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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024047926
(43)【公開日】2024-04-08
(54)【発明の名称】バーンイン試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 17/00 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
G01N17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153702
(22)【出願日】2022-09-27
(71)【出願人】
【識別番号】000108797
【氏名又は名称】エスペック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】北村 信二
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 肇
【テーマコード(参考)】
2G050
【Fターム(参考)】
2G050AA07
2G050BA20
2G050CA10
2G050EA01
(57)【要約】
【課題】占有面積が比較的小さいバーンイン試験装置を提供する。
【解決手段】試験室3a、3bと、通電装置配置室21a、21bと、試験室内の温度を調節する冷却装置が一組となった組合せセット10、11を二組有し、前記各組合せセットは、前記試験室の背面に通電装置配置室21a、21bが配された本体領域13a、13bと、少なくとも冷却装置の圧縮機が配された冷却装置領域15a、15bがあり、一方の組合せセット10に属する本体領域13aと、他方の組合せセット11に属する本体領域13bが間隔を空けた状態で配され、双方の本体領域13a、13bの間に一方の組合せセットに属する冷却装置領域15aと、他方の組合せセットに属する冷却装置領域15bが前後方向に入れ違い状に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供試体を配置するための試験室と、前記試験室内の温度を調節する冷却装置と、を有するバーンイン試験装置において、
前記試験室と、当該試験室内の供試体に電力を供給する通電装置を設置するための通電装置配置室と、当該試験室内の温度を調節する前記冷却装置が一組となった組合せセットを二組有し、
前記各組合せセットの前記冷却装置は、いずれも圧縮機と凝縮器と膨張手段と蒸発器を有し、
前記各組合せセットは、前記試験室の背面に前記通電装置配置室が配された本体領域と、少なくとも前記圧縮機が配された冷却装置領域があり、
一方の組合せセットに属する本体領域と他方の組合せセットに属する本体領域が間隔を空けた状態で配され、双方の本体領域の間に、一方の組合せセットに属する冷却装置領域と他方の組合せセットに属する冷却装置領域が、前後方向に入れ違い状に配置されていることを特徴とするバーンイン試験装置。
【請求項2】
前記各組合せセットは、ユニット化されていて、前記組合せセットごとに分離可能であることを特徴とする請求項1に記載のバーンイン試験装置。
【請求項3】
前記各組合せセットに属する前記試験室は、独立して温度調節可能であることを特徴とする請求項1に記載のバーンイン試験装置。
【請求項4】
前記各冷却装置領域は、少なくとも上下二段の領域に分かれており、下側の領域に前記圧縮機が設けられ、上側の領域に制御装置が設けられることを特徴とする請求項1に記載のバーンイン試験装置。
【請求項5】
前記冷却装置領域には、少なくとも一面に開放可能な開放部があり、一方の前記組合せセットは正面側に前記開放部があり、他方の組合せセットは裏面側に前記開放部があることを特徴とする請求項1に記載のバーンイン試験装置。
【請求項6】
前記冷却装置は水冷式の凝縮器を有し、一方の組合せセットに冷却水導入部があり、前記一方の組合せセットで配管が分岐されて、当該組合せセットの凝縮器と他方の組合せセットの凝縮器に冷却水が供給されることを特徴とする請求項1に記載のバーンイン試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等を所定の環境に置き、この状態で電子機器等に通電する試験を行うバーンイン試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICやLSI等の電子機器に対して、バーンイン試験と称される試験が行われることがある。バーンイン試験とは、電子機器を高温等の所定の環境に置き、電子機器に電源電圧や所定の信号を入力して行われる試験である。
