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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047891
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F25B 13/00 20060101AFI20240401BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240401BHJP
   F25B 41/26 20210101ALI20240401BHJP
   F25B 43/00 20060101ALI20240401BHJP
   F24F 1/0003 20190101ALI20240401BHJP
【FI】
F25B13/00 331B
F25B1/00 331Z
F25B41/26 A
F25B43/00 B
F24F1/0003
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153649
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 智充
(72)【発明者】
【氏名】三苫 恵介
(72)【発明者】
【氏名】沖野 誠心
(72)【発明者】
【氏名】土井 裕介
(72)【発明者】
【氏名】中西 道明
(72)【発明者】
【氏名】楠本 峻也
(72)【発明者】
【氏名】平沢 優好
(72)【発明者】
【氏名】兼子 泰明
【テーマコード(参考)】
3L049
3L092
【Fターム(参考)】
3L049BA00
3L092AA01
3L092BA16
3L092BA26
(57)【要約】
【課題】運転効率がさらに向上した空気調和機を提供する。
【解決手段】空気調和機は、それぞれ冷媒が順次流通する室外熱交換器、室内熱交換器、圧縮機、及び膨張弁を有する冷凍サイクルと、冷媒の流通方向を切り替えることで、暖房運転、及び冷房運転を可能とする第一四方弁と、冷凍サイクルの低圧側のガス状態の冷媒と高圧側の液状態の冷媒とを熱交換させる液ガス熱交換器と、暖房運転及び冷房運転のいずれでも、液ガス熱交換器でガス冷媒と液冷媒とが対向流となるように、冷媒の流れを切り替える第二四方弁と、を備え、第二四方弁は、冷凍サイクルにおける低圧側のガス状態の冷媒が流通する領域に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ冷媒が順次流通する室外熱交換器、室内熱交換器、圧縮機、及び膨張弁を有する冷凍サイクルと、
前記冷媒の流通方向を切り替えることで、暖房運転、及び冷房運転を可能とする第一四方弁と、
前記冷凍サイクルの低圧側のガス冷媒と高圧側の液冷媒とを熱交換させる液ガス熱交換器と、
前記暖房運転及び前記冷房運転のいずれでも、前記液ガス熱交換器で前記ガス冷媒と前記液冷媒とが対向流となるように、前記冷媒の流れを切り替える第二四方弁と、
を備え、
前記第二四方弁は、前記冷凍サイクルにおける前記低圧側のガス状態の冷媒が流通する領域に配置されている空気調和機。
【請求項2】
前記第二四方弁は、前記冷房運転時において蒸発器として機能する前記室内熱交換器と前記圧縮機との間に配置されている請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記第二四方弁は、前記第一四方弁と前記液ガス熱交換器との間に配置されている請求項1又は2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記冷凍サイクルは、
前記圧縮機の上流側に設けられ、前記冷媒を気液分離するアキュムレータをさらに有し、
前記液ガス熱交換器、及び前記第二四方弁は、前記アキュムレータと前記圧縮機との間に配置されている請求項1に記載の空気調和機。
【請求項5】
それぞれ冷媒が順次流通する室外熱交換器、室内熱交換器、圧縮機、及び膨張弁を有する冷凍サイクルと、
前記冷媒の流通方向を切り替えることで、暖房運転、及び冷房運転を可能とする第一四方弁と、
前記冷凍サイクルの低圧側のガス冷媒と高圧側の液冷媒とを熱交換させる液ガス熱交換器と、
前記暖房運転及び前記冷房運転のいずれでも、前記液ガス熱交換器で前記ガス冷媒と前記液冷媒とが対向流となるように、前記冷媒の流れを切り替える第二四方弁と、
