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特開2024-47904液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置、及び液体噴射ヘッドの組立方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047904
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置、及び液体噴射ヘッドの組立方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20240401BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
B41J2/14
B41J2/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153668
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】501167725
【氏名又は名称】エスアイアイ・プリンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲濱▼ 雄一
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056HA15
2C056KB15
2C057AG30
(57)【要約】
【課題】各流路の流量配分を調整する。
【解決手段】インクジェットヘッド5は、インクを噴射する。インクジェットヘッド5は、インクが通過する噴射流路32を有するヘッド本体30と、駆動回路を冷却するための冷媒としてインクが通過する冷却流路42を有する冷却配管41と、冷却流路42の流路抵抗を調整する絞り部材100と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射する液体噴射ヘッドであって、
前記液体が通過する噴射流路を有する噴射部と、
熱源を冷却するための冷媒として前記液体が通過する冷却流路を有する冷却配管と、
前記噴射流路及び前記冷却流路の少なくとも一方の流路抵抗を調整する絞り部材と、を備える、
液体噴射ヘッド。
【請求項2】
前記絞り部材は、前記絞り部材とは流路抵抗が異なる別の絞り部材に交換可能とされている、
請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項3】
前記絞り部材は、
前記冷却流路に沿って延びる筒部と、
前記筒部から前記冷却配管の端部よりも外側に張り出す張出部と、を備える、
請求項2に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項4】
前記張出部は、前記張出部から前記冷却配管の外周面に沿って延び且つ弾性変形可能な弾性変形部を備える、
請求項3に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項5】
前記絞り部材は、
前記冷却配管の端部が挿入される環状溝と、
前記筒部の周方向において前記弾性変形部を区画するように前記環状溝から放射状に延びる放射状溝と、を有する、
請求項4に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項6】
前記絞り部材は、
前記液体が流入する絞り入口と、
前記液体が流出する絞り出口と、を有し、
前記絞り出口の開口面積は、前記絞り入口の開口面積よりも小さい、
請求項1から5の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項7】
前記液体噴射ヘッドの外部から前記液体が流入又は流出する液体流路から分岐して前記噴射流路に通じる噴射側分岐路と、前記液体流路から分岐して前記冷却流路に通じる冷却側分岐路と、が形成された流路部材を更に備え、
前記流路部材は、前記絞り部材の少なくとも一部を収容する収容凹部を有する、
請求項1から5の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項8】
前記熱源が配置される熱源配置面を有し、前記冷却配管の少なくとも一部が埋め込まれる冷却部材を更に備え、
前記絞り部材は、前記冷却配管において前記熱源配置面と重なる部分以外の部分に設けられる、
請求項1から5の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項9】
請求項1から5の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドが取り付けられるキャリッジと、を備える、
液体噴射記録装置。
【請求項10】
液体を噴射する液体噴射ヘッドの組立方法であって、
前記液体が通過する噴射流路を有する噴射部と、
熱源を冷却するための冷媒として前記液体が通過する冷却流路を有する冷却配管と、
前記噴射流路及び前記冷却流路の少なくとも一方の流路抵抗を調整する絞り部材と、を備え、
前記冷却配管に対して前記絞り部材を組み付ける絞り部材組付工程を含み、
前記絞り部材組付工程では、互いに異なる流路抵抗を有する複数の中から所定の流路抵抗を有する1つを選択して組み付ける、
液体噴射ヘッドの組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置、及び液体噴射ヘッドの組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外部から供給される液体を流通する供給流路を有するヘッド部と、冷却流路を含む冷却部と、を備えた液体噴射ヘッドが開示されている。特許文献1では、外部から供給される液体の一部をヘッド部の供給流路を流通させ、他の一部を冷却部の冷却流路を流通させている。
特許文献2には、液体を噴射する液体噴射ヘッドチップと、冷媒が通過する冷媒流路を含む冷却部と、を備えた液体噴射ヘッドが開示されている。特許文献2では、インクを印刷用の原料として用いるだけでなく、制御回路などの冷却を行うための冷媒としても用いるモードがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-171806号公報
【特許文献2】特開2019-84704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、設計仕様等により、同じ仕様のシステム、もしくは同じ仕様のヘッドを用いて、粘度や熱伝導率の異なる多種多様なインクを用いる場合がある。インク種(粘度や熱伝導率)や吐出条件等の違いによっては、各流路へ流すためのインク量の最適な配分が変化する。しかし、各流路において流路抵抗が一定の場合、各流路の流量配分を調整することは困難である。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、各流路の流量配分を調整することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の一態様に係る液体噴射ヘッドは、液体を噴射するための噴射流路を有する噴射部と、熱源を冷却するための冷媒として前記液体が通過する冷却流路を有する冷却配管と、前記噴射流路及び前記冷却流路の少なくとも一方の流路抵抗を調整する絞り部材と、を備える。
【0007】
本態様に係る液体噴射ヘッドによれば、噴射流路及び冷却流路の少なくとも一方の流路抵抗を調整する絞り部材を備えることで、噴射流路及び冷却流路の各流路において流路抵抗を異ならせることができる。したがって、各流路の流量配分を調整することができる。
【0008】
(2)(1)の態様の液体噴射ヘッドにおいて、前記絞り部材は、前記絞り部材とは流路抵抗が異なる別の絞り部材に交換可能とされていてもよい。
【0009】
この構成によれば、絞り部材の交換により、設計仕様等に応じて各流路の流量配分を調整することができる。
【0010】
(3)(2)の態様の液体噴射ヘッドにおいて、前記絞り部材は、前記冷却流路に沿って延びる筒部と、前記筒部から前記冷却配管の端部よりも外側に張り出す張出部と、を備えてもよい。
【0011】
この構成によれば、張出部を支持することにより、絞り部材の着脱を行うことができる。
【0012】
(4)(3)の態様の液体噴射ヘッドにおいて、前記張出部は、前記張出部から前記冷却配管の外周面に沿って延び且つ弾性変形可能な弾性変形部を備えてもよい。
