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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004789
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】降車支援システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20240110BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20240110BHJP
   G08G 1/127 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/005
G08G1/127 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104624
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】390004710
【氏名又は名称】株式会社第一興商
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 勇太
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA05
2F129BB03
2F129CC16
2F129EE78
2F129EE79
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF19
2F129FF20
2F129FF62
2F129FF63
2F129HH02
2F129HH12
5H181AA06
5H181AA21
5H181BB04
5H181BB05
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF32
(57)【要約】
【課題】乗客が降車を希望する停留所で降車できるよう支援するための新規な降車支援システムを提供する。
【解決手段】乗客が降車を希望する第1の停留所を登録する登録部、当該携帯端末の位置を示す位置情報を取得する取得部、予め登録された第1の停留所の位置と、取得された位置情報とが所定条件を満たす場合、降車案内装置に対して降車信号を送信する送信処理部を有する携帯端末と、降車信号を受信した場合、運転手に対し、降車情報を報知する報知部を有する降車案内装置と、を有する降車支援システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗合自動車に設置された降車案内装置と、前記乗合自動車に乗車する乗客が所持する携帯端末とが通信可能に接続された降車支援システムであって、
前記携帯端末は、
乗客が降車を希望する第1の停留所を登録する登録部と、
当該携帯端末の位置を示す位置情報を取得する取得部と、
予め登録された前記第1の停留所の位置と、取得された前記位置情報とが所定条件を満たす場合、前記降車案内装置に対して降車信号を送信する送信処理部と、
を有し、
前記降車案内装置は、
前記携帯端末から降車信号を受信した場合、前記乗合自動車の運転手に対し、降車情報を報知する報知部を有する降車支援システム。
【請求項2】
前記登録部は、前記第1の停留所の後に乗客が降車を希望する第2の停留所を登録し、
前記送信処理部は、前記降車信号を送信した後、予め登録された前記第2の停留所の位置と、取得された前記位置情報とが所定条件を満たす場合、前記降車案内装置に対して再度、降車信号を送信することを特徴とする請求項1記載の降車支援システム。
【請求項3】
前記登録部は、前記乗客に対し、登録した停留所が近付いたことを報知するための楽曲を登録し、
前記携帯端末は、
前記降車信号が送信された場合、予め登録された前記楽曲を再生し、放音手段から放音させる再生処理部を有することを特徴とする請求項1または2記載の降車支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は降車支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