前記圧縮機の上流側に設けられ、前記冷媒を気液分離するアキュムレータと、
を備え、
前記液ガス熱交換器は、前記アキュムレータと前記圧縮機との間に配置されている空気調和機。
【請求項6】
前記第二四方弁は、前記アキュムレータと前記液ガス熱交換器との間に設けられている請求項5に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍サイクルは、蒸発器、凝縮器、圧縮機、及び膨張弁を備え、例えば冷房運転時には、冷媒が圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器の順に順次流通する。ここで、蒸発器から圧縮機に戻る冷媒は、圧縮機における液圧縮を防ぐために可能な限り低温の気相であることが望ましい。また、冷媒配管内では、冷媒を過冷却することでフラッシュガスの発生を抑制したいという要請もある。
【0003】
そこで、液ガス熱交換器を備えた空気調和機がこれまでに実用化されている。液ガス熱交換器を備えた空気調和機の具体例として下記特許文献1に記載されたものが知られている。下記特許文献1に係る空気調和機では、例えば冷房運転時には、蒸発器を通過した低温の気相冷媒と、凝縮器を通過した高温の液相冷媒とを液ガス熱交換器によって熱交換させる。これにより、上述の2つの要請を満たすことができるとされている。
【0004】
ところで、液ガス熱交換器内では、液相冷媒と気相冷媒とが、互いに対向する方向から流れる対向流状態であることが、熱効率を確保する観点から望ましい。そのため、下記特許文献1に係る装置では、冷房運転時と暖房運転時との間で、四方弁によって液ガス熱交換器に流入する冷媒の向きを適宜変更することが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-194432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に係る空気調和機では、四方弁の内部を低温冷媒と高温冷媒の双方が流れてしまう。このため、当該四方弁の内部で冷媒同士の間における不用意な熱交換が生じて、運転効率が低下してしまう可能性がある。
【0007】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、運転効率がさらに向上した空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示に係る空気調和機は、それぞれ冷媒が順次流通する室外熱交換器、室内熱交換器、圧縮機、及び膨張弁を有する冷凍サイクルと、前記冷媒の流通方向を切り替えることで、暖房運転、及び冷房運転を可能とする第一四方弁と、前記冷凍サイクルの低圧側のガス冷媒と高圧側の液冷媒とを熱交換させる液ガス熱交換器と、前記暖房運転及び前記冷房運転のいずれでも、前記液ガス熱交換器で前記ガス冷媒と前記液冷媒とが対向流となるように、前記冷媒の流れを切り替える第二四方弁と、を備え、前記第二四方弁は、前記冷凍サイクルにおける前記低圧側のガス状態の冷媒が流通する領域に配置されている。
【0009】
本開示に係る空気調和機は、それぞれ冷媒が順次流通する室外熱交換器、室内熱交換器、圧縮機、及び膨張弁を有する冷凍サイクルと、前記冷媒の流通方向を切り替えることで、暖房運転、及び冷房運転を可能とする第一四方弁と、前記冷凍サイクルの低圧側のガス冷媒と高圧側の液冷媒とを熱交換させる液ガス熱交換器と、前記暖房運転及び前記冷房運転のいずれでも、前記液ガス熱交換器で前記ガス冷媒と前記液冷媒とが対向流となるように、前記冷媒の流れを切り替える第二四方弁と、前記圧縮機の上流側に設けられ、前記冷媒を気液分離するアキュムレータと、を備え、前記液ガス熱交換器は、前記アキュムレータと前記圧縮機との間に配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、運転効率がさらに向上した空気調和機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の第一実施形態に係る空気調和機の回路図であって、冷房運転時における冷媒の流れを示す図である。
図2】本開示の第一実施形態に係る空気調和機の回路図であって、暖房運転時における冷媒の流れを示す図である。
図3】本開示の第二実施形態に係る空気調和機の回路図であって、冷房運転時における冷媒の流れを示す図である。