【0013】
この構成によれば、弾性変形部により、冷却配管の外周面に絞り部材を支持することができる。したがって、絞り部材の着脱をより効率的に行うことができる。
【0014】
(5)(4)の態様の液体噴射ヘッドにおいて、前記絞り部材は、前記冷却配管の端部が挿入される環状溝と、前記筒部の周方向において前記弾性変形部を区画するように前記環状溝から放射状に延びる放射状溝と、を有してもよい。
【0015】
この構成によれば、放射状溝において、弾性変形部の弾性変形を吸収することができる。したがって、絞り部材の着脱をより効率的に行うことができる。
【0016】
(6)(1)から(5)の何れかの態様の液体噴射ヘッドにおいて、前記絞り部材は、 前記液体が流入する絞り入口と、前記液体が流出する絞り出口と、を有し、前記絞り出口の開口面積は、前記絞り入口の開口面積よりも小さくてもよい。
【0017】
この構成によれば、絞り入口よりも絞り出口において液体の流速が速くなるため、流路内に気泡がたまることを抑制することができる。
【0018】
(7)(1)から(6)の何れかの態様の液体噴射ヘッドにおいて、前記液体噴射ヘッドの外部から前記液体が流入又は流出する液体流路から分岐して前記噴射流路に通じる噴射側分岐路と、前記液体流路から分岐して前記冷却流路に通じる冷却側分岐路と、が形成された流路部材を更に備え、前記流路部材は、前記絞り部材の少なくとも一部を収容する収容凹部を有してもよい。
【0019】
この構成によれば、絞り部材において収容凹部に収容される部分の密閉性(気密性や液密性)を向上させることができる。
【0020】
(8)(1)から(7)の何れかの態様の液体噴射ヘッドにおいて、前記熱源が配置される熱源配置面を有し、前記冷却配管の少なくとも一部が埋め込まれる冷却部材を更に備え、前記絞り部材は、前記冷却配管において前記熱源配置面と重なる部分以外の部分に設けられてもよい。
【0021】
この構成によれば、絞り部材が冷却配管において熱源配置面と重なる部分に設けられる場合と比較して、絞り部材へ熱源からの熱を伝わりにくくすることができる。したがって、熱源からの熱により絞り部材が変形や劣化等することを抑制することができる。
【0022】
(9)本開示の一態様に係る液体噴射記録装置は、(1)から(8)の何れかの態様の液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドが取り付けられるキャリッジと、を備える。
【0023】
本態様に係る液体噴射記録装置によれば、各流路の流量配分を調整できる液体噴射記録装置が得られる。
【0024】
(10)本開示の一態様に係る液体噴射ヘッドの組立方法は、液体を噴射する液体噴射ヘッドの組立方法であって、前記液体が通過する噴射流路を有する噴射部と、熱源を冷却するための冷媒として前記液体が通過する冷却流路を有する冷却配管と、前記噴射流路及び前記冷却流路の少なくとも一方の流路抵抗を調整する絞り部材と、を備え、前記冷却配管に対して前記絞り部材を組み付ける絞り部材組付工程を含み、前記絞り部材組付工程では、互いに異なる流路抵抗を有する複数の中から所定の流路抵抗を有する1つを選択して組み付ける。
【0025】
本態様に係る液体噴射ヘッドの組立方法によれば、絞り部材組付工程では、互いに異なる流路抵抗を有する複数の中から所定の流路抵抗を有する1つを選択して組み付けることで、噴射流路及び冷却流路の各流路において流路抵抗を異ならせることができる。したがって、各流路の流量配分を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】一実施形態に係るプリンタの概略構成図である。
図2】一実施形態に係るインクジェットヘッド及びインク循環機構の概略構成図である。
図3】一実施形態に係るインクジェットヘッドの正面図である。
図4】一実施形態に係るインクの流れを説明する断面図である。
図5図3に示す矢視V-V断面斜視図である。
図6】一実施形態に係る冷却ユニットの斜視図である。
図7】一実施形態に係る絞り部材の設置場所を示す説明図である。
図8】一実施形態に係る絞り部材の斜視図である。
図9】一実施形態に係る絞り部材の配置構造を説明する断面図である。
図10】粘度5cpのインクを用いた場合において、絞り寸法に応じた差圧と流量との関係を示すグラフである。
図11】粘度10cpのインクを用いた場合において、絞り寸法に応じた差圧と流量との関係を示すグラフである。
図12】一実施形態に係る絞り部材の第1変形例を説明する断面図である。
図13】一実施形態に係る絞り部材の第2変形例を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照して説明する。
【0028】
以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
【0029】
[プリンタ1]
図1は、一実施形態に係るプリンタ1の概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態のプリンタ1(液体噴射記録装置)は、一対の搬送機構2,3と、インクタンク4と、インクジェットヘッド5(液体噴射ヘッド)と、インク循環機構6と、走査機構7と、を備えている。
【0030】
以下の説明では、必要に応じてX,Y,Zの直交座標系を用いて説明する。X方向は、被記録媒体P(例えば、紙等)の搬送方向(副走査方向)である。Y方向は、走査機構7の走査方向(主走査方向)である。Z方向は、X方向及びY方向に直交する高さ方向(重力方向)である。
【0031】
また、以下の説明では、X方向、Y方向及びZ方向のうち、図中矢印側をプラス(+)側とし、矢印とは反対側をマイナス(-)側として説明する。本実施形態において、+Z側は重力方向の上方に相当し、-Z側は重力方向の下方に相当する。
【0032】
搬送機構2,3は、被記録媒体Pを+X側に搬送する。搬送機構2,3は、例えばY方向に延びる一対のローラ11,12をそれぞれ含んでいる。インクタンク4は、複数設けられ、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインクが各別に収容されている。
【0033】
インクジェットヘッド5は、複数設けられ、接続されたインクタンク4に応じてイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインクをそれぞれ吐出可能に構成されている。
【0034】
図2は、一実施形態に係るインクジェットヘッド5及びインク循環機構6の概略構成図である。
図1図2に示すように、インク循環機構6は、インクタンク4とインクジェットヘッド5との間でインクを循環させる。具体的に、インク循環機構6は、インク供給管21及びインク排出管22を有する循環流路23と、インク供給管21に接続された加圧ポンプ24と、インク排出管22に接続された吸引ポンプ25と、を備えている。
【0035】
加圧ポンプ24は、インク供給管21内を加圧し、インク供給管21を通してインクジェットヘッド5にインクを送り出している。これにより、インクジェットヘッド5に対してインク供給管21側は正圧になる。
【0036】
吸引ポンプ25は、インク排出管22内を減圧し、インク排出管22内を通してインクジェットヘッド5からインクを吸引している。これにより、インクジェットヘッド5に対してインク排出管22側は負圧になる。インクは、加圧ポンプ24及び吸引ポンプ25の駆動により、インクジェットヘッド5とインクタンク4との間を、循環流路23を通して循環している。
【0037】
図1に示すように、走査機構7は、インクジェットヘッド5をY方向に往復走査させる。走査機構7は、Y方向に延びるガイドレール28と、ガイドレール28に移動可能に支持されたキャリッジ29と、キャリッジ29を移動させる駆動装置と、を備えている。駆動装置は、例えば、モータ、プーリー、ベルト等から構成されている。
【0038】
<インクジェットヘッド5>
インクジェットヘッド5は、キャリッジ29に搭載されている。本実施形態のインクジェットヘッド5は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電素子から形成されたアクチュエータプレートを含むヘッドチップからインクを吐出する電気機械変換式のインクジェットヘッドである。
【0039】
