(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047884
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】什器
(51)【国際特許分類】
A47F 3/00 20060101AFI20240401BHJP
E05F 3/02 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
A47F3/00 F
E05F3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153638
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】須賀 政晴
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 任子
【テーマコード(参考)】
2E050
3B110
【Fターム(参考)】
2E050GA03
3B110CA06
3B110FA03
3B110GA20
(57)【要約】
【課題】第1パネルによる閉塞状態を低負荷で実現しつつ什器内部の省スペース化を図る。
【解決手段】本発明の一態様に係る展示ケースは、第1開口部を閉塞する第1パネル51と、第2開口部34を閉塞する第2パネル14とを備え、第1パネル51は、第1閉位置P51と、閉位置に対して第1方向一方側かつ第2方向一方側に位置する第1開位置との間を移動可能に設けられ、第2パネル14は、第2方向に向く回転軸回りに回転可能に設けられ、第2パネル14の一端は、第2閉位置P14で第1パネル51が第1方向一方側へ移動することを規制している。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1開口部及び第2開口部が形成された筐体と、
前記第1開口部を閉塞する第1パネルと、
前記第2開口部を閉塞する第2パネルとを備え、
前記第1開口部は、上下方向に交差する第1方向に開口し、
前記第2開口部は、前記第1開口部に対して前記第1方向一方側に位置するとともに、上下方向に開口し、
前記第1パネルは、前記第1開口部を閉塞する第1閉位置と、前記第1閉位置に対して第1方向一方側かつ前記第1方向及び上下方向に対して交差する第2方向一方側に位置し前記第1開口部を開放する第1開位置との間を移動可能に設けられ、
前記第2パネルは、前記第2方向に向く回転軸回りに回転可能に設けられ、前記第2開口部を閉塞する第2開位置と、前記第2開位置から下方または上方に回転した第2閉位置との間で回転移動可能であり、
前記第2パネルの一端は、前記第2閉位置で前記第1閉位置にある前記第1パネルが前記第1方向一方側へ移動することを規制している什器。
【請求項2】
請求項1に記載の什器において、
前記第2パネルの一端に設けられ弾性変形可能な変形部を備え、
前記第2パネルは、前記第2閉位置で前記変形部を介して前記第1パネルの移動を規制している什器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の什器において、
前記第1閉位置に位置する前記第1パネルに対して、前記第2閉位置に位置する前記第2パネルの前記一端と前記第1方向反対側に設けられ、前記第1閉位置に位置する前記第1パネルに弾性変形して密着する封止部を備える什器。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の什器において、
前記筐体は、前記第2開口部に対して前記第1方向一方側に位置しかつ上方に延びる第3パネルと、
前記第3パネルに対して前記第1方向他方側に配置され、前記第2パネルを前記第2閉位置と前記第2開位置との間で移動させる開閉機構を備える什器。
【請求項5】
請求項4に記載の什器において、
前記開閉機構は、前記第2パネルをけん引する紐体と、
前記紐体を巻回し、回転可能な回転体と、
前記回転体を回転させる回転駆動部とを備える什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、什器に関する。
【背景技術】
【0002】
博物館や美術館、展示場等の施設には、展示物を収容する展示ケースが設置されている。展示ケースは、開口部を有する筐体と、開口部を開閉するパネルと、を備えている。開口部は、例えば展示物が収容される展示空間に連通する展示開口部と、照明等が収容されたメンテナンス空間に連通するメンテナンス開口部と、を有している。パネルは、展示開口部を閉塞する透過パネルと、メンテナンス開口部を閉塞するメンテナンスパネルと、を有している。
【0003】
例えば、特許文献1には、横移動させた後に奥側へ押し込むことで開口を閉塞可能な移動ガラスと、移動ガラスの上方に位置し、開口を閉塞する移動ガラスに対して、先端が移動ガラスの前方に離間した状態から先端が移動ガラスに当接した状態まで回動可能な覆片と、移動ガラスの上方のスペースに位置し、前後方向に進退可能な駆動ピストンにより覆片を回動させる電動アクチュエータとを備える構成が開示されている。特許文献2の構成では、覆片の先端を、移動ガラスから離間した状態から移動ガラスに当接状態まで回動させることで、移動ガラスを閉塞した状態にロックすることができる。
【0004】
