虞がある。特許文献1のインクジェット印刷装置においては、測定ローラが偏心していた場合、エンコーダによる測定ローラの回転角の測定精度は低く、搬送ベルトの移動量、すなわち、布帛の送り量の測定精度は低い。このように、搬送ベルトを用いて媒体を搬送する従来の搬送装置においては、搬送ベルトの移動量を高精度で検出することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の搬送装置は、メディアを搬送する搬送ベルトと、検出装置と、を備え、前記検出装置は、前記搬送ベルトに接触することにより前記搬送ベルトに対して従動回転可能な接触ベルトと、前記接触ベルトが掛け回される第1軸部材及び第2軸部材と、前記接触ベルトが従動回転する際の前記接触ベルトの移動量を検出可能な検出部と、を備え、前記第1軸部材及び前記第2軸部材は、前記接触ベルトの従動回転に伴って回転しないように構成されていることを特徴とする。
【0006】
また、上記課題を解決するための本発明の液体吐出装置は、メディアを搬送する搬送ベルトと、前記メディアに液体を吐出する吐出部と、検出装置と、を備え、前記検出装置は、前記搬送ベルトに接触することにより前記搬送ベルトに対して従動回転可能な接触ベルトと、前記接触ベルトが掛け回される第1軸部材及び第2軸部材と、前記接触ベルトが従動回転する際の前記接触ベルトの移動量を検出可能な検出部と、を備え、前記第1軸部材及び前記第2軸部材は、前記接触ベルトの従動回転に伴って回転しないように構成されていることを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するための本発明の検出装置は、メディアを搬送する搬送ベルトの移動量を検出する検出装置であって、前記搬送ベルトに接触することにより前記搬送ベルトに対して従動回転可能な接触ベルトと、前記接触ベルトが掛け回される第1軸部材及び第2軸部材と、前記接触ベルトが従動回転する際の前記接触ベルトの移動量を検出可能な検出部と、を備え、前記第1軸部材及び前記第2軸部材は、前記接触ベルトの従動回転に伴って回転しないように構成されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施例1に係る液体吐出装置の側面図。
【
図2】
図1の液体吐出装置における検出装置の側面図。
【
図3】本発明の実施例2に係る液体吐出装置の側面図。
【
図4】本発明の実施例3に係る液体吐出装置における検出装置の側面図。
【
図5】本発明の実施例4に係る液体吐出装置における検出装置の軸部材の斜視図。
【
図6】本発明の実施例5に係る液体吐出装置における検出装置の軸部材の斜視図。
【
図7】
図6の液体吐出装置における検出装置の断面図であって、一部領域Xの拡大図を併せて表す図。
【
図8】本発明の実施例6に係る液体吐出装置における検出装置の側面図。
【
図9】本発明の実施例7に係る液体吐出装置における検出装置の側面図。
【
図10】本発明の実施例8に係る液体吐出装置における検出装置の側面図。
【
図11】本発明の実施例9に係る液体吐出装置における検出装置の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
最初に、本発明について概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様の搬送装置は、メディアを搬送する搬送ベルトと、検出装置と、を備え、前記検出装置は、前記搬送ベルトに接触することにより前記搬送ベルトに対して従動回転可能な接触ベルトと、前記接触ベルトが掛け回される第1軸部材及び第2軸部材と、前記接触ベルトが従動回転する際の前記接触ベルトの移動量を検出可能な検出部と、を備え、前記第1軸部材及び前記第2軸部材は、前記接触ベルトの従動回転に伴って回転しないように構成されていることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、検出装置は、搬送ベルトに接触することにより搬送ベルトに対して従動回転可能な接触ベルトと、接触ベルトが掛け回される第1軸部材及び第2軸部材と、接触ベルトが従動回転する際の接触ベルトの移動量を検出可能な検出部と、を備え、第1軸部材及び第2軸部材は、接触ベルトの従動回転に伴って回転しないように構成されている。このため、第1軸部材及び第2軸部材が製造公差などにより変形または偏心していても、第1軸部材及び第2軸部材に対して摺動することで接触ベルトは搬送ベルトに対して誤差を伴うことなく移動でき、第1軸部材及び第2軸部材が製造公差などにより変形または偏心していても、その影響を受けることなく、検出部は高い精度で接触ベルトの移動量を検出することができる。したがって、搬送ベルトの移動量を高精度で検出することができる。
【0011】
本発明の第2の態様の搬送装置は、前記第1の態様において、前記第1軸部材は、前記接触ベルトの内周面と接触可能な第1外周面を有し、前記第2軸部材は、前記接触ベルトの内周面と接触可能な第2外周面を有し、前記第1外周面及び前記第2外周面のうち少なくとも一方は、潤滑剤が保持された凹部を有することを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、第1外周面及び第2外周面のうち少なくとも一方は潤滑剤が保持された凹部を有する。すなわち、接触ベルトは、第1軸部材及び第2軸部材の少なくとも一方に対して潤滑剤を有する外周面を介して接触する。このため、接触ベルトの第1軸部材及び第2軸部材の少なくとも一方に対しての摺動負荷を低減することができ、接触ベルトと第1軸部材及び第2軸部材との摺動不良が抑制されることで検出部は特に高い精度で接触ベルトの移動量を検出することができる。