このインクジェットヘッド5において、インクを吐出させるには、アクチュエータプレートに形成された吐出チャネルの駆動壁の電極間に電圧を印加して、駆動壁を厚み滑り変形させる。これにより、吐出チャネル内の容積が変化することで、吐出チャネル内のインクがノズル孔を通じて吐出される。なお、液体の吐出方式としては、上記の電気機械変換式に限らず、帯電制御方式、加圧振動方式、電気熱変換方式、静電吸引方式などであっても構わない。
【0040】
帯電制御方式は、材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御してノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に超高圧を印加してノズル先端側に材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には材料が直進してノズルから吐出され、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が飛散してノズルから吐出されない。
【0041】
また、電気熱変換方式は、材料を貯留した空間内に設けたヒータにより、材料を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の材料を吐出させるものである。静電吸引方式は、材料を貯留した空間内に微小圧力を加え、ノズルに材料のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから材料を引き出すものである。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用できる。
【0042】
図3は、一実施形態に係るインクジェットヘッド5の正面図である。図4は、一実施形態に係るインクの流れを説明する断面図である。図5は、図3に示す矢視V-V断面斜視図である。図6は、一実施形態に係る冷却ユニット40の斜視図である。
これらの図に示すように、インクジェットヘッド5は、インク(液体)を噴射する。インクジェットヘッド5は、インクが通過する噴射流路32を有するヘッド本体30(噴射部)と、駆動回路35(熱源)を冷却するためのインク(冷媒)が通過する冷却流路42を有する冷却配管41と、冷却配管41の少なくとも一部が埋め込まれた冷却部材50と、冷却流路42の流路抵抗を調整する絞り部材100と、インクジェットヘッド5の外部からインクが流入又は流出するインク流路20(液体流路)から分岐して噴射流路32に通じる噴射側分岐路と冷却流路42に通じる冷却側分岐路とが形成された流路部材80,90と、を備える。
【0043】
[ヘッド本体30]
ヘッド本体30は、矩形の箱形状を有する。ヘッド本体30の下面には、インクを噴射する不図示のノズル列が設けられている。ヘッド本体30は、キャリッジ29に設置されるベース部材31に支持されている。ベース部材31は、X方向においてヘッド本体30よりも長く形成されている。ベース部材31の下面には、ヘッド本体30のノズル列を露出させる図示しない長孔が形成されている。
【0044】
[駆動回路35]
駆動回路35は、例えばヘッド本体30の動作や循環機構の動作などを制御するドライバICである。駆動回路35は、冷却部材50と熱的に接触している。図の例では、駆動回路35は、絶縁部材36を介して冷却部材50と間接的に接触している。絶縁部材36は、例えばシリコン等の絶縁材料で形成されたシート状の部材である。なお、熱源は、ドライバIC等の駆動回路35であることに限らない。熱源は、駆動により発熱するものであればよく、他の電子部品であってもよい。
【0045】
[基板部60]
インクジェットヘッド5は、駆動回路35が実装された基板部60を備える。基板部60は、複数の電気回路が実装された基板本体61と、基板本体61と上述したアクチュエータプレートの各駆動電極(駆動壁の電極)との間を電気的に接続するフレキシブル基板62と、を備える。
【0046】
基板本体61は、例えばリジット基板である。基板本体61は、不図示の連結部材を介して冷却部材50等に連結されている。基板本体61の上部には、コネクタ65が設けられている。基板本体61は、コネクタ65を介して、外部のメインコントローラーや電源等と電気的に接続されている。
【0047】
なお、基板本体61は、フレキシブル基板であっても構わない。この場合、基板本体61には、コネクタ65を設けずに、基板本体61の一部をインクジェットヘッド5の外側に延ばして、プリンタ1と直接接続してもよい。
【0048】
フレキシブル基板62は、基板本体61からY方向に離間するように斜め下方に延びている。フレキシブル基板62において斜め下方に延びた部分は、上述したアクチュエータプレートの各駆動電極に接続されている。
【0049】
フレキシブル基板62には、X方向に間隔をあけて一直線状に複数の駆動回路35が実装されている。駆動回路35は、ドライバICであり、発熱量が多い。このため、各駆動回路35から熱を受ける支持部材70が設けられている。図3では、支持部材70を二点鎖線で示している。
【0050】
[支持部材70]
支持部材70は、例えばアルミニウム等の熱伝導性、放熱性に優れた材料で形成されている。支持部材70は、冷却部材50等を介して、Y方向に一対設けられている。支持部材70は、X方向に延びる本体部71と、本体部71のX方向の両端部に設けられた端側固定部72と、本体部71のX方向の中央部下側に設けられた中央下側固定部73と、を備える。
【0051】
本体部71は、平板状に形成されている。本体部71は、フレキシブル基板62を介して、各駆動回路35とY方向で対向している。本体部71は、各駆動回路35と熱的に接触している。
【0052】
端側固定部72は、本体部71の両端部からZ方向両側に延びている。一対の支持部材70は、冷却部材50の各貫通孔57を介して、それぞれの端側固定部72においてネジ止めされている。
【0053】
中央下側固定部73は、本体部71のX方向の中央部下側から-Z側に延びている。一対の支持部材70は、冷却部材50の中央下側凹部58を介して、それぞれの中央下側固定部73においてネジ止めされている。
【0054】
[流路部材80,90]
インクジェットヘッド5は、入口側流路部材80及び出口側流路部材90を備える。各流路部材80,90は、例えばポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド等の樹脂材料から形成されている。各流路部材80,90は、L字状に形成されている。
【0055】
入口側流路部材80は、インクジェットヘッド5のX方向の一方側(+X側)に設けられている。入口側流路部材80には、上述したインク供給管21が接続される入口ポート81が設けられている。入口側流路部材80は、ボルト等の締結部材を介して、ヘッド本体30のX方向の一方側(+X側)に取り付けられている。
【0056】
入口側流路部材80は、入口ポート81からインクが流入する流入通路(液体流路)から分岐する第1流入分岐路82(噴射側分岐路)及び第2流入分岐路83(冷却側分岐路)を有する。第1流入分岐路82は、入口ポート81の流入通路からのインクをヘッド本体30内(噴射流路32)に導く通路である。第2流入分岐路83は、入口ポート81の流入通路からのインクを冷却配管41内(冷却流路42)に導く通路である。
【0057】
出口側流路部材90は、インクジェットヘッド5のX方向の他方側(-X側)に設けられている。出口側流路部材90には、上述したインク排出管22が接続される出口ポート91が設けられている。出口側流路部材90は、ボルト等の締結部材を介して、ヘッド本体30のX方向の他方側(-X側)に取り付けられている。
【0058】
出口側流路部材90は、出口ポート91へインクが流出する流出通路(液体流路)から分岐する第1流出分岐路92(噴射側分岐路)及び第2流出分岐路93(冷却側分岐路)を有する。第1流出分岐路92は、ヘッド本体30内(噴射流路32)からのインクを出口ポート91の流出通路に導く通路である。第2流出分岐路93は、冷却配管41内(冷却流路42)からのインクを出口ポート91の流出通路に導く通路である。
【0059】
[冷却配管41]
冷却配管41は、インクに対する耐食性を有する。ここで、耐食性は、インクに含浸した場合に、腐食が進行する速度を意味する。冷却配管41は、冷却部材50と比較して耐食性が高い。ここで、耐食性が高いとは、インクに対する腐食の進行が遅いことを意味する。冷却配管41は、例えばステンレス鋼で形成されている。