【0003】
バーンイン試験では電子機器を所定の環境等に置く必要から、所定の環境を維持することができる試験室を備えている。
そしてバーンイン試験では、試験室内に供試体たる電子機器を配置し、ヒータや冷却装置によって試験室内を所定の環境に維持する。即ち電子機器等の供試体を試験室内に置いて所定の環境にさらし、この状態で外部から電源電力や信号を電子機器に入力して電子機器の機能を試験する。
具体的なバーンイン試験装置は、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2-184778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バーンイン試験装置は、供試体たる電子機器が配置され内部を所定の環境に維持することができる試験室と、供試体に電力や信号を供給する通電装置と、ヒータや冷却装置等の空調機器の三者が組み合わされたものである。
ところで、電子機器の製造量が多く、バーンイン試験装置が複数台必要なユーザがある。従来、この様なユーザは、多くの場合同じ構造のバーンイン試験装置を例えば2台購入し、2台のバーンイン試験装置を並べて設置していた。
【0006】
このように、バーンイン試験装置を複数台並べて設置していたため、広い設置場所を確保する必要があった。
本発明は、占有面積が比較的小さいバーンイン試験装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するための態様は、供試体を配置するための試験室と、前記試験室内の温度を調節する冷却装置と、を有するバーンイン試験装置において、前記試験室と、当該試験室内の供試体に電力を供給する通電装置を設置するための通電装置配置室と、当該試験室内の温度を調節する前記冷却装置が一組となった組合せセットを二組有し、前記各組合せセットの前記冷却装置は、いずれも圧縮機と凝縮器と膨張手段と蒸発器を有し、前記各組合せセットは、前記試験室の背面に前記通電装置配置室が配された本体領域と、少なくとも前記圧縮機が配された冷却装置領域があり、一方の組合せセットに属する本体領域と他方の組合せセットに属する本体領域が間隔を空けた状態で配され、双方の本体領域の間に、一方の組合せセットに属する冷却装置領域と他方の組合せセットに属する冷却装置領域が、前後方向に入れ違い状に配置されていることを特徴とするバーンイン試験装置である。
【0008】
本態様のバーンイン試験装置は、試験室と、当該試験室内の供試体に電力を供給する通電装置を設置するための通電装置配置室と、当該試験室内の温度を調節する冷却装置が一組となった組合せセットを二組有している。そのため本態様のバーンイン試験装置は、実質的にバーンイン試験装置2台分の構成を備えている。
本態様のバーンイン試験装置は、各機器の配置レイアウトに特徴がある。
本態様のバーンイン試験装置では、一方の組合せセットに属する本体領域と、他方の組合せセットに属する本体領域が間隔を空けた状態で配されている。そして両者の間に、一方の組合せセットに属する冷却装置領域と、他方の組合せセットに属する冷却装置領域が、前後方向に入れ違い状に配置されている。そのため、本態様のバーンイン試験装置を設置するのに必要な幅は、二つの本体領域の幅と、冷却装置領域一個分の幅で足る。そのため、本態様のバーンイン試験装置は、従来のバーンイン試験装置を2台、並列的に配置するレイアウトに比べて、占有面積が小さい。
【0009】
上記した態様において、前記各組合せセットは、組合せセットごとにユニット化されていて分離可能であることが望ましい。
【0010】
本態様のバーンイン試験装置は、組合せセットがユニット化されていて分離可能であるから、製造工場からユーザに向けての出荷が容易である。
【0011】
上記した態様において、前記各組合せセットに属する前記試験室は、独立して温度調節可能であることが望ましい。
【0012】
本態様のバーンイン試験装置は、二つの試験室に異なる環境を創出することができる。そのため本態様のバーンイン試験装置は、使い勝手がよく、用途が広い。
【0013】
上記した態様において、前記各冷却装置領域は、少なくとも上下二段の領域に分かれており、下側の領域に前記圧縮機が設けられ、上側の領域に制御装置が設けられることが望ましい。
【0014】
本態様のバーンイン試験装置は、空間を立体的に利用しており、占有面積が小さい。