また、特許文献2には、透明ガラス扉の開動作に同期して、透明ガラス扉の上下縁部を覆う化粧扉を開方向(前方)に移動させる構成が開示されている。具体的に、下記特許文献1の構成では、開口部の開口方向(展示ケースの前後方向)に沿って延びるねじ軸が回転することで、ねじ軸に支持された移動ブロックが前方に移動する。これにより、透明ガラス扉が移動ブロックによって前方に押し出される。また、透明ガラス扉が前方に押し出されることで、透明ガラス扉に設けられた押圧杆によって化粧扉を前方に押し出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4-216788号公報
【特許文献2】特開2003-250671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2のような展示ケースなどの什器では、移動ガラスや透明ガラス扉からなる第1パネルの上下縁部を覆う目的や点検の目的などに用いる覆片や化粧扉などの他のパネルの開閉を、第1パネル及び他のパネルの開口する方向に進退する駆動機構により行っていた。そして、第1パネルを閉動作または開動作するに際して、他のパネルの開閉を行う駆動機構の駆動力を利用しているため、駆動機構が大型化し、開口する方向のスペースが当該駆動機構により占有されてしまう問題があった。
【0007】
本発明は、第1パネルによる第1開口部の閉塞状態を低負荷で実現しつつ、什器内部の省スペース化を図ることが可能な什器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
【0009】
本発明の第1の態様に係る什器は、第1開口部及び第2開口部が形成された筐体と、前記第1開口部を閉塞する第1パネルと、前記第2開口部を閉塞する第2パネルとを備え、前記第1開口部は、上下方向に交差する第1方向に開口し、前記第2開口部は、前記第1開口部に対して前記第1方向一方側に位置するとともに、上下方向に開口し、前記第1パネルは、前記第1開口部を閉塞する第1閉位置と、前記第1閉位置に対して第1方向一方側かつ前記第1方向及び上下方向に対して交差する第2方向一方側に位置し前記第1開口部を開放する第1開位置との間を移動可能に設けられ、前記第2パネルは、前記第2方向に向く回転軸回りに回転可能に設けられ、前記第2開口部を閉塞する第2開位置と、前記第2開位置から下方または上方に回転した第2閉位置との間で回転移動可能であり、前記第2パネルの一端は、前記第2閉位置で前記第1閉位置にある前記第1パネルが前記第1方向一方側へ移動することを規制している。
【0010】
この構成によれば、第1パネルを第1閉位置に位置させて第1開口部を閉塞させる場合には、第2パネルを第2開位置に位置させた状態で第1パネルを第1方向他方側へ移動させる。次に、第2パネルを、第2開位置から第2閉位置まで、第2パネルの一端が上下方向に移動するように回動させる。そして、第2パネルが第2閉位置に位置すると、第2パネルの一端は第1パネルの第1方向一方側に位置して、第1閉位置にある第1パネルを第1方向一方側へ移動することを規制することとなり、第1パネルを第1閉位置に維持させることができる。また、第1パネルを第1閉位置から第1開位置に移動させて第1開口部を開放させる場合には、第2パネルを、第2閉位置から第2開位置まで、第2パネルの一端が上下方向に移動するように回動させる。第2パネルが第2閉位置から移動すると、第2のパネルの一端による第1パネルの第1方向への規制が解除されることとなり、第1パネルは第1閉位置から第1開位置に向けて第1方向一方側への移動が可能となる。このように第1パネルの第1閉位置からの第1方向への移動の規制・解除が、第2パネルの一端の上下方向への移動により行うことができ、規制・解除を行う第2パネルを移動させるための開閉機構を上下方向の進退として実現することができる。このため、第1開口部が開口する方向である第1方向に省スペース化を図ることができる。また、第1パネルを第1閉位置で移動を規制する際は、第2パネルの一端が移動する上下方向と交差する第1方向へ規制し、第2パネルの移動する方向への力による拘束ではなく、第2パネルの部材自体による拘束となる。このため、第2パネルを移動させるための開閉機構を低負荷のものとしても実現することができ、より省スペース化を図ることができる。
【0011】
また、第2の態様の什器は、上記第1の態様の什器において、前記第2パネルの一端に設けられ弾性変形可能な変形部を備え、前記第2パネルは、前記第2閉位置で前記変形部を介して前記第1パネルの移動を規制しているものとしても良い。
【0012】
この構成によれば、第2のパネルの一端に変形部が設けられているため、第2パネルにより第1閉位置に位置する第1パネルの移動を規制する際は、変形部が弾性変形して第1パネルに当接することとなる。このため、第2パネルの第1パネルへの密着性を高めることができる。さらに、第2パネルを第2閉位置と第2開位置との間で回動する際も、変形部の弾性変形により第1パネルとの緩衝による影響を抑制して低負荷での回動を実現することができる。
【0013】
第3の態様の什器は、上記第1または第2の態様の什器において、前記第1閉位置に位置する前記第1パネルに対して、前記第2閉位置に位置する前記第2パネルの前記一端と前記第1方向反対側に設けられ、前記第1閉位置に位置する前記第1パネルに弾性変形して密着する封止部を備える。
【0014】
この構成によれば、第1パネルが第1閉位置にある場合には、第1パネルに対して第1方向一方側から第2パネルにより第1パネルの移動が規制されつつ、第1方向他方側において封止部が弾性変形して第1パネルに密着することとなり、第1開口部の密封性を高めることができる。
【0015】