【0060】
なお、冷却配管41は、銅合金、チタン合金、ニッケル合金、クロム合金等で形成されていてもよい。冷却配管41は、冷却部材50と比較して、インクに対する耐食性が高い材料で形成されているとよい。例えば、冷却配管41の形成材料は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0061】
冷却配管41は、インクが通過する入口ポート81の流路(液体流路)から分岐している。冷却配管41は、冷媒としてインクが通過する冷却流路42を有する。冷却流路42は、入口側流路部材80の第2流入分岐路83と出口側流路部材90の第2流出分岐路93とに通じている。
【0062】
例えば、加圧ポンプ24及び吸引ポンプ25を稼働すると、インクタンク4内のインクは、入口側流路部材80の入口ポート81と、第1流入分岐路82及び第2流入分岐路83とを順に経由してヘッド本体30及び冷却配管41へ送られる。その後、インクは、出口側流路部材90の第1流出分岐路92及び第2流出分岐路93と、出口ポート91とを順に経由してインクタンク4内へ戻される。
【0063】
冷却配管41は、冷却部材50に対してインサート成型されている。ここで、インサート成型は、鋳型内に入れた部品の周りに材料を入れて1つの部品として成型することを意味する。本実施形態の冷却配管41は、鋳型内に入れた冷却配管41の周りに冷却部材50の材料を入れて1つの部品として成型されている。以下、冷却配管41と冷却部材50とを一体化した部品を「冷却ユニット40」という。
【0064】
冷却配管41は、直管形状を有する。冷却配管41は、X方向に沿って直線状に延びている。冷却配管41は、X方向に沿って延びる円筒形状を有する。
【0065】
冷却配管41の端部は、冷却部材50の外形の外側に配置されている。冷却配管41の一端部(+X側端部)は、冷却部材50の一側面(+X側面)の外側(+X側)に配置されている。冷却配管41の他端部(-X側端部)は、冷却部材50の他側面(-X側面)の外側(-X側)に配置されている。冷却部材50においてX方向両端部以外の部分(X方向中央側の部分)は、冷却部材50に埋め込まれている。
【0066】
図の例では、1本の冷却配管41が設けられているが、これに限らない。例えば、複数本の冷却配管41が設けられていてもよい。例えば、冷却配管41の設置本数は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0067】
図の例では、冷却配管41の断面形状(YZ面で切断した形状)は円環形状であるが、これに限らない。例えば、冷却配管41の断面形状は、矩形枠状であってもよい。例えば、冷却配管41の断面形状は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0068】
[冷却部材50]
冷却部材50は、冷却配管41よりも高い熱伝導率を有する。冷却部材50は、X方向に長手を有する直方体形状に形成されている。冷却部材50は、例えばアルミニウムの単体又はアルミニウム合金で形成されている。
【0069】
なお、冷却部材50は、亜鉛合金で形成されていてもよい。冷却部材50は、冷却配管41と比較して、高い熱伝導率を有する材料で形成されているとよい。例えば、冷却部材50の形成材料は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0070】
冷却部材50は、冷却配管41を挟んで互いに反対側に配置される第1面51(-Y側面)及び第2面52(+Y側面)を有する。第1面51は、冷却配管41よりも-Y側において、XZ平面に沿う面である。第2面52は、冷却配管41よりも+Y側において、XZ平面に沿う面である。
【0071】
冷却部材50は、冷却配管41を囲む部分の少なくとも一部に凹部53A,53Bを有する。凹部53A,53Bは、冷却配管41の中心軸に対して交差する4つの方向に開口している。4つの方向は、X方向から見て、冷却配管41の中心軸に対して、+Z側かつ-Y側の方向、-Z側かつ-Y側の方向、+Z側かつ+Y側の方向、-Z側かつ+Y側の方向である。
【0072】
図の例では、4つの方向に開口する凹部53A,53Bのうち、冷却部材50の第1面51の上側(+Z側)に形成された第1上側凹部53Aと、冷却部材50の第1面51の下側(-Z側)に形成された第1下側凹部53Bと、を示す。冷却部材50の第2面52の上側に形成された第2上側凹部と、冷却部材50の第2面52の下側に形成された第2下側凹部と、の図示は省略する。
【0073】
冷却部材50は、駆動回路35が配置される熱源配置面56を有する。図の例では、熱源配置面56を一点鎖線で示している。熱源配置面56は、冷却部材50において凹部53A,53B以外の部分に設けられている。
【0074】
図の例では、凹部53A,53Bは、Y方向から見て、角丸を有する矩形状に形成されている。図の例では、Z方向に並ぶ一対の凹部53A,53B(第1上側凹部53A及び第1下側凹部53B)が、X方向に間隔をあけて6組配置されている。X方向において、凹部53A,53B及び熱源配置面56は交互に設けられている。なお、凹部53A,53Bの形状、設置数、配置場所などは、これに限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0075】
熱源配置面56は、平面である。熱源配置面56は、XZ平面に沿って設けられている。熱源配置面56は、Y方向から見て、冷却配管41と重なる。例えば、熱源配置面56は、Y方向から見て、駆動回路35の外形よりも大きい外形を有しているとよい。例えば、Y方向から見て、駆動回路35が矩形形状を有する場合、熱源配置面56は駆動回路35の外形よりも大きい矩形形状を有しているとよい。図の例では、熱源配置面56は、冷却部材50においてZ方向に並ぶ一対の凹部53A,53B以外の部分に、X方向に間隔をあけて5箇所配置されている。
【0076】
熱源配置面56は、冷却部材50の第1面51及び第2面52のそれぞれに設けられている。例えば、熱源配置面56は、冷却部材50の第1面51及び第2面52のそれぞれにおいてZ方向に並ぶ一対の凹部53A,53B以外の部分に、X方向に間隔をあけて5箇所(第1面51及び第2面52を合わせて合計10箇所)配置されている。なお、熱源配置面56の形状、設置数、配置場所などは、これに限らず、設計仕様に応じて変更することができる。
【0077】
冷却部材50のX方向端部側には、Y方向に開口する上下一対の貫通孔57が形成されている。冷却部材50のX方向中央下側には、冷却部材50の下面から+Z側に窪む中央下側凹部58が形成されている。各貫通孔57及び中央下側凹部58は、一対の支持部材70を固定するためのネジが通る部分である。図の例では、冷却部材50は、X方向両端側の上下2箇所とX方向中央下側の1箇所との合計5箇所で、ネジを介して一対の支持部材70に固定されている。
【0078】
[絞り部材100]
図7は、一実施形態に係る絞り部材100の設置場所を示す説明図である。図8は、一実施形態に係る絞り部材100の斜視図である。図9は、一実施形態に係る絞り部材100の配置構造を説明する断面図である。
先に、インクジェットヘッド5にインクを供給するためのポンプシステム(インクジェットヘッド5外部のインクシステム)について説明する。ポンプシステムは、上述したインク循環機構6(図2参照)を含むシステムに相当する。
【0079】
ポンプシステムにおいては、ヘッド本体30内(噴射流路32)と冷却配管41内(冷却流路42)とに必要な流量のインクが流れるように、加圧ポンプ24からの供給圧力(ポンプ圧力)を上げる場合がある。特定の供給圧力のポンプシステムによって供給されるインク総流量Qinは、インクジェットヘッド5内の管路抵抗によって決まる。
【0080】
以下の式(1)において、Qaはインク総流量Qinにおける噴射流路32への流量、Qbはインク総流量Qinにおける冷却流路42への流量、Raは噴射流路32の流路抵抗、Rbは冷却流路42の流路抵抗をそれぞれ示す。
【0081】
Qa/Qb=Rb/Ra ・・・(1)
【0082】
式(1)に示すように、インク総流量Qinにおける噴射流路32への流量Qaと冷却流路42への流量Qbとの割合は、噴射流路32及び冷却流路42の各流路における流路抵抗Ra,Rbの逆比となる。
【0083】