【0013】
本発明の第3の態様の搬送装置は、前記第2の態様において、前記凹部は、前記凹部の少なくとも一部を構成し、前記第1軸部材及び前記第2軸部材が延在する方向である軸方向において互いに対向する第1壁部及び第2壁部を有し、前記接触ベルトは、前記接触ベルトの内周面から前記凹部に向かって突出するとともに前記第1壁部及び前記第2壁部のうち少なくとも一方と当接可能な突出部を有することを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、接触ベルトは、接触ベルトの内周面から凹部に向かって突出するとともに第1壁部及び第2壁部のうち少なくとも一方と当接可能な突出部を有する。このように、突出部を凹部に嵌合させることで接触ベルトを第1軸部材及び第2軸部材の少なくとも一方に対して位置決めすることができ、接触ベルトの第1軸部材及び第2軸部材に対する位置ずれを抑制することができる。したがって、接触ベルトが第1軸部材及び第2軸部材に対して位置ずれを起こして斜行することで接触ベルトの移動量の検出精度が低下するということを、抑制することができる。
【0015】
本発明の第4の態様の搬送装置は、前記第1から第3のいずれか1つの態様において、前記接触ベルトは、前記搬送ベルトの内側に配置されることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、接触ベルトは搬送ベルトの内側に配置される。このため、接触ベルトが搬送ベルトの外側に配置される構成と比べて、搬送装置を小型化することができる。
【0017】
本発明の第5の態様の搬送装置は、前記第1から第3のいずれか1つの態様において、前記第1軸部材及び前記第2軸部材の少なくとも一方は、前記接触ベルトの従動回転に伴って回転可能に前記搬送装置に取り付けられる回転可能軸であり、前記回転可能軸に接続されるモーターと、前記モーターに対して前記回転可能軸が前記接触ベルトの従動回転に伴って回転しないように回転トルクを発生させる制御部と、を備え、前記搬送ベルトは、前記メディアを粘着可能な粘着面を有し、前記接触ベルトは、前記粘着面に接触し、前記制御部は、前記回転トルクの大きさに基づいて前記粘着面の状態を判断可能であることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、搬送ベルトはメディアを粘着可能な粘着面を有する。このため、メディアを好適に搬送することができる。また、粘着面の状態が低下すると搬送ベルトの搬送精度は低下する虞があるが、制御部はモーターに対して回転可能軸が接触ベルトの従動回転に伴って回転しないように発生させる回転トルクの大きさに基づいて粘着面の状態を判断可能である。このため、制御部は回転トルクの大きさに基づいて粘着面の状態を正確に判断することが可能であり、粘着面の状態が低下した場合にユーザーにその対応を促すことなどが可能になる。
【0019】
本発明の第6の態様の液体吐出装置は、メディアを搬送する搬送ベルトと、前記メディアに液体を吐出する吐出部と、検出装置と、を備え、前記検出装置は、前記搬送ベルトに接触することにより前記搬送ベルトに対して従動回転可能な接触ベルトと、前記接触ベルトが掛け回される第1軸部材及び第2軸部材と、前記接触ベルトが従動回転する際の前記接触ベルトの移動量を検出可能な検出部と、を備え、前記第1軸部材及び前記第2軸部材は、前記接触ベルトの従動回転に伴って回転しないように構成されていることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、検出装置は、搬送ベルトに接触することにより搬送ベルトに対して従動回転可能な接触ベルトと、接触ベルトが掛け回される第1軸部材及び第2軸部材と、接触ベルトが従動回転する際の接触ベルトの移動量を検出可能な検出部と、を備え、第1軸部材及び第2軸部材は、接触ベルトの従動回転に伴って回転しないように構成されている。このため、第1軸部材及び第2軸部材が製造公差などにより変形または偏心していても、第1軸部材及び第2軸部材に対して摺動することで接触ベルトは搬送ベルトに対して誤差を伴うことなく移動でき、検出部は高い精度で接触ベルトの移動量を検出することができる。したがって、搬送ベルトの移動量を高精度で検出することができる。
【0021】