第4の態様の什器は、第1から第3の態様のいずれかの什器において、前記筐体は、前記第2開口部に対して前記第1方向一方側に位置しかつ上方に延びる第3パネルと、前記第3パネルに対して前記第1方向他方側に配置され、前記第2パネルを前記第2閉位置と前記第2開位置との間で移動させる開閉機構を備える。
【0016】
この構成によれば、開閉機構により第2パネルを開閉することができる。ここで、開閉機構が第2パネルの第1方向他方側であって第2パネルの上方に位置することで、第3パネルと第2パネルとで囲まれたスペースを有効利用できるとともに、第2パネルを上下方向の動作により開閉することが容易となる。
【0017】
第5の態様の什器は、第4の態様の什器において、前記開閉機構は、前記第2パネルをけん引する紐体と、前記紐体を巻回し、回転可能な回転体と、前記回転体を回転させる回転駆動部とを備える。
【0018】
この構成によれば、回転駆動部により回転駆動により第2パネルの開閉の駆動力を与えることができるとともに、回転体及び紐体により上下方向への開閉を実現することができ、より省スペース化を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
上記各態様によれば、第1パネルによる第1開口部の閉塞状態を低負荷で実現しつつ、什器内部の省スペース化を図ることが
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】透過パネルが閉位置にある状態を示す展示ケースの斜視図である。
【
図2】透過パネルが開位置にある状態を示す展示ケースの斜視図である。
【
図3】
図1のIII-III線に沿う断面図である。
【
図6】
図4のVI-VI線に相当する断面図である。
【
図7】
図3における点検パネル及び開閉機構の拡大図である。
【
図8】(a)
図3における開閉機構の正面図、(b)変形例の開閉機構の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
【0022】
[展示ケース1]
図1は、可動パネル51(第1パネル)が閉位置にある状態を示す展示ケース1(什器)の斜視図である。
図2は、可動パネル51が開位置にある状態を示す展示ケース1の斜視図である。
図1、
図2に示す展示ケース1は、例えば博物館や美術館、展示場等の施設に設置される。展示ケース1は、内部に収容された展示物を、施設の来場者が視認可能に構成されている。なお、展示物は、例えば文書や出土品、装飾品、美術品、文化財、商品等が挙げられる。以下の説明において、展示ケース1が設置された床面Fの法線方向を上下方向(矢印UPが上方)とし、上下方向に直交する方向をそれぞれ前後方向(第1方向:矢印FRが前方(一方))及び左右方向(第2方向:矢印LHが左側)とする。
【0023】
展示ケース1は、筐体10と、透過パネル11と、下側パネル12と、上側パネル13(第3パネル)と、点検パネル14(第2パネル)と、開閉機構15(
図3、
図7及び
図8参照)と、を備えている。
【0024】
<筐体10>
図3は、
図1のIII-III線に沿う断面図である。
図4は、
図1のIV-IV線に沿う断面図である。
図2~
図4に示すように、筐体10は、前方に開口する箱型に形成されている。具体的に、筐体10は、骨格部材20と、内装材21(
図2参照)と、外装材22と、を備えている。
図3、
図4に示すように、骨格部材20は、筐体10の骨格を形成する。具体的に、骨格部材20は、縦フレーム25と、横フレーム26,27と、中間フレーム28a~28f(
図3参照)と、を備えている。縦フレーム25は、左右方向に開口する枠状に形成されている。縦フレーム25は、左右方向に間隔をあけて複数(図示の例では、一対)設けられている。縦フレーム25の下端部は、床面Fに接地している。
【0025】
横フレーム26,27は、上下方向に開口する枠状に形成されている。横フレーム26,27は、隣り合う縦フレーム25同士の間を連結している。具体的に、横フレーム26,27は、縦フレーム25の上端部同士の間を連結する上側横フレーム26、及び縦フレーム25の下部同士を連結する下側横フレーム27である。
図4に示すように、下側横フレーム27は、前後方向に延びる複数の第1杆材23や左右方向に延びる複数の第2杆材24が、床面Fから離間した状態で互いに組み合わされて構成されている。各第2杆材24のうち、下側横フレーム27の前端部を構成する前側第2杆材24aは、他の第2杆材24に対して下方に位置している。下側横フレーム27には、床面Fに接地する脚フレーム29(
図4参照)が左右方向及び前後方向に間隔をあけて複数設けられている。なお、各横フレーム26,27の後端部同士は、上下方向に沿って延びる連結フレーム30によって架け渡されている。
【0026】
図3に示すように、中間フレーム28a~28fは、隣り合う縦フレーム25の前端部のうち、上側横フレーム26の下方に位置する部分にそれぞれ連結されている。中間フレームは、第1中間フレーム28a、第2中間フレーム28b、第3中間フレーム28c、第4中間フレーム28d、第5中間フレーム28e及び第6中間フレーム28fである。第2中間フレーム28b、第3中間フレーム28c及び第4中間フレーム28dは、第1中間フレーム28aの前後方向前側に位置している。また、本実施形態において、第2中間フレーム28b、第3中間フレーム28c及び第4中間フレーム28dは、第1中間フレーム28aの下方に位置している。第2中間フレーム28b、第3中間フレーム28c及び第4中間フレーム28dは、前後方向後側から前側に向かって順に並べて配置されている。