例えば、設計仕様等により、同じ仕様のシステム、もしくは同じ仕様のヘッドを用いて、粘度や熱伝導率の異なる多種多様なインクを用いる場合がある。インク種(粘度や熱伝導率)や、温度によるインクの粘度の変化、吐出条件(吐出量や駆動周波数)、ドライバICの発熱量等の違いによっては、各流路へ流すためのインク量の最適な配分(割合)が変化する。しかし、各流路において流路抵抗が一定の場合、各流路の流量配分を調整することは困難である。
【0084】
例えば、噴射流路32及び冷却流路42のうち一方の流路に最低限必要な量のインクが流れるようにポンプ圧力を上げる場合には、ポンプシステムのコストも大きくなる。しかし、一方の流路に必要な流量を流すためにポンプ圧力を上げると、他方の流路の流量も比例して上がることになる。
【0085】
これに対し本実施形態では、噴射流路32及び冷却流路42の少なくとも一方の流路抵抗を調整する絞り部材100を備える。図7の例では、絞り部材100は、冷却流路42の入口側に設けられている。これにより、使用するインク種や吐出条件等に応じて管路抵抗の比を変更することができる。このため、1つのインクジェットヘッド5に必要な吐出側(噴射流路32への流量)とドライバIC冷却側(冷却流路42への流量)との流量を最小化することができる。
【0086】
管路抵抗は、流路の長さに比例し且つ流路の径に反比例して大きくなる。そのため、絞り部材100は、内径や長さが互いに異なるものを複数種類準備しておき、インク種や吐出条件等に応じて適切なものを選定するとよい。例えば、絞り部材100の選定は、インクジェットヘッド5に流れるインク総量と吐出量とを測定することで実施してもよい。
【0087】
図4の例では、絞り部材100は、冷却流路42の入口側及び出口側に設けられている。例えば、冷却流路42の入口側に設けられた絞り部材100は、冷却流路42の出口側に設けられた絞り部材100と同じ形状を有する。以下、冷却流路42の入口側に設けられた絞り部材100を挙げて説明する。冷却流路42の出口側に設けられた絞り部材100は、設置向き等を除き、冷却流路42の入口側に設けられた絞り部材100と同様の構成を有するため、詳細説明は省略する。
【0088】
絞り部材100は、例えばポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド等の樹脂材料から形成されている。例えば、絞り部材100は、流路部材80,90と同じ材料で形成されていてもよい。
【0089】
絞り部材100は、冷却配管41に対して着脱可能とされている。絞り部材100は、前記絞り部材100とは流路抵抗が異なる別の絞り部材に交換可能とされている。図8及び図9に示すように、絞り部材100は、冷却流路42に沿って延びる筒部101と、筒部101から冷却配管41の端部よりも外側に張り出す張出部102と、を備える。
【0090】
筒部101は、冷却配管41よりも小さい直管形状を有する。筒部101は、X方向に沿って直線状に延びている。筒部101は、X方向に沿って延びる円筒形状を有する。筒部101の内径は、冷却配管41の内径よりも小さい。筒部101の外径は、冷却配管41の内径以下の大きさである。例えば、筒部101の外径は、冷却配管41の内径と略同じであってもよい。例えば、絞り部材100を冷却配管41に対して着脱する際に、筒部101の外周面は冷却配管41の内周面に対して摺接してもよい。
【0091】
張出部102は、張出部102から冷却配管41の外周面に沿って延び且つ弾性変形可能な弾性変形部103を備える。絞り部材100は、冷却配管41の端部が挿入される環状溝105と、筒部101の周方向において弾性変形部103を区画するように環状溝105から放射状に延びる放射状溝106と、を有する。環状溝105は、冷却配管の端部に沿う円環状に形成されている。放射状溝106は、筒部101の中心軸に対して交差する4つの方向に環状溝105から延びるよう形成されている。
【0092】
絞り部材100は、インク(液体)が流入する絞り入口108と、インクが流出する絞り出口109と、を有する。絞り出口109の開口面積は、絞り入口108の開口面積と同じである。絞り部材100の開口面積は、X方向にわたって一様な大きさである。
【0093】
図9において、符号dは絞り部材100の内径、符号Lは絞り部材100の長さをそれぞれ示す。絞り部材100の内径dは、筒部101の内径に相当する。絞り部材100の長さLは、筒部101の先端(-X側端)と張出部102の一端(+X側端)との間の長さに相当する。
【0094】
流路部材80は、絞り部材100の少なくとも一部を収容する収容凹部110を有する。収容凹部110は、X方向に沿って延びる筒状を有する。収容凹部110には、絞り部材100の張出部102が収容されている。収容凹部110は、冷却部材50の一側面(+X側面)に向かって開口している。収容凹部110の底面111(-X側面)と張出部102の一側面(+X側面)との間には、隙間112が設けられている。
【0095】
冷却部材50の一側面(+X側面)と張出部102の他側面(-X側面)との間には、スペーサ120及びシール部材130が設けられていてもよい。
スペーサ120は、冷却配管41に対して着脱可能とされている。スペーサ120は、冷却配管41の外周面に沿って延びる筒状に形成されている。スペーサ120は、収容凹部110に収容される第1介在部121と、冷却部材50の一側面(+X側面)と第1介在部121との間に配置される第2介在部122と、を備える。
【0096】
第1介在部121の外径は、収容凹部110の内径以下の大きさである。例えば、第1介在部121の外径は、収容凹部110の内径と略同じであってもよい。例えば、スペーサ120に対して流路部材80を着脱する際に、第1介在部121の外周面は収容凹部110の内周面に対して摺接してもよい。
【0097】
第2介在部122の外径は、収容凹部110の内径よりも大きい。第2介在部122の外周部は、冷却部材50の一側面(+X側面)と流路部材80の一側面(-X側面)とに挟まれている。第2介在部122の一側面(+X側面)は、流路部材80の一側面(-X側面)に直に接している。第2介在部122の他側面(-X側面)は、冷却部材50の一側面(+X側面)に直に接している。
【0098】
シール部材130は、例えばOリングである。シール部材130は、冷却配管41に対して着脱可能とされている。例えば、シール部材130は、弾性材料で形成されている。シール部材130は、冷却配管41の外周に沿う環状を有する。シール部材130は、スペーサ120の第1介在部121と絞り部材100の張出部102との間に設けられている。
【0099】
例えば、シール部材130は、インクジェットヘッド5に対して組み付けられる前の状態(弾性変形前の初期状態)ではシール部材130の周方向にわたって一様な円形断面を有する。一方、シール部材130は、インクジェットヘッド5に対して組み付けられた後の状態(図9の状態)では、隣接する部材によって弾性的に押し潰されている。図9の例では、シール部材130の一部は、隣接する部材の一部(冷却配管41の外周面、絞り部材100の張出部102、収容凹部110の内周面、及び、スペーサ120の第1介在部121)に押し潰されている。
【0100】
絞り部材100は、冷却配管41において熱源配置面56と重なる部分以外の部分に設けられている。絞り部材100は、Y方向から見て、熱源配置面56と重なる部分以外の部分に設けられている。絞り部材100において筒部101の先端(-X側端)は、熱源配置面56のX方向外端(最も+X方向側に位置する熱源配置面56の+X側端)よりも外側(+X方向側)に配置されている。
【0101】
[インクジェットヘッド5の製造方法]
本実施形態のインクジェットヘッド5の製造方法は、インクを噴射するヘッド本体30と、インクに対する耐食性を有し、駆動回路35を冷却するためのインクが通過する冷却配管41と、冷却配管41よりも高い熱伝導率を有する冷却部材50と、を備えるインクジェットヘッド5の製造方法であって、冷却部材50を製造する工程では、冷却配管41を支持した状態で鋳造する。
【0102】
インクジェットヘッドの製造方法は、ヘッド本体30を準備するヘッド本体準備工程と、冷却ユニット40を製造する冷却ユニット製造工程(冷却部材50を製造する工程)と、ヘッド本体30と冷却ユニット40とを連結するユニット連結工程と、を含む。
【0103】