本発明の第7の態様の検出装置は、メディアを搬送する搬送ベルトの移動量を検出する検出装置であって、前記搬送ベルトに接触することにより前記搬送ベルトに対して従動回転可能な接触ベルトと、前記接触ベルトが掛け回される第1軸部材及び第2軸部材と、前記接触ベルトが従動回転する際の前記接触ベルトの移動量を検出可能な検出部と、を備え、前記第1軸部材及び前記第2軸部材は、前記接触ベルトの従動回転に伴って回転しないように構成されていることを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、検出装置は、搬送ベルトに接触することにより搬送ベルトに対して従動回転可能な接触ベルトと、接触ベルトが掛け回される第1軸部材及び第2軸部材と、接触ベルトが従動回転する際の接触ベルトの移動量を検出可能な検出部と、を備え、第1軸部材及び第2軸部材は、接触ベルトの従動回転に伴って回転しないように構成されている。このため、第1軸部材及び第2軸部材が製造公差などにより変形または偏心していても、第1軸部材及び第2軸部材に対して摺動することで接触ベルトは搬送ベルトに対して誤差を伴うことなく移動でき、検出部は高い精度で接触ベルトの移動量を検出することができる。したがって、搬送ベルトの移動量を高精度で検出することができる。
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。
[実施例1]
最初に、本発明の実施例1の液体吐出装置1の概要について
図1を参照して説明する。
図1で表されるように、本実施例の液体吐出装置1は、メディアMを搬送方向Aに搬送可能な搬送装置20を備えている。なお、本実施例の液体吐出装置1において、後述するキャリッジ7を除いたものを搬送装置20とみなすことができるが、キャリッジ7を含めた液体吐出装置1全体を搬送装置20とみなすこともできる。
【0024】
搬送装置20は、ロール状のメディアMをセットして回転方向C1に回転することでメディアMを繰り出すことが可能な繰り出し部2を備えている。また、搬送装置20は、繰り出し部2から繰り出されたメディアMを搬送方向Aに搬送可能な搬送ベルト5を備えている。搬送装置20は、搬送方向Aの上流側に位置する従動ローラー3と、搬送方向Aの下流側に位置する駆動ローラー4と、該従動ローラー3及び該駆動ローラー4に架け渡された無端ベルトである搬送ベルト5と、を備えている。
【0025】
ここで、搬送ベルト5は外側表面であるメディアMの支持面に粘着剤が塗られた粘着面5aを有する粘着性ベルトである。
図1で表されるように、粘着面5aにメディアMが貼り付けられた状態で、メディアMは搬送ベルト5に支持されて搬送される。本実施例の液体吐出装置1においては、搬送ベルト5におけるメディアMの支持領域は、従動ローラー3と駆動ローラー4とで架橋された上側の領域である。また、駆動ローラー4はモーター14の駆動力により回転するローラーであり、従動ローラー3は駆動ローラー4を回転させることに伴う搬送ベルト5の回転に従動することで回転するローラーである。
【0026】
また、液体吐出装置1は、搬送ベルト5の幅方向Bに往復移動可能なキャリッジ7と、キャリッジ7に取り付けられたヘッド8と、を備えている。ヘッド8は、搬送方向Aに搬送されるメディアMに画像を印刷可能な印刷部、別の表現をすると、メディアMに液体であるインクを吐出する吐出部、として機能する。ヘッド8は、搬送ベルト5におけるメディアMの支持領域と対向する位置に設けられ、インクを吐出可能である。このとき、搬送ベルト5におけるメディアMの支持領域は、ヘッド8と対向する対向領域であると言える。本実施例の液体吐出装置1は、搬送方向Aと交差する幅方向Bにキャリッジ7を往復移動させながら、搬送されるメディアMにヘッド8からインクを吐出して画像を形成することが可能である。このような構成のキャリッジ7を備えていることにより、本実施例の液体吐出装置1は、所定の搬送量でメディアMを搬送方向Aに搬送させることと、メディアMを停止した状態でキャリッジ7を幅方向Bに移動させながらインクを吐出させることと、を繰り返すことで、メディアMに所望の画像を形成可能である。
【0027】
なお、本実施例の液体吐出装置1は、メディアMの所定量の搬送とキャリッジ7の往復移動とを交互に繰り返して印刷を行う所謂シリアルプリンターであるが、メディアMの幅方向Bに沿ってライン状にノズルが形成されたラインヘッドを使用して、連続的にメディアMを搬送しながら連続的に印刷を行う所謂ラインプリンターであってもよい。さらには、インクを吐出して印刷する所謂インクジェット方式の印刷部とは異なる構成の印刷部を備える印刷装置であってもよい。
【0028】
本実施例の液体吐出装置1は、キャリッジ7に撮像部12が設けられており、ヘッド8からインクを吐出して形成した画像を撮像部12で撮像することが可能な構成となっている。撮像部12で撮像した画像のデータは、制御部40に送られる。制御部40は、詳細は後述する検出装置30の検出結果と該データとに基づいて、搬送ベルト5の1回あたりの所定の搬送量が所定量からズレているか否か、ずれている場合どの程度ズレているかを判断することが可能になっている。制御部40は、本実施例の液体吐出装置1の各構成部材の全体の制御を行う。
【0029】
また、キャリッジ7よりも搬送方向Aの上流側における搬送ベルト5と対向する位置に、メディア貼り付け部6が形成されている。メディア貼り付け部6が幅方向Bに亘りメディアMを搬送ベルト5に押し当てることで、皺などの発生が抑制された状態でメディアMが搬送ベルト5に対して貼り付けられる。
【0030】
また、キャリッジ7よりも搬送方向Aの下流側には、詳細は後述する検出装置30が設けられている。検出装置30は、搬送ベルト5の移動量を検出するための装置である。
【0031】