図4】本開示の第二実施形態に係る空気調和機の回路図であって、暖房運転時における冷媒の流れを示す図である。
図5】本開示の第二実施形態に係る空気調和機の変形例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第一実施形態>
(空気調和機の構成)
以下、本開示の第一実施形態に係る空気調和機1について、図1図2を参照して説明する。本実施形態に係る空気調和機1は、例えば家屋等の建築物や、自動車等の輸送機械に設置されて、室内の温度を指定された値に調節するための装置である。
【0013】
図1に示すように、空気調和機1は、冷凍サイクル10と、第一四方弁20と、液ガス熱交換器30と、第二四方弁40と、を備えている。冷凍サイクル10は、当該冷凍サイクル10のそれぞれの機器を順次流通する冷媒を圧縮したり膨張させたりすることで、室内の空気と冷媒、及び室外の空気と冷媒との間で熱交換を行うための回路である。
【0014】
(冷凍サイクルの構成)
冷凍サイクル10は、室内熱交換器11と、室内ファン12と、室外熱交換器13と、室外ファン14と、圧縮機15と、アキュムレータ16と、第一膨張弁17(膨張弁)と、第二膨張弁18(膨張弁)と、第一流路51と、第二流路52と、圧縮機流路53と、低圧ガス流路54と、を有する。
【0015】
室内熱交換器11は、第一流路51上に配置されている。第一流路51は、後述する第一四方弁20と液ガス熱交換器30との間を接続する流路である。第一流路51の内部には冷媒が充填されている。室内熱交換器11は、第一流路51内を流通する冷媒と室内の空気との間で熱交換をさせる。室内熱交換器11は、例えばフィンアンドチューブ方式の熱交換器である。室内熱交換器11の近傍には室内ファン12が設けられている。室内ファン12を運転することで、室内の空気が室内熱交換器11に強制的に供給される。
【0016】
第一流路51上における室内熱交換器11の液ガス熱交換器30側の位置には、第一膨張弁17が配置されている。第一膨張弁17は例えば電磁膨張弁であり、外部から送信された電気信号によって開度が調整される。第一膨張弁17は、冷房運転時に、第一流路51内を流れる冷媒を膨張させてその圧力を下げるために用いられる。
【0017】
室外熱交換器13は、第二流路52上に配置されている。第二流路52は、第一四方弁20と液ガス熱交換器30との間を接続する流路であって、上記の第一流路51とは別に設けられた流路である。第二流路52の内部には冷媒が充填されている。室外熱交換器13は、第二流路52内を流通する冷媒と室外の空気との間で熱交換をさせる。室外熱交換器13は、例えばフィンアンドチューブ方式の熱交換器である。室外熱交換器13の近傍には室外ファン14が設けられている。室外ファン14を運転することで、室外の空気が室外熱交換器13に強制的に供給される。
【0018】
第二流路52上における室外熱交換器13の液ガス熱交換器30側の位置には、第二膨張弁18が配置されている。第二膨張弁18は例えば電磁膨張弁であり、外部から送信された電気信号によって開度が調整される。第二膨張弁18は、暖房運転時に、第二流路52内を流れる冷媒を膨張させてその圧力を下げるために用いられる。
【0019】
圧縮機15、及びアキュムレータ16は、圧縮機流路53上に設けられている。圧縮機流路53は、液ガス熱交換器30と第一四方弁20とを接続する流路であって、上述の第一流路51、及び第二流路52とは異なる他の流路である。圧縮機15は、圧縮機流路53中のガス冷媒を圧縮して高温高圧のガス冷媒を生成する。圧縮機15として具体的には、スクロール圧縮機やロータリ圧縮機が好適に用いられる。アキュムレータ16は、圧縮機流路53上における圧縮機15の上流側に隣接して配置されている。アキュムレータ16は、冷媒を気液分離して、気相成分のみを圧縮機15に送り、液相成分を貯留する。なお、アキュムレータ16に貯留される液相成分中には、冷媒と混在する潤滑油も含まれている。
【0020】
低圧ガス流路54は、第一四方弁20と液ガス熱交換器30との間を、上記の圧縮機流路53と並行するようにして接続している。低圧ガス流路54上には、後述する第二四方弁40が配置されている。
【0021】
(第一四方弁の構成)