ヘッド本体準備工程では、上述したアクチュエータプレート及びノズルプレート等を含むヘッド本体30を準備する。ヘッド本体準備工程の後、冷却ユニット製造工程に移行する。
【0104】
冷却ユニット製造工程では、冷却ユニット40を製造するための鋳型を構成する一対の金型(不図示)と、冷却ユニット40を構成する冷却配管41と、を準備する。例えば、一対の金型は、冷却ユニット40の-Y側部に対応する第1金型と、冷却ユニット40の+Y側部に対応する第2金型と、である。
【0105】
次に、冷却配管41を一対の金型の一方に支持させる。次に、一対の金型同士を合わせる。例えば、第1金型の合わせ面と第2金型の合わせ面とを接触させる。
【0106】
次に、アルミニウムの溶湯(680℃程度)を鋳型に入れる。例えば、一対の金型同士を合わせた状態で、不図示の孔を通じて内部空間(冷却配管41の周囲)に上述の溶湯を入れる。冷却ユニット製造工程では、冷却配管41を支持した状態で鋳造する。鋳造後、鋳型を分離する。これにより、冷却配管41と冷却部材50とが一体化した冷却ユニット40が得られる。冷却ユニット製造工程の後、ユニット連結工程に移行する。
【0107】
ユニット連結工程では、上述した基板部60、支持部材70及び流路部材80,90等を、不図示の連結部材及び締結部材等により、ヘッド本体30及び冷却ユニット40と連結する。以上の工程により、インクジェットヘッド5が得られる。
【0108】
[インクジェットヘッド5の組立方法]
本実施形態のインクジェットヘッド5の組立方法は、インクを噴射するインクジェットヘッドの組立方法であって、インクが通過する噴射流路32を有するヘッド本体30と、駆動回路35を冷却するための冷媒としてインクが通過する冷却流路42を有する冷却配管41と、冷却流路42の流路抵抗を調整する絞り部材100と、を備え、冷却配管41に対して絞り部材100を組み付ける絞り部材組付工程を含み、絞り部材組付工程では、互いに異なる絞り寸法(流路抵抗)を有する複数の中から所定の絞り寸法(流路抵抗)を有する1つを選択して組み付ける。
【0109】
例えば、絞り部材組付工程は、上述した冷却ユニット製造工程とユニット連結工程との間に行われる。例えば、絞り部材組付工程では、冷却ユニット40において冷却配管41が突出する部分(冷却部材50の外形の外側に配置される部分)に、選択した絞り部材100を組み付ける。
【0110】
絞り部材組付工程では、冷却ユニット40において冷却配管41が突出する部分に上述したスペーサ120及びシール部材130を組み付けた後、選択した絞り部材100を組み付ける。これにより、冷却ユニット40に絞り部材100等を一体化させる。ユニット連結工程では、上述した流路部材80,90等を、絞り部材100等を一体化した冷却ユニット40と連結する。以上の工程により、インクジェットヘッド5を組み立てることができる。
【0111】
[絞り寸法に応じた差圧と流量との関係]
図10は、粘度5cpのインクを用いた場合において、絞り寸法に応じた差圧と流量との関係を示すグラフである。図11は、粘度10cpのインクを用いた場合において、絞り寸法に応じた差圧と流量との関係を示すグラフである。絞り寸法は、絞り部材100の内径d(図9参照)に相当する。各図において、横軸の差圧は、加圧ポンプ24の加圧(図2に示すインク供給管21側の正圧)と吸引ポンプ25の減圧(図2に示すインク排出管22側の負圧)との差の絶対値に相当する。縦軸の流量は、冷却配管41内(冷却流路42)に流れるインクの流量に相当する。
【0112】
各図において、グラフG1は冷却流路42に栓をした場合(絞り寸法0mmの絞り部材100を冷却流路42に設けた場合)、グラフG2は噴射流路32に栓をした場合(絞り寸法0mmの絞り部材100を噴射流路32に設けた場合)、グラフG3は絞り寸法0.5mmの絞り部材100を冷却流路42に設けた場合、グラフG4は絞り寸法0.5mmの絞り部材100を噴射流路32に設けた場合、グラフG5は絞り寸法1.0mmの絞り部材100を冷却流路42に設けた場合、グラフG6は絞り寸法1.0mmの絞り部材100を噴射流路32に設けた場合、グラフG7は冷却流路42に絞り部材100を設けない場合(径2.0mmの冷却流路42を開放した場合)、グラフG8は噴射流路32に絞り部材100を設けない場合(径2.0mmの噴射流路32を開放した場合)、にそれぞれ相当する。
【0113】
各図に示すように、差圧が大きくなると、流量も大きくなる傾向がある。粘度5cpのインクを用いた場合は、粘度10cpのインクを用いた場合よりも、流量が大きくなる度合が大きい。絞り寸法に応じた差圧と流量との関係によっては、流量が逆転する場合がある。例えば、グラフG3,G8に着目すると、差圧が所定値よりも小さい場合はグラフG3の流量はグラフG8の流量よりも大きい。一方、差圧が所定値を超えると、グラフG3の流量はグラフG8の流量よりも小さくなり、流量が逆転することが分かる。
【0114】
また、インクの粘度の違いによっても、流量が逆転する場合がある。例えば、グラフG5,G6に着目すると、粘度5cpのインクを用いた場合は、全体的にグラフG6の流量はグラフG5の流量よりも大きい(図10参照)。一方、粘度10cpのインクを用いた場合は、全体的にグラフG6の流量はグラフG5の流量よりも小さい(図11参照)。
このように流量が逆転する調整が可能となるため、インクジェットヘッドの設計自由度を高くすることができる。
【0115】
[作用効果]
本実施形態のインクジェットヘッド5は、インクを噴射する。インクジェットヘッド5は、インクが通過する噴射流路32を有するヘッド本体30と、駆動回路35を冷却するための冷媒としてインクが通過する冷却流路42を有する冷却配管41と、冷却流路42の流路抵抗を調整する絞り部材100と、を備える。
【0116】
この構成によれば、冷却流路42の流路抵抗を調整する絞り部材100を備えることで、噴射流路32及び冷却流路42の各流路において流路抵抗を異ならせることができる。したがって、各流路の流量配分を調整することができる。
加えて、使用するインク種や吐出条件等に応じて管路抵抗の比を変更することができる。このため、1つのインクジェットヘッド5に必要な吐出側(噴射流路32への流量)とドライバIC冷却側(冷却流路42への流量)との流量を最小化することができる。
【0117】
本実施形態のインクジェットヘッド5において、絞り部材100は、前記絞り部材100とは流路抵抗が異なる別の絞り部材に交換可能とされている。
この構成によれば、絞り部材100の交換により、設計仕様等に応じて各流路の流量配分を調整することができる。
【0118】
本実施形態のインクジェットヘッド5において、絞り部材100は、冷却流路42に沿って延びる筒部101と、筒部101から冷却配管41の端部よりも外側に張り出す張出部102と、を備える。
この構成によれば、張出部102を支持することにより、絞り部材100の着脱を行うことができる。
【0119】
本実施形態のインクジェットヘッド5において、張出部102は、張出部102から冷却配管41の外周面に沿って延び且つ弾性変形可能な弾性変形部103を備える。
この構成によれば、弾性変形部103により、冷却配管41の外周面に絞り部材100を支持することができる。したがって、絞り部材100の着脱をより効率的に行うことができる。
【0120】
本実施形態のインクジェットヘッド5において、絞り部材100は、冷却配管41の端部が挿入される環状溝105と、筒部101の周方向において弾性変形部103を区画するように環状溝105から放射状に延びる放射状溝106と、を有する。
この構成によれば、放射状溝106において、弾性変形部103の弾性変形を吸収することができる。したがって、絞り部材100の着脱をより効率的に行うことができる。
【0121】
本実施形態のインクジェットヘッド5は、インクジェットヘッド5の外部からインクが流入又は流出するインク流路20から分岐して噴射流路32に通じる噴射側分岐路82と、インク流路20から分岐して冷却流路42に通じる冷却側分岐路83と、が形成された流路部材80を更に備える。流路部材80は、絞り部材100の少なくとも一部を収容する収容凹部110を有する。
この構成によれば、絞り部材100において収容凹部110に収容される部分の密閉性(気密性や液密性)を向上させることができる。
【0122】
本実施形態のインクジェットヘッド5は、駆動回路35が配置される熱源配置面56を有し、冷却配管41の少なくとも一部が埋め込まれる冷却部材50を更に備える。絞り部材100は、冷却配管41において熱源配置面56と重なる部分以外の部分に設けられている。