ヘッド8からインクを吐出することで画像が形成されたメディアMは、本実施例の液体吐出装置1から排出されると、本実施例の液体吐出装置1よりも後段に設けられた、メディアMに吐出されたインクの成分を揮発させる乾燥装置や画像が形成されたメディアMを巻き取る巻取装置などに送られる。
【0032】
ここで、メディアMとしては、被捺染材を好ましく用いることができる。被捺染材とは、捺染の対象となる布地や、衣服や、その他の服飾製品等のことを言う。布地には、綿、絹、羊毛等の天然繊維やナイロン等の化学繊維あるいはこれらを混ぜた複合繊維の織物、編物、不織布等が含まれる。また、衣服や、その他の服飾製品には、縫製後のTシャツ、ハンカチ、スカーフ、タオル、手提げ袋、布製のバッグ、カーテン、シーツ、ベッドカバー等のファニチャー類等の他、縫製前の状態のパーツとして存在する裁断前後の布地等も含まれる。
【0033】
さらに、メディアMとしては、上記被捺染材の他、普通紙、上質紙、及び光沢紙などのインクジェット印刷用専用紙等を用いることができる。また、メディアMとしては、例えば、インクジェット印刷用に表面処理をしていない、すなわち、インク吸収層を形成していないプラスチックフィルム、並びに紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているもの及びプラスチックフィルムが接着されているものも用いることができる。当該プラスチックとしては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、及びポリプロピレンが挙げられる。
【0034】
メディアMとして被捺染材を用いた場合、被捺染材はメディアMに吐出されたインクが裏側の面まで滲む現象であるインクの裏抜けをし易いので、搬送ベルト5がインクで汚れる場合がある。そこで、本実施例の液体吐出装置1には、裏抜けして搬送ベルト5に付着したインクを洗浄するための洗浄部9を備えている。本実施例の洗浄部9は、洗浄液が浸されて搬送ベルト5と接触する洗浄ブラシ10と、洗浄ブラシ10を搬送ベルト5に接触させることにより搬送ベルト5に付着した洗浄液をワイプするブレード部11と、を備えている。さらに、本実施例の液体吐出装置1は、ブレード部11でワイプしきれなかった洗浄液を乾燥させることが可能な送風部13を備えている。
【0035】
本実施例の液体吐出装置1は、駆動ローラー4を回転方向C1に回転させることでメディアMを搬送方向Aに搬送可能である。また、液体吐出装置1は、駆動ローラー4を回転方向C1とは逆方向である回転方向C2に回転させることでメディアMを搬送方向Aとは逆の方向に搬送させることも可能である。
【0036】
次に、本実施例の液体吐出装置1の要部である検出装置30の詳細について
図2を参照して説明する。
図2で表されるように、本実施例の液体吐出装置1は、検出装置30として、搬送ベルト5に接触することにより搬送ベルト5に対して従動回転可能な接触ベルト31と、接触ベルト31が掛け回される第1軸部材32及び第2軸部材33と、接触ベルト31が従動回転する際の接触ベルト31の移動量を検出可能な検出部34と、を備える検出装置30Aを有している。
【0037】
第1軸部材32としての本実施例の第1軸部材32Aは、液体吐出装置1に設けられた不図示のフレームに固定される円柱状の軸部材である。同様に、第2軸部材33としての本実施例の第2軸部材33Aは、フレームに固定される円柱状の軸部材である。第1軸部材32Aは円周面である第1外周面32aに凹凸が設けられておらず、接触ベルト31の内周面31aに対しての摩擦係数が小さく接触ベルト31が摺動しやすくなっている。同様に、第2軸部材33Aは円周面である第2外周面33aに凹凸が設けられておらず、接触ベルト31の内周面31aに対しての摩擦係数が小さく接触ベルト31が摺動しやすくなっている。
【0038】
また、本実施例の検出装置30Aは、第1軸部材32Aと第2軸部材33Aとにより張力がかかる方向Tにおける第1軸部材32Aと第2軸部材33Aとの間の位置において、
図2中の上側に対応する一方側に検出部34が配置され、
図2中の下側に対応する他方側において搬送ベルト5の粘着面5aに対して接触している。すなわち、本実施例の検出装置30Aは、搬送ベルト5の移動に伴って接触ベルト31が移動するとともに、その際、フレームに固定された第1軸部材32A及び第2軸部材33Aに対して接触ベルト31が摺動する構成となっている。そして、接触ベルト31の移動量を検出部34が検出可能な構成となっている。
【0039】
なお、本実施例においては、第1軸部材32A及び第2軸部材33Aはともに、ネジ留めされることによりフレームに固定されている。しかしながら、第1軸部材32及び第2軸部材33に対して接触ベルト31を摺動させる構成に特に限定は無い。例えば、第1軸部材32及び第2軸部材33が溶接によりフレームに固定されていてもよい。また、例えば、第1軸部材32及び第2軸部材33が回転可能なローラーなどの回転可能軸で構成され、接触ベルト31の移動量を検出部34が検出する際に、磁器ブレーキやモーターなどを用いて回転可能軸である第1軸部材32及び第2軸部材33が回転しないようにする構成などとしてもよい。
【0040】
