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特開2024-47893光源装置、および、それを用いた露光装置
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  • 特開-光源装置、および、それを用いた露光装置 図1
  • 特開-光源装置、および、それを用いた露光装置 図2
  • 特開-光源装置、および、それを用いた露光装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047893
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】光源装置、および、それを用いた露光装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240401BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240401BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20240401BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20240401BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20240401BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20240401BHJP
   F21V 29/70 20150101ALI20240401BHJP
   G02F 1/1334 20060101ALI20240401BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240401BHJP
   F21Y 105/10 20160101ALN20240401BHJP
【FI】
F21S2/00 482
G02F1/13 101
F21S2/00 481
F21V5/00 530
F21V7/00 530
F21V19/00 170
F21V19/00 150
F21V29/503
F21V29/70
G02F1/1334
F21Y115:10
F21Y105:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153654
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】510138741
【氏名又は名称】フェニックス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】井上 智彦
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
3K013
3K244
【Fターム(参考)】
2H088FA30
2H088GA10
2H189AA04
2H189CA04
2H189FA91
3K013BA01
3K013CA05
3K244AA04
3K244BA08
3K244BA48
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA14
3K244DA19
3K244GA01
3K244GA02
3K244GA05
(57)【要約】
【課題】PNLC技術を用いて液晶パネルを露光するのに適した光源装置、および、それを用いた露光装置を提供する。
【解決手段】光源装置10を、露光用光Lを放射する複数のLED12と、複数のLED12が取り付けられるLED保持具とで構成する。そして、複数のLED12の配光角の半分の値θ°を30°以上とし、複数のLED12を、それぞれ、縦方向および横方向にそれぞれ等間隔で配置し、さらに、以下の関係を成立させる。
atan(0.5×P/D) ≦ 30、かつ
atan(P/D) ≦ θ
P:前記LED同士の配置間隔(mm)
D:前記LEDから処理対象物までの距離(mm)
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光用光を放射する複数のLEDと、
複数の前記LEDが取り付けられるLED保持具とを備えており、
複数の前記LEDの配光角の半分の値θ°は、30°以上であり、
複数の前記LEDは、それぞれ、縦方向および横方向にそれぞれ等間隔で配置されており、以下の関係が成立することを特徴とする光源装置。
atan(0.5×P/D) ≦ 30、かつ
atan(P/D) ≦ θ
P:前記LED同士の配置間隔(mm)
D:前記LEDから処理対象物までの距離(mm)
【請求項2】
請求項1に記載の光源装置を備える露光装置。
【請求項3】
前記LEDから放射された前記露光用光の角度を拡散あるいは収束させるレンズ体を更に備えている
請求項2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記処理対象物における前記LEDが配置された側とは反対側に配置された、前記露光用光を反射する反射板を更に備えている
請求項2に記載の露光装置。
【請求項5】