路線バス等の乗合自動車において、乗客が降車を希望する停留所で降車できるよう支援するための技術が知られている。たとえば、特許文献1には、乗客が所有する携帯通信端末と無線通信を行ない、携帯通信端末の識別情報および降車予定の停留所に関する情報を含む、降車予約情報を受信する無線通信部、記憶部に記憶された降車予約情報に基づいて、降車予約を行なった乗客が降車したか否かを判断し、該降車予約を行なった全ての乗客が降車していない場合に、その旨を報知する報知部を備える車載通信機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-098908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、乗客が降車を希望する停留所で降車できるよう支援するための新規な降車支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための一の発明は、乗合自動車に設置された降車案内装置と、前記乗合自動車に乗車する乗客が所持する携帯端末とが通信可能に接続された降車支援システムであって、前記携帯端末は、乗客が降車を希望する第1の停留所を登録する登録部と、当該携帯端末の位置を示す位置情報を取得する取得部と、予め登録された前記第1の停留所の位置と、取得された前記位置情報とが所定条件を満たす場合、前記降車案内装置に対して降車信号を送信する送信処理部と、を有し、前記降車案内装置は、前記携帯端末から降車信号を受信した場合、前記乗合自動車の運転手に対し、降車情報を報知する報知部を有する降車支援システムである。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、乗客が降車を希望する停留所で降車できるよう支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る降車支援システムを示す図である。
図2】第1実施形態に係る携帯端末を示す図である。
図3】第1実施形態に係る降車案内装置を示す図である。
図4】第1実施形態に係る降車支援システムの処理を示すフローチャートである。
図5】変形例に係る降車支援システムの処理を示すフローチャートである。
図6】第2実施形態に係る携帯端末を示す図である。
図7】第2実施形態に係る降車支援システムの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
図1から図4を参照して、第1実施形態に係る降車支援システムについて説明する。
【0009】
==降車支援システム==
降車支援システムは、乗合自動車に乗車している乗客が、降車を希望する停留所で降車できるよう支援するためのシステムである。乗合自動車は、たとえば路線バスのような、複数の乗客を乗せて所定の経路に沿って運行する車両である。所定の経路においては、乗客が乗り降りするための停留所が一定間隔で設けられている。
【0010】
降車支援システムは、携帯端末及び降車案内装置を含む。
【0011】
携帯端末は、乗客が所持するスマートフォンやタブレット端末等である。本実施形態における携帯端末には、乗合自動車からの降車を支援するための専用のアプリケーションソフトウェア(以下、「降車アプリ」)がインストールされている。降車アプリは、所定のWebサイトからダウンロードすることで入手できる。
【0012】
降車案内装置は、乗合自動車内に設置されている。降車案内装置は、乗合自動車の運転手に対して降車情報(後述)を報知するための装置である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る降車支援システム1は、携帯端末M、及び降車案内装置Eを含む。携帯端末Mは、乗客Pが所持している。携帯端末Mには、降車アプリがインストールされている。降車案内装置Eは、乗合自動車SV内に設置されている。乗合自動車SVは、運転手Dが運転している。乗合自動車SV内において、降車アプリを起動させた携帯端末Mと降車案内装置Eとは、公知の通信技術(たとえば、Bluetooth(登録商標))により通信可能となっている。
【0014】
==携帯端末==
図2を参照して、携帯端末Mの構成について説明する。携帯端末Mは、記憶手段10、通信手段11、表示手段12、放音手段13、入力手段14、及び制御手段15を備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0015】
[記憶手段、通信手段、表示手段、放音手段、入力手段]
記憶手段10は、各種のデータを記憶する記憶装置である。通信手段11は、降車案内装置Eとの通信を行うためのインターフェースを提供する。表示手段12は、各種情報を表示させるディスプレイである。放音手段13は、各種音声を放音させるスピーカである。入力手段14は、各種指示入力を行うための構成である。なお、一般的なスマートフォンでは、表示手段12がタッチパネル形式で構成されており、入力手段14として機能する。