検出部34としての本実施例の検出部34Aは、磁気センサーである。そして、接触ベルト31には、磁気センサーである検出部34Aで読み取り可能なスケール(磁器スケール)が設けられている。検出部34としては本実施例の検出部34Aのような磁気センサー以外の構成のものを使用することも可能である。ただし、磁気センサーは、例えばインクの付着など、汚れが生じた場合においても精度よく接触ベルト31の移動量を検出することができる。
【0041】
上記のように、本実施例の液体吐出装置1の検出装置30は、搬送ベルト5に接触することにより搬送ベルト5に対して従動回転可能な接触ベルト31と、接触ベルト31が掛け回される第1軸部材32及び第2軸部材33と、接触ベルト31が従動回転する際の接触ベルト31の移動量を検出可能な検出部34と、を備え、第1軸部材32及び第2軸部材33は、接触ベルト31の従動回転に伴って回転しないように構成されている。このため、本実施例の液体吐出装置1は、第1軸部材32及び第2軸部材33が製造公差などにより変形または偏心していても、第1軸部材32及び第2軸部材33に対して摺動することで接触ベルト31のスケールは搬送ベルト5に対して誤差を伴うことなく移動でき、検出部34は高い精度で接触ベルト31の移動量を検出することができる。したがって、本実施例の液体吐出装置1は、搬送ベルト5の移動量を高精度で検出することができる。また、このような構成の検出装置30は、液体吐出装置1に対する配置の自由度が大きく、搬送ベルト5にスケールを設ける構成などと比べてスケールを短くでき、低コスト化を可能にする。
【0042】
[実施例2]
以下に、実施例2の液体吐出装置1について、
図3を用いて説明する。
図3は、実施例1の液体吐出装置1の
図1に対応する図である。ここで、本実施例の液体吐出装置1は、検出装置30の配置以外は実施例1の液体吐出装置1と同様の構成であるため、共通する部分における説明は省略する。なお、上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
【0043】
実施例1の液体吐出装置1における検出装置30は、
図1で表されるように搬送ベルト5の上部、すなわち、搬送ベルト5の外側に設けられる構成であった。一方、
図3で表されるように、本実施例の液体吐出装置1における検出装置30は、搬送ベルト5の内側に設けられている。このため、本実施例の液体吐出装置1は、接触ベルト31が搬送ベルト5の外側に配置される実施例1の液体吐出装置1のような構成と比べて、小型化することができている。
【0044】
なお、本実施例の検出装置30は、実施例1の液体吐出装置1の検出装置30と同様の構成をしている。すなわち、本実施例の検出装置30は、実施例1の液体吐出装置1の検出装置30と同様、検出装置30Aである。しかしながら、本実施例の液体吐出装置1においては、検出装置30Aを実施例1の液体吐出装置1とは上下反対に配置している。
【0045】
さらに詳細には、
図2で表されるように、本実施例の液体吐出装置1においては、検出装置30Aを側面視でキャリッジ7と対向する領域に配置している。このような構成とすることで、液体吐出装置1の画像形成領域の搬送ベルト5の移動量を特に正確に検出することができる。
【0046】
[実施例3]
以下に、実施例3の液体吐出装置1について、
図4を用いて説明する。
図4は、実施例1の液体吐出装置1の
図2に対応する図である。ここで、本実施例の液体吐出装置1は、検出装置30の構成以外は実施例1の液体吐出装置1と同様の構成であるため、共通する部分における説明は省略する。なお、上記実施例1及び実施例2と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
【0047】
上記のように、実施例1の液体吐出装置1における検出装置30Aは、検出部34として磁気センサーである検出部34Aを備えていた。一方、本実施例の液体吐出装置1における検出装置30Bは、検出部34として接触ベルト31を撮像することが可能なカメラである検出部34Bを備えている。なお、本実施例の液体吐出装置1における検出装置30Bは、検出部34Aの代わりに検出部34Bを備えることに対応して、接触ベルト31には、検出部34Bで読み取り可能な印刷されたスケールが設けられている。また、本実施例の液体吐出装置1における検出装置30Bは、実施例1の液体吐出装置1における検出装置30Aと同様な位置に配置されているが、別の位置に配置されていてもよい。
[実施例4]
以下に、実施例4の液体吐出装置1について、
図5を用いて説明する。ここで、本実施例の液体吐出装置1は、検出装置30の構成、詳細には、第1軸部材32及び第2軸部材33の構成以外は実施例1の液体吐出装置1と同様の構成であるため、共通する部分における説明は省略する。なお、上記実施例1から実施例3と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
【0048】
上記のように、実施例1の液体吐出装置1における検出装置30Aは、第1軸部材32A及び第2軸部材33Aは、ともにフレームに固定される互いに同様の形状の円柱状の軸部材であって、円周面である第1外周面32a及び第2外周面33aに凹凸が設けられていなかった。一方、本実施例の液体吐出装置1における検出装置30Cは、第1軸部材32B及び第2軸部材33Bは、ともにフレームに固定され互いに同様の形状の円柱状の軸部材であることは第1軸部材32A及び第2軸部材33Aと共通するが、