【0015】
上記した態様において、前記冷却装置領域には、少なくとも一面に開放可能な開放部があり、一方の前記組合せセットは正面側に前記開放部があり、他方の組合せセットは裏面側に前記開放部があることが望ましい。
【0016】
本態様のバーンイン試験装置は、装置の表裏面に開放部があり、冷却装置等のメンテナンスが容易である。
前記した様に、本態様のバーンイン試験装置では、二つの本体領域の間に、一方の組合せセットに属する冷却装置領域と、他方の組合せセットに属する冷却装置領域が前後方向に入れ違い状に配置されている。
このレイアウトによると、冷却装置を構成する機器は、正面から見て前後に配置されることとなる。そのため仮に正面側だけに開放部があると、奥側の機器に手が届きにくく、メンテナンスしにくい。
本態様のバーンイン試験装置は、この問題を解消するものであり、一方の組合せセットは正面側に開放部があり、他方の組合せセットは裏面側に開放部がある。そのため、一方の組合せセットに属する冷却装置は正面側からメンテナンスすることができ、他方の組合せセットに属する冷却装置は裏面側からメンテナンスすることができる。
【0017】
上記した態様において、前記冷却装置は水冷式の凝縮器を有し、一方の組合せセットに冷却水導入部があり、前記一方の組合せセットで配管が分岐されて、当該組合せセットの凝縮器と他方の組合せセットの凝縮器に冷却水が供給されることが望ましい。
【0018】
本態様のバーンイン試験装置では、一方の組合せセットに冷却水導入部があり、内部で配管が分岐されて二つの凝縮器に冷却水が供給されるので、冷却水の外部配管接続が容易である。
【発明の効果】
【0019】
本発明のバーンイン試験装置は、占有面積が小さい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態のバーンイン試験装置を正面側から見た斜視図である。
図2図1に示すバーンイン試験装置を裏面側から見た斜視図である。
図3図1に示すバーンイン試験装置をユニットごとに分割した状態を示す斜視図である。
図4図1のA-A断面図であり、本体領域の概要を模式的に示すものである。
図5図1のB-B断面図であり、冷却装置領域の概要を模式的に示すものである。
図6】(a)は、図1のC-C断面図であってバーンイン試験装置の各部材の平面レイアウトを模式的に示すものであり、(b)は、ユニットごとに分割した状態を示す。
図7図1の冷却装置領域を模式的に示す斜視図である。
図8図1の冷却装置領域であって、正面側(又は裏面側)の下の開口部を開いた状態を概念的に示す正面図(又は裏面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下の説明において、正面側及び裏面側は、図1図2の「正面側」及び「裏面側」の表示に従う。また正面側を前、裏面側を後と言うこともある。左右の関係は、いずれも正面側から観察したものである。
本実施形態のバーンイン試験装置1は、図1図2図6(a)の様に、見かけ上一つの筐体2を有し、当該筐体2内に、第1試験室3a及び第2試験室3bと、第1通電装置配置室21a及び第2通電装置配置室21bと、第1空調装置6a及び第2空調装置6bが設けられている。
後記する様に、第1通電装置配置室21aには、第1試験室3a内の供試体100に電力等を供給する第1通電装置5aが多数配置される。同様に、第2通電装置配置室21bには、第2試験室3b内の供試体100に電力等を供給する第2通電装置5bが多数配置される。
【0022】
また図1の様に、第1試験室3aの温度等を設定する第1環境設定装置7aと、第2試験室3bの温度等を設定する第2環境設定装置7bがある。さらに図5の様に、第1試験室3a内の供試体100に対するバーンイン試験における供試体100への通電を制御する第1通電制御装置8aと、第2試験室3b内の供試体100に対するバーンイン試験における供試体100への通電を制御する第2通電御装置8bを備えている。
【0023】
バーンイン試験装置1の大まかなレイアウトは、図1図2図4図6の通りである。バーンイン試験装置1は、図1図2の様に、正面から見て、右エリア200、中間エリア201、左エリア202に分かれている。
右エリア200の右端には、第1環境設定装置7aがあり、右エリア200の中央側に第1試験室3aがある。また図4図6に示す様に、第1試験室3aの奥に第1通電装置配置室21aがある。第1通電装置配置室21aには第1通電装置5aが配置されている。
【0024】