【0027】
最も前後方向前側に位置する第4中間フレーム28dには、視野調整用パネル47が吊り下げられている。第4中間フレーム28dの下面には左右方向に延びるスライディングレール47aが取り付けられている。視野調整用パネル47は、スライディングレール47aに左右方向に移動可能に吊り下げられている。また、第4中間フレーム28dよりも前後方向後側に位置する第3中間フレーム28cには、外側照明装置48が吊り下げられている。第3中間フレーム28cの下面には左右方向に延びるスライディングレール48aが取り付けられている。外側照明装置48は、48aに左右方向に移動可能に吊り下げられている。外側照明装置48を点灯することで、展示空間40に展示された展示物に対して透過パネル11を介して照明し演出効果を高めることが可能である。特に、展示物の高さが低いときに演出効果を高めることが可能である。また、外側照明装置48を利用する際に、視野調整用パネル47を利用することで外側照明装置48を前方から隠すことが可能である。また、視野調整用パネル47は、外側照明装置48の利用に有無にかかわらず、展示空間40のうち、不要な部分を覆い隠すために用いることも可能である。
【0028】
第5中間フレーム28eは、第2中間フレーム28b、第3中間フレーム28c及び第4中間フレーム28dから前後方向後側に離間し、後述する展示開口部32を閉塞する透過パネル11を挟んで第2中間フレーム28b、第3中間フレーム28c及び第4中間フレーム28dと反対側に配置されている。第6中間フレーム28fは、第1中間フレーム28aの前後方向後側かつ上側に位置している。なお、骨格部材20は、板状のフレームが互いに組み合わされていてもよい。
【0029】
図3、
図4に示すように、筐体10には複数の開口部31~34が形成されている。具体的には、骨格部材20は、前方に向けて開口するとともに、上下方向に並んだ複数の開口部31~34を画成する。開口部31~34は、下側開口部31、展示開口部32(第1開口部)、上側開口部33(第3開口部)及び点検開口部34(第2開口部)である。下側開口部31は、前後方向前側に開口している。下側開口部31は、隣り合う縦フレーム25間において、前側第2杆材24aと床面Fとによって区画されている。下側開口部31は、例えば、筐体10の下部のメンテナンスに用いられる。展示開口部32は、下側開口部31の上方に位置して、前後方向前側に開口している。展示開口部32は、隣り合う縦フレーム25間において、第1中間フレーム28aと前側第2杆材24aとによって区画されている。展示開口部32は、例えば展示物を視認するための開口として用いられる。上側開口部33は、展示開口部32に対して前後方向前側に位置しかつ上方に延びていて、前後方向前側に開口している。上側開口部33は、隣り合う縦フレーム25間において、第4中間フレーム28dと上側横フレーム26とによって区画されている。上側開口部33は、例えば筐体10の上部のメンテナンスに用いられる。点検開口部34は、展示開口部32と上側開口部33と間に設けられ、上下方向下方に開口している。言い換えれば、上側開口部33は、点検開口部34の前後方向前側に位置している。点検開口部34は、隣り合う縦フレーム25間において、第4中間フレーム28dと第5中間フレーム28eとによって区画されている。点検開口部34は、例えば筐体10の上部の点検に用いられる。
【0030】
内装材21は、骨格部材20のうち展示開口部32を通じて露呈する部分を覆っている。具体的に、内装材21は、縦フレーム25における左右方向の内側(縦フレーム25同士が向かい合う側)や下側横フレーム27の上方、第1中間フレーム28a及び第5中間フレーム28eの後方、第6中間フレーム28fの下方、上側横フレーム26の下方、連結フレーム30の前方に配され、展示開口部32を通じて骨格部材20が露出するのを抑制する。
【0031】
図1、
図2に示すように、外装材22は、上述した各開口部31~34を開放した状態で骨格部材20の周囲を囲んでいる。
【0032】
筐体10において、内装材21によって囲まれた部分は、展示開口部32を通じて外部に連通する展示空間40を形成している。筐体10において、内装材21よりも下方に位置する部分は、下側開口部31を通じて外部に連通する下側空間41を形成している。筐体10において、内装材21よりも上方に位置する部分は、上側開口部33を通じて外部に連通する上側空間42を形成している。展示空間40には、例えば展示物が収容される。上述した内装材21のうち、展示空間40と上側空間42とを仕切る少なくとも一部は、光透過性を有する透過板21aにより形成されている。また、上側空間42には、第6中間フレーム28fに支持された内側照明装置43が配置されている。これにより、内側照明装置43から発せられて透過板21aを透過した照明光によって展示空間40を照らすことができる。
【0033】
<透過パネル11>
図1、
図2に示すように、透過パネル11は、展示開口部32内に配置されている。透過パネル11は、固定パネル50と、可動パネル51(第1開口部)と、を備えている。固定パネル50は、ガラスやアクリル等、光透過性を有する材料により形成されている。固定パネル50は、展示開口部32内における左右方向の一方側(図示の例では右側)に嵌め込まれている。具体的に、固定パネル50の右側端部は、縦フレーム25の前端部に固定されている。固定パネル50のうち、下端部は下側横フレーム27の前端部(前側第2杆材24a)に固定され、上端部は中間フレーム28に固定されている。固定パネル50は、展示開口部32内の右半分において、展示空間40の内外を仕切っている。