この構成によれば、絞り部材100が冷却配管41において熱源配置面56と重なる部分に設けられる場合と比較して、絞り部材100へ駆動回路35からの熱を伝わりにくくすることができる。したがって、駆動回路35からの熱により絞り部材100が変形や劣化等することを抑制することができる。
【0123】
本実施形態のプリンタ1は、上述したインクジェットヘッド5と、インクジェットヘッド5が取り付けられるキャリッジ29と、を備える。
この構成によれば、各流路の流量配分を調整できるプリンタ1が得られる。
【0124】
本実施形態のインクジェットヘッド5の組立方法は、インクを噴射するインクジェットヘッドの組立方法である。インクジェットヘッド5は、インクが通過する噴射流路32を有するヘッド本体30と、駆動回路35を冷却するための冷媒としてインクが通過する冷却流路42を有する冷却配管41と、冷却流路42の流路抵抗を調整する絞り部材100と、を備える。インクジェットヘッド5の組立方法は、冷却配管41に対して絞り部材100を組み付ける絞り部材組付工程を含む。絞り部材組付工程では、互いに異なる絞り寸法を有する複数の中から所定の絞り寸法を有する1つを選択して組み付ける。
この方法によれば、絞り部材組付工程では、互いに異なる絞り寸法を有する複数の中から所定の絞り寸法を有する1つを選択して組み付けることで、噴射流路32及び冷却流路42の各流路において流路抵抗を異ならせることができる。したがって、各流路の流量配分を調整することができる。
【0125】
以上、本開示の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本開示の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、及びその他の変更は、本開示の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本開示は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
【0126】
[変形例]
例えば、上述した実施形態では、冷却流路の流路抵抗を調整する絞り部材を備える構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、インクジェットヘッドは、噴射流路の流路抵抗を調整する絞り部材を備えていてもよい。例えば、インクジェットヘッドは、噴射流路及び冷却流路の少なくとも一方の流路抵抗を調整する絞り部材を備えていればよい。例えば、絞り部材の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0127】
例えば、上述した実施形態では、絞り部材は、前記絞り部材とは流路抵抗が異なる別の絞り部材に交換可能とされている構成を例示したが、この構成に限定されない。
図12は、一実施形態に係る絞り部材の第1変形例を説明する断面図である。図12において、上述した実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、詳細説明は省略する。
例えば、図12に示すように、冷却流路42の流路抵抗を調整する可変絞り構造200が設けられていてもよい。例えば、可変絞り構造200は、雄ねじ部211及び頭部212を有する絞り部材210と、雄ねじ部211が螺合する雌ねじ部221を有する流路部材220と、シール部材230と、を備えていてもよい。例えば、絞り部材210の頭部212は、流路部材220の外部に設けられていてもよい。例えば、絞り部材210の頭部212を雄ねじ部211の軸回りの一方向に回転させることにより、絞り部材210が矢印M方向(流路面積を小さくする方向)に移動してもよい。例えば、絞り部材210の頭部212を雄ねじ部211の軸回りの他方向に回転させることにより、絞り部材210が矢印Mとは反対方向(流路面積を大きくする方向)に移動してもよい。例えば、絞り部材210の矢印M方向(又は矢印Mとは反対方向)への移動により、冷却流路42の流路面積を変更してもよい。この構成によれば、冷却流路42の流路抵抗を調整する可変絞り構造200が設けられていることで、絞り部材210を交換することを要しない。したがって、部品を交換せずに各流路の流量配分を調整することができる。例えば、可変絞り構造の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0128】
例えば、上述した実施形態では、絞り部材は、冷却流路に沿って延びる筒部と、筒部から冷却配管の端部よりも外側に張り出す張出部と、を備える構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、絞り部材は、冷却流路に沿って延びる筒状に形成されていてもよい。例えば、絞り部材は、張出部を備えていなくてもよい。例えば、絞り部材の端部を支持することにより、絞り部材の着脱を行ってもよい。例えば、絞り部材の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0129】
例えば、上述した実施形態では、張出部は、張出部から冷却配管の外周面に沿って延び且つ弾性変形可能な弾性変形部を備える構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、張出部は、冷却配管の外周に沿う環状に形成されていてもよい。例えば、張出部は、弾性変形部を備えていなくてもよい。例えば、張出部の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0130】
例えば、上述した実施形態では、絞り部材は、冷却配管の端部が挿入される環状溝と、筒部の周方向において弾性変形部を区画するように環状溝から放射状に延びる放射状溝と、を有する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、絞り部材は、環状溝から一方向又は複数の方向に延びる溝を有していてもよい。例えば、絞り部材に形成される溝の態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0131】
例えば、上述した実施形態では、絞り部材は、インクが流入する絞り入口と、インクが流出する絞り出口と、を有し、絞り出口の開口面積は、絞り入口の開口面積と同じである構成を例示したが、この構成に限定されない。
図13は、一実施形態に係る絞り部材の第2変形例を説明する断面図である。図13において、上述した実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、詳細説明は省略する。
例えば、図13に示すように、絞り部材300において絞り出口309の開口面積は、絞り入口308の開口面積よりも小さくてもよい。例えば、絞り部材300の流路面積は、絞り入口308から絞り出口309に向かうに従って徐々に小さくなっていてもよい。例えば、筒部301は、絞り入口308から絞り出口309に向かうに従って(-X方向側に向かって)徐々に内径が小さくなる逆テーパ状の筒形状を有してもよい。この構成によれば、絞り出口309の開口面積が絞り入口308の開口面積よりも小さいことで、絞り入口308よりも絞り出口309においてインクの流速が速くなるため、流路内に気泡がたまることを抑制することができる。例えば、絞り部材の流路面積の態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0132】
例えば、上述した実施形態では、インクジェットヘッドの外部からインクが流入又は流出するインク流路から分岐して噴射流路に通じる噴射側分岐路と、インク流路から分岐して冷却流路に通じる冷却側分岐路と、が形成された流路部材を更に備え、流路部材は、絞り部材の少なくとも一部を収容する収容凹部を有する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、絞り部材の全部は、流路部材の外部に設けられていてもよい。例えば、流路部材は、収容凹部を有しなくてもよい。例えば、流路部材の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0133】