左エリア202の左端には、第2環境設定装置7bがあり、左エリアの中央側に第2試験室3bがある。また図6に示す様に、第2試験室3bの奥に第2通電装置配置室21bがある。第2通電装置配置室21bには第2通電装置5bが配置されている。
【0025】
中間エリア201は、図5の様に前後に分かれており、正面側に第1空調装置6aの大部分と第1通電制御装置8aがあり、裏面側に第2空調装置6bの大部分と第2通電制御装置8bがある。
【0026】
本実施形態のバーンイン試験装置1は、構成上、図3図6(b)の様に、第1組合せセット10と第2組合せセット11に分かれており、二組の組合せセット10、11が見かけ上一体となっている。
また第1組合せセット10と第2組合せセット11は、それぞれユニット化されており、両者を分離することができる。
【0027】
第1組合せセット10は、第1試験室3aと、第1通電装置配置室21aと、第1空調装置6aと、が少なくとも組み合わされたものである。第1組合せセット10は、さらに第1環境設定装置7a及び第1制御装置配置室33a(図5参照)が組み合わされている。第1通電装置配置室21aは、第1通電装置5aが配置される部位であり、第1制御装置配置室33aは、第1通電制御装置8aが配置される部位である。
第2組合せセット11は、第2試験室3bと、第2通電装置配置室21bと、第2空調装置6bと、が少なくとも組み合わされたものである。第2組み合わせセット11は、さらに第2環境設定装置7b及び第1制御装置配置室33bが組み合わされている。第2通電装置配置室21bは、第2通電装置5abが配置される部位であり、第2制御装置配置室33bは、第2通電制御装置8bが配置される部位である。
【0028】
本実施形態では、第1組合せセット10は、外観上、第1本体領域13aと、第1冷却装置領域15aに区分される。
第1本体領域13aは、第1試験室3aと第1通電装置配置室21a及び第1環境設定装置7a等が配された部分である。第1冷却装置領域15aは、第1空調装置6aの少なくとも一部と第1制御装置配置室33bが配された部分である。
【0029】
第1試験室3aは、図4の様に、電子機器等の供試体100が配置される断熱性を有する収容空間である。第1試験室3aは、正面側に開閉扉18aが設けられている。また図4の様に、第1試験室3aの奥壁12には、供試体100の端子を接続するスロット20が多数設けられている。第1試験室3aには、供試体100を保持する棚(図示せず)が設けられている。
第1試験室3aの天面37には、送風機27が設けられている。
第1試験室3aは、開閉扉18aを含めて断熱壁で構成されている。
【0030】
第1本体領域13aであって、第1試験室3aの奥側は、第1通電装置配置室21aとなっている。第1通電装置配置室21aには、第1試験室3a内の供試体100に電力等を供給する第1通電装置5aが多数配置されている。第1通電装置5aは、供試体100に電流や信号を入力することができるマザーボードであり、その一部に前記したスロット20がある。
【0031】
第1本体領域13aの上部領域は、第1制御機器配置室23aとなっている。第1制御機器配置室23aには、第1試験室3aの環境を調節するための電子機器が配置されている。第1制御機器配置室23a内の電子機器は公知のものであるから説明を省略する。
第1本体領域13aの右端には、第1環境設定装置7aが設けられている。第1環境設定装置7aは、第1試験室3aに創出する環境(温度、湿度等)の設定を行うものである。
【0032】
第1冷却装置領域15aは、第1試験室3a内の温度を調節する第1空調装置6aの少なくとも一部を収容する領域である。
第1空調装置6aは、図示しないヒータと、第1冷却装置30aを有している。第1冷却装置30aは、第1圧縮機25aと、第1凝縮器16aと、膨張手段(図示せず)及び蒸発器(図示せず)を有し、これらが環状に配管接続されて内部に相変化する冷媒が封入されたものである。
本実施形態で採用する第1圧縮機25aは、密閉型圧縮機であり、第1凝縮器16aは水冷式の凝縮器である。
第1冷却装置30aには、圧力計40等の計器類が取り付けられている。
【0033】
第1冷却装置領域15aは、高さ方向に上下2段に区切られている。そして下段の領域が第1圧縮機配置室17aとなっており、前記した第1圧縮機25aと第1凝縮器16aが配置されている。
第1圧縮機配置室17aの正面側には、第1開放部31aがあり、第1蓋(正面側蓋)50aが設けられている。第1蓋50aは、所定の操作によって取り外すことができる。従って第1開放部31aは、第1蓋50aを取り外すことによって開放可能である。