【0016】
[制御手段]
制御手段15は、携帯端末Mにおける各種の制御を行う。制御手段15は、CPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。
【0017】
本実施形態において、携帯端末Mで降車アプリを起動した場合、制御手段15は、登録部15a、取得部15b、及び送信処理部15cとして機能する。
【0018】
(登録部)
登録部15aは、乗客が降車を希望する第1の停留所を登録する。
【0019】
降車アプリを起動した場合、携帯端末Mは、乗合自動車の路線や停留所を検索するための検索画面を表示手段12に表示させる。乗客Pは、検索画面において、乗客Pが利用する路線、及び降車を希望する目的地近傍の停留所を選択する。路線や停留所の選択は、たとえば乗客Pの家族等、乗客P以外の者が乗客Pに代わって行うことも可能である。
【0020】
登録部15aは、選択された停留所の位置を記憶手段10に記憶させることにより、乗客が降車を希望する停留所の登録を行う。なお、停留所の登録は、乗合自動車SVの乗車前または乗車後のいずれのタイミングにおいても行うことができる。
【0021】
(取得部)
取得部15bは、携帯端末Mの位置を示す位置情報を取得する。
【0022】
降車アプリの起動後、取得部15bは、携帯端末Mの位置を示す位置情報の取得を開始する。位置情報の取得は、たとえば携帯端末Mが備えるGPSの機能を利用することができる。GPSの機能を利用する場合、位置情報はXYZの三次元の座標値で取得される。取得部15bは、位置情報の取得を所定間隔で行う。所定間隔は、たとえば「1分毎」、「30秒毎」のように、予め一の間隔が設定されている。
【0023】
ここで、携帯端末Mを所持する乗客Pが乗合自動車SVに乗車した場合、携帯端末Mの位置は乗合自動車SVの移動に伴って変化する。すなわち、取得部15bが取得する携帯端末Mの位置情報が示す位置は、乗合自動車SVの位置(乗合自動車SVが現在走行している場所)と一致する。なお、取得部15bは、降車アプリの起動後、携帯端末Mと降車案内装置Eとが通信可能に接続された場合に位置情報の取得を開始してもよい。
【0024】
(送信処理部)
送信処理部15cは、予め登録された第1の停留所の位置と、取得した位置情報とが所定条件を満たす場合、降車案内装置Eに対して降車信号を送信する。
【0025】
所定条件は降車信号を送信するかどうかを決定するための条件である。所定条件は、たとえば、「停留所と乗合自動車との運行する経路に沿った距離が500m以下」、「停留所の座標値と乗合自動車(携帯端末)の座標値との差が±300m以内」のように、予め一の条件が設定されている。降車信号は、降車案内装置Eに対して、次の停留所で降車する乗客がいる旨を伝える信号である。
【0026】
取得部15bで位置情報が取得された場合、送信処理部15cは、記憶手段10に記憶されている第1の停留所の位置と、取得された位置情報とを比較し、所定条件を満たすかどうかを判定する。送信処理部15cは、取得部15bが位置情報を取得する都度、同様の処理を実行する。所定条件を満たすと判定した場合、送信処理部15cは、降車案内装置Eに対して降車信号を送信する。降車信号を送信した後、送信処理部15cは、第1の停留所の位置と、取得された位置情報とを比較する処理を終了する。
【0027】
==降車案内装置==
図3に示すように、降車案内装置Eは、記憶手段20、通信手段21、表示手段22、放音手段23、及び制御手段24を備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0028】
[記憶手段、通信手段、表示手段、放音手段]
記憶手段20は、各種のデータを記憶する記憶装置である。通信手段21は、携帯端末Mとの通信を行うためのインターフェースを提供する。表示手段22は、各種情報を表示させるディスプレイである。表示手段22は、乗合自動車SV内において、運転手Dが運転中に視認できる位置に設置されている。放音手段23は、各種音声を放音させるスピーカである。なお、乗合自動車SVが備えるスピーカを、放音手段23として用いてもよい。
【0029】
[制御手段]
制御手段24は、降車案内装置Eにおける各種の制御を行う。制御手段24は、CPUおよびメモリ(いずれも図示無し)を備える。CPUは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。