第一四方弁20は、上記の第一流路51、第二流路52、圧縮機流路53、及び低圧ガス流路54の接続状態を切り替えることで、冷媒の流通方向を切り替える。第一四方弁20の開通状態を切り替えることで、暖房運転、及び冷房運転の切り替えが可能とされている。図1中では、冷房運転時における第一四方弁20の開通状態を示している。具体的には、圧縮機流路53と第二流路52とが接続され、第一流路51と低圧ガス流路54とが接続されている。暖房運転時の状態については、図2を参照して後述する。
【0022】
(液ガス熱交換器の構成)
液ガス熱交換器30は、第一流路51の第一膨張弁17側の端部と、第二流路52の第二膨張弁18側の端部とを接続する位置に設けられている。また、液ガス熱交換器30は、低圧ガス流路54と圧縮機流路53とを接続している。これにより、図1に示す冷房運転時には、第二流路52から第一流路51に向かう高温高圧の液冷媒と、低圧ガス流路54から圧縮機流路53に向かう低温低圧のガス冷媒とが熱交換する。液ガス熱交換器30中では、これら2つの冷媒が互いに対向する向きから流れるように、つまり対向流となるように、その流れ方向が定められている。
【0023】
(第二四方弁の構成)
第二四方弁40は、上記の液ガス熱交換器30における2つの冷媒の流れが、暖房運転時及び冷房運転時のいずれでも対向流となるように冷媒の流れを切り替える。具体的には、第二四方弁40は、低圧ガス流路54、及び圧縮機流路53と、液ガス熱交換器30との開通状態を切り替える。図1に示す冷房運転時には、低圧ガス流路54を通過した冷媒が、液ガス熱交換器30を経て圧縮機流路53に向かう。この時に、当該冷媒の流れ方向が、第二流路52から第一流路51に向かう冷媒の流れ方向とは反対となるように第二四方弁40の開通状態が切り替えられる。
【0024】
第二四方弁40は、常態的に低圧ガス冷媒が流通する領域(つまり、低圧ガス流路54上)に設けられている。言い換えれば、第二四方弁40は、室内熱交換器11と圧縮機15との間に設けられていることが望ましい。さらに望ましくは、第二四方弁40は、第一四方弁20と、液ガス熱交換器30との間に設けられている。
【0025】
(作用効果)
続いて、空気調和機1の動作の一例について、図1図2を参照して説明する。図1は、冷房運転時における空気調和機1の回路状態を示している。同図に示すように、まず、圧縮機15で圧縮されて高温高圧となったガス冷媒は、第一四方弁20を経て、第二流路52上の室外熱交換器13に流れる。室外熱交換器13で室外の空気と熱交換したガス冷媒は、高圧の液冷媒となる。その後、この冷媒は、第二流路52上の第二膨張弁18を通過する。なお、冷房運転時には第二膨張弁18は全開状態とされており、当該第二膨張弁18を通過しても冷媒の圧力に変化は生じない。
【0026】
次いで、第二流路52を通過した冷媒は、液ガス熱交換器30に流入する。液ガス熱交換器30では、この第二流路52を通過した高温高圧の液冷媒は、後述する低温低圧のガス冷媒と熱交換する。これにより、液ガス熱交換器30を通過して第一流路51に流れ込む冷媒は、その温度が下がって過冷却度が上がった状態となる。過冷却状態となった冷媒は、次に第一膨張弁17を通過する。これにより、冷媒は膨張して低温低圧の液冷媒となる。その後、室内熱交換器11に流入した冷媒は、室内の空気と熱交換することで、その温度が上がるとともに気化して、低圧のガス冷媒となる。
【0027】
低圧のガス冷媒は、第一四方弁20を通過して、低圧ガス流路54に流入する。その後、この低圧のガス冷媒は、第二四方弁40を通過して、液ガス熱交換器30で上述の高温高圧の液冷媒と熱交換する。これにより、低圧ガス冷媒が過熱された状態となる。過熱された低圧ガス冷媒は、再び第二四方弁40を通過した後、アキュムレータ16、及び圧縮機15に流れる。以上のサイクルが連続的に生じることで、空気調和機1が冷房運転される。
【0028】
次に、図2を参照して、暖房運転時における空気調和機1の動作について説明する。同図に示すように、まず、圧縮機15で圧縮されて高温高圧となったガス冷媒は、第一四方弁20を経て、第一流路51上の室内熱交換器11に流れる。室内熱交換器11で室内の空気と熱交換したガス冷媒は、高圧の液冷媒となる。その後、この冷媒は、第一流路51上の第一膨張弁17を通過する。なお、暖房運転時には第一膨張弁17は全開状態とされており、当該第一膨張弁17を通過しても冷媒の圧力に変化は生じない。
【0029】