第1蓋50aには小型の送風機32が複数個取付けられており、送風機32を駆動することによって第1圧縮機配置室17aを換気し、第1圧縮機配置室17a内が過度に昇温して上段の電子機器に影響を与えないようになっている。
本実施形態では、図5図6の様に第1圧縮機25aは第1冷却装置領域15aの奥に配置され、第1凝縮器16aは手前に配置されている。圧力計40等の計器類は、第1開放部31a側に向けて設置されている。
【0034】
図5の様に、第1冷却装置領域15aの上段は、第1制御装置配置室33aとなっており、バーンイン試験を制御する第1通電制御装置8aが収容される。第1通電制御装置8aは、供試体100に供給する電流や信号を制御するものである。
第1制御装置配置室33aには開口35aがあり、第1通電制御装置8aのモニター画面36がはめ込まれている。
第1冷却装置領域15aの正面には、キーボード等を載せる棚38aがある。
【0035】
第1試験室3aには図示しない空調流路が接続されており、空調流路に第1空調装置6aの蒸発器(図示せず)及びヒータ(図示せず)が内蔵されている。本実施形態では、空調流路と第1試験室3aの間で空気が循環し、第1試験室3a内が所望の温度環境に維持される。
【0036】
第1組合せセット10における、第1本体領域13aと第1冷却装置領域15aの平面的なレイアウトは、図6(b)の様であり、第1本体領域13aの左横であって、正面に近い側に寄った位置に第1冷却装置領域15aがある。第1試験室3aと第1通電装置配置室21aとの関係で説明すると、第1試験室3aの横に第1冷却装置領域15aがある。第1冷却装置領域15aの奥行方向の長さは、第1本体領域13aの約半分であるから、第1本体領域13aの左横であって、正面に近い側の奥行方向の半分の領域に第1冷却装置領域15aがある。
前記した様に、第1冷却装置領域15aは、正面に近い位置にあり、第1冷却装置領域15aの上部の開口35a及び下部の第1開放部31aは、いずれも第1組合せセット10の正面側にある。
【0037】
第1組合せセット10を概観すると、大きな直方体の第1本体領域13aに、小さな直方体の第1冷却装置領域15aが結合した形をしており、小さな直方体の第1冷却装置領域15aは、正面側に寄った位置にある。
第1組合せセット10は、正面側と、裏面側と、天面側及び右側面に外壁があり、左側面には外壁はない。
【0038】
次に第2組合せセット11について説明する。第2組合せセット11は、外観上、第2試験室3bと第2通電装置配置室21b及び第2環境設定装置7b等が配された第2本体領域13bと、第2空調装置6bの少なくとも一部と第2通電制御装置8bが配された第2冷却装置領域15bに区分される。
第2組合せセット11の構成部材の個々の形状や機能は、第1組合せセット10と同じであるから、同一の部材に同一の番号を付し且つ番号に付されたアルファベットを「b」に書き換えることによって詳細な説明を省略し、両者の異なる点のみを説明する。
【0039】
第2組合せセット11の個々の構成部材は、前記した第1組合せセット10と同じであり、各構成部材の配置のみが相違する。
第2組合せセット11における第2本体領域13bと第2冷却装置領域15bの平面的なレイアウトは、図6(b)の様であり、第2本体領域13bの右横であって、裏面に近い側に寄った位置に第2冷却装置領域15bがある。第2試験室3bと第2通電装置配置室21bとの関係で説明すると、第2通電装置配置室21bの横に第2冷却装置領域15bがある。第2冷却装置領域15bの奥行方向の長さは、第2本体領域13bの約半分であるから、第2本体領域13bの右横であって、裏面に近い側の奥行方向の半分の領域に第2冷却装置領域15bがある。
第2冷却装置領域15bの上部の開口35b及び下部の第2開放部31bは、いずれも第2組合せセット11の裏面側にある。
【0040】
第2組合せセット11を概観すると、大きな直方体の第2本体領域13bに、小さな直方体の第2冷却装置領域15bが結合した形をしており、小さな直方体の第2冷却装置領域15bは、裏面側に寄った位置にある。
第2組合せセット11は、正面側と、裏面側と、天面側及び左側面に外壁がある。第2組合せセット11では、右側面の少なくとも一部に外壁53がある。
【0041】
本実施形態のバーンイン試験装置1は、第1組合せセット10と第2組合せセット11が組み合わされたものである。
