(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047890
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】ノズル式スチームトラップ
(51)【国際特許分類】
F16T 1/00 20060101AFI20240401BHJP
F16L 55/00 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
F16T1/00 E
F16T1/00 A
F16L55/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153648
(22)【出願日】2022-09-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-27
(71)【出願人】
【識別番号】514022257
【氏名又は名称】有限会社ジェニス・ホワイト
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深井 晃
(72)【発明者】
【氏名】源平 浩己
【テーマコード(参考)】
3H025
【Fターム(参考)】
3H025BA03
(57)【要約】
【課題】蒸気漏れを抑制すると共に凝縮水の排水量を増やすことができるノズル式スチームトラップを提供する。
【解決手段】本発明のノズル式スチームトラップは、蒸気本管からの凝縮水が導入される凝縮水蓄積管に連結され、凝縮水を蒸気に変換して排出管に排出するノズル式スチームトラップにおいて、凝縮水蓄積管に連結される入口側フランジと、排出管に連結される出口側フランジと、入口側フランジに連通する上流室と、出口側フランジに連通する下流室と、上流室と下流室に連設される中間室と、上流室と中間室を連通させる第1蒸気発生ノズル及び中間室と下流室を連通させる第2蒸気発生ノズルからなる蒸気発生ノズルと、中間室を開閉して、蒸気発生ノズルを交換可能とするキャップと、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気本管からの凝縮水が導入される凝縮水蓄積管に連結され、凝縮水を蒸気に変換して排出管に排出するノズル式スチームトラップにおいて、
前記凝縮水蓄積管に連結される入口側フランジと、
前記排出管に連結される出口側フランジと、
前記入口側フランジに連通する上流室と、
前記出口側フランジに連通する下流室と、
前記上流室と前記下流室に連設される中間室と、
前記上流室と前記中間室を連通させる第1蒸気発生ノズル及び前記中間室と前記下流室を連通させる第2蒸気発生ノズルからなる蒸気発生ノズルと、
前記中間室を開閉して、前記蒸気発生ノズルを交換可能とするキャップと、
を備えることを特徴とするノズル式スチームトラップ。
【請求項2】
前記第2蒸気発生ノズルの前記中間室側の孔径は、前記第1蒸気発生ノズルの前記中間室側の孔径よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のノズル式スチームトラップ。
【請求項3】
前記蒸気発生ノズルは、前記第1蒸気発生ノズルが2本、前記第2蒸気発生ノズルが2本の2系列4本で構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のノズル式スチームトラップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル式スチームトラップに関し、より詳細には、蒸気管内の凝縮水を自動的に排出し、排水能力が大きく蒸気の排出を抑制することができるノズル式スチームトラップに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特許文献1でノズル式の凝縮水排出装置を提案した。蒸気発生ノズルは、長さ(L)が20~40mm、孔(d)径が0.2~18mmで、蒸気本管内に発生した凝縮水を凝縮水蓄積管に蓄積し蒸気に変換して、連続的に外部に排出する。蒸気発生ノズルの孔は、細くて凝縮水は通りやすく蒸気は通りにくい性質がある。そのため、例えば、蒸気本管が高圧の場合、孔(d)の径を細くし、長さ(L)を長くする。一方、設置スペースの制約上トラップ内の空間には制約があり、蒸気発生ノズルの長さ(L)をあまり長くできない。