前記反射板には、反射させた前記露光用光の角度を拡散あるいは収束させる光拡散加工が施されている
請求項4に記載の露光装置。
【請求項6】
前記処理対象物を一括露光することを特徴とする
請求項2に記載の露光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーネットワーク型の液晶パネル(PNLC:PolymerNetworkLiquidCrystal)の製造に適した光源装置、および、それを用いた露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な液晶パネルの一括露光処理の場合、被照射面における光照射エネルギーの均斉度(均一度)が重要であることから、露光装置の光学系によって平行化(コリメート)された光(コリメート光)を用いて露光処理されることが多い。
【0003】
PNLCの製造では、入射光の角度に応じた高分子構造が形成されることから、コリメート光をパネル面に対して垂直に照射した場合、完成した液晶パネルを垂直に見たときに散乱度(ヘイズ率[曇り値])が最大となるような液晶パネルが形成される。
【0004】
近年、PNLC技術が適用された、プライバシー保護等を目的としたスマートウィンドウや透明ディスプレイが実用化されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-162823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、PNLC技術が適用されたディスプレイの場合、当該ディスプレイを正面から垂直に見たときと同じく正面からディスプレイの端部を見たときとでの違和感を低減するため、できるだけ同じ濃さ(散乱度合い)であることが望ましい。つまり、ディスプレイ全体で散乱度が均一であることが望ましい。
【0007】
また、人間の有効視野は左右で約30°、上下で約20°といわれており、ある目的物を注視する場合はさらに視野が狭くなるとされる。このような人間の視野特性に鑑みて、少なくとも左右の有効視野である30°以内の範囲においては散乱ムラが認識され難いディスプレイの製造が望まれる。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、PNLC技術を用いて液晶パネルを露光するのに適した光源装置、および、それを用いた露光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面によれば、
露光用光を放射する複数のLEDと、
複数の前記LEDが取り付けられるLED保持具とを備えており、
複数の前記LEDの配光角の半分の値θ°は、30°以上であり、
複数の前記LEDは、それぞれ、縦方向および横方向にそれぞれ等間隔で配置されており、以下の関係が成立することを特徴とする光源装置が提供される。
atan(0.5×P/D) ≦ 30、かつ
atan(P/D) ≦ θ
P:前記LED同士の配置間隔(mm)
D:前記LEDから処理対象物までの距離(mm)
【0010】
本発明の他の局面によれば、
上述した光源装置を備える露光装置が提供される。
【0011】
好適には、
前記露光装置は、前記LEDから放射された前記露光用光の角度を拡散あるいは収束させるレンズ体を更に備えている。
【0012】
好適には、
前記露光装置は、前記処理対象物における前記LEDが配置された側とは反対側に配置された、前記露光用光を反射する反射板を更に備えている。
【0013】
好適には、
前記反射板には、反射させた前記露光用光の角度を拡散あるいは収束させる光拡散加工が施されている。
【0014】
好適には、
前記露光装置は、前記処理対象物を一括露光するようになっている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、LEDの配光角の半分の値θが30°以上であり、「atan(0.5×P/D) ≦ 30」かつ「atan(P/D) ≦ θ」(P:LED同士の配置間隔(mm); D:LEDから処理対象物までの距離(mm))の関係が成立していることにより、処理対象物のどの位置でも、「30°以下の入射角の露光用光」、および、「30°以上の入射角の露光用光」が入射する。
【0016】
このような2種類の露光用光で処理対象物を露光することにより、処理対象物において立体的なポリマーネットワークが形成されるので、見る角度によって散乱ムラが少ない処理対象物(つまり、液晶パネル)を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る露光装置100を示す図である。
図2】本発明が適用された光源装置10を示す図である。
図3】実施形態に係る露光装置100を側方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(露光装置100・光源装置10の構成)
本実施形態に係る露光装置100は、図1に示すように、大略、光源装置10と、レンズ体110と、ステージ112と、反射板114とで構成されている。
【0019】
光源装置10は、図2に示すように、大略、LED12と、基板14と、ヒートシンク16とで構成されている。なお、基板14およびヒートシンク16で「LED保持具」が構成される。