【0030】
本実施形態においてはCPUがメモリに記憶されるプログラムを実行することにより、制御手段24は、報知部24aとして機能する。
【0031】
(報知部)
報知部24aは、携帯端末Mから降車信号を受信した場合、乗合自動車SVの運転手Dに対し、降車情報を報知する。
【0032】
降車情報は、次に停車する停留所において、乗合自動車から降車を希望する乗客がいることを示す情報である。
【0033】
降車情報の報知は様々な方法で行うことができる。たとえば、報知部24aは、表示手段22に「次止まります」の文字を表示させる。当該文字を視認した運転手Dは、降車を希望する乗客がいることを把握できる。
【0034】
或いは、報知部24aは、放音手段23から「次止まります」の音声を放音させる。当該音声を聞いた運転手Dは、降車を希望する乗客がいることを把握できる。或いは、報知部24aは、「次止まります」の文字及び音声の両方を組み合わせて報知を行ってもよい。「次止まります」の文字や音声は、降車情報の一例である。
【0035】
==降車支援システムの動作について==
次に、図4を参照して本実施形態における降車支援システム1の動作の具体例について述べる。図4は、降車支援システム1における動作を示すフローチャートである。この例では、図1に示した乗客Pが、出発地近傍の停留所である停留所BS1から乗合自動車SVに乗車し、目的地近傍の停留所である停留所BS2で降車する例について述べる。また、乗客Pは、停留所で降車するために支援が必要な高齢者であるとする。
【0036】
乗客Pの家族は、乗客Pが乗合自動車SVを利用する前に、予め携帯端末Mで降車アプリを起動させ、検索画面において乗客Pが降車する停留所BS2の選択を行う。
【0037】
携帯端末Mの登録部15aは、選択された停留所BS2の位置を記憶手段10に記憶させることにより、降車する停留所BS2の登録を行う(降車する停留所BS2を登録。ステップ10)。停留所BS2は、「第1の停留所」の一例である。
【0038】
その後、乗客Pは、降車アプリが起動した状態の携帯端末Mを所持し、停留所BS1から乗合自動車SVに乗車する。乗客Pが乗合自動車SVに乗車した場合、携帯端末Mと降車案内装置Eとは通信可能に接続される。
【0039】
取得部15bは、携帯端末Mの位置を示す位置情報を取得する(携帯端末の位置情報を取得。ステップ11)。取得部15bは、乗合自動車SVの移動に伴い、所定間隔で位置情報の取得を行う。
【0040】
送信処理部15cは、ステップ10で登録された停留所BS2の位置と、ステップ11で取得された位置情報とが所定条件を満たすかどうかを判定する(停留所BS2の位置と、携帯端末Mの位置情報とが所定条件を満たすかどうかを判定。ステップ12)。
【0041】
所定条件を満たすと判定した場合(ステップ13でYの場合)、送信処理部15cは、降車案内装置Eに対して降車信号を送信する(降車信号を送信。ステップ14)。
【0042】
報知部24aは、携帯端末Mから降車信号を受信した場合、乗合自動車SVの運転手Dに対し、降車情報を報知する(運転手に対して降車情報を報知。ステップ15)。
【0043】
運転手Dは、降車情報に基づいて、停留所BS2で乗合自動車SVを停車させる。乗客Pは、停留所BS2で降車し、目的地に向かうことができる。
【0044】
以上から明らかなように、本実施形態に係る降車支援システム1は、乗合自動車SVに設置された降車案内装置Eと、乗合自動車SVに乗車する乗客Pが所持する携帯端末Mとが通信可能に接続されている。携帯端末Mは、乗客Pが降車を希望する第1の停留所を登録する登録部15aと、携帯端末Mの位置を示す位置情報を取得する取得部15bと、予め登録された第1の停留所の位置と、取得された位置情報とが所定条件を満たす場合、降車案内装置Eに対して降車信号を送信する送信処理部15cと、を有する。降車案内装置Eは、携帯端末Mから降車信号を受信した場合、乗合自動車SVの運転手Dに対し、降車情報を報知する報知部24aを有する。
【0045】
このような降車支援システム1によれば、携帯端末Mに予め登録されている停留所に乗合自動車SVが近付いた場合、運転手Dに対して降車情報を報知する。よって、運転手Dは、次の停留所において降車を希望する乗客がいることを把握できる。また、降車を希望する停留所を登録した携帯端末Mを乗客Pが所持して乗合自動車SVに乗車するだけで、当該停留所に乗合自動車SVが停車する。よって、乗客Pは、乗合自動車SVに通常設置されている降車を伝えるための手段(たとえば降車ボタン)を操作し忘れた場合等であっても、確実に降車できる。すなわち、本実施形態に係る降車支援システム1によれば、乗客が降車を希望する停留所で降車できるよう支援することができる。