前記した様に第1組合せセット10は、大きな直方体の第1本体領域13aに、小さな直方体の第1冷却装置領域15aが結合した形をしており、小さな直方体の第1冷却装置領域15aは、正面側に寄った位置にある。他方の第2組合せセット11は、第2本体領域13bに、第2冷却装置領域15bが結合した形をしており、第2冷却装置領域15bは、裏面側に寄った位置にある。
本実施形態のバーンイン試験装置1は、第1組合せセット10の左側面と、第2組合せセット11の右側面を合わせて一体化したものであり、中間エリア201では、第1冷却装置領域15aと第2冷却装置領域15bとが、前後方向に入れ違い状に配置されている。
そして第1組合せセット10と第2組合せセット11が複数の締結具49によって接続されている。本実施形態では、第1組合せセット10の台座部51aと第2組合せセット11の台座部51bが締結具49によって接続されている。また第1組合せセット10の天面52aと第2組合せセット11の天面52bが締結具49によって接続されている。
【0042】
第1圧縮機25aと第2圧縮機25bは、いずれも第1冷却装置領域15aと第2冷却装置領域15bの前後方向の中ほどの位置に配置されていて、二つの圧縮機25は、図5図6の様に背中合わせの位置関係となる。言い換えると、二つの圧縮機25は、第1冷却装置領域15aと第2冷却装置領域15bの合わせ面を境に、それぞれ対称に配置されている。
また、圧力計40等の計器類も同様に、第1冷却装置領域15aと第2冷却装置領域15bの合わせ面を境に、対称に配置される。すなわち、圧力計40等の計器類が第1開放部31a又は第2開放部31b側に向けて設置されることとなり、図8の様に第1開放部31a又は第2開放部31bを開くことによって圧力計40等の計器類を容易に視認することができる。
【0043】
第1組合せセット10と第2組合せセット11が組み合わされた状態では、全体の全周面が外壁で覆われる。
【0044】
組み合わされた状態のバーンイン試験装置1は、試験室3と、当該試験室3内の供試体100に電力を供給する通電装置5を設置するための通電装置配置室21と、当該試験室3内の温度を調節する冷却装置30が一組となった組合せセット10、11を二組有し、各組合せセット10、11の冷却装置30は、いずれも圧縮機25と凝縮器16と膨張手段と蒸発器を有している。
各組合せセット10、11は、いずれも試験室3の背面に通電装置配置室21が配された本体領域13と、少なくとも圧縮機25が配された圧縮機配置室17がある。
一方の組合せセット10に属する第1本体領域13aと、他方の組合せセット11に属する第2本体領域13bとが間隔を空けた状態で配され、双方の本体領域13a、13bの間に一方の組合せセット10、11に属する冷却装置領域15と、他方の組合せセット10、11に属する冷却装置領域15が前後方向に入れ違い状に配置されている。
【0045】
本実施形態のバーンイン試験装置1では、第1組合せセット10と第2組合せセット11はいずれも独立し、個々がユニット化されたバーンイン試験装置であり、それぞれの試験室3の環境を個別に設定することができる。
具体的には、第1試験室3a内の温度等を第1環境設定装置7aで設定することができる。また第2試験室3b内の温度等を第2環境設定装置7bで設定することができる。
本実施形態のバーンイン試験装置1では、正面側に第1冷却装置領域15aの第1開放部31aがあり、第1蓋(正面側蓋)50aを外すことによって第1冷却装置領域15aの第1開放部31aを開放することができる。その結果、第1空調装置6aの主要部に触れることができ、圧力計40等の計器類を正面側から目視することができる。
一方、本実施形態のバーンイン試験装置1では、裏面側に第2冷却装置領域15bの第2開放部31bがあり、第2蓋(正面側蓋)50bを外すことによって第2冷却装置領域15bの第2開放部31bを開放することができる。その結果、第2空調装置6bの主要部に触れることができ、圧力計40等の計器類を裏面側から目視することができる。
この様に、本実施形態のバーンイン試験装置1は、メンテナンスが容易である。
【0046】
本実施形態のバーンイン試験装置1は、工場で全体を組み立てて動作試験を行う。そして第1組合せセット10と第2組合せセット11に分離し、搬送先に運ぶ。
ここで、本実施形態のバーンイン試験装置1では、第1組合せセット10と第2組合せセット11はいずれも独立した形でユニット化されている。
そのため第1ユニットたる第1組合せセット10と、第2ユニットたる第2組合せセット11に分離することが容易である。分離された各ユニットは、分離する前に比べて小型であるため、搬送が容易である。