すなわち孔径に対する長さには限界がある。そこで、蒸気発生ノズルを直列に配置して、実質的なノズルの長さを長くして蒸気漏れを少なくし、蒸気発生ノズルを並列に配置して凝縮水の排出性能を向上させることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、蒸気漏れを抑制すると共に凝縮水の排水量を増やすことができるノズル式スチームトラップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるノズル式スチームトラップは、蒸気本管からの凝縮水が導入される凝縮水蓄積管に連結され、凝縮水を蒸気に変換して排出管に排出するノズル式スチームトラップにおいて、前記凝縮水蓄積管に連結される入口側フランジと、前記排出管に連結される出口側フランジと、前記入口側フランジに連通する上流室と、前記出口側フランジに連通する下流室と、前記上流室と前記下流室に連設される中間室と、前記上流室と前記中間室を連通させる第1蒸気発生ノズル及び前記中間室と前記下流室を連通させる第2蒸気発生ノズルからなる蒸気発生ノズルと、前記中間室を開閉して、前記蒸気発生ノズルを交換可能とするキャップと、を備えることを特徴とする。
【0006】
前記第2蒸気発生ノズルの前記中間室側の孔径は、前記第1蒸気発生ノズルの前記中間室側の孔径よりも大きいことを特徴とする。
【0007】
前記蒸気発生ノズルは、前記第1蒸気発生ノズルが2本、前記第2蒸気発生ノズルが2本の2系列4本で構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるノズル式スチームトラップによれば、第1蒸気発生ノズルと第2蒸気発生ノズルを設け、2段階(1系列2本)としたので、蒸気発生ノズルの長さを実質的に長くできる。つまり孔長比(=L/d)を実質的に大きくできる。ノズルの長さが大きいことから、蒸気漏れを少なくできる。また、1段目の第1蒸気発生ノズルで減圧されるから、2段目の第2蒸気発生ノズルで精度の高い排出ができる。
【0009】
第2蒸気発生ノズルの中間室側の孔径を、第1蒸気発生ノズルの中間室側の孔径よりも大きくしたので、凝縮水を効率よく排出管に排出できる。
【0010】
蒸気発生ノズルを2系列4本で構成したので、1系列2本の場合より多くの凝縮水を排出できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明によるノズル式スチームトラップが凝縮水蓄積管に連結された場合の説明図である。
【
図2】本発明によるノズル式スチームトラップの正面図である。
【
図3】本発明によるノズル式スチームトラップの平面図である。
【
図4】
図3でキャップを取り外した場合の平面図である。
【
図6】
図4のA-A断面図又はC-C断面図である。
【
図8】蒸気発生ノズルの異なった形態を示す断面図である。
【
図9】蒸気発生ノズルの作用を具体的に示す断面図である。
【
図10】蒸気発生ノズルの作用を具体的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明のノズル式スチームトラップを説明する。
【実施例0013】
図1は、本発明によるノズル式スチームトラップ100が凝縮水蓄積管1に連結された場合の説明図である。凝縮水2は、蒸気本管から凝縮水蓄積管1に流れ込んで蓄積される。凝縮水2は、フィルタ4を通過して吐出管17を通過してノズル式スチームトラップ100に入り、排出管18に蒸気となって排出される。排出管18の蒸気は、再び凝縮水となりボイラ水として再利用される。排水弁3は、凝縮水蓄積管1の水位が想定以上となった場合に開く弁である。圧力は、凝縮水蓄積管1側が高く、吐出管17側は大気圧である。
【0014】
図2は、本発明によるノズル式スチームトラップ100の正面図である。ノズル式スチームトラップ100は、入口側フランジ5と、出口側フランジ6と、本体部7と、を備える。凝縮水は、入口側フランジ5から入って、出口側フランジ6に出る。本体部7の内部には、入口側フランジ5に連通する上流室8と、出口側フランジ6に連通する下流室9と、上流室8と下流室9に連設される中間室10と、を備える。中間室10は、上流室8と下流室9の間にあって、上流室8と下流室9を連通させる。中間室10は円筒状でキャップ11が設けられる。キャップ11は、中間室10に着脱されることにより、中間室10を開閉することができる。