【0046】
<変形例>
目的地近傍の停留所で降車した乗客は、目的地で用事を終えた後、出発地近傍の停留所まで戻ることとなる。本変形例では、乗客が出発地近傍の停留所で降車できるよう支援する降車支援システムについて説明する。
【0047】
==携帯端末==
(登録部)
本変形例に係る登録部15aは、第2の停留所を登録する。第2の停留所は、第1の停留所の後に降車を希望する停留所である。たとえば、第1の停留所が目的地近傍の停留所である場合、第2の停留所は、出発地近傍の停留所である。
【0048】
降車アプリを起動した場合、携帯端末Mは、乗合自動車の路線や停留所を検索するための検索画面を表示手段12に表示させる。乗客Pは、検索画面において、乗客Pが利用する路線、降車を希望する目的地近傍の停留所、及び目的地から戻る際に降車を希望する出発地近傍の停留所を選択する。
【0049】
登録部15aは、選択された目的地近傍の停留所の位置、及び出発地近傍の停留所の位置を記憶手段10に記憶させることにより、乗客が降車を希望する2つの停留所の登録を行う。
【0050】
(送信処理部)
本変形例に係る送信処理部15cは、降車信号を送信した後、予め登録された第2の停留所の位置と、取得した位置情報とが所定条件を満たす場合、降車案内装置Eに対して再度、降車信号を送信する。
【0051】
所定条件は実施形態と同様、降車信号を送信するかどうかを決定するための条件である。なお、第1の停留所の位置と、取得された位置情報とを比較する際に用いる所定条件と、第2の停留所の位置と、取得された位置情報とを比較する際に用いる所定条件とは同じ条件であってもよいし、別の条件であってもよい。
【0052】
実施形態で述べたように、降車信号を送信した後、送信処理部15cは、第1の停留所の位置と、取得された位置情報とを比較する処理を終了する。
【0053】
ここで、第2の停留所が登録されている場合、送信処理部15cは、記憶手段10に記憶されている第2の停留所の位置と、取得部15bで取得された位置情報とを比較し、所定条件を満たすかどうかを判定する。所定条件を満たすと判定した場合、送信処理部15cは、降車案内装置Eに対して再度、降車信号を送信する。降車信号を送信した後、送信処理部15cは、第2の停留所の位置と、取得された位置情報とを比較する処理を終了する。
【0054】
==降車支援システムの動作について==
次に、図5を参照して本変形例における降車支援システム1の動作の具体例について述べる。図5は、降車支援システム1における動作を示すフローチャートである。この例では、図1に示した乗客Pが、目的地近傍の停留所である停留所BS2で降車し、目的地で用事を済ませた後、停留所BS2から乗合自動車SVに乗車し、出発地近傍の停留所である停留所BS1で降車する例について述べる。また、乗客Pは、停留所で降車するために支援が必要な高齢者であるとする。
【0055】
乗客Pの家族は、乗客Pが乗合自動車SVを利用する前に、予め携帯端末Mで降車アプリを起動させ、検索画面において乗客Pが降車する停留所BS1及び停留所BS2の選択を行う。
【0056】
携帯端末Mの登録部15aは、選択された停留所BS1及び停留所BS2の位置を記憶手段10に記憶させることにより、降車する停留所BS1及び停留所BS2の登録を行う(降車する停留所BS1及び停留所BS2を登録。ステップ20)。停留所BS2は「第1の停留所」の一例であり、停留所BS1は「第2の停留所」の一例である。
【0057】
その後、乗客Pは、降車アプリが起動した状態の携帯端末Mを所持し、停留所BS1から乗合自動車SVに乗車する。乗客Pが乗合自動車SVに乗車した場合、携帯端末Mと降車案内装置Eとは通信可能に接続される。
【0058】
取得部15bは、携帯端末Mの位置を示す位置情報を取得する(携帯端末の位置情報を取得。ステップ21)。取得部15bは、乗合自動車SVの移動に伴い、所定間隔で位置情報の取得を行う。
【0059】
送信処理部15cは、ステップ20で登録された第1の停留所すなわち停留所BS2の位置と、ステップ21で取得された位置情報とが所定条件を満たすかどうかを判定する(停留所BS2の位置と、携帯端末Mの位置情報とが所定条件を満たすかどうかを判定。ステップ22)。
【0060】
所定条件を満たすと判定した場合(ステップ23でYの場合)、送信処理部15cは、降車案内装置Eに対して降車信号を送信する(降車信号を送信。ステップ24)。