【0034】
可動パネル51は、第1閉位置P51において、展示開口部32内における左右方向の他方側(図示の例では左側)に配置されている。
図3、
図4に示すように、可動パネル51は、パネル本体60と、上枠部61と、上ローラ62と、下枠部63と、下ローラ64と、を備えている。
【0035】
パネル本体60は、ガラスやアクリル等、光透過性を有する材料により形成されている。上枠部61は、パネル本体60の上端縁に、左右方向に沿って取り付けられている。上ローラ62は、上枠部61から上方に突出して設けられている。上ローラ62は、上下方向に沿う軸線回りに回転可能に上枠部61に支持されている。本実施形態において、上ローラ62は、左右方向に間隔をあけて複数(例えば2つ)設けられている。下枠部63は、パネル本体60の下端縁に、左右方向に沿って取り付けられている。下ローラ64は、下枠部63において、前後方向に沿う軸線回りに回転可能に支持されている。本実施形態において、下ローラ64は、左右方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0036】
また、展示ケース1は、可動パネル51を案内するガイド機構を備えている。ガイド機構は、ガイドレール55を有する上側ガイド機構53と、ガイドレール56を有する下側ガイド機構54である。可動パネル51は、ガイドレール55,56を介して前後方向及び左右方向にスライド移動可能に骨格部材20に支持されている。ガイドレール55は、第1中間フレーム28aの下面に取り付けられている。ガイドレール55は、下方に開口するU字状に形成されている。ガイドレール55は、上ローラ62を収容して、上ローラ62を介して可動パネル51の移動を案内する。
【0037】
図5は、
図3のV-V線に沿う断面図である。
図5に示すように、ガイドレール55は、左右方向に沿って延びる左右案内部55aと、前後方向に延びる前後案内部55bと、を備えている。左右案内部55aは、中間フレーム28に沿って左右方向に延在している。本実施形態において、左右案内部55aは、固定パネル50の前方を含む第1中間フレーム28aの全域に亘って形成されている。前後案内部55bは、左右案内部55aのうち固定パネル50に対して左側に位置する部分から後方に分岐している。前後案内部55bは、上ローラ62に対応して左右方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0038】
上述した上ローラ62は、前後案内部55bによって前後方向への走行が案内されるとともに、左右案内部55aによって左右方向への走行が案内される。すなわち、可動パネル51は、上ローラ62が前後案内部55bの最後部に位置しているとき、固定パネル50と左右方向に並んだ第1閉位置P51に配置される。固定パネル50及び可動パネル51は、可動パネル51の第1閉位置P51において、同一平面上に配置される。この場合、各パネル50,51同士は、固定パネル50に設けられたパッキン(不図示)を介在させた状態で、展示空間40を密閉している。また、可動パネル51は、第1閉位置P51から、上ローラ62が前後案内部55bに沿って左右案内部55aに位置する中間位置R51まで移動可能である。さらに、可動パネル51は、上ローラ62が左右案内部55aに位置しているとき、左右案内部55aに沿って右側に第1開位置Q51までスライド移動可能に構成されている。なお、
図2に示すように、可動パネル51の少なくとも一部は、第1開位置Q51において、前方から見て固定パネル50と重なり合い、展示開口部32が開放される。
【0039】
図6は、
図3のVI-VI線に相当する断面図である。
図3、
図6に示すように、ガイドレール56は、展示開口部32の下端開口縁に沿って延在している。具体的に、ガイドレール56は、固定レール56a及び可動レール56bを備えている。固定レール56aは、下側横フレーム27の前端部(前側第2杆材24a)において、固定パネル50の前方に位置する部分に固定されている。固定レール56aは、下ローラ64の左右方向への走行を案内する。
【0040】
可動レール56bは、下側横フレーム27の前端部(前側第2杆材24a)において、固定パネル50に対して左側に位置する部分に、前後方向に移動可能に支持されている。
【0041】
具体的に、可動レール56bは、下ローラ64を介して可動パネル51を下方から支持している。可動レール56bは、可動パネル51の閉位置及び連係終了位置間の移動に伴い、可動パネル51とともに前後方向に移動する。
【0042】
可動レール56bは、可動パネル51が中間位置R51にあるとき、固定レール56aに接続される。すなわち、可動パネル51が中間位置R51にあるとき、固定レール56a及び可動レール56bは左右方向に沿って直線状に配置されるとともに、左右方向で互いに近接又は当接する。
図4に示すように、可動レール56bは、下ローラ64の左右方向への走行を案内する。したがって、可動レール56bは、可動パネル51が中間位置R51にあるとき、可動パネル51の左右方向へのスライド移動に伴い、下ローラ64を固定レール56aに案内する。
【0043】