図5で表されるように、円周面である第1外周面32a及び第2外周面33aに凹部35が形成されている。詳細には、凹部35として、幅方向Bに延設される溝状の凹部35Aが2つ形成されている。そして、凹部35Aには潤滑剤が保持されている。
【0049】
別の表現をすると、本実施例の液体吐出装置1においては、第1軸部材32Bは接触ベルト31の内周面31aと接触可能な第1外周面32aを有し、第2軸部材33Bは接触ベルト31の内周面31aと接触可能な第2外周面33aを有し、第1外周面32a及び第2外周面33aは潤滑剤が保持された凹部35Aを有する。本実施例の液体吐出装置1のように、第1外周面32a及び第2外周面33aのうち少なくとも一方に潤滑剤が保持された凹部35を有すること、すなわち、接触ベルト31が第1軸部材32B及び第2軸部材33Bの少なくとも一方に対して潤滑剤を有する外周面を介して接触することで、接触ベルト31の第1軸部材32B及び第2軸部材33Bの少なくとも一方に対しての摺動負荷を低減することができる。そして、接触ベルト31と第1軸部材32B及び第2軸部材33Bとの摺動不良が抑制されることで、検出部34は特に高い精度で接触ベルト31の移動量を検出することができる。また、本実施例の液体吐出装置1における検出装置30Cは、実施例1の液体吐出装置1における検出装置30Aと同様な位置に配置されているが、別の位置に配置されていてもよい。
【0050】
[実施例5]
以下に、実施例5の液体吐出装置1について、
図6及び
図7を用いて説明する。ここで、
図6は、実施例4の液体吐出装置1の
図5に対応する図である。本実施例の液体吐出装置1は、検出装置30の構成、詳細には、第1軸部材32及び第2軸部材33の構成以外は実施例1の液体吐出装置1と同様の構成であるため、共通する部分における説明は省略する。なお、上記実施例1から実施例4と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
【0051】
本実施例の液体吐出装置1における検出装置30Dは、第1軸部材32C及び第2軸部材33Cは、ともにフレームに固定され互いに同様の形状の円柱状の軸部材であることは第1軸部材32A及び第2軸部材33Aと共通するが、
図6及び
図7で表されるように、実施例4の検出装置30Cと同様、円周面である第1外周面32a及び第2外周面33aに凹部35が形成されている。ただし、凹部35としての本実施例の凹部35Bは、回転方向C1及び回転方向C2に対応する第1軸部材32C及び第2軸部材33Cの周方向に沿って延設される溝状となっている。そして、凹部35Bには潤滑剤が保持されている。
【0052】
別の表現をすると、本実施例の液体吐出装置1においては、第1軸部材32Cは接触ベルト31の内周面31aと接触可能な第1外周面32aを有し、第2軸部材33Cは接触ベルト31の内周面31aと接触可能な第2外周面33aを有し、第1外周面32a及び第2外周面33aは潤滑剤が保持された凹部35Bを有する。本実施例の液体吐出装置1のように、第1外周面32a及び第2外周面33aのうち少なくとも一方に潤滑剤が保持された凹部35を有すること、すなわち、接触ベルト31が第1軸部材32C及び第2軸部材33Cの少なくとも一方に対して潤滑剤を有する外周面を介して接触することで、接触ベルト31の第1軸部材32C及び第2軸部材33Cの少なくとも一方に対しての摺動負荷を低減することができる。そして、接触ベルト31と第1軸部材32C及び第2軸部材33Cとの摺動不良が抑制されることで、検出部34は特に高い精度で接触ベルト31の移動量を検出することができる。
【0053】
さらに詳細には、本実施例の検出装置30Dの凹部35Bは、
図7の領域Xの拡大図で表されるように、凹部35Bの少なくとも一部を構成し、幅方向Bに対応し第1軸部材32C及び第2軸部材33Cが延在する方向である軸方向において互いに対向する第1壁部37A及び第2壁部37Bを有する。そして、
図7で表されるように、接触ベルト31は、接触ベルト31の内周面31aから凹部35Bに向かって突出するとともに第1壁部37A及び第2壁部37Bと当接可能な突出部36を有している。
【0054】
本実施例の検出装置30Dのように、接触ベルト31は、接触ベルト31の内周面31aから凹部35Bに向かって突出するとともに第1壁部37A及び第2壁部37Bのうち少なくとも一方と当接可能な突出部36を有することが好ましい。このように、突出部36を凹部35Bに嵌合させることで接触ベルト31を第1軸部材32C及び第2軸部材33Cの少なくとも一方に対して位置決めすることができ、接触ベルト31の第1軸部材32C及び第2軸部材33Cに対する位置ずれを抑制することができるためである。したがって、このような構成とすることで、接触ベルト31が第1軸部材32C及び第2軸部材33Cに対して位置ずれを起こして斜行することで接触ベルト31の移動量の検出精度が低下するということを、抑制することができる。また、本実施例の液体吐出装置1における検出装置30Dは、実施例1の液体吐出装置1における検出装置30Aと同様な位置に配置されているが、別の位置に配置されていてもよい。