【0061】
報知部24aは、携帯端末Mから降車信号を受信した場合、乗合自動車SVの運転手Dに対し、降車情報を報知する(運転手に対して降車情報を報知。ステップ25)。
【0062】
運転手Dは、降車情報に基づいて、停留所BS2で乗合自動車SVを停車させる。乗客Pは、停留所BS2で降車し、目的地に向かうことができる。
【0063】
目的地で用事を済ませた乗客Pは、停留所BS2から乗合自動車SVに乗車する。乗客Pが乗合自動車SVに乗車した場合、携帯端末Mと降車案内装置Eとは通信可能に接続される。
【0064】
取得部15bは、携帯端末Mの位置を示す位置情報を取得する(携帯端末の位置情報を取得。ステップ26)。取得部15bは、乗合自動車SVの移動に伴い、所定間隔で位置情報の取得を行う。
【0065】
送信処理部15cは、ステップ20で登録された第2の停留所すなわち停留所BS1の位置と、ステップ26で取得された位置情報とが所定条件を満たすかどうかを判定する(停留所BS1の位置と、携帯端末Mの位置情報とが所定条件を満たすかどうかを判定。ステップ27)。
【0066】
所定条件を満たすと判定した場合(ステップ28でYの場合)、送信処理部15cは、降車案内装置Eに対して再度、降車信号を送信する(再度、降車信号を送信。ステップ29)。
【0067】
報知部24aは、携帯端末Mから降車信号を受信した場合、乗合自動車SVの運転手Dに対し、降車情報を報知する(運転手に対して降車情報を報知。ステップ30)。
【0068】
なお、上記例では、目的地近傍の停留所である停留所BS2までの移動(往路の移動)と、出発地近傍の停留所である停留所BS1までの移動(復路の移動)において、同じ乗合自動車SVに乗車する例について説明したが、復路の移動において、往路の移動で乗車した乗合自動車SVとは異なる乗合自動車SV´を利用することも可能である。この場合、乗合自動車SV´は、乗合自動車SVの降車案内装置Eと同様の機能を有する降車案内装置E´を有する。また、乗合自動車SV´は、運転手Dとは異なる運転手D´が運転する。
【0069】
以上から明らかなように、変形例に係る降車支援システム1において、登録部15aは、第1の停留所の後に降車を希望する第2の停留所を登録する。送信処理部15cは、降車信号を送信した後、予め登録された第2の停留所の位置と、取得された位置情報とが所定条件を満たす場合、降車案内装置に対して再度、降車信号を送信する。
【0070】
このような降車支援システム1によれば、第1の停留所(たとえば目的地近傍の停留所)で降車する際だけでなく、第2の停留所(たとえば出発地近傍の停留所)で降車する際にも、乗客を支援することができる。
【0071】
<第2実施形態>
図6及び図7を参照して、第2実施形態に係る降車支援システムについて説明する。本実施形態では、乗客に対して登録した停留所が近付いたことを報知する例について述べる。第1実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0072】
==携帯端末==
[記憶手段]
本実施形態に係る記憶手段10は、複数の楽曲データを記憶する。楽曲データは、楽曲識別情報が付与されている。楽曲識別情報は、楽曲を識別するための楽曲ID等、各楽曲に固有の情報である。楽曲データは、携帯端末が備えるミュージックプレーヤ機能や専用のアプリケーションソフトウェアで再生可能な形式のデータである。
【0073】
[制御手段]
本実施形態において、携帯端末Mで降車アプリを起動した場合、制御手段15は、登録部15a、取得部15b、送信処理部15c、及び再生処理部15dとして機能する(図6参照)。
【0074】
(登録部)
本実施形態に係る登録部15aは、乗客に対し、登録した停留所が近付いたことを報知するための楽曲を登録する。
【0075】
降車アプリを起動した場合、携帯端末Mは、登録した停留所が近付いたことを報知するための楽曲を選曲する選曲画面を表示手段12に表示させる。乗客Pは、選曲画面において、任意の楽曲を選曲する。楽曲の選曲は、たとえば乗客Pの家族等、乗客P以外の者が乗客Pに代わって行うことも可能である。
【0076】
登録部15aは、選曲された楽曲の楽曲識別情報を記憶手段10に記憶させることにより、楽曲の登録を行う。楽曲の登録は、乗合自動車SVの乗車前または乗車後のいずれのタイミングにおいても行うことができる。
【0077】
(再生処理部)
再生処理部15dは、降車信号が送信された場合、予め登録された楽曲を再生し、放音手段13から放音させる。