【0020】
LED12は、露光に必要な波長の露光用光Lを放射する発光素子である。また、各LED12の配光角の半分の値θ°は30°以上となっている。
【0021】
基板14は、複数のLED12が表面に実装される板材であり、各LED12に給電するための給電回路(図示せず)も表面に実装されている。本実施形態では、ひとつの基板14に9つのLED12が実装されているが、ひとつの基板14に実装されるLED12の数は特に限定されるものではない。
【0022】
ヒートシンク16は、複数の基板14が表面に取り付けられる部材であり、各基板14に実装されたLED12から発生した熱を当該基板14を介して受け取り、空冷あるいは水冷等の手段で当該熱を放射する役割を有している。なお、本実施形態では、ひとつの部材でヒートシンク16が構成されているが、複数の部材を組み合わせてヒートシンク16を構成してもよい。
【0023】
本実施形態において、各LED12は、縦方向および横方向(縦方向に対して直交する方向)にそれぞれ等しい配置間隔Pで配置されている。これは、互いに隣り合う基板14にそれぞれ配置されたLED12であっても同じである。
【0024】
図1に戻り、レンズ体110は、LED12から放射された露光用光Lの角度を拡散あるいは収束させる役割を有する部材である。本実施形態では、レンズ体110として、露光用光Lの角度を拡散させる拡散板が使用されているが、これに変えて、凹レンズや凸レンズ等を使用してもよい。また、レンズ体110を使用することなく露光装置100を構成してもよい。
【0025】
ステージ112は、処理対象物Xとしてのパネル(液晶パネル)を載置するための部材である。
【0026】
反射板114はステージ112の上面に載置される部材であり、当該反射板114の上面に処理対象物Xが載置される。つまり、反射板114は、処理対象物XにおけるLED12が配置された側とは反対側に配置されている。なお、処理対象物Xは、支持部材116によってステージ112および反射板114から光源装置10側に離間して配置されている。
【0027】
この反射板114は、LED12から放射され、処理対象物Xを透過してきた露光用光Lを反射させて、当該露光用光Lを再び処理対象物Xの露光に使用するための部材である。
【0028】
本実施形態に係る反射板114には、反射させた露光用光Lの角度を拡散あるいは収束させる光拡散加工が凹凸加工やサンドブラスト等によって施されているが、光拡散加工は必須の構成要素ではない。
【0029】
また、反射板114を使用することなく露光装置100を構成してもよい。
【0030】
(露光装置100・光源装置10の特徴)
図3に示すように、光源装置10におけるLED12同士の配置間隔P[mm]と、LED12から処理対象物Xまでの距離D[mm]との関係で以下の式が成立するように、露光装置100における光源装置10の位置を設定する。
atan(0.5×P/D) ≦ 30、かつ
atan(P/D) ≦ θ
【0031】
任意のLED12の直下における処理対象物Xの表面を照射ポイントFとすると、当該照射ポイントFには真上のLED12を中心としてそのLED12の縦方向および横方向に隣接して配置された別のLED12からの光も入射する。
【0032】
例えば、以下の条件で露光装置100および光源装置10を構成することが考えられる。
・LED12 UV-LED ピーク波長365nm
・LED12の間隔P: 28mm
・照射距離D: 50mm
・LED12の配光角(指向角)の半分 θ: 60°
・atan(0.5×P/D)=15.64<30、かつ
atan(P/D)=29.24<60
【0033】
このような露光装置100および光源装置10を用いて、処理対象物Xを一括露光するのが好適である。一括露光ではなく、分割露光やスキャン露光を採用した場合、処理対象物Xに照射境界が生じてしまい、この境界で照度が著しく低い状態で化学反応(低照度露光)が発生すると良好な高分子構造が形成されず、十分な散乱度が得られなくなる。この結果、十分な照度を得られた領域とこの照射境界とで散乱度の大きな差が生じて散乱ムラの原因となる。
【0034】
本実施形態に係る露光装置100および光源装置10によれば、LED12の配光角の半分の値θ°が30°以上であり、「atan(0.5×P/D) ≦ 30」かつ「atan(P/D) ≦ θ」(P:LED12同士の配置間隔(mm); D:LED12から処理対象物Xまでの距離(mm))の関係が成立していることにより、処理対象物Xのどの位置でも、「30°以下の入射角の露光用光L」、および、「30°以上の入射角の露光用光L」が入射する。
【0035】
このような2種類の露光用光Lで処理対象物Xを露光することにより、処理対象物Xにおいて立体的なポリマーネットワークが形成されるので、見る角度によって散乱ムラが少ない処理対象物X(つまり、液晶パネル)を得ることができる。
【0036】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0037】
10…光源装置、12…LED、14…基板、16…ヒートシンク
100…露光装置、110…レンズ体、112…ステージ、114…反射板、116…支持部材
図1
図2
図3