図2に示すように、可動レール56bには、下側横フレーム27(前側第2杆材24a)に係合可能な係合装置59が設けられている。係合装置59は、可動パネル51が第1閉位置P51にあるとき、又は中間位置R51にあるときに、前側第2杆材24aに係合させることで、前側第2杆材24aに対する可動レール56bの前後方向の移動を規制する。なお、可動パネル51が第1閉位置P51にある状態で、係合装置59が前側第2杆材24aに係合することで、可動パネル51がパッキンに密着して、展示空間40が密閉される。なお、可動パネル51のガイドレール55,56に沿った移動は、駆動装置による駆動力によって実現しても良いし、手動によって実現しても良い。直動のアクチュエータや、モータなどの回転駆動部を用いたものなど公知ものが適用できる。
【0044】
<下側パネル12>
図2、
図4に示すように、下側パネル12は、下側開口部31を開閉することで、下側空間41の内外の連通及び遮断を切り替える。下側パネル12は、隣り合う縦フレーム25間に複数(例えば3枚)並んで配置されている。本実施形態では、各下側パネル12のうち、中央部に位置する下側パネル12は、左右方向において、固定パネル50と可動パネル51との境界部分を跨っている。但し、下側パネル12の数等は、適宜変更が可能である。
【0045】
本実施形態において、下側パネル12は、下端部が縦フレーム25又は脚フレーム29に、左右方向に沿う軸線回りに、下側開口部31を閉塞する第4閉位置P12から下側開口部31を開放する第4開位置Q12まで回動可能に連結されている。この場合、下側パネル12の上端部は、下側パネル12が第4閉位置P12にあるとき、ガイドレール56よりも上方に位置している。したがって、下側パネル12は、透過パネル11の下端部やガイドレール56、下側横フレーム27等を前方から覆っている。
【0046】
本実施形態において、下側パネル12は、上端部から後方に張り出す下側規制部12aを備えている。下側規制部12aは、下側パネル12が第4閉位置P12にあるとき、下側横フレーム27の上方であって、可動パネル51の移動軌跡(第1移動軌跡、第2移動軌跡)上に配置される。具体的に、下側規制部12aは、固定レール56a及び固定レール56aの延長線の上方に配置される。下側規制部12aは、透過パネル11に前方から近接又は当接している。なお、下側パネル12は、下側開口部31を開閉する構成であれば、回動に限らず、スライド可能や着脱可能に構成されていてもよい。また、下側パネル12は、手動で開閉可能である。なお、下側パネル12は、ガスダンパーなどの駆動装置により開閉可能としても良い。
【0047】
<上側パネル13>
図2、
図3に示すように、上側パネル13は、上側開口部33を開閉することで、上側空間42の内外の連通及び遮断を切り替える。上側パネル13は、隣り合う縦フレーム25間に複数(例えば3枚)並んで配置されている。本実施形態では、各上側パネル13のうち、中央部に位置する上側パネル13は、左右方向において、固定パネル50と可動パネル51との境界部分を跨っている。但し、上側パネル13の数等は、適宜変更が可能である。
【0048】
本実施形態において、上側パネル13は、上端部が上側横フレーム26に左右方向に沿う軸線回りに、第3閉位置P13から第3開位置Q13まで回動可能に連結されている。上側パネル13は、第3閉位置P13にあるとき、上側開口部33を閉塞している。この場合、上側パネル13の下端部は、ガイドレール55よりも下方に位置している。したがって、上側パネル13は、透過パネル11の上端部や中間フレーム28、ガイドレール55等を前方から覆っている。また、上側パネル13は、第3開位置Q13にあるとき、上側開口部33を開放している。本実施形態において、上側パネル13は、骨格部材20に支持された上側駆動部16により開閉可能である。上側駆動部16は、例えばガスダンパーである。上側パネル13は、手動での開閉としても良い。なお、上側パネル13は、上側開口部33を開閉可能としているが、固定壁としても良い。また、上側パネル13の開閉による上側開口部33からの上側空間42へのアクセスの代わりとして、透過板21aを開閉可能として展示空間40側から上側空間42へアクセス可能としても良い。あるいは、横フレーム26で囲まれた上面を構成する部材を開閉可能なものとし、筐体10の上方から上側空間42へアクセス可能としても良い。
【0049】
図7に示すように、点検パネル14は、点検開口部34を開閉することで、上側空間42の内外の連通及び遮断を切り換える。点検パネル14は、隣り合う縦フレーム25間に複数(例えば3枚)並んで配置されている。本実施形態では、各点検パネル14のうち、中央に位置する点検パネル14は、左右方向において、固定パネル50と可動パネル51との境界部分を跨っている。各点検パネル14のうち左側に位置する点検パネル14は、左右方向全体に亘って可動パネル51と左右方向の位置が重なっている。但し、点検パネル14の数等は、適宜変更が可能である。
【0050】
点検パネル14は、第2中間フレーム28bの左右方向に沿う軸線回りに、第2閉位置P14から第2開位置Q14まで回動可能に第2中間フレーム28bに連結されている。本実施形態では、点検パネル14は、一端部14aにおいて回動可能に連結されている。点検パネル14は、第2閉位置P14にあるとき、点検開口部34を閉塞している。本実施形態において、点検パネル14の第2開位置Q14は、第2閉位置P14に対して他端部14bが下方に回転した位置にある。
【0051】