次いで、第一流路51を通過した冷媒は、液ガス熱交換器30に流入する。液ガス熱交換器30では、この第一流路51を通過した高温高圧の液冷媒は、後述する低温低圧のガス冷媒と熱交換する。これにより、液ガス熱交換器30を通過して第二流路52に流れ込む冷媒は、その温度が下がって過冷却度が上がった状態となる。過冷却状態となった冷媒は、次に第二膨張弁18を通過する。これにより、冷媒は膨張して低温低圧の液冷媒となる。その後、室外熱交換器13に流入した冷媒は、室外の空気と熱交換することで、その温度が上がるとともに気化して、低圧のガス冷媒となる。
【0030】
低圧のガス冷媒は、第一四方弁20を通過して、低圧ガス流路54に流入する。その後、この低圧のガス冷媒は、第二四方弁40を通過して、液ガス熱交換器30で上述の高温高圧の液冷媒と熱交換する。これにより、低圧ガス冷媒が過熱された状態となる。過熱された低圧ガス冷媒は、再び第二四方弁40を通過した後、アキュムレータ16、及び圧縮機15に流れる。以上のサイクルが連続的に生じることで、空気調和機1が暖房運転される。
【0031】
ここで、蒸発器としての室内熱交換器11、又は室外熱交換器13から圧縮機15に戻る冷媒は、圧縮機15における液圧縮を防ぐために可能な限り低温のガス冷媒であることが望ましい。また、冷媒配管内では、冷媒を過冷却することでフラッシュガスの発生を抑制したいという要請もある。そこで、本実施形態に係る空気調和機1では、液ガス熱交換器30によって、これら2つの要請に対応している。具体的には、液ガス熱交換器30を用いることで、高温高圧の液冷媒と低温低圧のガス冷媒とを熱交換させることができる。これにより、蒸発器から圧縮機15に戻る冷媒では、気化がさらに進んで、液相成分を含まないガス冷媒となる。したがって、圧縮機15で液圧縮が生じる可能性が低減され、当該圧縮機15をより安定的に運転することが可能となる。反対に、第一流路51、又は第二流路52を流れる冷媒は、過冷却されてさらに低温の状態となる。これにより、フラッシュガスの発生を抑制することができる。
【0032】
ここで、液ガス熱交換器30内では、液冷媒とガス冷媒とが、互いに対向する方向から流れる対向流状態であることが、熱効率を確保する観点から望ましい。このような状態を冷房運転時と暖房運転時のいずれでも実現するために、上述の各構成を採っている。
【0033】
上記構成によれば、第二四方弁40が低圧側のガス状態の冷媒のみが流通する領域(低圧ガス流路54上)に配置されている。つまり、当該第二四方弁40には、温度の異なる高圧側の冷媒が流入しない。したがって、第二四方弁40の内部で、低温冷媒と高温冷媒とが不用意に熱交換してしまう可能性を低減することができる。これにより、冷媒の熱量が第二四方弁40の前後を通じて安定的に維持されるため、空気調和機1の運転効率をさらに向上させることができる。
【0034】
また、上記構成によれば、第二四方弁40が室内熱交換器11と圧縮機15との間に配置されている。したがって、例えば冷房運転時では、第二四方弁40には、室内熱交換器11を通過した低圧の冷媒のみ流入する。これにより、第二四方弁40の内部で、低温冷媒と高温冷媒とが不用意に熱交換してしまう可能性を低減することができる。したがって、冷媒の熱量が第二四方弁40の前後を通じて安定的に維持されるため、空気調和機1の運転効率をさらに向上させることができる。
【0035】
加えて、上記構成によれば、第二四方弁40が第一四方弁20と液ガス熱交換器30との間に配置されている。したがって、冷房運転時と暖房運転時とを問わず、第二四方弁40には、第一四方弁20を通過した低圧の冷媒のみ流入する。これにより、第二四方弁40の内部で、低温冷媒と高温冷媒とが不用意に熱交換してしまう可能性を低減することができる。その結果、空気調和機1の運転効率をさらに向上させることができる。
【0036】
以上、本開示の第一実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【0037】
<第二実施形態>
次に、本開示の第二実施形態について、図3図4を参照して説明する。なお、上記の第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図3に示すように、本実施形態では、アキュムレータ16の設けられる位置が第一実施形態とは異なっている。具体的には、アキュムレータ16は、低圧ガス流路54上の第一四方弁20と液ガス熱交換器30との間に設けられている。言い換えると、第二四方弁40、及び液ガス熱交換器30は、アキュムレータ16と圧縮機15との間に配置されている。さらに言い換えれば、液ガス熱交換器30はアキュムレータ16よりも下流側に設けられている。また、圧縮機15は液ガス熱交換器30の下流側に設けられている。