特に本実施形態では、冷媒配管を含めてユニット化されているため、工場から出荷する際に、第1組合せセット10と第2組合せセット11を分離することが容易である。
【0047】
また搬送先においても設置工事が容易である。即ち本実施形態では、各ユニットが独立した冷却装置30a、30bを有し、それぞれの冷媒配管がそれぞれのユニット内に組み込まれている。具体的には、各ユニット内で圧縮機25と、凝縮器16と、膨張手段(図示せず)及び蒸発器(図示せず)の間が配管済みである。そのため、搬送先で冷媒配管を接続する必要がなく、設置工事が容易である。
また搬送先で第1ユニットたる第1組合せセット10と第2ユニットたる第2組合せセット11を組み合わせてバーンイン試験装置1を組み立てることができる。そのため本実施形態のバーンイン試験装置1は、搬送及び施工が容易である。
【0048】
本実施形態のバーンイン試験装置1では、冷却装置の第1凝縮器16a及び第2凝縮器16bはいずれも水冷式の凝縮器である。そのため、クーリングタワー等の冷却装置と第1凝縮器16a及び第2凝縮器16bとを配管接続する必要がある。
ここで本実施形態のバーンイン試験装置1では、図7に示すように、一方の組合せセットに冷却水導入部41と冷却水排出部42があり、一方の組合せセット内で配管が分岐されて、当該組合せセットの凝縮器16bと他方の組合せセットの凝縮器16aに冷却水が供給される構造となっている。
【0049】
本実施形態では、第2組合せセット11の裏面側に冷却水導入部41と冷却水排出部42がある。具体的には、バーンイン試験装置1の裏面側であって、第2冷却装置領域15bに、冷却水導入部41と冷却水排出部42がある。
冷却水導入部41に接続された給水配管45は、第1凝縮器16aの給水口に接続されている。給水配管45から給水支管46が分岐され、給水支管46は第2凝縮器16bの給水口に接続されている。
また第1凝縮器16aの排水口に排水配管47が接続され、排水配管47は冷却水排出部42に接続されている。第2凝縮器16bの排水口に排水支管48が接続され、排水支管48は、第1凝縮器16aの排水口と冷却水排出部42の間の排水配管47に接続されている。
従って第1凝縮器16aには給水配管45によって冷却水が供給され、排水配管47によって排水される。第2凝縮器16bには給水配管45から分岐された給水支管46によって冷却水が供給され、排水支管48と合流する排水配管47を経由して排水される。
この点においても、本実施形態のバーンイン試験装置1は、搬送及び施工が容易である。
【0050】
本実施形態のバーンイン試験装置1を使用してバーンイン試験を実施する場合は、供試体100を第1試験室3a又は第2試験室3bに配置し、スロット20に供試体100の端子を係合させて、供試体100を第1通電装置5a又は第2通電装置5bに電気的に接続する。そして第1空調装置6a又は第2空調装置6bを起動して第1試験室3a又は第2試験室3b内を所望の環境に維持すると共に、第1通電装置5a又は第2通電装置5bから供試体100に電流及び信号を入力して供試体100の変化を観察する。
【0051】
以上説明したバーンイン試験装置1は、第1組合せセット10と第2組合せセット11がユニット化されていて容易に分割することができる。しかしこの構成は必須ではなく、第1組合せセット10と第2組合せセット11が分離できないものであってもよい。
以上説明したバーンイン試験装置1は、第1試験室3aの環境と第2試験室3bの環境を個別に設定することができるが、同一の環境に設定することしかできないものであってもよい。
【0052】
以上説明したバーンイン試験装置1の第1組合せセット10と第2組合せセット11の接合面に注目すると、第2組合せセット11側に外壁53があり、第1組合せセット10には外壁はない。バーンイン試験装置1では、第2組合せセット11の右側面の外壁53が第1組合せセット10と第2組合せセット11の仕切壁となっている。
接合面の仕切壁の有無は任意であり、仕切壁は無くてもよい。またバーンイン試験装置1では、第2組合せセット11の右側面の外壁53が仕切壁となっているが、第1組合せセット10に外壁を設け、これを仕切壁としてもよい。第1組合せセット10と第2組合せセット11の双方に外壁が有ってもよい。
【0053】
以上説明した実施形態では、第1組合せセット10と第2組合せセット11は、レイアウト等を除いて同じものである。即ち、いずれも通電制御装置8a、8bを有し、個々の試験室3a、3b内の供試体100に供給する電流や信号を個別に制御することができる。バーンイン試験装置1によると、第1試験室3aの供試体100と第2試験室3bの供試体100に対して異なる電流や異なる信号を入力することができるので多様なバーンイン試験に対応することができる。