本実施形態では、点検パネル14は、他端部14bに変形部45が設けられている。変形部45は、弾性変形可能であり、例えばゴムにより形成されている。第2閉位置P14にあるとき、点検パネル14の他端部14bに設けられた変形部45は、第1閉位置P51にある可動パネル51に対して弾性的に圧縮変形して当接する。このため、可動パネル51は、点検パネル14により第1閉位置P51から前後方向前側への移動が規制されている。なお、変形部45の可動パネル51と当接する表面は摺動性を有するのが望ましい。可動パネル51に当接する際に滑りながら当接することにより、低負荷で点検パネル14を回転することができる。ここで、本実施形態では、第1閉位置P51に位置する可動パネル51に対して、第2閉位置P14に位置する点検パネル14の他端部14bと前後方向反対側となる後側には、封止部46が設けられている。封止部46は、弾性変形可能な部材であり、例えばエアパッキンである。封止部46は、第1閉位置P51に位置する可動パネル51に弾性変形して密着している。したがって、可動パネル51は、第1閉位置P51において、変形部45を介して点検パネル14と封止部46の間に挟み込まれている。
【0052】
<開閉機構15>
図7及び
図8(a)に示すように、開閉機構15は、点検パネル14を第2閉位置P14と第2開位置Q14との間で移動させる。開閉機構15は、上側パネル13に対して前後方向後側に配置されている。すなわち、開閉機構15は、上側空間42において点検パネル14の上方に配置されている。開閉機構15は、回転駆動部15aと、回転体15bと、紐体15cと、ステー15dとを備える。回転駆動部15aは、第2中間フレーム28bに支持されている。回転駆動部15aは例えばモータである。回転体15bは、回転駆動部15aの回転軸に支持されたプーリである。紐体15cは、一端側が回転体15bに巻回されている。紐体15cは、例えばワイヤーである。紐体15cは、ベルト、チェーン、ブッシュプルワイヤー、プッシュプルチェーンなどとしても良い。ステー15dは、点検パネル14に固定されている。そして、紐体15cの他端はステー15dに固定されている。
【0053】
点検パネル14が第2開位置Q14において、回転駆動部15aを回転駆動させて回転体15bを回転し紐体15cを巻き上げることにより、点検パネル14は、第2開位置Q14から回転し第2閉位置P14まで回動することができる。また、14が第2閉位置P14において、回転駆動部15aを回転駆動させて回転体15bを回転し紐体15cを繰り出すことにより、点検パネル14は、第2閉位置P14から回転し第2開位置Q14まで回動することができる。
【0054】
[作用]
次に、上述した展示ケース1の作用として、透過パネル11の開閉手順について説明する。まず、透過パネル11の可動パネル51を第1開位置Q51から第1閉位置P51まで移動させて開口部31、32、34を閉塞する手順について説明する。可動パネル51が第1開位置Q51にあるとき、下側パネル12と点検パネル14はそれぞれ第4開位置Q12及び第2開位置Q14にある。この状態から、まず可動パネル51を第1開位置Q51から中間位置R51まで左右方向に移動させる。次に、可動パネル51を中間位置R51から第1閉位置P51まで前後方向後側へ移動させる。この状態で可動パネル51の前後方向後側には封止部46が当接または近接した状態にある。次に、下側パネル12を第4開位置Q12から第4閉位置P12へ移動させる。
【0055】
次に、点検パネル14を第2開位置Q14から第2閉位置P14まで移動させる。すなわち、回転駆動部15aを駆動させて紐体15cにより点検パネル14をけん引する。これにより、点検パネル14は、他端部14bが上下方向に移動するように回動する。点検パネル14が第2閉位置P14まで移動する過程では点検パネル14の他端部14bに設けられた変形部45が可動パネル51に接触し変形しながら移動する。そして、点検パネル14が第2閉位置P14になると、点検パネル14の他端部14bは可動パネル51の前側に位置して、第1閉位置P51にある可動パネル51が前側へ移動することを規制することとなり、可動パネル51を第1閉位置P51に維持させることができる。
【0056】
ここで、点検パネル14の他端部14bには変形部45が設けられているため、点検パネル14により第1閉位置P51に位置する可動パネル51の移動を規制する際は、変形部45が弾性変形して可動パネル51に当接することとなる。このため、点検パネル14の可動パネル51への密着性を高めることができる。さらに、点検パネル14を第2開位置Q14から第2閉位置P14へ回動する際も、変形部45の弾性変形により可動パネル51との緩衝による影響を抑制して低負荷での回動を実現することができる。また、可動パネル51が第1閉位置P51にある場合には、可動パネル51に対して前後方向前側から点検パネル14により可動パネル51の移動が規制されつつ、前後方向後側において封止部46が弾性変形して可動パネル51に密着することとなり、展示開口部32の密封性を高めることができる。
【0057】
次に、透過パネル11の可動パネル51を第1閉位置P51から第1開位置Q51まで移動させて全ての開口部31、32、34を開放する手順について説明する。可動パネル51が第1閉位置P51の状態において、まず下側パネル12を第4閉位置P12から第4開位置Q12まで移動させる。次に、点検パネル14を第2閉位置P14から第2開位置Q14まで移動させる。すなわち、回転駆動部15aを駆動させて紐体15cを繰り出す。これにより、点検パネル14は、他端部14bが上下方向に移動するように回動する。そして、点検パネル14が第2開位置Q14に位置すると、点検パネル14の他端部14bは可動パネル51の前側へ離間するように移動して、第1閉位置P51にある可動パネル51は前側への移動が可能となる。そして、次に、可動パネル51を第1閉位置P51から中間位置R51へ前後方向前側へ移動させ、次に可動パネル51を中間位置R51から第1開位置Q51まで左右方向に移動させることで、開口部31、32、34が開放されることとなる。