【0038】
(作用効果)
上記構成によれば、液ガス熱交換器30がアキュムレータ16よりも下流側に配置されていることから、アキュムレータ16に流入する冷媒は、液ガス熱交換器30における熱交換を経ておらず、過熱されていない状態である。これにより、アキュムレータ16内で冷媒とともに混在する潤滑油の流動性を低く保つことができる。したがって、圧縮機15の各部に潤滑油を円滑に導くことが可能となる。
【0039】
特に、近年導入が進められているプロパンを主成分とするR290等の冷媒では、温度が上がるに従って潤滑油の流動性が低くなる傾向にあることが知られている。このため、当該冷媒を過熱すると、流動性の低くなった潤滑油がアキュムレータ16内に滞留してしまう可能性がある。しかしながら、上記構成によれば、アキュムレータ16に流入する冷媒には過熱が施されていないことから、このような可能性を大きく低減することが可能となる。その結果、空気調和機1をより安定的に運転することができる。
【0040】
加えて、上記構成によれば、圧縮機15は液ガス熱交換器30の下流側に配置されていることから、当該圧縮機15には過熱された冷媒が流入する。これにより、冷媒の液相成分がさらに気化するため、圧縮機15で液圧縮が生じる可能性をより一層低減することができる。
【0041】
また、上記構成によれば、第二四方弁40がアキュムレータ16と液ガス圧縮機15との間に設けられている。これにより、第一実施形態で説明したように、液ガス熱交換器30における低圧側冷媒と高圧側冷媒が互いに対向流となるようにこれら冷媒を流すことができる。これにより、液ガス熱交換器30における熱交換効率をさらに向上させることができる。
【0042】
なお、図3は、冷房運転時における冷媒の流れと各弁の開通状態を示し、図4は暖房運転時における冷媒の流れと各弁の開通状態を示している。これら図に示すように、いずれの運転時においても、冷媒の流れや弁の開通状態は、第一実施形態と同様である。また、いずれの運転時においても、上記した効果を同様に得ることができる。
【0043】
以上、本開示の第二実施形態について説明した。なお、本開示の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、上記第二実施形態では、アキュムレータ16と圧縮機15との間に、第二四方弁40、及び液ガス熱交換器30が配置されている例について説明した。しかしながら、変形例として図5に示すように、アキュムレータ16と圧縮機15との間に液ガス熱交換器30のみを配置し、第二四方弁40は、アキュムレータ16の上流側に配置されていてもよい。
【0044】
<付記>
各実施形態に記載の空気調和機1は、例えば以下のように把握される。
【0045】
(1)第1の態様に係る空気調和機1は、それぞれ冷媒が順次流通する室外熱交換器13、室内熱交換器11、圧縮機15、及び膨張弁を有する冷凍サイクル10と、前記冷媒の流通方向を切り替えることで、暖房運転、及び冷房運転を可能とする第一四方弁20と、前記冷凍サイクル10の低圧側のガス冷媒と高圧側の液冷媒とを熱交換させる液ガス熱交換器30と、前記暖房運転及び前記冷房運転のいずれでも、前記液ガス熱交換器30で前記ガス冷媒と前記液冷媒とが対向流となるように、前記冷媒の流れを切り替える第二四方弁40と、を備え、前記第二四方弁40は、前記冷凍サイクル10における前記低圧側のガス状態の冷媒が流通する領域に配置されている。
【0046】
上記構成によれば、第二四方弁40が低圧側のガス状態の冷媒が流通する領域に配置されている。つまり、当該第二四方弁40には高圧側の冷媒が流入しない。したがって、第二四方弁40の内部で、低温冷媒と高温冷媒とが不用意に熱交換してしまう可能性を低減することができる。これにより、空気調和機1の運転効率をさらに向上させることができる。
【0047】
(2)第2の態様に係る空気調和機1は、(1)の空気調和機1であって、前記第二四方弁40は、前記冷房運転時において蒸発器として機能する前記室内熱交換器11と前記圧縮機15との間に配置されている。
【0048】