【0078】
送信処理部15cが降車案内装置Eに対して降車信号を送信した後、再生処理部15dは、登録されている楽曲識別情報に対応する楽曲データを記憶手段10から読み出す。再生処理部15dは、たとえば携帯端末Mが備えるミュージックプレーヤ機能を用いて楽曲を再生し、放音手段13から演奏音を放音させる。
【0079】
==降車支援システムの動作について==
次に、図7を参照して本実施形態における降車支援システム1の動作の具体例について述べる。図7は、降車支援システム1における動作を示すフローチャートである。この例では、図1に示した乗客Pが、出発地近傍の停留所である停留所BS1から乗合自動車SVに乗車し、目的地近傍の停留所である停留所BS2で降車する例について述べる。また、乗客Pは、停留所で降車するために支援が必要な高齢者であるとする。
【0080】
ステップ30は第1実施形態のステップ10と同様である。また、ステップ32からステップ36は、第1実施形態のステップ11からステップ15と同様である。
【0081】
本実施形態において、乗客Pの家族は、乗客Pが乗合自動車SVを利用する前に、予め携帯端末Mで降車アプリを起動させ、選曲画面において乗客Pがよく知っている楽曲Xを選曲する。
【0082】
携帯端末Mの登録部15aは、選曲された楽曲Xの楽曲IDを記憶手段10に記憶させることにより、楽曲Xの登録を行う(楽曲Xを登録。ステップ31)。
【0083】
ステップ35で降車信号を送信した場合、再生処理部15dは、ステップ31で登録された楽曲を再生し、放音手段13から演奏音を放音させる(楽曲Xを再生し、演奏音を放音。ステップ37)。
【0084】
以上から明らかなように、本実施形態に係る降車支援システム1において、登録部15aは、乗客Pに対し、登録した停留所が近付いたことを報知するための楽曲を登録する。携帯端末Mは、降車信号を送信した場合、予め登録された楽曲を再生し、放音手段13から放音させる再生処理部15dを有する。
【0085】
このような降車支援システム1によれば、携帯端末Mに予め登録されている停留所に乗合自動車SVが近付いたことを、楽曲の演奏音により乗客Pに対して伝えることができる。よって、乗客Pは、より確実に降車できる。すなわち、本実施形態に係る降車支援システム1によれば、乗客が降車を希望する停留所でより確実に降車できるよう支援することができる。
【0086】
なお、変形例のように第1の停留所と第2の停留所を登録する場合、登録部15aは、
第1の停留所が近付いたことを報知するための楽曲と、第2の停留所が近付いたことを報知するための楽曲とを登録することができる。登録する楽曲は、同じ楽曲であってもよいし、異なる楽曲であってもよい。
【0087】
また、上記例では、乗客P等が任意の楽曲を選曲する例について説明したが、携帯端末Mにおいて、楽曲の登録を自動で行うような構成としてもよい。
【0088】
この場合、登録部15aは、乗客に対し、登録した停留所が近付いたことを報知するための楽曲として、当該乗客がカラオケ装置を利用した際に得られた歌唱履歴に基づいて抽出した楽曲を登録する。
【0089】
具体的に、降車アプリを起動した場合、携帯端末Mは、カラオケシステムのサーバ装置(図示なし)に対して、乗客Pの利用者識別情報を送信する。利用者識別情報は、利用者を識別するための利用者ID等、各利用者に固有の情報である。利用者識別情報は、たとえば乗客Pが入力手段14を操作して入力してもよいし、記憶手段10に予め記憶されていてもよい。
【0090】
サーバ装置は、受信した利用者識別情報に基づいて、乗客Pの歌唱履歴を読み出し、携帯端末Mに送信する。歌唱履歴は、カラオケシステムのカラオケ装置を利用した際の各種情報(カラオケ歌唱を行った楽曲名、楽曲識別情報、歌唱採点の結果、歌唱日時等)を含む。
【0091】
登録部15aは、受信した乗客Pの歌唱履歴から、所定の楽曲を抽出し、当該楽曲の楽曲識別情報を記憶手段10に記憶させることにより、楽曲の登録を行う。所定の楽曲は、たとえば、カラオケ歌唱の回数が最も多い楽曲や歌唱採点の結果が最も高い楽曲等、予め設定された条件を満たす楽曲である。
【0092】
<その他>
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
1 降車支援システム
15a 登録部
15b 取得部
15c 送信処理部
15d 再生処理部
24a 報知部
M 携帯端末
E 降車案内装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7