しかしながら、現実には、第1試験室3aの供試体100と第2試験室3bの供試体100に対して、同じ電流や信号を入力する場合も多い。
【0054】
そこで変形例の一つとして、一方の組合せセットだけに通電制御装置8があり、他方には無い構造のものも推奨される。
例えば第1組合せセット10にのみ通電制御装置8aがあり、当該通電制御装置8aによって、第1試験室3aの供試体100と第2試験室3bの供試体100に供給する電流等を制御する。
この構造を採用する場合には、第2組合せセット11の第2冷却装置領域15bの上段は、第1組合せセット10の第1冷却装置領域15aの上段に比べて部材の多くが省略される。
具体的には、第1組合せセット10では上段が第1制御装置配置室33aとなっており、バーンイン試験を制御する第1通電制御装置8aが収容されているが、第2冷却装置領域15bの上段には通電制御装置はない。また制御装置配置室33自体がなく、第1組合せセット10の開口35aに相当する開口や、裏面側のモニター画面36や棚38aに相当する部材も無い。
【0055】
前記した様に、バーンイン試験は、電子機器を高温等の所定の環境に置き、電子機器に電源電圧や所定の信号を入力して行われる試験であり、上記したバーンイン試験装置1では、環境設定装置7a、7bで試験室3a、3b内の温度等を設定し、通電制御装置8a、8bで供試体100に供給する電流や信号を制御する。この様に、バーンイン試験装置1では、環境設定と供給電流等の入力設定が別の装置で行われるが、一つの装置で行われる構成であってもよい。例えば通電制御装置8a、8bに環境を設定する機能及び/又は制御機能を付加し、通電制御装置8a、8bで試験室3a、3b内の温度等を制御してもよい。
【0056】
上記したバーンイン試験装置1は、第1試験室3a及び第2試験室3bと、第1通電装置5a及び第2通電装置5bと、第1空調装置6a及び第2空調装置6bを有している。また上記したバーンイン試験装置1は、第1環境設定装置7a及び第2環境設定装置7bと、第1通電制御装置8a及び第2通電制御装置8bを備えている。
ここで、第1通電装置5a及び第2通電装置5bや、第1通電制御装置8a及び第2通電制御装置8bは、搬送先においてユーザの手によって装備される場合もある。そのため、工場から出荷する段階のバーンイン試験装置1は、第1通電装置5a及び第2通電装置5bや、第1通電制御装置8a及び第2通電制御装置8b等が無い状態であることもある。
従って前記の場合において工場から出荷されるバーンイン試験装置1は、供試体100を配置するための試験室3a、3bと、試験室3a、3b内の温度を調節する冷却装置と、を有するバーンイン試験装置1であって、試験室3a、3bと、試験室3a、3b内の供試体100に電力を供給する通電装置を設置するための通電装置配置室21a、21bと、試験室3a、3b内の温度を調節する冷却装置が一組となった組合せセット10、11を二組有し、各組合せセット10、11の冷却装置は、いずれも圧縮機25a、25bと凝縮器16a、16bと膨張手段と蒸発器を有し、各組合せセット10、11は、試験室3a、3bの背面に通電装置配置室21a、21bが配された本体領域13a、13bと、少なくとも前記圧縮機25a、25bが配された冷却装置領域15a、15bがあり、一方の組合せセット10に属する本体領域13aと他方の組合せセット11に属する本体領域13bが間隔を空けた状態で配され、双方の本体領域13a、13bの間に、一方の組合せセット10に属する冷却装置領域15aと他方の組合せセット11に属する冷却装置領域15bが、前後方向に入れ違い状に配置された構成となっている。
【符号の説明】
【0057】
1 バーンイン試験装置
2 筐体
3a 第1試験室
3b 第2試験室
5a 第1通電装置
5b 第2通電装置
6a 第1空調装置
6b 第2空調装置
8a 第1通電制御装置
8b 第2通電制御装置
10 第1組合せセット
11 第2組合せセット
13a 第1本体領域
13b 第2本体領域
15a 第1冷却装置領域
15b 第2冷却装置領域
16a 凝縮器
16b 凝縮器
25a 第1圧縮機
25b 第2圧縮機
30 冷却装置
31a 第1開放部
31b 第2開放部
41 冷却水導入部
100 供試体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8