【0055】
[実施例6]
以下に、実施例6の液体吐出装置1について、
図8を用いて説明する。ここで、
図8は、実施例1の液体吐出装置1の
図2に対応する図である。本実施例の液体吐出装置1は、検出装置30の構成が異なること、詳細には、接触ベルト31に張力を付与する張力付与部材38を備えること以外は実施例1の液体吐出装置1と同様の構成であるため、共通する部分における説明は省略する。なお、上記実施例1から実施例5と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
【0056】
図8で表されるように、本実施例の液体吐出装置1の検出装置30Eは、接触ベルト31に張力を付与する張力付与部材38として、第1軸部材32と第2軸部材33とを遠ざける方向に力を加える弾性部材38Aを備えている。接触ベルト31が緩むとスケールの間隔が変わるなどして接触ベルト31の移動量の検出精度が低下する虞があるが、本実施例の液体吐出装置1の検出装置30Eは、このような虞を抑制することができる。なお、本実施例の液体吐出装置1における検出装置30Eは、実施例1の液体吐出装置1における検出装置30Aと同様な位置に配置されているが、別の位置に配置されていてもよい。
【0057】
[実施例7]
以下に、実施例7の液体吐出装置1について、
図9を用いて説明する。ここで、
図9は、実施例1の液体吐出装置1の
図2に対応する図である。本実施例の液体吐出装置1は、検出装置30の構成が異なること、詳細には、実施例6の液体吐出装置1の張力付与部材38とは異なる構成の張力付与部材38を備えること以外は実施例3の液体吐出装置1と同様の構成であるため、共通する部分における説明は省略する。なお、上記実施例1から実施例6と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
【0058】
図9で表されるように、本実施例の液体吐出装置1の検出装置30Fは、接触ベルト31に張力を付与する張力付与部材38として、第1軸部材32と第2軸部材33との間に、第1軸部材32と第2軸部材33とが並ぶ方向と交差する方向Eに移動可能な軸部材38Bを備えている。軸部材38Bを上方に移動させることで接触ベルト31には強い張力が付与され、軸部材38Bを下方に移動させることで接触ベルト31は緩む。接触ベルト31が緩むとスケールの間隔が変わるなどして接触ベルト31の移動量の検出精度が低下する虞があるが、本実施例の液体吐出装置1の検出装置30Eは、このような虞を抑制することができる。実施例6の検出装置30E及び本実施例の検出装置30Fで表されるように、張力付与部材38の構成に特に限定は無い。また、接触ベルト31の構成についても特に限定は無く、樹脂製のものが好ましく用いられるが、金属製の接触ベルト31を使用してもよく、金属製の接触ベルト31であれば接触ベルト31の経時変化による伸びなどは抑制することができる。なお、本実施例の液体吐出装置1における検出装置30Fは、実施例1の液体吐出装置1における検出装置30Aと同様な位置に配置されているが、別の位置に配置されていてもよい。
【0059】
[実施例8]
以下に、実施例8の液体吐出装置1について、
図10を用いて説明する。ここで、
図10は、実施例1の液体吐出装置1の
図2に対応する図である。本実施例の液体吐出装置1は、検出装置30の構成が異なること、詳細には、第1軸部材32及び第2軸部材33の大きさが異なること以外は実施例3の液体吐出装置1と同様の構成であるため、共通する部分における説明は省略する。なお、上記実施例1から実施例7と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
【0060】
実施例1から実施例7の液体吐出装置1の検出装置30においては、第1軸部材32及び第2軸部材33の大きさは同じであった。一方、
図10で表されるように、本実施例の液体吐出装置1の検出装置30Gにおいては、第1軸部材32D及び第2軸部材33Dの大きさは異なっている。このように、第1軸部材32及び第2軸部材33の大きさに特に限定は無い。また、実施例6の液体吐出装置1の検出装置30Fのように、第1軸部材32及び第2軸部材33に加えてさらに軸部材を設けてもよく、該軸部材の数に限定は無く、該軸部材が張力付与部材38の役割を兼ねていなくてもよい。なお、本実施例の液体吐出装置1における検出装置30Gは、実施例1の液体吐出装置1における検出装置30Aと同様な位置に配置されているが、別の位置に配置されていてもよい。
【0061】
[実施例9]
以下に、実施例9の液体吐出装置1について、
図11を用いて説明する。ここで、
図11は、実施例1の液体吐出装置1の
図2に対応する図である。本実施例の液体吐出装置1は、検出装置30の構成が異なること以外は実施例1の液体吐出装置1と同様の構成であるため、共通する部分における説明は省略する。なお、上記実施例1から実施例8と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
【0062】