上記構成によれば、第二四方弁40が室内熱交換器11と圧縮機15との間に配置されている。したがって、例えば冷房運転時では、第二四方弁40には、室内熱交換器11を通過した低圧の冷媒のみ流入する。これにより、第二四方弁40の内部で、低温冷媒と高温冷媒とが不用意に熱交換してしまう可能性を低減することができる。これにより、空気調和機1の運転効率をさらに向上させることができる。
【0049】
(3)第3の態様に係る空気調和機1は、(1)又は(2)の空気調和機1であって、前記第二四方弁40は、前記第一四方弁20と前記液ガス熱交換器30との間に配置されている。
【0050】
上記構成によれば、第二四方弁40が第一四方弁20と液ガス熱交換器30との間に配置されている。したがって、冷房運転時と暖房運転時とを問わず、第二四方弁40には、第一四方弁20を通過した低圧の冷媒のみ流入する。これにより、第二四方弁40の内部で、低温冷媒と高温冷媒とが不用意に熱交換してしまう可能性を低減することができる。これにより、空気調和機1の運転効率をさらに向上させることができる。
【0051】
(4)第4の態様に係る空気調和機1は、(1)から(3)のいずれか一態様に係る空気調和機1であって、前記冷凍サイクル10は、前記圧縮機15の上流側に設けられ、前記冷媒を気液分離するアキュムレータ16をさらに有し、前記液ガス熱交換器30、及び前記第二四方弁40は、前記アキュムレータ16と前記圧縮機15との間に配置されている。
【0052】
上記構成によれば、液ガス熱交換器30がアキュムレータ16よりも下流側に配置されていることから、アキュムレータ16に流入する冷媒は過熱されていない状態である。これにより、アキュムレータ16内で冷媒とともに混在する潤滑油の流動性を低く保つことができる。したがって、圧縮機15の各部に潤滑油を円滑に導くことが可能となる。加えて、圧縮機15は液ガス熱交換器30の下流側に配置されていることから、当該圧縮機15には過熱された冷媒が流入する。これにより、冷媒の液相成分が気化するため、圧縮機15で液圧縮が生じる可能性を低減することができる。
【0053】
(5)第5の態様に係る空気調和機1は、それぞれ冷媒が順次流通する室外熱交換器13、室内熱交換器11、圧縮機15、及び膨張弁を有する冷凍サイクル10と、前記冷媒の流通方向を切り替えることで、暖房運転、及び冷房運転を可能とする第一四方弁20と、前記冷凍サイクル10の低圧側のガス冷媒と高圧側の液冷媒とを熱交換させる液ガス熱交換器30と、前記暖房運転及び前記冷房運転のいずれでも、前記液ガス熱交換器30で前記ガス冷媒と前記液冷媒とが対向流となるように、前記冷媒の流れを切り替える第二四方弁40と、前記圧縮機15の上流側に設けられ、前記冷媒を気液分離するアキュムレータ16と、を備え、前記液ガス熱交換器30は、前記アキュムレータ16と前記圧縮機15との間に配置されている。
【0054】
上記構成によれば、液ガス熱交換器30がアキュムレータ16よりも下流側に配置されていることから、アキュムレータ16に流入する冷媒は過熱されていない状態である。これにより、アキュムレータ16内で冷媒とともに混在する潤滑油の流動性を低く保つことができる。したがって、圧縮機15の各部に潤滑油を円滑に導くことが可能となる。加えて、圧縮機15は液ガス熱交換器30の下流側に配置されていることから、当該圧縮機15には過熱された冷媒が流入する。これにより、冷媒の液相成分が気化するため、圧縮機15で液圧縮が生じる可能性を低減することができる。
【0055】
(6)第6の態様に係る空気調和機1は、(5)の空気調和機1であって、前記第二四方弁40は、前記アキュムレータ16と前記液ガス熱交換器30との間に設けられている。
【0056】
上記構成によれば、第二四方弁40がアキュムレータ16と液ガス圧縮機15との間に設けられていることから、液ガス熱交換器30における低圧側冷媒と高圧側冷媒が互いに対向流となるようにこれら冷媒を流すことができる。これにより、液ガス熱交換器30における熱交換効率をさらに向上させることができる。
【符号の説明】
【0057】
1…空気調和機
10…冷凍サイクル
11…室内熱交換器
12…室内ファン
13…室外熱交換器
14…室外ファン
15…圧縮機
16…アキュムレータ
17…第一膨張弁
18…第二膨張弁
20…第一四方弁
30…液ガス熱交換器
40…第二四方弁
51…第一流路
52…第二流路
53…圧縮機流路
54…低圧ガス流路
図1
図2
図3
図4
図5