【0015】
図3はノズル式スチームトラップ100の平面図、
図4はキャップ11を取り外した場合の平面図である。
図4に示すように、キャップ11を取り外した状態では4つの蒸気発生ノズル13が露出する。蒸気発生ノズル13は、第1蒸気発生ノズル13a、13bの2本、第2蒸気発生ノズル13c、13dの2本からなる2系列4本の構成とした。中間室10内に第1蒸気発生ノズル13a、13bと、第2蒸気発生ノズル13c、13dが、着脱可能に設けられる。蒸気発生ノズル13は、中間室10のキャップ11を外して交換することができる。
図4のように構成せず、蒸気発生ノズル13が、第1蒸気発生ノズル13aの1本、第2蒸気発生ノズル13dの1本からなる1系列2本の構成としてもよい。また、中間室10を上下方向に2つ設け、1方の中間室10に第1蒸気発生ノズル13aと第2蒸気発生ノズル13cを配置し、他方の中間室に第1蒸気発生ノズル13aと第2蒸気発生ノズル13cを配置し、2系列4本の構成を実現してもよい。
【0016】
図5は、
図4のB-B断面図である。本体部7は、内部に、上流室8と、下流室9と、中間室10と、を備える。上流室8と下流室9の間は仕切り壁12で仕切られている。中間室10は上流室8と下流室9の上部に位置している。中間室10は円筒状でキャップ11が設けられる。
【0017】
図6は、
図4のA-A断面図又はC-C断面図である。第1蒸気発生ノズル13aは、上流室8と中間室10を連通する。第2蒸気発生ノズル13cは、中間室10と下流室9を連通する。凝縮水2は、矢印のように、左側から上流室8に入り、第1蒸気発生ノズル13aを通過して中間室10に入り、第2蒸気発生ノズル13cを通過して下流室9に出る。中間室10は、1つの空間なので、凝縮水は第2蒸気発生ノズル13dを通過して下流室9に出る。
【0018】
図7は、蒸気発生ノズル13の斜視図である。蒸気発生ノズル13は、ヘッド14とネジ部15からなり、貫通孔16を有する。
【0019】
図8は、蒸気発生ノズル13の異なった形態を示す断面図である。(A)は、蒸気発生ノズル13の貫通孔16が、孔径d1、d2、d3のようにヘッド14側に向かって次第に太くされるタイプである。(B)は、蒸気発生ノズル13の貫通孔16が、孔径d5、d6のようにヘッド14側に向かって次第に細くされるタイプである。ヘッド14側の孔が細いのは、下流室9に向かう側の孔を太くするからである。(C)は、蒸気発生ノズル13の貫通孔16が、一定の孔径を有するタイプである。
【0020】
図9は、蒸気発生ノズル13の作用を具体的に示す断面図である。
図9の断面は、
図4のA-A線又はC-C線である。
図9に示すように、第1蒸気発生ノズル13a、13bに
図8の(A)タイプを使用し、第2蒸気発生ノズル13c、13dに
図8の(B)タイプを使用した。中間室10の蒸気発生ノズル13は、ヘッド14が上向きなので、キャップ11を外して着脱できる。第2蒸気発生ノズル13c、13dの中間室10側の孔径d4は、第1蒸気発生ノズル13a、13bの中間室10側の孔径d3よりも大きい。(A)タイプの孔径はd1<d2<d3であり、(B)タイプの孔径はd4<d5であるが、d3<d4の関係とした。
【0021】
図10は、蒸気発生ノズル13の作用を具体的に示す断面図である。第1蒸気発生ノズル13a、13bに
図8の(A)タイプを使用し、第2蒸気発生ノズル13c、13dに
図8の(C)タイプを使用した。ここで第2蒸気発生ノズル13c、13dの中間室10側の孔径d6は、第1蒸気発生ノズル13a、13bの中間室10側の孔径d3よりも大きい。(A)タイプの孔径はd1<d2<d3であり、(C)タイプの中間室10側の孔径はd6であるが、d3<d6の関係を持たせた。
【0022】
本実施例では、上流室8から中間室10への2系列の第1蒸気発生ノズル13a、13bと、中間室10から下流室9への2系列の第2蒸気発生ノズル13c、13dを設けたが、これに限らず3系列6本としてもよい。
前記第2蒸気発生ノズルの前記中間室側の孔径は、前記第1蒸気発生ノズルの前記中間室側の孔径よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のノズル式スチームトラップ。