上記のように、実施例1から実施例8の液体吐出装置1の検出装置30においては、第1軸部材32及び第2軸部材33の両方が、フレームに固定され、常に接触ベルト31の従動回転に伴って回転しない構成となっていた。一方、本実施例の液体吐出装置1の検出装置30Hにおいては、第1軸部材32E及び第2軸部材33Eの両方が、接触ベルト31の従動回転に伴って回転可能に液体吐出装置1のフレームなどに取り付けられるローラー状の回転可能軸となっている。ただし、このような構成に限定されず、例えば、第1軸部材32及び第2軸部材33の一方のみが、接触ベルト31の従動回転に伴って回転可能に液体吐出装置1のフレームなどに取り付けられる回転可能軸となっていてもよい。
【0063】
さらに、本実施例の液体吐出装置1は、
図11で表されるように該回転可能軸に接続されるモーター39と、該モーター39に対して回転可能軸が接触ベルト31の従動回転に伴って回転しないように回転トルクを発生させることが可能な
図1で表されるような制御部40と、を備えている。ここで、モーター39としてモーター39A及びモーター39Bを備えており、モーター39Aは第1軸部材32Eに接続され、モーター39Bは第2軸部材33Eに接続されている。そして、搬送ベルト5はメディアMを粘着可能な粘着面5aを有し、接触ベルト31は粘着面5aに接触し、制御部40は該回転トルクの大きさに基づいて粘着面5aの状態を判断可能な構成となっている。
【0064】
このように、本実施例の液体吐出装置1においては、搬送ベルト5はメディアMを粘着可能な粘着面5aを有する。このため、メディアMを好適に搬送することができる。また、粘着面5aの状態が低下すると搬送ベルト5の搬送精度は低下する虞があるが、本実施例の液体吐出装置1においては、制御部40はモーター39に対して回転可能軸が接触ベルト31の従動回転に伴って回転しないように発生させる回転トルクの大きさに基づいて粘着面5aの状態を判断可能である。このため、本実施例の液体吐出装置1においては、制御部40は回転トルクの大きさに基づいて粘着面5aの状態を正確に判断することが可能であり、粘着面5aの状態が低下した場合にユーザーにその対応を促すことなどが可能になる。
【0065】
なお、粘着面5aが劣化すると、接触ベルト31に作用する粘着力が低下する。接触ベルト31に作用する粘着力が低下すると、接触ベルト31が従動回転する際に第1軸部材32及び第2軸部材33の少なくとも一方に作用する力も低下する。当該力は、第1軸部材32及び第2軸部材33の少なくとも一方を、接触ベルト31が従動回転する方向と同じ方向に回転させるトルクに変換されるものである。したがって、粘着面5aが劣化すると、第1軸部材32及び第2軸部材33の少なくとも一方が接触ベルト31が従動回転する方向に回転することを規制するための回転トルクは少なくなり、モーター39への入力の大きさが小さくなる。本実施例の構成によれば、この原理を応用することにより、制御部40は、入力の大きさに基づいて、粘着面5aの状態を判断することができる。これにより、搬送ベルト5の移動量を検出するための機構を、粘着力の状態を把握するための機構と兼ねることができ、粘着力の状態を把握するための機構を搬送ベルト5の移動量を検出するための機構とは別に設ける場合と比べて、液体吐出装置1の構成を簡素化できる。
【0066】
本実施例においては、第1軸部材32及び第2軸部材33の少なくとも一方に、ロータリーエンコーダー等を設け、第1軸部材32及び第2軸部材33の回転位置が不動となるように位置制御を行う。位置制御の一例として、PID、MPCがある。なお、例えば、モーター39がステッピングモーターの場合、モーター39に入力する電流は励磁電流である。これは、電流を流す相を切り替えずに、すなわち、磁界の向きを固定することにより、モーター39の回転子を固定できる。なお、励磁電流を大きくするほど、モーター39が回転可能軸を固定する力に対応する回転トルクを増加させることができる。ここで、本実施例の液体吐出装置1における検出装置30Hは、実施例1の液体吐出装置1における検出装置30Aと同様な位置に配置されているが、別の位置に配置されていてもよい。
【0067】
なお、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0068】
1…液体吐出装置、2…繰り出し部、3…従動ローラー、4…駆動ローラー、5…搬送ベルト、5a…粘着面、6…メディア貼り付け部、7…キャリッジ、8…ヘッド(吐出部)、9…洗浄部、10…洗浄ブラシ、11…ブレード部、12…撮像部、13…送風部、14…モーター、20…搬送装置、30…検出装置、30A…検出装置、30B…検出装置、30C…検出装置、30D…検出装置、30E…検出装置、30F…検出装置、30G…検出装置、30H…検出装置、31…接触ベルト、31a…内周面、32…第1軸部材、32A…第1軸部材、32B…第1軸部材、32C…第1軸部材、32D…第1軸部材、32E…第1軸部材、32a…第1外周面、33…第2軸部材、33A…第2軸部材、33B…第2軸部材、33C…第2軸部材、33D…第2軸部材、33E…第2軸部材、33a…第2外周面、34…検出部、34A…検出部、34B…検出部、35…凹部、35A…凹部、35B…凹部、36…突出部、37A…第1壁部、37B…第2壁部、38…張力付与部材、38A…弾性部材、38B…軸部材、39…モーター、39A…モーター、39B…モーター、40…制御部、M…メディア