例えば、上述した実施形態では、駆動回路が配置される熱源配置面を有し、冷却配管の少なくとも一部が埋め込まれる冷却部材を更に備え、絞り部材は、冷却配管において熱源配置面と重なる部分以外の部分に設けられている構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、絞り部材は、冷却配管において熱源配置面と重なる部分に設けられていてもよい。例えば、絞り部材の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0134】
例えば、上述した実施形態では、インクジェットヘッドの組立方法において絞り部材組付工程では、互いに異なる絞り寸法を有する複数の中から所定の絞り寸法を有する1つを選択して組み付ける場合を例示したが、この例に限定されない。例えば、絞り部材組付工程では、互いに異なる筒部の長さ(絞り部材の長さL)を有する複数の中から所定の筒部の長さを有する1つを選択して組み付けてもよい。例えば、絞り部材の流路抵抗は、絞り寸法(絞り部材の内径d)だけでなく筒部の長さでも変えることができるため、絞り寸法と筒部の長さとの組み合わせによって決めてもよい。例えば、絞り部材組付工程では、互いに異なる流路抵抗を有する複数の中から所定の流路抵抗を有する1つを選択して組み付ければよい。例えば、絞り部材組付工程の態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0135】
例えば、上述した実施形態では、インクジェットヘッドの組立方法において絞り部材組付工程は、冷却ユニット製造工程とユニット連結工程との間に行われる場合を例示したが、この例に限定されない。例えば、絞り部材組付工程は、いったん製造したインクジェットヘッドを分解して再度組み立てる場合に行われてもよい。例えば、絞り部材組付工程は、吐出するインク種を変更する際に、交換後のインクの粘度や熱伝導率等の物性値に応じて、絞り部材を交換してもよい。例えば、絞り部材組付工程は、インクジェットヘッドをメンテナンスする際に行われてもよい。例えば、絞り部材組付工程を行うタイミングは、設計仕様に応じて変更することができる。
【0136】
例えば、上述した実施形態では、凹部は、冷却配管の中心軸に対して交差する4つの方向に開口している構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、凹部は、冷却配管の中心軸に対して交差する3つ以下又は5つ以上の方向に開口していてもよい。例えば、凹部が開口する方向は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0137】
例えば、上述した実施形態では、冷却部材は、駆動回路が配置される熱源配置面を有し、熱源配置面は、冷却部材において凹部以外の部分に設けられている構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、熱源配置面は、冷却部材の凹部に設けられていてもよい。例えば、熱源配置面の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0138】
例えば、上述した実施形態では、熱源配置面は、平面である構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、熱源配置面は、曲面を含んでいてもよい。例えば、熱源配置面は、駆動回路の一面に沿う形状であってもよい。例えば、熱源配置面の構成態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0139】
例えば、上述した実施形態では、冷却部材は、冷却配管を挟んで互いに反対側に配置される第1面及び第2面を有し、熱源配置面は、第1面及び第2面のそれぞれに設けられている構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、熱源配置面は、第1面又は第2面のいずれか一方(片面)に設けられていてもよい。例えば、熱源配置面の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0140】
例えば、上述した実施形態では、冷却配管の端部は、冷却部材の外形の外側に配置されている構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、冷却配管の端部は、冷却部材の外形の内側又は同一面上に配置されていてもよい。例えば、冷却配管の端部の配置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0141】
例えば、上述した実施形態では、冷却配管は、直管形状を有している構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、冷却配管は、湾曲形状を有していてもよい。例えば、冷却配管は、直線部分及び湾曲部分を含んでいてもよい。例えば、冷却配管の形状は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0142】
例えば、上述した実施形態では、冷却配管は、ステンレス鋼で形成され、冷却部材は、アルミニウムの単体又はアルミニウム合金で形成されている構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、冷却配管は、銅合金、チタン合金、ニッケル合金、クロム合金等で形成され、冷却部材は、亜鉛合金等で形成されていてもよい。例えば、冷却配管及び冷却部材の形成材料は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0143】
例えば、上述した実施形態では、冷却部材は、冷却配管を囲む部分の少なくとも一部に凹部を有する構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、冷却部材は、凹部を有していなくてもよい。例えば、冷却部材には、インサート成型等で冷却配管の少なくとも一部が埋め込まれていればよい。例えば、凹部の設置態様は、設計仕様に応じて変更することができる。
【0144】
また、例えば、上述した実施形態では、液体噴射記録装置の一例として、インクジェットプリンタを例に挙げて説明したが、プリンタに限られるものではない。例えば、ファックスやオンデマンド印刷機等であってもよい。
上述した実施形態では、印刷時にインクジェットヘッドが被記録媒体に対して移動する構成(いわゆる、シャトル機)を例にして説明をしたが、この構成に限られない。本開示に係る構成は、インクジェットヘッドを固定した状態で、インクジェットヘッドに対して被記録媒体を移動させる構成(いわゆる、固定ヘッド機)に採用してもよい。
上述した実施形態では、被記録媒体Pが紙の場合について説明したが、この構成に限られない。被記録媒体Pは、紙に限らず、金属材料や樹脂材料であってもよく、食品等であってもよい。
上述した実施形態では、液体噴射ヘッドが液体噴射記録装置に搭載された構成について説明したが、この構成に限られない。すなわち、液体噴射ヘッドから噴射される液体は、被記録媒体に着弾させるものに限らず、例えば調剤中に配合する薬液や、食品に添加する調味料や香料等の食品添加物、空気中に噴射する芳香剤等であってもよい。
上述した実施形態では、Z方向が重力方向に一致する構成について説明したが、この構成のみに限らず、Z方向を水平方向に沿わせてもよい。
【符号の説明】
【0145】
1 … プリンタ(液体噴射記録装置)
5 … インクジェットヘッド(液体噴射ヘッド)
20 … インク流路(液体流路)
29 … キャリッジ
30 … ヘッド本体(噴射部)
32 … 噴射流路
35 … 駆動回路(熱源)
41 … 冷却配管
42 … 冷却流路
50 … 冷却部材
56 … 熱源配置面
80 … 入口側流路部材(流路部材)
82 … 第1流入分岐路(噴射側分岐路)
83 … 第2流入分岐路(冷却側分岐路)
90 … 出口側流路部材(流路部材)
92 … 第1流出分岐路(噴射側分岐路)
93 … 第2流出分岐路(冷却側分岐路)
100 … 絞り部材
101 … 筒部
102 … 張出部
103 … 弾性変形部
105 … 環状溝
106 … 放射状溝
108 … 絞り入口
109 … 絞り出口
110 … 収容凹部
210 … 絞り部材
300 … 絞り部材
308 … 絞り入口
309 … 絞り出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13