【0058】
以上のように、本実施形態の展示ケース1では、可動パネル51の第1閉位置P51からの前後方向への移動の規制・解除が、点検パネル14の他端部14bの上下方向への移動により行うことができ、規制・解除を行う点検パネル14を移動させるための開閉機構15を上下方向の進退として実現することができる。このため、展示開口部32が開口する方向である前後方向に上側空間42における省スペース化を図ることができる。また、可動パネル51を第1閉位置P51で移動を規制する際は、点検パネル14の他端部14bが移動する上下方向と交差する前後方向へ規制し、点検パネル14の移動する方向への力による拘束ではなく、点検パネル14の部材自体による拘束となる。このため、点検パネル14を移動させるための開閉機構15を低負荷のものとしても実現することができ、より省スペース化を図ることができる。
【0059】
また、上側パネル13を開放する必要がなく、上側パネル13よりも低い位置の点検パネル14を開けることで可動パネル51を開放させることができるため、より低い位置での作業となり開放作業が容易なものとなる。一方、上記展示ケース1において、内側照明装置43のメンテナンスの場合に、上側パネル13を開放させて内側照明装置43にアクセスすることになっても、開閉機構15を小型化することができるために、内側照明装置43へのアクセスの際の支障になりにくい。
【0060】
また、点検パネル14を開閉させる開閉機構15が上側パネル13の前後方向後側であって点検パネル14の上方に位置することで、上側パネル13と点検パネル14とで囲まれた上側空間42を有効利用できるとともに、点検パネル14を上下方向の動作により開閉することが容易となる。また、開閉機構15の回転駆動部15aの回転駆動により点検パネル14の開閉の駆動力を与えることができるとともに、回転体15b及び紐体15cにより上下方向への開閉を実現することができ、より省スペース化を図ることができる。
【0061】
(その他の変形例)
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
例えば、本実施形態では、什器として展示ケース1を例に挙げたがこれに限られるものではない。展示以外の他の用途において第1開口部を通して内部に空間を有する什器であればよい。また、第1パネルとして透過性の可動パネル51を例に挙げたがこれに限られるものではなく、非透過性としても良い。また、可動パネル51は、上側ガイド機構53及び下側ガイド機構54により前後方向及び左右方向に移動可能としたが、これに限られるものではなく、上側及び下側ともに、上側ガイド機構53の構成、または、下側ガイド機構54の構成としても良い。また、ガイド機構としては上側ガイド機構53及び下側ガイド機構54以外の公知の構成を適用しても良い。
【0062】
第2パネルは点検パネル14を例として、点検用の開口部を開閉するものとして説明したが、点検以外の用途の第2開口部を開閉するものとしても良い。また第1開口部が開口する第1方向を前後方向としたが、これに限られるものはなく、少なくとも上下方向に交差する方向とすればよい。また、第2パネルは、第2閉位置P14から第2開位置Q14へ他端部14bが下方に移動するように回動するものとしたが、第2閉位置P14から第2開位置Q14へ他端部14bが上方に移動するように回動するものとしても良い。また、第2のパネルは他端部14bに変形部が設けられているものとしたが、第2パネル自体が変形可能な材質としても良いし、第2閉位置P14と第2開位置Q14との間で回動して第2閉位置において第1パネルの移動を規制可能な限り変形部45を設けない構成としても良い。
【0063】
また、第2パネルは開閉機構15により移動するものとしたが、手動により移動するものとしても良い。また、開閉機構15は、
図8(a)に示す構成に限られるものではない。
図8(b)は、変形例の開閉機構15Aを示している。開閉機構15Aは、回転駆動部15aと、回転体15bと、紐体15cと、ステー15dと、動滑車15eとを備えている。本変形例において、紐体15cは、回転体15bから垂下してU字状に形成して他端側が骨格部材20に固定されている。紐体15cの湾曲部分には動滑車15eが支持されている。ステー15dは、下端が点検パネル14に回転可能に連結されているとともに、上端が動滑車15eの中心に回転可能に連結されている。なお、開閉機構は、上記のような開閉機構15、15Aのような回転駆動部15aを備える構成としたが、例えば、上下方向に進退する直動のアクチュエータにより駆動するものとしても良い。
【0064】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 展示ケース(什器)
10 筐体
13 上側パネル(第3パネル)
14 点検パネル(第2パネル)
15 開閉機構
15a 回転駆動部
15b 回転体
15c 紐体
32 展示開口部(第1開口部)
34 点検開口部(第2開口部)
45 変形部
46 封止部
51 可動パネル(第1パネル)